論点1第222条刑法
監禁罪の手段として行なわれた暴力行為等処罰ニ関スル法律第一条〈国内犯〉所定の暴行脅迫と同法違反の罪の成否
裁判要旨監禁罪の手段として行なわれた暴力行為等処罰ニ関スル法律
第一条〈国内犯〉所定の暴行脅迫は監禁罪に吸収され、それと別個に同法違反の罪を構成するものではない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和42年4月27日 昭和41(あ)3101
- 登載
- 刑集 第21巻3号470頁
- 参照法条
- 暴力行為等処罰ニ関スル法律1条,刑法208条,刑法220条,刑法222条,刑法54条1項
論点2第222条刑法
合法的な集団である団体または多衆の威力を示して刑法第二二二条の脅迫罪を犯した場合と暴力行為等処罰ニ関スル法律第一条第一項〈国内犯〉の適用。
裁判要旨いやしくも被告人が団体または多衆の威力を示して、刑法
第二二二条〈脅迫〉の脅迫罪を犯した以上、たとえ、その団体または多衆が合法的な集団であつても、なお、暴力行為等処罰ニ関スル法律
第一条第一項〈国内犯〉の適用を免れない(昭和二四年(れ)第一六二二号同二八年六月一七日大法廷判決、刑集七巻六号一二八九頁参照)。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和40年2月23日 昭和38(あ)1208
- 登載
- 集刑 第154号763頁
- 参照法条
- 刑法222条,暴力行為等処罰ニ関スル法律1条1項
論点3第222条刑法
権利行使と恐喝罪成立の擬律は大審院判例に違反するか。
裁判要旨所論は、被告人が被害者に対して脅迫的言動をしたのは、債権行使のためであるから、脅迫罪が成立するのは格別恐喝罪は成立しないのにかかわらず、原判決が被告人を恐喝、同未遂罪に問擬したのは所論引用の判例に反するというのである。しかし所論引用の大正一二年(れ)第一八〇五号同一三年三月五日大審院判定、刑集三巻三号一七八頁は、すでに当裁判所の判例により変更されたものである(昭和二六年(れ)第七七号同年六月一日第二小法廷判決、刑集五巻七号一二二二頁・昭和二七年(あ)第六五九六号同三〇年一〇月一四日第二小法廷判決、刑集九巻一一号二一七三頁・昭和三一年(あ)第四六九号同三三年五月六日第三小法廷判決、刑集一二巻七号一三三六頁各参照)。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和39年8月28日 昭和38(あ)1028
- 登載
- 集刑 第152号653頁
- 参照法条
- 刑法405条3号,刑法249条,刑法222条,刑法35条
論点4第222条刑法
暴力行為等処罰ニ関スル法律第一条〈国内犯〉の数人共同シテ刑法第二二二条ノ罪ヲ犯ス罪の法定刑が刑法第二二二条の脅迫の罪のそれより重いのは身分による差別か。
裁判要旨暴力行為等処罰ニ関スル法律
第一条〈国内犯〉の数人共同シテ刑法第二二二条ノ罪ヲ犯ス罪と、刑法
第二二二条〈脅迫〉の脅迫の罪とは、行為の態様により刑罰に軽重がある場合であつて、憲法第一四条の社会的身分によつて差別される場合にあたらないこと明らかである。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和35年7月14日 昭和35(あ)372
- 登載
- 集刑 第134号443頁
- 参照法条
- 暴力行為等処罰ニ関スル法律1条,刑法222条,憲法14条
論点5第222条刑法
脅迫罪が成立する事例。
裁判要旨二つの派の抗争が熾烈になつている時期に、一方の派の中心人物宅に、現実に出火もないのに、「出火御見舞申上げます、火の元に御用心」、「出火御見舞申上げます、火の用心に御注意」という趣旨の文面の葉書を発送しこれを配達させたときは、脅迫罪が成立するものと認めるを相当する。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和35年3月18日 昭和34(あ)1812
- 登載
- 刑集 第14巻4号416頁
- 参照法条
- 刑法222条
論点6第222条刑法
一 脅迫罪の成立する事例
二 刑法第一三〇条〈住居侵入等〉の罪の成立する事例
三 いわゆる「ラムネ弾」が爆発物取締罰則にいう爆発物にあたらないとされた事例
裁判要旨一 国家地方警察佐賀県本部警察部隊長〇○の官舎附近に備付の塵箱に「○○に告ぐ、三月貴様は勤労者、農民を仮装敵として演習を行つたが勝つ自信があるか、独立を欲する国民の敵となり身を滅ぼすより民族と己のために即時現職を退陣せよ」と記載したビラ一枚を貼付し、その頃同隊長に右ビラの記載内容を了知せしめたときは、同隊長に対する脅迫罪を構成する。
二 夜間税務署庁内に人糞を投込む目的をもつて同署構内に立入つたときは、たとえ同署裏手に酒販売組合事務所であつて人々が同署通用門を通りその構内を自由に通行していたとしても、その所為は刑法第一三〇条の罪を構成する。
三 本件「ラムネ弾」(原判決判文参照)の如く、その投下地点から僅か一米以内の近距離にあつた警察隊長官舎座敷のガラス窓のガラス一枚さえも破壊しえない程度のものは、爆発物取締罰則にいう爆発物にあたらないものと認める。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和34年7月24日 昭和32(あ)68
- 登載
- 刑集 第13巻8号1176頁
- 参照法条
- 刑法222条,刑法130条,爆発物取締罰則1条
論点7第222条刑法
一 暴力行為等処罰に関する法律第一条第一項〈国内犯〉(脅迫)にあたる事例
二 脅迫と憲法第二一条
裁判要旨一 日本共産党員である被告人等が、町長選挙に際し、候補者(A)が前日居宅に火焔瓶投擲を受けて畏怖しつつあるのに乗じ、共同して同人を非難脅迫するビラを町内に撒布し同人を選挙において不利に陥れるとともに同人に右ビラを閲覧させてこれを脅迫すべきことを共謀し翌七月一二日共同して同町内で多人数に対し「天誅遂に下る。天人共に許さざる売国奴Aに町民の怒り爆発」と題し、「七月一一日おさえにおさえた町民の怒りは爆発した、過去四年間横暴の限りをつくし、町民の苦しみの上に私腹を肥した現町長Aの自宅は英雄的な町民により襲撃された、これはAをとりまく売国奴共へ愛国的町民が叩きつけたたたかいの宣言である。彼ら売国奴共が自己の行為を反省してくいあらためぬ限り、追撃の手は更にのびるであろう」との文言の記録があるガリ版ビラ約四〇〇枚を頒布して同人に多数第三者を通じ、うち約三〇枚を閲読させた所為は暴力行為等処罰に関する法律
第一条第一項〈国内犯〉に該当する
二 脅迫は、公共の福祉を害し憲法の保障する言論、表現の自由の限界を逸脱する
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和33年4月22日 昭和31(あ)314
- 登載
- 刑集 第12巻6号1118頁
- 参照法条
- 暴力行為等処罰ニ関スル法律1条1項,刑法222条,憲法21条
論点8第222条刑法
暴行を加えた直後の脅迫行為と罪数
裁判要旨犯人が他人に対し暴行を加えた後、さらに別個の害悪を告知し脅迫行為をした場合において、たとえ、右脅迫が暴行行為の直後同一場所でなされたものであつても、暴行罪の外に併合罪の関係にたつ脅迫罪が成立する。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和30年11月1日 昭和28(あ)5372
- 登載
- 集刑 第110号79頁
- 参照法条
- 刑法45条,刑法208条,刑法222条1項
論点9第222条刑法
脅迫にあたる事例
裁判要旨昭和二六年四月当時佐賀県a町大字b字c駐在所勤務の巡査に対し同駐在所附近で「売国奴の番犬、A巡査をたたき出せ」と題し、「……たしかに、Aは売国奴の番犬だ!我々愛国者人民は近き将来に必ず勝利するのだ、かかる売国奴とその手先どもの行為は、来るべきあの有名な人民裁判によつて明らかにサバカレ処断されるであろう……」と書いた謄写版ずりのビラ数附近住民等に頒布して右住民を通じ同巡査の手中に入らしめて告知することはその言説内容と、公知の客観的姿勢と相俟つて脅迫たるを免れない。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和29年6月8日 昭和27(あ)4864
- 登載
- 刑集 第8巻6号846頁
- 参照法条
- 暴力行為等処罰に関する法律1条1項,刑法222条1項
論点10第222条刑法
訴因変更を要しない例 ―恐喝の起訴に対し脅迫と認定する場合―
裁判要旨恐喝として起訴されたものを脅迫と認定しても、脅迫をしたという基本事実に変更がなく、かつ、被告人の防禦に実質的な不利益を生ずるおそれのないものであるから訴因変更の手続を経る必要はない。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和29年11月9日 昭和28(あ)914
- 登載
- 集刑 第100号91頁
- 参照法条
- 刑法249条,刑法222条,刑訴法312条
論点11第222条刑法
脅迫の認定に対し国家公務員法第一一〇条第一項第八号にあたるとして被告人から控訴するのは適法な控訴理由となるか
裁判要旨脅迫の認定に対し国家公務員法第一一〇条第一項八号にあたるとして被告人から控訴することは、刑訴第四〇二条の規定にかかわらず不利益な主張として適法な控訴理由とならない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和28年2月26日 昭和26(あ)1347
- 登載
- 刑集 第7巻2号311頁
- 参照法条
- 刑法222条,国家公務員法110条1項8号,国家公務員法39条,刑訴法402条
論点12第222条刑法
一 銃砲等所持禁止令違反罪の公訴事実の同一性の有無
二 不法監禁中になされた暴行脅迫行為が別罪を構成する事例
裁判要旨一 同一被告人に対する二個の銃砲等所持禁止令違反の公訴事実において、その不法所持にかかる日本刀がいずれも別個のものであり、且つ、判示の如くその事実上の支配状態を別異にするときは、たとい不法所持の日時、場所が彼此近接しているとしても、その間に公訴事実の同一性は認められない。
二 暴行脅迫が不法監禁中になされたものであつても、不法監禁の状態を維持存続させるため、その手段としてなされたものでなく、全く別個の動機、原因からなされたものであるときは、右暴行脅迫の行為は、不法監禁罪に吸収されることなく、別罪を構成する。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和28年11月27日 昭和27(あ)5833
- 登載
- 刑集 第7巻11号2344頁
- 参照法条
- 憲法39条,刑訴法256条2項,刑訴法256条3項,刑訴法335条1項,刑訴法337条1号,刑法220条1項,刑法208条,刑法222条,刑法54条1項前段,暴力行為等処罰に関する法律1条1項
論点13第222条刑法
脅迫行為にあたる事例
裁判要旨被告人が、司法巡査から被疑者として取調を受けるにあたり、同巡査に対し、「お前を憎んで居る者は俺丈けじやない。何人居るか判らない。駐在所にダイナマイトを仕掛けて爆発させ貴男を殺すと云つて居る者もある。」「俺の仲間は沢山居つてそいつ等も君をやつつけるのだと相当意気込んで居る」と申し向けた行為は、脅迫行為にあたる。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和27年7月25日 昭和25(あ)1992
- 登載
- 刑集 第6巻7号941頁
- 参照法条
- 刑法222条1項,刑法95条1項
論点14第222条刑法
権利行使の方法が違法と認められ恐喝罪又は脅迫罪の成立を免れない一事例
裁判要旨他人に対し権利を有する者が、その権利を実行することは、その権利の範囲内であつて、且つその方法が社会通念上一般に、忍容すべきものと認められる程度を越えないかぎり、なんら違法の問題を生じないけれども、右の範囲又は程度を逸脱するときは違法となり恐喝罪又は脅迫罪の成立することがあると解するのを相当とする。そして被告人の採つた債権の行使は、社念通念上一般に、債務者の忍容すべきものと認められる程度を明らかに越えるものであるから、たとえ取り立てた金額は、債権の範囲内であつても、その方法において違法たるを免れないのである。従つて、仮りに所論によつても、少くとも脅迫罪の成立することは明らかであり、原判示の量刑はその刑期の範囲内であつて、且つ原判決の認定した事実によればその量刑は原判決を破棄しなければ著しく正義に反する場合とも認められず、論旨は、この点においても結局とることはできない。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和27年5月20日 昭和26(れ)2482
- 登載
- 集刑 第64号575頁
- 参照法条
- 刑法249条,刑法222条,刑訴法411条
論点15第222条刑法
一 第三者を介してする脅迫罪における害悪の告知
二 併合罪の事実認定と証拠説明
裁判要旨一 被告人が中地区警察署に対し若い者三〇名程つれてA小学校にフイルムを沒収に行く旨を通知したことはその前後の関係から観察して警察署からB青年団側に告げられるであろうことは被告人が十分認識していたものであることを推測するに十分である。そして被告人が警察署に告知した右ことがらは警察側から青年団員C等に告知されていることは挙示の証拠により明らかである。なお脅迫罪における害悪の告知は被害者に対し直接になす必要なく被告人おいて脅迫の意思を以て害悪を加うべきことを知らしめる手段を施し被害者が害悪を被るべきことを知つた事実があれば足るのであるから、被告人の害悪告知がC等に対し直接になされないとしても脅迫罪の成立をさまたげるものではない。
二 判決に証拠と犯罪事実との関係が明らかにされている以上、併合罪の関係にある各個の犯罪事実について個々各別にその証拠を摘示する必要はない。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和26年7月24日 昭和25(れ)981
- 登載
- 刑集 第5巻8号1609頁
- 参照法条
- 刑法222条1項,旧刑訴法360条1項
論点16第222条刑法
暴力行為等処罰に関する法律第一条一項〈国内犯〉にいう「多衆の威力を示して」にあたる事例
裁判要旨原判示第二の事実によれば、被告人A、Bら一〇名に近い町方青年が、仲間の者を殴つたのは誰かなどと叫び、吊つてある蚊帳を切り落しなどしたうえ、Cを殴打したのであるし、また同第四の事実によれば、被告人Bら一〇名に近い者が、町方青年側として参集し、Dほか二名に対し出刃庖丁を出して指を切れなどとせまり、かつ右Dを殴打したのである。従つてこれらの事実は、暴力行為等処罰に関する法律
第一条第一項〈国内犯〉にいう「多衆の威力を示して」刑法
第二〇八条〈暴行〉、
第二二二条〈脅迫〉などの罪を犯した場合にあたるものといわなければならない。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和26年3月13日 昭和25(れ)1648
- 登載
- 集刑 第41号513頁
- 参照法条
- 暴力行為等処罰に関する法律1条1項,刑法208条,刑法222条
論点17第223条刑法
監禁罪及び強要未遂罪の成立が肯定された事例
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和61年10月28日 昭和57(あ)1241
- 登載
- 集刑 第244号117頁
- 参照法条
- 刑法220条1項,刑法223条1項,刑法223条3項
論点18第223条刑法
労働組合法第一条第一項の目的達成のための正当行為と認められない事例。
裁判要旨スト支援者が会社の構内において争議中の労組員ら六、七〇名と共謀し、たまたま五・三〇記念大会視察中の巡査部長を取り囲み、多衆の威力を背景にして身体または自由に対し危害を加えかねまじき気勢を示して脅迫を続け、取り上げた警察手帳を読み上げたりした上強要して詫状を書かせ、これを参集者に向つて読み上げさせた後、強いてデモ隊の中央附近に引き入れてスクラムを組み、その脱出を不可能にして同所より警察署前まで連行し、三時間余り同巡査部長を不法に監禁した所為は、労働組合法第一条第一項の目的達成のためにした正当行為というこはできない。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和34年4月28日 昭和31(あ)1649
- 登載
- 刑集 第13巻4号466頁
- 参照法条
- 労働組合法1条,刑法223条1項,刑法220条1項,憲法28条
論点19第223条刑法
刑法第二二三条第一項〈強要〉にいわゆる強要罪にあたる一事例
―限界を超えた争議行為―
裁判要旨原審の認定した事実によれば、所論団体交渉の席上被告人が会社側職員に対し労働者側の要求を受諾しないならば、会社に対する辞職願を書けと申向けこれに応じなければ同人等の身体、自由等に対し如何なる危害が及ぶかもしれないと感ぜしめるような態度を示して脅迫し、よつてその場において同人等をして会社に対する辞職願を作成の上交附せしめて、同人等をして義務のないことを行わしめたというのであつて、かかる被告人の所為が旧労働組合法一条一項の目的達成のためにする正当行為と目し得ないものであることは多言を要しないところである。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和28年11月26日 昭和28(あ)1461
- 登載
- 集刑 第88号861頁
- 参照法条
- 憲法28条,旧労働組合法(昭和24年法律174号による改正前のもの)1条,刑法223条,刑法35条
論点20第223条刑法
強要罪の認定に対し恐喝罪を主張することの適否
裁判要旨刑法
第二二三条第一項〈強要〉前段の強要罪の認定に対し、恐喝罪をもつて処断すべきであるとの主張は、被告人の不利益に帰すから、上告の理由として許されない。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和25年12月19日 昭和25(れ)1228
- 登載
- 刑集 第4巻12号2562頁
- 参照法条
- 刑法223条1項,刑法249条,旧刑訴法409条