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罪/殺人の罪

殺人の罪の条文と、裁判所が付した判示事項から整理しています。

原文解釈このページは論点を軸に条文と判例を横断して整理したものです。論点の名称と構成は当サイトの整理であり、条文上の区分ではありません。リード文・要点・比較表も当サイトによる解釈です。条文原文と判例の判示事項・裁判要旨は転記です。

殺人の罪は、人を殺す行為そのものと、その前後・周辺の行為をどう処罰するかを定めた条文群である。基本となる殺人罪(199条)に加え、実行前の予備(201条)、本人の意思にかかわる自殺関与・同意殺人(202条)、それぞれの未遂の扱い(203条)を整理する。

殺人の罪
条文罪名法定刑未遂・予備の扱い
199条殺人死刑・無期または5年以上拘禁刑未遂・予備とも処罰
200条(削除)削除―
201条殺人予備2年以下の拘禁刑情状により刑の免除可
202条自殺関与・同意殺人6月以上7年以下拘禁刑未遂のみ処罰
  • 200条は削除されており、現行法上この条文に基づく処罰規定はない。
  • 201条の予備罪は、情状により刑を免除できる旨が定められている。
  • 203条は199条・202条それぞれの未遂を処罰する旨のみを定める条文である。
1

殺人の罪

殺人の罪について、条文は何を定めているか。

第199条殺人人を殺した場合の刑罰を定める1項判例 63件
  • 法定刑は死刑、無期拘禁刑、または5年以上の拘禁刑
  • 殺人罪の基本となる条文
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第200条条文自体が削除されている1項判例 14件
  • 条文は削除されており、現在この条文に基づく処罰はない
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第201条予備殺人の予備行為を処罰する規定1項判例 3件
  • 199条〈殺人〉の罪を犯す目的での予備行為に適用される
  • 法定刑は2年以下の拘禁刑
  • 情状により刑を免除できる場合がある
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第202条自殺関与及び同意殺人自殺関与・同意殺人を処罰する1項判例 4件
  • 教唆・幇助して自殺させた場合に適用される
  • 嘱託を受けまたは承諾を得て殺した場合も同様に処罰
  • 法定刑は6月以上7年以下の拘禁刑
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第203条未遂罪199条〈殺人〉・202条〈自殺関与及び同意殺人〉の未遂を処罰する1項判例 11件
  • 殺人罪(199条〈殺人〉)の未遂は処罰される
  • 自殺関与・同意殺人罪(202条〈自殺関与及び同意殺人〉)の未遂も処罰される
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論

主要な論点と判例

原文ママ

論点の見出しと結論は、裁判所が付した判示事項・裁判要旨をそのまま転記しています。文中の〈 〉内は条文の見出しを当サイトが補ったものです。

論点1第199条刑法

一 審判の請求を受けない事件について判決した場合に当たらないとされた事例
二 被告人らの自白のとおりに有罪とした原判決の事実認定に不合理な点があるとして破棄された事例

裁判要旨一 甲、乙に対する起訴状の罪名及び罰条は殺人のみであつても、逮捕監禁の事実が殺人の実行行為の一部を組成するものとして公訴事実中に記載されていると認められるときは(判文参照)、たとえ右逮捕監禁の事実が殺人とは併合罪関係に立つものと解すべきであつたとしても、裁判所が甲につき殺人の実行行為の一部として右逮捕監禁の事実を認定し、乙につき逮捕監禁罪のみの成立を認めたことが、刑訴法三七八条三号にいう審判の請求を受けない事件について判決した場合に当たるとはいえない。
二 被告人らの自白にはその重要部分に信用し難い点があるのに(判文参照)、右自白のとおりに被告人らを有罪と認めた原判決は、刑訴法四一一条三号により破棄を免れない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和63年1月29日 昭和59(あ)1551
登載
刑集 第42巻1号38頁
参照法条
刑法45条,刑法199条,刑法220条1項,刑訴法256条2項,刑訴法256条4項,刑訴法317条,刑訴法378条3号,刑訴法411条3号,刑訴法413条本文
論点2第199条刑法

殺人教唆等の公訴事実につき被教唆者の供述の信用性を肯定しアリバイの成立を否定した原審の判断が支持し難いとして破棄された事例

裁判要旨殺人教唆等の公訴事実についての唯一の直接証拠である被教唆者の検察官に対する供述調書の証拠価値に疑問を容れる余地がないとはいえず、被告人のアリバイの成否について幾多の疑問が残されているのに(判文参照)、被告人を有罪とした原判決は、刑訴法四一一条一号、三号により破棄を免れない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和59年4月24日 昭和56(あ)897
登載
刑集 第38巻6号2196頁
参照法条
刑法61条1項,刑法199条,刑訴法317条,刑訴法411条1号,刑訴法411条3号,刑訴法413条本文
論点3第199条刑法

謀議の内容において被害者の殺害を一定の事態の発生にかからせていた場合といわゆる共謀共同正犯者としての殺人の故意の成立

裁判要旨謀議の内容において被害者の殺害を一定の事態の発生にかからせており、犯意自体が未必的なものであつたとしても、実行行為の意思が確定的であつたときは、いわゆる共謀共同正犯者としての殺人の故意の成立に欠けるところはない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和59年3月6日 昭和58(あ)531
登載
刑集 第38巻5号1961頁
参照法条
刑法38条1項,刑法60条,刑法199条
論点4第199条刑法

一 死刑選択の許される基準
二 無期懲役を言い渡した控訴審判決が検察官の上告により量刑不当として破棄された事例

裁判要旨一 死刑制度を存置する現行法制の下では、犯行の罪質、動機、態様ことに殺害の手段方法の執拗性・残虐性、結果の重大性ことに殺害された被害者の数、遺族の被害感情、社会的影響、犯人の年齢、前科、犯行後の情状等各般の情状を併せ考察したとき、その罪責が誠に重大であつて、罪刑の均衡の見地からも一般予防の見地からも極刑がやむをえないと認められる場合には、死刑の選択も許される。
二 先の犯行の発覚をおそれ、あるいは金品の強取するため、残虐、執拗あるいは冷酷な方法で、次々に四人を射殺し、遺族の被害感情も深刻である等の不利な情状(判文参照)のある本件においては、犯行時の年齢(一九歳余)、不遇な生育歴、犯行後の獄中結婚、被害の一部弁償等の有利な情状を考慮しても、第一審の死刑判決を破棄して被告人を無期懲役に処した原判決は、甚だしく刑の量定を誤つたものとして破棄を免れない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和58年7月8日 昭和56(あ)1505
登載
刑集 第37巻6号609頁
参照法条
刑法9条,刑法199条,刑法240条,刑訴法411条2号
論点5第199条刑法

殺人未遂罪の罪となるべき事実中の犯罪行為の判示として不十分とはいえないとされた事例

裁判要旨「未必の殺意をもつて、被害者の身体を、有形力を行使して、被告人方屋上の高さ約〇・八メートルの転落防護壁の手摺り越しに約七・三メートル下方のコンクリート舗装の路上に落下させて路面に激突させた」旨判示し、被害者を屋上から落下させた手段・方法を右以上に具体的に摘示していない場合でも、右判示は、殺人未遂罪の罪となるべき事実中の犯罪行為の判示として、不十分とはいえない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和58年5月6日 昭和57(あ)1807
登載
刑集 第37巻4号375頁
参照法条
刑法199条,刑法203条,刑訴法256条3項,刑訴法335条1項,刑訴法378条4号
論点6第199条刑法

検察官の冒頭陳述中の被告人の余罪に関する部分が冒頭陳述として相当でないとされた事例

裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和58年11月29日 昭和57(あ)1505
登載
集刑 第232号995頁
参照法条
刑法9条,刑法199条,刑法240条,刑訴法296条,刑訴法411条2号
論点7第199条刑法

被告人の自白及びこれを裏付けるべき重要な客観的証拠等の証拠価値に疑問があるとして原判決が破棄された事例

裁判要旨被告人を犯行と結びつけるための唯一の直接証拠である被告人の捜査段階における自白及びこれを裏付けるべき重要な客観的証拠等について、その証拠価値をめぐる幾多の疑問があるのに(判文参照)、これらの疑問点を解明することなく被告人を有罪と認めた原判決は、刑訴法四一一条一号、三号により破棄を免れない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和57年1月28日 昭和55(あ)677
登載
刑集 第36巻1号67頁
参照法条
刑法199条,刑訴法317条,刑訴法411条1号,刑訴法411条3号,刑訴法413条本文
論点8第199条刑法

現実の殺害行為を一定の事態の発生にかからせていた場合と殺人の故意の成立

裁判要旨謀議された計画の内容においては被害者の殺害を一定の事態の発生にかからせていたとしても、そのような殺害計画を遂行しようとする意思が確定的であつたときは、殺人の故意の成立に欠けるところはない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和56年12月21日 昭和56(あ)1004
登載
刑集 第35巻9号911頁
参照法条
刑法38条1項,刑法60条,刑法199条
論点9第199条刑法

暴行・傷害を共謀した共犯者のうちの一人が殺人罪を犯した場合における他の共犯者の罪責

裁判要旨暴行・傷害を共謀した共犯者のうちの一人が殺人罪を犯した場合、殺意のなかつた他の共犯者については、傷害致死罪の共同正犯が成立する。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和54年4月13日 昭和52(あ)2113
登載
刑集 第33巻3号179頁
参照法条
刑法38条2項,刑法60条,刑法199条,刑法205条1項
論点10第199条刑法

刑法二〇〇条〈削除〉と憲法一四条一項

裁判要旨刑法二〇〇条〈削除〉は、憲法一四条一項に違反する。
裁判
最高裁判所大法廷 昭和48年4月4日 昭和45(あ)1310
登載
刑集 第27巻3号265頁
参照法条
憲法14条1項,刑法199条,刑法200条
論点11第199条刑法

刑法二〇〇条〈削除〉と憲法一四条一項

裁判要旨刑法二〇〇条〈削除〉は、憲法一四条一項に違反する。
裁判
最高裁判所大法廷 昭和48年4月4日 昭和44(あ)916
登載
集刑 第187号21頁
参照法条
憲法14条1項,刑法199条,刑法200条,刑法203条
論点12第199条刑法

刑法二〇〇条〈削除〉と憲法一四条一項

裁判要旨刑法二〇〇条〈削除〉は、憲法一四条一項に違反する。
裁判
最高裁判所大法廷 昭和48年4月4日 昭和45(あ)2580
登載
集刑 第187号155頁
参照法条
憲法14条1項,刑法199条,刑法200条
論点13第199条刑法

刑訴法四〇〇条但書に違反するとされた事例

裁判要旨殺人の公訴事実について、第一審が殺意の存在を認めず、傷害致死の犯罪事実を認定したのに対し、控訴審が、みずから殺意の点に関する事実の取調をすることなく、実質上、第一審で取り調べた証拠のみに基づいて未必の殺意を認定し、殺人罪として処断することは、刑訴法四〇〇条但書の解釈上許されない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和45年12月22日 昭和45(あ)913
登載
刑集 第24巻13号1872頁
参照法条
刑法199条,刑法205条,刑訴法400条
論点14第199条刑法

訴因の変更を促しまたはこれを命じないことが審理不尽になるとされた事例

裁判要旨裁判所は、原則として、自らすすんで検察官に対し、訴因変更手続を促しまたはこれを命ずる義務はないが、本件のように、証拠上、起訴状に記載された殺人の訴因については無罪とするほかなくても、これを重過失致死という相当重大な罪の訴因に変更すれば有罪であることが明らかな場合には、例外的に、訴因変更を促しまたはこれを命ずる義務があり、これをしないで殺人の訴因につきただちに無罪の判決をするのは、審理不尽の違法があるものというべきである。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和43年11月26日 昭和42(あ)1192
登載
刑集 第22巻12号1352頁
参照法条
刑訴法312条,刑訴法397条1項,刑訴法379条,刑法199条,刑法211条
論点15第199条刑法

殺人未遂罪につき誤想過剰防衛が認められた事例。

裁判要旨被告人の長男甲が乙に対し、乙がまだなんらの侵害行為に出ていないのに、これに対し所携のチエーンで殴りかかつた上、なお攻撃を加えることを辞さない意思をもつて、庖丁を擬した乙と対峙していた際に、甲の叫び声を聞いて表道路に飛び出した被告人は、右のごとき事情を知らず、甲が乙から一方的に攻撃を受けているものと誤信し、その侵害を排除するため乙に対し猟銃を発射し、散弾の一部を同人の右頸部前面鎖骨上部に命中させたものであること、その他原判決認定の事実関係(原判文参照)のもとにおいては、被告人の本件所為は、誤想防衛であるが、その防衛の程度を超えたものとして、刑法第三六条第二項〈正当防衛〉により処断すべきものである。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和41年7月7日 昭和40(あ)1998
登載
刑集 第20巻6号554頁
参照法条
刑法36条,刑法38条,刑法199条,刑法203条
論点16第199条刑法

第二審における訴因変更手続の要否。

裁判要旨殺人罪として起訴された事案について、第一審判決が殺人予備と重過失致死で処断し、第二審がこれを破棄自判するに当り、訴因変更手続を経ることなく殺人罪として処断したとしても、第一審において訴因変更手続がとられた形跡が存しないときは、第二審は本来の訴因そのものにつき審判をしたに止まり、訴因変更手続要否の問題が生ずる余地は存しない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和39年8月24日 昭和38(あ)386
登載
集刑 第152号545頁
参照法条
刑訴法312条,刑訴法404条,刑訴規則209条,刑法199条,刑法201条,刑法211条後段
論点17第199条刑法

殺人の目的で静脈内に空気を注射する行為と不能犯

裁判要旨殺人の目的で静脈内に空気を注射したときは、右空気の量が致死量以下であつても、右行為は不能犯とはいえない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和37年3月23日 昭和36(あ)2299
登載
刑集 第16巻3号305頁
参照法条
刑法203条,刑法199条
論点18第199条刑法

殺人予備罪の共同正犯にあたるとされた事例。

裁判要旨殺人の目的を有する者から、これに使用する毒物の入手を依頼され、その使途を認識しながら、右毒物を入手して依頼者に手交した者は、右毒物による殺人が予備に終つた場合に、殺人予備罪の共同正犯としての責任を負うものと解すべきである。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和37年11月8日 昭和37(あ)88
登載
刑集 第16巻11号1522頁
参照法条
刑法201条,刑法199条,刑法60条
論点19第199条刑法

理由にくいちがいがないとされた事例。
――広義における殺意を認定した第一審判決を控訴審が少くとも殺害の未必的故意があつたと認定して事実誤認の主張を排斥した事例。

裁判要旨第一審判決は広義における殺意を判示したに止まるのであるから、原判決が事実誤認の論旨につき少くとも殺害の未必的故意のあつたことを認定して事実誤認がない旨判示しても、理由齟齬の生じないことは明らかである。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和37年11月20日 昭和37(あ)1661
登載
集刑 第145号143頁
参照法条
刑訴法414条,刑訴法378条4号,刑法199条
論点20第199条刑法

訴因の変更を必要としない事例(強盗殺人の共同正犯―殺人の幇助)

裁判要旨被告人は、甲が金品強取の目的で乙を殺害しようとしてその首を絞めているとき、その企図を察知共謀の上乙の抵抗を阻止し、また着用の腰紐を甲に与えて絞首殺害の目的を達成するに至らせた旨の訴因で、被告人において甲が乙殺害の目的でその首を絞めている企図を察知しながら、その着用の腰紐を甲に与えて、絞首殺害の目的達成を容易ならしめてこれを幇助したと認めるのには訴因の変更を必要としない
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和33年6月24日 昭和31(あ)462
登載
刑集 第12巻10号2269頁
参照法条
刑訴法312条,刑法240条,刑法199条,刑法60条,刑法62条
論点21第199条刑法

一 被害者の意思の瑕疵と刑法第二〇二条の嘱託、承諾。
二 擬装心中は殺人罪にあたるか。

裁判要旨一 被害者の意思が自由な真意に基かない場合は刑法第二〇二条にいう被殺者の嘱託または承諾としては認められない。
二 自己に追死の意思がないに拘らず被害者を殺害せんがため、これを欺罔し追死を誤信させて自殺させた所為は、通常の殺人罪に該当する。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和33年11月21日 昭和31(あ)2220
登載
刑集 第12巻15号3519頁
参照法条
刑法202条,刑法199条
論点22第199条刑法

刀剣類の不法所持と殺人未遂は牽連犯か

裁判要旨厚判決が刀剣類の不法所持と殺人未遂との間には通常手段結果の関係にあるとはいえないから、本件短刀の不法所持と殺人未遂とを牽連犯と認めることはできないとして、これを併合罪として処断したのは正当である。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和31年7月4日 昭和29(あ)2250
登載
集刑 第114号75頁
参照法条
銃砲刀剣類等所持取締令2条,銃砲刀剣類等所持取締令26条1号,刑法199条,刑法203条,刑法45条,刑法54条
論点23第199条刑法

殺意ある者が犯した強姦致死の擬律

裁判要旨死亡の結果につき故意を有し、暴行を以つて婦女を姦淫し因つて死に致した所為は強姦致死罪および殺人の罪名に触れるものとする。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和31年10月25日 昭和31(あ)1219
登載
刑集 第10巻10号1455頁
参照法条
刑法177条,刑法181条,刑法199条,刑法54条1項
論点24第199条刑法

殺人未遂の訴因に対し傷害の事実を認定する場合と訴因変更の要否

裁判要旨殺人未遂の訴因に対し傷害と認定するについては、訴因変更の手続を経る必要はない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和29年8月24日 昭和27(あ)6580
登載
刑集 第8巻8号1392頁
参照法条
刑訴法312条,刑法203条,刑法199条,刑法204条
論点25第199条刑法

訴因、罰条の変更を必要としない一事例

裁判要旨殺人の起訴に対し刑法第三八条第二項を適用し同意殺人の責任を認めるときは、訴因、罰条の変更を必要としない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和28年9月30日 昭和28(あ)2850
登載
刑集 第7巻9号1868頁
参照法条
刑法199条,刑法202条,刑訴法312条
論点26第199条刑法

一 騒擾罪の成立には多衆の暴行脅迫が群集の暴動に発展し社会の治安を動揺せしめる危険または社会の治安に不安動揺を生ぜしめた事実を必要とするか
二 刑法第一〇六条〈騒乱〉にいわゆる「多衆」の意義
三 騒擾罪にあたる殺傷行為が特定の一個人に対するものである場合と騒擾罪の成否
四 騒擾罪の首魁の意義
五 騒擾罪の判示方法
六 不利益変更にあたる一事例

裁判要旨一 騒擾罪の成立には多衆の暴行脅迫が群集の暴動に発展し社会の治安を動揺せしめる危険または社会の治安に不安動揺を生ぜしめた事実を必要としない。
二 刑法第一〇六条〈騒乱〉にいわゆる多衆は、互に意思連絡のない不特定多数人であることを必要としない。
三 騒擾罪にあたる殺傷行為が特定の一個人に対するものであつても騒擾罪の成立に影響をおよばさない。
四 騒擾罪の首魁とは主動者となり首唱劃策し、多衆をしてその合同力により暴行または脅迫を為すに至らしめる者を謂い、必ずしも暴行脅迫を共にし、もしくは現場に在つて総括指揮することを必要としない。
五 騒擾罪にあたる事実を判示するには、多衆が集合して暴行または脅迫の行為をしたことを明らかにすれば足り、特にその行為が地方の静謐を害し又は公共の平和を害する虞のあることを判示する必要はない。
六 第一審判決が被告人Aに対し懲役一年六月を言渡し第一審における未決勾留日数中一二〇日を右本刑に算入したこと、同被告人のみがこれに対し控訴したこと、しかるに原判決が同被告人に対し第一審判決と同一の懲役一年六月の刑を言渡しながら第一審における未決勾留日数を本刑に算入しなかつたときは、旧刑訴四〇三条に違反する。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和28年5月21日 昭和26(れ)908
登載
刑集 第7巻5号1053頁
参照法条
刑法106条1項,刑法199条,刑法204条,旧刑訴法403条
論点27第199条刑法

通常の意思能力のない被害者に縊死の方法を教えて縊首させた所為と殺人罪

裁判要旨被害者が通常の意思能力もなく、自殺の何たるかも理解せず、しかも被告人の命ずることは何でも服従するのを利用して、その被害者に縊死の方法を教えて縊首せしめ死亡するに至らしめた所為は、殺人罪にあたる。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和27年2月21日 昭和26(あ)3401
登載
刑集 第6巻2号275頁
参照法条
刑法199条,刑法202条
論点28第199条刑法

一 殺人の目的で鮒の味噌煮にストリキニーネを入れた行為と不能犯
二 第一審では主張せず控訴趣意書で初めてした「証拠に採用された被告人の司法警察員および検察官に対する自白が暴行脅迫に基いたものである」との主張と刑訴第三九三条による事実の取調の要否

裁判要旨一 なおストリキニーネを混入した鮒の味噌煮が苦味を呈しているからといつて何人もこれを食べることは絶対にないと断定し難いところであるから、殺人罪の不能犯であるとの主張は容認することはできない。
二 しかるに本件第一審公判において被告人及び弁護人は検察官の取調請求にかかる被告人の司法警察員に対する供述調書及び被告人の検察官に対する供述調書(いずれも自白を内容とするもの)を証拠とすることに同意し、かつ証拠調請求について異義がない旨述べたのであつて、自白が暴行脅迫に基いてなされたことを主張したことなく、また第一審裁判所において取調べた証拠及び訴訟記録には右のような疑念を抱かせる証拠は全然存しない。被告人は控訴趣意書において初めて、司法警察員及び検事に対して自白したのは暴行脅迫の結果で真実に出でたものでないと主張するのであるから、原審がこの点について職権により、取調にあたつた警察官や検事を証人として尋問する等事実の取調を行わないで、被告人は暴行脅迫によつて自白したものとは認められないと判断したことは違法ではない。(被告人の控訴趣意が刑訴法第三九三条第一項但書に基き事実の取調を求めるものでないことは明白である)。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和26年7月17日 昭和25(あ)2886
登載
刑集 第5巻8号1448頁
参照法条
刑法199条,刑法203条,刑訴法393条
論点29第199条刑法

殺害現場の床下に死体を秘匿する行為と死体遺棄罪

裁判要旨旅館の客室で人を殺した者がその死体を右客室の床下に投棄秘匿する場合には、殺人罪の外に死体遺棄罪が成立する。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和26年6月7日 昭和26(れ)426
登載
集刑 第47号405頁
参照法条
刑法199条,刑法190条
論点30第199条刑法

一 酩酊すると暴行する習癖のある注意義務
二 殺人の公訴事実中には過失致死の事実も含まれるか

裁判要旨一 本件被告人の如く、多量に飲酒するときは病的酩酊に陥り、因つて心神喪失状態において他人に犯罪の害悪を及ぼす危険ある素質を有する者は、居常右心神喪失の原因となる飲酒を抑止又は制限する等前示危険の発生を未然に防止するよう注意する義務あるものといわねばならない。しからば、たとえ原判決認定のように、本件殺人の所為は被告人の心身喪失時の所為であつたとしても、(イ)被告人にして既に前示のような己れの素質を自覚していたものであり且つ(ロ)本件事前の飲酒につき前示注意義務を怠つたがためであるとするならば、被告人は過失致死の罪責を免れ得ないものといわねばならない。
二 殺人の公訴事実中には過失致死の事実をも包含するものと解するを至当とすべきである。
裁判
最高裁判所大法廷 昭和26年1月17日 昭和25(れ)548
登載
刑集 第5巻1号20頁
参照法条
刑法199条,刑法210条,旧刑訴法291条,旧刑訴法410条18号
論点31第199条刑法

過失の主張と旧刑訴法第三六〇条第二項

裁判要旨殺人被告事件において、被告人が過失による傷害である旨の主張は、旧刑訴法第三六〇条第二項の主張にはあたらない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和24年5月17日 昭和23(れ)2030
登載
刑集 第3巻6号729頁
参照法条
旧刑訴法360条2項,刑法199条,刑法210条,刑法410条20号
論点32第199条刑法

共犯者の供述に信用性を認めた原判決が破棄された事例

裁判要旨殺人、死体遺棄の公訴事実に関し、被告人と犯行とを結びつける唯一の直接証拠である共犯者の供述の信用性について幾多の疑問点があるのに、それらを解明することなく被告人を有罪と認めた原判決は、刑訴法四一一条一号、三号により破棄を免れない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 平成元年6月22日 昭和57(あ)223
登載
刑集 第43巻6号427頁
参照法条
刑法190条,刑法199条,刑訴法317条,刑訴法411条1号,刑訴法411条3号,刑訴法413条本文
論点33第199条刑法

一 共同正犯が成立する場合における過剰防衛の成否の判断方法
二 殺人の共同正犯者中の一人に過剰防衛が成立する場合に他の一人について過剰防衛が成立しないとされた事例

裁判要旨一 共同正犯が成立する場合における過剰防衛の成否は、共同正犯者の各人につきそれぞれの要件を満たすかどうかによって判断すべきである。
二 被告人と共謀の上被害者を殺害した甲について過剰防衛が成立する場合であっても、被害者の攻撃を予期し、その機会を利用して甲に反撃を加えさせようとして侵害に臨んだ被告人については、侵害の急迫性の要件を欠き、過剰防衛は成立しない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 平成4年6月5日 平成2(あ)788
登載
刑集 第46巻4号245頁
参照法条
刑法36条,刑法60条,刑法199条
論点34第199条刑法

死刑の量刑が維持された事例(首都圏連続不審死事件)

裁判
最高裁判所第二小法廷 平成29年4月14日 平成26(あ)639
登載
集刑 第321号83頁
参照法条
刑法11条,刑法199条,刑訴法411条2号,刑訴法411条3号
論点35第199条刑法

死刑の量刑が維持された事例(長崎ストーカー殺人事件)

裁判
最高裁判所第一小法廷 平成28年7月21日 平成26(あ)1160
登載
集刑 第320号395頁
参照法条
刑法11条,刑法199条,刑訴法411条2号
論点36第199条刑法

死刑の量刑が維持された事例(元少年石巻殺傷事件)

裁判
最高裁判所第一小法廷 平成28年6月16日 平成26(あ)452
登載
集刑 第320号99頁
参照法条
刑法11条,刑法199条,刑訴法411条2号
論点37第199条刑法

死刑の量刑が維持された事例(山形東京連続放火殺人事件)

裁判
最高裁判所第二小法廷 平成28年6月13日 平成26(あ)1655
登載
集刑 第320号1頁
参照法条
刑法11条,刑法108条,刑法199条,刑訴法411条2号
論点38第199条刑法

死刑の量刑が維持された事例(大阪パチンコ店放火殺人事件)

裁判
最高裁判所第三小法廷 平成28年2月23日 平成25(あ)1329
登載
集刑 第319号1頁
参照法条
刑法11条,刑法108条,刑法199条,刑訴法411条2号
論点39第199条刑法

女子高校生に強いてわいせつな行為をして殺害したとして起訴された事案につき,目撃証言の信用性を否定するなどして事実誤認を理由に有罪(無期懲役)の第1審判決を破棄し無罪とした原判決が是認された事例(舞鶴女子高校生殺害事件)

裁判
最高裁判所第一小法廷 平成26年7月8日 平成25(あ)169
登載
集刑 第314号99頁
参照法条
刑法9条,刑法181条1項,刑法176条前段,刑法199条,刑訴法382条,刑訴法397条1項,刑訴法411条3号
論点40第199条刑法

殺人1件,傷害致死1件等の事案につき,無期懲役の量刑が維持された事例(中国人妻による替え玉殺人事件)

裁判
最高裁判所第二小法廷 平成25年11月11日 平成23(あ)881
登載
集刑 第312号7頁
参照法条
刑法9条,刑法199条,刑法205条,刑訴法411条2号
論点41第199条刑法

実母及び実子2名を殺害し,その保険金等を詐取したとして起訴された事案につき,被告人の自白の信用性を否定するなどして無罪とした第1審判決を維持した原判決が是認された事例

裁判
最高裁判所第一小法廷 平成24年2月22日 平成22(あ)174
登載
集刑 第307号509頁
参照法条
刑法108条,刑法199条,刑訴法411条3号
論点42第199条刑法

長崎市長を射殺した事案につき,無期懲役の量刑が維持された事例

裁判
最高裁判所第三小法廷 平成24年1月16日 平成21(あ)1877
登載
集刑 第307号81頁
参照法条
刑法9条,刑法199条,刑訴法411条2号
論点43第199条刑法

家族に対する殺人5件,殺人未遂1件の事案につき,無期懲役の量刑が維持された事例(反対意見がある。)(岐阜中津川家族殺害事件)

裁判
最高裁判所第一小法廷 平成24年12月3日 平成22(あ)402
登載
集刑 第309号1頁
参照法条
刑法9条,刑法199条,刑法203条,刑訴法411条2号
論点44第199条刑法

殺人1件,被害者に重傷を負わせた殺人未遂2件等の事案につき,無期懲役の量刑が維持された事例(愛知の立て籠もり発砲事件)

裁判
最高裁判所第三小法廷 平成23年3月22日 平成21(あ)1802
登載
集刑 第303号535頁
参照法条
刑法9条,刑法199条,刑訴法411条2号
論点45第199条刑法

6名を殺害し,1名を死に致すなどした殺人,傷害致死等被告事件につき,被告人を無期懲役に処した控訴審判決を破棄しなければ著しく正義に反するとまでは認められないとされた事例(反対意見がある。)(北九州連続監禁殺人等事件)

裁判
最高裁判所第一小法廷 平成23年12月12日 平成19(あ)2276
登載
集刑 第306号695頁
参照法条
刑法9条,刑法199条,刑法205条,刑訴法411条2号
論点46第199条刑法

殺人,現住建造物等放火の公訴事実について間接事実を総合して被告人を有罪とした第1審判決及びその事実認定を是認した原判決に,審理不尽の違法,事実誤認の疑いがあるとされた事例

裁判要旨殺人,現住建造物等放火の公訴事実について,間接事実を総合して被告人が犯人であるとした第1審判決及びその事実認定を是認した原判決は,認定された間接事実中に被告人が犯人でないとしたならば合理的に説明することができない(あるいは,少なくとも説明が極めて困難である)事実関係が含まれているとは認められないなど,間接事実に関する審理不尽の違法,事実誤認の疑いがあり,刑訴法411条1号,3号により破棄を免れない。
(補足意見,意見,反対意見がある。)
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成22年4月27日 平成19(あ)80
登載
刑集 第64巻3号233頁
参照法条
刑法108条,刑法199条,刑訴法317条,刑訴法411条1号,刑訴法411条3号,刑訴法413条本文
論点47第199条刑法

保険金目的による被殺者2名の殺人の事案につき,無期懲役の量刑が維持された事例

裁判
最高裁判所第二小法廷 平成21年1月14日 平成17(あ)2621
登載
集刑 第296号1頁
参照法条
刑法9条,刑法199条,刑訴法411条2号
論点48第199条刑法

被殺者2名の殺人,強盗殺人等の事案につき,無期懲役の量刑が維持された事例(静岡大学生強殺事件)

裁判
最高裁判所第三小法廷 平成20年9月29日 平成19(あ)1317
登載
集刑 第295号135頁
参照法条
刑法9条,刑法199条,刑法240条,刑訴法411条2号
論点49第199条刑法

殺人,強姦致死等の懲役前科3犯を有する者に対するわいせつ致死,殺人被告事件につき,無期懲役とした量刑が維持された事例

裁判
最高裁判所第三小法廷 平成20年4月21日 平成19(あ)885
登載
集刑 第294号149頁
参照法条
刑法9条,刑法199条,刑訴法411条2号
論点50第199条刑法

1 被害者を失神させた上自動車ごと海中に転落させてでき死させようとした場合につき被害者を失神させる行為を開始した時点で殺人罪の実行の着手があるとされた事例
2 いわゆる早過ぎた結果の発生と殺人既遂の成否

裁判要旨1 クロロホルムを吸引させて失神させた被害者を自動車ごと海中に転落させてでき死させようとした場合において,クロロホルムを吸引させて失神させる行為が自動車ごと海中に転落させる行為を確実かつ容易に行うために必要不可欠であり,失神させることに成功すれば,それ以降の殺害計画を遂行する上で障害となるような特段の事情が存しなかったなど判示の事実関係の下では,クロロホルムを吸引させる行為を開始した時点で殺人罪の実行の着手があったと認められる。
2 クロロホルムを吸引させて被害者を失神させた上自動車ごと海中に転落させるという一連の殺人行為に着手して,その目的を遂げた場合には,犯人の認識と異なり,海中に転落させる前の時点でクロロホルムを吸引させる行為により被害者が死亡していたとしても,殺人の故意に欠けるところはなく,殺人の既遂となる。
裁判
最高裁判所第一小法廷 平成16年3月22日 平成15(あ)1625
登載
刑集 第58巻3号187頁
参照法条
刑法38条1項,刑法43条,刑法199条,刑法203条
論点51第199条刑法

自殺させて保険金を取得する目的で被害者に命令して岸壁上から自動車ごと海中に転落させた行為が殺人未遂罪に当たるとされた事例

裁判要旨自動車の転落事故を装い被害者を自殺させて保険金を取得する目的で,極度に畏怖して服従していた被害者に対し,暴行,脅迫を交えつつ,岸壁上から車ごと海中に転落して自殺することを執ように要求し,被害者をして,命令に応じて車ごと海中に飛び込む以外の行為を選択することができない精神状態に陥らせていたなど判示の事実関係の下においては,被害者に命令して岸壁上から車ごと海中に転落させた行為は,被害者において,命令に応じて自殺する気持ちがなく,水没前に車内から脱出して死亡を免れた場合でも,殺人未遂罪に当たる。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成16年1月20日 平成14(あ)973
登載
刑集 第58巻1号1頁
参照法条
刑法38条,刑法199条,刑法202条,刑法203条
論点52第199条刑法

1 殺害の日時・場所・方法の判示が概括的で実行行為者の判示が択一的であっても殺人罪の罪となるべき事実の判示として不十分とはいえないとされた事例
2 殺人罪の共同正犯の訴因において実行行為者が明示された場合に訴因変更手続を経ることなく訴因と異なる実行行為者を認定することの適否
3 殺人罪の共同正犯の訴因において実行行為者が被告人と明示された場合に訴因変更手続を経ることなく実行行為者が共犯者又は被告人あるいはその両名であると択一的に認定したことに違法はないとされた事例

裁判要旨1 殺害の日時・場所・方法の判示が概括的なものである上,実行行為者の判示が「A又は被告人あるいはその両名」という択一的なものであっても,その事件が被告人とAの2名の共謀による犯行であるときには,殺人罪の罪となるべき事実の判示として不十分とはいえない。
2 殺人罪の共同正犯の訴因において実行行為者が明示された場合に,それと実質的に異なる認定をするには,原則として訴因変更手続を要するが,被告人に不意打ちを与えるものではなく,かつ,認定される事実が訴因に記載された事実に比べて被告人にとってより不利益であるとはいえない場合には,訴因変更手続を経ることなく訴因と異なる実行行為者を認定しても違法ではない。
3 殺人罪の共同正犯の訴因において実行行為者が被告人と明示された場合に,訴因変更手続を経ることなく実行行為者がA又は被告人あるいはその両名であると択一的に認定したことは,訴因と認定との間で共犯者の範囲に変わりがなく,被告人が1審の審理においてAとの共謀及び実行行為への関与を否定し,実行行為者は被告人である旨のAの証言につき自己の責任を被告人に転嫁するものであると主張するなどした判示の事情の下においては,違法とはいえない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成13年4月11日 平成11(あ)423
登載
刑集 第55巻3号127頁
参照法条
刑法(平成7年法律第91号による改正前のもの)60条,刑法(平成7年法律第91号による改正前のもの)199条,刑訴法256条3項,刑訴法335条1項,刑訴法312条1項,刑訴法312条2項
論点53第199条刑法

被告人を死刑に処した裁判員裁判による第1審判決を量刑不当として破棄し無期懲役に処した原判決の量刑が維持された事例

裁判
最高裁判所第一小法廷 令和元年7月1日 平成29(あ)605
登載
集刑 第326号63頁
参照法条
刑法199条,刑法225条,刑法190条,刑訴法411条2号
論点54第199条刑法

死刑の量刑が維持された事例(山口周南市連続殺人放火事件)

裁判
最高裁判所第一小法廷 令和元年7月11日 平成28(あ)1508
登載
集刑 第326号133頁
参照法条
刑法11条,刑法199条,刑訴法411条2号
論点55第199条刑法

被告人を死刑に処した裁判員裁判による第1審判決を量刑不当として破棄し無期懲役に処した原判決の刑の量定が維持された事例

裁判
最高裁判所第一小法廷 令和元年12月2日 平成29(あ)621
登載
集刑 第327号17頁
参照法条
刑法199条,刑訴法411条2号
論点56第199条刑法

死刑の量刑が維持された事例(日立妻子6人殺害事件)

裁判
最高裁判所第二小法廷 令和7年2月21日 令和5(あ)541
登載
―
参照法条
刑法11条、刑法199条、刑訴法411条2号
論点57第199条刑法

被告人を死刑に処した裁判員裁判による第1審判決を量刑不当として破棄し無期懲役に処した原判決の量刑が維持された事例

裁判
最高裁判所第一小法廷 令和6年5月27日 令和5(あ)292
登載
集刑 第333号297頁
参照法条
刑法199条、刑訴法411条2号
論点58第199条刑法

死刑の量刑が維持された事例(遺体なき殺人事件)

裁判
最高裁判所第二小法廷 令和5年7月3日 令和3(あ)855
登載
集刑 第332号79頁
参照法条
刑法11条、刑法199条、刑訴法411条2号
論点59第199条刑法

死刑の量刑が維持された事例(マニラ保険金殺人事件)

裁判
最高裁判所第一小法廷 令和5年6月5日 令和2(あ)124
登載
集刑 第332号27頁
参照法条
刑法11条、刑法199条、刑訴法411条2号
論点60第199条刑法

死刑の量刑が維持された事例(元警官妻子3人殺害事件)

裁判
最高裁判所第三小法廷 令和5年12月8日 令和3(あ)1399
登載
集刑 第332号309頁
参照法条
刑法11条、刑法199条、刑訴法411条2号
論点61第199条刑法

殺人の公訴事実について、自殺の主張は客観的証拠と矛盾するなどとして有罪の第1審判決の結論を是認した原判決に、審理不尽の違法、事実誤認の疑いがあるとされた事例

裁判
最高裁判所第一小法廷 令和4年11月21日 令和3(あ)319
登載
集刑 第331号7頁
参照法条
刑法199条、刑訴法411条1号、刑訴法411条3号、刑訴法413条本文
論点62第199条刑法

死刑の量刑が維持された事例(連続青酸不審死事件)

裁判
最高裁判所第三小法廷 令和3年6月29日 令和1(あ)953
登載
集刑 第329号101頁
参照法条
刑法11条,刑法199条,刑訴法411条2号
論点63第199条刑法

生命維持のためにインスリンの投与が必要な1型糖尿病にり患した幼年の被害者の治療をその両親から依頼された者が,両親に指示してインスリンの投与をさせず,被害者が死亡した場合について,母親を道具として利用するとともに不保護の故意のある父親と共謀した殺人罪が成立するとされた事例

裁判要旨生命維持のためにインスリンの投与が必要な1型糖尿病にり患している幼年の被害者の治療をその両親から依頼された被告人が,インスリンを投与しなければ被害者が死亡する現実的な危険性があることを認識しながら,自身を信頼して指示に従っている母親に対し,インスリンは毒であるなどとして被害者にインスリンを投与しないよう執ようかつ強度の働きかけを行い,母親をして,被害者の生命を救うためには被告人の指導に従う以外にないなどと一途に考えるなどして被害者へのインスリンの投与という期待された作為に出ることができない精神状態に陥らせ,被告人の治療法に半信半疑の状態であった父親に対しても母親を介してインスリンの不投与を指示し,両親をして,被害者へのインスリンの投与をさせず,その結果,被害者が死亡したなどの本件事実関係(判文参照)の下では,被告人には,母親を道具として利用するとともに不保護の故意のある父親と共謀した未必の殺意に基づく殺人罪が成立する。
裁判
最高裁判所第二小法廷 令和2年8月24日 平成30(あ)728
登載
刑集 第74巻5号517頁
参照法条
刑法60条,刑法199条
論点64第200条刑法

刑法二〇〇条〈削除〉の規定が違憲でないとの意見が付された事例

裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和49年2月14日 昭和48(あ)1347
登載
集刑 第191号103頁
参照法条
刑法200条
論点65第200条刑法

刑法第二〇〇条〈削除〉(尊属殺)の規定は憲法第一四条に違反するか。

裁判要旨所論は違憲をいうが、刑法第二〇〇条〈削除〉の規定が憲法第一四条に違反するものでないことは既に当裁判所の判例とするところであり(昭和二四年(れ)第二一〇五号同二五年一〇月二五日大法廷判決、刑集四巻一〇号二一二六頁・昭和二八年(あ)第一一二六号同三二年二月二〇日大法廷判決、刑集二巻二号八二四頁)、今なおこれを変更すべきものとは認められないから論旨は理由がない。(この判決は第二小法廷裁判官―裁判官奥野健一、同山田作之助、同城戸芳彦、同石田和外にて構成―全員一致の意見にして本裁判要旨引用の大法廷判決の多数意見と同趣旨である。)
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和39年5月29日 昭和38(あ)3205
登載
集刑 第151号273頁
参照法条
刑法200条,憲法14条
論点66第200条刑法

一 刑法上の直系尊属にあたらないとされた事例
二 刑法上の直系尊属としての養親の解釈について、民法上の追認に関する法理を容れる余地の有無

裁判要旨一 戸籍上、被告人の養子縁組につき、その代諾権者とされている者が真実の親権者でないときは、右縁組は、適法な届出を欠くものとして、人事訴訟による確定または戸籍の訂正をまたず、無効であり、しかも、被告人が犯行前において右無効原因を認識して右縁組を追認したと認めることができないときは、被告人と事実上の養親との生活事実の如何にかかわりなく、本人たる被告人の無権代理行為の追認があつたと認める余地もないから、右事実上の養親は、刑法上、被告人の直系尊属にあたらないものと解すべきである。
二 一五歳未満の子の養子縁組に関する代諾者の法定代理権の欠缺は一種の無権代理と解し、満一五歳に達した養子は、法定代理人でない者が自己のため代諾した養子縁組を有効に御委任することができ、しかもこの追認は黙示で足り、その意思表示は満一五歳に達した養子から生存養親に対してなすべく、適法に追認がなされたときは縁組はこれにより当初から有効となるものと解するのが相当である(昭和二四年(オ)第二二九号同二七年一〇月三日第二小法廷判決、民集六巻九号七五三頁参照)。このことは、刑法上、直系尊属としての養親にあたるかどうかの解釈についても、少くとも犯罪行為以前における本人の追認に関する限りは、あてはまると考えられる。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和38年12月24日 昭和36(あ)2486
登載
刑集 第17巻12号2537頁
参照法条
刑法200条,民法797条,民法802条,民法113条,民法807条,民法119条
論点67第200条刑法

配偶者の直系尊属に対する殺人の規定(刑法第二〇〇条〈削除〉)と憲法第一四条。

裁判要旨配偶者の直系尊属に対する殺人の規定(刑法第二〇〇条〈削除〉)は憲法第一四条に違反しない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和35年1月19日 昭和34(あ)1857
登載
刑集 第14巻1号23頁
参照法条
刑法200条,憲法14条
論点68第200条刑法

刑法第二〇〇条〈削除〉は憲法第一四条に違反するか。

裁判要旨刑法第二〇〇条〈削除〉の規定は、憲法第一四条に違反しない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和34年4月2日 昭和33(あ)2414
登載
刑集 第13巻4号423頁
参照法条
憲法14条,刑法200条
論点69第200条刑法

刑法第二〇〇条〈削除〉にいわゆる配偶者の直系尊属の意義

裁判要旨刑法第二〇〇条〈削除〉にいわゆる配偶者の直系尊属とは、現に生存する配偶者の直系尊属を指すものと解するを相当とする。
裁判
最高裁判所大法廷 昭和32年2月20日 昭和28(あ)1126
登載
刑集 第11巻2号824頁
参照法条
刑法200条,憲法14条
論点70第200条刑法

妻を殺害し同一機会に更に妻の母を殺害せんとしたときと刑法第二〇〇条の罪責

裁判要旨妻を殺害したのと同一機会に、殺意をもつて妻の母にも加害したがその目的を遂げなかつた所為は、尊属殺人未遂罪にあたる。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和31年6月12日 昭和30(あ)4004
登載
刑集 第10巻6号810頁
参照法条
刑法200条,民法728条2項
論点71第200条刑法

刑法第二〇〇条〈削除〉の罪は犯人の身分により構成すべき犯罪か

裁判要旨刑法第二〇〇条〈削除〉の罪は、犯人の身分により構成すべき犯罪ではなく、単に卑属親たる身分があるがため、特にその刑を加重するに過ぎないものである。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和31年5月24日 昭和30(あ)3263
登載
刑集 第10巻5号734頁
参照法条
刑法200条,刑法65条
論点72第200条刑法

一 刑法第二〇〇条〈削除〉の犯罪成立後の民法改正と刑の変更
二 日本国憲法の施行に伴う民法の応急的措置に関する法律施行後も姻族関係は、夫婦の一方が死亡しただけで消滅するか

裁判要旨一 刑法第二〇〇条〈削除〉の犯罪成立後従来の民事法規によれば直系尊属であつた者が、かりにその改正によりその身分を失うに至つたとしても、かかる場合を、犯罪後の法律によりその刑に変更があつたときということはできない。
二 日本国憲法の施行に伴う民法の応急的措置に関する法律施行後も姻族関係は、夫婦の一方が死亡いただけでは消滅しない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和27年12月25日 昭和27(れ)34
登載
刑集 第6巻12号1442頁
参照法条
刑法200条,刑法6条,日本国憲法の施行に伴う民法の応急的措置に関する法律3条,日本国憲法の施行に伴う民法の応急的措置に関する法律附則1項,旧民法729条1項,新民法728条
論点73第200条刑法

尊属殺人の規定(刑法第二〇〇条〈削除〉)の合憲性(第一四条〈有期拘禁刑の加減の限度〉)

裁判要旨刑法第二〇〇条〈削除〉は、憲法第一四条に違反するものでないことは、当裁判所が昭和二五年あ第二九二号事件について、同年一〇月一一日言渡した大法廷判決の趣旨に徴して、明らかである。
裁判
最高裁判所大法廷 昭和25年10月25日 昭和24(れ)2105
登載
刑集 第4巻10号2126頁
参照法条
憲法14条,刑法200条
論点74第200条刑法

一 刑法第二〇五条第二項〈傷害致死〉の尊属傷害致死の規定は憲法第一四条に違反するか
二 憲法第一四条にいわゆる「法の下における平等」の意義と刑法における尊属殺人等の規定

裁判要旨一 刑法第二〇五条第二項〈傷害致死〉の規定は、新憲法実施後の今日においても、厳としてその効力を存続するものというべく、従つて本件において原審が被告人の尊属致死の所為を認定しながら、これに同法条の適用を拒定し、一般傷害致死に関する同法第二〇五条第一項を擬律処断したことは、憲法第一四条第一項の解釈を誤り、当然に適用すべき刑事法条を適用しなかつた違法があることに帰し本件上告はその理由があるのである。
二 おもうに憲法第一条が法の下における国民平等の原則を宣明し、すべて国民が人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会関係上差別的な取扱を受けない旨を規定したのは、人格の価値がすべての人間について同等であり、従つて人種、宗教、男女の性職業、社会的身分等の差異にもとずいて、あるいは特権を有し、あるいは特別に不利益な待遇を与えられてはならぬという大原則を示したものに外ならない。奴隷制や貴族等の特権が認められず、又新民法において妻の無能力制、戸主の特権的地位が廃止せられたごときは畢竟するにこの原則に基くものである。しかしながら、このことは法が、国民の基本的平等の原則の範囲内において、各人の年齢、自然的素質、職業、人と人との間の特別の関係等の各事情を考慮して、道徳正義、合目的性等の要請より適当な具体的規定をすることを妨げるものではない。刑法において尊属親に対する殺人、傷害致死等が一般の場合に比して重く罰せられているのは、法が子の親に対する道徳的義務をとくに重要視したものであり、これ道徳の要請にもとずく法にある具体的規定に外ならないのである。
裁判
最高裁判所大法廷 昭和25年10月11日 昭和25(あ)292
登載
刑集 第4巻10号2037頁
参照法条
憲法14条,刑法205条2項,刑法200条
論点75第201条刑法

一 明治二二年法律第三四号決闘に関する件第一条〈国内犯〉にいわゆる決闘応挑罪の成立時期
二 決闘の意義と殺意を以て決闘の準備をした者の罪責

裁判要旨一 明治二二年法律第三四号決闘に関する件第一条〈国内犯〉には「決闘ヲ挑ミタル者又ハ其挑ニ応ジタル者」と規定しているから決闘応挑罪が成立するには応挑の意思表示が挑発者の認識に到達することを必要とすることは明らかである。
二 決闘とは当事者間の合意により相互に身体又は生命を害すべき暴行をもつて争闘する行為を汎称するのであつて必ずしも殺人の意思をもつて争闘することを要するものではない。しかし、決闘にも殺人の意思をもつて為されるものもあり得るのであるからその場合には決闘の罪の外殺人の罪の成立することは前記決闘に関する法律第三条〈国民の国外犯〉に「決闘ニ依テ人ヲ殺傷シタル者ハ刑法ノ各本条ニ照シテ処断ス」とあるによつても明らかである。それゆえ殺人の意味をもつて決闘の準備をした場合には殺人予備罪が成立するものといわなければならない。原判決が判示第三の事実を殺人予備罪としたのは決闘をもつて直ちに殺し合いと即断したからではなく証拠によつて本件決闘については、殺人の意思であつたと認定した結果である。そして原判決の挙示する証拠によつて右の事実認定をすることができるのであるから原判決には所論のような違法なく論旨はいずれも理由がない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和26年3月16日 昭和24(れ)1511
登載
刑集 第5巻5号755頁
参照法条
明治22年法律34号決闘ニ関スル件1条,明治22年法律34号決闘ニ関スル件3条,刑法201条
論点76第203条刑法

障がい未遂と認むべき一事例

裁判要旨被告人の犯行完成の意力を抑圧した原因が、本件のように、犯罪の完成を妨害するに足る性質の障がいに基くものと認められる場合は、いわゆる中止未遂ではなく、障がい未遂にあたると解するを相当とする。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和32年9月10日 昭和30(あ)1418
登載
刑集 第11巻9号2202頁
参照法条
刑法43条但書,刑法203条
原

条文原文

原文ママ

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刑法 第199条(殺人) 詳細ページ
(殺人)
第百九十九条人を殺した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の拘禁刑に処する。
刑法 第200条 詳細ページ
第二百条削除
刑法 第201条(予備) 詳細ページ
(予備)
第二百一条第百九十九条の罪を犯す目的で、その予備をした者は、二年以下の拘禁刑に処する。ただし、情状により、その刑を免除することができる。
刑法 第202条(自殺関与及び同意殺人) 詳細ページ
(自殺関与及び同意殺人)
第二百二条人を教唆し若しくは幇助して自殺させ、又は人をその嘱託を受け若しくはその承諾を得て殺した者は、六月以上七年以下の拘禁刑に処する。
刑法 第203条(未遂罪) 詳細ページ
(未遂罪)
第二百三条第百九十九条及び前条の罪の未遂は、罰する。
出

一次情報

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