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罪/有価証券偽造の罪

有価証券偽造の罪の条文と、裁判所が付した判示事項から整理しています。

原文解釈このページは論点を軸に条文と判例を横断して整理したものです。論点の名称と構成は当サイトの整理であり、条文上の区分ではありません。リード文・要点・比較表も当サイトによる解釈です。条文原文と判例の判示事項・裁判要旨は転記です。

有価証券偽造の罪は、公債証書や会社の株券などの有価証券を偽造・変造したり虚偽の記入をしたりする行為(刑法162条)と、そうして作られた有価証券を行使・交付・輸入する行為(刑法163条)を処罰する規定です。取引や決算で有価証券を取り扱う実務担当者が、不正な証券にどう対応すべきかを判断する基礎になります。163条の罪は未遂であっても処罰される点に注意が必要です。

有価証券偽造の罪
条文行為対象物法定刑
162条1項偽造・変造公債証書・株券等の有価証券3月以上10年以下の拘禁刑
162条2項虚偽の記入有価証券3月以上10年以下の拘禁刑
163条1項行使・交付・輸入偽造等のある有価証券3月以上10年以下の拘禁刑
163条2項未遂—処罰する
  • いずれも「行使の目的」があることが成立の条件です
  • 163条1項の「交付」「輸入」は行使の目的がある場合に限られます
  • 163条2項により、163条1項の罪は未遂でも処罰されます
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有価証券偽造の罪

有価証券偽造の罪について、条文は何を定めているか。

第162条有価証券偽造等行使目的の偽造・変造・虚偽記入を処罰2項判例 22件
  • 公債証書・官庁証券・株券など有価証券の偽造・変造が対象
  • 行使の目的がある場合に限り成立する
  • 虚偽の記入をした場合も偽造・変造と同じ刑
  • 法定刑は3月以上10年以下の拘禁刑
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第163条偽造有価証券行使等偽造有価証券の行使・交付・輸入を処罰2項判例 8件
  • 偽造・変造・虚偽記入のある有価証券を行使すると成立
  • 行使目的での交付や輸入も対象になる
  • 未遂であっても処罰される
  • 法定刑は3月以上10年以下の拘禁刑
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論

主要な論点と判例

原文ママ

論点の見出しと結論は、裁判所が付した判示事項・裁判要旨をそのまま転記しています。文中の〈 〉内は条文の見出しを当サイトが補ったものです。

論点1第162条刑法

代表取締役である被告人が、被告人を取締役に選任する株主総会決議の効力を停止する仮処分決定送達後に、代表取締役名義で約手を振り出した行為につき、有価証券偽造罪の成立を認めた二審判決に対する上告が棄却された事例

裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和47年2月17日 昭和45(あ)471
登載
集刑 第183号193頁
参照法条
刑法162条1項
論点2第162条刑法

約束手形の金額を改ざんする行為は有価証券の偽造か変造か

裁判要旨行使の目的をもつてほしいままに、他人振出名義の約束手形の金額欄の数字を改ざんする行為は、有価証券の変造であつて、偽造ではない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和45年10月22日 昭和45(あ)1058
登載
集刑 第178号49頁
参照法条
刑法162条1項
論点3第162条刑法

漁業協同組合参事が上司の決裁を受けることなく組合長振出名義の融通手形を作成した行為につき有価証券偽造罪が成立するとされた事例

裁判要旨被告人が水産業協同組合法により支配人に関する商法の規定が準用される漁業協同組合参事であつても、同組合内部の定めとしては、同組合が融通手形として振り出す組合長振出名義の約束手形の作成権限はすべて専務理事に属するものとされ、被告人は単なる起案者、補佐役として右手形作成に関与していたにすぎない場合において、同人が組合長または専務理事の決裁・承認を受けることなく融通手形として組合長振出名義の約束手形を作成したときは、有価証券偽造罪が成立する。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和43年6月25日 昭和40(あ)2015
登載
刑集 第22巻6号490頁
参照法条
刑法162条1項,水産業協同組合法46条,商法38条1項,商法38条3項
論点4第162条刑法

有価証券の偽造に当るとされた事例。

裁判要旨A株式会社の社員ではあるが、同会社を代表または代理して同会社名義の約束手形を振出す権限のない甲野太郎が、約束手形の振出人欄に、「鹿児島市a町b A株式会社鹿児島出張所」および「甲野太郎」ときざんだゴム印をそれぞれ押し、かつ甲野太郎の名下に「甲野」ときざんだ丸印を押した約束手形を作成する行為は、有価証券の偽造に当る。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和40年6月3日 昭和40(あ)155
登載
刑集 第19巻4号431頁
参照法条
刑法162条1項
論点5第162条刑法

約束手形の振出行為が刑法第一六二条第一項の有価証券偽造罪にあたるとされた事例。

裁判要旨たとえ代理人が商法第五〇六条に基づく商行為の代理権として、本人の営業に関し手形振出の権限を有し、かつその相続人から右手形振出に対する同意を得ていた場合であつても、既に営業を廃止した後死亡した者の名義を用いて約束手形を振出す行為は、刑法第一六二条第一項〈有価証券偽造等〉の有価証券偽造罪にあたると解するべきである。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和39年12月25日 昭和37(あ)1572
登載
集刑 第153号979頁
参照法条
刑法162条1項,刑法506条
論点6第162条刑法

一個の約束手形の振出人欄の偽造と裏書人欄の虚偽記入との罪数の関係。

裁判要旨行使の目的をもつて、振出人欄に他人名義を冒用して約束手形を偽造し、かつその裏書人欄に他人名義を冒用して虚偽の記入をし、その表裏の記入を相合して裏書担保のある約束手形を作成したときは、これらの行為は包括的に刑法第一六二条第一項の有価証券偽造の一罪を構成する。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和38年5月30日 昭和37(あ)208
登載
刑集 第17巻4号492頁
参照法条
刑法162条1項,刑法162条2項
論点7第162条刑法

有価証券偽造罪が成立するとされた事例。

裁判要旨被告人が、設立準備中の会社である「甲株式会社」の発起人代表乙の承諾を得たとしても、右会社の設立前に行使の目的をもつて、振出人を「甲株式会社代表取締役乙」と表示、押印して、いかにも実在する右会社が振出したものと誤信させるような約束手形を作成するときは、架空の会社の代表資格を冒用したものとして、有価証券偽造罪が成立する。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和38年12月6日 昭和36(あ)2706
登載
刑集 第17巻12号2443頁
参照法条
刑法162条1項,商法57条
論点8第162条刑法

変造にかかる預金通帳による変造金額の払戻請求と詐欺罪成立の範囲

裁判要旨真実の預金額よりも多額に変造した預金通帳を行使して、払戻名義の下にその変造金額の交付を受けたときは、その全額につき詐欺罪が成立する。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和37年1月12日 昭和34(あ)810
登載
集刑 第141号1頁
参照法条
刑法246条1項,刑法162条,刑法163条
論点9第162条刑法

小切手の金額を改ざんする所為は有価証券の偽造か、変造か。

裁判要旨行使の目的を以てほしいままに、他人振出名義の小切手の金額欄の数字を改ざんする行為は、有価証券の変造であつて、偽造ではない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和36年9月26日 昭和36(あ)572
登載
刑集 第15巻8号1525頁
参照法条
刑法162条1項
論点10第162条刑法

株式申込証拠金領収書が刑法第一六二条の有価証券にあたるとされた事例。

裁判要旨本件A不動産株式会社増資新株式申込証拠金領収書は刑法一六二条所定の有価証券に当たる。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和34年7月14日 昭和27(あ)4689
登載
集刑 第130号551頁
参照法条
刑法162条,刑法159条
論点11第162条刑法

一 有価証券変造罪の成立する事例
二 刑訴法第四一一条第一号にあたらない事例
―有価証券の偽造と変造

裁判要旨一 行使の目的をもつて有効に成立している他人振出名義の小切手の金額欄の数字をインキ消で抹消した上、ほしいままに同欄に別の金額をあらたにペンで記入したときは、有価証券の偽造罪ではなく、その変造罪が成立する。
二 有価証券の変造にあたるものと解すべき場合に、第一審判決がこれを有価証券の偽造にあたると判示したとしても、判決を破棄する事由とはならない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和34年2月12日 昭和33(あ)1176
登載
集刑 第129号125頁
参照法条
刑法162条1項,刑訴法380条,刑訴法411条1号
論点12第162条刑法

昭和二六年の改正商法施行以前において増資新株式証拠金領収書を偽造する所為は刑法第一六二条の有価証券偽造罪を構成するか。

裁判要旨昭和二六年改正商法施行当時までは、証券取引界において、増資新株式証拠金領収書に白紙委任状の添付されたものは株式類似の証券的作用を営んでいたのであり、該領収書は刑法第一六二条の有価証券であると解するを相当とする。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和34年12月4日 昭和31(あ)2893
登載
刑集 第13巻12号3127頁
参照法条
刑法162条
論点13第162条刑法

いわゆる宝くじは刑法上の有価証券か

裁判要旨当せん金附証票法によつて発行させられた当せん金附証票である第四回東北自治宝くじは刑法第一六二条第一項にいう「有価証券」にあたる。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和33年1月16日 昭和31(あ)2441
登載
刑集 第12巻1号25頁
参照法条
当せん金附証票法2条,当せん金附証票法4条,当せん金附証票法11条,当せん金附証票法18条,刑法162条1項,刑法163条1項
論点14第162条刑法

一 刑法第一六二条〈有価証券偽造等〉にいわゆる「有価証券」の意義
二 電車定期乗車券の偽造と有価証券偽造罪

裁判要旨一 刑法第一六二条〈有価証券偽造等〉にいわゆる「有価証券」とは財産上の権利が証券に表示され、その表示された権利の行使につきその証券の占有を必要とするものをいい、その証券が取引上流通性を有すると否とは必ずしも問わないものと解すべきである。
二 電車定期乗車券の偽造は刑法第一六二条第一項の有価証券偽造罪を構成する。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和32年7月25日 昭和31(あ)4726
登載
刑集 第11巻7号2037頁
参照法条
刑法162条1項
論点15第162条刑法

刑法第一六二条第二項〈有価証券偽造等〉にいわゆる「虚偽ノ記入」の意義

裁判要旨刑法第一六二条第二項〈有価証券偽造等〉にいわゆる「虚偽ノ記入」とは、既成の有価証券に対すると否とを問わず、有価証券に真実に反する記載をするすべての行為をいう。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和32年1月17日 昭和28(あ)5589
登載
刑集 第11巻1号23頁
参照法条
刑法162条2項
論点16第162条刑法

いわゆる無記名定期預金証書偽造の罪の適条。

裁判要旨いわゆる無記名定期預金証書を偽造する所為は、私文書偽造の罪にあたる。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和31年12月27日 昭和31(あ)2114
登載
刑集 第10巻12号1798頁
参照法条
刑法159条,刑法162条
論点17第162条刑法

虚無人名義の約束手形の作成と有価証券偽造罪の成立

裁判要旨行使の目的を以て外形上一般人をして真正に成立したものと誤信せしめるに足りる程度に約束手形を偽造すれば、たとえ、その振出名義人が実在しない架空の者であつても、有価証券偽造罪は成立する。
裁判
最高裁判所大法廷 昭和30年5月25日 昭和28(あ)2587
登載
刑集 第9巻6号1080頁
参照法条
刑法162条1項
論点18第162条刑法

為替手形振出の記載に先立つて、虚偽の引受の記載をなすことと有価証券虚偽記入罪の成否

裁判要旨引受の記載が振出の記載に先立つてなされた場合であつても、結局正当に振出された為替手形に他人の署名を冐用して虚偽の引受に関する記載をなしたことに帰するのであるから有価証券虚偽記入罪に問擬した原判示は正当である。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和28年9月17日 昭和27(あ)5032
登載
集刑 第86号691頁
参照法条
刑法162条2項
論点19第162条刑法

一 外国貿易支払票(俗にドル・セント・クーポン)は刑法第一六二条第一項の「其ノ他ノ有価証券」にあたるか
二 有価証券偽造罪(刑法第一六二条〈有価証券偽造等〉)における有価証券

裁判要旨一 外国貿易支払票(俗にドル・セント・クーポン)は連合国の指令に基づき外国銀行が発行した弗表示の証券で、一般の外国人が日本国内においてこれと引換えに表示金額相当の物資の購入等をなし得るものであり、その流通は人的および場所的に制限せられているけれども、なお日本国内において事実上流通するものというを妨げないから、刑法第一六二条第一項〈有価証券偽造等〉にいわゆる「其ノ他ノ有価証券」にあたるものと解するを相当とする。
二 有価証券偽造罪における有価証券たるには、法律上一定の形式を必要としないものにあつては、必ずしも発行名義人の記載を要するものではなく、一見世人をして真正に成立した有価証券と誤信せしむべき外観を有するものであれば足りる。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和28年5月29日 昭和27(あ)3619
登載
刑集 第7巻5号1171頁
参照法条
刑法162条,刑法149条,刑法162条1項,明治38年法律66号外国ニ於テ流通スル貨幣紙幣銀行券偽造及模造ニ関スル法律1条,昭和24年政令389号1条
論点20第162条刑法

弗表示軍票は刑法第一四九条第一項の「内国ニ流通スル外国ノ紙幣」にあたるか

裁判要旨日本国内に駐留する米軍施設における交換の媒介物として発行されている弗表示軍票は、刑法第一四九条第一項〈外国通貨偽造及び行使等〉の「内国ニ流通スル外国ノ紙幣」にあたる。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和28年5月25日 昭和26(あ)2737
登載
刑集 第7巻5号1128頁
参照法条
刑法149条,刑法162条,明治38年法律66号外国ニ於テ流通スル貨幣紙幣銀行券偽造変造及模造ニ関スル法律1条。
論点21第162条刑法

テレホンカードの通話可能度数を権限なく改ざんして売り渡す行為と刑法162条1項・163条1項〈偽造有価証券行使等〉の罪の成否

裁判
最高裁判所第三小法廷 平成3年5月10日 平成2(あ)917
登載
集刑 第275号269頁
参照法条
刑法162条1項,刑法163条1項
論点22第162条刑法

一 テレホンカードと刑法一六二条、一六三条一項〈偽造有価証券行使等〉にいう「有価証券」
二 テレホンカードの磁気情報部分に記録された通話可能度数を権限なく改ざくする行為と刑法一六二条一項、一六三条一項にいう「変造」
三 変造されたテレホンカードをカード式公衆電話機に挿入して使用する行為と刑法一六二条、一六三条一項にいう「行使」

裁判要旨一 テレホンカードは、刑法一六二条〈有価証券偽造等〉、一六三条一項〈偽造有価証券行使等〉にいう「有価証券」に当たる。
二 テレホンカードの磁気情報部分に記録された通話可能度数を権限なく改ざんする行為は、刑法一六二条一項、一六三条一項にいう「変造」に当たる。
三 変造されたテレホンカードをカード式公衆電話機に挿入して使用する行為は、刑法一六二条、一六三条一項にいう「行使」に当たる。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成3年4月5日 平成2(あ)791
登載
刑集 第45巻4号171頁
参照法条
刑法162条,刑法163条1項
論点23第163条刑法

権限なく通話可能度数が改ざんされたテレホンカードを売り渡すために交付する行為と刑法163条1項の罪の成否

裁判
最高裁判所第三小法廷 平成3年6月21日 平成3(あ)360
登載
集刑 第258号13頁
参照法条
刑法163条1項
論点24第163条刑法

権限なく通話可能度数が改ざんされたテレホンカードを売り渡す行為と刑法163条1項の罪の成否

裁判
最高裁判所第三小法廷 平成3年5月10日 平成2(あ)1148
登載
集刑 第275号293頁
参照法条
刑法163条1項
論点25第163条刑法

権限なく通話可能度数が改ざんされたテレホンカードを売り渡す行為と刑法163条1項の罪の成否

裁判
最高裁判所第三小法廷 平成3年5月10日 平成2(あ)859
登載
集刑 第275号265頁
参照法条
刑法163条1項
論点26第163条刑法

権限なく通話可能度数が改ざんされたテレホンカードを売り渡す行為と刑法163条1項の罪の成否

裁判
最高裁判所第三小法廷 平成3年5月10日 平成3(あ)14
登載
集刑 第275号313頁
参照法条
刑法163条1項

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原

条文原文

原文ママ

e-Gov法令検索から取得した原文を、号・イロハまで省略せずに掲載しています。

刑法 第162条(有価証券偽造等) 詳細ページ
(有価証券偽造等)
第百六十二条行使の目的で、公債証書、官庁の証券、会社の株券その他の有価証券を偽造し、又は変造した者は、三月以上十年以下の拘禁刑に処する。
2行使の目的で、有価証券に虚偽の記入をした者も、前項と同様とする。
刑法 第163条(偽造有価証券行使等) 詳細ページ
(偽造有価証券行使等)
第百六十三条偽造若しくは変造の有価証券又は虚偽の記入がある有価証券を行使し、又は行使の目的で人に交付し、若しくは輸入した者は、三月以上十年以下の拘禁刑に処する。
2前項の罪の未遂は、罰する。
出

一次情報

原文ママ

条文は e-Gov法令検索、判例は裁判所ウェブサイトから取得しています。