論点1第174条刑法
一個の公然わいせつ行為を幇助したとされた事例
裁判要旨舞台上で演じられた男女二組のシヨーに照明をあてて公然わいせつの犯行を容易ならしめた所為は、一個の公然わいせつ行為を幇助したものである。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和56年7月17日 昭和56(さ)3
- 登載
- 刑集 第35巻5号563頁
- 参照法条
- 刑法62条1項,刑法174条
論点2第174条刑法
刑法第一七四条〈公然わいせつ〉および第一七五条〈わいせつ物頒布等〉にいう公然の意義
裁判要旨刑法
第一七四条〈公然わいせつ〉および
第一七五条〈わいせつ物頒布等〉にいう公然とは、不特定または多数の人が認識することのできる状態をいう。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和32年5月22日 昭和32(あ)441
- 登載
- 刑集 第11巻5号1526頁
- 参照法条
- 刑法174条,刑法175条
論点3第174条刑法
夜間密閉した部屋において数十名の客を相手になされた場合と公然猥褻罪の成否
裁判要旨原判決挙示の証拠によれば不特定多数の人を勧誘した結果各判示の日判示料亭において集まつたそれぞれ数十名の客の面前で判示の所為に及んだことが認められるので第一審判決事実認定の部にいわゆる数十名の客とは不特定の客の趣旨であると解せられ、従つて右所為がたとえ夜間一定の部屋を密閉してなされたとしても公然猥褻罪の成立を妨げるものではない。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和31年3月6日 昭和29(あ)1063
- 登載
- 集刑 第112号601頁
- 参照法条
- 刑法174条
論点4第174条刑法
公訴事実の同一性の認められる一事例
裁判要旨被告人は甲と共謀して昭和二五年九月一七日某劇場においてストリツプ・ガールA子をして伴奏曲にあわせ脚光を受けながら逐次着衣全部を脱ぎこれを両手にて腰部にあて舞台全面を踊りながら二回にわたり衣裳を脇にずらせ陰部を露出させ最後に舞台中央にて手にした衣裳を下にずり下げ陰部を示す等、猥褻な日本舞踊を踊らせこれを約二〇〇名の客に観覧させ以て猥褻のものを公然陳列したとの起訴状記載の事実(罰条、刑法
第一七五条〈わいせつ物頒布等〉記載)と被告人は甲と共謀して前同日同所において前記ストリツプ・ガールをして右伴奏曲にあわせて脚光を受け逐次着衣を脱ぎ且つ衣裳を両手で押えこれを左右に交互に振りつつ、多数観客の面前で踊りながら時折衣裳を脇にずらせ陰部を露出させる等猥褻な行為をなさしめたとの原判決認定の犯罪事実(刑法
第六一条第一項〈教唆〉第一七四条〈公然わいせつ〉適用)とは同一性を失わない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和30年7月1日 昭和28(あ)1772
- 登載
- 刑集 第9巻9号1769頁
- 参照法条
- 刑訴法256条,刑訴法312条,刑法174条,刑法175条
論点5第174条刑法
強制猥褻の訴因に対し、訴因変更手続を経ることなく公然猥褻の事実を認定した判決と刑訴第三七八条第三号後段
裁判要旨行為の公然性について何ら明示するところなく、単に被告人甲乙両名はS方二畳の間において、M女に対し暴行を加え、それぞれ猥褻の行為をなしたとの強制猥褻の訴因に対し、訴因の変更または追加の手続をなすことなく、飲食店S方において右S及び同店の客T外二名の面前で被告人甲乙両名はM女に対しそれぞれ公然猥褻の行為をなしたとの事実を認定した有罪判決は、審判の請求を受けない事件について判決をした違法があるものといわなければならない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和29年8月20日 昭和27(あ)4522
- 登載
- 刑集 第8巻8号1249頁
- 参照法条
- 刑法176条,刑法174条,刑訴法256条,刑訴法312条,刑訴法378条3号
論点6第174条刑法
一 劇場責任者と公然猥褻幇助罪の成立
二 公然猥褻被告事件において証人が演技を観覧した際の感想を述べることは自己の実験した事実に含まれるか
裁判要旨一 劇場責任者が、その劇場で公演されているストリツプ、シヨウを目撃し、その演技の内容が猥褻であると知りながら、劇場を引き続き使用されるときは、公然猥褻幇助罪が成立する。
二 公然猥褻被告事件において、証人が演技を観覧した際の感想を述べることは、自己の実験した事実の供述に当然包含される。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和29年3月2日 昭和27(あ)5293
- 登載
- 集刑 第93号59頁
- 参照法条
- 刑法174条,刑法62条,刑訴法156条
論点7第174条刑法
公然猥褻の行為にあたる事例
裁判要旨劇場で約二〇〇名の観客を前にし、舞台中央に巾約二米の薄い幕を垂下し、頭上に二〇〇燭光の電燈二個を点じ観客の方からその幕を透して、電燈の照明により十分その形、動作、肉体が透視できるようにした舞台の上に、女優が始めは全裸で紅絹の布切を胸の辺から垂らして持つた姿で立ち、開演するとその布切を下に落して全く一糸をまとわない裸体を観客の方に向け約1分三〇秒間或るポーズを取つて立つて居た行為は公然猥褻の行為をなしたものである。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和25年11月21日 昭和25(れ)882
- 登載
- 刑集 第4巻11号2355頁
- 参照法条
- 刑法174条
論点8第174条刑法
いわゆるSTR型によるDNA型鑑定の信用性を否定した原判決が破棄された事例
裁判要旨犯行現場で採取された精液様の遺留物について実施されたいわゆるSTR型によるDNA型鑑定について,15座位のSTR型の検出状況を分析した結果等に基づいて,遺留物が1人分のDNAに由来し,被告人のDNA型と一致するとした鑑定の信用性を否定し,被告人を無罪とした原判決は,同鑑定が遺留物を1人分のDNAに由来するとした理由の重要な点を見落とした上,科学的根拠を欠いた推測によって,鑑定の信用性の判断を誤り,重大な事実の誤認をしたというべきであり(判文参照),刑訴法411条3号により破棄を免れない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 平成30年5月10日 平成29(あ)882
- 登載
- 刑集 第72巻2号141頁
- 参照法条
- 刑法130条前段,刑法174条,刑訴法411条3号
論点9第174条刑法
1 電磁的記録を保管した記録媒体がサイバー犯罪に関する条約の締約国に所在し同記録を開示する正当な権限を有する者の合法的かつ任意の同意がある場合に国際捜査共助によることなく同記録媒体へのリモートアクセス及び同記録の複写を行うことの許否
2 警察官が日本国外に所在する蓋然性がある記録媒体にリモートアクセスをして電磁的記録を複写するなどして収集した証拠について証拠能力が肯定された事例
3 リモートアクセスによる電磁的記録の複写の処分を許可した捜索差押許可状の執行に当たり個々の電磁的記録につき内容を確認せずに複写することが許されるとされた事例
4 インターネット上の動画の投稿サイト及び配信サイトを管理・運営していた被告人両名に上記各サイト上におけるわいせつ電磁的記録記録媒体陳列罪及び公然わいせつ罪の各共同正犯が成立するとされた事例
裁判要旨1 電磁的記録を保管した記録媒体がサイバー犯罪に関する条約の締約国に所在し,同記録を開示する正当な権限を有する者の合法的かつ任意の同意がある場合に,国際捜査共助によることなく同記録媒体へのリモートアクセス及び同記録の複写を行うことは許される。
2 警察官が,(1)リモートアクセスによる電磁的記録の複写の処分を許可した捜索差押許可状記載の捜索場所においてコンピュータから記録媒体にリモートアクセスをして当該コンピュータの使用者のメールアドレスに係るメール等の電磁的記録を複写するなどし,(2)同所に所在するコンピュータの使用者からアカウントの付与を受けるなどして同所外のコンピュータからリモートアクセスをして電磁的記録の複写を行った場合,上記各リモートアクセスの対象である記録媒体が日本国外にあるか,その蓋然性が否定できないものであっても,(1)の手続は,コンピュータの使用者の任意の承諾に基づく任意捜査として適法であるとはいえず,サイバー犯罪に関する条約
32条〈時効の期間〉が規定する場合に該当するともいえないが,実質的には,司法審査を経て発付された同許可状に基づく手続ということができ,警察官は,同許可状の執行と同様の手続により,同許可状において差押え等の対象とされていた証拠を収集したものであって,同許可状が許可する処分の範囲を超えた証拠の収集等を行ったものとは認められず,警察官が,国際捜査共助によらずにコンピュータの使用者の任意の承諾を得てリモートアクセス等を行うという方針を採ったこと自体が不相当であるということはできない,(2)の手続についてのコンピュータの使用者の承諾の効力を否定すべき理由はないなど判示の事情の下においては,(1),(2)の各手続について重大な違法があるということはできず,警察官が各手続により収集した証拠の証拠能力を肯定することができる。
3 捜索差押許可状によるリモートアクセスによる複写の処分の対象となる電磁的記録に被疑事実と関連する情報が記録されている蓋然性が認められる場合において,差押えの現場における電磁的記録の内容確認の困難性や確認作業を行う間に情報の毀損等が生ずるおそれ等があるという事情の下においては,個々の電磁的記録について個別に内容を確認することなく複写の処分を行うことが許される。
4 インターネット上の動画の投稿サイト及び配信サイトを管理・運営していた被告人両名が,上記各サイトに投稿・配信された動画が無修正わいせつ動画であったとしても,これを利用して利益を上げる目的で,上記各サイトにおいて不特定多数の利用者の閲覧又は観覧に供するという意図の下,上記各サイトの仕組み等を通じて動画の投稿・配信を勧誘し,投稿者及び配信者らが,上記の働きかけを受け,同様の意図に基づき,上記各サイトのシステムに従って投稿又は配信を行ったものであり,わいせつ電磁的記録記録媒体陳列罪及び公然わいせつ罪は,上記投稿者らが無修正わいせつ動画を上記各サイトに投稿又は配信することによって初めて成立し,上記投稿者らも,被告人両名らによる上記勧誘及び上記各サイトの管理・運営行為がなければ,無修正わいせつ動画を不特定多数の者が認識できる状態に置くことがなかったなどの本件事実関係(判文参照)の下では,被告人両名について,上記投稿者らとの上記各罪の各共同正犯が成立する。
(1,2につき補足意見がある。)
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 令和3年2月1日 平成30(あ)1381
- 登載
- 刑集 第75巻2号123頁
- 参照法条
- (1~3につき)刑訴法99条2項,刑訴法218条2項 (1,2につき)サイバー犯罪に関する条約32条 (4につき)刑法60条,刑法174条,刑法175条1項前段
論点10第175条刑法
いわゆるビニ本写真誌の販売目的所持に対する刑法一七五条の適用を違憲とする主張が排斥された事例
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和61年10月21日 昭和59(あ)790
- 登載
- 集刑 第244号55頁
- 参照法条
- 憲法13条,憲法21条,刑法175条
論点11第175条刑法
刑法一七五条〈わいせつ物頒布等〉の規定が憲法二一条、三一条に違反しないとされた事例
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和60年4月12日 昭和59(あ)1564
- 登載
- 集刑 第239号277頁
- 参照法条
- 刑法175条,憲法21条,憲法31条
論点12第175条刑法
刑法一七五条〈わいせつ物頒布等〉と憲法一三条、二一条、三一条
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和59年9月21日 昭和58(あ)1546
- 登載
- 集刑 第238号33頁
- 参照法条
- 憲法13条,憲法21条,憲法31条,刑法175条
論点13第175条刑法
わいせつ図画販売目的所持の事案につき、懲役一〇月の実刑を科した原判決の量刑が維持された事例
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和59年2月15日 昭和58(あ)1544
- 登載
- 集刑 第234号779頁
- 参照法条
- 刑法25条1項,刑法175条,刑訴法411条2号
論点14第175条刑法
わいせつ図画販売、わいせつ図画販売目的所持
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和59年12月17日 昭和57(あ)165
- 登載
- 集刑 第238号345頁
- 参照法条
- 刑法175条
論点15第175条刑法
刑法一七五条〈わいせつ物頒布等〉が憲法二一条、三一条に違反しないとされた事例
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和58年7月15日 昭和57(あ)1121
- 登載
- 集刑 第231号853頁
- 参照法条
- 憲法21条,憲法31条,刑法175条
論点16第175条刑法
刑法一七五条〈わいせつ物頒布等〉が憲法一九条、二一条、三一条に違反しないとされた事例
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和58年3月8日 昭和57(あ)281
- 登載
- 集刑 第230号277頁
- 参照法条
- 憲法19条,憲法21条,憲法31条,刑法175条
論点17第175条刑法
刑法一七五条〈わいせつ物頒布等〉と憲法一三条、二一条、三一条
裁判要旨刑法
一七五条〈わいせつ物頒布等〉は、憲法一三条、二一条、三一条に違反しない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和58年10月27日 昭和57(あ)859
- 登載
- 刑集 第37巻8号1294頁
- 参照法条
- 刑法175条,憲法13条,憲法21条,憲法31条
論点18第175条刑法
刑法一七五条〈わいせつ物頒布等〉が憲法一三条、二一条に違反しないとされた事例
刑法一七五条の「猥褻」の概念が不明確である旨の憲法三一条〈刑の時効〉違反の主張が欠前提とされた事例(一、二につき補足意見がある)
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和58年10月27日 昭和57(あ)311
- 登載
- 集刑 第232号461頁
- 参照法条
- 憲法13条,憲法21条,憲法31条,刑法175条
論点19第175条刑法
未確定第一審判決におけるわいせつ性についての判断内容の捜査機関に対する拘束力
裁判要旨ある出版物が刑法一七五条にいうわいせつ文書図画にあたらないとした未確定第一審判決における判断内容は、法律上当然に捜査機関を拘束するものではない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和55年12月17日 昭和55(し)9
- 登載
- 刑集 第34巻7号721頁
- 参照法条
- 刑法175条,刑訴法218条
論点20第175条刑法
刑法一七五条〈わいせつ物頒布等〉が憲法二一条に違反しないとされた事例
原判決の説示が女性を不当に差別する思想に基づくとして違憲(憲法二四条二項違反)をいう主張が「欠前提」とされた事例
大審院判例を引用する判例違反の主張がすでに最高裁判所の判例があるとして不適法とされた事例―いわゆる「ふたりのラブジユース」事件ー
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和55年11月28日 昭和54(あ)690
- 登載
- 集刑 第220号331頁
- 参照法条
- 憲法21条,憲法24条2項,刑法175条,刑訴法405条3号
論点21第175条刑法
正犯を間接に幇助したものとして従犯の成立が認められた事例
裁判要旨被告人が、甲またはその得意先の者において不特定の多数人に観覧せしめるであろうことを知りながら、猥せつ映画フイルムを甲に貸与し、甲からその得意先である乙に右フイルムが貸与され、乙においてこれを映写し十数名の者に観覧させて公然陳列するに至つた場合、被告人の所為については、正犯たる乙の犯行を間接に幇助したものとして、従犯が成立する。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和44年7月17日 昭和43(あ)1889
- 登載
- 刑集 第23巻8号1061頁
- 参照法条
- 刑法62条1項,刑法175条
論点22第175条刑法
一 芸術的思想的価値のある文書と猥褻性
二 文書の部分についての猥褻性と文書全体との関係
三 憲法二一条二三条と公共の福祉
四 法律判断で無罪を言い渡した第一審判決を事実の取調をすることなく破棄し控訴裁判所がみずから有罪の判決をすることと刑訴法四〇〇条但書
裁判要旨一 芸術的・思想的価値のある文書であつても、これを猥褻性を有するものとすることはさしつかえない。
二 文書の個々の章句の部分の猥褻性の有無は、文書全体との関連において判断されなければならない。
三 憲法二一条の表現の自由や同法二三条の学問の自由は、絶対無制限なものではなく、公共の福祉の制限の下に立つものである。
四 第一審裁判所が法律判断の対象となる事実を認定し、法律判断だけで無罪を言い渡した場合には、控訴裁判所は、改めて事実の取調をすることなく、刑訴法四〇〇条但書によつて、みずから有罪の判決をすることができる。
- 裁判
- 最高裁判所大法廷 昭和44年10月15日 昭和39(あ)305
- 登載
- 刑集 第23巻10号1239頁
- 参照法条
- 刑法175条,憲法21条,憲法23条,刑訴法400条
論点23第175条刑法
日時場所を同じくする猥せつ図画販売罪と猥せつ図画販売目的所持罪との罪数。
裁判要旨原判決の是認した第一審判決は、判示第一、第二の行為を併合罪の関係にあるものとしているが、同判決の確定したところによれば、右第二の行為は、第一の行為と同時刻頃、同一場所においてなされており、そのような事実関係の下においては、刑法
第一七五条〈わいせつ物頒布等〉の猥せつ図画販売罪と猥せつ図画販売目的所持罪とは、包括一罪であると解するのが正当であつて、この点において第一審判決は違法たるを免れない。しかし、記録にあらわれた本件事案の内容および被告人の前科関係等の事情を考えると、右第一、第二の行為を包括一罪としても、被告人の本件犯行に対する量刑が不当に重いものとは認められない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和40年12月23日 昭和40(あ)921
- 登載
- 集刑 第157号495頁
- 参照法条
- 刑法175条,刑法45条,刑訴法411条
論点24第175条刑法
一 公然猥褻罪の罪数
二 近接して行われた同一場所における同一内容の公然猥褻罪の公訴事実の特定
三 刑法第五五条〈削除〉の廃止と意思継続にかかる行為の罪数
裁判要旨一 前後七回、各異る多数の観客に対して、露出した局部を観覧に供すれば七個の独立した公然猥褻罪が成立する。
二 引き続いた二日間にわたる計八回の同一場所における同一内容の演芸会に際し、うち一回を除いて他の七回は、いずれも露出した局部を観覧に供し公然猥褻の行為をしたという同一内容の七個の事実を起訴するにあたつては、各犯行の時間、回次まで摘示しなくても、一括して日時、場所、方法、回数を明らかにすれば、各犯罪事実の特定に欠けるところはない。
三 刑法
第五五条〈削除〉が廃止された後は、同一罪名に触れる数個の行為が、いわゆる意思継続があるというだけでは、一罪として処断しなければならないということはない。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和25年12月19日 昭和25(れ)1291
- 登載
- 刑集 第4巻12号2577頁
- 参照法条
- 刑法45条,刑法175条,刑法55条(廃止前),刑訴法256条
論点25第175条刑法
1 刑法175条1項〈わいせつ物頒布等〉後段にいう「頒布」の意義
2 顧客のダウンロード操作に応じて自動的にデータを送信する機能を備えた配信サイトを利用してわいせつな動画等のデータファイルを同人の記録媒体上に記録,保存させる行為と刑法175条1項後段にいうわいせつな電磁的記録の頒布
裁判要旨1 刑法
175条1項〈わいせつ物頒布等〉後段にいう「頒布」とは,不特定又は多数の者の記録媒体上に電磁的記録その他の記録を存在するに至らしめることをいう。
2 不特定の者である顧客によるダウンロード操作に応じて自動的にデータを送信する機能を備えた配信サイトを利用した送信により,わいせつな動画等のデータファイルを同人の記録媒体上に記録,保存させることは,刑法
175条1項後段にいうわいせつな電磁的記録の「頒布」に当たる。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 平成26年11月25日 平成25(あ)510
- 登載
- 刑集 第68巻9号1053頁
- 参照法条
- (1,2につき)刑法175条1項後段
論点26第175条刑法
1 刑法175条1項〈わいせつ物頒布等〉後段にいう「頒布」の意義
2 顧客のダウンロード操作に応じて自動的にデータを送信する機能を備えた配信サイトを利用してわいせつな動画等のデータファイルを同人の記録媒体上に記録,保存させる行為と刑法175条1項後段にいうわいせつな電磁的記録の頒布
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 平成26年11月25日 平成25(あ)574
- 登載
- 集刑 第315号187頁
- 参照法条
- (1,2につき)刑法175条1項後段
論点27第175条刑法
刑法175条〈わいせつ物頒布等〉と憲法13条,19条,21条,31条
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 平成26年10月7日 平成24(あ)1080
- 登載
- 集刑 第315号1頁
- 参照法条
- 憲法13条,憲法19条,憲法21条,憲法31条,刑法175条
論点28第175条刑法
1 児童ポルノを,不特定又は多数の者に提供するとともに,不特定又は多数の者に提供する目的で所持した場合の罪数
2 児童ポルノであり,かつ,刑法175条〈わいせつ物頒布等〉のわいせつ物である物を,不特定又は多数の者に販売して提供するとともに,不特定又は多数の者に販売して提供する目的で所持した行為が,全体として一罪とされた事例
裁判要旨1 児童ポルノを,不特定又は多数の者に提供するとともに,不特定又は多数の者に提供する目的で所持した場合,児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律
7条4項〈定義〉の児童ポルノ提供罪と同条5項の同提供目的所持罪とは併合罪の関係にある。
2 児童ポルノであり,かつ,刑法
175条〈わいせつ物頒布等〉のわいせつ物である物を,不特定又は多数の者に販売して提供するとともに,不特定又は多数の者に販売して提供する目的で所持した場合,わいせつ物販売と児童ポルノ提供,わいせつ物販売目的所持と児童ポルノ提供目的所持はそれぞれ観念的競合の関係に立つから,わいせつ物販売と同販売目的所持が包括して一罪を構成すると認められるときには,全体が一罪となる。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 平成21年7月7日 平成20(あ)1703
- 登載
- 刑集 第63巻6号507頁
- 参照法条
- (1,2につき)児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律7条4項,児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律7条5項 (1につき)刑法45条 (2につき)刑法54条1項,刑法175条
論点29第175条刑法
児童ポルノ・わいせつ物である光磁気ディスクを販売用コンパクトディスク作成に備えてのバックアップのために製造所持した行為について児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律(平成16年法律第106号による改正前のもの)7条2項〈定義〉の児童ポルノを販売する目的及び刑法175条後段にいう「販売の目的」があるとされた事例
裁判要旨児童の姿態に係る画像データを記憶,蔵置させて児童ポルノ・わいせつ物である光磁気ディスクを製造し,これを所持する行為は,販売用コンパクトディスク作成に備えてのバックアップのためのものである場合には,コンパクトディスク作成の際に児童の目の部分にぼかしを入れるなどの加工を施す意思であっても,児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律(平成16年法律第106号による改正前のもの)
7条2項〈定義〉にいう「前項に掲げる行為の目的」のうちの児童ポルノを販売する目的及び刑法
175条〈わいせつ物頒布等〉後段にいう「販売の目的」で行われたものということができる。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 平成18年5月16日 平成15(あ)1348
- 登載
- 刑集 第60巻5号413頁
- 参照法条
- 児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律(平成16年法律第106号による改正前のもの)7条1項,2項,刑法175条後段
論点30第175条刑法
1 わいせつな画像データを記憶,蔵置させたいわゆるパソコンネットのホストコンピュータのハードディスクと刑法175条〈わいせつ物頒布等〉のわいせつ物
2 刑法175条にいうわいせつ物を「公然と陳列した」の意義
3 いわゆるパソコンネットのホストコンピュータのハードディスクにわいせつな画像データを記憶,蔵置させる行為と刑法175条にいうわいせつ物の公然陳列
裁判要旨1 わいせつな画像データを記憶,蔵置させたいわゆるパソコンネットのホストコンピュータのハードディスクは,刑法
175条〈わいせつ物頒布等〉が定めるわいせつ物に当たる。
2 刑法
175条にいうわいせつ物を「公然と陳列した」とは,その物のわいせつな内容を不特定又は多数の者が認識できる状態に置くことをいい,わいせつな内容を特段の行為を要することなく直ちに認識できる状態にすることを要しない。
3 いわゆるパソコンネットのホストコンピュータのハードディスクにわいせつな画像データを記憶,蔵置させ,不特定多数の会員が自己のパソコンを使用して,この画像データをダウンロードした上,画像表示ソフトを用いて画像を再生閲覧することが可能な状態に置くことは,刑法
175条にいうわいせつ物を「公然と陳列した」ことに当たる。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 平成13年7月16日 平成11(あ)1221
- 登載
- 刑集 第55巻5号317頁
- 参照法条
- 刑法175条
論点31第175条刑法
刑法175条1項〈わいせつ物頒布等〉の規定が憲法21条1項に違反するとの主張が欠前提処理された事例
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 令和5年9月26日 令和4(あ)1407
- 登載
- 集刑 第332号219頁
- 参照法条
- 憲法21条1項、刑法175条1項
論点32第175条刑法
1 行為者によって頒布された電磁的記録又は電磁的記録に係る記録媒体について,芸術性・思想性等による性的刺激の緩和の有無・程度をも検討しつつ,刑法175条〈わいせつ物頒布等〉のわいせつな電磁的記録又はわいせつな電磁的記録に係る記録媒体に該当するか否かを判断するに当たっての検討及び判断の方法
2 刑法175条のわいせつな電磁的記録に該当する女性器の三次元形状データファイル又は同データが記録されたCD-Rを頒布した被告人の行為について,正当行為として違法性が阻却されるものではないとされた事例
裁判要旨1 行為者によって頒布された電磁的記録又は電磁的記録に係る記録媒体について,芸術性・思想性等による性的刺激の緩和の有無・程度をも検討しつつ,刑法
175条〈わいせつ物頒布等〉のわいせつな電磁的記録又はわいせつな電磁的記録に係る記録媒体に該当するか否かを判断するに当たっては,電磁的記録が視覚情報であるときには,同記録を視覚化したもののみを見て,これらの検討及び判断をするのが相当である。
2 刑法
175条のわいせつな電磁的記録に該当する女性器の三次元形状データファイル又は同データが記録されたCD-Rを頒布した被告人の行為は,女性器に対する卑わいな印象を払拭し,女性器を表現することを日常生活に浸透させたいという思想に基づくものであるということや,同データの頒布が被告人の作品制作に資金を提供する者に対し資金提供という方法で作品制作に参加する機会を与えるものであるということ,同データ又は同CD-Rの頒布がそれらの提供を受けた者に対し同データを加工して創作をする機会を与えるものであるということによって正当行為として違法性が阻却されるものではない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 令和2年7月16日 平成29(あ)829
- 登載
- 刑集 第74巻4号343頁
- 参照法条
- 憲法21条,憲法31条,刑法175条,刑法35条
論点33第176条刑法
接吻が強制猥褻にあたるとされた事例
裁判要旨被告人は被害者とは顔見知りの間柄に過ぎず、夜間自己の運転する自動車に帰宅途上の同女を同乗させ人通りの少ない場所を運転進行中やにわに接吻したいとの欲望にかられ、車内で極力抵抗する同女の右手をつかみ、左肩を押えつけるなどした上、同女の口に接吻したもので、被害者が被告人から接吻されてもよいと認める態度に出たとか、被告人において同女の同意を得られる事情があつたとかいう事実は認められない場合、被告人の接吻行為は強制猥褻行為にあたる。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和50年6月19日 昭和50(あ)144
- 登載
- 集刑 第196号653頁
- 参照法条
- 刑法176条
論点34第176条刑法
専ら報復または侮辱虐待の目的をもつて婦女を脅迫し裸にして撮影する行為と強制わいせつ罪の成否
裁判要旨強制わいせつ罪が成立するためには、その行為が犯人の性欲を刺戟興奮させまたは満足させるという性的意図のもとに行なわれることを要し、婦女を脅迫し裸にして、その立つているところを撮影する行為であつても、これが専らその婦女に報復し、または、これを侮辱し、虐待する目的に出たときは、強要罪その他の罪を構成するのは格別、強制わいせつの罪は成立しない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和45年1月29日 昭和43(あ)95
- 登載
- 刑集 第24巻1号1頁
- 参照法条
- 刑法176条
論点35第176条刑法
一三才未満の者に対しその反抗を著しく困難にさせる程度の脅迫を用いてわいせつ行為をした場合の擬律
裁判要旨一三才未満の者に対し、その反抗を著しく困難にさせる程度の脅迫を用いてわいせつの行為をした場合には、刑法
一七六条〈不同意わいせつ〉の前段と後段との区別なく右法条に該当する一罪が成立する。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和44年7月25日 昭和44(あ)649
- 登載
- 刑集 第23巻8号1068頁
- 参照法条
- 刑法176条
論点36第176条刑法
小学四年生の少女に対する強制わいせつ事件につき被告人が犯人であるとする右少女の供述等の信用性を肯定した原審の有罪判決が破棄され第一審の無罪判決が維持された事例
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 平成元年10月26日 昭和63(あ)130
- 登載
- 集刑 第253号167頁
- 参照法条
- 刑法176条後段,刑訴法411条3号
論点37第176条刑法
被告人が強姦及び強制わいせつの犯行の様子を隠し撮りした各デジタルビデオカセットが刑法19条1項2号〈没収 犯罪行為の用に供し、又は供しようとした物〉にいう「犯罪行為の用に供した物」に当たるとされた事例
裁判要旨被告人が強姦及び強制わいせつの犯行の様子を被害者に気付かれないように撮影し各デジタルビデオカセットに録画したのは,被害者にそれぞれその犯行の様子を撮影録画したことを知らせて,捜査機関に被告人の処罰を求めることを断念させ,刑事責任の追及を免れようとしたためであるという本件事実関係の下においては,当該各デジタルビデオカセットは刑法19条1項2号にいう「犯罪行為の用に供した物」に当たる。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 平成30年6月26日 平成29(あ)530
- 登載
- 刑集 第72巻2号209頁
- 参照法条
- 刑法19条1項2号,刑法(平成29年法律第72号による改正前のもの)176条,刑法(平成29年法律第72号による改正前のもの)177条
論点38第176条刑法
女子高校生に強いてわいせつな行為をして殺害したとして起訴された事案につき,目撃証言の信用性を否定するなどして事実誤認を理由に有罪(無期懲役)の第1審判決を破棄し無罪とした原判決が是認された事例(舞鶴女子高校生殺害事件)
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 平成26年7月8日 平成25(あ)169
- 登載
- 集刑 第314号99頁
- 参照法条
- 刑法9条,刑法181条1項,刑法176条前段,刑法199条,刑訴法382条,刑訴法397条1項,刑訴法411条3号
論点39第176条刑法
1 上告審における事実誤認の主張に関する審査の方法
2 満員電車内における強制わいせつ被告事件について,被害者とされた者の供述の信用性を全面的に肯定した第1審判決及び原判決の認定が是認できないとされた事例
裁判要旨1 上告審における事実誤認の主張に関する審査は,原判決の認定が論理則,経験則等に照らして不合理かどうかの観点から行うべきである。
2 被告人が満員電車内で女性Aに対して痴漢行為をしたとされる強制わいせつ被告事件について,被告人が一貫して犯行を否認しており,Aの供述以外にこれを基礎付ける証拠がなく,被告人にこの種の犯行を行う性向もうかがわれないという事情の下では,Aの供述の信用性判断は特に慎重に行う必要があり,Aの供述する被害状況に不自然な点があること(判文参照)などを勘案すると,Aの供述の信用性を全面的に肯定した第1審判決及び原判決の認定は不合理であり是認できない。
(2について補足意見,反対意見がある。)
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 平成21年4月14日 平成19(あ)1785
- 登載
- 刑集 第63巻4号331頁
- 参照法条
- (1,2につき)刑訴法411条3号 (2につき)刑法176条前段,刑訴法317条
論点40第177条刑法
一 刑法一七七条〈不同意性交等〉、一八一条〈不同意わいせつ等致死傷〉が憲法一三条、一四条、九九条に違反しないとされた事例
二 刑訴規則五五条一項〈削除〉にいう「裁判をした裁判官」の意義
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和60年3月19日 昭和59(あ)1111
- 登載
- 集刑 第239号139頁
- 参照法条
- 憲法13条,憲法14条,憲法99条,刑法177条,刑法181条,刑訴規則55条1項
論点41第177条刑法
自動車により婦女を他所へ連行したうえ強姦した場合につき婦女を自動車内に引きずり込もうとした時点において強姦罪の実行の着手があるとされた事例
裁判要旨被告人が、外一名と共謀のうえ、夜間一人で道路を通行中の婦女を強姦しようと企て、共犯者とともに、必死に抵抗する同女を被告人運転のダンプカーの運転席に引きずり込み、発進して同所から約五、八〇〇メートル離れた場所に至り、運転席内でこもごも同女を強姦した本件事実関係(判文参照)のもとにおいては、被告人が同女をダンプカーの運転席に引きずり込もうとした時点において強姦罪の実行の着手があつたものと解するのが相当である。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和45年7月28日 昭和45(あ)619
- 登載
- 刑集 第24巻7号585頁
- 参照法条
- 刑法43条,刑法177条,刑法179条
論点42第177条刑法
いわゆる輸姦の幇助者に対する訴追と告訴の要否
裁判要旨正犯につき刑法第一八〇条第二項の適用がある以上、その幇助者が現場に居合わせたか否かを問わず、これを訴追するについて告訴を要しない。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和43年10月15日 昭和42(あ)1930
- 登載
- 刑集 第22巻10号928頁
- 参照法条
- 刑法180条,刑法177条
論点43第177条刑法
強姦罪と身分のない者の加功。
裁判要旨女性が男性と共謀して、強姦の犯罪行為に加功した場合には、強姦罪の共同正犯が成立する。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和40年3月30日 昭和37(あ)2476
- 登載
- 刑集 第19巻2号125頁
- 参照法条
- 刑法177条,刑法60条,刑法65条1項
論点44第177条刑法
刑法第一八一条〈不同意わいせつ等致死傷〉所定の傷害と同法第二〇四条所定の傷害の差異。
裁判要旨軽微な傷でも、人の健康状態に不良な変更を加えたものである以上、刑法所定のいわゆる傷害に該当するものであつて、同法
第一八一条〈不同意わいせつ等致死傷〉所定の傷害を同法第二〇四条所定の傷害と別異に解釈すべき特段の事由は存しないこと、当裁判所の判例(昭和三四年(あ)第一六八六号同三七年八月二一日第三小法廷決定参照)の趣旨に徴し、明らかである。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和38年6月25日 昭和38(あ)572
- 登載
- 集刑 第147号507頁
- 参照法条
- 刑法181条,刑法204条,刑法177条前段
論点45第177条刑法
告訴権の抛棄。
裁判要旨強姦未遂の被害者の法定代理人は告訴権の抛棄をすることはできず、従つて右被害者の検察官に対する告訴は有効であるとする原判示は相当である。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和37年6月26日 昭和37(あ)399
- 登載
- 集刑 第143号205頁
- 参照法条
- 刑法177条,刑法179条,刑法180条,刑訴法230条,刑訴法231条,刑訴法237条
論点46第177条刑法
親告罪の告訴と起訴状記載の要否。
裁判要旨親告罪の告訴は、訴訟条件であつて、公訴事実に属しないから、被害者から告訴のあつたことを起訴状に記載する必要はない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和37年6月15日 昭和37(あ)613
- 登載
- 集刑 第143号159頁
- 参照法条
- 刑訴法256条2項,刑訴法230条,刑法177条,刑法180条
論点47第177条刑法
「オツトリ嫁」なる風習の違法性。
裁判要旨所論「オツトリ嫁」なる風習がいまなお存在しているとしても、右風習が、所論の如く、婚姻に同意しない婦女を婚姻の目的で略取し強いて姦淫する内容のものである限り、違法性を有することは、極めて明白である。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和35年5月26日 昭和35(あ)41
- 登載
- 集刑 第133号598頁
- 参照法条
- 刑法177条,刑法181条
論点48第177条刑法
刑法第一七七条〈不同意性交等〉の暴行又は脅迫の程度
裁判要旨刑法
第一七七条〈不同意性交等〉にいわゆる暴行脅迫は、その相手方の年令、性別、素行、経歴等やそれがなされた時間、場所の四囲の環境その他具体的事情の如何と相伴つて、相手方の抗拒を不能にし又はこれを著しく困難ならしめるものであれば足りると解すべきである
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和33年6月6日 昭和33(あ)32
- 登載
- 集刑 第126号171頁
- 参照法条
- 刑法177条
論点49第177条刑法
殺意ある者が犯した強姦致死の擬律
裁判要旨死亡の結果につき故意を有し、暴行を以つて婦女を姦淫し因つて死に致した所為は強姦致死罪および殺人の罪名に触れるものとする。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和31年10月25日 昭和31(あ)1219
- 登載
- 刑集 第10巻10号1455頁
- 参照法条
- 刑法177条,刑法181条,刑法199条,刑法54条1項
論点50第177条刑法
強姦未遂の際に加えられた暴行を単純暴行と認定した一事例
裁判要旨強姦未遂の際において加えられた暴行であつても検察官が単純なる暴行として起訴し、処罰したのは検察官も所論原判示二、三の行為については強姦の手段としての暴行と迄は認めなかつたのであり、裁判所もこれに従つたものと見なければならない。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和29年3月30日 昭和27(あ)5845
- 登載
- 集刑 第93号1003頁
- 参照法条
- 刑法177条,刑法179条,形法208条
論点51第177条刑法
刑法第一七条〈科料〉と憲法第一四条第一項
裁判要旨刑法
第一七条〈科料〉は憲法第一四条第一項に違反しない。
- 裁判
- 最高裁判所大法廷 昭和28年6月24日 昭和25(あ)3269
- 登載
- 刑集 第7巻6号1366頁
- 参照法条
- 刑法177条,憲法14条1項
論点52第177条刑法
一 強姦の実行着手時期
二 地方検察庁検察事務官の告訴受理権
裁判要旨一 被告人は婦女を誘惑して郊外に連れ出し、午後一〇時過頃、人家も稀れなお寺の境内に連れ込み、同所で同女を強姦しようと企て、突然同女の首を締めて境内の方へ押すようにしながら「大きな声をするな殺して逃げてしまえばそれまでだ」と申し向けて脅迫したというのであるから、たとい被告人に所論の如くいまだ猥褻行為に出でんとした直接の姿態がなかつたとしても、これを以て強姦の実行に着手したものというに妨げない。
二 刑訴応急措置法の適用される事件については、地方検察庁の検察事務官にも告訴を受理する権限がある。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和28年3月13日 昭和26(れ)1590
- 登載
- 刑集 第7巻3号529頁
- 参照法条
- 刑法177条,刑法179条,旧刑訴法272条,刑訴応急措置法19条,検察庁法27条
論点53第177条刑法
強姦罪について告訴がない場合に同罪の手段たる共同暴行のみを処罰することができるか
裁判要旨数人が婦女に対し共同して暴行を加え姦淫した事実が認められる場合に、強姦罪についての告訴が適法に取消されても同罪の手段たる共同暴行を暴力行為等処罰に関する法律
第一条〈国内犯〉違反として処罰することは違法ではない。
- 裁判
- 最高裁判所大法廷 昭和28年12月16日 昭和27(さ)1
- 登載
- 刑集 第7巻12号2550頁
- 参照法条
- 暴力行為等処罰に関する法律1条,刑法177条,刑法180条,旧刑訴法258条,旧刑訴法267条,旧刑訴法364条6号,旧刑訴法516条
論点54第177条刑法
強姦罪について告訴が適法に取消された場合に、同罪の手段たる共同暴行のみを処罰し得るか
裁判要旨数人が婦女に対し共同して暴行を加え姦淫した事実が認められるが、強姦罪について告訴が適法に取り消された場合、同罪の手段たる共同暴行を「暴力行為等処罰に関する法律」
第一条〈国内犯〉違反として処罰することは違法である。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和27年7月11日 昭和26(れ)1732
- 登載
- 刑集 第6巻7号896頁
- 参照法条
- 暴力行為等処罰に関する法律1条,刑法177条,刑法180条,刑法181条,旧刑訴法258条,旧刑訴法267条,旧刑訴法364条5号
論点55第177条刑法
一 旧労働組合法第一条第二項〈国内犯〉の規定の趣旨
二 被告人三名の姦淫により致傷の結果を生ぜしめた行為の罪数
裁判要旨一 しかし旧労働組合法
第一条第二項〈国内犯〉の規定は同条第一項の目的違反のためにした正当な行為についてのみ刑法第三五条の適用を認めたに過ぎず勤労者の団体交渉においても刑法所定の暴行罪又は脅迫罪にあたる行為が行われた場合にまでその適用があることを定めたものでないことは当裁判所の判例(昭和二二年(れ)第三一九号、同二四年五月一八日大法廷判決、判例集三巻六号七七二頁以下参照)とするところであるから原判決には所論のような違法はない。
二 姦淫行為は被告人等各自の姦淫行為であるけれども、因つて生じた致傷の結果は被告人等中の何者かが被害者の処女膜に裂傷を与えたという単一の傷害の結果を発生させたことに帰するものであつて、被告人等三名各自の行為に因る三個の傷害でないこと明白である。しかるに、原判決は三個の強姦致傷罪成立し被告人三名各自が三個の併合罪の責を負うべきものと解したのは失当である。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和27年12月25日 昭和24(れ)1505
- 登載
- 集刑 第71号487頁
- 参照法条
- 旧労働組合法(昭和24年6月法律174号による改正前のもの)1条,刑法35条,刑法181条,刑法177条,刑法45条
論点56第177条刑法
強姦致傷罪の事実を認定した原判決に対して為された、単純強姦罪の事実を前提とする弁護人の主張に対する判断の要否
裁判要旨所論は、弁護人は原審において「本件は単純強姦罪と認むべきであつて、被害者の告訴が取下げられた以上免訴すべきものである」旨公訴権消滅免訴の原由たる主張をしたから、原審はこれに対する判断を示すべきであつたにかかわらずこれを示さなかつた違法があると言うのである。しかしながら、右弁護人の主張は単純強姦罪の事実を前提とするものであるが、原判決は強姦致傷罪の事実を認定判示することによつて、単純強姦罪の事実を否認し、従つてこれを前提とする弁護人の主張全部を否定していることは明白であるから所論は理由がない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和27年12月18日 昭和24(れ)1410
- 登載
- 集刑 第70号619頁
- 参照法条
- 旧刑訴法360条2項,旧刑訴法410条19号,刑法177条,刑法180条,刑法181条
論点57第177条刑法
強姦致傷罪で納得ずくで関係したという主張と旧刑訴第三六〇条第二項
裁判要旨強姦致傷罪で、納得ずくで関係したという主張は、旧刑訴第三六〇条第二項にいわゆる犯罪の成立を阻却すべき原由たる事実上の主張に該当しない。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和27年11月18日 昭和27(れ)123
- 登載
- 刑集 第6巻10号1207頁
- 参照法条
- 刑法181条,刑法177条,旧刑訴法360条2項
論点58第177条刑法
一 暴行又は脅迫を以つて婦女の心神を喪失させ若しくは抗拒不能に爲して姦淫した行為の擬律
二 強姦の點が未遂に終つた強姦致死罪の擬律
三 驚愕によつて犯行を中止した場合と中止未遂
四 死因の確実性につき程度の差のある鑑定の結果を綜合して死因を確定することの適否
五 原審において從來の自白を飜した場合における同自白の任意性及び眞實性の有無と裁判所の自由裁量
裁判要旨一 刑法第一七七條は暴行又は脅迫を以つて婦女を姦淫した者は、強姦の罪として處罰するを規定し、次に同法第一七八條において、人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又はこれをして心神を喪失せしめ、若しくは抗拒不能ならしめて姦淫したる者についても、前條の例による旨を規定している。かかる法條の排列から見れば、苟しくも暴行又は脅迫を以つて婦女を姦淫した者は、前條に該當するのであつて從つてその暴行又は脅迫によつて、婦女をして心神を喪失せしめ、若しくは抗拒不能ならしめて姦淫した者も、また當然これに包含せられるものと解すべきである。
二 強姦致死罪は單一な刑法第一八一條の犯罪を構成するものであつて、強姦の點が未遂であるかどうか及びその未遂が中止未遂であるか障礙未遂であるかということは、單に情状の問題にすぎないのであつて、處斷刑に變更を來たすべき性質のものではにから、本罪に對しては刑法第一八一條を適用すれば足り、未遂減輕に關する同法第四三條本文又は但書を適用すべきものではない。
三 犯罪の実行に着手した後、驚愕によつて犯行を中止した場合においても、その驚愕の原因となつた諸般の状況が、被告人の犯意の遂行を思い止まらしめる障碍の事情として客観性のあるものと認められるときは、障碍未遂であつて中止未遂ではない。
四 致死罪において、甲鑑定人の窒息死と認めるという鑑定の結果と乙鑑定人の窒息死と認めるのが蓋然性が最も多いという鑑定の結果とを、他の証拠と綜合して被害者の死因を窒素死と認定しても、理由齟齬の違法があるとはいえない。
五 被告人が原審において從來の自白を飜し、右は被告人の眞意に出たものではないと辯解した場合に、右自白の任意性並びに眞實性について如何なる範圍において取調を行い、その供述のいづれを措信するかは凡て事實審たる原審の自由な判斷に委ねられているところである。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和24年7月9日 昭和23(れ)1252
- 登載
- 刑集 第3巻8号1174頁
- 参照法条
- 刑法177条,刑法178条,刑法43条,刑法181条,刑法179条,旧刑訴法337条,旧刑訴法410条19号,憲法38条3項,旧刑訴法337条
論点59第177条刑法
一 公判の公開と公判調書の記載
二 公開禁止の決定の効力
三 裁判官が「合議の上」裁判の公開を禁止した旨の公判調書の記載と憲法第八二條
四 強盗行爲に對し必死に反抗中の被害者から腕時計を奪取した行爲と強盗罪の成立
裁判要旨一 判決宣告期日の公判調書に、公開を禁じた旨の記載がない限り、判決の宣告は、公開法廷で行われたものと認めることができる。
二 審理が風俗を害する虞があるとして、裁判所が公判の公開を禁じた場合には、その公開禁止の効力は、結審後の判決宣告期日の公判には及ばないものと解すべきである。
三 裁判が公開の法廷において公正な裁判所によつてなさるべきことは所論のごとく憲法の明定するところである。ただ公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある場合には、裁判官の全員一致で對審を公開しないで行うことができることは、憲法第八二條第二項の定めているところである。そして、本件記録を調査すると(イ)所論のように「裁判長は合議の上爾後の審理は風俗を害する虞あるにより公開を禁止する旨を告げ非公開とした」との記載が昭和二二年九月三〇日の公判調書に明記されている。かくとごとく裁判所が非公開で審理をした場合には「裁判官の全員一致で」公の秩序又は善良の風俗を害する虞があると決定した旨を明確な表現で調書に記載しておくことが大切である。そこで本件調書に「合議の上」風俗を害する虞あるにより公開を禁止した旨を告げ非公開としたとの記載は嚴格にいえば稍不正確の嫌があるがしかしなお裁判所法にいわゆる評議を經て裁判官全員の意見が合致して非公開を決定したものと認め得るのである強いて所論のように評議の結果多數決をもつて公開を禁止したものと解すべき根據は全記録の何處にも見當らない。
四 判決宣告期日の公判調書に公開を禁じた旨の記載がない限り判決の宣告は、公開法廷で行われたものを認むべきである。
五 論旨は被害者が強姦行爲に對し力一杯反抗した證據と被害者が畏怖し抗拒不能となつているのに乘じて右手の腕時計をもぎ取つて強取した犯罪事實との間は重要な齟齬があるというのであるが、本件被害者は「ぐずぐずしておれば強姦され私の一生は臺無にされると思い私は力一杯の元氣を出して反抗しました處相手は私に馬乘りになつた儘左手にはめていた腕時計をもぎ取り」し旨を供述しているのであつて、婦人が強姦に對し本能的に強く反抗したからといつて前記状態において畏怖を感じ腕時計の強奪に對し抗拒不能であつたと原審が認定したことは常識上むしろ當然であつて毫も所論のような齟齬を存在しない。
- 裁判
- 最高裁判所大法廷 昭和23年6月23日 昭和22(れ)219
- 登載
- 刑集 第2巻7号680頁
- 参照法条
- 刑訴法60条2項4号,刑訴法64条,刑訴法410条7号,憲法82条,刑訴法60条2項4号,刑訴法64条,刑法177条,刑法236条
論点60第177条刑法
通行中の女性に対して暴行,脅迫を加えてビルの階段踊り場まで連行し,強いて姦淫したとされる強姦被告事件について,被害者とされた者の供述の信用性を全面的に肯定した第1審判決及び原判決の認定が是認できないとされた事例
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 平成23年7月25日 平成22(あ)509
- 登載
- 集刑 第304号139頁
- 参照法条
- 刑法177条前段,刑訴法317条,刑訴法411条3号
論点61第177条刑法
監禁,強姦事件につき,監禁罪の成立を認めた点で第一,二審判決には事実誤認があるとして破棄自判した事例
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 平成11年10月21日 平成11(あ)244
- 登載
- 集刑 第276号579頁
- 参照法条
- 刑法177条前段,刑法220条,刑訴法411条3号
論点62第178条刑法
強姦致死罪と認められる事例。
裁判要旨被告人らが被害者を強いて姦淫すべく、下半身を裸にして急激な寒冷にさらしたことを含む暴行行為により、異常体質者の被害者をシヨツク状態に陥らせ、且つ、被害者をすでに死亡したものと誤信して田圃に背負い出し放置して凍えさせた行動により相合して被害者を死に致したときは、包括的に一個の強姦致死罪が成立する。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和36年1月25日 昭和32(あ)1573
- 登載
- 刑集 第15巻1号266頁
- 参照法条
- 刑法181条,刑法178条,刑法179条,刑法60条
論点63第178条刑法
準強制わいせつ行為をした者が,わいせつな行為を行う意思を喪失した後に,逃走するため被害者に暴行を加えて傷害を負わせた場合について,強制わいせつ致傷罪が成立するとされた事例
裁判要旨就寝中の被害者にわいせつな行為をした者が,覚せいした被害者から着衣をつかまれるなどされてわいせつな行為を行う意思を喪失した後に,その場から逃走するため,被害者を引きずるなどした暴行は、上記準強制わいせつ行為に随伴するものであり、これによって被害者に傷害を負わせた場合には,強制わいせつ致傷罪が成立する。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 平成20年1月22日 平成19(あ)1223
- 登載
- 刑集 第62巻1号1頁
- 参照法条
- 刑法181条1項,刑法178条1項
論点64第178条刑法
準強制わいせつ被告事件について,公訴事実の事件があったと認めるには合理的な疑いが残るとして無罪とした第1審判決を事実誤認を理由に破棄し有罪とした原判決に,審理不尽の違法があるとされた事例
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 令和4年2月18日 令和2(あ)1026
- 登載
- 集刑 第330号11頁
- 参照法条
- 刑法178条1項,刑訴法411条1号,刑訴法413条本文
論点65第179条刑法
18歳未満の者を現に監護する者の身分のない者が同身分のある者と共謀して当該18歳未満の者に対し性交等をした場合における監護者性交等罪(令和5年法律第66号による改正前の刑法179条2項)の共同正犯の成否
裁判要旨18歳未満の者を現に監護する者(以下「監護者」という。)の身分のない者が、監護者と共謀して、監護者であることによる影響力があることに乗じて当該18歳未満の者に対し性交等をした場合、監護者の身分のない者には刑法65条1項の適用により監護者性交等罪(令和5年法律第66号による改正前の刑法179条2項)の共同正犯が成立する。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 令和7年1月27日 令和6(あ)753
- 登載
- 刑集 第79巻1号1頁
- 参照法条
- 刑法65条1項、刑法(令和5年法律第66号による改正前のもの)179条2項
論点66第180条刑法
控訴審において主張判断のない訴訟手続に関する主張を上告理由とすることの適否。
裁判要旨控訴審において主張判断のない訴訟手続に関する主張は、適法な上告理由とならない。
- 裁判
- 最高裁判所大法廷 昭和36年7月19日 昭和35(あ)1721
- 登載
- 刑集 第15巻7号1194頁
- 参照法条
- 刑訴法405条,刑法180条
論点67第181条刑法
強姦と被害者の負傷との間に因果関係が認められた事例
裁判要旨被害者の傷害が、共犯者の一名によつて強姦された後、さらに他の共犯者らによって強姦されることの危険を感じた被害者が、詐言を用いてその場をのがれ、暗夜人里離れた地理不案内な田舎道を数百米逃走し救助を求めるに際し、転倒などして受けたものである場合には、右傷害は強姦によって生じたものというを妨げない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和46年9月22日 昭和46(あ)1051
- 登載
- 刑集 第25巻6号769頁
- 参照法条
- 刑法181条
論点68第181条刑法
姦淫の手段である暴行により傷害を負わせた場合と強姦致傷罪の成立
裁判要旨婦女に対する姦淫行為自体によりその婦女に傷害を負わせた場合ばかりでなく、姦淫の手段である暴行によつて傷害を負わせた場合でも、刑法
第一八一条〈不同意わいせつ等致死傷〉の強姦致傷罪が成立する。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和43年9月17日 昭和43(あ)932
- 登載
- 刑集 第22巻9号862頁
- 参照法条
- 刑法181条
論点69第181条刑法
強姦の目的で暴行を加え婦女を死亡させた後の姦淫行為。
裁判要旨婦女を強姦する目的で暴行を加えその婦女を死亡させ、その直後姦淫したときは、姦淫行為が婦女の死亡後であるとしてもこれを包括して強姦致死罪と解すべきである。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和36年8月17日 昭和35(あ)242
- 登載
- 刑集 第15巻7号1244頁
- 参照法条
- 刑法181条
論点70第181条刑法
強姦(未遂)行為と致傷との間に因果関係ありとした事例。
裁判要旨一 原判決がその認定した事実関係の下において、本件強姦行為と致傷との間に因果関係あるものと判断したのは正当と認める。
二 (註。原判決の要旨)甲女は被告人から強姦されかかつたので、その難を避けるため、窮余気転を利かし、その際に被告人の手を逃れ、更に八畳の間を経て、二階屋根に出て、同所より二米七〇糎位下の地上に飛下り救を求めた。そのため同女は右地上降下の衝撃により治療一ケ月を要する腰椎打撲の障害を負うたものである。所論のように、たとえ同女が誤つて屋根から落ちたとしても、被告人の本件強姦(未遂)の所為と同女の右受傷との間には因果関係の存すること論をまたない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和35年2月11日 昭和34(あ)1399
- 登載
- 集刑 第132号201頁
- 参照法条
- 刑法181条
論点71第181条刑法
強姦致傷罪の未遂。
裁判要旨強姦に際し婦女に傷害の結果を与えれば、姦淫が未遂であつても強姦致傷罪の既遂となり、強姦致傷罪の未遂という観念を容れることはできない。従つて中止未遂の問題も生じ得ないわけである。(昭和二四年(れ)第九三三号、同年七月一二日第三小法廷判決、判例集三巻八号一二三七頁参照)
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和34年7月7日 昭和31(あ)2294
- 登載
- 集刑 第130号515頁
- 参照法条
- 刑法181条
論点72第181条刑法
強姦して処女膜裂傷を生ぜしめた場合と刑法第一八一条の罪の成立。
裁判要旨処女を強姦して処女膜裂傷(処女膜の左後方に粘膜下出血を伴う〇・五糎の裂創)を生ぜしめたときは、刑法
第一八一条〈不同意わいせつ等致死傷〉の強姦致傷罪が成立する。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和34年10月28日 昭和34(あ)1274
- 登載
- 刑集 第13巻11号3051頁
- 参照法条
- 刑法181条
論点73第181条刑法
刑訴法第四〇〇条但書に違反する一事例
裁判要旨強姦致傷の公訴事実について第一審が、単なる傷害罪と認定処断したのに対し、控訴審が何ら自ら事実の取調をしないで第一審判決を事実誤認があるとして破棄し、訴訟記録並びに第一審で取り調べた証拠のみによつて、直ちに強姦致傷の事実を認定処断することは、刑訴第四〇〇条但書に違反するものである。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和32年6月21日 昭和30(あ)2244
- 登載
- 刑集 第11巻6号1721頁
- 参照法条
- 刑法204条,刑法181条,刑訴法400条
論点74第181条刑法
一 日米安全保障条約第三条〈国民の国外犯〉に基く行政協定第一七条〈科料〉3(a)(ii)にいう「公務執行中」の意義
二 右行政協定第一七条3(a)(ii)にいう「公務執行中の作為又は不作為から生ずる罪」にあたらない一事例。
三 条約の解釈の誤と上告理由。
裁判要旨一 日米安全保障条約
第三条〈国民の国外犯〉に基く行政協定
第一七条〈科料〉3(a)(ii)にいう「公務執行中」とは、「公務執行の週程における」という意味であつて、「勤務時間中」と解すべきでない。
二 米国駐留軍所属の伍長が、駐留地の市内を巡回警らの任意の途中で乗用のジープから降りて、一般民家に侵入し、婦女を強姦しようとして障害を加えた場合には、右行政協定
第一七条3(a)(ii)にいう「公務執行中の作為又は不作為から生ずる罪」にあたらない。
三 条約の解釈、適用を非難するにすぎない主張は、刑訴第四〇五条の上告理由にあたらない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和30年3月3日 昭和29(あ)2439
- 登載
- 刑集 第9巻3号423頁
- 参照法条
- 日米安全保障条約3条に基く行政協定17条,刑法130条,刑法181条,憲法98条2項,刑訴法405条1号