民事保全法 / テーマ別まとめ

保全執行に関する手続/仮差押えの執行

仮差押えの執行の条文と、裁判所が付した判示事項から整理しています。

原文解釈このページは論点を軸に条文と判例を横断して整理したものです。論点の名称と構成は当サイトの整理であり、条文上の区分ではありません。リード文・要点・比較表も当サイトによる解釈です。条文原文と判例の判示事項・裁判要旨は転記です。

仮差押えの執行は、対象財産が不動産・船舶・動産・債権等のどれかによって、とるべき執行方法と管轄する保全執行裁判所が条文ごとに定められています。不動産・船舶では登記や強制管理・国籍証書等の取上げ、動産では執行官による占有、債権等では第三債務者への弁済禁止命令という方法をとります。債務者が仮差押解放金に相当する金銭を供託したことを証明すれば、保全執行裁判所は仮差押えの執行を取り消さなければなりません。

仮差押えの執行
対象財産執行方法保全執行裁判所備考
不動産登記または強制管理(併用可)仮差押命令を発した裁判所登記は裁判所書記官が嘱託
船舶登記または国籍証書等取上げ(併用可)登記→発令裁判所/取上げ→船舶所在地地裁―
動産執行官が目的物を占有―金銭は供託、著しい価額減少なら売却
債権・その他財産権第三債務者に弁済禁止命令仮差押命令を発した裁判所供託で解放金相当額とみなす
  • 不動産・船舶では登記と強制管理(または国籍証書等取上げ)を併用できる(47条1項・48条1項)
  • 強制管理の管理人は配当等に充てる金銭を供託し、保全執行裁判所に届け出る(47条4項)
  • 動産では引受・支払提示等を要する有価証券について支払われた金銭も供託対象(49条2項後段)
  • 動産に著しい価額減少のおそれや不相応な保管費用があるときは売却し、売得金を供託する(49条3項)
  • 第三債務者が供託した場合、解放金額に相当する部分は供託したものとみなす。超過部分は除く(50条3項)
  • 解放金供託による執行取消しの決定は、即時にその効力を生じる(51条2項)
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仮差押えの執行

仮差押えの執行について、条文は何を定めているか。

第47条不動産に対する仮差押えの執行不動産は登記か強制管理で執行する5項判例なし
  • 仮差押えの登記または強制管理のいずれかで執行し、併用もできる
  • 登記による執行は仮差押命令を発した裁判所が保全執行裁判所となる
  • 登記は裁判所書記官が嘱託する
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第48条船舶に対する仮差押えの執行船舶は登記か国籍証書等の取上げで執行する3項判例なし
  • 仮差押えの登記または船舶国籍証書等の取上げにより執行し、併用もできる
  • 登記による執行は発令裁判所、取上げによる執行は船舶所在地の地方裁判所が管轄する
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第49条動産に対する仮差押えの執行動産は執行官が占有して執行する4項判例なし
  • 執行官が目的物を占有する方法で執行する
  • 執行官は仮差押えに係る金銭を供託する
  • 著しい価額減少のおそれや不相応な保管費用があれば売却し売得金を供託する
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第50条債権及びその他の財産権に対する仮差押えの執行債権等は第三債務者への弁済禁止命令で執行する5項判例 4件
  • 保全執行裁判所が第三債務者に債務者への弁済を禁止する命令を発する方法による
  • 管轄は仮差押命令を発した裁判所
  • 第三債務者が供託すれば解放金相当額を供託したものとみなされる(超過分除く)
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第51条仮差押解放金の供託による仮差押えの執行の取消し解放金の供託を証明すれば執行を取り消す2項判例 1件
  • 定められた解放金額に相当する金銭の供託を証明すると保全執行裁判所は執行を取り消す
  • 取消しの決定は即時にその効力を生じる
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論

主要な論点と判例

原文ママ

論点の見出しと結論は、裁判所が付した判示事項・裁判要旨をそのまま転記しています。文中の〈 〉内は条文の見出しを当サイトが補ったものです。

論点1第50条民事保全法

第三債務者が仮差押命令の送達を受けた時点で仮差押えの対象となった債権の弁済のために取引銀行に対し先日付振込みの依頼をしていた場合において上記送達後にされた振込みによる弁済を仮差押債権者に対抗することの可否

裁判要旨債権者甲が債務者乙の第三債務者丙に対する金銭債権の仮差押えをした場合において,丙が,仮差押命令の送達を受けた時点で,既に当該仮差押えの対象となった債権の弁済のために取引銀行に対し他の金融機関の乙名義の預金口座に先日付振込みの依頼をしていたとしても,その振込入金が未了であったときは,丙は,人的又は時間的余裕がなく,振込依頼を撤回することが著しく困難であるなどの特段の事情がない限り,上記送達後にされた振込みによる弁済を甲に対抗することはできない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 平成18年7月20日 平成16(受)226
登載
民集 第60巻6号2475頁
参照法条
民法481条1項,民事保全法50条1項,民事保全法50条5項,民事執行法145条4項
論点2第50条民事保全法

債権に対する仮差押えの執行後に本執行がされた場合において仮差押えが取り下げられたときの仮差押えの執行後本執行前にされた被差押債権の弁済の差押債権者に対する効力

裁判要旨債権に対する仮差押えの執行後に本執行がされた場合において,仮差押命令及びその執行の申立てが取り下げられたときは,第三債務者は,仮差押えの執行後本執行前にした被差押債権の弁済をもって差押債権者に対抗することができる。
裁判
最高裁判所第二小法廷 平成14年6月7日 平成13(受)1662
登載
集民 第206号413頁
参照法条
民法481条,民事保全法50条,民訴法262条1項
論点3第50条民事保全法

いわゆる自動継続特約付きの定期預金債権に対する仮差押えの執行と同特約に基づく自動継続の成否

裁判要旨いわゆる自動継続特約付きの定期預金債権に対する仮差押えの執行がされても,同特約に基づく自動継続の効果は妨げられない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 平成13年3月16日 平成11(受)320
登載
集民 第201号441頁
参照法条
民法91条,民法666条,民事保全法50条1項
論点4第50条民事保全法

債権の仮差押えを受けた仮差押債務者がその後に第三債務者との間で当該債権の金額を確認する旨の示談をした場合において,当該債権に対する差押命令及び転付命令を得た仮差押債権者が第三債務者に対して当該示談で確認された金額を超える額の請求をすることができないとした原審の判断に違法があるとされた事例

裁判要旨債権の仮差押えを受けた仮差押債務者がその後に第三債務者との間で当該債権の金額を確認する旨の示談をした場合において,当該債権は不法行為に基づく損害賠償請求権であって不法行為の時点で具体的な金額を直ちに確定することができないものであり,当該示談はその金額を損害賠償金として社会通念上相当な額に確定したものであるとして,当該債権に対する差押命令及び転付命令を得た仮差押債権者が第三債務者に対して当該示談で確認された金額を超える額の請求をすることができないとした原審の判断には,違法がある。
裁判
最高裁判所第三小法廷 令和3年1月12日 令和1(受)1166
登載
集民 第265号1頁
参照法条
民事保全法50条1項
論点5第51条民事保全法

仮差押解放金の供託による仮差押えの執行の取消しと時効中断の効力

裁判要旨仮差押えによる時効中断の効力は、仮差押解放金の供託により仮差押えの執行が取り消された場合においても、なお継続する。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成6年6月21日 平成2(オ)1211
登載
民集 第48巻4号1101頁
参照法条
民法147条2号,民法157条1項,民事執行法(平成元年法律第91号による改正前のもの)179条,民事保全法51条
原

条文原文

原文ママ

e-Gov法令検索から取得した原文を、号・イロハまで省略せずに掲載しています。

民事保全法 第47条(不動産に対する仮差押えの執行) 詳細ページ
(不動産に対する仮差押えの執行)
第四十七条民事執行法第四十三条第一項に規定する不動産(同条第二項の規定により不動産とみなされるものを含む。)に対する仮差押えの執行は、仮差押えの登記をする方法又は強制管理の方法により行う。これらの方法は、併用することができる。
2仮差押えの登記をする方法による仮差押えの執行については、仮差押命令を発した裁判所が、保全執行裁判所として管轄する。
3仮差押えの登記は、裁判所書記官が嘱託する。
4強制管理の方法による仮差押えの執行においては、管理人は、次項において準用する民事執行法第百七条第一項の規定により計算した配当等に充てるべき金銭を供託し、その事情を保全執行裁判所に届け出なければならない。
5民事執行法第四十六条第二項、第四十七条第一項、第四十八条第二項、第五十三条及び第五十四条の規定は仮差押えの登記をする方法による仮差押えの執行について、同法第四十四条、第四十六条第一項、第四十七条第二項、第六項本文及び第七項、第四十八条、第五十三条、第五十四条、第九十三条から第九十三条の三まで、第九十四条から第百四条まで、第百六条並びに第百七条第一項の規定は強制管理の方法による仮差押えの執行について準用する。
民事保全法 第48条(船舶に対する仮差押えの執行) 詳細ページ
(船舶に対する仮差押えの執行)
第四十八条船舶に対する仮差押えの執行は、仮差押えの登記をする方法又は執行官に対し船舶の国籍を証する文書その他の船舶の航行のために必要な文書(以下この条において「船舶国籍証書等」という。)を取り上げて保全執行裁判所に提出すべきことを命ずる方法により行う。これらの方法は、併用することができる。
2仮差押えの登記をする方法による仮差押えの執行は仮差押命令を発した裁判所が、船舶国籍証書等の取上げを命ずる方法による仮差押えの執行は船舶の所在地を管轄する地方裁判所が、保全執行裁判所として管轄する。
3前条第三項並びに民事執行法第四十六条第二項、第四十七条第一項、第四十八条第二項、第五十三条及び第五十四条の規定は仮差押えの登記をする方法による仮差押えの執行について、同法第四十五条第三項、第四十七条第一項、第五十三条、第百十六条及び第百十八条の規定は船舶国籍証書等の取上げを命ずる方法による仮差押えの執行について準用する。
民事保全法 第49条(動産に対する仮差押えの執行) 詳細ページ
(動産に対する仮差押えの執行)
第四十九条動産に対する仮差押えの執行は、執行官が目的物を占有する方法により行う。
2執行官は、仮差押えの執行に係る金銭を供託しなければならない。仮差押えの執行に係る手形、小切手その他の金銭の支払を目的とする有価証券でその権利の行使のため定められた期間内に引受け若しくは支払のための提示又は支払の請求を要するものについて執行官が支払を受けた金銭についても、同様とする。
3仮差押えの執行に係る動産について著しい価額の減少を生ずるおそれがあるとき、又はその保管のために不相応な費用を要するときは、執行官は、民事執行法の規定による動産執行の売却の手続によりこれを売却し、その売得金を供託しなければならない。
4民事執行法第百二十三条から第百二十九条まで、第百三十一条、第百三十二条及び第百三十六条の規定は、動産に対する仮差押えの執行について準用する。
民事保全法 第50条(債権及びその他の財産権に対する仮差押えの執行) 詳細ページ
(債権及びその他の財産権に対する仮差押えの執行)
第五十条民事執行法第百四十三条に規定する債権に対する仮差押えの執行は、保全執行裁判所が第三債務者に対し債務者への弁済を禁止する命令を発する方法により行う。
2前項の仮差押えの執行については、仮差押命令を発した裁判所が、保全執行裁判所として管轄する。
3第三債務者が仮差押えの執行がされた金銭の支払を目的とする債権の額に相当する金銭を供託した場合には、債務者が第二十二条第一項の規定により定められた金銭の額に相当する金銭を供託したものとみなす。ただし、その金銭の額を超える部分については、この限りでない。
4第一項及び第二項の規定は、その他の財産権に対する仮差押えの執行について準用する。
5民事執行法第百四十五条第二項から第六項まで、第百四十六条から第百五十三条まで、第百五十六条(第三項を除く。)、第百六十四条第五項及び第六項並びに第百六十七条の規定は、第一項の債権及びその他の財産権に対する仮差押えの執行について準用する。
民事保全法 第51条(仮差押解放金の供託による仮差押えの執行の取消し) 詳細ページ
(仮差押解放金の供託による仮差押えの執行の取消し)
第五十一条債務者が第二十二条第一項の規定により定められた金銭の額に相当する金銭を供託したことを証明したときは、保全執行裁判所は、仮差押えの執行を取り消さなければならない。
2前項の規定による決定は、第四十六条において準用する民事執行法第十二条第二項の規定にかかわらず、即時にその効力を生ずる。
出

一次情報

原文ママ

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