会社更生法 / テーマ別まとめ

管財人/管財人の権限等

管財人の権限等の条文と、裁判所が付した判示事項から整理しています。

原文解釈このページは論点を軸に条文と判例を横断して整理したものです。論点の名称と構成は当サイトの整理であり、条文上の区分ではありません。リード文・要点・比較表も当サイトによる解釈です。条文原文と判例の判示事項・裁判要旨は転記です。

会社更生法72条から82条は、更生手続開始後に更生会社の経営と財産の管理処分を担う管財人について、どこまでの権限を持ち、どのような行為に裁判所の許可・承認が必要かを定めています。あわせて自己取引・競業の制限、注意義務、報酬、任務終了時の報告義務など、管財人の職務執行全般のルールを扱います。

管財人の権限等
項目内容根拠条文
経営・財産の管理処分権管財人に専属72条1項
裁判所許可が必要な行為処分・譲受・借財等10類型72条2項
無許可行為の効力無効(善意の第三者に対抗不可)72条3項
更生計画認可後監督のみに縮小可72条4項
自己取引許可なければ不可78条
競業取引裁判所の承認が必要79条
注意義務善管注意義務、連帯賠償責任80条
報酬等裁判所が定める報酬81条
任務終了時遅滞なく計算報告82条
  • 裁判所の許可対象は財産処分・借財・訴え提起など裁判所が指定した行為に限られる(72条2項)
  • 監督への切替は更生計画の定めまたは裁判所の決定によるもので、取消も可能(72条4項〜6項)
  • 財産関係訴訟の当事者適格は、機関が権限回復した期間中に新たに提起された訴えには及ばない(74条2項)
  • 郵便物等の管財人配達の嘱託は管財人の職務遂行に必要な場合に限られる(75条1項)
  • 競業の承認を得ず取引した場合、得た利益額は更生会社の損害額と推定される(79条3項)
  • 報酬等に関する規定は管財人代理及び法律顧問にも準用される(81条5項)
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管財人の権限等

管財人の権限等について、条文は何を定めているか。

第72条管財人の権限経営と財産管理処分権は管財人に専属7項・10号判例なし
  • 更生手続開始後、事業経営と財産管理処分の権利は管財人に専属する
  • 財産処分・借財・訴え提起など10類型は裁判所の許可が必要になり得る
  • 許可のない行為は無効(善意の第三者には対抗不可)
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第73条更生会社の業務及び財産の管理就職後直ちに業務財産管理に着手1項判例なし
  • 管財人は就職の後直ちに更生会社の業務及び財産の管理に着手する
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第74条当事者適格等財産関係の訴訟は管財人が当事者3項判例なし
  • 更生会社の財産関係の訴えは管財人を原告または被告とする
  • 機関が権限を回復した期間中に新たに提起された訴えには適用しない
  • 権限回復の決定が取り消された場合はその訴えに関する規定を準用する
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第75条郵便物等の管理裁判所が郵便物等の管財人配達を嘱託可5項判例なし
  • 職務遂行に必要なら裁判所が郵便事業者に管財人への配達を嘱託できる
  • 更生会社の申立てや職権で、管財人の意見を聴いて取消・変更できる
  • 更生手続終了時や機関の権限回復時は嘱託を取り消す
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第76条管財人は受け取った郵便物等を開封可2項判例なし
  • 管財人は更生会社あての郵便物等を受け取ったとき開いて見ることができる
  • 更生会社は管財人が受け取った郵便物等の閲覧を求めることができる
  • 更生会社財産に関しないものは交付を求めることができる
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第77条更生会社及び子会社に対する調査取締役等や子会社に報告・検査を要求可2項判例なし
  • 取締役・監査役・使用人等やその前任者に業務財産状況の報告を求められる
  • 更生会社の帳簿・書類その他の物件を検査できる
  • 職務に必要なら子会社にも報告要求・検査ができる
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第78条管財人の自己取引管財人の自己取引は裁判所の許可が必要2項判例 1件
  • 更生会社財産の譲受けや自己財産の譲渡など自己取引には許可が必要
  • 許可のない行為は無効(善意の第三者には対抗不可)
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第79条管財人の競業の制限管財人の競業には裁判所の承認が必要3項判例なし
  • 事業の部類に属する取引をする際は重要事実を開示し承認を受ける
  • 取引後遅滞なく重要事実を裁判所に報告する
  • 承認を得ず取引した場合、得た利益額は損害額と推定される
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第80条管財人の注意義務善管注意義務を怠ると連帯賠償責任2項判例なし
  • 管財人は善良な管理者の注意をもって職務を行う
  • 注意を怠ったときは利害関係人に連帯して損害を賠償する義務を負う
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第81条管財人の報酬等報酬は裁判所が決定、無許可取引は不支給5項判例なし
  • 管財人は費用の前払と裁判所が定める報酬を受けられる
  • 更生会社等への債権や株式等の譲受け・譲渡には裁判所の許可が必要
  • 許可を得ずに行うと費用及び報酬の支払を受けられない
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第82条任務終了の場合の報告義務等任務終了時は遅滞なく計算報告が必要4項判例なし
  • 任務終了後、管財人は遅滞なく裁判所に計算報告をする
  • 管財人が欠けたときは後任の管財人が計算報告をする
  • 急迫の事情があれば後任者等が管理できるまで必要な処分をする
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論

主要な論点と判例

原文ママ

論点の見出しと結論は、裁判所が付した判示事項・裁判要旨をそのまま転記しています。文中の〈 〉内は条文の見出しを当サイトが補ったものです。

論点1第78条会社更生法

旧会社更生法(平成14年法律第154号による改正前のもの)78条1項1号に該当する行為についてした否認の効果が及ぶ目的物の範囲

裁判要旨更生会社の管財人が旧会社更生法(平成14年法律第154号による改正前のもの)78条1項1号に該当する行為についてした否認の効果は,当該行為の目的物が複数で可分であったとしても,目的物すべてに及ぶ。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成17年11月8日 平成17(オ)153
登載
民集 第59巻9号2333頁
参照法条
旧会社更生法(平成14年法律第154号による改正前のもの)78条1項1号,会社更生法86条1項1号,民法424条1項
原

条文原文

原文ママ

e-Gov法令検索から取得した原文を、号・イロハまで省略せずに掲載しています。

会社更生法 第72条(管財人の権限) 詳細ページ
(管財人の権限)
第七十二条更生手続開始の決定があった場合には、更生会社の事業の経営並びに財産(日本国内にあるかどうかを問わない。第四項において同じ。)の管理及び処分をする権利は、裁判所が選任した管財人に専属する。
2裁判所は、更生手続開始後において、必要があると認めるときは、管財人が次に掲げる行為をするには裁判所の許可を得なければならないものとすることができる。
一財産の処分
二財産の譲受け
三借財
四第六十一条第一項の規定による契約の解除
五訴えの提起
六和解又は仲裁合意(仲裁法(平成十五年法律第百三十八号)第二条第一項に規定する仲裁合意をいう。)
七権利の放棄
八共益債権又は第六十四条第一項に規定する権利の承認
九更生担保権に係る担保の変換
十その他裁判所の指定する行為
3前項の許可を得ないでした行為は、無効とする。ただし、これをもって善意の第三者に対抗することができない。
4前三項の規定については、更生計画の定め又は裁判所の決定で、更生計画認可の決定後の更生会社に対しては適用しないこととすることができる。この場合においては、管財人は、更生会社の事業の経営並びに財産の管理及び処分を監督する。
5裁判所は、更生計画に前項前段の規定による定めがない場合において必要があると認めるときは、管財人の申立てにより又は職権で、同項前段の規定による決定をする。
6裁判所は、管財人の申立てにより又は職権で、前項の規定による決定を取り消すことができる。
7前二項の規定による決定があったときは、その旨を公告し、かつ、その裁判書を管財人及び更生会社に送達しなければならない。この場合においては、第十条第四項の規定は、適用しない。
会社更生法 第73条(更生会社の業務及び財産の管理) 詳細ページ
(更生会社の業務及び財産の管理)
第七十三条管財人は、就職の後直ちに更生会社の業務及び財産の管理に着手しなければならない。
会社更生法 第74条(当事者適格等) 詳細ページ
(当事者適格等)
第七十四条更生会社の財産関係の訴えについては、管財人を原告又は被告とする。
2前項の規定は、第七十二条第四項前段の規定により更生会社の機関がその権限を回復している期間中に新たに提起された更生会社の財産関係の訴えについては、適用しない。
3第五十二条第一項、第二項及び第六項の規定は、第七十二条第四項前段の規定による更生計画の定め又は裁判所の決定が取り消された場合における前項の訴えについて準用する。
会社更生法 第75条(郵便物等の管理) 詳細ページ
(郵便物等の管理)
第七十五条裁判所は、管財人の職務の遂行のため必要があると認めるときは、信書の送達の事業を行う者に対し、更生会社にあてた郵便物又は民間事業者による信書の送達に関する法律(平成十四年法律第九十九号)第二条第三項に規定する信書便物(以下「郵便物等」という。)を管財人に配達すべき旨を嘱託することができる。
2裁判所は、更生会社の申立てにより又は職権で、管財人の意見を聴いて、前項に規定する嘱託を取り消し、又は変更することができる。
3更生手続が終了したときは、裁判所は、第一項に規定する嘱託を取り消さなければならない。第七十二条第四項前段の規定により更生会社の機関がその権限を回復したときも、同様とする。
4第一項又は第二項の規定による決定及び同項の申立てを却下する裁判に対しては、更生会社又は管財人は、即時抗告をすることができる。
5第一項の規定による決定に対する前項の即時抗告は、執行停止の効力を有しない。
会社更生法 第76条 詳細ページ
第七十六条管財人は、更生会社にあてた郵便物等を受け取ったときは、これを開いて見ることができる。
2更生会社は、管財人に対し、管財人が受け取った前項の郵便物等の閲覧又は当該郵便物等で更生会社財産に関しないものの交付を求めることができる。
会社更生法 第77条(更生会社及び子会社に対する調査) 詳細ページ
(更生会社及び子会社に対する調査)
第七十七条管財人は、更生会社の取締役、会計参与、監査役、執行役、会計監査人、清算人及び使用人その他の従業者並びにこれらの者であった者並びに発起人、設立時取締役及び設立時監査役であった者に対して更生会社の業務及び財産の状況につき報告を求め、又は更生会社の帳簿、書類その他の物件を検査することができる。
2管財人は、その職務を行うため必要があるときは、更生会社の子会社(会社法第二条第三号に規定する子会社をいう。)に対してその業務及び財産の状況につき報告を求め、又はその帳簿、書類その他の物件を検査することができる。
会社更生法 第78条(管財人の自己取引) 詳細ページ
(管財人の自己取引)
第七十八条管財人は、裁判所の許可を得なければ、更生会社の財産を譲り受け、更生会社に対して自己の財産を譲り渡し、その他自己又は第三者のために更生会社と取引をすることができない。
2前項の許可を得ないでした行為は、無効とする。ただし、これをもって善意の第三者に対抗することができない。
会社更生法 第79条(管財人の競業の制限) 詳細ページ
(管財人の競業の制限)
第七十九条管財人は、自己又は第三者のために更生会社の事業の部類に属する取引をしようとするときは、裁判所に対し、当該取引につき重要な事実を開示し、その承認を受けなければならない。
2前項の取引をした管財人は、当該取引後、遅滞なく、当該取引についての重要な事実を裁判所に報告しなければならない。
3管財人が第一項の規定に違反して同項の取引をしたときは、当該取引によって管財人又は第三者が得た利益の額は、更生会社に生じた損害の額と推定する。
会社更生法 第80条(管財人の注意義務) 詳細ページ
(管財人の注意義務)
第八十条管財人は、善良な管理者の注意をもって、その職務を行わなければならない。
2管財人が前項の注意を怠ったときは、その管財人は、利害関係人に対し、連帯して損害を賠償する義務を負う。
会社更生法 第81条(管財人の報酬等) 詳細ページ
(管財人の報酬等)
第八十一条管財人は、費用の前払及び裁判所が定める報酬を受けることができる。
2管財人は、その選任後、更生会社若しくは更生計画の定めにより設立された会社に対する債権又は更生会社若しくは当該会社の株式若しくは持分を譲り受け、又は譲り渡すには、裁判所の許可を得なければならない。
3管財人は、前項の許可を得ないで同項に規定する行為をしたときは、費用及び報酬の支払を受けることができない。
4第一項の規定による決定に対しては、即時抗告をすることができる。
5前各項の規定は、管財人代理及び法律顧問について準用する。
会社更生法 第82条(任務終了の場合の報告義務等) 詳細ページ
(任務終了の場合の報告義務等)
第八十二条管財人の任務が終了した場合には、管財人は、遅滞なく、裁判所に計算の報告をしなければならない。
2前項の場合において、管財人が欠けたときは、同項の計算の報告は、同項の規定にかかわらず、後任の管財人がしなければならない。
3管財人の任務が終了した場合において、急迫の事情があるときは、管財人又はその承継人は、後任の管財人又は更生会社が財産を管理することができるに至るまで必要な処分をしなければならない。
4第二百三十四条第二号から第四号までに掲げる事由のいずれかが生じた場合には、第二百五十四条第六項又は第二百五十七条に規定する場合を除き、管財人は、共益債権を弁済しなければならない。ただし、その存否又は額について争いのある共益債権については、その債権を有する者のために供託をしなければならない。
出

一次情報

原文ママ

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