民事再生法 / テーマ別まとめ

共益債権、一般優先債権及び開始後債権

共益債権、一般優先債権及び開始後債権の条文と、裁判所が付した判示事項から整理しています。

原文解釈このページは論点を軸に条文と判例を横断して整理したものです。論点の名称と構成は当サイトの整理であり、条文上の区分ではありません。リード文・要点・比較表も当サイトによる解釈です。条文原文と判例の判示事項・裁判要旨は転記です。

民事再生手続では、発生原因や性質に応じて債権を共益債権・一般優先債権・開始後債権の3種類に区分し、弁済のタイミングや再生債権との優劣、強制執行等の扱いを分けています。共益債権と一般優先債権は再生手続によらず随時弁済され再生債権より優先しますが、開始後債権は弁済期間が満了するまで弁済等が禁止されます。

共益債権、一般優先債権及び開始後債権
種類主な発生原因弁済方法強制執行等の扱い
共益債権再生手続の費用・開始後の借入等随時弁済、再生債権に優先中止・取消しの申立て可
一般優先債権一般の先取特権等(共益債権除く)随時弁済共益債権の規定を準用
開始後債権開始後発生・共益等以外の請求権弁済期間満了まで弁済等禁止同期間は強制執行等不可
  • 共益債権の一部(120条・120条の2)は裁判所の許可・承認を得て初めて共益債権となる
  • 一般優先債権は共益債権に該当するものを除く
  • 強制執行等の中止・取消しに関する121条3項〜6項の規定は一般優先債権にも準用される
  • 開始後債権の弁済等禁止には免除は含まれない
  • 開始後債権に基づく強制執行等の禁止は再生計画の弁済期間満了時等まで続く
  • 優先権が一定期間内の債権額に存在する場合、その期間は再生手続開始時からさかのぼる
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共益債権、一般優先債権及び開始後債権

共益債権、一般優先債権及び開始後債権について、条文は何を定めているか。

第119条共益債権となる請求権共益債権となる請求権を列挙する1項・7号判例なし
  • 再生債権者共同の利益のための裁判費用など
  • 開始後の業務・生活・財産管理の費用も対象
  • 開始後の借入れ・事務管理・不当利得も含む
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第120条開始前の借入金等開始前の借入れ等を共益債権にできる4項判例なし
  • 裁判所の許可があれば開始前の借入れも共益債権に
  • 監督委員に許可の代行権限を与えられる
  • 保全管理人の借入れ等は当然に共益債権となる
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第120_2条社債管理者等の費用及び報酬社債管理者等の費用・報酬を共益債権に6項・5号判例なし
  • 裁判所の許可で社債管理の費用を共益債権にできる
  • 無許可でも再生に貢献すれば費用の一部を許可可
  • 開始後発生の報酬も相当額を許可で共益債権に
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第121条共益債権の取扱い共益債権は随時弁済し再生債権に優先6項判例 2件
  • 再生手続によらず随時弁済する
  • 再生債権より先に弁済される
  • 支障が大きければ裁判所が強制執行等の中止を命令可
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第122条一般優先債権一般の先取特権等は一般優先債権となる4項判例なし
  • 一般の先取特権等(共益債権除く)は一般優先債権
  • 随時弁済する
  • 期間限定の優先権は開始時からさかのぼり計算
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第123条開始後債権開始後の請求権は弁済等が禁止される3項判例なし
  • 共益・優先・再生債権以外の開始後発生の請求権
  • 弁済期間満了まで弁済等禁止(免除は除く)
  • 同期間は強制執行・仮差押え等の申立て不可
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論

主要な論点と判例

原文ママ

論点の見出しと結論は、裁判所が付した判示事項・裁判要旨をそのまま転記しています。文中の〈 〉内は条文の見出しを当サイトが補ったものです。

論点1第121条民事再生法

民事再生法上の共益債権に当たる債権につき,これが本来共益債権である旨の付記をすることもなく再生債権として届出がされ,この届出を前提として作成された再生計画案を決議に付する旨の決定がされた場合において,当該債権を再生手続によらずに行使することの許否

裁判要旨民事再生法上の共益債権に当たる債権を有する者は,当該債権につき再生債権として届出がされただけで,本来共益債権であるものを予備的に再生債権であるとして届出をする旨の付記もされず,この届出を前提として作成された再生計画案を決議に付する旨の決定がされた場合には,当該債権が共益債権であることを主張して再生手続によらずにこれを行使することは許されない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 平成25年11月21日 平成24(受)105
登載
民集 第67巻8号1618頁
参照法条
民事再生法85条1項,民事再生法94条1項,民事再生法95条,民事再生法121条1項,民事再生法121条2項,民事再生法154条1項,民事再生法169条,民事再生規則31条
論点2第121条民事再生法

求償権が再生債権である場合において共益債権である原債権を再生手続によらないで行使することの可否

裁判要旨弁済による代位により民事再生法上の共益債権を取得した者は,同人が再生債務者に対して取得した求償権が再生債権にすぎない場合であっても,再生手続によらないで上記共益債権を行使することができる。
(補足意見がある。)
裁判
最高裁判所第一小法廷 平成23年11月24日 平成22(受)1587
登載
民集 第65巻8号3213頁
参照法条
民法501条,民事再生法85条1項,民事再生法121条1項,民事再生法121条2項
原

条文原文

原文ママ

e-Gov法令検索から取得した原文を、号・イロハまで省略せずに掲載しています。

民事再生法 第119条(共益債権となる請求権) 詳細ページ
(共益債権となる請求権)
第百十九条次に掲げる請求権は、共益債権とする。
一再生債権者の共同の利益のためにする裁判上の費用の請求権
二再生手続開始後の再生債務者の業務、生活並びに財産の管理及び処分に関する費用の請求権
三再生計画の遂行に関する費用の請求権(再生手続終了後に生じたものを除く。)
四第六十一条第一項(第六十三条、第七十八条及び第八十三条第一項において準用する場合を含む。)、第九十条の二第五項、第九十一条第一項、第百十二条、第百十七条第四項及び第二百二十三条第九項(第二百四十四条において準用する場合を含む。)の規定により支払うべき費用、報酬及び報償金の請求権
五再生債務者財産に関し再生債務者等が再生手続開始後にした資金の借入れその他の行為によって生じた請求権
六事務管理又は不当利得により再生手続開始後に再生債務者に対して生じた請求権
七再生債務者のために支出すべきやむを得ない費用の請求権で、再生手続開始後に生じたもの(前各号に掲げるものを除く。)
民事再生法 第120条(開始前の借入金等) 詳細ページ
(開始前の借入金等)
第百二十条再生債務者(保全管理人が選任されている場合を除く。以下この項及び第三項において同じ。)が、再生手続開始の申立て後再生手続開始前に、資金の借入れ、原材料の購入その他再生債務者の事業の継続に欠くことができない行為をする場合には、裁判所は、その行為によって生ずべき相手方の請求権を共益債権とする旨の許可をすることができる。
2裁判所は、監督委員に対し、前項の許可に代わる承認をする権限を付与することができる。
3再生債務者が第一項の許可又は前項の承認を得て第一項に規定する行為をしたときは、その行為によって生じた相手方の請求権は、共益債権とする。
4保全管理人が再生債務者の業務及び財産に関し権限に基づいてした資金の借入れその他の行為によって生じた請求権は、共益債権とする。
民事再生法 第120_2条(社債管理者等の費用及び報酬) 詳細ページ
(社債管理者等の費用及び報酬)
第百二十条の二社債管理者又は社債管理補助者が再生債権である社債の管理に関する事務を行おうとする場合には、裁判所は、再生手続の目的を達成するために必要があると認めるときは、当該社債管理者又は社債管理補助者の再生債務者に対する当該事務の処理に要する費用の請求権を共益債権とする旨の許可をすることができる。
2社債管理者又は社債管理補助者が前項の許可を得ないで再生債権である社債の管理に関する事務を行った場合であっても、裁判所は、当該社債管理者又は社債管理補助者が再生債務者の事業の再生に貢献したと認められるときは、当該事務の処理に要した費用の償還請求権のうちその貢献の程度を考慮して相当と認める額を共益債権とする旨の許可をすることができる。
3裁判所は、再生手続開始後の原因に基づいて生じた社債管理者又は社債管理補助者の報酬の請求権のうち相当と認める額を共益債権とする旨の許可をすることができる。
4前三項の規定による許可を得た請求権は、共益債権とする。
5第一項から第三項までの規定による許可の決定に対しては、即時抗告をすることができる。
6前各項の規定は、次の各号に掲げる者の区分に応じ、それぞれ当該各号に定める債権で再生債権であるものの管理に関する事務につき生ずる費用又は報酬に係る請求権について準用する。
一担保付社債信託法(明治三十八年法律第五十二号)第二条第一項に規定する信託契約の受託会社同項に規定する社債
二医療法(昭和二十三年法律第二百五号)第五十四条の五に規定する社会医療法人債管理者又は同法第五十四条の五の二に規定する社会医療法人債管理補助者同法第五十四条の二第一項に規定する社会医療法人債
三投資信託及び投資法人に関する法律(昭和二十六年法律第百九十八号)第百三十九条の八に規定する投資法人債管理者又は同法第百三十九条の九の二第一項に規定する投資法人債管理補助者同法第二条第十九項に規定する投資法人債
四保険業法(平成七年法律第百五号)第六十一条の六に規定する社債管理者又は同法第六十一条の七の二に規定する社債管理補助者相互会社(同法第二条第五項に規定する相互会社をいう。)が発行する社債
五資産の流動化に関する法律(平成十年法律第百五号)第百二十六条に規定する特定社債管理者又は同法第百二十七条の二第一項に規定する特定社債管理補助者同法第二条第七項に規定する特定社債
民事再生法 第121条(共益債権の取扱い) 詳細ページ
(共益債権の取扱い)
第百二十一条共益債権は、再生手続によらないで、随時弁済する。
2共益債権は、再生債権に先立って、弁済する。
3共益債権に基づき再生債務者の財産に対し強制執行又は仮差押えがされている場合において、その強制執行又は仮差押えが再生に著しい支障を及ぼし、かつ、再生債務者が他に換価の容易な財産を十分に有するときは、裁判所は、再生手続開始後において、再生債務者等の申立てにより又は職権で、担保を立てさせて、又は立てさせないで、その強制執行又は仮差押えの中止又は取消しを命ずることができる。共益債権である共助対象外国租税の請求権に基づき再生債務者の財産に対し国税滞納処分の例によってする処分がされている場合におけるその処分の中止又は取消しについても、同様とする。
4裁判所は、前項の規定による中止の命令を変更し、又は取り消すことができる。
5第三項の規定による中止又は取消しの命令及び前項の規定による決定に対しては、即時抗告をすることができる。
6前項の即時抗告は、執行停止の効力を有しない。
民事再生法 第122条(一般優先債権) 詳細ページ
(一般優先債権)
第百二十二条一般の先取特権その他一般の優先権がある債権(共益債権であるものを除く。)は、一般優先債権とする。
2一般優先債権は、再生手続によらないで、随時弁済する。
3優先権が一定の期間内の債権額につき存在する場合には、その期間は、再生手続開始の時からさかのぼって計算する。
4前条第三項から第六項までの規定は、一般優先債権に基づく強制執行若しくは仮差押え又は一般優先債権を被担保債権とする一般の先取特権の実行について準用する。
民事再生法 第123条(開始後債権) 詳細ページ
(開始後債権)
第百二十三条再生手続開始後の原因に基づいて生じた財産上の請求権(共益債権、一般優先債権又は再生債権であるものを除く。)は、開始後債権とする。
2開始後債権は、再生手続が開始された時から再生計画で定められた弁済期間が満了する時(再生計画認可の決定が確定する前に再生手続が終了した場合にあっては再生手続が終了した時、その期間の満了前に、再生計画に基づく弁済が完了した場合又は再生計画が取り消された場合にあっては弁済が完了した時又は再生計画が取り消された時)までの間は、弁済をし、弁済を受け、その他これを消滅させる行為(免除を除く。)をすることができない。
3開始後債権に基づく再生債務者の財産に対する強制執行、仮差押え及び仮処分並びに財産開示手続及び第三者からの情報取得手続の申立ては、前項に規定する期間は、することができない。開始後債権である共助対象外国租税の請求権に基づく再生債務者の財産に対する国税滞納処分の例によってする処分についても、同様とする。
出

一次情報

原文ママ

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