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相続財産の破産等に関する特則/相続財産の破産

相続財産の破産の条文と、裁判所が付した判示事項から整理しています。

原文解釈このページは論点を軸に条文と判例を横断して整理したものです。論点の名称と構成は当サイトの整理であり、条文上の区分ではありません。リード文・要点・比較表も当サイトによる解釈です。条文原文と判例の判示事項・裁判要旨は転記です。

相続財産の破産は、被相続人が死亡した後に残った相続財産が相続債権者・受遺者への債務を完済できない場合に、相続財産自体を独立の財産として破産させる制度である。通常の破産手続に対する特則として、管轄・開始原因・申立権者・申立期間のほか、破産財団の範囲や相続債権者・受遺者・相続人それぞれの地位、否認権の扱いなどを定めている。実務上は、限定承認や財産分離の手続との関係にも注意が必要である。

相続財産の破産
項目内容
対象となる財産相続財産(相続債務超過の場合)
管轄裁判所被相続人の住所地の地方裁判所
開始原因相続財産で完済できないこと
申立てができる者相続債権者・受遺者・相続人・管理人等
申立期間財産分離請求ができる間
破産財団の範囲相続財産の全財産(国内外問わず)
相続債権者と受遺者の関係相続債権者が受遺者に優先
相続人の債権者の地位破産債権者として権利行使不可
限定承認・財産分離との関係破産開始決定は妨げないが手続は中止
  • 相続債権者又は受遺者が申立てるときは、債権の存在と破産原因事実の疎明が必要(224条2項1号)
  • 相続人・管理人・清算人・遺言執行者が申立てるときは、破産原因事実の疎明で足りる(224条2項2号)
  • 限定承認又は財産分離があったときは、相続債権者・受遺者への弁済完了までの間も申立てができる(225条ただし書)
  • 破産手続開始の申立て後に相続が開始した場合、相続開始後1か月以内に続行の申立てが必要(226条2項)
  • 限定承認又は財産分離の手続は、破産手続開始決定の取消・廃止確定又は終結決定があるまで中止する(228条ただし書)
  • 相続人が相続財産を処分した後に反対給付を受けていた場合、悪意でなければ現に受けている利益の返還で足りる(229条3項ただし書)
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相続財産の破産

相続財産の破産について、条文は何を定めているか。

第222条相続財産に関する破産事件の管轄破産事件の管轄裁判所を定める5項判例なし
  • 申立ては被相続人の住所か相続財産が国内にある場合に限り可能
  • 管轄は被相続人の相続開始時の住所地の地方裁判所
  • 管轄裁判所がなければ財産所在地(債権は請求可能地)が管轄
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第223条相続財産の破産手続開始の原因開始原因は相続財産で完済不能なこと1項判例なし
  • 通常の支払不能等でなく相続財産で完済できないことが要件
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第224条破産手続開始の申立て相続人・管理人等も申立てできる2項・2号判例なし
  • 相続債権者・受遺者のほか相続人・管理人・清算人・遺言執行者も申立て可
  • 相続債権者・受遺者は債権の存在と破産原因事実を疎明
  • 相続人等は破産原因事実の疎明で足りる
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第225条破産手続開始の申立期間申立てできる期間を限定1項判例なし
  • 民法941条1項の財産分離請求ができる間に限り申立て可
  • 限定承認・財産分離があれば弁済完了までの間も申立て可
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第226条破産手続開始の決定前の相続の開始申立て後に相続開始した場合の続行4項判例なし
  • 破産手続開始前に相続が開始したら続行決定ができる
  • 続行の申立ては相続開始後1か月以内
  • 1か月経過又は却下確定で手続終了
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第227条破産手続開始の決定後の相続の開始開始決定後の死亡でも手続を続行1項判例なし
  • 破産手続開始決定後に破産者が死亡したら相続財産で手続続行
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第228条限定承認又は財産分離の手続との関係限定承認・財産分離とは併存だが中止も1項判例なし
  • 破産手続開始決定は限定承認・財産分離を妨げない
  • 開始決定の取消・廃止確定又は終結決定までは限定承認等の手続は中止
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第229条破産財団の範囲相続財産の全部が破産財団になる3項判例なし
  • 国内外を問わず相続財産の全財産が破産財団
  • 被相続人が相続人に持っていた権利は消滅しない扱い
  • 相続人が財産処分後なら反対給付の権利・返還義務も破産財団へ
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第230条相続人等の説明義務等関係者に破産管財人等への説明義務3項・3号判例なし
  • 被相続人の代理人、相続人・代理人、管理人・清算人・遺言執行者に説明義務
  • 管財人・債権者委員会の請求、債権者集会の決議による請求が要件
  • 相続人等には財産開示等の規定(37条〈破産者の居住に係る制限〉・38条〈破産者の引致〉)も準用
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第231条相続債権者及び受遺者の地位相続人が破産しても全額参加可2項判例なし
  • 相続人が別に破産していても相続債権者・受遺者は債権全額で参加可
  • 相続債権者は受遺者に優先
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第232条相続人の地位相続人の被相続人への債権は存続扱い2項判例なし
  • 相続人が被相続人に持っていた権利は消滅しないものとみなす
  • 相続人は自己の財産で弁済等をすれば、その額の範囲で代位行使可
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第233条相続人の債権者の地位相続人の債権者は破産債権者になれない1項判例なし
  • 相続人の債権者は相続財産の破産手続で権利行使不可
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第234条否認権に関する規定の適用関係被相続人等の行為も否認対象1項判例なし
  • 被相続人・相続人・管理人・清算人・遺言執行者の行為は破産者の行為とみなす
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第235条受遺者に対する担保の供与等の否認受遺者優先の担保供与等は否認可能2項判例なし
  • 受遺者への担保供与・債務消滅行為が優先債権者を害するなら否認可
  • 否認後の受益者保護規定(167条2項〈否認権行使の効果〉)を読み替えて準用
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第236条否認後の残余財産の分配等否認後は相続債権者弁済後に残余分配1項判例なし
  • 行為が否認されたら、まず相続債権者に弁済
  • 残余があれば否認された相手方に権利の価額に応じ分配
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第237条破産債権者の同意による破産手続廃止の申立て廃止の同意申立ては相続人がする2項判例なし
  • 218条1項〈破産債権者の同意による破産手続廃止の決定〉の同意廃止申立ては相続人が行う
  • 相続人が複数なら各相続人が単独で申立て可
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原

条文原文

原文ママ

e-Gov法令検索から取得した原文を、号・イロハまで省略せずに掲載しています。

破産法 第222条(相続財産に関する破産事件の管轄) 詳細ページ
(相続財産に関する破産事件の管轄)
第二百二十二条相続財産についてのこの法律の規定による破産手続開始の申立ては、被相続人の相続開始の時の住所又は相続財産に属する財産が日本国内にあるときに限り、することができる。
2相続財産に関する破産事件は、被相続人の相続開始の時の住所地を管轄する地方裁判所が管轄する。
3前項の規定による管轄裁判所がないときは、相続財産に関する破産事件は、相続財産に属する財産の所在地(債権については、裁判上の請求をすることができる地)を管轄する地方裁判所が管轄する。
4相続財産に関する破産事件に対する第五条第八項及び第九項並びに第七条第五号の規定の適用については、第五条第八項及び第九項中「第一項及び第二項」とあるのは「第二百二十二条第二項及び第三項」と、第七条第五号中「同条第一項又は第二項」とあるのは「第二百二十二条第二項又は第三項」とする。
5前三項の規定により二以上の地方裁判所が管轄権を有するときは、相続財産に関する破産事件は、先に破産手続開始の申立てがあった地方裁判所が管轄する。
破産法 第223条(相続財産の破産手続開始の原因) 詳細ページ
(相続財産の破産手続開始の原因)
第二百二十三条相続財産に対する第三十条第一項の規定の適用については、同項中「破産手続開始の原因となる事実があると認めるとき」とあるのは、「相続財産をもって相続債権者及び受遺者に対する債務を完済することができないと認めるとき」とする。
破産法 第224条(破産手続開始の申立て) 詳細ページ
(破産手続開始の申立て)
第二百二十四条相続財産については、相続債権者又は受遺者のほか、相続人、相続財産の管理人、相続財産の清算人又は遺言執行者(相続財産の管理に必要な行為をする権利を有する遺言執行者に限る。以下この節において同じ。)も、破産手続開始の申立てをすることができる。
2次の各号に掲げる者が相続財産について破産手続開始の申立てをするときは、それぞれ当該各号に定める事実を疎明しなければならない。
一相続債権者又は受遺者その有する債権の存在及び当該相続財産の破産手続開始の原因となる事実
二相続人、相続財産の管理人、相続財産の清算人又は遺言執行者当該相続財産の破産手続開始の原因となる事実
破産法 第225条(破産手続開始の申立期間) 詳細ページ
(破産手続開始の申立期間)
第二百二十五条相続財産については、民法第九百四十一条第一項の規定により財産分離の請求をすることができる間に限り、破産手続開始の申立てをすることができる。ただし、限定承認又は財産分離があったときは、相続債権者及び受遺者に対する弁済が完了するまでの間も、破産手続開始の申立てをすることができる。
破産法 第226条(破産手続開始の決定前の相続の開始) 詳細ページ
(破産手続開始の決定前の相続の開始)
第二百二十六条裁判所は、破産手続開始の申立て後破産手続開始の決定前に債務者について相続が開始したときは、相続債権者、受遺者、相続人、相続財産の管理人、相続財産の清算人又は遺言執行者の申立てにより、当該相続財産についてその破産手続を続行する旨の決定をすることができる。
2前項に規定する続行の申立ては、相続が開始した後一月以内にしなければならない。
3第一項に規定する破産手続は、前項の期間内に第一項に規定する続行の申立てがなかった場合はその期間が経過した時に、前項の期間内に第一項に規定する続行の申立てがあった場合で当該申立てを却下する裁判が確定したときはその時に、それぞれ終了する。
4第一項に規定する続行の申立てを却下する裁判に対しては、即時抗告をすることができる。
破産法 第227条(破産手続開始の決定後の相続の開始) 詳細ページ
(破産手続開始の決定後の相続の開始)
第二百二十七条裁判所は、破産手続開始の決定後に破産者について相続が開始したときは、当該相続財産についてその破産手続を続行する。
破産法 第228条(限定承認又は財産分離の手続との関係) 詳細ページ
(限定承認又は財産分離の手続との関係)
第二百二十八条相続財産についての破産手続開始の決定は、限定承認又は財産分離を妨げない。ただし、破産手続開始の決定の取消し若しくは破産手続廃止の決定が確定し、又は破産手続終結の決定があるまでの間は、限定承認又は財産分離の手続は、中止する。
破産法 第229条(破産財団の範囲) 詳細ページ
(破産財団の範囲)
第二百二十九条相続財産について破産手続開始の決定があった場合には、相続財産に属する一切の財産(日本国内にあるかどうかを問わない。)は、破産財団とする。この場合においては、被相続人が相続人に対して有していた権利は、消滅しなかったものとみなす。
2相続人が相続財産の全部又は一部を処分した後に相続財産について破産手続開始の決定があったときは、相続人が反対給付について有する権利は、破産財団に属する。
3前項に規定する場合において、相続人が既に同項の反対給付を受けているときは、相続人は、当該反対給付を破産財団に返還しなければならない。ただし、相続人が当該反対給付を受けた当時、破産手続開始の原因となる事実又は破産手続開始の申立てがあったことを知らなかったときは、その現に受けている利益を返還すれば足りる。
破産法 第230条(相続人等の説明義務等) 詳細ページ
(相続人等の説明義務等)
第二百三十条相続財産について破産手続開始の決定があった場合には、次に掲げる者は、破産管財人若しくは債権者委員会の請求又は債権者集会の決議に基づく請求があったときは、破産に関し必要な説明をしなければならない。
一被相続人の代理人であった者
二相続人及びその代理人
三相続財産の管理人、相続財産の清算人及び遺言執行者
2前項の規定は、同項第二号又は第三号に掲げる者であった者について準用する。
3第三十七条及び第三十八条の規定は、相続財産について破産手続開始の決定があった場合における相続人並びにその法定代理人及び支配人について準用する。
破産法 第231条(相続債権者及び受遺者の地位) 詳細ページ
(相続債権者及び受遺者の地位)
第二百三十一条相続財産について破産手続開始の決定があった場合には、相続債権者及び受遺者は、相続人について破産手続開始の決定があったときでも、その債権の全額について破産手続に参加することができる。
2相続財産について破産手続開始の決定があったときは、相続債権者の債権は、受遺者の債権に優先する。
破産法 第232条(相続人の地位) 詳細ページ
(相続人の地位)
第二百三十二条相続財産について破産手続開始の決定があった場合には、相続人が被相続人に対して有していた権利は、消滅しなかったものとみなす。この場合においては、相続人は、被相続人に対して有していた債権について、相続債権者と同一の権利を有する。
2前項に規定する場合において、相続人が相続債権者に対して自己の固有財産をもって弁済その他の債務を消滅させる行為をしたときは、相続人は、その出えんの額の範囲内において、当該相続債権者が被相続人に対して有していた権利を行使することができる。
破産法 第233条(相続人の債権者の地位) 詳細ページ
(相続人の債権者の地位)
第二百三十三条相続財産について破産手続開始の決定があったときは、相続人の債権者は、破産債権者としてその権利を行使することができない。
破産法 第234条(否認権に関する規定の適用関係) 詳細ページ
(否認権に関する規定の適用関係)
第二百三十四条相続財産について破産手続開始の決定があった場合における第六章第二節の規定の適用については、被相続人、相続人、相続財産の管理人、相続財産の清算人又は遺言執行者が相続財産に関してした行為は、破産者がした行為とみなす。
破産法 第235条(受遺者に対する担保の供与等の否認) 詳細ページ
(受遺者に対する担保の供与等の否認)
第二百三十五条相続財産について破産手続開始の決定があった場合において、受遺者に対する担保の供与又は債務の消滅に関する行為がその債権に優先する債権を有する破産債権者を害するときは、当該行為を否認することができる。
2第百六十七条第二項の規定は、前項の行為が同項の規定により否認された場合について準用する。この場合において、同条第二項中「破産債権者を害すること」とあるのは、「第二百三十五条第一項の破産債権者を害すること」と読み替えるものとする。
破産法 第236条(否認後の残余財産の分配等) 詳細ページ
(否認後の残余財産の分配等)
第二百三十六条相続財産について破産手続開始の決定があった場合において、被相続人、相続人、相続財産の管理人、相続財産の清算人又は遺言執行者が相続財産に関してした行為が否認されたときは、破産管財人は、相続債権者に弁済をした後、否認された行為の相手方にその権利の価額に応じて残余財産を分配しなければならない。
破産法 第237条(破産債権者の同意による破産手続廃止の申立て) 詳細ページ
(破産債権者の同意による破産手続廃止の申立て)
第二百三十七条相続財産の破産についての第二百十八条第一項の申立ては、相続人がする。
2相続人が数人あるときは、前項の申立ては、各相続人がすることができる。
出

一次情報

原文ママ

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