破産法 / テーマ別まとめ

別除権

公的資料に現れる論点です。条文と判例から整理しています。

原文解釈このページは論点を軸に条文と判例を横断して整理したものです。論点の名称と構成は当サイトの整理であり、条文上の区分ではありません。リード文・要点・比較表も当サイトによる解釈です。条文原文と判例の判示事項・裁判要旨は転記です。

別除権は、特別の先取特権・質権・抵当権を持つ債権者が、破産手続によらずに目的財産から回収できる権利です。別除権者は原則として破産債権者としての手続には参加できず、担保でカバーしきれない不足額についてのみ破産債権として権利行使できます。破産管財人による目的財産の提示要求、処分期間の指定、中間配当への参加要件など、管財人と別除権者の間の手続的な調整ルールも定められています。

別除権
論点内容根拠条文
行使方法破産手続によらず行使できる65条1項
任意売却後の担保権財団を離れても存続すれば別除権65条2項
破産債権としての行使別除権で弁済を受けられない分のみ108条1項
途中で担保が外れた場合外れた分は全額を破産債権として行使可108条1項ただし書
財団外財産の担保権者等別除権者と同様に扱う108条2項
管財人の提示要求提示を求められ、評価も拒めない154条
処分期間の指定裁判所が期間指定、徒過で権利喪失185条
中間配当への参加除斥期間内に処分着手証明等が必要210条
  • 準別除権者にも中間配当の除斥に関する手続が準用される(210条2項)
  • 管財人が配当表を更正するのは証明・疎明があった場合(210条3項)
  • 185条の期間指定は、別除権者が法律に定められた方法によらずに処分する権利を持つ場合が対象
  • 185条の裁判には即時抗告ができ、裁判書は当事者に送達される
  • 更に破産手続開始があった場合の前の破産手続の破産債権者も108条2項と同様に扱われる
1

別除権

別除権について、条文は何を定めているか。

第65条別除権別除権は破産手続によらず行使できる2項判例 3件
  • 担保権者は破産手続の外で担保権を実行できる
  • 管財人が任意売却しても担保権が存続すれば別除権は残る
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第210条別除権者の除斥等中間配当に参加するには証明・疎明が必要3項判例なし
  • 除斥期間内に処分着手の証明と不足額の疎明が必要
  • 準別除権者にも同じ手続が適用される
  • 証明・疎明があれば管財人は配当表を直ちに更正する
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第108条別除権者等の手続参加破産債権として行使できるのは不足額のみ2項判例なし
  • 別除権で回収できない部分だけ破産債権として主張できる
  • 手続開始後に担保が外れた分は全額を破産債権にできる
  • 財団外財産の担保権者や前の破産手続の債権者も同様
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第154条別除権の目的の提示等管財人は担保目的物の提示・評価ができる2項判例なし
  • 管財人は別除権者に目的財産の提示を求められる
  • 管財人が評価しようとするとき別除権者は拒めない
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第185条別除権者が処分をすべき期間の指定裁判所が処分期間を定められる場合がある4項判例 2件
  • 法定外の方法で処分できる別除権者が対象
  • 期間内に処分しないと権利を失う
  • 決定には即時抗告ができ、裁判書は送達される
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論

主要な論点と判例

原文ママ

論点の見出しと結論は、裁判所が付した判示事項・裁判要旨をそのまま転記しています。文中の〈 〉内は条文の見出しを当サイトが補ったものです。

論点1第65条破産法

自動車の購入者と販売会社との間で当該自動車の所有権が売買代金債権を担保するため販売会社に留保される旨の合意がされ,売買代金債務の保証人が販売会社に対し保証債務の履行として売買代金残額を支払った後,購入者の破産手続が開始した場合において,保証人が留保所有権を別除権として行使することの可否

裁判要旨自動車の購入者と販売会社との間で当該自動車の所有権が売買代金債権を担保するため販売会社に留保される旨の合意がされ,売買代金債務の保証人が販売会社に対し保証債務の履行として売買代金残額を支払った後,購入者の破産手続が開始した場合において,その開始の時点で当該自動車につき販売会社を所有者とする登録がされているときは,保証人は,上記合意に基づき留保された所有権を別除権として行使することができる。
裁判
最高裁判所第一小法廷 平成29年12月7日 平成29(受)408
登載
民集 第71巻10号1925頁
参照法条
破産法49条,破産法65条1項,民法369条(所有権留保),民法500条,民法501条
論点2第65条破産法

破産管財人が破産者の締結していた建物賃貸借契約を合意解除した際に破産宣告後の未払賃料等に敷金を充当する旨の合意をして上記賃料等の現実の支払を免れたことにより敷金返還請求権の質権者に対し不当利得返還義務を負う場合において破産管財人が悪意の受益者であるとはいえないとされた事例

裁判要旨破産管財人が,破産者の締結していた建物賃貸借契約を合意解除するに際して破産宣告後の未払賃料等に敷金を充当する旨の合意をし,上記賃料等の現実の支払を免れたことにより,敷金返還請求権の質権者に対し不当利得返還義務を負う場合において,法律上の原因の有無が,破産債権者のために破産財団の減少を防ぐという破産管財人の職務上の義務と質権設定者が質権者に対して負う目的債権の担保価値を維持すべき義務との関係をどのように解するかによって結論の異なり得る問題であって,この点について論ずる学説や判例も乏しかったことや,破産管財人が上記合意をするにつき破産裁判所の許可を得ているという事情の下では,破産管財人を悪意の受益者であるということはできない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 平成18年12月21日 平成17(オ)184
登載
集民 第222号643頁
参照法条
民法362条,民法619条2項,民法703条,民法704条,旧破産法(平成16年法律第75号による廃止前のもの)47条7号,旧破産法(平成16年法律第75号による廃止前のもの)47条8号,旧破産法(平成16年法律第75号による廃止前のもの)49条,旧破産法(平成16年法律第75号による廃止前のもの)50条,旧破産法(平成16年法律第75号による廃止前のもの)95条,破産法65条,破産法148条1項7号,破産法148条1項8号,破産法151条
論点3第65条破産法

1 破産管財人が破産者の締結していた建物賃貸借契約を合意解除した際に賃貸人との間で破産宣告後の未払賃料等に敷金を充当する旨の合意をして質権の設定された敷金返還請求権の発生を阻害したことが質権設定者の質権者に対する目的債権の担保価値を維持すべき義務に違反するとされた事例
2 破産管財人が破産者の締結していた建物賃貸借契約を合意解除した際に賃貸人との間で破産宣告後の未払賃料等に敷金を充当する旨の合意をして質権の設定された敷金返還請求権の発生を阻害しても質権者に対して善管注意義務違反の責任を負うとはいえないとされた事例
3 破産管財人が破産者の締結していた建物賃貸借契約を合意解除した際に賃貸人との間で破産宣告後の未払賃料等に敷金を充当する旨の合意をして上記賃料等の現実の支払を免れた場合において破産管財人は敷金返還請求権の質権者に対して不当利得返還義務を負うとされた事例

裁判要旨1 破産管財人が,破産者の締結していた建物賃貸借契約を合意解除するに際し,賃貸人との間で破産宣告後の未払賃料等に破産者が差し入れていた敷金を充当する旨の合意をし,質権の設定された敷金返還請求権の発生を阻害したことは,当時破産財団に上記賃料等を支払うのに十分な銀行預金が存在しており,これを現実に支払うことに支障がなかったなど判示の事情の下では,質権設定者の質権者に対する目的債権の担保価値を維持すべき義務に違反する。
2 破産管財人が,破産者の締結していた建物賃貸借契約を合意解除するに際して賃貸人との間で破産宣告後の未払賃料等に破産者が差し入れていた敷金を充当する旨の合意をし,質権の設定された敷金返還請求権の発生を阻害したことが,質権設定者の質権者に対する目的債権の担保価値を維持すべき義務に違反する場合であっても,その義務違反の有無が,破産債権者のために破産財団の減少を防ぐという破産管財人の職務上の義務と質権設定者が質権者に対して負う上記義務との関係をどのように解するかによって結論の異なり得る問題であって,この点について論ずる学説や判例も乏しかったことや,破産管財人が上記合意をするにつき破産裁判所の許可を得ているという事情の下では,破産管財人は,質権者に対し,善管注意義務違反の責任を負うということはできない。
3 破産管財人が,破産者の締結していた建物賃貸借契約を合意解除するに際し,賃貸人との間で破産宣告後の未払賃料等に破産者が差し入れていた敷金を充当する旨の合意をし,上記賃料等の現実の支払を免れた場合において,当時破産財団には上記賃料等を支払うのに十分な銀行預金が存在しており,これを現実に支払うことに支障がなかったなど判示の事情の下では,破産管財人は,敷金返還請求権の質権者に対し,敷金返還請求権の発生が阻害されたことにより優先弁済を受けることができなくなった金額につき不当利得返還義務を負う。
(2につき補足意見がある。)
裁判
最高裁判所第一小法廷 平成18年12月21日 平成17(受)276
登載
民集 第60巻10号3964頁
参照法条
(1〜3につき)民法362条,民法619条2項,旧破産法(平成16年法律第75号による廃止前のもの)47条7号,8号,旧破産法(平成16年法律第75号による廃止前のもの)49条,旧破産法(平成16年法律第75号による廃止前のもの)50条,旧破産法(平成16年法律第75号による廃止前のもの)95条,破産法65条1項,破産法148条1項7号,8号,破産法151条
論点4第185条破産法

破産管財人は建物保護ニ関スル法律第一条〈目的〉の第三者にあたるか

裁判要旨破産者から建物所有の目的で土地を賃借した者に対する関係で、破産管財人は、建物保護ニ関スル法律第一条〈目的〉の第三者にあたる。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和48年2月16日 昭和46(オ)851
登載
集民 第108号215頁
参照法条
破産法157条,破産法162条,破産法185条,建物保護ニ関スル法律1条
論点5第185条破産法

破産管財人は民法第一七七条および信託法第三条の第三者にあたるか。

裁判要旨破産者と信託契約をした者に対する関係で、破産管財人は、民法第一七七条および信託法第三条の第三者にあたる。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和38年7月30日 昭和36(オ)153
登載
集民 第67号175頁
参照法条
破産法157条,破産法162条,破産法185条,民法177条,信託法3条
原

条文原文

原文ママ

e-Gov法令検索から取得した原文を、号・イロハまで省略せずに掲載しています。

破産法 第65条(別除権)
(別除権)
第六十五条別除権は、破産手続によらないで、行使することができる。
2担保権(特別の先取特権、質権又は抵当権をいう。以下この項において同じ。)の目的である財産が破産管財人による任意売却その他の事由により破産財団に属しないこととなった場合において当該担保権がなお存続するときにおける当該担保権を有する者も、その目的である財産について別除権を有する。
破産法 第210条(別除権者の除斥等) 詳細ページ
(別除権者の除斥等)
第二百十条別除権者は、中間配当の手続に参加するには、前条第三項において準用する第百九十八条第一項に規定する期間(以下この節において「中間配当に関する除斥期間」という。)に、破産管財人に対し、当該別除権の目的である財産の処分に着手したことを証明し、かつ、当該処分によって弁済を受けることができない債権の額を疎明しなければならない。
2前項の規定は、準別除権者について準用する。
3破産管財人は、第一項(前項において準用する場合を含む。)に規定する事項につき中間配当に関する除斥期間内に証明及び疎明があったときは、直ちに、配当表を更正しなければならない。
破産法 第108条(別除権者等の手続参加) 詳細ページ
(別除権者等の手続参加)
第百八条別除権者は、当該別除権に係る第六十五条第二項に規定する担保権によって担保される債権については、その別除権の行使によって弁済を受けることができない債権の額についてのみ、破産債権者としてその権利を行使することができる。ただし、当該担保権によって担保される債権の全部又は一部が破産手続開始後に担保されないこととなった場合には、その債権の当該全部又は一部の額について、破産債権者としてその権利を行使することを妨げない。
2破産財団に属しない破産者の財産につき特別の先取特権、質権若しくは抵当権を有する者又は破産者につき更に破産手続開始の決定があった場合における前の破産手続において破産債権を有する者も、前項と同様とする。
破産法 第154条(別除権の目的の提示等) 詳細ページ
(別除権の目的の提示等)
第百五十四条破産管財人は、別除権者に対し、当該別除権の目的である財産の提示を求めることができる。
2破産管財人が前項の財産の評価をしようとするときは、別除権者は、これを拒むことができない。
破産法 第185条(別除権者が処分をすべき期間の指定) 詳細ページ
(別除権者が処分をすべき期間の指定)
第百八十五条別除権者が法律に定められた方法によらないで別除権の目的である財産の処分をする権利を有するときは、裁判所は、破産管財人の申立てにより、別除権者がその処分をすべき期間を定めることができる。
2別除権者は、前項の期間内に処分をしないときは、同項の権利を失う。
3第一項の申立てについての裁判に対しては、即時抗告をすることができる。
4第一項の申立てについての裁判及び前項の即時抗告についての裁判があった場合には、その裁判書を当事者に送達しなければならない。この場合においては、第十条第三項本文の規定は、適用しない。
出

一次情報

原文ママ

条文は e-Gov法令検索、判例は裁判所ウェブサイトから取得しています。