民事訴訟法 / テーマ別まとめ

第一審の訴訟手続/簡易裁判所の訴訟手続に関する特則

簡易裁判所の訴訟手続に関する特則の条文と、裁判所が付した判示事項から整理しています。

原文解釈このページは論点を軸に条文と判例を横断して整理したものです。論点の名称と構成は当サイトの整理であり、条文上の区分ではありません。リード文・要点・比較表も当サイトによる解釈です。条文原文と判例の判示事項・裁判要旨は転記です。

簡易裁判所における第一審の訴訟手続は、簡易な手続により迅速に紛争を解決するという理念のもと、地方裁判所の手続とは異なる特則が置かれている。訴えの口頭提起や紛争の要点の明示、準備書面の省略、和解に代わる決定など、簡便な処理を可能にする規定が中心となる。

簡易裁判所の訴訟手続に関する特則
項目内容
手続の理念簡易な手続で迅速に解決
訴えの提起口頭でも提起できる
請求原因の記載紛争の要点の明示で足りる
任意出頭による提起双方出頭し口頭陳述で提起
反訴と移送地裁事項の反訴は地裁へ移送
訴え提起前の和解和解不成立なら訴訟に移行可
和解に代わる決定分割払等を裁判所が決定
準備書面原則不要
続行期日の欠席陳述したものとみなされる
尋問の方法映像音声の通話方式も可
尋問等の代替書面提出で代えられる
司法委員和解補助・審理での意見聴取
判決書の記載理由等は要旨で足りる
  • 274条の移送決定には不服申立てができない
  • 275条の和解には264条・265条の規定を適用しない
  • 275条の2の対象は金銭の支払を目的とする訴えに限られる
  • 275条の2の異議申立ては決定の告知から2週間の不変期間内
  • 276条3項は相手方不在廷の口頭弁論での主張を制限する規定
  • 司法委員は毎年あらかじめ地方裁判所が選任した者から事件ごとに指定
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簡易裁判所の訴訟手続に関する特則

簡易裁判所の訴訟手続に関する特則について、条文は何を定めているか。

第270条手続の特色簡易な手続で迅速に解決する1項判例なし
  • 簡裁は簡易な手続で迅速な紛争解決を目指す
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第271条口頭による訴えの提起訴えは口頭でも提起できる1項判例 3件
  • 書面がなくても口頭で訴えを提起できる
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第272条訴えの提起において明らかにすべき事項紛争の要点を示せば足りる1項判例なし
  • 請求原因に代えて紛争の要点の明示で足りる
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第273条任意の出頭による訴えの提起等双方出頭すれば口頭弁論も可1項判例なし
  • 当事者双方が任意に出頭し口頭弁論ができる
  • この場合訴えの提起は口頭の陳述で行う
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第274条反訴の提起に基づく移送地裁事項の反訴は地裁へ移送2項判例なし
  • 被告の反訴が地裁管轄なら相手方の申立てで移送
  • 移送の決定には不服申立てができない
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第275条訴え提起前の和解訴え提起前に和解を申し立てられる4項判例 1件
  • 相手方の普通裁判籍地を管轄する簡裁に和解を申立て
  • 不調時、双方出頭で申立てがあれば訴訟の弁論を命じる
  • 申立人等が期日に不出頭なら和解不成立とみなせる
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第275_2条和解に代わる決定金銭請求で分割払等を決定できる5項判例なし
  • 被告が争わず防御方法も出さない場合に限り決定できる
  • 5年を超えない範囲で分割払・支払時期を定める
  • 告知の日から2週間以内に異議を申し立てられる
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第276条準備書面の省略等準備書面は原則不要3項・3号判例 1件
  • 口頭弁論は書面で準備しなくてよい
  • 相手方が準備なしに陳述できない事項は書面で準備
  • 相手方不在廷なら定められた書面がないと主張不可
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第277条続行期日における陳述の擬制欠席でも陳述したとみなされる1項判例なし
  • 続行期日に欠席・本案弁論なしでも陳述擬制が働く
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第277_2条映像等の送受信による通話の方法による尋問映像と音声で尋問できる1項判例なし
  • 映像・音声の送受信方式で証人・本人尋問ができる
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第278条尋問等に代わる書面の提出尋問や意見陳述を書面で代替できる2項判例なし
  • 証人・本人尋問や鑑定人の意見陳述を書面で代えられる
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第279条司法委員司法委員が和解や審理に関与する5項判例 1件
  • 和解を試みる際に司法委員に補助させられる
  • 司法委員を審理に立ち会わせ意見を聴ける
  • 員数は各事件につき一人以上
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第280条電子判決書の記録事項判決書は理由の要旨で足りる1項判例なし
  • 事実・理由を記録する際は要旨の記載で足りる
  • 請求の趣旨・原因や抗弁も要旨の記録で足りる
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論

主要な論点と判例

原文ママ

論点の見出しと結論は、裁判所が付した判示事項・裁判要旨をそのまま転記しています。文中の〈 〉内は条文の見出しを当サイトが補ったものです。

論点1第271条民事訴訟法

一、証言当時九歳、八歳の児童の証言に信憑性がないとはいえないとされた事例
二、児童の遊戯による傷害に違法性があるとされた事例
三、親権者に児童の監督について過失がないとされた事例

裁判要旨一、証言当時九歳、八歳の児童であつても、その証言事項は単純であり、かつ、印象深い出来事であるなど判示のような事情のもとにおいては、その証言に信憑性がないものということはできない。
二、児童が判示のごとく弓矢を携えてする戦争ごつこまたはインデイアンごつこは、遊戯中の行為であるからといつても、その行為の態様、なかんずく失明という重大な結果を発生するおそれがあることなどからみて社会的に是認されるものとはいえず、違法性がないものとはいえない。
三、児童が弓矢を携行して外出するに際し、親権者である母が、これを現認し、児童に対し弓矢の使用を禁じその旨を約束せしめていたなど判示のような事情のもとにおいては、親権者である父母に児童の監督責任上の過失があるものとすることはできない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和43年2月9日 昭和42(オ)966
登載
集民 第90号255頁
参照法条
民訴法271条,民法722条2項,民法709条
論点2第271条民事訴訟法

選定当事者によつて追行される訴訟における選定者の証拠調の方式

裁判要旨選定当事者によつて追行される訴訟において、選定者に対する証拠調は、承認尋問の方式によるべきである。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和42年9月7日 昭和41(オ)397
登載
集民 第88号343頁
参照法条
民訴法47条,民訴法271条,民訴法336条
論点3第271条民事訴訟法

訴訟において会社を代表しない代表取締役を証人として尋問することの適否

裁判要旨会社を代表する権限ある取締役であつても、その者が会社を代表しない訴訟においては、これを証人として尋問すべきである。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和27年2月22日 昭和26(オ)704
登載
民集 第6巻2号279頁
参照法条
民訴法58条,民訴法271条,民訴法341条
論点4第275条民事訴訟法

一 証人尋問の申出をした当事者が費用を予納しなかつた場合と相手方の予納。
二 証人尋問の申出は尋問終了後に撤回し得るか。

裁判要旨一 証人尋問の申出をした当事者が費用を予納しなかつた場合に、相手方が予納したときは、裁判所は右証人尋問の手続を採り得る。
二 証人尋問の申出は、その尋問が終了した後は撤回することを得ない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和32年6月25日 昭和30(オ)883
登載
民集 第11巻6号1143頁
参照法条
民訴法106条,民訴法275条
論点5第276条民事訴訟法

尋問事項書を相手方に交付せずにされた証人尋問の適否

裁判要旨尋問事項書を相手方に交付せずに証人尋問が行われた場合でも、それが再尋問であつて尋問内容を容易に予想することができ、かつ異議なく尋問を終了したときは、該証言を採用しても、違法ではない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和41年3月25日 昭和40(オ)1375
登載
集民 第82号781頁
参照法条
民訴法276条,民訴法295条,民訴規則31条
論点6第279条民事訴訟法

民訴法二七九条〈司法委員〉と責問権の放棄

裁判要旨裁判所が受命裁判官をして尋問させた証人及び本人について民訴法二七九条各号該当の事由がなかつたとしても、当事者が右証拠調につき遅滞なく異議を述べなかつたときは、責問権を放棄したものと解すべきである。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和50年1月17日 昭和49(オ)8
登載
集民 第114号1頁
参照法条
民訴法141条,民訴法265条1項,民訴法279条,民訴法342条
原

条文原文

原文ママ

e-Gov法令検索から取得した原文を、号・イロハまで省略せずに掲載しています。

民事訴訟法 第270条(手続の特色) 詳細ページ
(手続の特色)
第二百七十条簡易裁判所においては、簡易な手続により迅速に紛争を解決するものとする。
民事訴訟法 第271条(口頭による訴えの提起) 詳細ページ
(口頭による訴えの提起)
第二百七十一条訴えは、口頭で提起することができる。
民事訴訟法 第272条(訴えの提起において明らかにすべき事項) 詳細ページ
(訴えの提起において明らかにすべき事項)
第二百七十二条訴えの提起においては、請求の原因に代えて、紛争の要点を明らかにすれば足りる。
民事訴訟法 第273条(任意の出頭による訴えの提起等) 詳細ページ
(任意の出頭による訴えの提起等)
第二百七十三条当事者双方は、任意に裁判所に出頭し、訴訟について口頭弁論をすることができる。この場合においては、訴えの提起は、口頭の陳述によってする。
民事訴訟法 第274条(反訴の提起に基づく移送) 詳細ページ
(反訴の提起に基づく移送)
第二百七十四条被告が反訴で地方裁判所の管轄に属する請求をした場合において、相手方の申立てがあるときは、簡易裁判所は、決定で、本訴及び反訴を地方裁判所に移送しなければならない。この場合においては、第二十二条の規定を準用する。
2前項の決定に対しては、不服を申し立てることができない。
民事訴訟法 第275条(訴え提起前の和解) 詳細ページ
(訴え提起前の和解)
第二百七十五条民事上の争いについては、当事者は、請求の趣旨及び原因並びに争いの実情を表示して、相手方の普通裁判籍の所在地を管轄する簡易裁判所に和解の申立てをすることができる。
2前項の和解が調わない場合において、和解の期日に出頭した当事者双方の申立てがあるときは、裁判所は、直ちに訴訟の弁論を命ずる。この場合においては、和解の申立てをした者は、その申立てをした時に、訴えを提起したものとみなし、和解の費用は、訴訟費用の一部とする。
3申立人又は相手方が第一項の和解の期日に出頭しないときは、裁判所は、和解が調わないものとみなすことができる。
4第一項の和解については、第二百六十四条及び第二百六十五条の規定は、適用しない。
民事訴訟法 第275_2条(和解に代わる決定) 詳細ページ
(和解に代わる決定)
第二百七十五条の二金銭の支払の請求を目的とする訴えについては、裁判所は、被告が口頭弁論において原告の主張した事実を争わず、その他何らの防御の方法をも提出しない場合において、被告の資力その他の事情を考慮して相当であると認めるときは、原告の意見を聴いて、第三項の期間の経過時から五年を超えない範囲内において、当該請求に係る金銭の支払について、その時期の定め若しくは分割払の定めをし、又はこれと併せて、その時期の定めに従い支払をしたとき、若しくはその分割払の定めによる期限の利益を次項の規定による定めにより失うことなく支払をしたときは訴え提起後の遅延損害金の支払義務を免除する旨の定めをして、当該請求に係る金銭の支払を命ずる決定をすることができる。
2前項の分割払の定めをするときは、被告が支払を怠った場合における期限の利益の喪失についての定めをしなければならない。
3第一項の決定に対しては、当事者は、その決定の告知を受けた日から二週間の不変期間内に、その決定をした裁判所に異議を申し立てることができる。
4前項の期間内に異議の申立てがあったときは、第一項の決定は、その効力を失う。
5第三項の期間内に異議の申立てがないときは、第一項の決定は、裁判上の和解と同一の効力を有する。
民事訴訟法 第276条(準備書面の省略等) 詳細ページ
(準備書面の省略等)
第二百七十六条口頭弁論は、書面で準備することを要しない。
2相手方が準備をしなければ陳述をすることができないと認めるべき事項は、前項の規定にかかわらず、書面で準備し、又は口頭弁論前直接に相手方に通知しなければならない。
3前項に規定する事項は、相手方が在廷していない口頭弁論においては、次の各号のいずれかに該当する準備書面に記載し、又は同項の規定による通知をしたものでなければ、主張することができない。
一相手方に送達された準備書面
二相手方からその準備書面を受領した旨を記載した書面が提出された場合における当該準備書面
三相手方が第九十一条の二第一項の規定により準備書面の閲覧をし、又は同条第二項の規定により準備書面の複写をした場合における当該準備書面
民事訴訟法 第277条(続行期日における陳述の擬制) 詳細ページ
(続行期日における陳述の擬制)
第二百七十七条第百五十八条の規定は、原告又は被告が口頭弁論の続行の期日に出頭せず、又は出頭したが本案の弁論をしない場合について準用する。
民事訴訟法 第277_2条(映像等の送受信による通話の方法による尋問) 詳細ページ
(映像等の送受信による通話の方法による尋問)
第二百七十七条の二裁判所は、相当と認めるときは、最高裁判所規則で定めるところにより、映像と音声の送受信により相手の状態を相互に認識しながら通話をすることができる方法によって、証人又は当事者本人の尋問をすることができる。
民事訴訟法 第278条(尋問等に代わる書面の提出) 詳細ページ
(尋問等に代わる書面の提出)
第二百七十八条裁判所は、相当と認めるときは、証人若しくは当事者本人の尋問又は鑑定人の意見の陳述に代え、書面の提出をさせることができる。
2第二百五条第二項及び第三項の規定は前項の規定による証人又は当事者本人の尋問に代わる書面の提出について、第二百十五条第二項及び第四項の規定は前項の規定による鑑定人の意見の陳述に代わる書面の提出について、それぞれ準用する。
民事訴訟法 第279条(司法委員) 詳細ページ
(司法委員)
第二百七十九条裁判所は、必要があると認めるときは、和解を試みるについて司法委員に補助をさせ、又は司法委員を審理に立ち会わせて事件につきその意見を聴くことができる。
2司法委員の員数は、各事件について一人以上とする。
3司法委員は、毎年あらかじめ地方裁判所の選任した者の中から、事件ごとに裁判所が指定する。
4前項の規定により選任される者の資格、員数その他同項の選任に関し必要な事項は、最高裁判所規則で定める。
5司法委員には、最高裁判所規則で定める額の旅費、日当及び宿泊料を支給する。
民事訴訟法 第280条(電子判決書の記録事項) 詳細ページ
(電子判決書の記録事項)
第二百八十条第二百五十二条第一項の規定により同項第二号の事実及び同項第三号の理由を記録する場合には、請求の趣旨及び原因の要旨、その原因の有無並びに請求を排斥する理由である抗弁の要旨を記録すれば足りる。
出

一次情報

原文ママ

条文は e-Gov法令検索、判例は裁判所ウェブサイトから取得しています。