民事訴訟法 / テーマ別まとめ

訴訟費用/訴訟上の救助

訴訟上の救助の条文と、裁判所が付した判示事項から整理しています。

原文解釈このページは論点を軸に条文と判例を横断して整理したものです。論点の名称と構成は当サイトの整理であり、条文上の区分ではありません。リード文・要点・比較表も当サイトによる解釈です。条文原文と判例の判示事項・裁判要旨は転記です。

訴訟上の救助は、訴訟の準備・追行に必要な費用を支払う資力がない人や、支払うと生活に著しい支障が生じる人について、裁判所が費用の猶予や担保の免除を認める制度です。決定は審級ごとに行われ、要件を欠くことが判明・消滅すれば取り消され、猶予していた費用の支払いを命じられます。これらの決定に不服がある場合は即時抗告ができます。

訴訟上の救助
項目内容
対象者費用の支払資力がない者等
要件勝訴の見込みがないとはいえない
決定の単位審級ごとに決定
効力①裁判費用等の支払猶予
効力②付添弁護士報酬の支払猶予
効力③訴訟費用の担保の免除
効力が及ぶ人決定を受けた本人のみ
承継人への対応裁判所が支払を命じる決定
取消事由要件を欠く・欠くに至った
取消の効果猶予費用の支払を命じる
費用の取立て相手方から直接取立て可
不服申立て即時抗告ができる
  • 効力の内容は決定で定めるところに従う(第83条1項柱書)
  • 取消しは利害関係人の申立てまたは裁判所の職権で行われる
  • 取消しの決定をするのは訴訟記録が存する裁判所
  • 即時抗告の対象はこの節(第82条〜第85条)に規定する決定全般
  • 猶予費用の取立てでは弁護士・執行官が本人に代わり申立て・強制執行ができる
1

訴訟上の救助

訴訟上の救助について、条文は何を定めているか。

第82条救助の付与費用を払えない人を裁判所が救助する2項判例 3件
  • 費用の支払いが難しい人からの申立てで決定される
  • 勝訴の見込みがないとはいえないことが条件
  • 決定は審級ごとに行われる
条文原文を見るこの条文の詳細ページ
第83条救助の効力等救助決定で猶予・免除される費用の範囲3項・3号判例 2件
  • 裁判費用・執行官手数料・弁護士報酬などの支払いを猶予
  • 訴訟費用の担保提供を免除
  • 効力は本人のみ(承継人には裁判所が支払いを命じる)
条文原文を見るこの条文の詳細ページ
第84条救助の決定の取消し要件を欠けば救助決定を取り消せる1項判例 1件
  • 要件を欠くと判明・欠くに至ったときが対象
  • 利害関係人の申立てまたは職権で取消し可能
  • 取消しと同時に猶予費用の支払いを命じられる
条文原文を見るこの条文の詳細ページ
第85条猶予された費用等の取立方法猶予された費用は相手方から取り立てる1項判例 10件
  • 費用を負担する相手方から直接取り立てられる
  • 弁護士・執行官は本人に代わり申立て・強制執行できる
条文原文を見るこの条文の詳細ページ
第86条即時抗告救助に関する決定には即時抗告ができる1項判例 1件
  • この節の決定に対しては即時抗告が可能
条文原文を見るこの条文の詳細ページ
論

主要な論点と判例

原文ママ

論点の見出しと結論は、裁判所が付した判示事項・裁判要旨をそのまま転記しています。文中の〈 〉内は条文の見出しを当サイトが補ったものです。

論点1第82条民事訴訟法

訴訟の目的である金銭債権の数量的な一部に対応する訴え提起の手数料につき訴訟上の救助を付与する決定が確定した場合において,請求が上記数量的な一部に減縮された後の訴えを却下することの許否

裁判要旨金銭債権の支払を請求する訴えの提起時にされた訴訟上の救助の申立てに対し,当該債権の数量的な一部について勝訴の見込みがないとはいえないことを理由として,その部分に対応する訴え提起の手数料につき訴訟上の救助を付与する決定が確定した場合において,請求が上記数量的な一部に減縮されたときは,訴え提起の手数料が納付されていないことを理由に減縮後の請求に係る訴えを却下することは許されない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 平成27年9月18日 平成25(受)2331
登載
民集 第69巻6号1729頁
参照法条
民訴法82条1項,民訴法83条1項1号,民訴法262条1項,民事訴訟費用等に関する法律6条
論点2第82条民事訴訟法

訴訟上の救助の決定に対し訴訟の相手方当事者が即時抗告をすることの許否

裁判要旨訴訟上の救助の決定に対し,訴訟の相手方当事者は,即時抗告をすることができる。
(反対意見がある。)
裁判
最高裁判所第二小法廷 平成16年7月13日 平成16(行フ)4
登載
民集 第58巻5号1599頁
参照法条
民訴法82条1項,民訴法86条
論点3第82条民事訴訟法

1 共同して訴えを提起した各原告の請求の価額を合算したものを訴訟の目的の価額とする場合において、訴え提起の手数料につき各原告に対する訴訟上の救助の付与対象となるべき額
2 共同して訴えを提起した各原告の請求の価額を合算したものを訴訟の目的の価額とする場合において、各原告につき民訴法82条1項本文にいう「訴訟の準備及び追行に必要な費用」として考慮すべき訴え提起の手数料の額

裁判要旨1 共同して訴えを提起した各原告の請求の価額を合算したものを訴訟の目的の価額とする場合において、訴え提起の手数料につき各原告に対する訴訟上の救助の付与対象となるべき額は、上記訴訟の目的の価額を基礎として算出される訴え提起の手数料の額を各原告の請求の価額に応じて案分して得た額に限られる。
2 共同して訴えを提起した各原告の請求の価額を合算したものを訴訟の目的の価額とする場合において、各原告につき民訴法82条1項本文にいう「訴訟の準備及び追行に必要な費用」として考慮すべき訴え提起の手数料の額は、上記訴訟の目的の価額を基礎として算出される訴え提起の手数料の額を各原告の請求の価額に応じて案分して得た額である。
裁判
最高裁判所第一小法廷 令和5年10月19日 令和5(許)1
登載
民集 第77巻7号1756頁
参照法条
(1、2につき)民訴法9条1項本文、民訴法82条1項本文、民事訴訟費用等に関する法律4条1項、民事訴訟費用等に関する法律9条3項柱書き (1につき)民訴法83条1項1号
論点4第84条民事訴訟法

訴訟上の救助の決定を受けた者の全部敗訴が確定し,かつ,その者に訴訟費用を全部負担させる旨の裁判が確定した場合において,裁判所が同決定を民訴法84条の規定に従って取り消すことなく同決定を受けた者に対し猶予した費用の支払を命ずることの許否

裁判要旨民事訴訟において,訴訟上の救助の決定を受けた者の全部敗訴が確定し,かつ,その者に訴訟費用を全部負担させる旨の裁判が確定した場合には,同決定は当然にその効力を失い,裁判所は,同決定を民訴法84条の規定に従って取り消すことなく,同決定を受けた者に対し,猶予した費用の支払を命ずることができる。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成19年12月4日 平成19(許)7
登載
民集 第61巻9号3274頁
参照法条
民訴法84条
論点5第85条民事訴訟法

訴訟代理権を授与された者が本人の死亡後にその者を原告と表示して提起した訴の効力

裁判要旨訴訟代理権を授与された者が本人の死亡したのちその者を原告と表示して提起した訴は、死亡した本人の相続人のための訴として適法である。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和51年3月15日 昭和50(オ)1167
登載
集民 第117号181頁
参照法条
民訴法85条,民訴法208条
論点6第85条民事訴訟法

法人の代表者の代表権が消滅しその通知がない場合の判決の表示

裁判要旨訴訟当事者である法人の代表者の代表権が消滅した場合において、旧代表者から委任を受けた訴訟代理人があるときは、右代表権消滅の事実が相手方に通知されていなくても、判決に新代表者を表示することは許される。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和43年4月16日 昭和42(オ)1348
登載
民集 第22巻4号929頁
参照法条
民訴法58条,民訴法57条1項,民訴法85条,民訴法191条1項
論点7第85条民事訴訟法

控訴の特別委任を受けた第一審訴訟代理人は本人の死亡後控訴審において請求の拡張をする訴訟代理権を有するか

裁判要旨積極
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和43年11月15日 昭和43(オ)557
登載
集民 第93号315頁
参照法条
民訴法81条,民訴法85条,民訴法232条1項
論点8第85条民事訴訟法

一 弁護士に対する懲戒処分の効力の発生時期
二 業務停止の懲戒処分に違反してされた弁護士の訴訟行為の効力

裁判要旨一 弁護士に対する懲戒処分は告知の時にその効力を生ずる。
二 業務停止の懲戒処分に違反してされた弁護士の訴訟行為は、無効ではない。
裁判
最高裁判所大法廷 昭和42年9月27日 昭和40(オ)620
登載
民集 第21巻7号1955頁
参照法条
弁護士法56条,弁護士法57条2号,民訴法79条,民訴法85条
論点9第85条民事訴訟法

訴訟復代理権は訴訟代理人の死亡によつて消滅するか

裁判要旨訴訟代理人がその権限に基づいて復代理人を選任したときは、本代理人の死亡した場合でも、これによつて復代理人の訴訟代理権は当然には消滅しない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和37年5月29日 昭和36(オ)341
登載
集民 第60号947頁
参照法条
民訴法85条,民法653条
論点10第85条民事訴訟法

訴訟復代理権は訴訟代理人の死亡によつて消滅するか。

裁判要旨訴訟代理人は、その選任者である訴訟代理人の死亡によつて、当然に、その代理権を失なうものではない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和36年11月9日 昭和36(オ)374
登載
民集 第15巻10号2451頁
参照法条
民訴法85条,民法653条
論点11第85条民事訴訟法

訴訟承継の場合における訴訟代理人の地位。

裁判要旨被相続人の訴訟代理人であつた者は、被相続人の死亡による訴訟承継の結果、新たに当事者となつた相続人の訴訟代理人として訴訟行為をなすことができるものと解すべきである。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和33年9月19日 昭和32(オ)563
登載
民集 第12巻13号2062頁
参照法条
民訴法213条,民訴法85条
論点12第85条民事訴訟法

一 戸籍法第八九条による戦死報告に基く戸籍簿の記載の証拠力
二 民法第一一一条第一項第一号の趣旨
三 民訴第五七条〈当事者による更正〉および同第八五条〈猶予された費用等の取立方法〉の趣旨

裁判要旨一 戸籍簿に戦死した旨記載されている者は、右記載が戸籍法第八九条の報告に基いて登載されたものと認められるときは、反証がない限り、戸籍簿に記載されている日に死亡したものと認むべきである。
二 本人の死亡を代理権消滅の原因とする民法第一一一条の規定は、これと異なる合意の効力を否定する趣旨ではない。
三 民訴第五七条〈当事者による更正〉および同第八五条〈猶予された費用等の取立方法〉は、法定代理人又は訴訟代理人の訴訟行為の効果が実質上死亡者の相続人に帰属することを容認するものと解すべきである。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和28年4月23日 昭和24(オ)112
登載
民集 第7巻4号396頁
参照法条
戸籍法89条,民法111条1項1号,民訴法57条1項,民訴法85条
論点13第85条民事訴訟法

上告提起の特別委任を受けた訴訟代理人がある場合と当事者の死亡による訴訟手続中断の有無

裁判要旨当事者より上告提起の特別委任を受けた訴訟代理人がある場合には、第二審判決の送達後上告提起の期間内にその当事者が死亡しても訴訟手続は中断しない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和23年12月24日 昭和23(オ)104
登載
民集 第2巻14号500頁
参照法条
民訴法81条2項,民訴法85条,民訴法208条,民訴法213条
論点14第85条民事訴訟法

訴訟費用のうち一定割合を受救助者の負担とし,その余を相手方当事者の負担とする旨の裁判が確定した後,訴訟費用の負担の額を定める処分を求める申立てがされる前に,裁判所が受救助者に猶予した費用につき当該相手方当事者に対して民訴法85条前段の費用の取立てをすることができる額を定める場合において,その額につき,受救助者に猶予した費用に上記裁判で定められた当該相手方当事者の負担割合を乗じた額とすべきものとした原審の判断に違法があるとされた事例

裁判要旨訴訟費用のうち一定割合を受救助者(訴訟上の救助の決定を受けた者)の負担とし,その余を相手方当事者の負担とする旨の裁判が確定した後,訴訟費用の負担の額を定める処分を求める申立てがされる前に,裁判所が受救助者に猶予した費用につき当該相手方当事者に対して民訴法85条前段の費用の取立てをすることができる額を定める場合において,当該相手方当事者が,訴え提起の手数料として少額とはいえない額の支出をした者の地位を承継し,受救助者の負担すべき費用との差引計算を求めることを明らかにしているなど判示の事情の下では,当該相手方当事者に対し上記の差引計算を求める範囲を明らかにするよう求めることのないまま,上記の同条前段の費用の取立てをすることができる額につき,受救助者に猶予した費用に上記裁判で定められた当該相手方当事者の負担割合を乗じた額とすべきものとした原審の判断には,違法がある。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成29年9月5日 平成28(許)40
登載
集民 第256号47頁
参照法条
民訴法85条前段,民事訴訟費用等に関する法律16条2項,民事訴訟費用等に関する法律15条1項
原

条文原文

原文ママ

e-Gov法令検索から取得した原文を、号・イロハまで省略せずに掲載しています。

民事訴訟法 第82条(救助の付与) 詳細ページ
(救助の付与)
第八十二条訴訟の準備及び追行に必要な費用を支払う資力がない者又はその支払により生活に著しい支障を生ずる者に対しては、裁判所は、申立てにより、訴訟上の救助の決定をすることができる。ただし、勝訴の見込みがないとはいえないときに限る。
2訴訟上の救助の決定は、審級ごとにする。
民事訴訟法 第83条(救助の効力等) 詳細ページ
(救助の効力等)
第八十三条訴訟上の救助の決定は、その定めるところに従い、訴訟及び強制執行について、次に掲げる効力を有する。
一裁判費用並びに執行官の手数料及びその職務の執行に要する費用の支払の猶予
二裁判所において付添いを命じた弁護士の報酬及び費用の支払の猶予
三訴訟費用の担保の免除
2訴訟上の救助の決定は、これを受けた者のためにのみその効力を有する。
3裁判所は、訴訟の承継人に対し、決定で、猶予した費用の支払を命ずる。
民事訴訟法 第84条(救助の決定の取消し) 詳細ページ
(救助の決定の取消し)
第八十四条訴訟上の救助の決定を受けた者が第八十二条第一項本文に規定する要件を欠くことが判明し、又はこれを欠くに至ったときは、訴訟記録の存する裁判所は、利害関係人の申立てにより又は職権で、決定により、いつでも訴訟上の救助の決定を取り消し、猶予した費用の支払を命ずることができる。
民事訴訟法 第85条(猶予された費用等の取立方法) 詳細ページ
(猶予された費用等の取立方法)
第八十五条訴訟上の救助の決定を受けた者に支払を猶予した費用は、これを負担することとされた相手方から直接に取り立てることができる。この場合において、弁護士又は執行官は、報酬又は手数料及び費用について、訴訟上の救助の決定を受けた者に代わり、第七十一条第一項、第七十二条又は第七十三条第一項の申立て及び強制執行をすることができる。
民事訴訟法 第86条(即時抗告) 詳細ページ
(即時抗告)
第八十六条この節に規定する決定に対しては、即時抗告をすることができる。
出

一次情報

原文ママ

条文は e-Gov法令検索、判例は裁判所ウェブサイトから取得しています。