会社法 / テーマ別まとめ

総則/事業の譲渡をした場合の競業の禁止等

事業の譲渡をした場合の競業の禁止等の条文と、裁判所が付した判示事項から整理しています。

原文解釈このページは論点を軸に条文と判例を横断して整理したものです。論点の名称と構成は当サイトの整理であり、条文上の区分ではありません。リード文・要点・比較表も当サイトによる解釈です。条文原文と判例の判示事項・裁判要旨は転記です。

事業を譲渡した会社(譲渡会社)は、当事者間で別段の定めがない限り、譲渡した日から一定期間・一定地域で同じ事業を行うことができません。あわせて、譲受会社が譲渡会社の商号を引き続き使ったり債務引受けの広告をしたりした場合に生じる債権者への責任、および債権者を害する意図で事業譲渡がされた場合に譲受会社へ請求できる仕組みについても定めています。会社と商人との間で事業の譲渡・譲受けが行われるときは、これらの規定が商法の規定とあわせて準用されます。

事業の譲渡をした場合の競業の禁止等
場面要件効果期間
原則(特約なし)特約なし同一市町村等で同一事業を禁止譲渡から20年間
競業禁止の特約特約あり特約の定めどおり禁止譲渡から30年間
不正競争目的不正の競争目的地域・期間の制限なく禁止制限なし
商号続用の譲受会社譲渡会社の商号を続用譲渡会社の債務を弁済する責任請求等なく2年で消滅
登記・通知による免責遅滞なく登記または通知譲受会社は責任を負わない―
債務引受けの広告引受広告をした場合譲受会社に弁済請求できる広告後2年で消滅
詐害事業譲渡残存債権者を害すると知り譲渡承継財産の価額を限度に請求知った時から2年、譲渡から10年
相手方が商人の場合商人との譲渡・譲受け商法規定や前条を準用―
  • 21条1項の「同一の市町村」には特別区や指定都市の区・総合区の区域を含む
  • 22条2項の免責は、登記または第三者への通知のいずれかを遅滞なく行うことが条件
  • 22条4項では、譲受会社への弁済は弁済者が善意無重過失であれば有効
  • 23条の2は、譲受会社が譲渡時に残存債権者を害する事情を知らなかった場合は適用されない
  • 23条の2による請求は、譲渡会社について破産・再生・更生の手続開始決定があると行使できない
  • 24条により、会社と商人との間の事業譲渡・譲受けにも商法や21条から23条の2の規定が準用される
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事業の譲渡をした場合の競業の禁止等

事業の譲渡をした場合の競業の禁止等について、条文は何を定めているか。

第21条譲渡会社の競業の禁止譲渡会社に一定期間の競業を禁止3項判例なし
  • 特約がなければ、同一市町村等と隣接区域で20年間同一事業禁止
  • 禁止する特約は最長30年まで有効
  • 不正の競争目的での同一事業は地域・期間を問わず禁止
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第22条譲渡会社の商号を使用した譲受会社の責任等商号を引き継ぐと譲受会社も債務を負う4項判例 1件
  • 商号を続けて使う譲受会社は、譲渡会社の債務も弁済する責任を負う
  • 遅滞なく免責登記または債権者への通知をすれば、この責任は負わない
  • 責任を負う場合、譲渡会社の責任は譲渡日から2年で請求がなければ消滅
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第23条譲受会社による債務の引受け商号を継がなくても引受広告で責任を負う2項判例なし
  • 商号を引き継がなくても、債務引受けの広告をすれば譲受会社に請求できる
  • 責任を負う場合、広告があった日から2年で請求がなければ消滅
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第23_2条詐害事業譲渡に係る譲受会社に対する債務の履行の請求債権者を害する譲渡なら財産の限度で請求可3項判例なし
  • 残存債権者を害すると知って譲渡した場合、譲受会社に承継財産の価額を限度に履行請求できる
  • 知った時から2年、譲渡の効力発生日から10年で請求権は消滅
  • 譲渡会社に破産・再生・更生手続の開始決定があると請求できない
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第24条商人との間での事業の譲渡又は譲受け相手が商人なら商法や前条の規定を準用2項判例なし
  • 会社が商人に事業を譲渡する場合、商法の譲渡人に関する規定を準用する
  • 会社が商人の営業を譲り受ける場合、その商人を譲渡会社とみなす
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論

主要な論点と判例

原文ママ

論点の見出しと結論は、裁判所が付した判示事項・裁判要旨をそのまま転記しています。文中の〈 〉内は条文の見出しを当サイトが補ったものです。

論点1第22条会社法

会社分割に伴いゴルフ場の事業を承継した会社が預託金会員制のゴルフクラブの名称を引き続き使用している場合における上記会社の預託金返還義務の有無

裁判要旨預託金会員制のゴルフクラブの名称がゴルフ場の事業主体を表示するものとして用いられている場合において,会社分割に伴いゴルフ場の事業が他の会社又は設立会社に承継され,事業を承継した会社が上記名称を引き続き使用しているときには,上記会社が会社分割後遅滞なく当該ゴルフクラブの会員によるゴルフ場施設の優先的利用を拒否したなどの特段の事情がない限り,上記会社は,会社法22条1項〈譲渡会社の商号を使用した譲受会社の責任等〉の類推適用により,会員が分割をした会社に交付した預託金の返還義務を負う。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成20年6月10日 平成18(受)890
登載
集民 第228号195頁
参照法条
会社法22条1項,会社法757条,会社法762条1項,商法(平成17年法律第87号による改正前のもの)373条,商法(平成17年法律第87号による改正前のもの)374条の16
原

条文原文

原文ママ

e-Gov法令検索から取得した原文を、号・イロハまで省略せずに掲載しています。

会社法 第21条(譲渡会社の競業の禁止) 詳細ページ
(譲渡会社の競業の禁止)
第二十一条事業を譲渡した会社(以下この章において「譲渡会社」という。)は、当事者の別段の意思表示がない限り、同一の市町村(特別区を含むものとし、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の十九第一項の指定都市にあっては、区又は総合区。以下この項において同じ。)の区域内及びこれに隣接する市町村の区域内においては、その事業を譲渡した日から二十年間は、同一の事業を行ってはならない。
2譲渡会社が同一の事業を行わない旨の特約をした場合には、その特約は、その事業を譲渡した日から三十年の期間内に限り、その効力を有する。
3前二項の規定にかかわらず、譲渡会社は、不正の競争の目的をもって同一の事業を行ってはならない。
会社法 第22条(譲渡会社の商号を使用した譲受会社の責任等) 詳細ページ
(譲渡会社の商号を使用した譲受会社の責任等)
第二十二条事業を譲り受けた会社(以下この章において「譲受会社」という。)が譲渡会社の商号を引き続き使用する場合には、その譲受会社も、譲渡会社の事業によって生じた債務を弁済する責任を負う。
2前項の規定は、事業を譲り受けた後、遅滞なく、譲受会社がその本店の所在地において譲渡会社の債務を弁済する責任を負わない旨を登記した場合には、適用しない。事業を譲り受けた後、遅滞なく、譲受会社及び譲渡会社から第三者に対しその旨の通知をした場合において、その通知を受けた第三者についても、同様とする。
3譲受会社が第一項の規定により譲渡会社の債務を弁済する責任を負う場合には、譲渡会社の責任は、事業を譲渡した日後二年以内に請求又は請求の予告をしない債権者に対しては、その期間を経過した時に消滅する。
4第一項に規定する場合において、譲渡会社の事業によって生じた債権について、譲受会社にした弁済は、弁済者が善意でかつ重大な過失がないときは、その効力を有する。
会社法 第23条(譲受会社による債務の引受け) 詳細ページ
(譲受会社による債務の引受け)
第二十三条譲受会社が譲渡会社の商号を引き続き使用しない場合においても、譲渡会社の事業によって生じた債務を引き受ける旨の広告をしたときは、譲渡会社の債権者は、その譲受会社に対して弁済の請求をすることができる。
2譲受会社が前項の規定により譲渡会社の債務を弁済する責任を負う場合には、譲渡会社の責任は、同項の広告があった日後二年以内に請求又は請求の予告をしない債権者に対しては、その期間を経過した時に消滅する。
会社法 第23_2条(詐害事業譲渡に係る譲受会社に対する債務の履行の請求) 詳細ページ
(詐害事業譲渡に係る譲受会社に対する債務の履行の請求)
第二十三条の二譲渡会社が譲受会社に承継されない債務の債権者(以下この条において「残存債権者」という。)を害することを知って事業を譲渡した場合には、残存債権者は、その譲受会社に対して、承継した財産の価額を限度として、当該債務の履行を請求することができる。ただし、その譲受会社が事業の譲渡の効力が生じた時において残存債権者を害することを知らなかったときは、この限りでない。
2譲受会社が前項の規定により同項の債務を履行する責任を負う場合には、当該責任は、譲渡会社が残存債権者を害することを知って事業を譲渡したことを知った時から二年以内に請求又は請求の予告をしない残存債権者に対しては、その期間を経過した時に消滅する。事業の譲渡の効力が生じた日から十年を経過したときも、同様とする。
3譲渡会社について破産手続開始の決定、再生手続開始の決定又は更生手続開始の決定があったときは、残存債権者は、譲受会社に対して第一項の規定による請求をする権利を行使することができない。
会社法 第24条(商人との間での事業の譲渡又は譲受け) 詳細ページ
(商人との間での事業の譲渡又は譲受け)
第二十四条会社が商人に対してその事業を譲渡した場合には、当該会社を商法第十六条第一項に規定する譲渡人とみなして、同法第十七条から第十八条の二までの規定を適用する。この場合において、同条第三項中「又は再生手続開始の決定」とあるのは、「、再生手続開始の決定又は更生手続開始の決定」とする。
2会社が商人の営業を譲り受けた場合には、当該商人を譲渡会社とみなして、前三条の規定を適用する。この場合において、前条第三項中「、再生手続開始の決定又は更生手続開始の決定」とあるのは、「又は再生手続開始の決定」とする。
出

一次情報

原文ママ

条文は e-Gov法令検索、判例は裁判所ウェブサイトから取得しています。