会社法 / テーマ別まとめ

株主総会の権限と招集

株主総会は何を決められるか。誰がいつ招集し、株主が自分で招集できる場合。

原文解釈このページは論点を軸に条文と判例を横断して整理したものです。論点の名称と構成は当サイトの整理であり、条文上の区分ではありません。リード文・要点・比較表も当サイトによる解釈です。条文原文と判例の判示事項・裁判要旨は転記です。

株主総会で決議できる事項の範囲は、取締役会を置いているかどうかで法律上異なる。招集は原則として取締役が行い、定時総会は毎年、臨時総会は必要に応じて開かれる。一定割合の議決権を持つ株主は取締役に招集を請求でき、対応がなければ裁判所の許可を得て自ら招集することもできる。

取締役会設置会社と非設置会社の違い
項目取締役会設置会社取締役会非設置会社
決議事項の範囲法定事項+定款で定めた事項のみ一切の事項について決議可能
招集権者取締役取締役
招集事項の決定取締役会の決議による取締役が決定
  • 株主が裁判所の許可を得て自ら招集する場合、その株主が招集権者になる
  • 定款で3%・6か月の各要件を条文より短く定めることができる
  • 非公開会社では6か月の継続保有要件は適用されない
  • 招集通知が発せられない場合の8週間の期間も定款で短縮できる
  • 議決権を持つ株主が千人以上でも、法務省令で定める上場会社は書面投票の定め不要
  • 株主総会の権限を取締役等に委ねる定款の定めは無効
1

何を決められるか

取締役会設置会社での限定

第295条株主総会の権限取締役会の有無で決議できる範囲が変わる3項判例 1件
  • 取締役会がなければ会社に関する一切の事項を決議できる
  • 取締役会があれば法律事項と定款で定めた事項に限られる
  • 株主総会の権限を取締役等に移す定款規定は無効
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第296条株主総会の招集定時総会は毎期、臨時総会は随時招集できる3項旧商法 5件
  • 定時株主総会は毎事業年度終了後の一定の時期に開催する
  • 臨時株主総会は必要があればいつでも招集できる
  • 招集するのは原則として取締役
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2

誰が招集するか

取締役による招集の決定

第298条株主総会の招集の決定招集時に日時・場所・議題などを事前に決める4項・5号旧商法 5件
  • 日時・場所、目的事項、書面・電磁的投票の可否を定める
  • 議決権を持つ株主が千人以上なら書面投票の定めが必要
  • 取締役会設置会社ではこれらの決定を取締役会の決議で行う
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3

株主が招集する

少数株主の招集請求と許可

第297条株主による招集の請求少数株主が自ら総会招集を求められる4項・2号判例なし
  • 議決権の3%以上を6か月前から持つ株主が招集を請求できる
  • 非公開会社は6か月の継続保有要件がない
  • 招集されない等の場合は裁判所許可で株主が自ら招集できる
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論

主要な論点と判例

原文ママ

論点の見出しと結論は、裁判所が付した判示事項・裁判要旨をそのまま転記しています。文中の〈 〉内は条文の見出しを当サイトが補ったものです。

論点1第295条会社法

取締役会設置会社である非公開会社における,取締役会の決議によるほか株主総会の決議によっても代表取締役を定めることができる旨の定款の定めの効力

裁判要旨取締役会設置会社である非公開会社における,取締役会の決議によるほか株主総会の決議によっても代表取締役を定めることができる旨の定款の定めは有効である。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成29年2月21日 平成28(許)24
登載
民集 第71巻2号195頁
参照法条
会社法295条2項,会社法362条2項3号
論点2第296条旧商法下の裁判例

一 株式会社のいわゆる全員出席総会における決議の効力
二 株主の代理人の出席を含むいわゆる全員出席総会における決議が有効となる場合

裁判要旨一 招集手続を欠くのに株主全員が株主総会の開催に同意して出席したいわゆる全員出席総会においてされた決議は、総会の決議として有効に成立する。
二 株主の代理人の出席を含むいわゆる全員出席総会における決議は、当該株主が会議の目的たる事項を了知したうえで委任をし、かつ、決議の内容が右事項の範囲内のものである場合には、総会の決議として有効に成立する。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和60年12月20日 昭和58(オ)1567
登載
民集 第39巻8号1869頁
参照法条
商法(昭和56年法律第74号による改正前のもの)230条ノ2,商法231条,商法232条,商法239条1項,商法239条3項,商法239条4項
論点3第296条旧商法下の裁判例

いわゆる一人会社と株主総会の成立

裁判要旨いわゆる一人会社においては、その一人の株主が出席すれば、招集の手続がなくても、株主総会は成立する。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和46年6月24日 昭和43(オ)826
登載
民集 第25巻4号596頁
参照法条
商法231条,商法232条,商法239条1項
論点4第296条旧商法下の裁判例

一、株主総会招集の手続またはその決議の方法に重大なかしがある場合と決議取消請求の裁量棄却
二、株主総会招集の手続に決議取消請求を裁量棄却することの許されない重大なかしがあるとされた事例

裁判要旨一、株主総会招集の手続またはその決議の方法に性質、程度等からみて重大なかしがある場合には、そのかしが決議の結果に影響を及ぼさないと認められるようなときでも、裁判所は、右決議の取消請求を認容すべきであつて、これを裁量棄却することは許されない。
二、株主総会招集の手続が、その招集につき決定の権限を有する取締役会の有効な決議に基づかないでなされたものであるのみならず、その招集の通知が、すべての株主に対して法定の招集期間に二日足りない会日より一二日前になされたものであるときは、右株主総会招集の手続には、右総会の決議の取消請求を裁量棄却することの許されない重大なかしがあるというべきである。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和46年3月18日 昭和44(オ)89
登載
民集 第25巻2号183頁
参照法条
商法247条,商法231条,商法232条1項
論点5第296条旧商法下の裁判例

一 特定の株主に対する株主総会の招集通知の欠如と他の株主との関係における取締役の職務上の義務違反の有無
二 定款上株式の譲渡には取締役会の承認を要することとされている会社において既に競売により株式を失っていたが株主名簿には株主として記載されていた者に対し株主総会の招集通知が行われないまま決議がされた場合に取締役に悪意又は重大な過失による職務上の義務違反がなかったとはいえないとされた事例

裁判要旨一 特定の株主に対する株主総会の招集通知の欠如は、すべての株主に対する関係において取締役の職務上の義務違反に当たる。
二 定款上株式の譲渡には取締役会の承認を要することとされている会社において、既に競売により株式を失っていたが株主名簿には株主として記載されていた者に対し株主総会の招集通知が行われないまま決議がされた場合に、右当時、右の者が会社を被告として株主としての地位の確認を請求する訴訟において請求を棄却すべきものとする判決が言い渡されていたものの、同判決は未確定であったなど判示の事実関係の下においては、右の者に対する株主総会の招集通知の欠如につき取締役に悪意又は重大な過失による職務上の義務違反がなかったとはいえない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成9年9月9日 平成6(オ)362
登載
集民 第185号199頁
参照法条
商法204条1項,商法224条1項,商法231条,商法266条ノ3第1項,商法(平成2年法律第64号による改正前のもの)204条ノ2,商法(平成2年法律第64号による改正前のもの)204条ノ5,商法(平成2年法律第64号による改正前のもの)206条1項,商法(平成2年法律第64号による改正前のもの)232条,民訴法225条
論点6第296条旧商法下の裁判例

取締役を選任する旨の株主総会決議が不存在である場合とその後の取締役を選任する旨の株主総会決議の効力

裁判要旨取締役に選任する旨の株主総会の決議が不存在である場合に、その者を構成員の一員とする取締役会で選任された代表取締役が、その取締役会の招集決定に基づき招集した株主総会において取締役を選任する旨の決議がされたときは、右決議は、いわゆる全員出席総会においてされたなど特段の事情がない限り、不存在である。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成2年4月17日 昭和60(オ)1529
登載
民集 第44巻3号526頁
参照法条
商法231条,商法254条1項,商法258条1項,商法(昭和56年法律第74号による改正前のもの)252条
原

条文原文

原文ママ

e-Gov法令検索から取得した原文を、号・イロハまで省略せずに掲載しています。

会社法 第295条(株主総会の権限) 詳細ページ
(株主総会の権限)
第二百九十五条株主総会は、この法律に規定する事項及び株式会社の組織、運営、管理その他株式会社に関する一切の事項について決議をすることができる。
2前項の規定にかかわらず、取締役会設置会社においては、株主総会は、この法律に規定する事項及び定款で定めた事項に限り、決議をすることができる。
3この法律の規定により株主総会の決議を必要とする事項について、取締役、執行役、取締役会その他の株主総会以外の機関が決定することができることを内容とする定款の定めは、その効力を有しない。
会社法 第296条(株主総会の招集) 詳細ページ
(株主総会の招集)
第二百九十六条定時株主総会は、毎事業年度の終了後一定の時期に招集しなければならない。
2株主総会は、必要がある場合には、いつでも、招集することができる。
3株主総会は、次条第四項の規定により招集する場合を除き、取締役が招集する。
会社法 第298条(株主総会の招集の決定) 詳細ページ
(株主総会の招集の決定)
第二百九十八条取締役(前条第四項の規定により株主が株主総会を招集する場合にあっては、当該株主。次項本文及び次条から第三百二条までにおいて同じ。)は、株主総会を招集する場合には、次に掲げる事項を定めなければならない。
一株主総会の日時及び場所
二株主総会の目的である事項があるときは、当該事項
三株主総会に出席しない株主が書面によって議決権を行使することができることとするときは、その旨
四株主総会に出席しない株主が電磁的方法によって議決権を行使することができることとするときは、その旨
五前各号に掲げるもののほか、法務省令で定める事項
2取締役は、株主(株主総会において決議をすることができる事項の全部につき議決権を行使することができない株主を除く。次条から第三百二条までにおいて同じ。)の数が千人以上である場合には、前項第三号に掲げる事項を定めなければならない。ただし、当該株式会社が金融商品取引法第二条第十六項に規定する金融商品取引所に上場されている株式を発行している株式会社であって法務省令で定めるものである場合は、この限りでない。
3取締役会設置会社における前項の規定の適用については、同項中「株主総会において決議をすることができる事項」とあるのは、「前項第二号に掲げる事項」とする。
4取締役会設置会社においては、前条第四項の規定により株主が株主総会を招集するときを除き、第一項各号に掲げる事項の決定は、取締役会の決議によらなければならない。
会社法 第297条(株主による招集の請求) 詳細ページ
(株主による招集の請求)
第二百九十七条総株主の議決権の百分の三(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上の議決権を六箇月(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前から引き続き有する株主は、取締役に対し、株主総会の目的である事項(当該株主が議決権を行使することができる事項に限る。)及び招集の理由を示して、株主総会の招集を請求することができる。
2公開会社でない株式会社における前項の規定の適用については、同項中「六箇月(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前から引き続き有する」とあるのは、「有する」とする。
3第一項の株主総会の目的である事項について議決権を行使することができない株主が有する議決権の数は、同項の総株主の議決権の数に算入しない。
4次に掲げる場合には、第一項の規定による請求をした株主は、裁判所の許可を得て、株主総会を招集することができる。
一第一項の規定による請求の後遅滞なく招集の手続が行われない場合
二第一項の規定による請求があった日から八週間(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)以内の日を株主総会の日とする株主総会の招集の通知が発せられない場合
出

一次情報

原文ママ

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