この条文が出てくる場面
原文整理テーマ別まとめ概要
原文解釈- 株式会社が、代表取締役以外の取締役に社長・副社長その他株式会社を代表する権限を有するものと認められる名称を付した場合を定める規定である。
- 株式会社がそのような名称を付したときは、当該取締役がした行為について、善意の第三者に対して責任を負う。
- 責任を負う主体は当該名称を付した株式会社であり、行為をしたのは代表権を有しない取締役である。
- 保護される第三者は善意の第三者に限られる。
表見代表取締役の要件
原文解釈横スクロールできます| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 責任主体 | 株式会社 |
| 名称を付された者 | 代表取締役以外の取締役 |
| 付された名称の例 | 社長、副社長その他株式会社を代表する権限を有するものと認められる名称 |
| 対象となる行為 | 当該取締役がした行為 |
| 保護される第三者 | 善意の第三者 |
| 効果 | 株式会社が善意の第三者に対して責任を負う |
主要な判例
原文ママ裁判所が付した参照法条による機械照合で選定本条を直接の参照法条とする登載判例がないため、裁判所が付した参照法条に基づき旧法下の裁判例を掲載しています。現行法との対応関係についての評価は加えていません。
旧商法下の裁判例約束手形金
- 位置づけ
- 最高裁 / 民集登載
- 事件番号
- 昭和52(オ)106
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和52年10月14日 破棄差戻
- 登載
- 民集 第31巻6号825頁
- 参照法条
- 商法262条
- 判示事項
- 代表権の欠缺を知らないことにつき重大な過失がある第三者と商法二六二条に基づく会社の責任
裁判要旨会社は、商法二六二条所定の表見代表取締役の行為につき、重大な過失によりその代表権の欠缺を知らない第三者に対しては、責任を負わない。
旧商法下の裁判例債権確定請求
- 位置づけ
- 最高裁 / 民集登載
- 事件番号
- 昭和44(オ)1048
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和46年2月23日 棄却
- 登載
- 民集 第25巻1号151頁
- 参照法条
- 会社更生法97条1項,商法262条
- 判示事項
- 更生会社の管財人が数人あるのにそのうちの一人が単独で手形行為をした場合に商法二六二条の類推適用があるとされた事例
裁判要旨更生会社の管財人が数人あるにもかかわらず、そのうちの一人が、単独で、管財人の名称を使用して手形行為をした場合において、手形の取得者が、右一人の管財人が単独で手形行為をなすことができると信じて手形を取得し、更生会社においては、数人の管財人の間に会社更生法九七条一項但書の職務分掌の定めはなかつたが、右一人の管財人が更生会社の管財人として常勤し、他の管財人の同意のもとに事実上更生会社の経営部門の職務を担当し、自己の単独名義で手形行為をなすことを他の管財人が黙認していた事情があるときは、更生会社は、商法二六二条の類推適用により、手形行為者としての責に任じなければならない。
旧商法下の裁判例売買代金請求
- 位置づけ
- 最高裁 / 民集登載
- 事件番号
- 昭和45(オ)112
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和45年12月15日 破棄差戻
- 登載
- 民集 第24巻13号2072頁
- 参照法条
- 民訴法58条,民訴法45条,民訴法388条,民訴法389条,民法109条,商法262条
- 判示事項
- 一、会社の訴訟上の代表者の確定と民法一〇九条、商法二六二条の適用の有無 二、控訴裁判所が被告会社代表者の代表権限の欠缺を看過してなされた第一審判決を取り消す場合の措置
裁判要旨一、民法一〇九条、商法二六二条は、会社を訴訟上代表する権限を有する者を定めるにあたつては、適用されない。
二、控訴裁判所が被告会社代表者の代表権限の欠缺を看過してなされた第一審判決を取り消す場合には、原告に対し訴状の補正を命じさせるため、事件を第一審裁判所に差し戻すべきであり、ただちに訴を不適法として却下すべきではない。
二、控訴裁判所が被告会社代表者の代表権限の欠缺を看過してなされた第一審判決を取り消す場合には、原告に対し訴状の補正を命じさせるため、事件を第一審裁判所に差し戻すべきであり、ただちに訴を不適法として却下すべきではない。
実務注記
原文解釈- 名称の範囲条文で挙げられているのは社長・副社長であり、これらに限らず「株式会社を代表する権限を有するものと認められる名称」であれば対象となる。
- 対象者は代表取締役以外の取締役本条が適用されるのは代表取締役以外の取締役に名称を付した場合であり、代表取締役自身は本条の対象ではない。
- 善意の第三者に限定株式会社が責任を負うのは善意の第三者に対してのみであり、条文上「善意の第三者」と規定されている。
- 名称を付したのは株式会社責任の根拠は株式会社が当該名称を付したことにあり、条文は「株式会社は、…名称を付した場合には」と定める。
- 責任の対象は当該取締役がした行為株式会社が責任を負うのは、名称を付された当該取締役がした行為についてである。
条文原文
原文ママ会社法 第354条(表見代表取締役)
(表見代表取締役)
第三百五十四条株式会社は、代表取締役以外の取締役に社長、副社長その他株式会社を代表する権限を有するものと認められる名称を付した場合には、当該取締役がした行為について、善意の第三者に対してその責任を負う。
一次情報
- 条文e-Gov法令検索 会社法 第354条
- 判例裁判所ウェブサイト 裁判例検索
- 注記法令は改正されます。実務判断の際は上記リンクで最新の条文を再確認してください。