民法 / テーマ別まとめ

養子/離縁

離縁の条文と、裁判所が付した判示事項から整理しています。

原文解釈このページは論点を軸に条文と判例を横断して整理したものです。論点の名称と構成は当サイトの整理であり、条文上の区分ではありません。リード文・要点・比較表も当サイトによる解釈です。条文原文と判例の判示事項・裁判要旨は転記です。

このページは民法が定める離縁(協議上の離縁・裁判上の離縁)の要件と手続を整理しています。離縁の方法ごとに、誰の合意や請求で成立するか、家庭裁判所がどの場面で関与するかを中心にまとめました。離縁後の氏の扱いなど、届出後に生じる効果もあわせて確認できます。

離縁の種類・要件
種類要件手続家裁の関与
協議離縁当事者双方の合意届出原則不要
未成年養子(15歳未満)の離縁法定代理人となる人との協議届出協議不成立なら審判
死後の離縁生存当事者が離縁の意思許可の申立て許可が必要
裁判上の離縁悪意の遺棄・3年以上生死不明・重大事由離縁の訴え判決
  • 婚姻の規定の準用にともない、詐欺・強迫による離縁の取消期間は6か月に読み替えられる
  • 離縁の届出は要件違反があると本来受理されないが、誤って受理されても効力は否定されない
  • 悪意の遺棄・生死不明の場合でも、裁判所は一切の事情を考慮して離縁を認めないことができる
  • 離縁で氏は原則戻るが、夫婦で養子にした一方のみと離縁した場合は戻らない
  • 縁組から7年経過後に復氏した人は、離縁後3か月以内の届出で離縁時の氏を称せられる
  • 財産分与に関する規定が離縁にも準用される
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離縁

離縁について、条文は何を定めているか。

第811条協議上の離縁等当事者の合意だけで離縁できる6項判例なし
  • 養親と養子の合意だけで離縁できる
  • 養子が15歳未満なら法定代理人となる人と協議する
  • 一方死亡後の離縁は家裁の許可が必要
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第811_2条夫婦である養親と未成年者との離縁夫婦養親は離縁も夫婦そろって1項判例なし
  • 未成年者との離縁は夫婦がそろって行う
  • 一方が意思表示できない時は単独でも可
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第812条婚姻の規定の準用婚姻の規定を離縁にも準用1項判例なし
  • 成年被後見人の同意など婚姻の規定を離縁に準用
  • 詐欺・強迫による離縁は追認可能時から6か月以内に取消可
  • 離縁の届出も婚姻の届出と同様の方式による
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第813条離縁の届出の受理違反があれば届出は不受理2項判例 1件
  • 法令違反がないと確認しないと届出は受理されない
  • 違反受理でも離縁の効力は否定されない
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第814条裁判上の離縁重大事由等があれば離縁の訴えができる2項・3号判例 6件
  • 悪意の遺棄、3年以上の生死不明、重大事由の場合に提訴できる
  • 悪意の遺棄・生死不明でも裁判所は離縁を認めないことができる
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第815条養子が十五歳未満である場合の離縁の訴えの当事者15歳未満の養子は代理人が訴訟の当事者に1項判例なし
  • 養子が15歳未満の間は協議できる人が訴訟の当事者になる
  • その人に対して、またはその人から訴えを起こせる
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第816条離縁による復氏等離縁で原則、元の氏に戻る2項判例なし
  • 離縁により縁組前の氏に戻るのが原則
  • 夫婦で養子にした一方のみと離縁した場合は戻らない
  • 縁組から7年超の場合、離縁後3か月以内の届出で離縁時の氏を名乗れる
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第817条離縁による復氏の際の権利の承継財産分与の規定を離縁に準用1項判例 2件
  • 離婚の財産分与に関する規定を離縁にも適用
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論

主要な論点と判例

原文ママ

論点の見出しと結論は、裁判所が付した判示事項・裁判要旨をそのまま転記しています。文中の〈 〉内は条文の見出しを当サイトが補ったものです。

論点1第813条民法

夫婦の一方が他方の不正行為を摘発する行為と旧民法第八一三条第五号

裁判要旨夫婦の一方が他方の不正行為を摘発してこれを罪におとすことは、その名誉もしくは面目を著しく毀損するものであつて、改正前の民法第八一三条第五号の重大なる侮辱にあたる。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和27年6月27日 昭和25(オ)241
登載
民集 第6巻6号602頁
参照法条
旧民法813条5号
論点2第814条民法

縁組を継続し難い重大な事由があるとされた事例

裁判要旨農業及び祭祀の承継を目的としてされた成年者を養子とする縁組において、会社に勤務しつつ農作業に従事することを了解していた養子の農業の手伝い方などをめぐつて養父母と養子との間に感情的対立が昂じ、互いに暴言やいやがらせの言動が重なり、養子が養父母に対し押し倒したり足蹴にするなどの暴行を加えたことがあるなど判示の事実関係があるときは、民法八一四条一項三号〈裁判上の離縁 その他縁組を継続し難い重大な事由があるとき。〉にいう「縁組を継続し難い重大な事由」があるものと認めるのが相当である。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和60年12月20日 昭和60(オ)483
登載
集民 第146号379頁
参照法条
民法814条1項3号
論点3第814条民法

養親が提起した離縁請求訴訟と養親の死亡による訴訟承継の成否

裁判要旨養親が養子を相手方として提起した離縁請求訴訟は、養親の死亡により、当然終了する。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和57年11月26日 昭和56(オ)740
登載
集民 第137号555頁
参照法条
民法814条,民訴法208条1項,人事訴訟手続法2条,人事訴訟手続法26条
論点4第814条民法

養親子関係の実質的な破壊と「縁組を継続し難い重大な事由」。

裁判要旨養親子間における実質的な親子関係が客観的に破壊されている場合には、右破壊の原因が全面的にまたは主として離縁を求める者の側にある等、その者からの離縁請求が著しく正義に反するような特段の事情がないかぎり、民法第八一四条第一項第三号〈裁判上の離縁 その他縁組を継続し難い重大な事由があるとき。〉所定の「縁組を継続し難い重大な事由」があるといつてさまたげない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和40年5月21日 昭和39(オ)984
登載
集民 第79号143頁
参照法条
民法814条1項
論点5第814条民法

民法第八一四条第一項第三号〈裁判上の離縁 その他縁組を継続し難い重大な事由があるとき。〉の離縁原因にあたらない事例。

裁判要旨有責者たる養親が無責者たる養子に対し、その意思に反して、民法第八一四条第一項第三号〈裁判上の離縁 その他縁組を継続し難い重大な事由があるとき。〉により離縁を求めることはできない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和39年8月4日 昭和37(オ)392
登載
民集 第18巻7号1309頁
参照法条
民法814条1項3号
論点6第814条民法

民法第八一四条第一項三号〈裁判上の離縁 その他縁組を継続し難い重大な事由があるとき。〉の法意

裁判要旨民法第八一四条第一項三号〈裁判上の離縁 その他縁組を継続し難い重大な事由があるとき。〉にいわゆる「縁組を継続し難い重大な事由」は、その有責事由が当事者のいずれか一方にあることを要するものではない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和37年8月3日 昭和37(オ)171
登載
集民 第62号59頁
参照法条
民法814条1項3号
論点7第814条民法

一民法第八一四条第一項第三号〈裁判上の離縁 その他縁組を継続し難い重大な事由があるとき。〉の法意。
二縁組を継続し難い重大な事由があると認められた事例。
三民訴法第三五条第六号にいわゆる「不服ヲ申立テラレタル前審の裁判」の意義。

裁判要旨一民法第八一四条第一項第三号〈裁判上の離縁 その他縁組を継続し難い重大な事由があるとき。〉にいわゆる「縁組を継続し難い重大な事由」は、当事者双方又は一方の有責事由に限られない。
二原審認定に係る事実関係(原判決理由参照)の下においては、民法第八一四条第一項第三号にいわゆる「縁組を継続し難い重大な事由」があると認めるのを相当とする。
三 民訴法第三五条第六号にいわゆる「不服ヲ申立テラレタル前審ノ裁判」とは、当該事件における直接又は間接の下級審の裁判を指すものと解すべきものである。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和36年4月7日 昭和34(オ)59
登載
民集 第15巻4号706頁
参照法条
民法814条1項3号,民訴法35条6号
論点8第817条民法

一 子を第三者の特別養子とする審判の確定と子の血縁上の父が戸籍上の父と子との間の親子関係不存在の確認を求める訴えの利益
二 子の血縁上の父であると主張する者が戸籍上の父と子との間の親子関係不存在の確認を求める訴えを提起するなどしていたにもかかわらず右訴えの帰すうが定まる前に子を第三者の特別養子とする審判がされた場合における準再審の事由の有無

裁判要旨一 子を第三者の特別養子とする審判が確定した場合には、原則として、子の血縁上の父が戸籍上の父と子との間の親子関係不存在の確認を求める訴えの利益は消滅するが、右審判に準再審の事由があると認められるときは、右訴えの利益は失われない。
二 子の血縁上の父であると主張する甲が戸籍上の父と子との間の親子関係不存在の確認を求める訴えを提起するなどしており、子を第三者の特別養子とする審判を担当する審判官も甲の上申を受けてそのことを知っていたにもかかわらず、右訴えの帰すうが定まる前に子を第三者の特別養子とする審判がされた場合において、甲が子の血縁上の父であるときは、甲について民法八一七条の六ただし書に該当する事由が認められるなどの特段の事情のない限り、右審判には、家事審判法七条、非訟事件手続法二五条、民訴法四二九条、四二〇条一項三号の準再審の事由がある。
裁判
最高裁判所第二小法廷 平成7年7月14日 平成6(オ)425
登載
民集 第49巻7号2674頁
参照法条
民法779条,民法817条の2,民法817条の9,民訴法第2編第1章訴,民訴法420条1項3号,民訴法429条,人事訴訟手続法第2章親子関係事件ニ関スル手続,家事審判法9条1項甲類8号の2
論点9第817条民法

子の血縁上の父であると主張する者が提起した戸籍上の父と子との間の親子関係不存在の確認を求める訴えの係属中に子を第三者の特別養子とする審判が確定した場合につき訴えの利益を否定した原審の判断に違法があるとされた事例

裁判要旨子の血縁上の父であると主張する甲が戸籍上の父と子との間の親子関係不存在の確認を求める訴えを提起したところ、右訴えの帰すうが定まる前に右事情を知る審判官によって子を第三者の特別養子とする審判がされ、これが確定したが、甲について子を虐待し又は悪意で遺棄したなどの民法八一七条の六ただし書に該当することが明白であるとすべき事由が存在するとはいえないという事情の下においては、訴えの利益を否定した原審の判断には、法令の解釈適用を誤った違法がある。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成10年7月14日 平成8(オ)2597
登載
集民 第189号141頁
参照法条
人事訴訟手続法第2章親子関係事件ニ関スル手続,民訴法第2編第1章訴え,民法817条の2,民法817条の6,民法817条の9,家事審判法9条1項甲類8号の2
原

条文原文

原文ママ

e-Gov法令検索から取得した原文を、号・イロハまで省略せずに掲載しています。

民法 第811条(協議上の離縁等) 詳細ページ
(協議上の離縁等)
第八百十一条縁組の当事者は、その協議で、離縁をすることができる。
2養子が十五歳未満であるときは、その離縁は、養親と養子の離縁後にその法定代理人となるべき者との協議でこれをする。
3前項の場合において、養子の父母が離婚しているときは、その協議で、その双方又は一方を養子の離縁後にその親権者となるべき者と定めなければならない。
4前項の協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所は、同項の父若しくは母又は養親の請求によって、協議に代わる審判をすることができる。この場合においては、第八百十九条第七項の規定を準用する。
5第二項の法定代理人となるべき者がないときは、家庭裁判所は、養子の親族その他の利害関係人の請求によって、養子の離縁後にその未成年後見人となるべき者を選任する。
6縁組の当事者の一方が死亡した後に生存当事者が離縁をしようとするときは、家庭裁判所の許可を得て、これをすることができる。
民法 第811_2条(夫婦である養親と未成年者との離縁) 詳細ページ
(夫婦である養親と未成年者との離縁)
第八百十一条の二養親が夫婦である場合において未成年者と離縁をするには、夫婦が共にしなければならない。ただし、夫婦の一方がその意思を表示することができないときは、この限りでない。
民法 第812条(婚姻の規定の準用) 詳細ページ
(婚姻の規定の準用)
第八百十二条第七百三十八条、第七百三十九条及び第七百四十七条の規定は、協議上の離縁について準用する。この場合において、同条第二項中「三箇月」とあるのは、「六箇月」と読み替えるものとする。
民法 第813条(離縁の届出の受理) 詳細ページ
(離縁の届出の受理)
第八百十三条離縁の届出は、その離縁が前条において準用する第七百三十九条第二項の規定並びに第八百十一条及び第八百十一条の二の規定その他の法令の規定に違反しないことを認めた後でなければ、受理することができない。
2離縁の届出が前項の規定に違反して受理されたときであっても、離縁は、そのためにその効力を妨げられない。
民法 第814条(裁判上の離縁) 詳細ページ
(裁判上の離縁)
第八百十四条縁組の当事者の一方は、次に掲げる場合に限り、離縁の訴えを提起することができる。
一他の一方から悪意で遺棄されたとき。
二他の一方の生死が三年以上明らかでないとき。
三その他縁組を継続し難い重大な事由があるとき。
2第七百七十条第二項の規定は、前項第一号及び第二号に掲げる場合について準用する。
民法 第815条(養子が十五歳未満である場合の離縁の訴えの当事者) 詳細ページ
(養子が十五歳未満である場合の離縁の訴えの当事者)
第八百十五条養子が十五歳に達しない間は、第八百十一条の規定により養親と離縁の協議をすることができる者から、又はこれに対して、離縁の訴えを提起することができる。
民法 第816条(離縁による復氏等) 詳細ページ
(離縁による復氏等)
第八百十六条養子は、離縁によって縁組前の氏に復する。ただし、配偶者とともに養子をした養親の一方のみと離縁をした場合は、この限りでない。
2縁組の日から七年を経過した後に前項の規定により縁組前の氏に復した者は、離縁の日から三箇月以内に戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、離縁の際に称していた氏を称することができる。
民法 第817条(離縁による復氏の際の権利の承継) 詳細ページ
(離縁による復氏の際の権利の承継)
第八百十七条第七百六十九条の規定は、離縁について準用する。
出

一次情報

原文ママ

条文は e-Gov法令検索、判例は裁判所ウェブサイトから取得しています。