論点1第1028条民法
遺贈の対象不動産についてされた共同相続登記を遺留分減殺請求による持分の相続登記に更正することの可否
裁判要旨遺贈の対象不動産についてされた共同相続登記を右登記後の遺留分減殺請求による持分の相続登記に更正することはできない。
(補足意見がある。)
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 平成12年5月30日 平成10(オ)994
- 登載
- 集民 第198号225頁
- 参照法条
- 民法896条・民法898条・民法1028条・民法1031条 不動産登記法63条・不動産登記法66条
論点2第1029条民法
相続人が被相続人から贈与された金銭をいわゆる特別受益として遺留分算定の基礎となる財産の価額に加える場合と受益額算定の方法
裁判要旨相続人が被相続人から贈与された金銭をいわゆる特別受益として遺留分算定の基礎となる財産の価額に加える場合には、贈与の時の金額を相続開始の時の貨幣価値に換算した価額をもつて評価すべきである。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和51年3月18日 昭和49(オ)1134
- 登載
- 民集 第30巻2号111頁
- 参照法条
- 民法903条,民法904条,民法1029条,民法1044条
論点3第1029条民法
被相続人が相続開始時に債務を有していた場合における遺留分の侵害額の算定
裁判要旨被相続人が相続開始時に債務を有していた場合における遺留分の侵害額は、被相続人が相続開始時に有していた財産の価額にその贈与した財産の価額を加え、その中から債務の全額を控除して遺留分算定の基礎となる財産額を確定し、それに法定の遺留分の割合を乗じるなどして算定した遺留分の額から遺留分権利者が相続によって得た財産の額を控除し、同人が負担すべき相続債務の額を加算して算定する。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 平成8年11月26日 平成5(オ)947
- 登載
- 民集 第50巻10号2747頁
- 参照法条
- 民法1029条,民法1031条
論点4第1029条民法
相続人のうちの1人に対して財産全部を相続させる旨の遺言がされた場合において,遺留分の侵害額の算定に当たり,遺留分権利者の法定相続分に応じた相続債務の額を遺留分の額に加算することの可否
裁判要旨相続人のうちの1人に対して財産全部を相続させる旨の遺言がされた場合には,遺言の趣旨等から相続債務については当該相続人にすべてを相続させる意思のないことが明らかであるなどの特段の事情のない限り,相続人間においては当該相続人が相続債務もすべて承継したと解され,遺留分の侵害額の算定に当たり,遺留分権利者の法定相続分に応じた相続債務の額を遺留分の額に加算することは許されない。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 平成21年3月24日 平成19(受)1548
- 登載
- 民集 第63巻3号427頁
- 参照法条
- 民法427条,民法899条,民法902条,民法908条,民法1029条,民法1031条
論点5第1030条民法
遺留分減殺の対象としての要件を満たす贈与に基づき目的物を占有した者の取得時効の援用と減殺請求による遺留分権利者への右目的物についての権利の帰属
裁判要旨遺留分減殺の対象としての要件を満たす贈与を受けた者が、右贈与に基づいて目的物の占有を取得し、民法
一六二条〈所有権の取得時効〉所定の期間、平穏かつ公然にこれを継続し、取得時効を援用したとしても、右贈与に対する減殺請求による遺留分権利者への右目的物についての権利の帰属は妨げられない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 平成11年6月24日 平成8(オ)2292
- 登載
- 民集 第53巻5号918頁
- 参照法条
- 民法162条,民法1030条,民法1031条
論点6第1030条民法
民法九〇三条一項〈特別受益者の相続分〉の定める相続人に対する贈与と遺留分減殺の対象
裁判要旨民法
九〇三条一項〈特別受益者の相続分〉の定める相続人に対する贈与は、右贈与が相続開始よりも相当以前にされたものであって、その後の時の経過に伴う社会経済事情や相続人など関係人の個人的事情の変化をも考慮するとき、減殺請求を認めることが右相続人に酷であるなどの特段の事情のない限り、同法
一〇三〇条〈配偶者居住権の存続期間〉の定める要件を満たさないものであっても、遺留分減殺の対象となる。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 平成10年3月24日 平成9(オ)2117
- 登載
- 民集 第52巻2号433頁
- 参照法条
- 民法903条1項,民法1030条,民法1031条,民法1044条
論点7第1031条民法
遺留分権利者の行使する減殺請求権の性質
裁判要旨遺留分権利者の行使する減殺請求権は形成権である。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和44年1月28日 昭和42(オ)1465
- 登載
- 集民 第94号15頁
- 参照法条
- 民法1031条
論点8第1031条民法
遺留分権利者の減殺請求権の性質。
裁判要旨遺留分権利者の減殺請求権は形成権であると解すべきである。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和41年7月14日 昭和40(オ)1084
- 登載
- 民集 第20巻6号1183頁
- 参照法条
- 民法1031条
論点9第1031条民法
遺言者の財産全部の包括遺贈に対して遺留分権利者が減殺請求権を行使した場合に遺留分権利者に帰属する権利の性質
裁判要旨遺言者の財産全部の包括遺贈に対して遺留分権利者が減殺請求権を行使した場合に遺留分権利者に帰属する権利は、遺産分割の対象となる相続財産としての性質を有しない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 平成8年1月26日 平成3(オ)1772
- 登載
- 民集 第50巻1号132頁
- 参照法条
- 民法898条,民法907条,民法964条,民法1031条
論点10第1031条民法
遺贈に対する遺留分減殺請求について価額による弁償が行われた場合と所得税法五九条一項一号の遺贈
裁判要旨法人に対する遺贈について、遺留分権利者による減殺の請求がされた場合であっても、これに対して民法一〇四一条一項の価額による弁償が行われたときは、右遺贈は、所得税法五九条一項一号の遺贈に当たる。
(補足意見及び反対意見がある。)
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 平成4年11月16日 平成3(行ツ)84
- 登載
- 集民 第166号613頁
- 参照法条
- 所得税法59条1項1号,民法1031条,民法1041条1項
論点11第1031条民法
1 相続分の指定が遺留分減殺請求により減殺された場合の効果
2 特別受益に当たる贈与についてされたいわゆる持戻し免除の意思表示が遺留分減殺請求により減殺された場合における具体的相続分の算定方法
裁判要旨1 遺留分減殺請求により相続分の指定が減殺された場合には,遺留分割合を超える相続分を指定された相続人の指定相続分が,その遺留分割合を超える部分の割合に応じて修正される。
2 特別受益に当たる贈与についてされた当該贈与に係る財産の価額を相続財産に算入することを要しない旨の被相続人の意思表示が遺留分減殺請求により減殺された場合,当該贈与に係る財産の価額は,上記意思表示が遺留分を侵害する限度で,遺留分権利者である相続人の相続分に加算され,当該贈与を受けた相続人の相続分から控除される。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 平成24年1月26日 平成23(許)25
- 登載
- 集民 第239号635頁
- 参照法条
- (1,2につき)民法1031条 (1につき)民法902条 (2につき)民法903条
論点12第1031条民法
自己を被保険者とする生命保険契約の契約者が死亡保険金の受取人を変更する行為と民法1031条に規定する遺贈又は贈与
裁判要旨自己を被保険者とする生命保険契約の契約者が死亡保険金の受取人を変更する行為は,民法
1031条〈配偶者居住権の登記等〉に規定する遺贈又は贈与に当たるものではなく,これに準ずるものということもできない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 平成14年11月5日 平成11(受)1136
- 登載
- 民集 第56巻8号2069頁
- 参照法条
- 民法1031条,商法675条1項
論点13第1031条民法
遺留分減殺請求権を債権者代位の目的とすることの可否
裁判要旨遺留分減殺請求権は,遺留分権利者が,これを第三者に譲渡するなど,権利行使の確定的意思を有することを外部に表明したと認められる特段の事情がある場合を除き,債権者代位の目的とすることができない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 平成13年11月22日 平成10(オ)989
- 登載
- 民集 第55巻6号1033頁
- 参照法条
- 民法423条1項,民法1031条
論点14第1031条民法
一 遺産分割協議の申入れに遺留分減殺の意思表示が含まれていると解すべき場合
二 遺留分減殺の意思表示が記載された内容証明郵便が留置期間の経過により差出人に還付された場合に意思表示の到達が認められた事例
裁判要旨一 被相続人の全財産が相続人の一部の者に遺贈された場合において、遺留分減殺請求権を有する相続人が、遺贈の効力を争うことなく、遺産分割協議の申入れをしたときは、特段の事情のない限り、その申入れには遺留分減殺の意思表示が含まれていると解すべきである。
二 遺留分減殺の意思表示が記載された内容証明郵便が留置期間の経過により差出人に還付された場合において、受取人が、不在配達通知書の記載その他の事情から、その内容が遺留分減殺の意思表示又は少なくともこれを含む遺産分割協議の申入れであることを十分に推知することができ、また、受取人に受領の意思があれば、郵便物の受取方法を指定することによって、さしたる労力、困難を伴うことなく右内容証明郵便を受領することができたなど判示の事情の下においては、右遺留分減殺の意思表示は、社会通念上、受取人の了知可能な状態に置かれ、遅くとも留置期間が満了した時点で受取人に到達したものと認められる。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 平成10年6月11日 平成9(オ)685
- 登載
- 民集 第52巻4号1034頁
- 参照法条
- 民法97条,民法907条,民法1031条
論点15第1031条民法
遺留分減殺請求を受けるよりも前に遺贈の目的を譲渡した受遺者が遺留分権利者に対してすべき価額弁償の額の算定
裁判要旨遺留物減殺請求を受けるよりも前に遺贈の目的を譲渡した受遺者が遺留分権利者に対して価額弁償すべき額は、譲渡の価額がその当時において客観的に相当と認められるべきものであったときは、右価額を基準として算定すべきである。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 平成10年3月10日 平成8(オ)20
- 登載
- 民集 第52巻2号319頁
- 参照法条
- 民法1031条,民法1040条1項
論点16第1034条民法
一 真正の相続人でない第三者が表見相続人に対し特定財産に対する家督相続の効力を争うことの許否
二 第三者が被相続人と表見相続人との親子関係の不存在を主張できない事例
裁判要旨一 真正の相続人が家督相続の回復をしない限り、真正相続人以外の第三者は、個々の特定財産についても、表見家督相続人に対し、相続の無効を理由として、その承継取得の効力を争うことはできない。
二 表見相続人が被相続人の子であるものとしてなされた家督相続につき相続の無効を主張できない者は、被相続人の妻が表見相続人の母(親権者)としてなした限定承認および債務弁済のための相続財産の競売申立につき、被相続人夫婦と表見相続人とは親子関係がなく、代理権のない者のなした不適法な行為であることを理由として、その効力を争うことはできない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和32年9月19日 昭和27(オ)128
- 登載
- 民集 第11巻9号1574頁
- 参照法条
- 旧民法966条,旧民法1034条
論点17第1034条民法
相続人に対する遺贈と民法一〇三四条にいう目的の価額
裁判要旨相続人に対する遺贈が遺留分減殺の対象となる場合においては、右遺贈の目的の価額のうち受遺者の遺留分額を超える部分のみが、民法
一〇三四条〈居住建物の費用の負担〉にいう目的の価額に当たる。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 平成10年2月26日 平成9(オ)802
- 登載
- 民集 第52巻1号274頁
- 参照法条
- 民法1034条