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物権/地上権

地上権の条文と、裁判所が付した判示事項から整理しています。

原文解釈このページは論点を軸に条文と判例を横断して整理したものです。論点の名称と構成は当サイトの整理であり、条文上の区分ではありません。リード文・要点・比較表も当サイトによる解釈です。条文原文と判例の判示事項・裁判要旨は転記です。

地上権は、他人の土地に工作物や竹木を所有する目的で、その土地を使用できる権利です。存続期間の定め方や地代の扱い、権利消滅時の工作物の収去・買取り、地下や空間だけを目的とする地上権など、実務で確認すべき条文上のルールを整理しています。

地上権
項目内容
権利の内容他人の土地に工作物・竹木を所有し使用
存続期間の定めなしいつでも放棄可能
地代ありの放棄1年前予告か1年分前払い
裁判所による期間決定20年以上50年以下で決定
工作物の収去消滅時に原状回復して収去
買取請求への対応時価相当額提示で買取拒否不可
地代の規定賃貸借規定を準用
相隣関係準用(境界工作物は設定後のみ)
地下・空間地上権上下範囲を定めて設定可
  • 地代準用先の274~276条自体はこの表の対象外(引用条文)
  • 269条1項と異なる慣習があればその慣習が優先
  • 相隣関係の準用は地上権者間・地上権者と土地所有者の間に限られる
  • 229条(境界線上の工作物)の準用は地上権設定後に設けられた場合のみ
  • 地下・空間地上権は第三者に使用収益権がある場合、その権利者全員の承諾があれば設定できる
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地上権

地上権について、条文は何を定めているか。

第265条地上権の内容他人の土地に工作物・竹木を持てる権利1項判例 4件
  • 地上権は工作物や竹木を所有する目的で土地を使う権利
  • 建物や竹木を持つために他人の土地を使用できる
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第266条地代地代のルールは賃貸借の規定を準用2項判例 3件
  • 定期地代の支払いには274条〈小作料の減免〉から276条〈永小作権の消滅請求〉までを準用
  • それ以外は性質に反しない限り賃貸借の規定を準用
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第267条相隣関係の規定の準用相隣関係の規定を地上権にも準用1項判例 1件
  • 相隣関係の規定は地上権者間や地上権者と土地所有者の間に準用
  • 境界線上の工作物に関する229条〈境界標等の共有の推定〉は設定後に設けた場合だけ準用
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第268条地上権の存続期間存続期間の定めがなければいつでも放棄可2項判例なし
  • 期間の定めがなく慣習もなければいつでも放棄できる
  • 地代があるときは1年前予告か1年分の地代前払いが必要
  • 放棄しないときは裁判所が20年以上50年以下で期間を定める
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第269条工作物等の収去等消滅時に工作物・竹木を収去できる2項判例なし
  • 権利消滅時は土地を原状に戻して工作物・竹木を収去できる
  • 土地所有者が時価相当額で買取を通知すれば正当理由なく拒めない
  • これと異なる慣習があればその慣習に従う
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第269_2条地下又は空間を目的とする地上権地下・空間だけを目的にする地上権も可能2項判例なし
  • 地下や空間に上下の範囲を定めて地上権を設定できる
  • 設定行為で地上権行使のため土地使用に制限を加えられる
  • 第三者に使用収益権があっても全員の承諾があれば設定できる
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論

主要な論点と判例

原文ママ

論点の見出しと結論は、裁判所が付した判示事項・裁判要旨をそのまま転記しています。文中の〈 〉内は条文の見出しを当サイトが補ったものです。

論点1第265条民法

地上権者と土地境界確定訴訟の当事者適格

裁判要旨係争土地の地上権者は、境界確定訴訟の当事者適格を有しない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和57年7月15日 昭和55(オ)624
登載
集民 第136号597頁
参照法条
民訴法45条,民法265条
論点2第265条民法

一、生前相続による不動産所有権の取得と同一不動産の遺贈を受けた遺産相続人に対する対抗
二、夫婦間の土地利用関係が地上権の設定とは認められないとされた事例

裁判要旨一、旧民法(明治三一年法律第九号)施行当時において生前相続により不動産所有権を承継した家督相続人は、その登記を経なければ所有権取得をもつて第三者に対抗することができず、被相続人から同一不動産の遺贈を受けた者は、同時に被相続人の遺産相続人である場合でも、右第三者にあたる。
二、夫がその所有の土地を無償で使用することを妻に対して許諾し、妻がその地上に建築した建物に、夫婦で同居しているなど判示の事情がある場合でも、他に特段の事情がないときは、右土地の利用関係をもつて、建物所有を目的とする地上権が設定されたものと認めることはできない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和47年7月18日 昭和46(オ)922
登載
集民 第106号475頁
参照法条
民法177条,民法265条,民法593条
論点3第265条民法

地上権の時効取得が認められた事例

裁判要旨(省略)
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和46年11月26日 昭和45(オ)788
登載
集民 第104号479頁
参照法条
民法163条,民法265条
論点4第265条民法

従前の土地所有者は仮換地について地上権を設定することができるか

裁判要旨従前の宅地の所有者は仮換地自体について、その本換地として確定する以前にこれを使用収益しうべき旨の地上権を設定することはできない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和42年6月29日 昭和39(オ)751
登載
集民 第87号1377頁
参照法条
民法265条,土地区画整理法99条
論点5第266条民法

地上権者が地上権設定契約の合意解除をもつて地上権者からの当該土地の賃借人に対抗しうる場合

裁判要旨地上権者が地上権の目的土地を第三者に賃貸したのちに地上権設定者と地上権者とが合意で地上権設定契約を解除した場合、地上権設定者は、原則として、右第三者(賃借人)に対し、右合意解除により地上権者と賃借人との間の賃貸借契約が終了したと主張することはできないが、地上権設定者が、地上権者の債務不履行を理由として民法二六六条一項、二七六条所定の地上権の消滅請求又は法定の解除権を行使する旨の意思表示をし、これによつて地上権設定契約及びこれを基礎とする右賃貸借契約が既に終了しているといえる事実関係のあるときには、合意解除されても、地上権設定者が、これに応ずるに当たつて、右の賃貸借契約の終了によつて受けうべき利益を放棄したといえる事情のあるときは格別、そうでない限り、地上権設定者は、合意解除により地上権者と賃借人との間の賃貸借契約も終了した旨主張することができる。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和59年10月8日 昭和58(オ)513
登載
集民 第143号29頁
参照法条
民法266条1項,民法276条,民法398条,民法545条1項
論点6第266条民法

一 当事者双方不出頭の口頭弁論期日における弁論終結の際の判決言渡期日指定の告知

二 土地所有者が地代の受領を拒絶し又はこれを受領しない意思が明確であるため地上権者において提供をするまでもなく債務不履行の責を免れる事情にある場合と民法二六六条一項〈地代〉二七六条〈永小作権の消滅請求〉に基づく地上権消滅請求

裁判要旨一 当事者双方不出頭の口頭弁論期日において弁論を終結するに際し、裁判長が法廷において判決言渡期日を指定し、これを告知する方法としてその言渡をしたときは、当事者に対してその効力を生じ、更に右期日に出頭すべき旨の呼出状を送達することを要しない。

二 土地所有者が地代の受領を拒絶し又は地上権の存在を否定する等弁済を受領しない意思が明確であるため地上権者が言語上の提供をするまでもなく地代債務の不履行の責を免れるという事情がある場合には、土地所有者は、みずから受領拒絶の態度を改め、以後地代を提供されればこれを確実に受領すべき旨を明らかにしたのち相当期間を経過したか、又は相当期間を定めて催告をしたにもかかわらず地上権者が右期間を徒過した等、自己の受領遅滞又はこれに準ずる事態を解消させる措置を講じたのちでなければ、民法二六六条一項〈地代〉、二七六条〈永小作権の消滅請求〉に基づく地上権消滅請求の意思表示をすることができない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和56年3月20日 昭和53(オ)400
登載
民集 第35巻2号219頁
参照法条
民訴法190条2項,民訴法207条,民法266条1項,民法276条
論点7第266条民法

法定地上権の移転と未払地代支払債務の承継の有無

裁判要旨建物の所有を目的とする法定地上権と共にその建物の所有権を取得した者は、前主の未払地代の支払債務を当然には承継しない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成3年10月1日 平成3(オ)35
登載
集民 第163号327頁
参照法条
民法266条,民法388条
論点8第267条民法

民法第二一三条〈分割によって公道に通じない土地が生じたときは、その土地の所有者は、公道に至るため、他の分割者の所有地のみを通行することが…〉の規定は土地の賃借人に準用されるか。

裁判要旨民法第二一三条〈分割によって公道に通じない土地が生じたときは、その土地の所有者は、公道に至るため、他の分割者の所有地のみを通行することが…〉の規定は、農地を賃借してその引渡を受けた者と土地の所有者との間にこれを準用すべきである。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和36年3月24日 昭和31(オ)917
登載
民集 第15巻3号542頁
参照法条
民法213条,民法267条
原

条文原文

原文ママ

e-Gov法令検索から取得した原文を、号・イロハまで省略せずに掲載しています。

民法 第265条(地上権の内容) 詳細ページ
(地上権の内容)
第二百六十五条地上権者は、他人の土地において工作物又は竹木を所有するため、その土地を使用する権利を有する。
民法 第266条(地代) 詳細ページ
(地代)
第二百六十六条第二百七十四条から第二百七十六条までの規定は、地上権者が土地の所有者に定期の地代を支払わなければならない場合について準用する。
2地代については、前項に規定するもののほか、その性質に反しない限り、賃貸借に関する規定を準用する。
民法 第267条(相隣関係の規定の準用) 詳細ページ
(相隣関係の規定の準用)
第二百六十七条前章第一節第二款(相隣関係)の規定は、地上権者間又は地上権者と土地の所有者との間について準用する。ただし、第二百二十九条の規定は、境界線上の工作物が地上権の設定後に設けられた場合に限り、地上権者について準用する。
民法 第268条(地上権の存続期間) 詳細ページ
(地上権の存続期間)
第二百六十八条設定行為で地上権の存続期間を定めなかった場合において、別段の慣習がないときは、地上権者は、いつでもその権利を放棄することができる。ただし、地代を支払うべきときは、一年前に予告をし、又は期限の到来していない一年分の地代を支払わなければならない。
2地上権者が前項の規定によりその権利を放棄しないときは、裁判所は、当事者の請求により、二十年以上五十年以下の範囲内において、工作物又は竹木の種類及び状況その他地上権の設定当時の事情を考慮して、その存続期間を定める。
民法 第269条(工作物等の収去等) 詳細ページ
(工作物等の収去等)
第二百六十九条地上権者は、その権利が消滅した時に、土地を原状に復してその工作物及び竹木を収去することができる。ただし、土地の所有者が時価相当額を提供してこれを買い取る旨を通知したときは、地上権者は、正当な理由がなければ、これを拒むことができない。
2前項の規定と異なる慣習があるときは、その慣習に従う。
民法 第269_2条(地下又は空間を目的とする地上権) 詳細ページ
(地下又は空間を目的とする地上権)
第二百六十九条の二地下又は空間は、工作物を所有するため、上下の範囲を定めて地上権の目的とすることができる。この場合においては、設定行為で、地上権の行使のためにその土地の使用に制限を加えることができる。
2前項の地上権は、第三者がその土地の使用又は収益をする権利を有する場合においても、その権利又はこれを目的とする権利を有するすべての者の承諾があるときは、設定することができる。この場合において、土地の使用又は収益をする権利を有する者は、その地上権の行使を妨げることができない。
出

一次情報

原文ママ

条文は e-Gov法令検索、判例は裁判所ウェブサイトから取得しています。