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代理権

公的資料に現れる論点です。条文と判例から整理しています。

原文解釈このページは論点を軸に条文と判例を横断して整理したものです。論点の名称と構成は当サイトの整理であり、条文上の区分ではありません。リード文・要点・比較表も当サイトによる解釈です。条文原文と判例の判示事項・裁判要旨は転記です。

代理権について、代理人が自分や第三者の利益のために代理権を使った場合の扱い、代理権が消滅する事由、そして代理権が消滅した後に第三者との取引で本人がどこまで責任を負うかを定めた規定です。代理人に権限を与える側(本人)にとっては、委任終了後の元代理人の行為や代理権の濫用リスクを把握するうえで実務上重要な条文群です。

代理権
区分要件効果
代理権の濫用自己等の利益目的を相手方が知り得た無権代理とみなす
本人の死亡本人が死亡した代理権が消滅する
代理人の死亡等死亡・破産手続開始・後見開始の審判代理権が消滅する
委任の終了(委任代理のみ)委任契約が終了した代理権も消滅する
消滅後・範囲内の行為第三者が消滅の事実を知らず無過失本人が責任を負う
消滅後・範囲外の行為代理権ありと信ずべき正当理由本人が責任を負う
  • 107条の「知ることができたとき」は過失があれば足り、重過失に限られません。
  • 112条1項は、第三者に過失があって消滅を知らなかった場合は本人は責任を負いません。
  • 112条2項の責任は、第三者に代理権があると信じる正当な理由がある場合に限られます。
  • 111条1項の消滅事由は本人側の事由と代理人側の事由に分かれます。
  • 委任による代理権は、111条1項の事由に加えて委任の終了によっても消滅します(111条2項)。
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代理権

代理権について、条文は何を定めているか。

第107条代理権の濫用代理人が自分の利益を図ると無権代理扱い1項判例 3件
  • 代理人が自分や第三者の利益のために代理権の範囲内で行為した場合の規定です
  • 相手方がその目的を知っていた、または知ることができたときが対象です
  • 要件を満たすと、無権代理人がした行為とみなされます
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第111条代理権の消滅事由本人・代理人の死亡などで代理権が消える2項・2号判例 4件
  • 本人が死亡すると代理権は消滅します
  • 代理人が死亡、破産手続開始、後見開始の審判を受けると代理権は消滅します
  • 委任による代理権は、委任の終了によっても消滅します
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第112条代理権消滅後の表見代理等代理権消滅後も相手が知らなければ本人が責任を負う2項判例 13件
  • 代理権消滅後、範囲内の行為なら、消滅を知らなかった第三者に本人が責任を負います
  • ただし第三者に過失があって知らなかった場合、本人は責任を負いません
  • 範囲外の行為でも、代理権があると信じる正当な理由があれば本人が責任を負います
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論

主要な論点と判例

原文ママ

論点の見出しと結論は、裁判所が付した判示事項・裁判要旨をそのまま転記しています。文中の〈 〉内は条文の見出しを当サイトが補ったものです。

論点1第107条民法

受寄者の復受寄者に対する出荷停止の指図がその間の定めによれば無効である場合に復受寄者のした出荷と寄託者に対する債務不履行の成否

裁判要旨受寄者が復受寄者に対してした電話による出荷停止の指図がその間の寄託契約に適用される復受寄者の倉庫寄託約款の定めによれば方式違背として無効である場合には、復受寄者が右指図に反してした出荷は、寄託者に対する関係においても債務不履行とはならない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和61年4月18日 昭和58(オ)1199
登載
集民 第147号557頁
参照法条
民法107条2項,民法658条2項
論点2第107条民法

復代理人が委任事務を処理するにあたり受領した物を代理人に引き渡した場合と復代理人の本人に対する受領物引渡義務

裁判要旨本人代理人間で委任契約が締結され、代理人復代理人間で復委任契約が締結された場合において、復代理人が委任事務を処理するにあたり受領した物を代理人に引き渡したときは、特別の事情がない限り、復代理人の本人に対する受領物引渡義務は消滅する。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和51年4月9日 昭和49(オ)1026
登載
民集 第30巻3号208頁
参照法条
民法104条,民法107条2項,民法646条1項
論点3第107条民法

問屋が受託事務を再委託した場合と民法第一〇七条第二項の準用の有無

裁判要旨物品販売の委託を受けた問屋が他の問屋にこれを再委託した場合、再委託を受けた問屋と委託者本人との間に民法第一〇七条第二項を準用すべきでない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和31年10月12日 昭和27(オ)915
登載
民集 第10巻10号1260頁
参照法条
商法552条2項,民法107条2項
論点4第111条民法

不動産の譲渡人の死亡後同人の代理人の名義でなされた登記とその抹消請求の許否

裁判要旨不動産の譲渡人から与えられた代理権に基き、譲渡人の死亡後同人の代理人名義の申請によつてなされた移転登記は、それが現在の真実な権利状態に符合するものである限り、対抗力を有し、譲渡人の相続人は譲受人に対し、その抹消を請求することはできない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和31年7月27日 昭和28(オ)111
登載
民集 第10巻8号1122頁
参照法条
民法111条,民法177条
論点5第111条民法

民法第一一一条第一項第一号〈代理権の消滅事由 本人の死亡〉と異なる同意の効力

裁判要旨本人の死亡を代理権消滅の原因とする民法第一一一条第一項第一号の規定は、これと異なる合意の効力を否定する趣旨ではない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和31年6月1日 昭和29(オ)976
登載
民集 第10巻6号612頁
参照法条
民法111条1項1号
論点6第111条民法

不動産または電話加入権の譲渡人の死亡後同人またはその代理人の名義でなされた登記登録と相続人の抹消請求の許否

裁判要旨不動産の所有権移転登記または電話加入名義の変更登録が事実上の権利関係に合致するときは、たとえ右登記登録が譲渡人の死亡後同人またはその代理人名義の申請によりなされたものであつても、譲渡人の相続人は、譲受人に対しその抹消を請求することはできない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和29年12月17日 昭和27(オ)106
登載
民集 第8巻12号2182頁
参照法条
民法111条,民法653条,不動産登記法26条,旧電話規則(昭和12年逓信省令73号)7条
論点7第111条民法

一 戸籍法第八九条〈果実の帰属〉による戦死報告に基く戸籍簿の記載の証拠力
二 民法第一一一条第一項第一号〈代理権の消滅事由 本人の死亡〉の趣旨
三 民訴第五七条および同第八五条〈定義〉の趣旨

裁判要旨一 戸籍簿に戦死した旨記載されている者は、右記載が戸籍法第八九条の報告に基いて登載されたものと認められるときは、反証がない限り、戸籍簿に記載されている日に死亡したものと認むべきである。
二 本人の死亡を代理権消滅の原因とする民法第一一一条〈代理権の消滅事由〉の規定は、これと異なる合意の効力を否定する趣旨ではない。
三 民訴第五七条および同第八五条〈定義〉は、法定代理人又は訴訟代理人の訴訟行為の効果が実質上死亡者の相続人に帰属することを容認するものと解すべきである。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和28年4月23日 昭和24(オ)112
登載
民集 第7巻4号396頁
参照法条
戸籍法89条,民法111条1項1号,民訴法57条1項,民訴法85条
論点8第112条民法

団体の名目的な代表者となることを団体の事業を専行処理している他人に許諾した場合におしてその他人が団体名義で第三者とした取引と民法の表見代理に関する規定及び商法二三条の規定の類推適用の有無

裁判要旨権利能力なき社団又は財団としての実態をも有しない団体の名目的な代表者となることを、その団体の事業を専行処理している甲に対して許諾したにすぎない乙は、甲が右団体名義で第一者とした取引につき、その取引の実質は乙と右第三者との取引に等しいものであることが甲と右第三者との間において了解されていたというような特段の事情のない限り、民法の表見代理に関する規定及び商法二三条の規定の類推適用によつて右取引についての責任を負うものではない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和53年3月28日 昭和50(オ)428
登載
集民 第123号297頁
参照法条
民法109条,民法110条,民法112条,商法23条
論点9第112条民法

株式会社が代表取締役の退任及び代表権の喪失を登記したときと民法一一二条〈代理権消滅後の表見代理等〉

裁判要旨株式会社が代表取締役の退任及び代表権の喪失につき登記したときは、その後その者が会社の代表者として第三者とした取引については、民法一一二条〈代理権消滅後の表見代理等〉の適用はない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和49年3月22日 昭和48(オ)142
登載
民集 第28巻2号368頁
参照法条
民法112条,商法12条
論点10第112条民法

民法一一二条〈代理権消滅後の表見代理等〉の表見代理が成立するためには相手方が代理権の消滅する前に代理人と取引をしたことがあることを要するか

裁判要旨民法一一二条〈代理権消滅後の表見代理等〉の表見代理が成立するためには、相手方が、代理権の消滅する前に代理人と取引をしたことがあることを要するものではなく、かような事実は、同条所定の相手方の善意無過失に関する認定のための一資料となるにとどまるものと解すべきである。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和48年5月25日 昭和47(オ)808
登載
集民 第109号251頁
参照法条
民法112条
論点11第112条民法

公正証書の作成嘱託と表見代理

裁判要旨公正証書の作成嘱託については、表見代理の法理の適用はない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和48年2月27日 昭和47(オ)557
登載
集民 第108号241頁
参照法条
民法109条,民法110条,民法112条
論点12第112条民法

民法一一〇条〈権限外の行為の表見代理〉および一一二条〈代理権消滅後の表見代理等〉による表見代理につき相手方に過失がないとされた事例

裁判要旨債権者甲信用金庫、債務者乙間の元本六〇万円の準消費貸借契約に関し、丙が丁の代理人として右債務につき連帯保証をした場合において、丁がかつて丙に他の契約の補正に関連して実印を交付し代理権を与えたことがあつたにすぎず、右連帯保証につき代理権を与えたことがなかつたとしても、甲は右連帯保証がされる約一年二か月前に丁の連帯保証のもとに借主を乙名義として丙に四〇万円を貸与した際、直接丁に保証の意思を確かめたことがあり、かつ、その際、契約書に押捺された丁の印影が右準消費貸借の連帯保証における丁の印影と同一である等判示の事情があつたときは、甲が後の連帯保証に際し直接丁に保証の意思を確かめなかつたとしても、特段の事情がないかぎり、甲が丙に代理権ありと信ずるにつき正当の理由があり、かつ、過失はないものというべきである。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和46年4月20日 昭和45(オ)707
登載
集民 第102号513頁
参照法条
民法110条,民法112条
論点13第112条民法

無権代理行為が追認されたのちに無権代理人が新たに無権代理行為をした場合と民法一一〇条〈権限外の行為の表見代理〉一一二条〈代理権消滅後の表見代理等〉の類推適用

裁判要旨無権代理人甲が乙の代理人と称して丙と締結した抵当権設定契約を乙が追認したのち、甲が乙の代理人と称して丁と抵当権設定契約を締結した場合において、丁が甲に乙を代理して右抵当権設定契約をする権限があると信ずべき正当の事由を有するときは、乙は、民法一一〇条〈権限外の行為の表見代理〉および一一二条〈代理権消滅後の表見代理等〉の類推適用により、甲のした抵当権設定契約につき責に任じなければならない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和45年12月24日 昭和42(オ)1391
登載
民集 第24巻13号2230頁
参照法条
民法110条,民法112条
論点14第112条民法

民法一一二条〈代理権消滅後の表見代理等〉の表見代理が成立するためには相手方がかつて当該代理人と取引をしたことがあることを要するか

裁判要旨民法一一二条〈代理権消滅後の表見代理等〉の表見代理が成立するためには、相手方が、代理権の消滅する前に代理人と取引をしたことがあることを要するものではなく、かような事実は、同条所定の相手方の善意無過失に関する認定のための一資料となるにとどまるものと解すべきである。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和44年7月25日 昭和42(オ)209
登載
集民 第96号407頁
参照法条
民法112条
論点15第112条民法

民法第一一二条〈代理権消滅後の表見代理等〉の表見代理の主張に対し商法第二六二条の表見代表取締役の規定を適用して判断することの可否。

裁判要旨当事者が民法第一一二条の表見代理による約束手形金の支払請求を主張している場合であっても、商法第二六二条の要件事実が主張されている以上、同条の表見代表取締役の行為による会社に対する責任に基づいて、請求を認容することに違法はない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和39年6月12日 昭和38(オ)306
登載
集民 第74号57頁
参照法条
民法112条,商法262条,民訴法186条
論点16第112条民法

代理権消滅に関する相手方代理人の悪意と民法第一一二条の適用。

裁判要旨代理権消滅の事実を相手方の代理人が知つていた場合には、民法第一一二条〈代理権消滅後の表見代理等〉による表見代理は成立しない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和38年7月25日 昭和35(オ)347
登載
集民 第67号111頁
参照法条
民法112条
論点17第112条民法

一 小切手振出の代理権消滅後の手形振出と本人の責任
二 手形の受取人に表見代理の成立する場合と所持人に対する本人の責任

裁判要旨一 当座勘定取引のため小切手を振出す代理権しかない者が、その代理権消滅後、代理人と称して約束手形を振出した場合に、受取人が右代理権の消滅につき善意無過失で、右の者に手形振出の権限があると信じるにつき正当の理由を有するときは、本人は受取人に対し振出人としての責任を免れない。
二 無権代理人の振出した約束手形につき、本人が民法第一一〇条及び第一一二条に基き振出人としての責任を負うときは、受取人からその手形の裏書譲渡を受けた者に対しても、その者の善意悪意を問わず、振出人としての責任を免れない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和35年12月27日 昭和30(オ)286
登載
民集 第14巻14号3234頁
参照法条
民法110条,民法112条,手形法8条,手形法14条
論点18第112条民法

従前の代理人が代理権の消滅後従前の代理権の範囲に属しない行為をした場合と本人の責任

裁判要旨代理権の消滅後従前の代理人がなお代理人と称して従前の代理権の範囲に属しない行為をなした場合に、右代理権の消滅につき善意無過失の相手方が自称代理人の行為につきその権限があると信ずべき正当の理由を有するときは、当該の代理人と相手方との間になした行為につき、本人をしてその責に任ぜしめるのを相当とする。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和32年11月29日 昭和30(オ)299
登載
民集 第11巻12号1994頁
参照法条
民法110条,民法112条
論点19第112条民法

社会福祉法人の理事の退任についての登記と民法一一二条の適用

裁判要旨社会福祉法人の理事の退任につき登記がされた場合には、その後その者が右法人の代表者として第三者とした取引については、客観的な障害のため第三者が登記簿を閲覧することが不可能ないし著しく困難であるような特段の事情がない限り、民法一一二条〈代理権消滅後の表見代理等〉の規定は適用されない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成6年4月19日 平成3(オ)1233
登載
民集 第48巻3号922頁
参照法条
民法112条,社会福祉事業法27条
論点20第112条民法

無権代理人が本人を共同相続した場合における無権代理行為の効力

裁判要旨無権代理人が本人を共同相続した場合には、共同相続人全員が共同して無権代理行為を追認しない限り、無権代理人の相続分に相当する部分においても、無権代理行為が当然に有効となるものではない。(反対意見がある。)
裁判
最高裁判所第一小法廷 平成5年1月21日 昭和63(オ)1733
登載
民集 第47巻1号265頁
参照法条
民法112条,民法117条,民法896条,民法898条
原

条文原文

原文ママ

e-Gov法令検索から取得した原文を、号・イロハまで省略せずに掲載しています。

民法 第107条(代理権の濫用) 詳細ページ
(代理権の濫用)
第百七条代理人が自己又は第三者の利益を図る目的で代理権の範囲内の行為をした場合において、相手方がその目的を知り、又は知ることができたときは、その行為は、代理権を有しない者がした行為とみなす。
民法 第111条(代理権の消滅事由) 詳細ページ
(代理権の消滅事由)
第百十一条代理権は、次に掲げる事由によって消滅する。
一本人の死亡
二代理人の死亡又は代理人が破産手続開始の決定若しくは後見開始の審判を受けたこと。
2委任による代理権は、前項各号に掲げる事由のほか、委任の終了によって消滅する。
民法 第112条(代理権消滅後の表見代理等) 詳細ページ
(代理権消滅後の表見代理等)
第百十二条他人に代理権を与えた者は、代理権の消滅後にその代理権の範囲内においてその他人が第三者との間でした行為について、代理権の消滅の事実を知らなかった第三者に対してその責任を負う。ただし、第三者が過失によってその事実を知らなかったときは、この限りでない。
2他人に代理権を与えた者は、代理権の消滅後に、その代理権の範囲内においてその他人が第三者との間で行為をしたとすれば前項の規定によりその責任を負うべき場合において、その他人が第三者との間でその代理権の範囲外の行為をしたときは、第三者がその行為についてその他人の代理権があると信ずべき正当な理由があるときに限り、その行為についての責任を負う。
出

一次情報

原文ママ

条文は e-Gov法令検索、判例は裁判所ウェブサイトから取得しています。