遺言の執行の条文と、裁判所が付した判示事項から整理しています。
遺言の執行は、遺言書の検認・開封の手続と、遺言執行者の指定・就職・権限・義務・報酬・解任などの規律から成り立っています。遺言執行者がいる間は、相続人による相続財産の処分など執行を妨げる行為が制限され、これに反する行為は無効とされます。特定の財産に関する遺言の執行方法、執行者が複数いる場合の意思決定、執行費用の負担についても定めがあります。
| 場面 | 要件・期限 | 効果・ポイント |
|---|---|---|
| 検認 | 相続開始を知った後遅滞なく | 家庭裁判所に提出し検認を請求 |
| 公正証書遺言 | - | 検認不要 |
| 封印遺言の開封 | 相続人等の立会い必要 | 家裁でのみ開封可 |
| 検認・開封の違反 | - | 5万円以下の過料 |
| 執行者の指定 | 遺言で指定、第三者に委託可 | - |
| 就職の催告 | 相当期間内に確答なし | 承諾したとみなす |
| 欠格事由 | 未成年者・破産者 | 執行者になれない |
| 執行者の選任 | 執行者がない・欠けた | 家裁が請求により選任 |
| 財産目録の作成 | 遅滞なく作成 | 相続人に交付 |
| 執行者の権限 | 相続財産の管理等一切 | 遺贈履行は執行者のみ |
| 相続人の妨害行為 | 処分など執行妨害行為 | 無効(善意の第三者に対抗不可) |
| 特定財産承継遺言 | 対抗要件具備の行為 | 預貯金は払戻・解約も可 |
| 執行者の行為の効果 | 権限内で執行者と示す | 相続人に直接効力 |
| 復任権 | 自己の責任で第三者へ | - |
| 執行者が数人の場合 | 任務執行は過半数で決定 | 保存行為は各自可能 |
| 報酬 | 家裁が定める(遺言優先) | - |
| 解任・辞任 | 正当事由が必要 | 解任請求・辞任許可 |
| 執行費用の負担 | 相続財産が負担 | 遺留分は減らせない |
遺言の執行について、条文は何を定めているか。
論点の見出しと結論は、裁判所が付した判示事項・裁判要旨をそのまま転記しています。文中の〈 〉内は条文の見出しを当サイトが補ったものです。
受遺者の選定を遺言執行者に委託する旨の遺言が有効とされた事例
一 遺言執行者がある場合と遺贈の目的物についての受遺者の第三者に対する権利行使
二 民法一〇一三条〈遺言の執行の妨害行為の禁止〉に違反してされた相続人の処分行為の効力
三 遺言執行者として指定された者が就職を承諾する前と民法一〇一三条にいう「遺言執行者がある場合」
遺言執行者がある場合に相続人が遺贈による登記の抹消登記手続を求める訴と受遺者の被告適格
遺言執行者がある場合に包括受遺者が遺贈義務の履行を求める訴の被告適格
遺言執行者がある場合と遺贈義務の履行を求める訴の被告適格
一 家督相続人指定の遺言をなした者が改正民法施行後に死亡した場合における右遺言の効力
二 家督相続人指定の遺言を包括遺贈と見ることができるか
三 遺言執行者に対する訴の適否
一 民法第八九五条〈推定相続人の廃除に関する審判確定前の遺産の管理〉と遺贈の目的物についての受遺者の仮処分申請の許否
二 民法第一〇一二条〈遺言執行者の権利義務〉と遺贈の目的物についての受遺者の仮処分申請の許否
三 民法第九七六条〈死亡の危急に迫った者の遺言〉による遺言と医師の立会等の要否
特定の不動産を相続させる旨の遺言と遺言執行者の登記手続義務
特定の不動産を特定の相続人に相続させる趣旨の遺言がされた場合において他の相続人が相続開始後に当該不動産につき被相続人からの所有権移転登記を経由しているときの遺言執行者の職務権限
遺言執行者がある場合における遺言によって特定の相続人に相続させるものとされた特定の不動産についての賃借権確認請求訴訟の被告適格
1 遺言執行者は、共同相続人の相続分を指定する旨の遺言を根拠として、平成30年法律第72号の施行日前に開始した相続に係る相続財産である不動産についてされた所有権移転登記の抹消登記手続を求める訴えの原告適格を有するか
2 相続財産の全部又は一部を包括遺贈する旨の遺言がされた場合における、上記の包括遺贈が効力を生じてからその執行がされるまでの間に包括受遺者以外の者に対してされた不動産の所有権移転登記の抹消登記手続又は一部抹消(更正)登記手続を求める訴えと遺言執行者の原告適格
3 複数の包括遺贈のうちの一つがその効力を生ぜず、又は放棄によってその効力を失った場合における、その効力を有しない包括遺贈につき包括受遺者が受けるべきであったものの帰すう
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条文は e-Gov法令検索、判例は裁判所ウェブサイトから取得しています。