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用益物権

民法の出題範囲にある論点です。条文と判例から整理しています。

原文解釈このページは論点を軸に条文と判例を横断して整理したものです。論点の名称と構成は当サイトの整理であり、条文上の区分ではありません。リード文・要点・比較表も当サイトによる解釈です。条文原文と判例の判示事項・裁判要旨は転記です。

用益物権は、他人の土地を一定の目的のために使用・収益できる権利の総称で、民法は地上権・永小作権・地役権・入会権について規定を置いています。

用益物権
種類内容存続期間対価消滅・対抗の特徴
地上権工作物・竹木所有のため土地使用定めなければ放棄自由地代は任意抵当権者に放棄を対抗不可
永小作権耕作・牧畜のため他人の土地を使用20年以上50年以下(更新可)小作料の支払が前提滞納2年以上で消滅請求可
地役権自分の土地のため他人の土地を利用――承役地の時効取得で消滅
入会権地域の慣習に基づく土地利用――共有の性質の有無で準用先が違う
  • 地上権の放棄で地代がある場合は1年前予告か1年分前払いが必要(268条1項)
  • 地下・空間だけを目的とする地上権も設定でき、設定行為で使用制限を付けられる(269条の2)
  • 永小作権は譲渡・転貸ができるが、設定行為で禁止されていればできない(272条)
  • 永小作権の存続期間を定めなかった場合は原則30年、別段の慣習があればそれによる(278条3項)
  • 271条から276条までと異なる慣習があれば、その慣習が優先する(277条)
  • 入会権は共有の性質の有無により、準用される規定(共有/地役権)が異なる(263条・294条)
1

用益物権

用益物権について、条文は何を定めているか。

第289条承役地の時効取得による地役権の消滅承役地の占有者が時効取得すると地役権は消える1項判例なし
  • 承役地の占有者が取得時効の要件を満たす占有をした場合が対象
  • その占有により地役権は消滅する
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第398条抵当権の目的である地上権等の放棄抵当権の目的にした地上権等の放棄は対抗できない1項判例 9件
  • 地上権・永小作権を抵当権の目的にした場合が対象
  • 権利者が放棄しても抵当権者には対抗できない
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第269_2条地下又は空間を目的とする地上権地下・空間だけを使う地上権も作れる2項判例なし
  • 上下の範囲を定めて工作物所有のため設定できる
  • 設定行為で土地利用に制限を加えられる
  • 第三者の権利者全員の承諾があれば設定できる
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第272条永小作権の譲渡又は土地の賃貸永小作権は譲渡や転貸ができる1項判例なし
  • 権利を他人に譲り渡すことができる
  • 存続期間内なら耕作・牧畜目的で土地を賃貸できる
  • 設定行為で禁止されていればできない
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第294条共有の性質を有しない入会権共有でない入会権も各地方の慣習が優先1項判例 8件
  • 各地方の慣習に従うほか、地役権の規定を準用する
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第263条共有の性質を有する入会権共有の性質を持つ入会権は共有の規定が基本1項判例 15件
  • 各地方の慣習に従うほか、共有に関する規定を適用する
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第277条永小作権に関する慣習条文と異なる慣習があれば慣習が優先1項判例なし
  • 271条〈永小作人による土地の変更の制限〉から276条〈永小作権の消滅請求〉までの規定と異なる慣習がある場合が対象
  • その慣習に従うことになる
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第276条永小作権の消滅請求小作料を2年以上滞納すると消滅請求可1項判例 2件
  • 引き続き2年以上小作料を払わないと対象になる
  • 土地所有者が永小作権の消滅を請求できる
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第278条永小作権の存続期間期間は20年以上50年以下3項判例なし
  • 50年より長く定めても50年に短縮される
  • 更新できるが更新時から50年を超えられない
  • 定めがなければ原則30年(別段の慣習があればそれによる)
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第268条地上権の存続期間期間の定めがなければ放棄は自由2項判例なし
  • 地代がある場合は1年前予告か1年分前払いが必要
  • 放棄しない時は裁判所が20年以上50年以下で期間を決める
  • 竹木の種類・状況など設定当時の事情を考慮して決める
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第282条地役権の不可分性共有者一人の意思では地役権を消滅させられない2項判例なし
  • 共有者の一人は自分の持分だけで地役権を消滅させられない
  • 土地を分割・一部譲渡しても各部のために地役権は存続する
  • 地役権が土地の一部だけに関する性質のときは別
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第283条地役権の時効取得継続的かつ外から分かる利用だけ時効取得できる1項判例 3件
  • 継続的に行使され、外形上認識できる地役権に限られる
  • この条件を満たさないと時効取得できない
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第291条地役権の消滅時効消滅時効の起算点は行使の仕方で変わる1項判例なし
  • 継続的でない地役権は最後に行使した時から起算する
  • 継続的な地役権は行使を妨げる事実が生じた時から起算する
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第270条永小作権の内容小作料を払って耕作・牧畜をする権利1項判例なし
  • 他人の土地で耕作または牧畜をするための権利
  • 対価として小作料の支払いが前提となる
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論

主要な論点と判例

原文ママ

論点の見出しと結論は、裁判所が付した判示事項・裁判要旨をそのまま転記しています。文中の〈 〉内は条文の見出しを当サイトが補ったものです。

論点1第398条民法

不動産の譲渡担保権者が先順位の抵当権又は根抵当権の被担保債権を代位弁済したことによつて取得する求償債権と譲渡担保権の被担保債権の範囲

裁判要旨不動産の譲渡担保権者がその不動産に設定された先順位の抵当権又は根抵当権の被担保債権を代位弁済したことによつて取得する求償債権は、譲渡担保設定契約に特段の定めのない限り、譲渡担保権によつて担保されるべき債権の範囲に含まれないものと解するのが相当である。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和61年7月15日 昭和58(オ)1110
登載
集民 第148号307頁
参照法条
民法346条,民法369条(譲渡担保),民法374条,民法398条ノ3
論点2第398条民法

地上権者が地上権設定契約の合意解除をもつて地上権者からの当該土地の賃借人に対抗しうる場合

裁判要旨地上権者が地上権の目的土地を第三者に賃貸したのちに地上権設定者と地上権者とが合意で地上権設定契約を解除した場合、地上権設定者は、原則として、右第三者(賃借人)に対し、右合意解除により地上権者と賃借人との間の賃貸借契約が終了したと主張することはできないが、地上権設定者が、地上権者の債務不履行を理由として民法二六六条一項、二七六条所定の地上権の消滅請求又は法定の解除権を行使する旨の意思表示をし、これによつて地上権設定契約及びこれを基礎とする右賃貸借契約が既に終了しているといえる事実関係のあるときには、合意解除されても、地上権設定者が、これに応ずるに当たつて、右の賃貸借契約の終了によつて受けうべき利益を放棄したといえる事情のあるときは格別、そうでない限り、地上権設定者は、合意解除により地上権者と賃借人との間の賃貸借契約も終了した旨主張することができる。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和59年10月8日 昭和58(オ)513
登載
集民 第143号29頁
参照法条
民法266条1項,民法276条,民法398条,民法545条1項
論点3第398条民法

いわゆる根仮登記担保権の極度額

裁判要旨一定の継続的取引から発生する不特定の債権を担保するためのいわゆる根仮登記担保権の極度額は、設定契約上、特段の定めがない場合には、目的不動産の適正な評価額をその額とした趣旨であると解すべきであり、このことは、特段の事情がない限り、根仮登記担保権が根抵当権と併用された場合でも異ならない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和52年3月25日 昭和48(オ)403
登載
民集 第31巻2号320頁
参照法条
民法398条ノ2,民法482条,不動産登記法2条
論点4第398条民法

後順位担保権者など第三者がいない場合における根抵当権者の配当受領金額

裁判要旨根抵当権者は、後順位担保権者など配当をうけることのできる第三者がなく、競売代金に余剰が生じた場合においても、極度額を越える部分について、当該競売手続においては、その交付をうけることができない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和48年10月4日 昭和46(オ)954
登載
集民 第110号153頁
参照法条
民法398条ノ3第1項,競売法33条2項
論点5第398条民法

一 債務者複数の根抵当権についての配当金が被担保債権のすべてを消滅させるに足りない場合における被担保債権への充当方法
二 債務者複数の根抵当権についての配当金を各債務者に対する債権を担保するための部分に案分する場合において同一の目的を有する複数の被担保債権があるときの案分の基礎となる被担保債権額の算出方法

裁判要旨一 不動産競売手続における債務者複数の根抵当権についての配当金が被担保債権のすべてを消滅させるに足りない場合においては、配当金を各債務者に対する債権を担保するための部分に被担保債権額に応じて案分した上、右案分額を民法四八九条ないし四九一条〈数個の給付をすべき場合の充当〉の規定に従って各債務者に対する被担保債権に充当すべきである。
二 不動産競売手続における債務者複数の根抵当権についての配当金を各債務者に対する債権を担保するための部分に案分する場合には、ある債務者に対する債権の弁済によって他の債務者に対する債権も消滅するという関係にある複数の被担保債権があるときにおいても、いずれの債権もその全額を案分の基礎となる各債務者の被担保債権額に算入すべきである。
裁判
最高裁判所第二小法廷 平成9年1月20日 平成6(オ)2122
登載
民集 第51巻1号1頁
参照法条
民法398条ノ2,民法398条ノ14,民法489条,民法490条,民法491条,民事執行法85条
論点6第398条民法

被担保債権の範囲を「信用金庫取引による債権」として設定された根抵当権の被担保債権と保証債権

裁判要旨被担保債権の範囲を「信用金庫取引による債権」として設定された根抵当権の被担保債権には、信用金庫の根抵当債務者に対する保証債権も含まれる。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成5年1月19日 平成1(オ)1468
登載
民集 第47巻1号41頁
参照法条
民法398条ノ2第2項,信用金庫法53条3項
論点7第398条民法

信用保証協会を債権者とし被担保債権の範囲を保証委託取引により生ずる債権として設定された根抵当権の被担保債権に,信用保証協会の根抵当債務者に対する保証債権は含まれるか

裁判要旨信用保証協会を債権者とし被担保債権の範囲を保証委託取引により生ずる債権として設定された根抵当権の被担保債権に,信用保証協会の根抵当債務者に対する保証債権は含まれない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 平成19年7月5日 平成18(受)597
登載
集民 第225号1頁
参照法条
民法398条の2第2項,民法446条,民法643条,信用保証協会法20条1項
論点8第398条民法

根抵当権者が競売の申立ての際に提出した当該根抵当権の登記のほかに譲渡担保を原因とする同人への所有権移転登記が記載されている登記簿謄本とみなされる登記事項証明書と民事執行法(平成16年法律第124号による改正前のもの)181条1項3号の文書

裁判要旨根抵当権者が競売の申立ての際に提出した登記簿謄本とみなされる登記事項証明書に,当該根抵当権の登記のほかに譲渡担保を原因とする同人への所有権移転登記が記載されていても,同登記事項証明書は,民事執行法(平成16年法律第124号による改正前のもの)181条1項3号の文書に当たる。
裁判
最高裁判所第二小法廷 平成17年11月11日 平成17(許)22
登載
集民 第218号433頁
参照法条
民事執行法(平成16年法律第124号による改正前のもの)181条1項3号,民法179条1項,民法369条(譲渡担保),民法398条の2,旧不動産登記法(平成16年法律第123号による改正前のもの)151条ノ4
論点9第398条民法

一 極度額を超える金額の被担保債権を請求債権とする根抵当権の実行がされた場合に被担保債権について消滅時効中断の効力が生じる範囲
二 不動産競売の申立ての取下げがされた場合における被担保債権の消滅時効中断の効力の帰すう

裁判要旨一 債権者が、根抵当権の極度額を超える金額の被担保債権を請求債権として当該根抵当権の実行としての不動産競売の申立てをし、競売開始決定がされて同決定正本が債務者に送達された場合、被担保債権の消滅時効中断の効力は、当該極度額の範囲にとどまらず、請求債権として表示された当該被担保債権の全部について生じる。
二 物上保証人に対する不動産競売において、債務者に対する被担保債権の消滅時効中断の効力が生じた後、債権者が右競売の申立てを取り下げたときは、時効中断の効力は、初めから生じなかったことになる。
裁判
最高裁判所第一小法廷 平成11年9月9日 平成8(オ)2422
登載
集民 第193号685頁
参照法条
民法147条2号,民法154条,民法398条ノ2第1項,民事執行規則170条
論点10第294条民法

共有の性質を有しない入会地上の天然の樹木の所有権が土地の所有者に属するとされた事例

裁判要旨付近住民の採草放牧や薪炭材採取等に利用されていた入会地が、入会住民全員の同意のもとに、入会権を存続させ入会住民の保育した天然の樹木を売却する際にはその保育に対する報償として売却代金の一部を入会住民に交付することを条件として村に贈与され、右条件の趣旨に沿つて村が制定した条例に従つて、入会住民が造林組合を結成して組合名義で村に対し入会地の天然の樹木の伐採申請をし、これを受けた村が右樹木を売却してその代金の一部を組合に交付してきたなど判示の事実関係のもとにおいては、右入会地上に生育する天然の樹木は、共有の性質を有しない右入会地の所有者である村の所有に属する。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和63年1月18日 昭和59(オ)1447
登載
集民 第153号1頁
参照法条
民法86条,民法242条,民法294条
論点11第294条民法

入会権の確認を求める訴えが原告側について通常訴訟と認められる場合

裁判要旨入会団体に個別的に加入を認められたと主張する者が入会権者に対し入会権を有することの確認を請求する場合には、右主張者が各自単独で訴えを提起することができる。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和58年2月8日 昭和55(オ)936
登載
集民 第138号79頁
参照法条
民訴法62条,民法263条,民法294条
論点12第294条民法

山林原野の管理利用について部落による共同体的統制が認められないとして右山林原野に対する住民の入会権が否定された事例

裁判要旨山林原野が代議制をとつた村議会等の多数決による議決に基づいて村有財産として管理処分され、あるいは村当局の監督下において村民に利用されて来たなど、右山林原野の管理利用について部落による共同体的統制の存在を認めるに由ない判示の事実関係のもとにおいては、これに対する共有の性質を有する入会権及び共有の性質を有しない入会権は、ともに認められない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和57年1月22日 昭和53(オ)861
登載
集民 第135号83頁
参照法条
民法263条,民法294条
論点13第294条民法

一、入会権確認訴訟における入会権者の死亡と訴訟承継人
二、明治初年の官民有区分処分による官有地編入と入会権の帰すう

裁判要旨一、入会権確認訴訟において、入会権者が死亡した場合には、入会慣行に従つて死亡者に代わり入会権を取得した者が、その訴訟手続を承継する。
二、従前入会権の対象となつていた土地が、明治初年の官民有区分処分によつて官有地に編入されたとしても、その入会権は、右処分によつて当然には消滅しなかつたものと解すべきである。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和48年3月13日 昭和42(オ)531
登載
民集 第27巻2号271頁
参照法条
民法263条,民法294条,民訴法208条
論点14第294条民法

地役の性質を有する入会権が解体消滅したと認められた事例

裁判要旨明治二一年町村制の施行後、区の所有であつて当該区の部落民の入り会つていた入会地について、その後六五年間に、部落の統制が次第に当該区会の統制に移行し、区が従前の入会地の一部を処分し、全入会地を管理して使用収益方法を定め、部落民も異議なくこの方法に従つて当該土地の使用収益をするにいたり、また従前部落の入会権行使の統制機関であつた「春寄合」は区会に対する意見具申の機関になつた等慣行の変化があつた場合には、部落民が右土地につき有していた地役の性質を有する入会権は、漸次解体して消滅したと認めるのが相当である。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和42年3月17日 昭和37(オ)1365
登載
民集 第21巻2号388頁
参照法条
民法294条
論点15第294条民法

入会権確認の訴は固有必要的共同訴訟か

裁判要旨入会権確認の訴は、入会権が共有の性質を有するかどうかを問わず、入会権者全員で提起することを要する固有必要的共同訴訟である。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和41年11月25日 昭和34(オ)650
登載
民集 第20巻9号1921頁
参照法条
民法263条,民法294条,民訴法62条
論点16第294条民法

入会部落団体の構成員たる地位の取得原因。

裁判要旨いかなる者が、部落民として、入会権を有する部落団体の構成員となるかは、もつぱら、部落の慣習によつて定まる。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和37年11月2日 昭和35(オ)1244
登載
集民 第63号23頁
参照法条
民法263条,民法294条
論点17第294条民法

1 入会部落の慣習に基づく入会集団の会則のうち入会権者の資格要件を一家の代表者としての世帯主に限定する部分が公序良俗に反しないとされた事例
2 入会部落の慣習に基づく入会集団の会則のうち入会権者の資格を原則として男子孫に限定し同入会部落の部落民以外の男性と婚姻した女子孫は離婚して旧姓に復しない限り入会権者の資格を認めないとする部分が民法90条〈公序良俗〉の規定により無効とされた事例

裁判要旨1 A入会部落の慣習に基づく入会集団の会則のうち入会権者の資格要件を一家の代表者としての世帯主に限定する部分は,現在においても,公序良俗に反するものということはできない。
2 A入会部落の慣習に基づく入会集団の会則のうち,入会権者の資格を原則として男子孫に限定し,同入会部落の部落民以外の男性と婚姻した女子孫は離婚して旧姓に復しない限り入会権者の資格を認めないとする部分は,遅くとも平成4年以降においては,性別のみによる不合理な差別として民法90条の規定により無効である。
(2につき補足意見がある。)
裁判
最高裁判所第二小法廷 平成18年3月17日 平成16(受)1968
登載
民集 第60巻3号773頁
参照法条
(1,2につき)民法2条,民法90条,民法92条,民法263条,民法294条,憲法14条1項
論点18第263条民法

一 入会部落の構成員が有する使用収益権の確認又はこれに基づく妨害排除の請求と右構成員の当事者適格
二 入会部落の構成員が有する使用収益権に基づく地上権設定仮登記抹消登記手続請求の可否

裁判要旨一 入会部落の構成員が有する使用収益権の確認又はこれに基づく妨害排除の請求については、右構成員各自に当事者適格がある。
二 入会部落の構成員は、自己の有する使用収益権を根拠としては入会地について経由された地上権設定仮登記の抹消登記手続を請求することができない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和57年7月1日 昭和51(オ)424
登載
民集 第36巻6号891頁
参照法条
民法263条,民訴法45条,民訴法62条
論点19第263条民法

一、入会部落の総有に属する土地を買い受けた同部落の構成員と民法一七七条〈不動産に関する物権の変動の対抗要件〉の第三者
二、一筆の土地の一部の所有権時効取得と対抗要件

裁判要旨一、入会部落の総有に属する土地の譲渡を受けた同部落の構成員は、右譲渡前にこれを時効取得した者に対する関係において、民法一七七条〈不動産に関する物権の変動の対抗要件〉にいう第三者にあたる。
二、一筆の土地の一部を時効取得した場合でも、右土地部分の所有権取得につき登記がないときは、時効完成後旧所有者からこれを買い受けた第三者に対抗することができない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和48年10月5日 昭和47(オ)1188
登載
民集 第27巻9号1110頁
参照法条
民法162条,民法177条,民法263条
論点20第263条民法

民法第九四条第二項〈虚偽表示〉の適用または類推適用がないとされた事例

裁判要旨部落民全員が、その総有に属する土地について、入会権者として登記の必要に迫られ、単に登記の便宜から、右部落民の一部の者のために売買による所有権移転登記を経由した場合には、民法第九四条第二項〈虚偽表示〉の適用または類推適用がない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和43年11月15日 昭和42(オ)524
登載
集民 第93号233頁
参照法条
民法94条2項,民法263条
論点21第263条民法

いわゆる「分け地」が入会地の性格を失わないとされた事例。

裁判要旨入会地の一部がいわゆる「分け地」として部落民個人に分配されたが、部落民は、採草については「分け地」の区分なく、入会地のどこにでも自由に立ち入ることができるし、部落外に転出することにより「分け地」はもとより入会地についての一切の権利を喪失する慣習であり、該権利の売買譲渡その他の処分行為がされた事例がないときは、「分け地」は入会地の性格を失つたということはできない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和40年5月20日 昭和38(オ)1029
登載
民集 第19巻4号822頁
参照法条
民法263条
論点22第263条民法

「分け地」の慣習と入会権の存否

裁判要旨入会地のある部分を「分け地」と称して部落民のうちの特定の個人に分配し、その分配を受けた個人がこれを独占的に使用収益し、自由に譲渡することが許される慣行が存するときは、特段の事情のない限り、「分け地」については入会権の存在を否定すべきである。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和32年9月13日 昭和29(オ)769
登載
民集 第11巻9号1518頁
参照法条
民法263条
論点23第263条民法

一 総有権確認請求訴訟において入会団体が原告適格を有する場合
二 権利能力のない社団である入会団体の代表者が総有権確認請求訴訟を原告の代表者として追行する場合における特別の授権の要否
三 権利能力のない社団である入会団体の代表者でない構成員が総有不動産についての登記手続請求訴訟の原告適格を有する場合

裁判要旨一 入会権者である村落住民が入会団体を形成し、それが権利能力のない社団に当たる場合には、右入会団体は、構成員全員の総有に属する不動産についての総有権確認請求訴訟の原告適格を有する。
二 権利能力のない社団である入会団体の代表者が構成員全員の総有に属する不動産について総有権確認請求訴訟を原告の代表者として追行するには、右入会団体の規約等において右不動産を処分するのに必要とされる総会の議決等の手続による授権を要する。
三 権利能力のない社団である入会団体において、規約等に定められた手続により、構成員全員の総有に属する不動産について代表者でない構成員甲を登記名義人とすることとされた場合には、甲は、右不動産についての登記手続請求訴訟の原告適格を有する。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成6年5月31日 平成3(オ)1724
登載
民集 第48巻4号1065頁
参照法条
民法33条,民法263条,民訴法45条,民訴法46条,民訴法58条
論点24第263条民法

入会集団の一部の構成員が訴えの提起に同調しない構成員を被告に加えて構成員全員が訴訟当事者となる形式で第三者に対する入会権確認の訴えを提起することの許否

裁判要旨特定の土地が入会地であるのか第三者の所有地であるのかについて争いがあり,入会集団の一部の構成員が,当該第三者を被告として当該土地が入会地であることの確認を求めようとする場合において,訴えの提起に同調しない構成員がいるために構成員全員で訴えを提起することができないときは,上記一部の構成員は,訴えの提起に同調しない構成員も被告に加え,構成員全員が訴訟当事者となる形式で,構成員全員が当該土地について入会権を有することの確認を求める訴えを提起することが許され,当事者適格を否定されることはない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 平成20年7月17日 平成18(受)1818
登載
民集 第62巻7号1994頁
参照法条
民法263条,民訴法40条,民訴法第1編第3章 当事者
論点25第263条民法

共有の性質を有する入会権の処分につき入会集団の構成員全員の同意を要件としない慣習の効力

裁判要旨共有の性質を有する入会権に関する各地方の慣習の効力は,入会権の処分についても及び,入会集団の構成員全員の同意を要件としないで同処分を認める慣習であっても,公序良俗に反するなどその効力を否定すべき特段の事情が認められない限り,有効である。
裁判
最高裁判所第一小法廷 平成20年4月14日 平成18(受)336
登載
民集 第62巻5号909頁
参照法条
民法92条,民法251条,民法263条
論点26第263条民法

入会地の売却代金債権が入会権者らに総有的に帰属するとされた事例

裁判要旨入会権者らの総有に属する入会地を売却するに当たり入会権者らが入会権の放棄をした場合であっても,入会権者らが入会地の管理運営等のための管理会を結成し,その規約において入会地の処分等を管理会の事業とし,入会地の売却が管理会の決議に基づいて行われ,売却後も入会権者らの有する他の入会地が残存し,管理会も存続しているなど判示の事実関係の下においては,入会地の売却代金債権は,入会権者らに総有的に帰属する。
裁判
最高裁判所第二小法廷 平成15年4月11日 平成13(受)505
登載
集民 第209号481頁
参照法条
民法263条,民法427条
論点27第276条民法

一 当事者双方不出頭の口頭弁論期日における弁論終結の際の判決言渡期日指定の告知

二 土地所有者が地代の受領を拒絶し又はこれを受領しない意思が明確であるため地上権者において提供をするまでもなく債務不履行の責を免れる事情にある場合と民法二六六条一項〈地代〉二七六条〈永小作権の消滅請求〉に基づく地上権消滅請求

裁判要旨一 当事者双方不出頭の口頭弁論期日において弁論を終結するに際し、裁判長が法廷において判決言渡期日を指定し、これを告知する方法としてその言渡をしたときは、当事者に対してその効力を生じ、更に右期日に出頭すべき旨の呼出状を送達することを要しない。

二 土地所有者が地代の受領を拒絶し又は地上権の存在を否定する等弁済を受領しない意思が明確であるため地上権者が言語上の提供をするまでもなく地代債務の不履行の責を免れるという事情がある場合には、土地所有者は、みずから受領拒絶の態度を改め、以後地代を提供されればこれを確実に受領すべき旨を明らかにしたのち相当期間を経過したか、又は相当期間を定めて催告をしたにもかかわらず地上権者が右期間を徒過した等、自己の受領遅滞又はこれに準ずる事態を解消させる措置を講じたのちでなければ、民法二六六条一項〈地代〉、二七六条〈永小作権の消滅請求〉に基づく地上権消滅請求の意思表示をすることができない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和56年3月20日 昭和53(オ)400
登載
民集 第35巻2号219頁
参照法条
民訴法190条2項,民訴法207条,民法266条1項,民法276条
論点28第283条民法

通行地役権時効取得における「継続」の要件

裁判要旨民法第二八三条〈地役権の時効取得〉にいう「継続」の要件をみたすには、承役地たるべき土地の上に通路の開設があつただけでは足りず、その開設が要役地所有者によつてなされたことを要する。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和33年2月14日 昭和31(オ)311
登載
民集 第12巻2号268頁
参照法条
民法283条
論点29第283条民法

通行地役権の時効取得の「継続」の要件

裁判要旨通行地役権の時効取得に関する「継続」の要件としては、承役地たるべき他人所有の土地の上に通路の開設を要し、その開設は要役地所有者によつてなされることを要するものと解すべきである。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和30年12月26日 昭和28(オ)1178
登載
民集 第9巻14号2097頁
参照法条
民法283条
論点30第283条民法

要役地の所有者によって通路が開設されたとして通行地役権の時効取得が認められた事例

裁判要旨公道に接する土地を所有する甲が、乙に対して右公道の拡幅のためにその所有地の一部を提供するよう働きかける一方、自らも所有地の一部を提供する等の負担をし、甲のこれらの行為の結果として、右公道全体が拡幅され、乙の右所有地も拡幅部分の一部として通行の用に供されるようになったなど判示の事実関係の下においては、乙の右所有地については、要役地の所有者である甲によって通路が開設されたものとして、通行地役権の時効取得が認められる。
裁判
最高裁判所第二小法廷 平成6年12月16日 平成6(オ)414
登載
集民 第173号517頁
参照法条
民法283条

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民法 第289条(承役地の時効取得による地役権の消滅) 詳細ページ
(承役地の時効取得による地役権の消滅)
第二百八十九条承役地の占有者が取得時効に必要な要件を具備する占有をしたときは、地役権は、これによって消滅する。
民法 第398条(抵当権の目的である地上権等の放棄) 詳細ページ
(抵当権の目的である地上権等の放棄)
第三百九十八条地上権又は永小作権を抵当権の目的とした地上権者又は永小作人は、その権利を放棄しても、これをもって抵当権者に対抗することができない。
民法 第269_2条(地下又は空間を目的とする地上権) 詳細ページ
(地下又は空間を目的とする地上権)
第二百六十九条の二地下又は空間は、工作物を所有するため、上下の範囲を定めて地上権の目的とすることができる。この場合においては、設定行為で、地上権の行使のためにその土地の使用に制限を加えることができる。
2前項の地上権は、第三者がその土地の使用又は収益をする権利を有する場合においても、その権利又はこれを目的とする権利を有するすべての者の承諾があるときは、設定することができる。この場合において、土地の使用又は収益をする権利を有する者は、その地上権の行使を妨げることができない。
民法 第272条(永小作権の譲渡又は土地の賃貸) 詳細ページ
(永小作権の譲渡又は土地の賃貸)
第二百七十二条永小作人は、その権利を他人に譲り渡し、又はその権利の存続期間内において耕作若しくは牧畜のため土地を賃貸することができる。ただし、設定行為で禁じたときは、この限りでない。
民法 第294条(共有の性質を有しない入会権) 詳細ページ
(共有の性質を有しない入会権)
第二百九十四条共有の性質を有しない入会権については、各地方の慣習に従うほか、この章の規定を準用する。
民法 第263条(共有の性質を有する入会権) 詳細ページ
(共有の性質を有する入会権)
第二百六十三条共有の性質を有する入会権については、各地方の慣習に従うほか、この節の規定を適用する。
民法 第277条(永小作権に関する慣習) 詳細ページ
(永小作権に関する慣習)
第二百七十七条第二百七十一条から前条までの規定と異なる慣習があるときは、その慣習に従う。
民法 第276条(永小作権の消滅請求) 詳細ページ
(永小作権の消滅請求)
第二百七十六条永小作人が引き続き二年以上小作料の支払を怠ったときは、土地の所有者は、永小作権の消滅を請求することができる。
民法 第278条(永小作権の存続期間) 詳細ページ
(永小作権の存続期間)
第二百七十八条永小作権の存続期間は、二十年以上五十年以下とする。設定行為で五十年より長い期間を定めたときであっても、その期間は、五十年とする。
2永小作権の設定は、更新することができる。ただし、その存続期間は、更新の時から五十年を超えることができない。
3設定行為で永小作権の存続期間を定めなかったときは、その期間は、別段の慣習がある場合を除き、三十年とする。
民法 第268条(地上権の存続期間) 詳細ページ
(地上権の存続期間)
第二百六十八条設定行為で地上権の存続期間を定めなかった場合において、別段の慣習がないときは、地上権者は、いつでもその権利を放棄することができる。ただし、地代を支払うべきときは、一年前に予告をし、又は期限の到来していない一年分の地代を支払わなければならない。
2地上権者が前項の規定によりその権利を放棄しないときは、裁判所は、当事者の請求により、二十年以上五十年以下の範囲内において、工作物又は竹木の種類及び状況その他地上権の設定当時の事情を考慮して、その存続期間を定める。
民法 第282条(地役権の不可分性) 詳細ページ
(地役権の不可分性)
第二百八十二条土地の共有者の一人は、その持分につき、その土地のために又はその土地について存する地役権を消滅させることができない。
2土地の分割又はその一部の譲渡の場合には、地役権は、その各部のために又はその各部について存する。ただし、地役権がその性質により土地の一部のみに関するときは、この限りでない。
民法 第283条(地役権の時効取得) 詳細ページ
(地役権の時効取得)
第二百八十三条地役権は、継続的に行使され、かつ、外形上認識することができるものに限り、時効によって取得することができる。
民法 第291条(地役権の消滅時効) 詳細ページ
(地役権の消滅時効)
第二百九十一条第百六十六条第二項に規定する消滅時効の期間は、継続的でなく行使される地役権については最後の行使の時から起算し、継続的に行使される地役権についてはその行使を妨げる事実が生じた時から起算する。
民法 第270条(永小作権の内容) 詳細ページ
(永小作権の内容)
第二百七十条永小作人は、小作料を支払って他人の土地において耕作又は牧畜をする権利を有する。
出

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