行政不服審査法 / テーマ別まとめ

総則

総則の条文と、裁判所が付した判示事項から整理しています。

原文解釈このページは論点を軸に条文と判例を横断して整理したものです。論点の名称と構成は当サイトの整理であり、条文上の区分ではありません。リード文・要点・比較表も当サイトによる解釈です。条文原文と判例の判示事項・裁判要旨は転記です。

行政不服審査法の総則(1条〜8条)は、法律全体の目的と適用範囲、そして審査請求・再調査の請求・再審査請求という3種類の不服申立ての基本的な枠組みを定めています。どの処分・不作為について、誰が、どこへ不服を申し立てられるかを判断する際の出発点となる規定です。あわせて、審査請求の対象から外れる処分の範囲(適用除外)も定めています。

総則
種類対象請求先主な要件
審査請求(処分)行政庁の処分4条が定める行政庁不服があればできる
審査請求(不作為)行政庁の不作為4条が定める行政庁相当の期間の経過後
再調査の請求処分庁以外に審査請求できる処分処分庁法律に定めがある場合のみ
再審査請求審査請求の裁決(原裁決等)法律が定める行政庁法律に定めがある場合のみ
  • 1条2項:他の法律に特別の定めがあれば、そちらが優先する
  • 7条1項:国会・裁判所の議決や裁判、検察官の処分など12種類の処分等は審査請求・不作為の審査請求の対象外
  • 7条2項:国や地方公共団体等がその固有の資格で処分の相手方となる場合も適用除外
  • 5条ただし書:同じ処分について既に審査請求をしていた場合は再調査の請求ができない
  • 5条2項:再調査の請求から3か月経過しても決定がない場合や正当理由がある場合は、決定前でも審査請求できる
  • 8条:7条により審査請求できない処分・不作為にも、別の法令で不服申立て制度を設けることは妨げられない
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総則

総則について、条文は何を定めているか。

第1条目的等国民の権利救済と行政の適正運営が目的2項判例 1件
  • 簡易迅速で公正な手続により広く不服申立てができる制度を定める
  • 国民の権利利益の救済と行政の適正な運営の確保が目的
  • 他の法律に特別の定めがあればそちらが優先する
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第2条処分についての審査請求処分に不服があれば審査請求できる1項判例 2件
  • 行政庁の処分に不服がある者は4条〈審査請求をすべき行政庁〉・5条2項〈再調査の請求〉の定めに従い審査請求できる
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第3条不作為についての審査請求申請への不作為も審査請求できる1項判例なし
  • 申請から相当の期間が経過し行政庁が何もしない場合が対象
  • 不作為とは法令に基づく申請に対し何ら処分をしないこと
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第4条審査請求をすべき行政庁審査請求先は上級行政庁で決まる1項・4号判例 2件
  • 法律(条例に基づく処分は条例)に特別の定めがあればそちらが優先
  • 上級行政庁がない場合等は処分庁等自身が請求先
  • 主任の大臣が上級庁ならその大臣、それ以外は最上級行政庁
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第5条再調査の請求再調査の請求は処分庁に対して行う2項・2号判例なし
  • 審査請求ができる処分について法律に定めがあれば処分庁に請求できる
  • 既に審査請求をしていた場合は再調査の請求はできない
  • 3か月経過して決定がない場合等は決定前でも審査請求できる
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第6条再審査請求再審査請求は裁決に不服がある場合2項判例なし
  • 法律に定めがある処分の審査請求の裁決に不服なら再審査請求できる
  • 原裁決または原処分(原裁決等)を対象に法律が定める行政庁へ請求する
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第7条適用除外特定の処分は審査請求の対象外2項・12号判例 1件
  • 国会・裁判所の議決や裁判など12種類の処分・不作為は適用除外
  • 国や地方公共団体等が固有の資格で受ける処分・不作為も対象外
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第8条特別の不服申立ての制度適用除外でも別の不服申立て制度を設けられる1項判例なし
  • 7条〈適用除外〉で審査請求できない処分・不作為にも別に法令で不服申立て制度を設置できる
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論

主要な論点と判例

原文ママ

論点の見出しと結論は、裁判所が付した判示事項・裁判要旨をそのまま転記しています。文中の〈 〉内は条文の見出しを当サイトが補ったものです。

論点1第1条行政不服審査法

地方自治法255条の2第1項1号の規定による審査請求に対する裁決について、原処分をした執行機関の所属する行政主体である都道府県は、取消訴訟を提起する適格を有するか

裁判要旨地方自治法255条の2第1項1号の規定による審査請求に対する裁決について、原処分をした執行機関の所属する行政主体である都道府県は、取消訴訟を提起する適格を有しない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 令和4年12月8日 令和4(行ヒ)92
登載
民集 第76巻7号1519頁
参照法条
行政不服審査法1条、行政不服審査法2条、行政不服審査法4条、行政不服審査法52条1項、地方自治法2条9項1号、地方自治法245条3号、地方自治法255条の2第1項1号、行政事件訴訟法9条1項
論点2第2条行政不服審査法

一、特許発明または実用新案の技術的範囲についての判定の性質
二、右判定は行政不服審査の対象となるか

裁判要旨一、特許発明または実用新案の技術的範囲についての判定は、特許庁のたんなる意見の表明であつて、鑑定的性質を有するにとどまる。
二、右判定は行政不服審査の対象となりえない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和43年4月18日 昭和42(行ツ)47
登載
民集 第22巻4号936頁
参照法条
(1・2項につき),特許法71条,実用新案法26条,(2項につき),行政不服審査法2条1項,行政不服審査法4条1項
論点3第7条行政不服審査法

公有水面埋立法42条1項に基づく埋立ての承認と行政不服審査法7条2項にいう「固有の資格」

裁判要旨公有水面埋立法42条1項に基づく埋立ての承認は,国の機関が行政不服審査法7条2項にいう「固有の資格」において相手方となるものということはできない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 令和2年3月26日 令和1(行ヒ)367
登載
民集 第74巻3号471頁
参照法条
地方自治法245条3号,地方自治法251条の5第1項,行政不服審査法7条2項,公有水面埋立法42条1項
原

条文原文

原文ママ

e-Gov法令検索から取得した原文を、号・イロハまで省略せずに掲載しています。

行政不服審査法 第1条(目的等) 詳細ページ
(目的等)
第一条この法律は、行政庁の違法又は不当な処分その他公権力の行使に当たる行為に関し、国民が簡易迅速かつ公正な手続の下で広く行政庁に対する不服申立てをすることができるための制度を定めることにより、国民の権利利益の救済を図るとともに、行政の適正な運営を確保することを目的とする。
2行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為(以下単に「処分」という。)に関する不服申立てについては、他の法律に特別の定めがある場合を除くほか、この法律の定めるところによる。
行政不服審査法 第2条(処分についての審査請求) 詳細ページ
(処分についての審査請求)
第二条行政庁の処分に不服がある者は、第四条及び第五条第二項の定めるところにより、審査請求をすることができる。
行政不服審査法 第3条(不作為についての審査請求) 詳細ページ
(不作為についての審査請求)
第三条法令に基づき行政庁に対して処分についての申請をした者は、当該申請から相当の期間が経過したにもかかわらず、行政庁の不作為(法令に基づく申請に対して何らの処分をもしないことをいう。以下同じ。)がある場合には、次条の定めるところにより、当該不作為についての審査請求をすることができる。
行政不服審査法 第4条(審査請求をすべき行政庁) 詳細ページ
(審査請求をすべき行政庁)
第四条審査請求は、法律(条例に基づく処分については、条例)に特別の定めがある場合を除くほか、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める行政庁に対してするものとする。
一処分庁等(処分をした行政庁(以下「処分庁」という。)又は不作為に係る行政庁(以下「不作為庁」という。)をいう。以下同じ。)に上級行政庁がない場合又は処分庁等が主任の大臣若しくは宮内庁長官若しくは内閣府設置法(平成十一年法律第八十九号)第四十九条第一項若しくは第二項若しくは国家行政組織法(昭和二十三年法律第百二十号)第三条第二項に規定する庁の長である場合当該処分庁等
二宮内庁長官又は内閣府設置法第四十九条第一項若しくは第二項若しくは国家行政組織法第三条第二項に規定する庁の長が処分庁等の上級行政庁である場合宮内庁長官又は当該庁の長
三主任の大臣が処分庁等の上級行政庁である場合(前二号に掲げる場合を除く。)当該主任の大臣
四前三号に掲げる場合以外の場合当該処分庁等の最上級行政庁
行政不服審査法 第5条(再調査の請求) 詳細ページ
(再調査の請求)
第五条行政庁の処分につき処分庁以外の行政庁に対して審査請求をすることができる場合において、法律に再調査の請求をすることができる旨の定めがあるときは、当該処分に不服がある者は、処分庁に対して再調査の請求をすることができる。ただし、当該処分について第二条の規定により審査請求をしたときは、この限りでない。
2前項本文の規定により再調査の請求をしたときは、当該再調査の請求についての決定を経た後でなければ、審査請求をすることができない。ただし、次の各号のいずれかに該当する場合は、この限りでない。
一当該処分につき再調査の請求をした日(第六十一条において読み替えて準用する第二十三条の規定により不備を補正すべきことを命じられた場合にあっては、当該不備を補正した日)の翌日から起算して三月を経過しても、処分庁が当該再調査の請求につき決定をしない場合
二その他再調査の請求についての決定を経ないことにつき正当な理由がある場合
行政不服審査法 第6条(再審査請求) 詳細ページ
(再審査請求)
第六条行政庁の処分につき法律に再審査請求をすることができる旨の定めがある場合には、当該処分についての審査請求の裁決に不服がある者は、再審査請求をすることができる。
2再審査請求は、原裁決(再審査請求をすることができる処分についての審査請求の裁決をいう。以下同じ。)又は当該処分(以下「原裁決等」という。)を対象として、前項の法律に定める行政庁に対してするものとする。
行政不服審査法 第7条(適用除外) 詳細ページ
(適用除外)
第七条次に掲げる処分及びその不作為については、第二条及び第三条の規定は、適用しない。
一国会の両院若しくは一院又は議会の議決によってされる処分
二裁判所若しくは裁判官の裁判により、又は裁判の執行としてされる処分
三国会の両院若しくは一院若しくは議会の議決を経て、又はこれらの同意若しくは承認を得た上でされるべきものとされている処分
四検査官会議で決すべきものとされている処分
五当事者間の法律関係を確認し、又は形成する処分で、法令の規定により当該処分に関する訴えにおいてその法律関係の当事者の一方を被告とすべきものと定められているもの
六刑事事件に関する法令に基づいて検察官、検察事務官又は司法警察職員がする処分
七国税又は地方税の犯則事件に関する法令(他の法令において準用する場合を含む。)に基づいて国税庁長官、国税局長、税務署長、国税庁、国税局若しくは税務署の当該職員、税関長、税関職員又は徴税吏員(他の法令の規定に基づいてこれらの職員の職務を行う者を含む。)がする処分及び金融商品取引の犯則事件に関する法令(他の法令において準用する場合を含む。)に基づいて証券取引等監視委員会、その職員(当該法令においてその職員とみなされる者を含む。)、財務局長又は財務支局長がする処分
八学校、講習所、訓練所又は研修所において、教育、講習、訓練又は研修の目的を達成するために、学生、生徒、児童若しくは幼児若しくはこれらの保護者、講習生、訓練生又は研修生に対してされる処分
九刑務所、少年刑務所、拘置所、留置施設、海上保安留置施設、少年院又は少年鑑別所において、収容の目的を達成するためにされる処分
十外国人の出入国又は帰化に関する処分
十一専ら人の学識技能に関する試験又は検定の結果についての処分
十二この法律に基づく処分(第五章第一節第一款の規定に基づく処分を除く。)
2国の機関又は地方公共団体その他の公共団体若しくはその機関に対する処分で、これらの機関又は団体がその固有の資格において当該処分の相手方となるもの及びその不作為については、この法律の規定は、適用しない。
行政不服審査法 第8条(特別の不服申立ての制度) 詳細ページ
(特別の不服申立ての制度)
第八条前条の規定は、同条の規定により審査請求をすることができない処分又は不作為につき、別に法令で当該処分又は不作為の性質に応じた不服申立ての制度を設けることを妨げない。
出

一次情報

原文ママ

条文は e-Gov法令検索、判例は裁判所ウェブサイトから取得しています。