日本国憲法 / テーマ別まとめ

最高法規

最高法規の条文と、裁判所が付した判示事項から整理しています。

原文解釈このページは論点を軸に条文と判例を横断して整理したものです。論点の名称と構成は当サイトの整理であり、条文上の区分ではありません。リード文・要点・比較表も当サイトによる解釈です。条文原文と判例の判示事項・裁判要旨は転記です。

最高法規は、日本国憲法が国の最高法規であり、これに反する法律・命令等が効力を持たないことを定めています。基本的人権の永久不可侵性を確認するとともに、条約・国際法規の誠実な遵守、公務員による憲法尊重擁護義務を併せて定めています。

最高法規
条文定める内容対象・名宛人
97条基本的人権は永久不可侵の権利国民
98条1項憲法に反する行為は効力なし法律・命令・詔勅等
98条2項条約・国際法規の誠実な遵守日本国
99条憲法尊重擁護義務天皇・摂政・国務大臣等の公務員
  • 98条1項の「その他の行為」には国務に関する行為全般が含まれる。
  • 98条1項は法律等の「全部又は一部」が無効となる場合を含む。
  • 99条の対象には国会議員・裁判官も含まれる。
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最高法規

最高法規について、条文は何を定めているか。

第97条基本的人権は永久不可侵の権利であると確認する1項判例なし
  • 基本的人権は人類が長年の努力で獲得してきた成果と位置づけられる
  • 現在及び将来の国民に対して侵すことのできない永久の権利として信託されたものとされる
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第98条憲法に反する法律等は無効、条約・国際法規は遵守2項判例 6件
  • 憲法に反する法律・命令・詔勅・国務に関する行為は全部又は一部が無効になる
  • 日本国が締結した条約及び確立された国際法規は誠実に遵守する必要がある
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第99条公務員には憲法を尊重し擁護する義務がある1項判例 2件
  • 天皇・摂政・国務大臣・国会議員・裁判官その他の公務員が対象となる
  • この憲法を尊重し擁護する義務を負う
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論

主要な論点と判例

原文ママ

論点の見出しと結論は、裁判所が付した判示事項・裁判要旨をそのまま転記しています。文中の〈 〉内は条文の見出しを当サイトが補ったものです。

論点1第98条日本国憲法

国選弁護人に支給すべき報酬額の決定に対する不服申立の可否(補足意見がある)

裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和63年11月29日 昭和62(し)120
登載
集刑 第250号1045頁
参照法条
憲法13条,憲法31条,憲法32条,憲法37条3項,憲法98条1項,刑訴法38条2項,419条,428条,刑訴費用等に関する法律8条2項
論点2第98条日本国憲法

一 公共企業体等労働関係法第一七条第一項の合憲性
二 公共企業体等労働関係法第一七条第一項違反の争議行為と労働組合法第一条第二項の適用

裁判要旨一 公共企業体等労働関係法第一七条第一項は、憲法第一一条、第一四条〈すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差…〉、第一八条〈何人も、いかなる奴隷的拘束も受けない。又、犯罪に因る処罰の場合を除いては、その意に反する苦役に服させられない。〉、第二五条〈すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。〉、第二八条〈勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する。〉、第三一条〈何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪はれ、又はその他の刑罰を科せられない。〉、第九八条〈この憲法は、国の最高法規であつて、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力…〉に違反しない。
二 公共企業体等労働関係法第一七条第一項に違反してなされた争議行為にも、労働組合法第一条第二項の適用がある。
裁判
最高裁判所大法廷 昭和41年10月26日 昭和39(あ)296
登載
刑集 第20巻8号901頁
参照法条
(一、二につき)公共企業体等労働関係法17条1項,(二につき)公共企業体等労働関係法3条,(一につき)憲法11条,(一につき)憲法14条,(一につき)憲法18条,(一につき)憲法25条,(一につき)憲法28条,(一につき)憲法31条,(一につき)憲法98条,(二につき)労働組合法1条,(二につき)郵便法79条1項
論点3第98条日本国憲法

刑訴法第三九三条第二項の合憲性。

裁判要旨刑訴第三九三条第二項が、控訴審における第一審判決後の刑の量定に影響を及ぼすべき情状に関する事実取調の必要の有無を裁判所の裁量に委ねたことは、憲法に違反しない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和34年8月27日 昭和34(し)39
登載
集刑 第131号347頁
参照法条
刑訴法393条2項,憲法98条1項
論点4第98条日本国憲法

一 刑訴法第三五条但書の特別の事情がなくなつたものと認められた事例
二 憲法第九条の立法趣旨
三 憲法第九条第二項の戦力不保持の規定の立法趣旨
四 憲法第九条はわが国の自衛権を否定するか
五 憲法はわが国が自国の平和と安全を維持しその存立を全うするための自衛の措置をとることを禁止するか
六 憲法は右自衛のための措置を国際連合の機関である安全保障理事会等の執る軍事措置等に限定し、他国にわが国の安全保障を求めることを禁止するか
七 わが国に駐留する外国軍隊は憲法第九条第二項の「戦力」にあたるるか
八 日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約(以下安保条約と略す。)と司法裁判所の司法審査権
九 安保条約がいわゆる前提問題となつている場合と司法裁判所の司法審査権
一0 安保条約は一見明白に違憲と見められるか
一一 特に国会の承認を経ていない安保条約第三条〈天皇の国事に関するすべての行為には、内閣の助言と承認を必要とし、内閣が、その責任を負ふ。〉に基く行政協定(以下行政協定と略す。)の合憲性

裁判要旨一 刑訴規則第二五四条の跳躍上告事件において、審判を迅速に終結せしめる必要上、被告人の選任すべき弁護人の数を制限したところ、その後公判期日および答弁書の提出期日がきまり、かつ弁護人が公判期日に弁論をする弁護人の数を自主的に〇人以内に制限する旨申出たため、審理を迅速に終結せしめる見込がついたときは、刑訴第三五条〈何人も、その住居、書類及び所持品について、侵入、捜索及び押収を受けることのない権利は、第三十三条の場合を除いては、正当な…〉但書の特別の事情はなくなつたものと認めることができる。
二 憲法第九条は、わが国が敗戦の結果、ポツダム宣言を受諾したことに伴い、日本国民が過去におけるわが国の誤つて犯すに至つた軍国主義的行動を反省し、政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないようにすることを決意し、深く恒久の平和を念願して制定したものであつて、前文および第九八条第二項〈この憲法は、国の最高法規であつて、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力…〉の国際協調の精神と相まつて、わが憲法の特色である平和主義を具体化したものである。
三 憲法第九条第二項が戦力の不保持を規定したのは、わが国がいわゆる戦力を保持し、自らその主体となつて、これに指揮権、管理権を行使することにより、同条第一項において永久に放棄することを定めたいわゆる侵略戦争を引き起すことのないようにするためである。
四 憲法第九条はわが国が主権国として有する固有の自衛権を何ら否定してはいない。
五 わが国が、自国の平和と安全とを維持しその存立を全うするために必要な自衛のための措置を執り得ることは、国家固有の権能の行使であつて、憲法は何らこれを禁止するものではない。
六 憲法は、右自衛のための措置を、国際連合の機関である安全保障理事会等の執る軍事措置等に限定していないのであつて、わが国の平和と安全を維持するためにふさわしい方式または手段である限り、国際情勢の実情に則し適当と認められる以上、他国に安全保障を求めることを何ら禁ずるものではない。
七 わが国が主体となつて指揮権、管理権を行使し得ない外国軍隊はたとえそれがわが国に駐留するとしても憲法第九条第二項の「戦力」には該当しない。
八 安保条約の如き、主権国としてのわが国の存立の基礎に重大な関係を持つ高度の政治性を有するものが、違憲であるか否の法的判断は、純司法的機能を使命とする司法裁判所の審査に原則としてなじまない性質のものであり、それが一見極めて明白に違憲無効であると認められない限りは、裁判所の司法審査権の範囲外にあると解するを相当とする。
九 安保条約(またはこれに基く政府の行為)が違憲であるか否かが、本件のように(行政協定に伴う刑事特別法第二条が違憲であるか)前提問題となつている場合においても、これに対する司法裁判所の審査権は前項と同様である。
一0 安保条約(およびこれに基くアメリカ合衆国軍隊の駐留)は、憲法第九条、第九八条第二項および前文の趣旨に反して違憲無効であることが一見極めて明白であるとは認められない。
一一 行政協定は特に国会の承認を経ていないが違憲無効とは認められない。
裁判
最高裁判所大法廷 昭和34年12月16日 昭和34(あ)710
登載
刑集 第13巻13号3225頁
参照法条
刑訴法35条,刑訴規則26条,憲法前文,憲法9条1項,憲法9条2項,憲法98条2項,憲法9条,憲法73条3号,憲法76条3項,憲法81条,憲法98条,日本とアメリカ合衆国間の安全保障条約前文,日本とアメリカ合衆国間の安全保障条約1条,日本とアメリカ合衆国間の安全保障条約3条,日本とアメリカ合衆国間の安全保障条約3条に基く行政協定2条1,日本とアメリカ合衆国との間の安全保障条約前文,日本とアメリカ合衆国との間の安全保障条約1条,日本とアメリカ合衆国との間の安全保障条約3条,日本とアメリカ合衆国との間の安全保障条約3条に基く行政協定2条1,日本とアメリカ合衆国との間の安全保障条約3条に基く行政協定に伴う刑事特別法2条
論点5第98条日本国憲法

一 日米安全保障条約第三条〈天皇の国事に関するすべての行為には、内閣の助言と承認を必要とし、内閣が、その責任を負ふ。〉に基く行政協定第一七条〈何人も、公務員の不法行為により、損害を受けたときは、法律の定めるところにより、国又は公共団体に、その賠償を求めることがで…〉3(a)(ii)にいう「公務執行中」の意義

二 右行政協定第一七条3(a)(ii)にいう「公務執行中の作為又は不作為から生ずる罪」にあたらない一事例。

三 条約の解釈の誤と上告理由。

裁判要旨一 日米安全保障条約第三条〈天皇の国事に関するすべての行為には、内閣の助言と承認を必要とし、内閣が、その責任を負ふ。〉に基く行政協定第一七条〈何人も、公務員の不法行為により、損害を受けたときは、法律の定めるところにより、国又は公共団体に、その賠償を求めることがで…〉3(a)(ii)にいう「公務執行中」とは、「公務執行の週程における」という意味であつて、「勤務時間中」と解すべきでない。

二 米国駐留軍所属の伍長が、駐留地の市内を巡回警らの任意の途中で乗用のジープから降りて、一般民家に侵入し、婦女を強姦しようとして障害を加えた場合には、右行政協定第一七条3(a)(ii)にいう「公務執行中の作為又は不作為から生ずる罪」にあたらない。

三 条約の解釈、適用を非難するにすぎない主張は、刑訴第四〇五条の上告理由にあたらない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和30年3月3日 昭和29(あ)2439
登載
刑集 第9巻3号423頁
参照法条
日米安全保障条約3条に基く行政協定17条,刑法130条,刑法181条,憲法98条2項,刑訴法405条1号
論点6第98条日本国憲法

訴訟費用負担の裁判の執行に関して違憲(憲法98条2項,99条〈天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。〉)をいう主張が「欠前提」とされた事例

裁判
最高裁判所第三小法廷 平成9年1月31日 平成8(し)168
登載
集刑 第270号399頁
参照法条
刑訴法502条,憲法98条2項,憲法99条
論点7第99条日本国憲法

一 刑法一七七条、一八一条が憲法一三条、一四条〈すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差…〉、九九条〈天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。〉に違反しないとされた事例
二 刑訴規則五五条一項にいう「裁判をした裁判官」の意義

裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和60年3月19日 昭和59(あ)1111
登載
集刑 第239号139頁
参照法条
憲法13条,憲法14条,憲法99条,刑法177条,刑法181条,刑訴規則55条1項
原

条文原文

原文ママ

e-Gov法令検索から取得した原文を、号・イロハまで省略せずに掲載しています。

日本国憲法 第97条 詳細ページ
第九十七条この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であつて、これらの権利は、過去幾多の試錬に堪へ、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである。
日本国憲法 第98条 詳細ページ
第九十八条この憲法は、国の最高法規であつて、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない。
2日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とする。
日本国憲法 第99条 詳細ページ
第九十九条天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。
出

一次情報

原文ママ

条文は e-Gov法令検索、判例は裁判所ウェブサイトから取得しています。