私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律 / テーマ別まとめ

差止請求及び損害賠償

差止請求及び損害賠償の条文と、裁判所が付した判示事項から整理しています。

原文解釈このページは論点を軸に条文と判例を横断して整理したものです。論点の名称と構成は当サイトの整理であり、条文上の区分ではありません。リード文・要点・比較表も当サイトによる解釈です。条文原文と判例の判示事項・裁判要旨は転記です。

独占禁止法違反行為があった場合、被害者には差止請求(24条)と損害賠償請求(25条)という2つの民事上の救済手段が用意されています。差止請求は違反行為の停止・予防を求めるもの、損害賠償請求は金銭的な損害の填補を求めるものです。損害賠償請求権については、排除措置命令等が確定するまで裁判上主張できず、確定後3年で時効により消滅します(26条)。

差止請求及び損害賠償
制度根拠条文対象行為請求できること特徴・要件
差止請求24条不公正な取引方法など侵害の停止・予防著しい損害のおそれで足りる
損害賠償25条私的独占・不当な取引制限等損害賠償無過失でも免責されない
請求権の行使制限26条25条の損害賠償請求権排除措置命令等確定後のみ可確定日から3年で時効消滅
  • 25条の対象は3条・6条・19条違反の事業者と、8条違反の事業者団体
  • 6条違反事業者は、自ら不当な取引制限または不公正な取引方法を用いた場合に限られる
  • 25条2項により、故意・過失がなかったことを証明しても免責されない
  • 26条の主張制限は、8条1号・2号違反団体の構成事業者への納付命令には及ばない
  • 26条の時効期間3年は、排除措置命令または納付命令が確定した日から起算する
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差止請求及び損害賠償

差止請求及び損害賠償について、条文は何を定めているか。

第24条著しい損害があれば差止めを請求できる1項判例 1件
  • 対象は8条5号〈事業者団体は、次の各号のいずれかに該当する行為をしてはならない。 事業者に不公正な取引方法に該当する行為をさせるようにすること。〉・19条〈事業者は、不公正な取引方法を用いてはならない。〉(不公正な取引方法等)違反行為
  • 著しい損害が生じている、または生じるおそれが要件
  • 請求先は行為をした事業者・事業者団体、またはそのおそれがある者
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第25条違反行為による損害の賠償責任を負う2項判例 3件
  • 対象は3条〈事業者は、私的独占又は不当な取引制限をしてはならない。〉・6条〈事業者は、不当な取引制限又は不公正な取引方法に該当する事項を内容とする国際的協定又は国際的契約をしてはならない。〉・19条〈事業者は、不公正な取引方法を用いてはならない。〉違反の事業者と、8条〈事業者団体は、次の各号のいずれかに該当する行為をしてはならない。〉違反の事業者団体
  • 6条〈事業者は、不当な取引制限又は不公正な取引方法に該当する事項を内容とする国際的協定又は国際的契約をしてはならない。〉違反は自ら不当な取引制限・不公正な取引方法を用いた事業者に限る
  • 故意・過失がなかったと証明しても責任を免れない(無過失責任)
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第26条損害賠償請求権の行使時期と時効を定める2項判例 1件
  • 排除措置命令(なければ納付命令)の確定後でないと裁判上主張できない
  • 8条1号〈事業者団体は、次の各号のいずれかに該当する行為をしてはならない。 一定の取引分野における競争を実質的に制限すること。〉・2号違反団体の構成事業者への納付命令は除かれる
  • 確定日から3年経過すると時効によって消滅する
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論

主要な論点と判例

原文ママ

論点の見出しと結論は、裁判所が付した判示事項・裁判要旨をそのまま転記しています。文中の〈 〉内は条文の見出しを当サイトが補ったものです。

論点1第24条私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律

一、いわゆる再販売価格維持行為が昭和二八年公正取引委員会告示第一一号(不公正な取引方法)の入に定める拘束条件付取引にあたるとされた事例
二、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律二四条の二第一項の規定の趣旨
三、いわゆる再販売価格維持行為が商品の不当廉売等を防止するために行われる場合と昭和二八年公正取引委員会告示第一一号(不公正な取引方法)の八にいう正当な理由の有無

裁判要旨一、育児用粉ミルクの元売業者が、商品の価格維持を図るため、取引先の販売業者に対して一定の再販売価格を指示し、販売業者がこれを守らなかつたときは元売業者から交付するリベートを削減しあるいは取引を打ち切るなどの不利益を課することを内容とする判示のようないわゆる再販売価格維持行為を行うことは、昭和二八年公正取引委員会告示第一一号(不公正な取引方法)の八に定める拘束条件付取引にあたる。
二、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律二四条の二第一項の規定は、いわゆる再販売価格維持行為が相手方たる販売業者間の自由な競争を阻害するおそれのあるものであるかぎり不公正な取引方法として違法とされるべきことを前提として、ただ、販売業者の不当廉売等により商品の商標に対する信用が段損されあるいは他の販売業者の利益が不当に害されることなどを防止するため、同条一、二項所定の要件のもとにおいて、公正取引委員会が諸般の事情を考慮し価格維持を許すのが相当であると認めて指定した商品についてのみ、例外的にその再販売価格維持行為を違法としないこととしたものであつて、販売業者間の自由な競争の確保を目的とする昭和二八年公正取引委員会告示第一一号(不公正な取計方法)の八とは経済政策上の観点を異にする規定である。
三、商品が不当廉売等に供されることがあるとしても、その商品につき私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律二四条の二による公正取引委員会の指定を受けることなく、かつ、すべての販売業者に対して一般的に、いわゆる再販売価格維持行為を行うことは、昭和二八年公正取引委員会告示第一一号(不公正な取引方法)の八にいう正当な理由を有しない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和50年7月11日 昭和46(行ツ)83
登載
民集 第29巻6号951頁
参照法条
私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律2条7項4号,私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律24条の2,昭和28年公正取引委員会告示11号8項
論点2第25条私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律

民生用灯油につき石油元売事業者が行つた元売仕切価格の値上げ協定によつて一般消費者が損害を被つたとはいえないとされた事例

裁判要旨石油元売事業者が民生用灯油について元売仕切価格を値上げする価格協定を実施した場合において、その当時、原油の値上がり、需要の増加など灯油について顕著な値上がり要因があつたほか、民生用灯油の元売仕切価格について価格抑制指導をしていた通商産業省がその値上げを了承しており、右協定が実施されなかつたとしても、その元売仕切価格は現実のそれと径庭のない状態に至つたであろうと推認され、ひいてはその小売段階における価格も現実の小売価格を下回つたと認められないときは、灯油を購入した一般消費者は、右協定の実施によつて損害を被つたということができない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和62年7月2日 昭和56(行ツ)178
登載
民集 第41巻5号785頁
参照法条
私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律25条
論点3第25条私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律

一 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和五二年法律第六三号による改正前のもの)の規定に違反する行為の不存在と同法四八条の規定に基づくいわゆる勧告審決の取消原因
二 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和五二年法律第六三号による改正前のもの)四八条〈公正取引委員会は、事件について必要な調査をしたときは、その要旨を調書に記載し、かつ、特に前条第一項に規定する処分があつた…〉の規定に基づくいわゆる勧告審決の取消訴訟と同法八〇条、八一条、八二条一号の適用
三 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和五二年法律第六三号による改正前のもの)の規定に基づくいわゆる無過失損害賠償請求訴訟と審決の認定事実の裁判所に対する拘束力

裁判要旨一 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和五二年法律第六三号による改正前のもの)の規定に違反する行為の不存在は、同法四八条に基づくいわゆる勧告審決を取り消すべき原因とはならない。
二 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和五二年法律第六三号による改正前のもの)四八条〈公正取引委員会は、事件について必要な調査をしたときは、その要旨を調書に記載し、かつ、特に前条第一項に規定する処分があつた…〉の規定に基づくいわゆる勧告審決の取消訴訟には、同法八〇条、八一条、八二条一号の適用はない。
三 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和五二年法律第六三号による改正前のもの)の規定に基づくいわゆる無過失損害賠償請求訴訟については、審決の認定事実は、裁判所を拘束しない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和53年4月4日 昭和50(行ツ)112
登載
民集 第32巻3号515頁
参照法条
私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律25条,私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律80条,私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律82条1号,私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和52年法律第63号による改正前のもの)26条,私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和52年法律第63号による改正前のもの)48条,私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和52年法律第63号による改正前のもの)81条
論点4第25条私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律

一 独占禁止法二五条一項〈第三条、第六条又は第十九条の規定に違反する行為をした事業者(第六条の規定に違反する行為をした事業者にあつては、当該国際的…〉に定める違反行為によって損害を被ったことと民法上の不法行為に基づく損害賠償請求
二 消費者が独占禁止法三条〈事業者は、私的独占又は不当な取引制限をしてはならない。〉にいう「不当な取引制限」に当たる価格協定による損害の賠償を民法上の不法行為に基づき請求する訴訟において価格協定の実施直前の小売価格をもっていわゆる想定購入価格と推認することができるための要件

裁判要旨一 独占禁止法二五条一項〈第三条、第六条又は第十九条の規定に違反する行為をした事業者(第六条の規定に違反する行為をした事業者にあつては、当該国際的…〉に定める違反行為によって損害を被った者は、その行為が民法上の不法行為に該当する限り、同法の規定に基づき損害賠償の請求をすることができる。
二 消費者が事業者に対し、独占禁止法三条〈事業者は、私的独占又は不当な取引制限をしてはならない。〉にいう「不当な取引制限」に当たる価格協定による損害の賠償を民法上の不法行為に基づき請求する訴訟において、価格協定の実施直前の小売価格をもっていわゆる想定購入価格と推認することができるのは、価格協定の実施当時から消費者が商品を購入する時点までの間にその商品の小売価格形成の前提となる経済条件、市場構造その他の経済的要因等に変動がないときに限られる。
裁判
最高裁判所第二小法廷 平成元年12月8日 昭和60(オ)933
登載
民集 第43巻11号1259頁
参照法条
民法709条,私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律2条6項,私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律2条9項,私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律3条,私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律19条,私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律25条1項
原

条文原文

原文ママ

e-Gov法令検索から取得した原文を、号・イロハまで省略せずに掲載しています。

私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律 第24条 詳細ページ
第二十四条第八条第五号又は第十九条の規定に違反する行為によつてその利益を侵害され、又は侵害されるおそれがある者は、これにより著しい損害を生じ、又は生ずるおそれがあるときは、その利益を侵害する事業者若しくは事業者団体又は侵害するおそれがある事業者若しくは事業者団体に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる。
私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律 第25条 詳細ページ
第二十五条第三条、第六条又は第十九条の規定に違反する行為をした事業者(第六条の規定に違反する行為をした事業者にあつては、当該国際的協定又は国際的契約において、不当な取引制限をし、又は不公正な取引方法を自ら用いた事業者に限る。)及び第八条の規定に違反する行為をした事業者団体は、被害者に対し、損害賠償の責めに任ずる。
2事業者及び事業者団体は、故意又は過失がなかつたことを証明して、前項に規定する責任を免れることができない。
私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律 第26条 詳細ページ
第二十六条前条の規定による損害賠償の請求権は、第四十九条に規定する排除措置命令(排除措置命令がされなかつた場合にあつては、第六十二条第一項に規定する納付命令(第八条第一号又は第二号の規定に違反する行為をした事業者団体の構成事業者に対するものを除く。))が確定した後でなければ、裁判上主張することができない。
2前項の請求権は、同項の排除措置命令又は納付命令が確定した日から三年を経過したときは、時効によつて消滅する。
出

一次情報

原文ママ

条文は e-Gov法令検索、判例は裁判所ウェブサイトから取得しています。