特許法 / テーマ別まとめ

再審

再審の条文と、裁判所が付した判示事項から整理しています。

原文解釈このページは論点を軸に条文と判例を横断して整理したものです。論点の名称と構成は当サイトの整理であり、条文上の区分ではありません。リード文・要点・比較表も当サイトによる解釈です。条文原文と判例の判示事項・裁判要旨は転記です。

特許法の再審は、確定した取消決定や確定審決に対して当事者・参加人などが不服を申し立てる手続です。請求できる期間には原則30日以内、確定から3年という除斥期間などの制限があり、対象となる審決の種類ごとに審判手続の規定が準用されます。再審により特許権が回復した場合には、その間に善意で発明を実施・取得していた第三者を保護するため、特許権の効力や通常実施権について制限規定が置かれています。

再審の請求期間
ケース期間起算点根拠条文
原則30日以内理由を知った日173条1項
やむを得ない遅延14日(在外者2月)・6月以内理由がなくなった日173条2項
代理されなかった場合30日以内送達を知った日の翌日173条3項
除斥期間3年確定した日173条4項
理由が確定後に発生3年理由発生日の翌日173条5項
  • 前の確定審決と抵触することを理由とする再審には、原則の30日・3年の期間制限(173条1項・4項)は適用されない
  • 共謀による審決を理由とする再審(172条)は、請求人・被請求人を共同被請求人として請求する必要がある
  • 174条では、取消決定・拒絶査定不服審判・特許無効審判等・訂正審判のどれに対する再審かで準用条文が異なる
  • 再審で回復した特許権の効力は、再審請求の登録前に善意で行われた輸入・生産・取得・実施等には及ばない(175条)
  • 再審請求の登録前に善意で発明を実施・準備していた者は、その範囲内で通常実施権を持つ(176条)
  • 177条は削除されている
1

再審

再審について、条文は何を定めているか。

第171条再審の請求確定した審決等に再審請求できる2項判例 3件
  • 確定した取消決定・確定審決について当事者・参加人が請求可能
  • 民事訴訟法の再審事由の規定を準用する
条文原文を見るこの条文の詳細ページ
第172条共謀による審決は第三者も再審請求可2項判例なし
  • 請求人と被請求人が共謀し第三者の権利利益を害する目的の審決が対象
  • 請求人・被請求人を共同被請求人として請求する
条文原文を見るこの条文の詳細ページ
第173条再審の請求期間再審請求には期間制限がある6項判例 1件
  • 原則、理由を知った日から30日以内に請求
  • やむを得ない事情なら理由消滅日から14日(在外者2月)以内かつ6月以内
  • 確定から3年経過後は請求不可(理由が後発なら起算点は理由発生日の翌日)
条文原文を見るこの条文の詳細ページ
第174条審判の規定等の準用審決の種類ごとに審判規定を準用5項判例なし
  • 取消決定・拒絶査定不服審判・特許無効審判等・訂正審判で準用条文が異なる
  • 民事訴訟法の審理範囲の規定も準用される
条文原文を見るこの条文の詳細ページ
第175条再審により回復した特許権の効力の制限回復した特許権の効力は制限される2項・5号判例なし
  • 登録前に善意で輸入・生産・取得した物には効力が及ばない
  • 善意の実施や、生産・譲渡・輸入等の準備行為にも効力が及ばない
条文原文を見るこの条文の詳細ページ
第176条善意実施者に通常実施権が生じる1項判例なし
  • 登録前に善意で実施・準備していた者は通常実施権を持つ
  • 実施・準備していた発明と事業の目的の範囲内に限られる
条文原文を見るこの条文の詳細ページ
第177条本条は削除されている1項判例なし
  • 条文は削除され、現在は内容が存在しない
条文原文を見るこの条文の詳細ページ
論

主要な論点と判例

原文ママ

論点の見出しと結論は、裁判所が付した判示事項・裁判要旨をそのまま転記しています。文中の〈 〉内は条文の見出しを当サイトが補ったものです。

論点1第171条特許法

審決に対する出訴期間中にされた右審決に対する再審の請求の適否

裁判要旨審決に対する出訴期間中にされた右審決に対する再審の請求は不適法として許されず、そのかしは補正の方法がなく、また、再審の請求に対する審決があるまでの間に前記出訴期間が満了してもそれによつて右かしが治癒されることはない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和46年2月9日 昭和45(行ツ)85
登載
集民 第102号169頁
参照法条
特許法171条1項
論点2第171条特許法

代理人に審決謄本の送達があつた場合において右審決について再審事由たる判断遺脱を知つたものとされる時期

裁判要旨特許法による審決の再審事由たる判断遺脱の瑕疵についての知、不知は、右審決謄本の送達を受けた代理人について決すべく、審判当事者本人は、これと異なる時期において右再審事由を知つたものと主張することはできない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和42年10月24日 昭和40(行ツ)94
登載
集民 第88号753頁
参照法条
特許法171条,特許法173条,民訴法420条
論点3第171条特許法

旧特許法(大正一〇年法律第九六号)による特許出願拒絶査定を不服とする抗告審判の審決と特許法第一七一条の適用の有無

裁判要旨確定審決に対して再審の請求を認める特許法第一七一条の規定は、旧特許法(大正一〇年法律第九六号)による特許出願拒絶査定を不服とする抗告審判の審決についても適用される。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和42年10月17日 昭和41(行ツ)12
登載
民集 第21巻8号2065頁
参照法条
旧特許法(大正10年法律96号)121条,特許法171条,特許法施行法20条,特許法施行法29条
原

条文原文

原文ママ

e-Gov法令検索から取得した原文を、号・イロハまで省略せずに掲載しています。

特許法 第171条(再審の請求) 詳細ページ
(再審の請求)
第百七十一条確定した取消決定及び確定審決に対しては、当事者又は参加人は、再審を請求することができる。
2民事訴訟法第三百三十八条第一項及び第二項並びに第三百三十九条(再審の事由)の規定は、前項の再審の請求に準用する。
特許法 第172条 詳細ページ
第百七十二条審判の請求人及び被請求人が共謀して第三者の権利又は利益を害する目的をもつて審決をさせたときは、その第三者は、その確定審決に対し再審を請求することができる。
2前項の再審は、その請求人及び被請求人を共同被請求人として請求しなければならない。
特許法 第173条(再審の請求期間) 詳細ページ
(再審の請求期間)
第百七十三条再審は、請求人が取消決定又は審決が確定した後再審の理由を知つた日から三十日以内に請求しなければならない。
2再審を請求する者がその責めに帰することができない理由により前項に規定する期間内にその請求をすることができないときは、同項の規定にかかわらず、その理由がなくなつた日から十四日(在外者にあつては、二月)以内でその期間の経過後六月以内にその請求をすることができる。
3請求人が法律の規定に従つて代理されなかつたことを理由として再審を請求するときは、第一項に規定する期間は、請求人又はその法定代理人が送達により取消決定又は審決があつたことを知つた日の翌日から起算する。
4取消決定又は審決が確定した日から三年を経過した後は、再審を請求することができない。
5再審の理由が取消決定又は審決が確定した後に生じたときは、前項に規定する期間は、その理由が発生した日の翌日から起算する。
6第一項及び第四項の規定は、当該審決が前にされた確定審決と抵触することを理由とする再審の請求には、適用しない。
特許法 第174条(審判の規定等の準用) 詳細ページ
(審判の規定等の準用)
第百七十四条第百十四条、第百十六条から第百二十条の二まで、第百二十条の五から第百二十条の八まで、第百三十一条第一項、第百三十一条の二第一項本文、第百三十二条第三項、第百五十四条、第百五十五条第一項及び第三項並びに第百五十六条第一項、第三項及び第四項の規定は、確定した取消決定に対する再審に準用する。
3第百三十一条第一項、第百三十一条の二第一項本文、第百三十二条第一項、第二項及び第四項、第百三十三条、第百三十三条の二、第百三十四条第一項、第三項及び第四項、第百三十五条から第百五十二条まで、第百五十四条、第百五十五条第一項から第三項まで、第百五十六条第一項、第三項及び第四項、第百五十七条、第百六十七条から第百六十八条まで、第百六十九条第一項、第二項、第五項及び第六項並びに第百七十条の規定は、特許無効審判又は延長登録無効審判の確定審決に対する再審に準用する。
5民事訴訟法第三百四十八条第一項(審理の範囲)の規定は、再審に準用する。
特許法 第175条(再審により回復した特許権の効力の制限) 詳細ページ
(再審により回復した特許権の効力の制限)
第百七十五条取り消し、若しくは無効にした特許に係る特許権若しくは無効にした存続期間の延長登録に係る特許権が再審により回復した場合又は拒絶をすべき旨の審決があつた特許出願若しくは特許権の存続期間の延長登録の出願について再審により特許権の設定の登録若しくは特許権の存続期間を延長した旨の登録があつた場合において、その特許が物の発明についてされているときは、特許権の効力は、当該取消決定又は審決が確定した後再審の請求の登録前に善意に輸入し、又は日本国内において生産し、若しくは取得した当該物には、及ばない。
2取り消し、若しくは無効にした特許に係る特許権若しくは無効にした存続期間の延長登録に係る特許権が再審により回復したとき、又は拒絶をすべき旨の審決があつた特許出願若しくは特許権の存続期間の延長登録の出願について再審により特許権の設定の登録若しくは特許権の存続期間を延長した旨の登録があつたときは、特許権の効力は、当該取消決定又は審決が確定した後再審の請求の登録前における次に掲げる行為には、及ばない。
一当該発明の善意の実施
二特許が物の発明についてされている場合において、善意に、その物の生産に用いる物の生産、譲渡等若しくは輸入又は譲渡等の申出をした行為
三特許が物の発明についてされている場合において、善意に、その物を譲渡等又は輸出のために所持した行為
四特許が方法の発明についてされている場合において、善意に、その方法の使用に用いる物の生産、譲渡等若しくは輸入又は譲渡等の申出をした行為
五特許が物を生産する方法の発明についてされている場合において、善意に、その方法により生産した物を譲渡等又は輸出のために所持した行為
特許法 第176条 詳細ページ
第百七十六条取り消し、若しくは無効にした特許に係る特許権若しくは無効にした存続期間の延長登録に係る特許権が再審により回復したとき、又は拒絶をすべき旨の審決があつた特許出願若しくは特許権の存続期間の延長登録の出願について再審により特許権の設定の登録若しくは特許権の存続期間を延長した旨の登録があつたときは、当該取消決定又は審決が確定した後再審の請求の登録前に善意に日本国内において当該発明の実施である事業をしている者又はその事業の準備をしている者は、その実施又は準備をしている発明及び事業の目的の範囲内において、その特許権について通常実施権を有する。
特許法 第177条 詳細ページ
第百七十七条削除
出

一次情報

原文ママ

条文は e-Gov法令検索、判例は裁判所ウェブサイトから取得しています。