労働安全衛生法 / テーマ別まとめ

労働者の危険又は健康障害を防止するための措置

労働者の危険又は健康障害を防止するための措置の条文と、裁判所が付した判示事項から整理しています。

原文解釈このページは論点を軸に条文と判例を横断して整理したものです。論点の名称と構成は当サイトの整理であり、条文上の区分ではありません。リード文・要点・比較表も当サイトによる解釈です。条文原文と判例の判示事項・裁判要旨は転記です。

労働安全衛生法第20条から第25条の2までは、機械・爆発物・電気等による危険や、有害物質・騒音・放射線等による健康障害を防止するために事業者が講じるべき措置を定めています。第26条以下では、労働者側の遵守義務に加え、元方事業者や注文者など複数の事業者が関わる現場での指導・是正・措置分担のルールを定めています。実務上は、自社が「事業者」「元方事業者」「特定元方事業者」「注文者」のどの立場に当たるかを確認したうえで、該当する措置を洗い出すことが必要です。

労働者の危険又は健康障害を防止するための措置
条文義務主体対象・場面措置の概要
第20条事業者機械・爆発物・電気等の危険危険防止措置
第21条事業者掘削・墜落等の作業危険危険防止措置
第22条事業者有害物・放射線等の健康障害健康障害防止措置
第23条事業者作業場の通路・換気等保全・衛生措置
第24条事業者作業行動による労働災害防止措置
第25条事業者災害発生が急迫した場合作業中止・退避
第25条の2建設業等の事業者爆発・火災時の救護救護措置・管理者選任
第26条労働者等事業者の措置への対応必要事項の遵守
第27条国(厚労省令)措置・遵守事項の内容省令で規定
第28条厚生労働大臣技術指針の実施促進指針公表・指導
第28条の2事業者危険性・有害性の調査調査・防止措置の努力義務
第29条元方事業者関係請負人の法令違反指導・是正指示
第29条の2建設業の元方事業者崩壊・転倒のおそれ場所技術指導等
第30条特定元方事業者同一場所での混在作業協議組織・連絡調整等
第30条の2製造業等の元方事業者同一場所での混在作業連絡調整等の措置
第30条の3元方事業者数次請負での救護措置救護措置の一元化
第31条注文者建設物等を使用させる時労災防止措置
第31条の2注文者化学設備の改造作業等労災防止措置
第31条の3発注者等特定機械の混在作業労災防止措置
第31条の4注文者請負人への指示違法指示の禁止
  • 27条2項:省令を定める際は、公害等一般公衆の災害防止に関する法令の趣旨に反しないよう配慮する
  • 28条2項:技術上の指針を定めるにあたり、中高年齢者に特に配慮する
  • 28条3項:発がん等重度の健康障害のおそれがある化学物質については別途指針を公表する
  • 28条の2ただし書:化学物質以外に関する調査の努力義務は、製造業その他厚労省令で定める業種の事業者に限る
  • 30条2項・3項:特定元方事業者以外の発注者が複数請負人に発注する場合は措置を講ずる者を指名し、指名がなければ労働基準監督署長が指名する
  • 31条2項:数次請負で同一の建設物等について措置を講ずべき注文者が複数となる場合、後次の請負契約の注文者には適用しない
1

労働者の危険又は健康障害を防止するための措置

労働者の危険又は健康障害を防止するための措置について、条文は何を定めているか。

第20条事業者の講ずべき措置等機械・爆発物・電気の危険を防止する1項・3号判例なし
  • 機械・器具等の設備による危険を防止する措置をとる
  • 爆発性・発火性・引火性の物による危険を防止する
  • 電気・熱等のエネルギーによる危険を防止する
条文原文を見るこの条文の詳細ページ
第21条掘削・荷役等の作業方法の危険を防ぐ2項判例 1件
  • 掘削・採石・荷役・伐木等の作業方法から生じる危険を防止する
  • 墜落や土砂等の崩壊のおそれがある場所の危険を防止する
条文原文を見るこの条文の詳細ページ
第22条有害物・放射線等による健康障害を防ぐ1項・4号判例 3件
  • 原材料・ガス・粉じん・酸欠空気・病原体等による健康障害を防止する
  • 放射線・高温低温・騒音振動・異常気圧等による健康障害を防止する
  • 計器監視・精密作業や排気排液・残さい物による健康障害も防止する
条文原文を見るこの条文の詳細ページ
第23条作業場の通路・換気等を整備する1項判例 3件
  • 通路・床面・階段等を保全する措置をとる
  • 換気・採光・照明・保温・防湿・休養・避難・清潔に必要な措置をとる
  • 労働者の健康・風紀・生命の保持に必要な措置をとる
条文原文を見るこの条文の詳細ページ
第24条作業行動から生じる労働災害を防ぐ1項判例なし
  • 労働者の作業行動から生じる労働災害を防止する措置を講じる
条文原文を見るこの条文の詳細ページ
第25条危険が迫ったら作業中止・退避させる1項判例なし
  • 労働災害発生の急迫した危険があるときは直ちに作業を中止する
  • 労働者を作業場から退避させる等必要な措置をとる
条文原文を見るこの条文の詳細ページ
第25_2条爆発・火災時の救護措置と管理者選任2項・3号判例なし
  • 建設業その他政令で定める業種で政令で定める仕事を行う事業者が対象
  • 救護に必要な機械等の備付け・管理、救護訓練を行う
  • 厚労省令で定める資格者から技術的事項を管理する者を選任する
条文原文を見るこの条文の詳細ページ
第26条労働者は事業者の措置に応じて事項を守る1項判例なし
  • 労働者及び同じ場所で働く労働者以外の作業従事者が対象
  • 20条〈事業者の講ずべき措置等〉から25条〈事業者は、労働災害発生の急迫した危険があるときは、直ちに作業を中止し、労働者を作業場から退避させる等必要な措置を講じなけ…〉・25条の2第1項〈建設業その他政令で定める業種に属する事業の仕事で、政令で定めるものを行う事業者は、爆発、火災等が生じたことに伴い作業従事…〉の措置に応じ必要な事項を守る
条文原文を見るこの条文の詳細ページ
第27条措置・遵守事項の具体的内容は省令で定める2項判例 4件
  • 事業者が講ずべき措置と労働者等が守るべき事項は厚労省令で定める
条文原文を見るこの条文の詳細ページ
第28条技術上の指針等の公表等国が業種・作業ごとの技術指針を公表する4項・2号判例なし
  • 20条〈事業者の講ずべき措置等〉から25条〈事業者は、労働災害発生の急迫した危険があるときは、直ちに作業を中止し、労働者を作業場から退避させる等必要な措置を講じなけ…〉・25条の2第1項〈建設業その他政令で定める業種に属する事業の仕事で、政令で定めるものを行う事業者は、爆発、火災等が生じたことに伴い作業従事…〉の措置の実施のため技術指針を公表する
  • がん等重度の健康障害のおそれがある化学物質は別途指針を公表する
  • 指針公表後、必要なら事業者等へ指導等を行うことができる
条文原文を見るこの条文の詳細ページ
第28_2条事業者の行うべき調査等危険性・有害性を調査し措置に努める3項判例なし
  • 建設物・設備・原材料・作業行動等の危険性・有害性等を調査する
  • 調査結果に基づき労働者の危険・健康障害防止の措置に努める
  • 化学物質以外の調査に関する努力義務は製造業等一定業種の事業者に限る
条文原文を見るこの条文の詳細ページ
第29条元方事業者の講ずべき措置等元方事業者は関係請負人を指導・是正させる3項判例なし
  • 関係請負人等が法令に違反しないよう必要な指導を行う
  • 違反していると認めるときは是正のため必要な指示を行う
  • 指示を受けた関係請負人等はその指示に従う
条文原文を見るこの条文の詳細ページ
第29_2条建設業元方は危険場所で技術指導する1項判例なし
  • 土砂崩壊・機械転倒等のおそれがある場所が対象
  • 関係請負人の危険防止措置が適正に講じられるよう技術指導等を行う
条文原文を見るこの条文の詳細ページ
第30条特定元方事業者等の講ずべき措置特定元方事業者は混在作業の災害を防ぐ4項・6号判例 2件
  • 協議組織の設置・運営、作業間の連絡調整、作業場所の巡視を行う
  • 関係請負人が行う安全衛生教育への指導・援助を行う
  • 発注者が複数請負人に発注する場合は措置を講ずる者を指名する
条文原文を見るこの条文の詳細ページ
第30_2条製造業等元方は連絡調整等の措置をとる4項判例なし
  • 特定事業を除く政令で定める業種の元方事業者が対象
  • 混在作業による労働災害防止のため連絡調整等の措置を講じる
条文原文を見るこの条文の詳細ページ
第30_3条数次請負での救護措置は元方が一元化5項判例なし
  • 25条の2第1項〈建設業その他政令で定める業種に属する事業の仕事で、政令で定めるものを行う事業者は、爆発、火災等が生じたことに伴い作業従事…〉の仕事が数次請負で行われる場合が対象
  • 元方事業者が全ての作業従事者について救護措置を講じる
条文原文を見るこの条文の詳細ページ
第31条注文者の講ずべき措置注文者は建設物等使用時に労災を防ぐ2項判例なし
  • 建設物・設備・原材料を請負人の作業従事者に使用させるときが対象
  • 労働災害防止のため必要な措置を講じる
条文原文を見るこの条文の詳細ページ
第31_2条化学設備の改造作業で注文者が措置する1項判例なし
  • 化学物質を扱う設備の改造等一定の作業の仕事の注文者が対象
  • 請負人の労働者の労災防止のため必要な措置を講じる
条文原文を見るこの条文の詳細ページ
第31_3条特定機械の混在作業で労災を防ぐ2項判例なし
  • 建設業で複数の事業者等が特定の機械を使う作業が対象
  • 発注者等が労働者の労災防止のため必要な措置を講じる
条文原文を見るこの条文の詳細ページ
第31_4条違法な指示の禁止注文者は違法な指示をしてはならない1項判例なし
  • 指示に従うと法令違反になる指示を請負人にしてはならない
条文原文を見るこの条文の詳細ページ
論

主要な論点と判例

原文ママ

論点の見出しと結論は、裁判所が付した判示事項・裁判要旨をそのまま転記しています。文中の〈 〉内は条文の見出しを当サイトが補ったものです。

論点1第21条労働安全衛生法

し尿処理施設に設置された活性汚泥槽は労働安全衛生規則五三三条の「転落することにより火傷、窒息等の危険を及ぼすおそれのある煮沸槽、ホツパー、ピツト等」に含まれるか

裁判要旨し尿処理施設に設置された活性汚泥槽は、労働安全衛生規則五三三条の「転落することにより火傷、窒息等の危険を及ぼすおそれのある煮沸槽、ホツパー、ピツト等」に含まれる。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和51年12月10日 昭和51(あ)550
登載
刑集 第30巻11号1919頁
参照法条
労働安全衛生法21条2項,労働安全衛生法27条1項,労働安全衛生法119条1号,労働安全衛生規則533条
論点2第22条労働安全衛生法

労働大臣が石綿製品の製造等を行う工場又は作業場における石綿関連疾患の発生防止のために労働基準法(昭和47年法律第57号による改正前のもの)に基づく省令制定権限を行使しなかったことが国家賠償法1条1項の適用上違法であるとされた事例

裁判要旨石綿製品の製造等を行う工場又は作業場の労働者が石綿の粉じんにばく露したことにより石綿肺等の石綿関連疾患にり患した場合において,昭和33年当時,(1)石綿肺に関する医学的知見が確立し,国も石綿の粉じんによる被害の深刻さを認識していたこと,(2)上記の工場等における石綿の粉じん防止策として最も有効な局所排気装置の設置を義務付けるために必要な技術的知見が存在していたこと,(3)従前からの行政指導によっても局所排気装置の設置が進んでいなかったことなど判示の事情の下では,石綿に関する作業につき局所排気装置の設置の促進を指示する通達が発出された同年5月26日以降,労働大臣が労働基準法(昭和47年法律第57号による改正前のもの)に基づく省令制定権限を行使して罰則をもって上記の工場等に局所排気装置を設置することを義務付けなかったことは,国家賠償法1条1項の適用上違法である。
裁判
最高裁判所第一小法廷 平成26年10月9日 平成26(受)771
登載
民集 第68巻8号799頁
参照法条
国家賠償法1条1項,労働基準法1条,労働基準法(昭和47年法律第57号による改正前のもの)42条,労働基準法(昭和47年法律第57号による改正前のもの)43条,労働基準法(昭和47年法律第57号による改正前のもの)45条,労働安全衛生法22条,労働安全衛生法23条,労働安全衛生法27条
論点3第22条労働安全衛生法

1 労働大臣が建設現場における石綿関連疾患の発生防止のために労働安全衛生法に基づく規制権限を行使しなかったことが屋内の建設作業に従事して石綿粉じんにばく露した労働者との関係において国家賠償法1条1項の適用上違法であるとされた事例
2 労働大臣が建設現場における石綿関連疾患の発生防止のために労働安全衛生法に基づく規制権限を行使しなかったことが屋内の建設作業に従事して石綿粉じんにばく露した者のうち労働者に該当しない者との関係において国家賠償法1条1項の適用上違法であるとされた事例
3 被害者によって特定された複数の行為者のほかに被害者の損害をそれのみで惹起し得る行為をした者が存在しないことは,民法719条1項後段の適用の要件か
4 石綿含有建材を製造販売した建材メーカーらが,中皮腫にり患した大工らに対し,民法719条1項後段の類推適用により,上記大工らの各損害の3分の1について連帯して損害賠償責任を負うとされた事例
5 石綿含有建材を製造販売した建材メーカーらが,石綿肺,肺がん又はびまん性胸膜肥厚にり患した大工らに対し,民法719条1項後段の類推適用により,上記大工らの各損害の3分の1について連帯して損害賠償責任を負うとされた事例

裁判要旨1 屋根を有し周囲の半分以上が外壁に囲まれ屋内作業場と評価し得る建設現場の内部における建設作業(石綿吹付け作業を除く。)に従事する者が石綿粉じんにばく露したことにより石綿肺,肺がん,中皮腫等の石綿関連疾患にり患した場合において,次の⑴~⑷など判示の事情の下では,石綿に係る規制を強化する昭和50年の改正後の特定化学物質等障害予防規則が一部を除き施行された同年10月1日以降,労働大臣が,労働安全衛生法に基づく規制権限を行使して,通達を発出するなどして,石綿含有建材の表示及び石綿含有建材を取り扱う建設現場における掲示として,石綿含有建材から生ずる粉じんを吸入すると石綿肺,肺がん,中皮腫等の重篤な石綿関連疾患を発症する危険があること並びに石綿含有建材の切断等の石綿粉じんを発散させる作業及びその周囲における作業をする際には必ず適切な防じんマスクを着用する必要があることを示すように指導監督をせず,また,同法に基づく省令制定権限を行使して,事業者に対し,上記の屋内作業場と評価し得る建設現場の内部において上記各作業に労働者を従事させる場合に呼吸用保護具を使用させることを義務付けなかったことは,上記の建設作業に従事して石綿粉じんにばく露した労働者との関係において,国家賠償法1条1項の適用上違法である。
⑴ 昭和50年当時,建設現場は石綿粉じんにばく露する危険性の高い作業環境にあったところ,国による石綿粉じん対策は不十分なものであり,建設作業従事者に石綿関連疾患にり患する広範かつ重大な危険が生じていた。
⑵ 昭和33年には,石綿肺に関する医学的知見が確立し,昭和47年には,石綿粉じんにばく露することと肺がん及び中皮腫の発症との関連性並びに肺がん及び中皮腫が潜伏期間の長い遅発性の疾患であることが明らかとなっていた。
⑶ 国は,昭和48年には,石綿のがん原性が明らかとなったことに伴い,石綿粉じんに対する規制を強化する必要があると認識し,昭和50年には,石綿含有建材を取り扱う建設作業従事者について,石綿関連疾患にり患することを防止する必要があると認識していた。
⑷ 国は,昭和48年頃には,建設作業従事者が,当時の通達の示す抑制濃度を超える石綿粉じんにさらされている可能性があることを認識することができたのであり,建設現場における石綿粉じん濃度の測定等の調査を行えば,石綿吹付け作業に従事する者以外の上記の屋内作業場と評価し得る建設現場の内部における建設作業従事者にも,石綿関連疾患にり患する広範かつ重大な危険が生じていることを把握することができた。
2 屋根を有し周囲の半分以上が外壁に囲まれ屋内作業場と評価し得る建設現場の内部における建設作業(石綿吹付け作業を除く。)に従事する者が石綿粉じんにばく露したことにより石綿肺,肺がん,中皮腫等の石綿関連疾患にり患した場合において,次の⑴~⑷など判示の事情の下では,石綿に係る規制を強化する昭和50年の改正後の特定化学物質等障害予防規則が一部を除き施行された同年10月1日以降,労働大臣が,労働安全衛生法に基づく規制権限を行使して,通達を発出するなどして,石綿含有建材の表示及び石綿含有建材を取り扱う建設現場における掲示として,石綿含有建材から生ずる粉じんを吸入すると石綿肺,肺がん,中皮腫等の重篤な石綿関連疾患を発症する危険があること並びに石綿含有建材の切断等の石綿粉じんを発散させる作業及びその周囲における作業をする際には必ず適切な防じんマスクを着用する必要があることを示すように指導監督をしなかったことは,上記の建設作業に従事して石綿粉じんにばく露した者のうち同法2条2号において定義された労働者に該当しない者との関係においても,国家賠償法1条1項の適用上違法である。
⑴ 昭和50年当時,建設現場は石綿粉じんにばく露する危険性の高い作業環境にあったところ,国による石綿粉じん対策は不十分なものであり,建設作業従事者に石綿関連疾患にり患する広範かつ重大な危険が生じていた。
⑵ 昭和33年には,石綿肺に関する医学的知見が確立し,昭和47年には,石綿粉じんにばく露することと肺がん及び中皮腫の発症との関連性並びに肺がん及び中皮腫が潜伏期間の長い遅発性の疾患であることが明らかとなっていた。
⑶ 国は,昭和48年には,石綿のがん原性が明らかとなったことに伴い,石綿粉じんに対する規制を強化する必要があると認識し,昭和50年には,石綿含有建材を取り扱う建設作業従事者について,石綿関連疾患にり患することを防止する必要があると認識していた。
⑷ 国は,昭和48年頃には,建設作業従事者が,当時の通達の示す抑制濃度を超える石綿粉じんにさらされている可能性があることを認識することができたのであり,建設現場における石綿粉じん濃度の測定等の調査を行えば,石綿吹付け作業に従事する者以外の上記の屋内作業場と評価し得る建設現場の内部における建設作業従事者にも,石綿関連疾患にり患する広範かつ重大な危険が生じていることを把握することができた。
3 被害者によって特定された複数の行為者のほかに被害者の損害をそれのみで惹起し得る行為をした者が存在しないことは,民法719条1項後段の適用の要件である。
4 Y1,Y2及びY3を含む多数の建材メーカーが,石綿含有建材を製造販売する際に,当該建材が石綿を含有しており,当該建材から生ずる粉じんを吸入すると石綿肺,肺がん,中皮腫等の重篤な石綿関連疾患を発症する危険があること等を当該建材に表示する義務を負っていたにもかかわらず,その義務を履行しておらず,大工らが,建設現場において,複数の建材メーカーが製造販売した石綿含有建材を取り扱うことなどにより,累積的に石綿粉じんにばく露し,中皮腫にり患した場合において,次の⑴~⑷など判示の事情の下では,Y1,Y2及びY3は,民法719条1項後段の類推適用により,上記大工らの各損害の3分の1について,連帯して損害賠償責任を負う。
⑴ 上記大工らは,建設現場において,石綿含有スレートボード・フレキシブル板,石綿含有スレートボード・平板及び石綿含有けい酸カルシウム板第1種という種類の石綿含有建材を直接取り扱っていた。
⑵ 上記の各種類の石綿含有建材のうち,Y1,Y2及びY3が製造販売したものが,上記大工らが稼働する建設現場に相当回数にわたり到達して用いられていた。
⑶ 上記大工らが,上記の各種類の石綿含有建材を直接取り扱ったことによる石綿粉じんのばく露量は,各自の石綿粉じんのばく露量全体のうち3分の1程度であった。
⑷ 上記大工らの中皮腫の発症について,Y1,Y2及びY3が個別にどの程度の影響を与えたのかは明らかでない。
5 Y1,Y2及びY3を含む多数の建材メーカーが,石綿含有建材を製造販売する際に,当該建材が石綿を含有しており,当該建材から生ずる粉じんを吸入すると石綿肺,肺がん,中皮腫等の重篤な石綿関連疾患を発症する危険があること等を当該建材に表示する義務を負っていたにもかかわらず,その義務を履行しておらず,大工らが,建設現場において,複数の建材メーカーが製造販売した石綿含有建材を取り扱うことなどにより,累積的に石綿粉じんにばく露し,石綿肺,肺がん又はびまん性胸膜肥厚にり患した場合において,次の⑴~⑷など判示の事情の下では,Y1,Y2及びY3は,民法719条1項後段の類推適用により,上記大工らの各損害の3分の1について,連帯して損害賠償責任を負う。
⑴ 上記大工らは,建設現場において,石綿含有スレートボード・フレキシブル板,石綿含有スレートボード・平板及び石綿含有けい酸カルシウム板第1種という種類の石綿含有建材を直接取り扱っていた。
⑵ 上記の各種類の石綿含有建材のうち,Y1,Y2及びY3が製造販売したものが,上記大工らが稼働する建設現場に相当回数にわたり到達して用いられていた。
⑶ 上記大工らが,上記の各種類の石綿含有建材を直接取り扱ったことによる石綿粉じんのばく露量は,各自の石綿粉じんのばく露量全体のうち3分の1程度であった。
⑷ 上記大工らの石綿肺,肺がん又はびまん性胸膜肥厚の発症について,Y1,Y2及びY3が個別にどの程度の影響を与えたのかは明らかでない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 令和3年5月17日 平成30(受)1447
登載
民集 第75巻5号1359頁
参照法条
(1,2につき)国家賠償法1条1項,労働安全衛生法22条,労働安全衛生法23条, 労働安全衛生法27条,労働安全衛生法57条1項 (3~5につき)民法719条1項後段
論点4第22条労働安全衛生法

1 厚生労働大臣が建設現場における石綿関連疾患の発生防止のために労働安全衛生法に基づく規制権限を行使しなかったことが屋外の建設作業に従事して石綿粉じんにばく露した者との関係において国家賠償法1条1項の適用上違法とはいえないとされた事例
2 建材メーカーが,自らの製造販売する石綿含有建材を使用する屋外の建設作業に従事して石綿粉じんにばく露した者に対し,上記石綿含有建材に当該建材から生ずる粉じんにばく露すると重篤な石綿関連疾患にり患する危険があること等の表示をすべき義務を負っていたとはいえないとされた事例

裁判要旨1 屋外の建設現場における石綿含有建材の切断,設置等の作業に従事する者が石綿粉じんにばく露したことにより中皮腫にり患した場合において,次の⑴~⑸など判示の事情の下では,国が,平成13年から平成16年9月30日までの期間に,上記作業に従事する者に石綿関連疾患にり患する危険が生じていることを認識することができたとはいえず,厚生労働大臣が,平成14年1月1日から平成16年9月30日までの期間に,労働安全衛生法に基づく規制権限を行使して,石綿含有建材の表示及び石綿含有建材を取り扱う建設現場における掲示として,石綿含有建材から生ずる粉じんにばく露すると石綿肺,肺がん,中皮腫等の重篤な石綿関連疾患にり患する危険がある旨を示すこと等を義務付けなかったことは,上記作業に従事する者との関係において,国家賠償法1条1項の適用上違法であるとはいえない。
⑴ 平成13年から平成16年9月30日までの期間において国が法令により定めていた石綿粉じん濃度の規制値は管理濃度としての2本/㎤であった。
⑵ 日本産業衛生学会が平成13年に勧告した過剰発がん生涯リスクレベル10-3(10のマイナス3乗)に対応する評価値としての0.15本/㎤は,法令上の規制値ではなく学会により勧告されたものであり,その意味は,労働者が1日8時間,週40時間程度,50年間にわたり0.15本/㎤のクリソタイルのみの石綿粉じんにばく露したときに,1000人に1人,過剰発がんリスクが発生するというものである。
⑶ 上記⑴の期間までに公表等がされていた上記作業に係る石綿粉じん濃度の測定結果には,0.15本/㎤以上のものがあるが,それらは主に石綿含有建材の切断作業をする者につきその作業をする限られた時間の個人ばく露濃度を測定したもの等である。
⑷ 上記測定結果には,0.15本/㎤を下回るものがある。
⑸ 上記測定結果は,全体として屋内の作業に係る石綿粉じん濃度の測定結果を大きく下回るところ,これは,屋外の作業場においては,屋内の作業場と異なり,風等により自然に換気がされ,石綿粉じん濃度が薄められるためであることがうかがわれる。
2 屋外の建設現場における石綿含有建材の切断,設置等の作業に従事する者が石綿粉じんにばく露したことにより中皮腫にり患した場合において,次の⑴~⑸など判示の事情の下では,建材メーカーが,平成13年から平成15年12月31日までの期間に,自らの製造販売する石綿含有建材を使用する上記作業に従事する者に石綿関連疾患にり患する危険が生じていることを認識することができたとはいえず,平成14年1月1日から平成15年12月31日までの期間に,上記の者に対し,上記石綿含有建材に当該建材から生ずる粉じんにばく露すると石綿肺,肺がん,中皮腫等の重篤な石綿関連疾患にり患する危険があること等の表示をすべき義務を負っていたとはいえない。
⑴ 平成13年から平成15年12月31日までの期間において国が法令により定めていた石綿粉じん濃度の規制値は管理濃度としての2本/㎤であった。
⑵ 日本産業衛生学会が平成13年に勧告した過剰発がん生涯リスクレベル10-3(10のマイナス3乗)に対応する評価値としての0.15本/㎤は,法令上の規制値ではなく学会により勧告されたものであり,その意味は,労働者が1日8時間,週40時間程度,50年間にわたり0.15本/㎤のクリソタイルのみの石綿粉じんにばく露したときに,1000人に1人,過剰発がんリスクが発生するというものである。
⑶ 上記⑴の期間までに公表等がされていた上記作業に係る石綿粉じん濃度の測定結果には,0.15本/㎤以上のものがあるが,それらは主に石綿含有建材の切断作業をする者につきその作業をする限られた時間の個人ばく露濃度を測定したもの等である。
⑷ 上記測定結果には,0.15本/㎤を下回るものがある。
⑸ 上記測定結果は,全体として屋内の作業に係る石綿粉じん濃度の測定結果を大きく下回るところ,これは,屋外の作業場においては,屋内の作業場と異なり,風等により自然に換気がされ,石綿粉じん濃度が薄められるためであることがうかがわれる。
裁判
最高裁判所第一小法廷 令和3年5月17日 平成31(受)290
登載
集民 第265号201頁
参照法条
(1につき)国家賠償法1条1項,労働安全衛生法22条,労働安全衛生法23条,労働安全衛生法27条,労働安全衛生法57条 (2につき)民法709条
論点5第30条労働安全衛生法

注文者が労働安全衛生法三〇条二項前段による指名をしなかったことと作業員の死亡事故との間に相当因果関係がないとされた事例

裁判要旨漁船の機関室で甲社と乙社の作業が並行して行われた際、甲社の作業員の過失によりアンモニアガスが漏出して乙社の作業員が死亡した場合において、甲乙両社に漁船の整備点検を分割発注した注文者が労働安全衛生法三〇条二項前段による指名をしていなかったとしても、当日予定されていた甲社の作業にはアンモニアガス漏出の危険性のあるものはなく、事故の原因となった作業は甲社の作業員がその場の思い付きで行ったものであるなど判示の事実関係の下では、注文者が右指名をしなかったことと事故との間に相当因果関係があるとはいえない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 平成5年1月21日 平成1(オ)745
登載
集民 第167号297頁
参照法条
民法709条,労働安全衛生法30条1項,労働安全衛生法30条2項
論点6第30条労働安全衛生法

労働安全衛生法15条1項〈統括安全衛生責任者〉にいう「特定元方事業者」の解釈適用が争われた事例

裁判
最高裁判所第三小法廷 平成17年12月21日 平成16(あ)1013
登載
集刑 第288号789頁
参照法条
労働安全衛生法15条1項,労働安全衛生法30条1項2号,労働安全衛生法120条1号,労働安全衛生法122条,労働安全衛生規則636条
原

条文原文

原文ママ

e-Gov法令検索から取得した原文を、号・イロハまで省略せずに掲載しています。

労働安全衛生法 第20条(事業者の講ずべき措置等) 詳細ページ
(事業者の講ずべき措置等)
第二十条事業者は、次の危険を防止するため必要な措置を講じなければならない。
一機械、器具その他の設備(以下「機械等」という。)による危険
二爆発性の物、発火性の物、引火性の物等による危険
三電気、熱その他のエネルギーによる危険
労働安全衛生法 第21条 詳細ページ
第二十一条事業者は、掘削、採石、荷役、伐木等の業務における作業方法から生ずる危険を防止するため必要な措置を講じなければならない。
2事業者は、労働者が墜落するおそれのある場所、土砂等が崩壊するおそれのある場所等に係る危険を防止するため必要な措置を講じなければならない。
労働安全衛生法 第22条 詳細ページ
第二十二条事業者は、次の健康障害を防止するため必要な措置を講じなければならない。
一原材料、ガス、蒸気、粉じん、酸素欠乏空気、病原体等による健康障害
二放射線、高温、低温、超音波、騒音、振動、異常気圧等による健康障害
三計器監視、精密工作等の作業による健康障害
四排気、排液又は残さい物による健康障害
労働安全衛生法 第23条 詳細ページ
第二十三条事業者は、労働者を就業させる建設物その他の作業場について、通路、床面、階段等の保全並びに換気、採光、照明、保温、防湿、休養、避難及び清潔に必要な措置その他労働者の健康、風紀及び生命の保持のため必要な措置を講じなければならない。
労働安全衛生法 第24条 詳細ページ
第二十四条事業者は、労働者の作業行動から生ずる労働災害を防止するため必要な措置を講じなければならない。
労働安全衛生法 第25条 詳細ページ
第二十五条事業者は、労働災害発生の急迫した危険があるときは、直ちに作業を中止し、労働者を作業場から退避させる等必要な措置を講じなければならない。
労働安全衛生法 第25_2条 詳細ページ
第二十五条の二建設業その他政令で定める業種に属する事業の仕事で、政令で定めるものを行う事業者は、爆発、火災等が生じたことに伴い作業従事者の救護に関する措置がとられる場合における労働災害の発生を防止するため、次の措置を講じなければならない。
一作業従事者の救護に関し必要な機械等の備付け及び管理を行うこと。
二作業従事者の救護に関し必要な事項についての訓練を行うこと。
三前二号に掲げるもののほか、爆発、火災等に備えて、作業従事者の救護に関し必要な事項を行うこと。
2前項に規定する事業者は、厚生労働省令で定める資格を有する者のうちから、厚生労働省令で定めるところにより、同項各号の措置のうち技術的事項を管理する者を選任し、その者に当該技術的事項を管理させなければならない。
労働安全衛生法 第26条 詳細ページ
第二十六条労働者及び労働者と同一の場所において仕事の作業に従事する労働者以外の作業従事者は、事業者が第二十条から第二十五条まで及び前条第一項の規定に基づき講ずる措置に応じて、必要な事項を守らなければならない。
労働安全衛生法 第27条 詳細ページ
第二十七条第二十条から第二十五条まで及び第二十五条の二第一項の規定により事業者が講ずべき措置及び前条の規定により労働者及び労働者と同一の場所において仕事の作業に従事する労働者以外の作業従事者が守らなければならない事項は、厚生労働省令で定める。
2前項の厚生労働省令を定めるに当たつては、公害(環境基本法(平成五年法律第九十一号)第二条第三項に規定する公害をいう。)その他一般公衆の災害で、労働災害と密接に関連するものの防止に関する法令の趣旨に反しないように配慮しなければならない。
労働安全衛生法 第28条(技術上の指針等の公表等) 詳細ページ
(技術上の指針等の公表等)
第二十八条厚生労働大臣は、第二十条から第二十五条まで及び第二十五条の二第一項の規定により事業者が講ずべき措置の適切かつ有効な実施を図るため必要な業種又は作業ごとの技術上の指針を公表するものとする。
2厚生労働大臣は、前項の技術上の指針を定めるに当たつては、中高年齢者に関して、特に配慮するものとする。
3厚生労働大臣は、次の化学物質で厚生労働大臣が定めるものを製造し、又は取り扱う事業者が当該化学物質による労働者の健康障害を防止するための指針を公表するものとする。
一第五十七条の四第四項の規定による勧告又は第五十七条の五第一項の規定による指示に係る化学物質
二前号に掲げる化学物質以外の化学物質で、がんその他の重度の健康障害を労働者に生ずるおそれのあるもの
4厚生労働大臣は、第一項又は前項の規定により、技術上の指針又は労働者の健康障害を防止するための指針を公表した場合において必要があると認めるときは、事業者又はその団体に対し、当該技術上の指針又は労働者の健康障害を防止するための指針に関し必要な指導等を行うことができる。
労働安全衛生法 第28_2条(事業者の行うべき調査等) 詳細ページ
(事業者の行うべき調査等)
第二十八条の二事業者は、厚生労働省令で定めるところにより、建設物、設備、原材料、ガス、蒸気、粉じん等による、又は作業行動その他業務に起因する危険性又は有害性等(第五十七条第一項の政令で定める物及び第五十七条の二第一項に規定する通知対象物による危険性又は有害性等を除く。)を調査し、その結果に基づいて、この法律又はこれに基づく命令の規定による措置を講ずるほか、労働者の危険又は健康障害を防止するため必要な措置を講ずるように努めなければならない。ただし、当該調査のうち、化学物質、化学物質を含有する製剤その他の物で労働者の危険又は健康障害を生ずるおそれのあるものに係るもの以外のものについては、製造業その他厚生労働省令で定める業種に属する事業者に限る。
2厚生労働大臣は、前条第一項及び第三項に定めるもののほか、前項の措置に関して、その適切かつ有効な実施を図るため必要な指針を公表するものとする。
3厚生労働大臣は、前項の指針に従い、事業者又はその団体に対し、必要な指導、援助等を行うことができる。
労働安全衛生法 第29条(元方事業者の講ずべき措置等) 詳細ページ
(元方事業者の講ずべき措置等)
第二十九条元方事業者は、関係請負人及び関係請負人に係る作業従事者が、当該仕事に関し、この法律又はこれに基づく命令の規定に違反しないよう必要な指導を行わなければならない。
2元方事業者は、関係請負人又は関係請負人に係る作業従事者が、当該仕事に関し、この法律又はこれに基づく命令の規定に違反していると認めるときは、是正のため必要な指示を行わなければならない。
3前項の指示を受けた関係請負人又は関係請負人に係る作業従事者は、当該指示に従わなければならない。
労働安全衛生法 第29_2条 詳細ページ
第二十九条の二建設業に属する事業の元方事業者は、土砂等が崩壊するおそれのある場所、機械等が転倒するおそれのある場所その他の厚生労働省令で定める場所において関係請負人に係る作業従事者が当該事業の仕事の作業を行うときは、当該関係請負人が講ずべき当該場所に係る危険を防止するための措置が適正に講ぜられるように、技術上の指導その他の必要な措置を講じなければならない。
労働安全衛生法 第30条(特定元方事業者等の講ずべき措置) 詳細ページ
(特定元方事業者等の講ずべき措置)
第三十条特定元方事業者は、その労働者である作業従事者(当該労働者である作業従事者のほか、労働者以外の当該特定元方事業者に係る作業従事者がある場合には、当該者を含む。)及び関係請負人に係る作業従事者の作業が同一の場所において行われることによつて生ずる労働災害を防止するため、次の事項に関する必要な措置を講じなければならない。
一協議組織の設置及び運営を行うこと。
二作業間の連絡及び調整を行うこと。
三作業場所を巡視すること。
四関係請負人が行う労働者の安全又は衛生のための教育に対する指導及び援助を行うこと。
五仕事を行う場所が仕事ごとに異なることを常態とする業種で、厚生労働省令で定めるものに属する事業を行う特定元方事業者にあつては、仕事の工程に関する計画及び作業場所における機械、設備等の配置に関する計画を作成するとともに、当該機械、設備等を使用する作業に関し関係請負人がこの法律又はこれに基づく命令の規定に基づき講ずべき措置についての指導を行うこと。
六前各号に掲げるもののほか、当該労働災害を防止するため必要な事項
2特定事業の仕事の発注者(注文者のうち、その仕事を他の者から請け負わないで注文している者をいう。以下同じ。)で、特定元方事業者以外のものは、一の場所において行われる特定事業の仕事を二以上の請負人に請け負わせている場合において、当該場所において当該仕事に係る二以上の請負人に係る作業従事者(労働者及び労働者と同一の場所において仕事の作業に従事する労働者以外の作業従事者に限る。)が作業を行うときは、厚生労働省令で定めるところにより、請負人で当該仕事を自ら行う事業者であるもののうちから、前項に規定する措置を講ずべき者として一人を指名しなければならない。一の場所において行われる特定事業の仕事の全部を請け負つた者で、特定元方事業者以外のもののうち、当該仕事を二以上の請負人に請け負わせている者についても、同様とする。
3前項の規定による指名がされないときは、同項の指名は、労働基準監督署長がする。
4第二項又は前項の規定による指名がされたときは、当該指名された事業者は、当該場所において当該仕事の作業に従事する全ての作業従事者に関し、第一項に規定する措置を講じなければならない。この場合においては、当該指名された事業者及び当該指名された事業者以外の事業者については、同項の規定は、適用しない。
労働安全衛生法 第30_2条 詳細ページ
第三十条の二製造業その他政令で定める業種に属する事業(特定事業を除く。)の元方事業者は、その労働者である作業従事者(当該労働者である作業従事者のほか、労働者以外の当該元方事業者に係る作業従事者がある場合には、当該者を含む。)及び関係請負人に係る作業従事者の作業が同一の場所において行われることによつて生ずる労働災害を防止するため、作業間の連絡及び調整を行うことに関する措置その他必要な措置を講じなければならない。
2前条第二項の規定は、前項に規定する事業の仕事の発注者について準用する。この場合において、同条第二項中「特定元方事業者」とあるのは「元方事業者」と、「特定事業の仕事を二以上」とあるのは「仕事を二以上」と、「前項」とあるのは「次条第一項」と、「特定事業の仕事の全部」とあるのは「仕事の全部」と読み替えるものとする。
3前項において準用する前条第二項の規定による指名がされないときは、同項の指名は、労働基準監督署長がする。
4第二項において準用する前条第二項又は前項の規定による指名がされたときは、当該指名された事業者は、当該場所において当該仕事の作業に従事する全ての作業従事者に関し、第一項に規定する措置を講じなければならない。この場合においては、当該指名された事業者及び当該指名された事業者以外の事業者については、同項の規定は、適用しない。
労働安全衛生法 第30_3条 詳細ページ
第三十条の三第二十五条の二第一項に規定する仕事が数次の請負契約によつて行われる場合(第四項の場合を除く。)においては、元方事業者は、当該場所において当該仕事の作業に従事する全ての作業従事者に関し、同条第一項各号の措置を講じなければならない。この場合においては、当該元方事業者及び当該元方事業者以外の事業者については、同項の規定は、適用しない。
2第三十条第二項の規定は、第二十五条の二第一項に規定する仕事の発注者について準用する。この場合において、第三十条第二項中「特定元方事業者」とあるのは「元方事業者」と、「特定事業の仕事を二以上」とあるのは「仕事を二以上」と、「前項に規定する措置」とあるのは「第二十五条の二第一項各号の措置」と、「特定事業の仕事の全部」とあるのは「仕事の全部」と読み替えるものとする。
3前項において準用する第三十条第二項の規定による指名がされないときは、同項の指名は、労働基準監督署長がする。
4第二項において準用する第三十条第二項又は前項の規定による指名がされたときは、当該指名された事業者は、当該場所において当該仕事の作業に従事する全ての作業従事者に関し、第二十五条の二第一項各号の措置を講じなければならない。この場合においては、当該指名された事業者及び当該指名された事業者以外の事業者については、同項の規定は、適用しない。
5第二十五条の二第二項の規定は、第一項に規定する元方事業者及び前項の指名された事業者について準用する。この場合においては、当該元方事業者及び当該指名された事業者並びに当該元方事業者及び当該指名された事業者以外の事業者については、同条第二項の規定は、適用しない。
労働安全衛生法 第31条(注文者の講ずべき措置) 詳細ページ
(注文者の講ずべき措置)
第三十一条特定事業の仕事を自ら行う注文者は、建設物、設備又は原材料(以下「建設物等」という。)を、当該仕事を行う場所においてその請負人(当該仕事が数次の請負契約によつて行われるときは、当該請負人の請負契約の後次の全ての請負契約の当事者である請負人を含む。)に係る作業従事者(労働者及び労働者と同一の場所において仕事の作業に従事する労働者以外の作業従事者に限る。)に使用させるときは、当該建設物等について、労働災害を防止するため必要な措置を講じなければならない。
2前項の規定は、当該事業の仕事が数次の請負契約によつて行なわれることにより同一の建設物等について同項の措置を講ずべき注文者が二以上あることとなるときは、後次の請負契約の当事者である注文者については、適用しない。
労働安全衛生法 第31_2条 詳細ページ
第三十一条の二化学物質、化学物質を含有する製剤その他の物を製造し、又は取り扱う設備で政令で定めるものの改造その他の厚生労働省令で定める作業に係る仕事の注文者は、当該物について、当該仕事に係る請負人の労働者の労働災害を防止するため必要な措置を講じなければならない。
労働安全衛生法 第31_3条 詳細ページ
第三十一条の三建設業に属する事業の仕事を行う二以上の事業者又は個人事業者(事業を行う者で、労働者を使用しないものをいう。以下同じ。)に係る作業従事者(労働者及び労働者と同一の場所において仕事の作業に従事する労働者以外の作業従事者に限る。)が一の場所において機械で厚生労働省令で定めるものに係る作業(以下この条において「特定作業」という。)を行う場合において、特定作業に係る仕事を自ら行う発注者又は当該仕事の全部を請け負つた者で、当該場所において当該仕事の一部を請け負わせているものは、厚生労働省令で定めるところにより、当該場所において特定作業に従事する全ての労働者の労働災害を防止するため必要な措置を講じなければならない。
2前項の場合において、同項の規定により同項に規定する措置を講ずべき者がいないときは、当該場所において行われる特定作業に係る仕事の全部を請負人に請け負わせている建設業に属する事業の元方事業者又は第三十条第二項若しくは第三項の規定により指名された事業者で建設業に属する事業を行うものは、前項に規定する措置を講ずる者を指名する等当該場所において特定作業に従事するすべての労働者の労働災害を防止するため必要な配慮をしなければならない。
労働安全衛生法 第31_4条(違法な指示の禁止) 詳細ページ
(違法な指示の禁止)
第三十一条の四注文者は、その請負人(仕事が数次の請負契約によつて行われるときは、当該請負人の請負契約の後次の全ての請負契約の当事者である請負人を含む。)に対し、当該仕事に関し、その指示に従つて当該請負人に係る作業従事者が作業を行つたならば、この法律又はこれに基づく命令の規定に違反することとなる指示をしてはならない。
出

一次情報

原文ママ

条文は e-Gov法令検索、判例は裁判所ウェブサイトから取得しています。