所得税更正処分等取消,国家賠償請求事件

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事件番号
平成17(行ヒ)9
裁判年月日
平成18年4月20日
裁判所
最高裁判所第一小法廷
裁判種別
判決
結果
その他
判例集等
民集 第60巻4号1611頁
原審
東京高等裁判所
原審事件番号
平成15(行コ)188

判示事項

1 納税申告手続を委任された税理士が隠ぺい仮装行為をした場合と納税者本人に対する重加算税の賦課
2 納税申告手続を委任された税理士が納税者に無断で隠ぺい仮装行為に基づく過少申告をした場合に納税者本人につき国税通則法68条1項所定の重加算税賦課の要件を満たすものということはできないとされた事例
3 国税通則法65条4項〈過少申告加算税〉にいう「正当な理由があると認められる」場合
4 納税申告手続を委任された税理士が虚偽の記載をした確定申告書を提出するなどして過少申告をした場合に納税者本人に対する過少申告加算税の賦課に関し国税通則法65条4項にいう「正当な理由」があると認めることはできないとされた事例

裁判要旨

1 納税申告手続を委任された税理士が隠ぺい,仮装行為をして過少申告をした場合,納税者において当該税理士が上記行為を行うこと若しくは行ったことを認識し,又は容易に認識することができ,法定申告期限までにその是正や過少申告防止の措置を講ずることができたにもかかわらず,納税者においてこれを防止せずに上記行為が行われ,それに基づいて過少申告がされたときには,上記行為を納税者本人の行為と同視することができ,重加算税を賦課することができるが,当該税理士の選任又は監督につき納税者に何らかの落ち度があるというだけでは足りない。
2 納税申告手続を委任された税理士が納税者に無断で隠ぺい,仮装行為をして過少申告をした場合において,納税者が同税理士を信頼して適正な申告を依頼し,納税資金を交付したにもかかわらず,同税理士が上記行為をして納税資金を着服したものであり,納税者において同税理士が隠ぺい,仮装行為を行うことを容易に予測し得たということはできず,上記申告後も同税理士による上記行為を認識した事実もなく,容易に認識し得たともいえないという事情の下では,納税者に,税務署職員等から示された税額よりも相当低い税額で済むとの同税理士の言葉を信じ,確定申告書の内容を確認しなかったなどの落ち度があるとしても,同税理士の上記行為を納税者本人の行為と同視することはできず,国税通則法68条1項〈重加算税〉所定の重加算税賦課の要件を満たすものということはできない。
3 国税通則法65条4項〈過少申告加算税〉にいう「正当な理由があると認められる」場合とは,真に納税者の責めに帰することのできない客観的事情があり,過少申告加算税の趣旨に照らしてもなお納税者に過少申告加算税を賦課することが不当又は酷になる場合をいう。
4 納税申告手続を委任された税理士が納税者に無断で虚偽の記載をした確定申告書を提出するなどして過少申告をした場合において,税務署職員等から示された税額よりも相当低い税額で済むとの同税理士の言葉を信じてそれ以上の調査確認をせず,確定申告書の内容を確認しなかったなど,納税者本人に落ち度があり,他方,上記確定申告書を受理した税務署職員が同税理士による脱税行為に加担した事実は認められないなど判示の事情の下では,納税者本人に対する過少申告加算税の賦課に関し,国税通則法65条4項にいう「正当な理由」があると認めることはできない。

参照法条

(1,2につき)国税通則法68条1項〈重加算税〉,税理士法1条,(3,4につき)国税通則法65条4項〈過少申告加算税〉

この裁判例が参照する条文の解説

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