相続税法 / テーマ別まとめ

総則/信託に関する特例

信託に関する特例の条文と、裁判所が付した判示事項から整理しています。

原文解釈このページは論点を軸に条文と判例を横断して整理したものです。論点の名称と構成は当サイトの整理であり、条文上の区分ではありません。リード文・要点・比較表も当サイトによる解釈です。条文原文と判例の判示事項・裁判要旨は転記です。

信託を使った財産の移転について、通常の贈与・遺贈と同じように贈与税・相続税を課すための特例をまとめたものです。信託の設定時だけでなく、受益者の交代・一部消滅・信託の終了、受益者が誰もいない信託や後から現れる受益者への対応まで、課税のタイミングと課税される人を条文ごとに整理しています。実務上は、対価の有無・親族関係の有無・受託者が個人か法人かによって扱いが変わる点に注意が必要です。

信託に関する特例
条文場面結果
9条の2①対価なしで信託の受益者等になる委託者から贈与とみなす(死亡起因は遺贈)
9条の2②受益者等が対価なく交代する前の受益者等から贈与とみなす(死亡は遺贈)
9条の2③一部の受益者等が消滅し利益増加その受益者等から贈与とみなす(死亡は遺贈)
9条の2④信託終了で残余財産を取得する受益者等から贈与とみなす(死亡は遺贈)
9条の3受益者連続型信託の評価期間制限等の制約は無いものとみなす
9条の4受益者等が存在しない信託受託者が贈与・遺贈で取得したとみなす
9条の5契約後に生まれた者が受益者等にその者が贈与で取得したとみなす
  • 受益者等とは受益者としての権利を持つ者と特定委託者(信託の変更権限を持ち給付を受けるとされる者、軽微な変更権限を除く)をいう
  • 贈与・遺贈で取得したとみなされた信託財産の資産・負債は、集団投資信託・法人課税信託・退職年金等信託を除き取得・承継したものとみなす
  • 受益者連続型信託を制約なしとみなす扱いは、権利者が法人の場合は適用されない
  • 9条の4・9条の5にいう「親族」は政令で定める範囲による
  • 受託者が個人以外の場合は個人とみなして課税し、課されるべき法人税等相当額を控除する
  • 信託に関する権利の一部しか有しない場合の適用関係などは政令に委任されている
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信託に関する特例

信託に関する特例について、条文は何を定めているか。

第9_2条贈与又は遺贈により取得したものとみなす信託に関する権利対価なしで受益者等になれば贈与とみなす6項判例なし
  • 信託の効力発生時に対価なく受益者等になると贈与(委託者死亡なら遺贈)とみなす
  • 受益者等の交代・一部消滅・信託終了時の残余財産取得も同様に贈与・遺贈とみなす
  • みなし取得者は信託財産の資産・負債も取得・承継したものとみなす
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第9_3条受益者連続型信託の特例受益者連続型信託は制約なしとして評価2項判例なし
  • 受益者(特定委託者)が対価なく取得した受益者連続型信託の権利が対象
  • 利益を受ける期間の制限など価値に影響する制約は付されていないとみなして評価する
  • 権利者が法人の場合はこの取扱いは適用されない
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第9_4条受益者等が存しない信託等の特例受益者等がいない信託は受託者に課税4項判例なし
  • 受益者等が親族なら、受託者が贈与(死亡なら遺贈)で取得したとみなす
  • 受益者等が不存在になった場合も、次が親族なら受託者に課税する
  • 受託者が個人以外なら個人とみなし、法人税相当額を控除する
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第9_5条契約後に生まれた受益者等にも贈与課税1項判例なし
  • 契約締結時等にまだ存在しない者が後に受益者等になる場合が対象
  • その者が委託者の親族なら、受益者等になった時に贈与により取得したとみなす
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第9_6条政令への委任細かい適用関係は政令に委任1項判例なし
  • 信託に関する権利の一部しか持たない場合の9条の2〈贈与又は遺贈により取得したものとみなす信託に関する権利〉①の適用方法は政令で定める
  • 特定委託者(信託財産の給付を受けるとされる者)の判定基準も政令で定める
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原

条文原文

原文ママ

e-Gov法令検索から取得した原文を、号・イロハまで省略せずに掲載しています。

相続税法 第9_2条(贈与又は遺贈により取得したものとみなす信託に関する権利) 詳細ページ
(贈与又は遺贈により取得したものとみなす信託に関する権利)
第九条の二信託(退職年金の支給を目的とする信託その他の信託で政令で定めるものを除く。以下同じ。)の効力が生じた場合において、適正な対価を負担せずに当該信託の受益者等(受益者としての権利を現に有する者及び特定委託者をいう。以下この節において同じ。)となる者があるときは、当該信託の効力が生じた時において、当該信託の受益者等となる者は、当該信託に関する権利を当該信託の委託者から贈与(当該委託者の死亡に基因して当該信託の効力が生じた場合には、遺贈)により取得したものとみなす。
2受益者等の存する信託について、適正な対価を負担せずに新たに当該信託の受益者等が存するに至つた場合(第四項の規定の適用がある場合を除く。)には、当該受益者等が存するに至つた時において、当該信託の受益者等となる者は、当該信託に関する権利を当該信託の受益者等であつた者から贈与(当該受益者等であつた者の死亡に基因して受益者等が存するに至つた場合には、遺贈)により取得したものとみなす。
3受益者等の存する信託について、当該信託の一部の受益者等が存しなくなつた場合において、適正な対価を負担せずに既に当該信託の受益者等である者が当該信託に関する権利について新たに利益を受けることとなるときは、当該信託の一部の受益者等が存しなくなつた時において、当該利益を受ける者は、当該利益を当該信託の一部の受益者等であつた者から贈与(当該受益者等であつた者の死亡に基因して当該利益を受けた場合には、遺贈)により取得したものとみなす。
4受益者等の存する信託が終了した場合において、適正な対価を負担せずに当該信託の残余財産の給付を受けるべき、又は帰属すべき者となる者があるときは、当該給付を受けるべき、又は帰属すべき者となつた時において、当該信託の残余財産の給付を受けるべき、又は帰属すべき者となつた者は、当該信託の残余財産(当該信託の終了の直前においてその者が当該信託の受益者等であつた場合には、当該受益者等として有していた当該信託に関する権利に相当するものを除く。)を当該信託の受益者等から贈与(当該受益者等の死亡に基因して当該信託が終了した場合には、遺贈)により取得したものとみなす。
5第一項の「特定委託者」とは、信託の変更をする権限(軽微な変更をする権限として政令で定めるものを除く。)を現に有し、かつ、当該信託の信託財産の給付を受けることとされている者(受益者を除く。)をいう。
6第一項から第三項までの規定により贈与又は遺贈により取得したものとみなされる信託に関する権利又は利益を取得した者は、当該信託の信託財産に属する資産及び負債を取得し、又は承継したものとみなして、この法律(第四十一条第二項を除く。)の規定を適用する。ただし、法人税法(昭和四十年法律第三十四号)第二条第二十九号(定義)に規定する集団投資信託、同条第二十九号の二に規定する法人課税信託又は同法第十二条第四項第一号(信託財産に属する資産及び負債並びに信託財産に帰せられる収益及び費用の帰属)に規定する退職年金等信託の信託財産に属する資産及び負債については、この限りでない。
相続税法 第9_3条(受益者連続型信託の特例) 詳細ページ
(受益者連続型信託の特例)
第九条の三受益者連続型信託(信託法(平成十八年法律第百八号)第九十一条(受益者の死亡により他の者が新たに受益権を取得する旨の定めのある信託の特例)に規定する信託、同法第八十九条第一項(受益者指定権等)に規定する受益者指定権等を有する者の定めのある信託その他これらの信託に類するものとして政令で定めるものをいう。以下この項において同じ。)に関する権利を受益者(受益者が存しない場合にあつては、前条第五項に規定する特定委託者)が適正な対価を負担せずに取得した場合において、当該受益者連続型信託に関する権利(異なる受益者が性質の異なる受益者連続型信託に係る権利(当該権利のいずれかに収益に関する権利が含まれるものに限る。)をそれぞれ有している場合にあつては、収益に関する権利が含まれるものに限る。)で当該受益者連続型信託の利益を受ける期間の制限その他の当該受益者連続型信託に関する権利の価値に作用する要因としての制約が付されているものについては、当該制約は、付されていないものとみなす。ただし、当該受益者連続型信託に関する権利を有する者が法人(代表者又は管理者の定めのある人格のない社団又は財団を含む。以下第六十四条までにおいて同じ。)である場合は、この限りでない。
2前項の「受益者」とは、受益者としての権利を現に有する者をいう。
相続税法 第9_4条(受益者等が存しない信託等の特例) 詳細ページ
(受益者等が存しない信託等の特例)
第九条の四受益者等が存しない信託の効力が生ずる場合において、当該信託の受益者等となる者が当該信託の委託者の親族として政令で定める者(以下この条及び次条において「親族」という。)であるとき(当該信託の受益者等となる者が明らかでない場合にあつては、当該信託が終了した場合に当該委託者の親族が当該信託の残余財産の給付を受けることとなるとき)は、当該信託の効力が生ずる時において、当該信託の受託者は、当該委託者から当該信託に関する権利を贈与(当該委託者の死亡に基因して当該信託の効力が生ずる場合にあつては、遺贈)により取得したものとみなす。
2受益者等の存する信託について、当該信託の受益者等が存しないこととなつた場合(以下この項において「受益者等が不存在となつた場合」という。)において、当該受益者等の次に受益者等となる者が当該信託の効力が生じた時の委託者又は当該次に受益者等となる者の前の受益者等の親族であるとき(当該次に受益者等となる者が明らかでない場合にあつては、当該信託が終了した場合に当該委託者又は当該次に受益者等となる者の前の受益者等の親族が当該信託の残余財産の給付を受けることとなるとき)は、当該受益者等が不存在となつた場合に該当することとなつた時において、当該信託の受託者は、当該次に受益者等となる者の前の受益者等から当該信託に関する権利を贈与(当該次に受益者等となる者の前の受益者等の死亡に基因して当該次に受益者等となる者の前の受益者等が存しないこととなつた場合にあつては、遺贈)により取得したものとみなす。
3前二項の規定の適用がある場合において、これらの信託の受託者が個人以外であるときは、当該受託者を個人とみなして、この法律その他相続税又は贈与税に関する法令の規定を適用する。
4前三項の規定の適用がある場合において、これらの規定により第一項又は第二項の受託者に課される贈与税又は相続税の額については、政令で定めるところにより、当該受託者に課されるべき法人税その他の税の額に相当する額を控除する。
相続税法 第9_5条 詳細ページ
第九条の五受益者等が存しない信託について、当該信託の契約が締結された時その他の時として政令で定める時(以下この条において「契約締結時等」という。)において存しない者が当該信託の受益者等となる場合において、当該信託の受益者等となる者が当該信託の契約締結時等における委託者の親族であるときは、当該存しない者が当該信託の受益者等となる時において、当該信託の受益者等となる者は、当該信託に関する権利を個人から贈与により取得したものとみなす。
相続税法 第9_6条(政令への委任) 詳細ページ
(政令への委任)
第九条の六受益者等の有する信託に関する権利が当該信託に関する権利の全部でない場合における第九条の二第一項の規定の適用、同条第五項に規定する信託財産の給付を受けることとされている者に該当するか否かの判定その他この節の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。
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一次情報

原文ママ

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