国税通則法 / テーマ別まとめ

申告納税方式による国税に係る税額等の確定手続/更正又は決定

更正又は決定の条文と、裁判所が付した判示事項から整理しています。

原文解釈このページは論点を軸に条文と判例を横断して整理したものです。論点の名称と構成は当サイトの整理であり、条文上の区分ではありません。リード文・要点・比較表も当サイトによる解釈です。条文原文と判例の判示事項・裁判要旨は転記です。

申告納税方式の国税は、本来は納税者自身の申告によって税額等が確定する。しかし申告内容に誤りがある場合や、申告すべき者が申告しなかった場合には、税務署長が調査を行い、更正または決定という処分によって課税標準等・税額等を確定させる。国税通則法24条から30条は、この更正・決定の要件、通知の方法、効力および所轄庁を定めている。

更正又は決定
区分発動場面通知書記載事項
更正申告内容の誤り・調査との相違更正通知書更正前後の課税標準等・税額等
決定無申告(申告書不提出)決定通知書決定に係る課税標準等・税額等
再更正既往の更正・決定が過大又は過少更正通知書更正前後の課税標準等・税額等
  • 決定は、決定により納付すべき税額及び還付金の額に相当する税額が生じないときは行わない(25条ただし書)
  • 国税庁又は国税局の職員の調査があったときは、その調査に基づき税務署長が更正又は決定をできる(27条)
  • 更正通知書・決定通知書には、その処分が国税庁又は国税局職員の調査に基づく場合はその旨を付記する(28条2項・3項)
  • 既に確定した税額を増加させる更正は、その確定していた部分の納税義務に影響しない(29条1項)
  • 更正又は決定を取り消す処分・判決も、減少した税額に係る部分以外には影響しない(29条3項)
  • 輸入品に係る消費税等の更正又は決定は税関長が行う(30条4項)
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更正又は決定

更正又は決定について、条文は何を定めているか。

第24条更正調査により申告内容を更正する1項判例 4件
  • 申告書の計算が法律の規定に従っていない場合に更正する
  • 申告内容が税務署の調査結果と異なる場合も更正する
  • 更正は税務署長の調査に基づいて行う
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第25条決定無申告の場合に税額等を決定する1項判例なし
  • 申告義務があるのに申告書を提出しなかった場合に決定する
  • 決定は税務署長の調査により行う
  • 納付税額も還付金額も生じない場合は決定しない
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第26条再更正既往の更正・決定をやり直す再更正1項判例 2件
  • 過去にした更正・決定の税額等が過大または過少とわかったとき行う
  • 再更正も調査に基づいて行う
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第27条国税庁又は国税局の職員の調査に基づく更正又は決定国税庁・国税局の調査に基づく更正も可1項判例なし
  • 国税庁又は国税局の職員が調査した場合その結果に基づき税務署長が処分できる
  • 更正・決定・再更正のいずれにも適用される
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第28条更正又は決定の手続更正・決定は通知書の送達で行う3項・3号判例なし
  • 税務署長が更正通知書または決定通知書を送達して行う
  • 更正通知書には更正前後の課税標準等・税額等と増減額を記載する
  • 国税庁・国税局の調査に基づく場合はその旨を付記する
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第29条更正等の効力更正等が既存の納税義務に及ぼす影響3項判例 1件
  • 税額を増加させる更正は既に確定した部分の納税義務に影響しない
  • 税額を減少させる更正・取消処分は減少分以外の部分に影響しない
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第30条更正又は決定の所轄庁更正・決定を行う税務署長の管轄4項判例なし
  • 更正・決定はその処分時点の納税地を所轄する税務署長が行う
  • 納税地異動でやむを得ない事情があるときは旧納税地の税務署長も可
  • 輸入品に係る消費税等の更正・決定は税関長が行う
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論

主要な論点と判例

原文ママ

論点の見出しと結論は、裁判所が付した判示事項・裁判要旨をそのまま転記しています。文中の〈 〉内は条文の見出しを当サイトが補ったものです。

論点1第24条国税通則法

課税処分及び青色申告承認の取消処分に国税犯則取締法に基づく調査により収集された資料を利用することの許容性

裁判要旨収税官吏が犯則嫌疑者に対し国税犯則取締法に基づく調査を行つた場合に、課税庁が右調査により収集された資料を右の者に対する課税処分及び青色申告承認の取消処分を行うために利用することは許される。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和63年3月31日 昭和62(行ツ)77
登載
集民 第153号643頁
参照法条
国税通則法24条,法人税法127条,国税犯則取締法1条,国税犯則取締法2条
論点2第24条国税通則法

課税処分と信義則の適用

裁判要旨租税法規に適合する課税処分について信義則の法理の適用による違法を考え得るのは、納税者間の平等公平という要請を犠牲にしてもなお当該課税処分に係る課税を免れしめて納税者の信頼を保護しなければ正義に反するといえるような特別の事情が存する場合でなければならず、右特別の事情が存するかどうかの判断に当たつては、少なくとも、税務官庁が納税者に対し信頼の対象となる公的見解を表示し、納税者がその表示を信頼しその信頼に基づいて行動したところ右表示に反する課税処分が行われ、そのために納税者が経済的不利益を受けることになつたものかどうか、納税者が税務官庁の右表示を信頼しその信頼に基づいて行動したことについて納税者の責に帰すべき事由がないかどうか、という点の考慮が不可欠である。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和62年10月30日 昭和60(行ツ)125
登載
集民 第152号93頁
参照法条
国税通則法24条,所得税法1条,民法1条2項
論点3第24条国税通則法

相続税につき減額更正がされた後に増額更正がされた場合において,上記増額更正により新たに納付すべきこととなった税額に係る部分について上記相続税の法定納期限の翌日からその新たに納付すべきこととなった税額の納期限までの期間に係る延滞税が発生しないとされた事例

裁判要旨相続税につき減額更正がされた後に増額更正がされた場合において,次の(1),(2)など判示の事情の下では,上記増額更正により新たに納付すべきこととなった税額に係る部分について,上記相続税の法定納期限の翌日からその新たに納付すべきこととなった税額の納期限までの期間に係る延滞税は発生しない。
(1) 上記相続税については,法定の期限までに申告及び納付をした納税義務者による更正の請求に基づいて上記減額更正がされ,これにより減額された税額に係る部分につき過納金が還付された後,上記納付をした税額を超えない額に上記増額更正がされた。
(2) 上記減額更正は,相続財産である土地の評価の誤りを理由としてされ,上記増額更正は,上記減額更正における土地の評価の誤りを理由としてされた。
(補足意見及び意見がある。)
裁判
最高裁判所第二小法廷 平成26年12月12日 平成25(行ヒ)449
登載
集民 第248号165頁
参照法条
国税通則法24条,国税通則法26条,国税通則法60条1項2号,国税通則法60条2項,国税通則法61条1項1号
論点4第24条国税通則法

法人でない社団の要件を具備すると認定してされた法人税等の更正が当然無効であるとはいえないとされた事例

裁判要旨無限連鎖講を主宰していた個人が,その事業主体が法人でない社団で代表者の定めがあるものになったとして,同社団名義で法人税,法人事業税,法人県民税及び法人市民税の申告をした場合につき,外形的事実に着目する限りにおいては,その社団というものが,意思決定機関,業務執行機関,代表機関等の団体としての組織を備え,その意思決定を多数決の原則で行い,定款の規定上は構成員の変更にかかわらず団体として存続するとされ,代表の方法,財産の管理その他団体としての主要な点が確定しているようにみえるという事情の下においては,課税庁が法人でない社団の要件を具備すると認定してしたこれらの税の増額更正は,仮にその認定に誤りがあるとしても,誤認であることが上記各更正の成立の当初から外形上,客観的に明白であるとはいえず,また,上記個人が,税務対策等の観点から上記のとおり社団化を図り,その社団の名において事業活動を展開し,上記申告に係る税の納付により高額の所得税の負担を免れたなど判示の事情の下においては,上記個人に上記各更正による不利益を甘受させることが著しく不当と認められるような例外的な事情がある場合に該当せず,上記各更正は当然無効であるとはいえない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成16年7月13日 平成12(行ヒ)32
登載
集民 第214号751頁
参照法条
行政事件訴訟法3条4項,国税通則法24条,国税通則法56条1項,法人税法(平成12年法律第14号による改正前のもの)4条1項,法人税法2条8号,法人税法3条,地方税法(昭和62年法律94号による改正前のもの)55条1項,地方税法(昭和62年法律94号による改正前のもの)321条の11第1項,地方税法(平成12年法律97号による改正前のもの)72条の39第1項,地方税法(平成15年法律第9号による改正前のもの)72条2項,地方税法17条,地方税法24条6項,地方税法294条8項
論点5第26条国税通則法

いわゆる減額再更正処分の取消を求める訴の利益の有無

裁判要旨いわゆる減額再更正処分につき、納税者は、その取消を求める訴の利益を有しない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和56年4月24日 昭和52(行ツ)12
登載
民集 第35巻3号672頁
参照法条
国税通則法26条,国税通則法29条2項,行政事件訴訟法9条
原

条文原文

原文ママ

e-Gov法令検索から取得した原文を、号・イロハまで省略せずに掲載しています。

国税通則法 第24条(更正) 詳細ページ
(更正)
第二十四条税務署長は、納税申告書の提出があつた場合において、その納税申告書に記載された課税標準等又は税額等の計算が国税に関する法律の規定に従つていなかつたとき、その他当該課税標準等又は税額等がその調査したところと異なるときは、その調査により、当該申告書に係る課税標準等又は税額等を更正する。
国税通則法 第25条(決定) 詳細ページ
(決定)
第二十五条税務署長は、納税申告書を提出する義務があると認められる者が当該申告書を提出しなかつた場合には、その調査により、当該申告書に係る課税標準等及び税額等を決定する。ただし、決定により納付すべき税額及び還付金の額に相当する税額が生じないときは、この限りでない。
国税通則法 第26条(再更正) 詳細ページ
(再更正)
第二十六条税務署長は、前二条又はこの条の規定による更正又は決定をした後、その更正又は決定をした課税標準等又は税額等が過大又は過少であることを知つたときは、その調査により、当該更正又は決定に係る課税標準等又は税額等を更正する。
国税通則法 第27条(国税庁又は国税局の職員の調査に基づく更正又は決定) 詳細ページ
(国税庁又は国税局の職員の調査に基づく更正又は決定)
第二十七条前三条の場合において、国税庁又は国税局の当該職員の調査があつたときは、税務署長は、当該調査したところに基づき、これらの規定による更正又は決定をすることができる。
国税通則法 第28条(更正又は決定の手続) 詳細ページ
(更正又は決定の手続)
第二十八条第二十四条から第二十六条まで(更正・決定)の規定による更正又は決定(以下「更正又は決定」という。)は、税務署長が更正通知書又は決定通知書を送達して行なう。
2更正通知書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。この場合において、その更正が前条の調査に基づくものであるときは、その旨を附記しなければならない。
一その更正前の課税標準等及び税額等
二その更正後の課税標準等及び税額等
三その更正に係る次に掲げる金額
イその更正前の納付すべき税額がその更正により増加するときは、その増加する部分の税額
ロその更正前の還付金の額に相当する税額がその更正により減少するときは、その減少する部分の税額
ハ純損失の繰戻し等による還付金額に係る第五十八条第一項(還付加算金)に規定する還付加算金があるときは、その還付加算金のうちロに掲げる税額に対応する部分の金額
ニその更正前の納付すべき税額がその更正により減少するときは、その減少する部分の税額
ホその更正前の還付金の額に相当する税額がその更正により増加するときは、その増加する部分の税額
3決定通知書には、その決定に係る課税標準等及び税額等を記載しなければならない。この場合において、その決定が前条の調査に基づくものであるときは、その旨を附記しなければならない。
国税通則法 第29条(更正等の効力) 詳細ページ
(更正等の効力)
第二十九条第二十四条(更正)又は第二十六条(再更正)の規定による更正(以下第七十二条(国税の徴収権の消滅時効)までにおいて「更正」という。)で既に確定した納付すべき税額を増加させるものは、既に確定した納付すべき税額に係る部分の国税についての納税義務に影響を及ぼさない。
2既に確定した納付すべき税額を減少させる更正は、その更正により減少した税額に係る部分以外の部分の国税についての納税義務に影響を及ぼさない。
3更正又は決定を取り消す処分又は判決は、その処分又は判決により減少した税額に係る部分以外の部分の国税についての納税義務に影響を及ぼさない。
国税通則法 第30条(更正又は決定の所轄庁) 詳細ページ
(更正又は決定の所轄庁)
第三十条更正又は決定は、これらの処分をする際におけるその国税の納税地(以下この条において「現在の納税地」という。)を所轄する税務署長が行う。
2所得税、法人税、地方法人税、相続税、贈与税、地価税、課税資産の譲渡等に係る消費税又は電源開発促進税については、これらの国税の課税期間が開始した時(課税期間のない国税については、その納税義務の成立の時)以後にその納税地に異動があつた場合において、その異動に係る納税地で現在の納税地以外のもの(以下この項において「旧納税地」という。)を所轄する税務署長においてその異動の事実が知れず、又はその異動後の納税地が判明せず、かつ、その知れないこと又は判明しないことにつきやむを得ない事情があるときは、その旧納税地を所轄する税務署長は、前項の規定にかかわらず、これらの国税について更正又は決定をすることができる。
3前二項に規定する税務署長は、更正又は決定をした後、当該更正又は決定に係る国税につき既に適法に、他の税務署長に対し納税申告書が提出され、又は他の税務署長が決定をしていたため、当該更正又は決定をすべきでなかつたものであることを知つた場合には、遅滞なく、当該更正又は決定を取り消さなければならない。
4輸入品に係る申告消費税等についての更正又は決定は、第一項の規定にかかわらず、当該消費税等の納税地を所轄する税関長が行う。この場合においては、第二十四条から第二十六条まで(更正・決定)又は第二十八条(更正又は決定の手続)の規定の適用については、これらの規定中「税務署長」とあるのは、「税関長」とする。
出

一次情報

原文ママ

条文は e-Gov法令検索、判例は裁判所ウェブサイトから取得しています。