地方税法 / テーマ別まとめ

市町村民税/督促及び滞納処分

督促及び滞納処分の条文と、裁判所が付した判示事項から整理しています。

原文解釈このページは論点を軸に条文と判例を横断して整理したものです。論点の名称と構成は当サイトの整理であり、条文上の区分ではありません。リード文・要点・比較表も当サイトによる解釈です。条文原文と判例の判示事項・裁判要旨は転記です。

このページは、市町村民税を滞納した場合の督促と滞納処分について定めた地方税法第329条から第335条までを整理したものです。督促状の発送期限や財産差押えの要件、交付要求・参加差押えの仕組みに加え、滞納処分を免れる行為等に対する罰則も扱います。

督促及び滞納処分
場面内容根拠条文
督促状の発送納期限後20日以内に発送329条1項
徴収猶予中の督促猶予期間内に完納なければ発送329条2項
発送期間の特例条例で異なる期間を定め可329条3項
督促手数料条例で定める額を徴収可330条
差押え(原則)督促状発送日から10日経過で完納なし331条1項1号
差押え(繰上徴収)指定納期限までに完納なし331条1項2号
第二次納税義務者等「督促状」を「催告書」と読替え331条2項
緊急差押え取消事由発生時は直ちに差押え可331条3項
交付要求強制換価手続時は交付要求義務331条4項
参加差押え既差押えがあれば参加差押え可331条5項
滞納処分の例国税徴収法の例による331条6項
区域外執行市町村区域外でも処分可331条7項
財産隠蔽等の罪(本人)3年以下拘禁刑・250万円以下罰金332条1項
第三者占有者の罪免れさせる目的で同様の行為332条2項
相手方の罪情を知り相手方となる332条3項
検査拒否等の罪不答弁・検査拒否等333条1項
虚偽陳述の罪陳述事項を偽る334条
道府県民税等との関係併せて督促・滞納処分等335条
  • 繰上徴収をする場合、督促状の発行(納期限後20日以内)は不要です(329条1項但書)。
  • 332条1項・2項の罰則は拘禁刑と罰金の併科もあり得ます。
  • 331条4項の交付要求は、破産事件を扱う裁判所に対して行う場合があります。
  • 参加差押えができるのは国税徴収法第86条第1項各号に掲げる財産に限られます(331条5項)。
  • 335条の取扱いは、地方税法又は森林環境税及び森林環境譲与税に関する法律に特別の定めがある場合は除かれます。
  • 331条2項により、第二次納税義務者・保証人については「督促状」は「納付又は納入の催告書」と読み替えます。
1

督促及び滞納処分

督促及び滞納処分について、条文は何を定めているか。

第329条市町村民税に係る督促納期限を過ぎたら20日以内に督促3項判例なし
  • 完納しない場合、納期限後20日以内に督促状を発する
  • 繰上徴収の場合は督促状の発行は不要
  • 徴収猶予中は猶予期間内に完納しなければ督促状を発せない
条文原文を見るこの条文の詳細ページ
第330条市町村民税に係る督促手数料督促状発送時に手数料を徴収できる1項判例なし
  • 督促状を発した場合、条例で定めるところにより手数料を徴収できる
条文原文を見るこの条文の詳細ページ
第331条市町村民税に係る滞納処分督促後10日を過ぎたら財産を差し押える7項・2号判例 1件
  • 督促状発送日から10日経過しても完納がなければ差押え義務
  • 強制換価手続が行われたときは執行機関に交付要求する義務
  • 滞納処分は国税徴収法の例により、市町村区域外でも実施可
条文原文を見るこの条文の詳細ページ
第332条市町村民税に係る滞納処分に関する罪財産を隠すなど滞納逃れは犯罪5項判例なし
  • 隠蔽・損壊等をした納税者等は3年以下拘禁刑・250万円以下罰金
  • 財産を占有する第三者が同じ目的で行っても同様に処罰
  • 情を知って相手方となった者は2年以下拘禁刑・150万円以下罰金
条文原文を見るこの条文の詳細ページ
第333条国税徴収法の例による市町村民税に係る滞納処分に関する検査拒否等の罪滞納処分の検査拒否等も処罰対象3項・3号判例なし
  • 徴税吏員の質問に答弁せず、又は偽って答えると処罰対象
  • 帳簿書類等の検査を拒み・妨げ・忌避すると処罰対象
  • 違反すると1年以下拘禁刑又は50万円以下罰金
条文原文を見るこの条文の詳細ページ
第334条国税徴収法の例による市町村民税に係る滞納処分に関する虚偽の陳述の罪陳述事項を偽ると処罰される1項判例なし
  • 市町村長への陳述で虚偽を述べると6月以下拘禁刑又は50万円以下罰金
条文原文を見るこの条文の詳細ページ
第335条個人の道府県民税に係る督促、滞納処分等道府県民税等も併せて滞納処分1項判例なし
  • 市町村民税の督促・滞納処分・交付要求は道府県民税分も併せて行う
  • 森林環境税に係る徴収金も併せて対象となる
  • 法律に特別の定めがある場合はこの限りでない
条文原文を見るこの条文の詳細ページ
論

主要な論点と判例

原文ママ

論点の見出しと結論は、裁判所が付した判示事項・裁判要旨をそのまま転記しています。文中の〈 〉内は条文の見出しを当サイトが補ったものです。

論点1第331条地方税法

複数年度分の普通徴収に係る個人の住民税を差押えに係る地方税とする滞納処分において当該差押えに係る地方税に配当された金銭であってその後に減額賦課決定がされた結果配当時に存在しなかったこととなる年度分の住民税に充当されていたものの帰すう

裁判要旨複数年度分の普通徴収に係る個人の住民税(市町村民税及び道府県民税)を差押えに係る地方税とする滞納処分において,当該差押えに係る地方税に配当された金銭であって,その後に減額賦課決定がされた結果配当時に存在しなかったこととなる年度分の住民税に充当されていたものは,その配当時において当該差押えに係る地方税のうち他の年度分の住民税が存在する場合には,民法(平成29年法律第44号による改正前のもの)489条の規定に従って当該住民税に充当される。
裁判
最高裁判所第三小法廷 令和3年6月22日 令和2(行ヒ)337
登載
民集 第75巻7号3124頁
参照法条
地方税法17条,地方税法331条6項,国税徴収法(平成26年法律第10号による改正前のもの)129条1項1号,国税徴収法(平成30年法律第7号による改正前のもの)129条1項1号,民法(平成29年法律第44号による改正前のもの)489条,民法488条4項
原

条文原文

原文ママ

e-Gov法令検索から取得した原文を、号・イロハまで省略せずに掲載しています。

地方税法 第329条(市町村民税に係る督促) 詳細ページ
(市町村民税に係る督促)
第三百二十九条納税者(特別徴収の方法によつて市町村民税を徴収される納税者を除く。以下本款において同様とする。)又は特別徴収義務者が納期限(第三百二十一条の十一又は第三百二十八条の九の規定による更正又は決定があつた場合においては、不足税額又は不足金額の納期限をいい、納期限の延長があつたときは、その延長された納期限とする。以下市町村民税について同様とする。)までに市町村民税に係る地方団体の徴収金を完納しない場合においては、市町村の徴税吏員は、納期限後二十日以内に、督促状を発しなければならない。但し、繰上徴収をする場合においては、この限りでない。
2第十五条の四第一項の規定によつて徴収猶予をした市町村民税に係る地方団体の徴収金については、前項本文の規定にかかわらず、その徴収猶予をした期間内にこれを完納しない場合でなければ、督促状を発することができない。
3特別の事情がある市町村においては、当該市町村の条例で第一項に規定する期間と異なる期間を定めることができる。
地方税法 第330条(市町村民税に係る督促手数料) 詳細ページ
(市町村民税に係る督促手数料)
第三百三十条市町村の徴税吏員は、督促状を発した場合においては、当該市町村の条例の定めるところによつて、手数料を徴収することができる。
地方税法 第331条(市町村民税に係る滞納処分) 詳細ページ
(市町村民税に係る滞納処分)
第三百三十一条市町村民税に係る滞納者が次の各号の一に該当するときは、市町村の徴税吏員は、当該市町村民税に係る地方団体の徴収金につき、滞納者の財産を差し押えなければならない。
一滞納者が督促を受け、その督促状を発した日から起算して十日を経過した日までにその督促に係る市町村民税に係る地方団体の徴収金を完納しないとき。
二滞納者が繰上徴収に係る告知により指定された納期限までに市町村民税に係る地方団体の徴収金を完納しないとき。
2第二次納税義務者又は保証人について前項の規定を適用する場合には、同項第一号中「督促状」とあるのは、「納付又は納入の催告書」とする。
3市町村民税に係る地方団体の徴収金の納期限後第一項第一号に規定する十日を経過した日までに、督促を受けた滞納者につき第十三条の二第一項各号の一に該当する事実が生じたときは、市町村の徴税吏員は、直ちにその財産を差し押えることができる。
4滞納者の財産につき強制換価手続が行われた場合には、市町村の徴税吏員は、執行機関(破産法第百十四条第一号に掲げる請求権に係る市町村民税に係る地方団体の徴収金の交付要求を行う場合には、その交付要求に係る破産事件を取り扱う裁判所)に対し、滞納に係る市町村民税に係る地方団体の徴収金につき、交付要求をしなければならない。
5市町村の徴税吏員は、第一項から第三項までの規定により差押をすることができる場合において、滞納者の財産で国税徴収法第八十六条第一項各号に掲げるものにつき、すでに他の地方団体の徴収金若しくは国税の滞納処分又はこれらの滞納処分の例による処分による差押がされているときは、当該財産についての交付要求は、参加差押によりすることができる。
6前各項に定めるものその他市町村民税に係る地方団体の徴収金の滞納処分については、国税徴収法に規定する滞納処分の例による。
7前各項の規定による処分は、当該市町村の区域外においても行うことができる。
地方税法 第332条(市町村民税に係る滞納処分に関する罪) 詳細ページ
(市町村民税に係る滞納処分に関する罪)
第三百三十二条市町村民税の納税者又は特別徴収義務者が滞納処分の執行を免れる目的でその財産を隠蔽し、損壊し、若しくは市町村の不利益に処分し、その財産に係る負担を偽つて増加する行為をし、又はその現状を改変して、その財産の価額を減損し、若しくはその滞納処分に係る滞納処分費を増大させる行為をしたときは、その者は、三年以下の拘禁刑若しくは二百五十万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
2納税者又は特別徴収義務者の財産を占有する第三者が納税者又は特別徴収義務者に滞納処分の執行を免れさせる目的で前項の行為をしたときも、同項と同様とする。
3情を知つて前二項の行為につき納税者若しくは特別徴収義務者又はその財産を占有する第三者の相手方となつたときは、その相手方としてその違反行為をした者は、二年以下の拘禁刑若しくは百五十万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
4法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者がその法人又は人の業務又は財産に関して前三項の違反行為をした場合には、その行為者を罰するほか、その法人又は人に対し、当該各項の罰金刑を科する。
5法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めのあるものについて前項の規定の適用がある場合には、その代表者又は管理人がその訴訟行為につき当該法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めのあるものを代表するほか、法人を被告人又は被疑者とする場合の刑事訴訟に関する法律の規定を準用する。
地方税法 第333条(国税徴収法の例による市町村民税に係る滞納処分に関する検査拒否等の罪) 詳細ページ
(国税徴収法の例による市町村民税に係る滞納処分に関する検査拒否等の罪)
第三百三十三条次の各号のいずれかに該当する場合には、その違反行為をした者は、一年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処する。
一第三百三十一条第六項の場合において、国税徴収法第百四十一条の規定の例により行う市町村の徴税吏員の質問に対して答弁をせず、又は偽りの陳述をしたとき。
二第三百三十一条第六項の場合において、国税徴収法第百四十一条の規定の例により行う市町村の徴税吏員の帳簿書類(同条に規定する帳簿書類をいう。次号において同じ。)その他の物件の検査を拒み、妨げ、又は忌避したとき。
三第三百三十一条第六項の場合において、国税徴収法第百四十一条の規定の例により行う市町村の徴税吏員の物件の提示又は提出の要求に対し、正当な理由がなくこれに応じず、又は偽りの記載若しくは記録をした帳簿書類その他の物件(その写しを含む。)を提示し、若しくは提出したとき。
2法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者がその法人又は人の業務又は財産に関して前項の違反行為をした場合には、その行為者を罰するほか、その法人又は人に対し、同項の罰金刑を科する。
3法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めのあるものについて前項の規定の適用がある場合には、その代表者又は管理人がその訴訟行為につき当該法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めのあるものを代表するほか、法人を被告人又は被疑者とする場合の刑事訴訟に関する法律の規定を準用する。
地方税法 第334条(国税徴収法の例による市町村民税に係る滞納処分に関する虚偽の陳述の罪) 詳細ページ
(国税徴収法の例による市町村民税に係る滞納処分に関する虚偽の陳述の罪)
第三百三十四条第三百三十一条第六項の場合において、国税徴収法第九十九条の二(同法第百九条第四項において準用する場合を含む。)の規定の例により市町村長に対して陳述すべき事項について虚偽の陳述をした者は、六月以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処する。
地方税法 第335条(個人の道府県民税に係る督促、滞納処分等) 詳細ページ
(個人の道府県民税に係る督促、滞納処分等)
第三百三十五条市町村は、個人の市町村民税に係る地方団体の徴収金について督促状を発し、滞納処分をし、及び交付要求をする場合には、この法律又は森林環境税及び森林環境譲与税に関する法律に特別の定めがある場合を除くほか、当該個人の道府県民税に係る地方団体の徴収金及び同法第二条第五号に規定する森林環境税に係る徴収金について併せて督促状を発し、滞納処分をし、及び交付要求をするものとする。
出

一次情報

原文ママ

条文は e-Gov法令検索、判例は裁判所ウェブサイトから取得しています。