所得税法 / テーマ別まとめ

必要経費等の計算/親族が事業から受ける対価

親族が事業から受ける対価の条文と、裁判所が付した判示事項から整理しています。

原文解釈このページは論点を軸に条文と判例を横断して整理したものです。論点の名称と構成は当サイトの整理であり、条文上の区分ではありません。リード文・要点・比較表も当サイトによる解釈です。条文原文と判例の判示事項・裁判要旨は転記です。

所得税法56条は、生計を一にする配偶者その他の親族が居住者の営む不動産所得・事業所得・山林所得を生ずべき事業に従事して対価を受けても、その対価を居住者の必要経費に算入できず、親族側の所得計算上もなかったものとみなす原則を定めています。57条はその例外として、青色申告の届出に基づく青色事業専従者給与と、白色申告における事業専従者控除の特例を規定し、一定の要件のもとで親族への対価を必要経費に算入できる仕組みを設けています。実務では、家族従業員に払う給与や控除を経費にできるかどうかを判断する際の基準になります。

親族が事業から受ける対価
区分必要経費算入上限額親族側の所得主な要件
原則(56条)不算入なしないものとみなす生計を一にする親族が事業に従事
青色事業専従者給与(57条1項)算入可届出範囲内かつ相当額給与所得青色承認・専ら従事・15歳以上
事業専従者控除(57条3項・白色)みなし算入配偶者86万円/他50万円等給与所得とみなす専ら従事・15歳以上・申告書に記載
  • 56条の対象は不動産所得・事業所得・山林所得を生ずべき事業に限る。
  • 57条の「専ら従事」等の要件の細目は政令で定める。
  • 青色事業専従者給与は労務の対価として相当と認められる金額に限り経費算入できる。
  • 事業専従者控除は、86万円/50万円と、事業専従者数+1で按分した金額とのいずれか低い方。
  • 事業専従者控除は確定申告書に適用を受ける旨等の記載がないと適用されない(やむを得ない事情がある場合を除く)。
  • 15歳未満かどうかは、その年12月31日(死亡・出国時はその時点)の現況で判定する。
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親族が事業から受ける対価

親族が事業から受ける対価について、条文は何を定めているか。

第56条事業から対価を受ける親族がある場合の必要経費の特例親族への対価は経費にできず所得もなかったことに1項判例 2件
  • 生計を一にする配偶者等が事業に従事し対価を受けても居住者は必要経費にできない
  • 親族が受け取った対価は、その親族の所得計算上ないものとみなされる
  • 対象は不動産所得・事業所得・山林所得を生ずべき事業
条文原文を見るこの条文の詳細ページ
第57条事業に専従する親族がある場合の必要経費の特例等青色専従者給与と白色事業専従者控除の特例8項・2号判例 1件
  • 青色申告の届出範囲内かつ相当額なら給与を必要経費にできる
  • 白色は配偶者86万円、他の親族50万円等を必要経費とみなす
  • 対象は生計を一にし専ら事業に従事する15歳以上の親族
条文原文を見るこの条文の詳細ページ
論

主要な論点と判例

原文ママ

論点の見出しと結論は、裁判所が付した判示事項・裁判要旨をそのまま転記しています。文中の〈 〉内は条文の見出しを当サイトが補ったものです。

論点1第56条所得税法

所得税法五六条〈事業から対価を受ける親族がある場合の必要経費の特例〉にいう「生計を一にする」親族にあたるとした判断が違法とされた事例

裁判要旨(省略)
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和51年3月18日 昭和48(行ツ)30
登載
集民 第117号201頁
参照法条
所得税法56条
論点2第56条所得税法

1 親族が居住者と別に事業を営む場合における所得税法56条の適用の有無
2 親族が居住者と別に事業を営む場合に所得税法56条を適用してされた課税処分と憲法14条1項

裁判要旨1 所得税法56条〈事業から対価を受ける親族がある場合の必要経費の特例〉は,居住者と生計を一にする配偶者その他の親族が居住者と別に事業を営む場合であっても,その居住者の営む事業に従事したことなどの同条所定の要件が満たされる限り,適用される。
2 配偶者その他の親族が居住者と別に事業を営む場合にその居住者の事業所得等の金額の計算に所得税法56条を適用してされた課税処分は,憲法14条1項に違反しない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成16年11月2日 平成16(行ツ)23
登載
集民 第215号517頁
参照法条
憲法14条1項,所得税法56条,所得税法57条
原

条文原文

原文ママ

e-Gov法令検索から取得した原文を、号・イロハまで省略せずに掲載しています。

所得税法 第56条(事業から対価を受ける親族がある場合の必要経費の特例) 詳細ページ
(事業から対価を受ける親族がある場合の必要経費の特例)
第五十六条居住者と生計を一にする配偶者その他の親族がその居住者の営む不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき事業に従事したことその他の事由により当該事業から対価の支払を受ける場合には、その対価に相当する金額は、その居住者の当該事業に係る不動産所得の金額、事業所得の金額又は山林所得の金額の計算上、必要経費に算入しないものとし、かつ、その親族のその対価に係る各種所得の金額の計算上必要経費に算入されるべき金額は、その居住者の当該事業に係る不動産所得の金額、事業所得の金額又は山林所得の金額の計算上、必要経費に算入する。この場合において、その親族が支払を受けた対価の額及びその親族のその対価に係る各種所得の金額の計算上必要経費に算入されるべき金額は、当該各種所得の金額の計算上ないものとみなす。
所得税法 第57条(事業に専従する親族がある場合の必要経費の特例等) 詳細ページ
(事業に専従する親族がある場合の必要経費の特例等)
第五十七条青色申告書を提出することにつき税務署長の承認を受けている居住者と生計を一にする配偶者その他の親族(年齢十五歳未満である者を除く。)で専らその居住者の営む前条に規定する事業に従事するもの(以下この条において「青色事業専従者」という。)が当該事業から次項の書類に記載されている方法に従いその記載されている金額の範囲内において給与の支払を受けた場合には、前条の規定にかかわらず、その給与の金額でその労務に従事した期間、労務の性質及びその提供の程度、その事業の種類及び規模、その事業と同種の事業でその規模が類似するものが支給する給与の状況その他の政令で定める状況に照らしその労務の対価として相当であると認められるものは、その居住者のその給与の支給に係る年分の当該事業に係る不動産所得の金額、事業所得の金額又は山林所得の金額の計算上必要経費に算入し、かつ、当該青色事業専従者の当該年分の給与所得に係る収入金額とする。
2その年分以後の各年分の所得税につき前項の規定の適用を受けようとする居住者は、その年三月十五日まで(その年一月十六日以後新たに同項の事業を開始した場合には、その事業を開始した日から二月以内)に、青色事業専従者の氏名、その職務の内容及び給与の金額並びにその給与の支給期その他財務省令で定める事項を記載した書類を納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。
3居住者(第一項に規定する居住者を除く。)と生計を一にする配偶者その他の親族(年齢十五歳未満である者を除く。)で専らその居住者の営む前条に規定する事業に従事するもの(以下この条において「事業専従者」という。)がある場合には、その居住者のその年分の当該事業に係る不動産所得の金額、事業所得の金額又は山林所得の金額の計算上、各事業専従者につき、次に掲げる金額のうちいずれか低い金額を必要経費とみなす。
一次に掲げる事業専従者の区分に応じそれぞれ次に定める金額
イその居住者の配偶者である事業専従者八十六万円
ロイに掲げる者以外の事業専従者五十万円
二その年分の当該事業に係る不動産所得の金額、事業所得の金額又は山林所得の金額(この項の規定を適用しないで計算した場合の金額とする。)を当該事業に係る事業専従者の数に一を加えた数で除して計算した金額
4前項の規定の適用があつた場合には、各事業専従者につき同項の規定により必要経費とみなされた金額は、当該各事業専従者の当該年分の各種所得の金額の計算については、当該各事業専従者の給与所得に係る収入金額とみなす。
5第三項の規定は、確定申告書に同項の規定の適用を受ける旨及び同項の規定により必要経費とみなされる金額に関する事項の記載がない場合には、適用しない。
6税務署長は、確定申告書の提出がなかつた場合又は前項の記載がない確定申告書の提出があつた場合においても、その提出がなかつたこと又はその記載がなかつたことについてやむを得ない事情があると認めるときは、第三項の規定を適用することができる。
7第一項又は第三項の場合において、これらの規定に規定する親族の年齢が十五歳未満であるかどうかの判定は、その年十二月三十一日(これらの規定に規定する居住者がその年の中途において死亡し又は出国をした場合には、その死亡又は出国の時)の現況による。ただし、当該親族がその当時既に死亡している場合は、当該死亡の時の現況による。
8青色事業専従者又は事業専従者の要件の細目、第二項の書類に記載した事項を変更する場合の手続その他第一項又は第三項の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。
出

一次情報

原文ママ

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