国税通則法 / テーマ別まとめ

国税の納付義務の確定/通則

通則の条文と、裁判所が付した判示事項から整理しています。

原文解釈このページは論点を軸に条文と判例を横断して整理したものです。論点の名称と構成は当サイトの整理であり、条文上の区分ではありません。リード文・要点・比較表も当サイトによる解釈です。条文原文と判例の判示事項・裁判要旨は転記です。

国税は法律の定めに従って納税義務が成立し、そのうえで具体的に納付すべき税額が確定します。国税通則法第15条は税目ごとの成立時期と、成立と同時に手続なしで確定する国税を定め、第16条はその確定の方式を申告納税方式と賦課課税方式に区分しています。本ページはこの通則部分を整理したものです。

通則
区分確定のしかた対象となる国税(例)
自動確定成立と同時に自動確定源泉徴収税・登録免許税・印紙税等
申告納税方式納税者の申告で確定が原則所得税・法人税・相続税等
賦課課税方式税務署長等の処分のみで確定申告納税方式以外の国税
  • 「自動確定」は条文上の用語ではなく、成立と同時に特別の手続を要しないで確定することを指す一般的な呼び方です。
  • 申告納税方式・賦課課税方式のいずれによるかは、15条3項各号に掲げる国税を除いて16条2項で定まります。
  • 印紙税のうち書式表示による申告・納付の特例(印紙税法11条・12条)の適用を受ける印紙税と過怠税は、自動確定の対象から除かれます。
  • 過少申告加算税・無申告加算税・重加算税(68条1項・2項・4項に係る部分)は法定申告期限の経過時に成立します。
  • 不納付加算税・重加算税(68条3項・4項に係る部分)は法定納期限の経過時に成立します。
  • 納税義務の成立時期は税目ごとに15条2項各号で個別に定められています。
1

通則

通則について、条文は何を定めているか。

第15条納税義務の成立及びその納付すべき税額の確定税ごとに成立時期と確定要否を定める3項・23号判例 5件
  • 所得税は暦年終了時、法人税は事業年度終了時に成立
  • 相続税は相続・遺贈による財産取得時に成立、贈与税は贈与時に成立
  • 源泉徴収税・自動車重量税・登録免許税などは成立と同時に自動確定
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第16条国税についての納付すべき税額の確定の方式確定方式を申告納税と賦課課税に区分2項・4号判例なし
  • 申告により確定するのが原則の国税は申告納税方式
  • 税務署長等の処分のみで確定する国税は賦課課税方式
  • 15条3項〈納税義務の成立及びその納付すべき税額の確定〉に列挙された自動確定の国税は本条の対象外
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論

主要な論点と判例

原文ママ

論点の見出しと結論は、裁判所が付した判示事項・裁判要旨をそのまま転記しています。文中の〈 〉内は条文の見出しを当サイトが補ったものです。

論点1第15条国税通則法

一、源泉徴収による所得税についての納税の告知の法的性質
二、源泉徴収による所得税についての納税の告知を受けた支払者が右所得税の徴収・納付義務の存否または範囲を争う場合の訴訟の形式
三、源泉徴収による所得税を徴収されまたは期限後に納付した支払者のする求償権の行使と受給者の支払拒絶
四、源泉徴収による所得税を徴収されまたは期限後に納付した支払者が受給者に対して行使しうる求償権の範囲

裁判要旨一、源泉徴収による所得税についての納税の告知は、徴収処分であつて課税処分ではない。
二、支払者は、源泉徴収による所得税の徴収・納付義務の存否または範囲を争つて、納税の告知(徴収処分)に対する抗告訴訟を提起することができ、また、これにあわせてまたはこれと別個に、右徴収・納付義務の存否または範囲を訴訟上確定させるため、右義務の全部または一部の不存在確認の訴を提起することができる。
三、受給者は、源泉徴収による所得税を税務署長から徴収されまたは期限後に納付した支払者から、その税額に相当する金額につき求償権の行使を受けたときは、自己の負担すべき源泉納税義務の存否または範囲を争つて、支払者の請求を拒むことができる。
四、源泉徴収による所得税を税務署長から徴収されまたは期限後に納付した支払者の受給者に対する求償権は、右所得税の本税相当額についてのみ行使することができ、附帯税相当額には及ばない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和45年12月24日 昭和43(オ)258
登載
民集 第24巻13号2243頁
参照法条
旧所得税法(昭和22年法律第27号)43条1項,旧所得税法(昭和22年法律第27号)43条2項,所得税法221条,所得税法222条,国税通則法15条,国税通則法36条,行政事件訴訟法3条,民訴法225条
論点2第15条国税通則法

一 所得税法(昭和四七年法律第三一号による改正前のもの)中の給与所得に係る課税関係規定が給与所得者の「健康で文化的な最低限度の生活」を侵害するという主張が失当であるとされた事例
二 国税通則法及び所得税法(昭和四七年法律第三一号による改正前のもの)に定める給与所得に係る源泉徴収制度と憲法一四条一項

裁判要旨一 所得税法(昭和四七年法律第三一号による改正前のもの)中の給与所得に係る課税関係規定につき、その課税最低限がいわゆる総評理論生計費を下まわることを根拠に給与所得者の「健康で文化的な最低限度の生活」を侵害するという主張は、立法府の裁量の逸脱・濫用と見ざるをえないゆえんを具体的に主張しているものではなく、失当である。
二 国税通則法及び所得税法(昭和四七年法律第三一号による改正前のもの)に定める給与所得に係る源泉徴収制度は、憲法一四条一項に違反しない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成元年2月7日 昭和58(オ)300
登載
集民 第156号87頁
参照法条
所得税法(昭和47年法律第31号による改正前のもの)2編2章,所得税法(昭和47年法律第31号による改正前のもの)4編2章,憲法14条1項,憲法25条,国税通則法15条,国税通則法36条
論点3第15条国税通則法

長期譲渡所得に係る損益通算を認めないこととした平成16年法律第14号による改正後の租税特別措置法31条の規定をその施行日より前に個人が行う土地等又は建物等の譲渡について適用するものとしている平成16年法律第14号附則27条1項〈国税庁又は国税局の職員の調査に基づく更正又は決定〉と憲法84条

裁判要旨所得税に係る長期譲渡所得の金額の計算上生じた損失の金額につき他の各種所得の金額から控除する損益通算を認めないこととした平成16年4月1日施行に係る平成16年法律第14号による改正後の租税特別措置法31条の規定を,同年1月1日以後に個人が行う同条1項所定の土地等又は建物等の譲渡について適用するものとしている平成16年法律第14号附則27条1項〈国税庁又は国税局の職員の調査に基づく更正又は決定〉の規定は,憲法84条の趣旨に反しない。
(補足意見がある。)
裁判
最高裁判所第二小法廷 平成23年9月30日 平成21(行ツ)173
登載
集民 第237号519頁
参照法条
憲法84条,租税特別措置法(平成16年法律第14号による改正前のもの)31条1項,租税特別措置法(平成16年法律第14号による改正前のもの)31条2項,租税特別措置法(平成16年法律第14号による改正前のもの)31条4項,租税特別措置法(平成16年法律第14号による改正前のもの)31条5項2号,租税特別措置法31条1項,租税特別措置法31条3項2号,所得税法69条1項,平成16年法律第14号附則27条1項,国税通則法15条2項1号
論点4第15条国税通則法

長期譲渡所得に係る損益通算を認めないこととした平成16年法律第14号による改正後の租税特別措置法31条の規定をその施行日より前に個人が行う土地等又は建物等の譲渡について適用するものとしている平成16年法律第14号附則27条1項〈国税庁又は国税局の職員の調査に基づく更正又は決定〉と憲法84条

裁判要旨所得税に係る長期譲渡所得の金額の計算上生じた損失の金額につき他の各種所得の金額から控除する損益通算を認めないこととした平成16年4月1日施行に係る平成16年法律第14号による改正後の租税特別措置法31条の規定を,同年1月1日以後に個人が行う同条1項所定の土地等又は建物等の譲渡について適用するものとしている平成16年法律第14号附則27条1項〈国税庁又は国税局の職員の調査に基づく更正又は決定〉の規定は,憲法84条の趣旨に反しない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 平成23年9月22日 平成21(行ツ)73
登載
民集 第65巻6号2756頁
参照法条
憲法84条,租税特別措置法(平成16年法律第14号による改正前のもの)31条1項,租税特別措置法(平成16年法律第14号による改正前のもの)31条2項,租税特別措置法(平成16年法律第14号による改正前のもの)31条4項,租税特別措置法(平成16年法律第14号による改正前のもの)31条5項2号,租税特別措置法31条1項,租税特別措置法31条3項2号,所得税法69条1項,平成16年法律第14号附則27条1項,国税通則法15条2項1号
論点5第15条国税通則法

1 過大に登録免許税を納付して登記等を受けた者が登録免許税法(平成14年法律第152号による改正前のもの)31条2項所定の請求の手続によらないで過誤納金の還付を請求することの可否
2 登記等を受けた者が登録免許税法(平成14年法律第152号による改正前のもの)31条2項に基づいてした請求に対する登記機関の拒否通知と抗告訴訟の対象

裁判要旨1 過大に登録免許税を納付して登記等を受けた者は,登録免許税法(平成14年法律第152号による改正前のもの)31条2項所定の請求の手続によらなくても,国税通則法56条〈還付〉に基づき,過誤納金の還付を請求することができる。
2 登記等を受けた者が登録免許税法(平成14年法律第152号による改正前のもの)31条2項に基づいてした登記機関から税務署長に還付通知をすべき旨の請求に対し,登記機関のする拒否通知は,抗告訴訟の対象となる行政処分に当たる。
(1につき反対意見がある。)
裁判
最高裁判所第一小法廷 平成17年4月14日 平成13(行ヒ)25
登載
民集 第59巻3号491頁
参照法条
登録免許税法31条1項,登録免許税法(平成14年法律第152号による改正前のもの)31条2項,国税通則法56条1項,国税通則法(平成11年法律第10号による改正前のもの)15条2項14号,国税通則法(平成11年法律第10号による改正前のもの)15条3項6号,行政事件訴訟法3条1項,行政事件訴訟法3条2項
原

条文原文

原文ママ

e-Gov法令検索から取得した原文を、号・イロハまで省略せずに掲載しています。

国税通則法 第15条(納税義務の成立及びその納付すべき税額の確定) 詳細ページ
(納税義務の成立及びその納付すべき税額の確定)
第十五条国税を納付する義務(源泉徴収等による国税については、これを徴収して国に納付する義務。以下「納税義務」という。)が成立する場合には、その成立と同時に特別の手続を要しないで納付すべき税額が確定する国税を除き、国税に関する法律の定める手続により、その国税についての納付すべき税額が確定されるものとする。
2納税義務は、次の各号に掲げる国税(第一号から第十三号までにおいて、附帯税を除く。)については、当該各号に定める時(当該国税のうち政令で定めるものについては、政令で定める時)に成立する。
一所得税(次号に掲げるものを除く。)暦年の終了の時
二源泉徴収による所得税利子、配当、給与、報酬、料金その他源泉徴収をすべきものとされている所得の支払の時
三法人税及び地方法人税(次号に掲げるものを除く。)事業年度の終了の時
三の二各対象会計年度の国際最低課税額に対する法人税、各対象会計年度の国際最低課税残余額に対する法人税及び各対象会計年度の国内最低課税額に対する法人税並びに国際最低課税額等に係る特定基準法人税額に対する地方法人税及び国内最低課税額に係る特定基準法人税額に対する地方法人税対象会計年度(法人税法第十五条の二(対象会計年度の意義)に規定する対象会計年度をいう。)の終了の時
四相続税相続又は遺贈(贈与者の死亡により効力を生ずる贈与を含む。)による財産の取得の時
五贈与税贈与(贈与者の死亡により効力を生ずる贈与を除く。)による財産の取得の時
六地価税課税時期(地価税法(平成三年法律第六十九号)第二条第四号(定義)に規定する課税時期をいう。)
七消費税等課税資産の譲渡等若しくは特定課税仕入れをした時又は課税物件の製造場(石油ガス税については石油ガスの充塡場とし、石油石炭税については原油、ガス状炭化水素又は石炭の採取場とする。)からの移出若しくは保税地域からの引取りの時
八航空機燃料税航空機燃料の航空機への積込みの時
九電源開発促進税販売電気の料金の支払を受ける権利の確定の時
十自動車重量税自動車検査証の交付若しくは返付の時又は届出軽自動車についての車両番号の指定の時
十一国際観光旅客税本邦からの出国の時
十二印紙税課税文書の作成の時
十三登録免許税登記、登録、特許、免許、許可、認可、認定、指定又は技能証明の時
十四過少申告加算税、無申告加算税又は第六十八条第一項、第二項若しくは第四項(同条第一項又は第二項の重加算税に係る部分に限る。)(重加算税)の重加算税法定申告期限の経過の時
十五不納付加算税又は第六十八条第三項若しくは第四項(同条第三項の重加算税に係る部分に限る。)の重加算税法定納期限の経過の時
3納税義務の成立と同時に特別の手続を要しないで納付すべき税額が確定する国税は、次に掲げる国税とする。
一所得税法第二編第五章第一節(予定納税)(同法第百六十六条(申告、納付及び還付)において準用する場合を含む。)の規定により納付すべき所得税(以下「予定納税に係る所得税」という。)
二源泉徴収等による国税
三自動車重量税
四国際観光旅客税法第十八条第一項(国際観光旅客等による納付)の規定により納付すべき国際観光旅客税
五印紙税(印紙税法(昭和四十二年法律第二十三号)第十一条(書式表示による申告及び納付の特例)及び第十二条(預貯金通帳等に係る申告及び納付等の特例)の規定の適用を受ける印紙税及び過怠税を除く。)
六登録免許税
七延滞税及び利子税
国税通則法 第16条(国税についての納付すべき税額の確定の方式) 詳細ページ
(国税についての納付すべき税額の確定の方式)
第十六条国税についての納付すべき税額の確定の手続については、次の各号に掲げるいずれかの方式によるものとし、これらの方式の内容は、当該各号に掲げるところによる。
一申告納税方式納付すべき税額が納税者のする申告により確定することを原則とし、その申告がない場合又はその申告に係る税額の計算が国税に関する法律の規定に従つていなかつた場合その他当該税額が税務署長又は税関長の調査したところと異なる場合に限り、税務署長又は税関長の処分により確定する方式をいう。
二賦課課税方式納付すべき税額がもつぱら税務署長又は税関長の処分により確定する方式をいう。
2国税(前条第三項各号に掲げるものを除く。)についての納付すべき税額の確定が前項各号に掲げる方式のうちいずれの方式によりされるかは、次に定めるところによる。
一納税義務が成立する場合において、納税者が、国税に関する法律の規定により、納付すべき税額を申告すべきものとされている国税申告納税方式
二前号に掲げる国税以外の国税賦課課税方式
出

一次情報

原文ママ

条文は e-Gov法令検索、判例は裁判所ウェブサイトから取得しています。