国税徴収法 / テーマ別まとめ

国税と他の債権との調整/国税と仮登記又は譲渡担保に係る債権との調整

国税と仮登記又は譲渡担保に係る債権との調整の条文と、裁判所が付した判示事項から整理しています。

原文解釈このページは論点を軸に条文と判例を横断して整理したものです。論点の名称と構成は当サイトの整理であり、条文上の区分ではありません。リード文・要点・比較表も当サイトによる解釈です。条文原文と判例の判示事項・裁判要旨は転記です。

国税徴収法第23条から第25条は、国税の法定納期限等より前に成立していた仮登記担保や譲渡担保の権利を国税との関係でどう扱うかを定める規定です。仮登記担保については換価代金からの弁済順位を、譲渡担保については納税者の財産だけでは徴収不足のときに譲渡担保財産から徴収する手続と、その適用が除外される場合を整理しています。

国税と仮登記又は譲渡担保に係る債権との調整
制度要件国税との関係効果
担保のための仮登記(第23条)法定納期限等以前の仮登記担保権付き債権が国税に優先換価代金から先に弁済
仮登記担保の清算金(第23条2項)先取特権等が法定納期限等以前これらの担保権に次いで徴収清算金から国税を徴収
譲渡担保財産(第24条1項)納税者の財産で徴収不足のとき譲渡担保財産からも徴収可能譲渡担保権者を第二次納税義務者とみなす
法定納期限等以前の譲渡担保(第24条8項)登記が国税の法定納期限等以前譲渡担保財産からの徴収不可第24条1項の適用除外
  • 消滅すべき金銭債務が仮登記の時点で特定されていない仮登記担保は、滞納処分では効力を有しない(第23条4項)。
  • 仮登記財産を譲り受けた場合は第17条1項を、法定納期限等後に仮登記した財産を譲渡した場合は前条(第22条、第3項を除く)を準用する(第23条3項)。
  • 譲渡担保権者への告知書を発した日から10日を経過した日までに完納されないときに、第二次納税義務とみなして滞納処分を執行できる(第24条3項)。
  • 第三者が占有する動産・有価証券や、差押えに登記を要しない財産などについては、税務署長がその第三者等に滞納処分続行の通知をしなければならない(第24条5項・6項)。
  • 譲渡担保財産につき買戻し・再売買の予約等がある場合で、期限経過等以外の理由でその契約が失効したときも、なお譲渡担保財産として存続するものとみなす(第24条7項)。
  • 買戻権の登記等の権利者が滞納者であるときは、差し押さえた買戻権に係る権利と譲渡担保財産を一括して換価できる(第25条1項)。譲渡担保財産からの徴収に必要な事項は政令で定める(第25条2項)。
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国税と仮登記又は譲渡担保に係る債権との調整

国税と仮登記又は譲渡担保に係る債権との調整について、条文は何を定めているか。

第23条法定納期限等以前にされた仮登記により担保される債権の優先等法定納期限等以前の仮登記担保は国税に優先する4項判例 3件
  • 法定納期限等より前の仮登記担保は国税に優先して弁済される
  • 清算金からは先順位の先取特権・質権・抵当権等に次いで国税を徴収する
  • 消滅すべき債務が仮登記時に未特定の仮登記担保は滞納処分では無効
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第24条譲渡担保権者の物的納税責任譲渡担保財産にも国税を徴収できる場合がある9項・2号判例 4件
  • 納税者の財産で徴収不足のときに限り譲渡担保財産から徴収できる
  • 告知書発送日から10日経過して完納がなければ第二次納税義務とみなす
  • 法定納期限等以前の権利移転登記や証明があれば適用されない
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第25条譲渡担保財産の換価の特例等買戻権付き譲渡担保財産は一括して換価できる2項判例なし
  • 買戻しの特約等の登記がある譲渡担保財産は権利者が滞納者なら一括換価できる
  • 譲渡担保財産からの徴収に必要な事項は政令で定める
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論

主要な論点と判例

原文ママ

論点の見出しと結論は、裁判所が付した判示事項・裁判要旨をそのまま転記しています。文中の〈 〉内は条文の見出しを当サイトが補ったものです。

論点1第23条国税徴収法

受働債権につき国税滞納処分として差押がなされた場合と相殺の意思表示の相手方

裁判要旨国が国税滞納処分として債権を差し押さえ、その取立権を取得した場合において、第三債務者が債務者に対する反対債権をもつて被差押債権と相殺するには、債務者に対しても相殺の意思表示をすることができる。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和40年7月20日 昭和37(オ)743
登載
集民 第79号893頁
参照法条
民法511条,旧国税徴収法(昭和34年法律147号による改正前のもの)23条の1
論点2第23条国税徴収法

一 国税徴収法(昭和三四年法律第一四七号による改正前)第二三条ノ〈法定納期限等以前にされた仮登記により担保される債権の優先等 国税の法定納期限等以前に納税者の財産につき、その者を登記義務者(登録義務者を含む。)として、仮登記担保契約に関する法律(昭和五十三年法律第七十八号)第一条(趣旨)に規定する仮登記担保契約に基づく仮登記又は仮登録(以下「担保のための仮登記」という。)がされているときは、その国税は、その換価代金につき、その担保のための仮登記により担保される債権に次いで徴収する。〉一にいう代位の意義
二 同法条に基づき被差押債権者に代位する国は被差押債権者債務者間の訴訟に対し民訴第七一条〈自動車、建設機械又は小型船舶の差押え〉に基づく当事者参加ができるか

裁判要旨一 国税徴収法(昭和34年法律第一四七号による改正前)第二三条ノ〈法定納期限等以前にされた仮登記により担保される債権の優先等 国税の法定納期限等以前に納税者の財産につき、その者を登記義務者(登録義務者を含む。)として、仮登記担保契約に関する法律(昭和五十三年法律第七十八号)第一条(趣旨)に規定する仮登記担保契約に基づく仮登記又は仮登録(以下「担保のための仮登記」という。)がされているときは、その国税は、その換価代金につき、その担保のための仮登記により担保される債権に次いで徴収する。〉一による国の代金とは国税滞納処分の債権差押により国が被差押債権の取立権を取得し債権者の権利を行使しうるに至る法律関係をいう。
二 同法条に基づき被差押債権者に代位する国は、被差押債権に基づく債権者債務者間の訴訟に対し民訴第七一条〈自動車、建設機械又は小型船舶の差押え〉による当事者参加ができる。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和37年8月10日 昭和35(オ)959
登載
民集 第16巻8号1726頁
参照法条
国税徴収法(昭和34年法律147号による改正前)23条ノ1,民訴法71条,民訴法62条
論点3第23条国税徴収法

一 国税局長への異議申立書と題する書面の提出の国税徴収法第三一条の二の再調査請求としての適否
二 審査決定で却下の再調査決定を是認するとともに原処分の適否を判断した場合における裁判所の原処分の適否審理
三 公売処分取消訴訟における審査決定をした国税局長の被告適格
四 国税徴収法による不動産差押の効力発生時期
五 不動産差押効力発生前にした公売公告の適否

裁判要旨一 国税局長に異議申立書と題する書面の提出があつても、右書面が、公売財産の所有者から提出され、不服のある処分が具体的に明示され、不服の理由も記載されている以上、国税徴収法第三一条の二による再調査請求があつたものと認めるべきである
二 審査決定で却下の再調査決定を是認するとともに、原処分の適否をも審理判断した場合に、裁判所は、右却下決定を違法と判断したときは、原処分の適否についても、審理裁判することができる
三 公売処分取消訴訟においては、審査決定をした国税局長も被告適格がある
四 国税徴収法による不動産差押の効力は差押調書謄本の滞納者に対する交付のあつたときに生ずる
五 不動産差押の効力発生前にした公売公告は違法である
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和33年5月24日 昭和31(オ)592
登載
民集 第12巻8号1115頁
参照法条
国税徴収法31条ノ2,国税徴収法31条ノ4,国税徴収法23条ノ3,国税徴収法24条1項,行政事件訴訟特例法3条,国宝施行規則16条,国宝施行規則19条,国宝施行規則22条
論点4第24条国税徴収法

滞納者の所有財産に対し右滞納者以外の者の滞納税金をも併せて徴収するために行なわれた滞納処分の適否

裁判要旨滞納者の所有財産に対する滞納処分が、その滞納者の滞納税金のみならず、誤つて他の者の滞納税金をも徴収するために行なわれた場合には、右処分の瑕疵は、他の滞納者の滞納税金に対するものとしてなされた部分についてのみ存し、その滞納処分全体を違法ならしめるものではない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和43年7月16日 昭和40(行ツ)109
登載
集民 第91号729頁
参照法条
旧国税徴収法24条
論点5第24条国税徴収法

国税の法定納期限等以前に将来発生すべき債権を目的として譲渡担保契約が締結され第三者に対する対抗要件が具備されていた場合における国税徴収法24条6項の適用

裁判要旨国税の法定納期限等以前に,将来発生すべき債権を目的として,債権譲渡の効果の発生を留保する特段の付款のない譲渡担保契約が締結され,その債権譲渡につき第三者に対する対抗要件が具備されていた場合には,譲渡担保の目的とされた債権が国税の法定納期限等の到来後に発生したとしても,当該債権は国税徴収法24条6項にいう「国税の法定納期限等以前に譲渡担保財産となっている」ものに該当する。
裁判
最高裁判所第一小法廷 平成19年2月15日 平成16(行ヒ)310
登載
民集 第61巻1号243頁
参照法条
国税徴収法24条,民法369条(譲渡担保),民法467条2項
論点6第24条国税徴収法

いわゆる一括支払システムに関する契約においてされた国税徴収法24条2項による告知書の発出の時点で譲渡担保権を実行することを内容とする合意の効力

裁判要旨いわゆる一括支払システムに関する契約において譲渡担保権者と納税者との間でされた国税徴収法24条2項による告知書の発出の時点で譲渡担保権を実行することを内容とする合意は,同条5項の趣旨に反して無効である。
(補足意見がある。)
裁判
最高裁判所第二小法廷 平成15年12月19日 平成10(行ツ)149
登載
民集 第57巻11号2292頁
参照法条
国税徴収法24条,民法91条
原

条文原文

原文ママ

e-Gov法令検索から取得した原文を、号・イロハまで省略せずに掲載しています。

国税徴収法 第23条(法定納期限等以前にされた仮登記により担保される債権の優先等) 詳細ページ
(法定納期限等以前にされた仮登記により担保される債権の優先等)
第二十三条国税の法定納期限等以前に納税者の財産につき、その者を登記義務者(登録義務者を含む。)として、仮登記担保契約に関する法律(昭和五十三年法律第七十八号)第一条(趣旨)に規定する仮登記担保契約に基づく仮登記又は仮登録(以下「担保のための仮登記」という。)がされているときは、その国税は、その換価代金につき、その担保のための仮登記により担保される債権に次いで徴収する。
2担保のための仮登記がされている納税者の財産上に、第十九条第一項各号(不動産保存の先取特権等の優先)に掲げる先取特権があるとき、国税の法定納期限等以前から第二十条第一項各号(法定納期限等以前にある不動産賃貸の先取特権等の優先)に掲げる先取特権があるとき、又は国税の法定納期限等以前に質権若しくは抵当権が設定され、若しくは担保のための仮登記がされているときは、その国税は、仮登記担保契約に関する法律第三条第一項(清算金)(同法第二十条(土地等の所有権以外の権利を目的とする契約への準用)において準用する場合を含む。)に規定する清算金に係る換価代金につき、同法第四条第一項(物上代位)(同法第二十条において準用する場合を含む。)の規定により権利が行使されたこれらの先取特権、質権及び抵当権並びに同法第四条第二項(同法第二十条において準用する場合を含む。)において準用する同法第四条第一項の規定により権利が行使された同条第二項に規定する後順位の担保仮登記により担保される債権に次いで徴収する。
3第十七条第一項(譲受前に設定された質権又は抵当権の優先)の規定は、納税者が担保のための仮登記がされている財産を譲り受けたときについて、前条(第三項を除く。)の規定は、納税者が他に国税に充てるべき十分な財産がない場合において、その者がその国税の法定納期限等後に担保のための仮登記をした財産を譲渡したときについて、それぞれ準用する。
4仮登記担保契約に関する法律第一条に規定する仮登記担保契約で、消滅すべき金銭債務がその契約の時に特定されていないものに基づく仮登記及び仮登録は、国税の滞納処分においては、その効力を有しない。
国税徴収法 第24条(譲渡担保権者の物的納税責任) 詳細ページ
(譲渡担保権者の物的納税責任)
第二十四条納税者が国税を滞納した場合において、その者が譲渡した財産でその譲渡により担保の目的となつているもの(以下「譲渡担保財産」という。)があるときは、その者の財産につき滞納処分を執行してもなお徴収すべき国税に不足すると認められるときに限り、譲渡担保財産から納税者の国税を徴収することができる。
2税務署長は、前項の規定により徴収しようとするときは、譲渡担保財産の権利者(以下「譲渡担保権者」という。)に対し、徴収しようとする金額その他必要な事項を記載した書面により告知しなければならない。この場合においては、その者の住所又は居所(事務所及び事業所を含む。以下同じ。)の所在地を所轄する税務署長及び納税者に対しその旨を通知しなければならない。
3前項の告知書を発した日から十日を経過した日までにその徴収しようとする金額が完納されていないときは、徴収職員は、譲渡担保権者を第二次納税義務者とみなして、その譲渡担保財産につき滞納処分を執行することができる。この場合においては、第三十二条第三項から第五項まで(第二次納税義務の通則)及び第九十条第三項(換価の制限)の規定を準用する。
4譲渡担保財産を第一項の納税者の財産としてした差押えは、同項の要件に該当する場合に限り、前項の規定による差押えとして滞納処分を続行することができる。この場合において、税務署長は、遅滞なく、第二項の告知及び通知をしなければならない。
5税務署長は、前項の規定により滞納処分を続行する場合において、譲渡担保財産が次の各号に掲げる財産であるときは、当該各号に定める者に対し、納税者の財産としてした差押えを第三項の規定による差押えとして滞納処分を続行する旨を通知しなければならない。
一第三者が占有する動産(第七十条(船舶又は航空機の差押え)又は第七十一条(自動車、建設機械又は小型船舶の差押え)の規定の適用を受ける財産を除く。以下同じ。)又は有価証券動産又は有価証券を占有する第三者
二第六十二条(差押えの手続及び効力発生時期)又は第七十三条(電話加入権等の差押えの手続及び効力発生時期)の規定の適用を受ける財産(これらの財産の権利の移転につき登記を要するものを除く。)第三債務者又はこれに準ずる者(以下「第三債務者等」という。)
6税務署長は、第四項の規定により滞納処分を続行する場合において、第五十五条第一号又は第三号(質権者等に対する差押えの通知)に掲げる者のうち知れている者があるときは、これらの者に対し、納税者の財産としてした差押えを第三項の規定による差押えとして滞納処分を続行する旨を通知しなければならない。
7第二項の規定による告知又は第四項の規定の適用を受ける差押えをした後、納税者の財産の譲渡により担保される債権が債務不履行その他弁済以外の理由により消滅した場合(譲渡担保財産につき買戻し、再売買の予約その他これらに類する契約を締結している場合において、期限の経過その他その契約の履行以外の理由によりその契約が効力を失つたときを含む。)においても、なお譲渡担保財産として存続するものとみなして、第三項の規定を適用する。
8第一項の規定は、国税の法定納期限等以前に、担保の目的でされた譲渡に係る権利の移転の登記がある場合又は譲渡担保権者が国税の法定納期限等以前に譲渡担保財産となつている事実を、その財産の売却決定の前日までに、証明した場合には、適用しない。この場合においては、第十五条第二項後段及び第三項(優先質権の証明)の規定を準用する。
9第一項の規定の適用を受ける譲渡担保権者は、第十章(罰則)の規定の適用については、納税者とみなす。
国税徴収法 第25条(譲渡担保財産の換価の特例等) 詳細ページ
(譲渡担保財産の換価の特例等)
第二十五条買戻しの特約のある売買の登記、再売買の予約の請求権の保全のための仮登記(仮登録を含む。以下同じ。)その他これに類する登記(以下この条において「買戻権の登記等」という。)がされている譲渡担保財産でその買戻権の登記等の権利者が滞納者であるときは、その差し押さえた買戻権の登記等に係る権利及び前条第三項の規定により差し押さえたその買戻権の登記等のある譲渡担保財産を一括して換価することができる。
2前条及び前項に規定するもののほか、譲渡担保財産からする納税者の国税の徴収に関し必要な事項は、政令で定める。
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一次情報

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