人の健康に係る公害犯罪の処罰に関する法律違反、業務上過失傷害

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事件番号
昭和59(あ)238
裁判年月日
昭和63年10月27日
裁判所
最高裁判所第一小法廷
裁判種別
判決
結果
その他
判例集等
刑集 第42巻8号1109頁
原審
名古屋高等裁判所

判示事項

一 人の健康に係る公害犯罪の処罰に関する法律三条一項にいう「工場又は事業場における事業活動に伴つて人の健康を害する物質を排出し」の意義
二 人の健康に係る公害犯罪の処罰に関する法律三条の罪が成立しないとされた事例
三 工場において原料の液体塩素の受入れ作業に従事していた未熟練技術員が過失により塩素ガスを放出させて起した事故につき右技術員を受入れ担当の班に配置した製造課長と班の責任者にも業務上過失傷害罪が成立するとされた事例

裁判要旨

一 人の健康に係る公害犯罪の処罰に関する法律三条一項にいう「工場又は事業場における事業活動に伴つて人の健康を害する物質を排出し」とは、工場又は事業場における事業活動の一環として行われる廃棄物その他の物質の排出の過程で、人の健康を害する物質を工場又は事業場の外に何人にも管理されない状態において出すことをいい、事業活動の一環として行われる排出とみられる面を有しない他の事業活動中に、過失によりたまたま人の健康を害する物質を工場又は事業場の外に放出するに至らせたとしても、同法三条の罪には当たらない。
二 工場において、タンクローリーで運搬されてきた液体塩素を貯蔵タンクに受け入れるに際し、その作業に従事していた未熟練技術員が右タンクの受入れバルブを閉めようとして誤つてパージバルブを開け、大量の塩素ガスを大気中に放出させて付近住民に傷害を負わせた事故については、人の健康に係る公害犯罪の処罰に関する法律三条の罪は成立しない。
三 タンクローリーで運搬されてきた液体塩素を工場の貯蔵タンクに受け入れる作業に従事中の未熟練技術員が単独で受入れバルブを閉めようとし、一緒に受入れ作業に従事中の熟練技術員がこれを了承したため、未熟練技術員が誤つてパージバルブを開け、大量の塩素ガスを大気中に放出させて付近住民等に傷害を負わせた事故については、未熟練技術員を配置した製造課長と班の責任者にも、事前に双方の技術員に対し、未熟練技術員が単独でバルブ操作をしないよう留意すべき旨の安全教育を行い、少なくとも配置の際にその旨の指示を行うべき注意義務を怠つて、未熟練技術員を配置した過失があり、業務上過失傷害罪が成立する。

参照法条

刑法211条〈業務上過失致死傷等〉,人の健康に係る公害犯罪の処罰に関する法律3条

この裁判例が参照する条文の解説

一次情報

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