判示事項
旧関税法(昭和二九年法律第六一号による改正前)第七五条第二項の関税逋脱未遂罪と刑法第四三条但書。
裁判要旨
所論は、旧関税法(昭和二九年法律第六一号による改正前のもの)第七五条第二項の関税逋脱未遂につき刑法第四三条但書にいわゆる中止未遂の規定は適用の余地がないとする原判断を論難し、右は法律の解釈適用を誤つたものであると主張する。論旨は単なる法令違反の主張であつて上告適法の理由に当らない。(なお、右に摘示した原判断は正当である。)
(原審判断の理由)旧関税法(昭和二九年法律第六一号による改正前のもの)第七五条によれば、その第一項に、「関税ヲ逋脱シタル者ハ五年以下ノ懲役若ハ五〇万円以下ノ罰金ニ処シ又ハ之ヲ併科ス」と規定され、その第二項に「前項ノ罪ヲ犯ス目的ヲ以テ其ノ予備ヲ為シタル者又ハ同項ノ犯罪ノ実行ニ着手シ之ヲ遂ゲザル者亦同項ニ同ジ」と規定されていて、関税逋脱未遂罪を独立に処罰することと為し、五年以下の懲役もしくは五〇万円以下の罰金またはその併科をもつてこれにのぞむことと定めた結果、右未遂罪については刑法第四三条但書の規定の適用せられる余地がないものといわなければならない(昭和一八年(れ)第三九二号同年一〇月二二日大審院判決、昭和二六年(う)第一一八号、同年一〇月三日福岡高裁判判決参照)ばかりでなく、事実としても、共犯のある場合には、その全員が中止することによつて、結果の発生を防止しなければ、中止犯にはならないと解すべきところ、所論の未遂事件については、このことを認めることができないから、原判決が障碍未遂と認定したことおよび刑法第四三条但書を適用しなかつたことは正当である。
参照法条
旧関税法(明治32年法律61号)75条1項,旧関税法(明治32年法律61号)75条2項,刑法
43条〈未遂減免〉但書
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