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罪/住居を侵す罪

住居を侵す罪の条文と、裁判所が付した判示事項から整理しています。

原文解釈このページは論点を軸に条文と判例を横断して整理したものです。論点の名称と構成は当サイトの整理であり、条文上の区分ではありません。リード文・要点・比較表も当サイトによる解釈です。条文原文と判例の判示事項・裁判要旨は転記です。

住居を侵す罪は、正当な理由なく他人の住居や、人が見張っている邸宅・建造物・艦船に立ち入ったり、退去要求に応じなかったりする行為を処罰する規定です。未遂も処罰対象となります。

住居を侵す罪
行為類型対象場所法定刑
無断で立ち入る住居3年以下拘禁刑/10万円以下罰金
無断で立ち入る人が看守する邸宅・建造物・艦船3年以下拘禁刑/10万円以下罰金
退去要求に応じない上記いずれの場所も3年以下拘禁刑/10万円以下罰金
未遂上記いずれの場所も処罰される
  • 「正当な理由がないのに」という要件は表から省略しています。
  • 第131条は削除されており、現在欠番です。
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住居を侵す罪

住居を侵す罪について、条文は何を定めているか。

第130条住居侵入等無断の立入りと居座りを処罰する1項判例 31件
  • 正当な理由なく住居等に侵入すると処罰対象になる
  • 退去要求を受けても出て行かない場合も同様に処罰対象
  • 法定刑は3年以下の拘禁刑または10万円以下の罰金
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第131条削除され現在は欠番の条文1項判例なし
  • 条文自体が削除されており内容はない
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第132条未遂罪未遂でも処罰される1項判例なし
  • 第130条〈住居侵入等〉の罪は未遂の段階でも処罰される
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論

主要な論点と判例

原文ママ

論点の見出しと結論は、裁判所が付した判示事項・裁判要旨をそのまま転記しています。文中の〈 〉内は条文の見出しを当サイトが補ったものです。

論点1第130条刑法

一 鉄道営業法三五条〈正当行為〉及び刑法一三〇条〈住居侵入等〉後段を適用しても憲法二一条一項に違反しないとされた事例
二 鉄道営業法三五条にいう「鉄道地」の意義
三 刑法一三〇条にいう「人ノ看守スル建造物」の意義
四 鉄道営業法三五条にいう「鉄道地」及び刑法一三〇条にいう「人ノ看守スル建造物」にあたるとされた事例

裁判要旨一 駅係員の許諾を受けないで駅構内において乗降客らに対しビラ多数を配布して演説等を繰り返したうえ、駅管理者からの退去要求を無視して約二〇分間にわたり駅構内に滞留した被告人らの所為につき、鉄道営業法三五条及び刑法一三〇条〈住居侵入等〉後段の各規定を適用してこれを処罰しても憲法二一条一項に違反しない。
二 鉄道営業法三五条〈正当行為〉にいう「鉄道地」とは、鉄道の営業主体が所有又は管理する用地・地域のうち、直接鉄道運送業務に使用されるもの及びこれと密接不可分の利用関係にあるものをいう。
三 刑法一三〇条にいう「人ノ看守スル建造物」とは、人が事実上管理・支配する建造物をいう。
四 構造上駅舎の一部で鉄道利用客のための通路として使用されており、また、駅の財産管理権を有する駅長が現に駅構内への出入りを制限し又は禁止する権限を行使している本件駅出入口階段付近(判文参照)は、鉄道営業法三五条にいう「鉄道地」にあたるとともに、刑法一三〇条にいう「人ノ看守スル建造物」にあたる。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和59年12月18日 昭和59(あ)206
登載
刑集 第38巻12号3026頁
参照法条
鉄道営業法35条,刑法130条,憲法21条1項
論点2第130条刑法

一 刑法一三〇条〈住居侵入等〉前段にいう「侵入」の意義
二 建造物の管理権者が立入り拒否の意思を積極的に明示していない場合と建造物侵入罪の成否

裁判要旨一 刑法一三〇条〈住居侵入等〉前段にいう「侵入シ」とは、他人の看守する建造物等に管理権者の意思に反して立ち入ることをいう。
二 建造物の管理権者が予め立入り拒否の意思を積極的に明示していない場合であつても、該建造物の性質、使用目的、管理状況、管理権者の態度、立入りの目的などからみて、現に行われた立入り行為を管理権者が容認していないと合理的に判断されるときは、他に犯罪の成立を阻却すべき事情が認められない以上、建造物侵入罪の成立を免れない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和58年4月8日 昭和55(あ)906
登載
刑集 第37巻3号215頁
参照法条
刑法130条前段
論点3第130条刑法

住居侵入罪と軽犯罪法一条二三号の罪との罪数関係

住居侵入罪と軽犯罪法一条二三号〈国内犯〉の罪との罪数関係(反対意見がある)

裁判要旨他人の住居の庭先に侵入してその住居内をひそかにのぞき見た場合における住居侵入罪と軽犯罪法一条二三号〈国内犯〉の罪とは、牽連犯の関係にある。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和57年3月16日 昭和55(あ)487
登載
刑集 第36巻3号260頁
参照法条
刑法45条,刑法54条1項,刑法130条,軽犯罪法1条23号
論点4第130条刑法

一 常習累犯窃盗の罪と窃盗の着手に至らない窃盗目的の住居侵入の罪との罪数関係
二 不起訴となつた住居侵入の罪についての未決勾留日数を右と一罪の関係にある常習累犯窃盗の罪の本刑に算入することの可否

裁判要旨一 窃盗を目的とする住居侵入の罪は、窃盗の着手にまで至らなかつた場合にも、盗犯等の防止及び処分に関する法律三条〈国民の国外犯〉の常習累犯窃盗の罪と一罪の関係にある。
二 不起訴となつた住居侵入の罪についての未決勾留日数は、右と一罪の関係にある常習累犯窃盗の罪の本刑に算入することができる。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和55年12月23日 昭和55(あ)35
登載
刑集 第34巻7号767頁
参照法条
刑法21条,刑法130条,盗犯等の防止及び処分に関する法律3条
論点5第130条刑法

罰金刑の法定刑を超過した宣告刑が判例違反とされた事例―いわゆる朝日新聞社労組侵入事件―

裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和54年7月19日 昭和53(あ)1439
登載
集刑 第215号121頁
参照法条
刑法130条,刑訴法405条2号
論点6第130条刑法

一 失業対策事業等に就労する日雇労働者と団体交渉権
二 団体交渉ないし団体行動権の正当な行使にあたらないとされた事例

裁判要旨一 失業対策事業等に就労する日雇労働者は、その使用者である事業主体に対する関係で団体交渉権を有する。
二 多数の勢威を背景に実力を行使して団体交渉を迫り、要求を受けながら県庁庁舎から退去しなかつた被告人らの本件所為(原判文参照)は、その手段・方法において社会通念の許容する団体交渉ないし団体行動権の正当な行使にあたらない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和54年12月19日 昭和52(あ)2090
登載
刑集 第33巻7号966頁
参照法条
憲法28条,刑法35条,刑法130条後段,労働組合法1条,労働組合法7条2号
論点7第130条刑法

公共企業体等労働関係法一七条一項違反の争議行為として行われた威力業務妨害及び不退去行為が刑法上の違法性を欠くものではないとされた事例

裁判要旨公共企業体等労働関係法一七条一項違反の争議行為として行われた本件威力業務妨害及び不退去行為は、刑法上の違法性を欠くものではない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和53年3月3日 昭和45(あ)2199
登載
刑集 第32巻2号97頁
参照法条
公共企業体等労働関係法17条1項,刑法35条,刑法130条,刑法233条,刑法234条
論点8第130条刑法

一 威力業務妨害罪によつて保護されるべき業務にあたるとされた事例
二 バス会社のストライキに際し組合側の争議手段として行われたいわゆる車両確保行為が威力業務妨害罪又は建造物侵入罪の違法性に欠けるところがないとされた事例

裁判要旨一 バス会社がストライキに参加しない従業員によつて操業を継続するために必要とした本件車両の分散及び保全看守は、それが操業を阻止する手段として組合側の計画していた車両の確保に対する対抗措置として行われたものであつても、威力業務妨害罪によつて保護されるべき業務にあたる。
二 バス会社のストライキに際し、多数人による暴力を伴う威力を用いて会社が回送中又は路上に駐車中のバスを奪つて組合側の支配下に置きあるいは多数の威力を示して会社が取引先の整備工場又は系列下の自動車学校に預託中のバスを搬出しようとして建造物に侵入した本件車両確保行為は、判示のような諸般の事情に照らし法秩序全体の見地からみるとき、威力業務妨害罪又は建造物侵入罪の違法性に欠けるところはない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和53年11月15日 昭和52(あ)583
登載
刑集 第32巻8号1855頁
参照法条
刑法35条,刑法130条,刑法234条,労働関係調整法7条,労働組合法1条
論点9第130条刑法

威力業務妨害罪によつて保護されるべき業務にあたるとされた事例

バス会社のストライキに際し組合側の争議手段として行われたいわゆる車両確保行為が威力業務妨害罪又は建造物侵入罪の違法性に欠けるところがないとされた事例

裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和53年11月15日 昭和52(あ)469
登載
集刑 第213号569頁
参照法条
刑法234条,刑法35条,刑法130条,労調法7条,労組法1条1項,労組法1条2項
論点10第130条刑法

一、公共企業体等労働関係法一七条一項と憲法二八条
二、公共企業体等労働関係法一七条一項違反の争議行為と労働組合法一条二項の適用
三、公共企業体等労働関係法一七条一項違反の争議行為と刑事法上の処罰阻却
四、郵政職員の争議行為に参加を呼びかけた行為が郵便法七九条一項の罪の幇助罪による処罰を阻却されないとされた事例
五、公共企業体等労働関係法一七条一項違反の争議行為に際しこれに付随して行われた犯罪構成要件該当行為について違法性阻却事由の有無を判断する一般的基準
六、公共企業体等労働関係法一七条一項違反の争議行為に際しこれに付随して行われた建造物侵入行為が刑法上の違法性を欠くものではないとされた事例

裁判要旨一 公共企業体等労働関係法一七条一項〈科料〉は、憲法二八条に違反しない。
二 公共企業体等労働関係法一七条一項違反の争議行為には、労働組合法一条二項の適用はない。
三 公共企業体等労働関係法一七条一項違反の争議行為が犯罪構成要件に該当し、違法性があり、責任がある場合であつても、それが同盟罷業、怠業その他単なる労務不提供のような不作為を内容とするものであつて、同条項が存在しなければ正当な争議行為として処罰を受けることのないようなものであるときには、争議行為の単純参加者に限り、その罰則による処罰を阻却される。
四 郵政職員が争議行為として行つた勤務時間内二時間の職場大会に参加を呼びかけた本件行為は、郵便法七九条一項の罪の幇助罪による処罰を阻却されない。
五 公共企業体等労働関係法一七条一項違反の争議行為に際しこれに付随して行われた犯罪構成要件該当行為について違法性阻却事由の有無を判断するにあたつては、その行為が同条項違反の争議行為に際しこれに付随して行われたものであるという事実を含めて、行為の具体的状況その他諸般の事情を考慮に入れ、それが法秩序全体の見地から許容されるべきものであるか否かを考察しなければならない。
六 公共企業体等労働関係法一七条一項違反の争議行為に参加を呼びかけるため行われた本件建造物侵入行為は、刑法上の違法性を欠くものではない。
裁判
最高裁判所大法廷 昭和52年5月4日 昭和44(あ)2571
登載
刑集 第31巻3号182頁
参照法条
憲法28条,刑法第1編第7章,刑法35条,刑法130条,公共企業体等労働関係法17条1項,労働組合法1条,労働組合法3条,郵便法79条1項
論点11第130条刑法

建造物侵入罪の客体となるいわゆる囲繞地にあたるとされた事例

裁判要旨国立大学の構内に在る附置研究所建物に接してその周辺に存在し、かつ、管理者が既存の門塀等の施設と新設の金網柵とを連結して完成した一連の囲障を設置することにより、建物の附属地として建物利用のために供されるものであることが明示された本件土地(判文参照)は、右金網柵が通常の門塀に準じ外部との交通を阻止しうる程度の構造を有するものである以上、囲障設置以前における右土地の管理、利用状況等からして、それが本来建物固有の敷地と認めうるものかどうか、また、囲障設備が仮設的構造をもち、その設置期間も初めから一時的なものとして予定されていたかどうかを問わず、同研究所建物のいわゆる囲繞地として、建造物侵入罪の客体にあたる。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和51年3月4日 昭和49(あ)736
登載
刑集 第30巻2号79頁
参照法条
刑法130条
論点12第130条刑法

一、勤労者の争議行為に際して行なわれた犯罪構成要件該当行為について違法性阻却事由の有無を判断する一般的基準
二、A労働組合員らの争議行為の際における信号所侵入行為が刑法上の違法性を欠くものでなくその刑事責任を問うことが憲法二八条〈仮釈放〉に違反しないとされた事例
三、鉄道営業法四二条一項により鉄道係員が旅客公衆を車外または鉄道地外に退去させるにあたり必要最少限度の強制力を用いることの可否と憲法三一条〈刑の時効〉
四、旧「鉄道公安職員基本規程」(昭和二四年一一月一八日総裁達四六六号)三条〈国民の国外犯〉、五条〈外国判決の効力〉(現「鉄道公安職員基本規程(管理規程)」(昭和三九年四月一日総裁達一六〇号)二条〈すべての者の国外犯〉、四条〈公務員の国外犯〉)に定める鉄道公安職員の鉄道施設警備等の職務と公務執行妨害罪における公務
五、A労働組合員らの争議行為の際におけるてこ扱所二階の信号所への立入り、同所に通ずる階段へのすわり込みが鉄道営業法三七条、四二条一項三号にいう公衆がみだりに鉄道地内に立ち入つた場合にあたるとされた事例
六、鉄道公安職員がてこ扱所二階の信号所に立ち入り同所に通ずる階段にすわり込んだA労働組合員らを鉄道営業法四二条一項〈自首等〉により退去させる場合に許される強制力行使の程度

裁判要旨一 勤労者の組織的集団行動としての争議行為に際して行なわれた犯罪構成要件該当行為について刑法上の違法性阻却事由の有無を判断するにあたつては、その行為が争議行為に際し行なわれたものであるという事実をも含めて、当該行為の具体的状況その他諸般の事情を考慮に入れ、それが法秩序全体の見地から許容されるべきものであるか否かを判定しなければならない。
二 A労働組合員らの争議行為の際における被告人ら三名の本件信号所各侵入行為(被告人甲は、信号所の勤務員三名を勧誘、説得してその職務を放棄させ、勤務時間内の職場集会に参加させる意図をもつて、駅長の禁止に反して侵入したもの、また、被告人乙および丙は、労働組合員ら多数が同信号所を占拠した際にこれに加わり、それぞれ侵入したもの。判文参照)は、いずれも刑法上違法性を欠くものではない。このように解して被告人ら三者の刑事責任を問うことは、憲法二八条に違反しない。
三 鉄道営業法四二条一項〈自首等〉により鉄道係員が当該の旅客、公衆を車外または鉄道地外に退去させるにあたつて、旅客、公衆が自発的な退去に応じない場合、または危険が切迫する等やむをえない場合には、鉄道係員において当該具体的事情に応じて必要最少限度の強制力を用いることができる。このように解しても、憲法三一条に違反しない。 (注)判示事項および裁判要旨の四項以下はカード番号二六号の二に続く。
四 旧「鉄道公安職員基本規程」(昭和二四年一一月一八日総裁達四六六号)三条〈国民の国外犯〉、五条〈外国判決の効力〉(現「鉄道公安職員基本規程(管理規程)」(昭和三九年四月一日総裁達一六〇号)二条〈すべての者の国外犯〉、四条〈公務員の国外犯〉)に定める鉄道公安職員の鉄道施設警備等の職務は、公務執行妨害罪における公務にあたる。
五 A労働組合員らの本件てこ扱所二階の信号所への立入り、同所に通ずる階段へのすわり込み(判文参照)は、鉄道営業法三七条、四二条一項三号にいう公衆が鉄道地内にみだりに立ち入つた場合にあたる。
六 鉄道公安職員は、本件てこ扱所二階の信号所に立ち入り、同所に通ずる階段にすわり込んだA労働組合員らを鉄道営業法四二条一項により退去させるにあたつては、必要最少限度の強制力の行使として、自発的な退去を促したのに、これに応じないで階段の手すりにしがみつき、あるいはたがいに腕を組む等をして居すわつている者に対し、手や腕を取つてこれをほどき、身体に手をかけて引き、あるいは押し、必要な場合にはこれをかかえ上げる等して階段から引きおろし、退去の実効を収めるために必要な限度で階段下から適当な場所まで腕をとつて進行する等の行為をもなしうるものであり、このような行為が必要最少限度のものかどうかは、労働組合員らの抵抗の状況等の具体的事情を考慮して決定すべきものである。
裁判
最高裁判所大法廷 昭和48年4月25日 昭和43(あ)837
登載
刑集 第27巻3号418頁
参照法条
刑法35条,刑法95条1項,刑法130条,憲法28条,憲法31条,鉄道営業法37条,鉄道営業法42条1項,日本国有鉄道法32条1項,日本国有鉄道法34条1項,旧鉄道公安職員基本規程(昭和24年11月18日総裁達466号)3条,旧鉄道公安職員基本規程(昭和24年11月18日総裁達466号)5条,鉄道公安職員基本規程(管理規程)(昭和39年4月1日総裁達160号)2条,鉄道公安職員基本規程(管理規程)(昭和39年4月1日総裁達160号)4条
論点13第130条刑法

一 国鉄連絡船の乗務船員でない国鉄労働組合員が航行中の同船内において勤務当直者でない乗務船員に対してオルグ活動をしようとして乗船した場合と船長の退去命令
二 国鉄労働争議における国鉄労働組合員の信号扱所侵入行為が正当性を欠き建造物侵入罪を構成するとされた事例

裁判要旨一 国鉄連絡船の乗務船員でない国鉄労働組合員が同船に乗り込んだことが、同組合の団体行動として同船の航行中に勤務当直者でない乗務船員たる組合員らに対するオルグ活動をするためであるとしても、船長が退去を命令したときは、これに従うことを要し、これに従わないで船内に滞留することは、労働組合法一条二項にいう正当な行為とはいえず、艦船不退去罪を構成する。
二 本件国鉄労働争議における判示のような事実関係のもとでの被告人らの信号扱所侵入行為(判文参照)は、組合員多数の勢力をもつてする実力行動により信号扱所に対する国鉄当局側の管理を排除して侵入したものであつて、被告人らの信号扱所への立入りが、同所に勤務する組合員に職場大会への参加を呼びかける目的に出たもので、組合員の原判示時限ストを実行するためになされたものであるとしても、これをもつて直ちに労働組合法一条二項にいう正当な行為とはいえず、建造物侵入罪を構成する。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和45年7月16日 昭和43(あ)1462
登載
刑集 第24巻7号475頁
参照法条
刑法130条,船員法7条,公共企業体等労働関係法3条1項,公共企業体等労働関係法17条1項,労働組合法1条2項,憲法28条
論点14第130条刑法

住居不退去罪につき違法性を阻却すべき事由が認められないとされた事例

裁判要旨秋田県県政共闘会議を組織する労働組合の代表者である被告人甲、乙らが、秋田県知事公舎第二応接室において、知事に対し、昭和三六年度県予算に関し折衝した際、折衝が行き詰りとなつたため、知事は同公舎第一応接室において予算案の査定事務にとりかかつたところ、右労働組合の組合員である被告人丙、丁を含む組合員数十名は、右の経過をきいて喧騒状態となり、床板を踏み鳴らし、労働歌を高唱し、右第一応接室の扉や壁をたたくなどし、被告人甲、乙は、右喧騒状態を制止することなく放置したまま数回にわたり第一応接室に入り、予算案査定中の知事に対し同じ主張を繰りかえしたため、予算案査定事務の進捗がはなはだしく妨害されたので、知事は事後の折衝に応ずることを拒否し、被告人らを含む組合員全員に退去を要求したという事実関係(判文参照)のもとにおいては、被告人らの行為は団体行動権行使の正当な限界を逸脱したものであり、知事が退去を要求したのは当然の措置であつて、これに応じなかつた被告人らの不退去の所為は違法性を阻却するものではない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和43年7月12日 昭和42(あ)472
登載
刑集 第22巻7号659頁
参照法条
刑法35条,刑法130条,労働組合法1条2項
論点15第130条刑法

公共企業体等労働関係法第一七条違反の争議行為と労働組合法第一条第二項。

裁判要旨公共企業体等労働関係法第一七条に違反してなされた争議行為に対しては、労働組合法第一条第二項の適用はない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和38年3月15日 昭和37(あ)1803
登載
刑集 第17巻2号23頁
参照法条
公共企業体等労働関係法17条,労働組合法1条2項,刑法130条,刑法35条
論点16第130条刑法

一 いわゆる準新事件の公訴時効とその中断
二 同事件につき上告趣意書提出最終日の指定がなされその通知書が上告人に送達されたときは公訴時効中断の効力を生ずるか。
三 同事件につき上告審で公訴時効が完成した場合の措置。

裁判要旨一 本件のように昭和二三年二月一九日公訴が提起され同二六年六月一九日原判決の言渡があつた事件においては、刑訴施行法第二条、第三条の二より、公訴の時効、その中断等については、旧刑訴第二八一条、第二八五条等旧刑訴の適用を受けるものであつて、刑訴第二五四条〈遺失物等横領〉等の適用を受けるものではない。
二 右事件につき上告趣意書提出最終日の指定がなされその通知書が上告人に送達されたときは、旧刑訴第二八五条の公判の処分があつたものとして、公訴時効中断の効力を生ずる。
三 同事件につき上告審において公訴の時効が完成したときは、刑訴施行法第二条、第三条の二、刑訴第四一一条第五号を準用し、原判決を破棄の上、旧刑訴第四四八条、第四五五条、第三六三条第四号により被告人を免訴すべきである。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和35年6月9日 昭和29(れ)10
登載
刑集 第14巻7号953頁
参照法条
刑法130条,刑訴施行法2条,刑訴施行法3条の2,刑訴法411条5号,旧刑訴法281条,旧刑訴法285条,旧刑訴法363条4号,旧刑訴法448条,旧刑訴法455条
論点17第130条刑法

一 脅迫罪の成立する事例
二 刑法第一三〇条〈住居侵入等〉の罪の成立する事例
三 いわゆる「ラムネ弾」が爆発物取締罰則にいう爆発物にあたらないとされた事例

裁判要旨一 国家地方警察佐賀県本部警察部隊長〇○の官舎附近に備付の塵箱に「○○に告ぐ、三月貴様は勤労者、農民を仮装敵として演習を行つたが勝つ自信があるか、独立を欲する国民の敵となり身を滅ぼすより民族と己のために即時現職を退陣せよ」と記載したビラ一枚を貼付し、その頃同隊長に右ビラの記載内容を了知せしめたときは、同隊長に対する脅迫罪を構成する。
二 夜間税務署庁内に人糞を投込む目的をもつて同署構内に立入つたときは、たとえ同署裏手に酒販売組合事務所であつて人々が同署通用門を通りその構内を自由に通行していたとしても、その所為は刑法第一三〇条の罪を構成する。
三 本件「ラムネ弾」(原判決判文参照)の如く、その投下地点から僅か一米以内の近距離にあつた警察隊長官舎座敷のガラス窓のガラス一枚さえも破壊しえない程度のものは、爆発物取締罰則にいう爆発物にあたらないものと認める。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和34年7月24日 昭和32(あ)68
登載
刑集 第13巻8号1176頁
参照法条
刑法222条,刑法130条,爆発物取締罰則1条
論点18第130条刑法

一 刑法第二六一条〈器物損壊等〉の器物損壊罪が成立する事例
二 刑法第一三〇条〈住居侵入等〉にいう「人ノ看守スル邸宅」と認められる事例

裁判要旨一 労働争議中、労組組合員が、某会社の二階庇に掲げてあつた第二組合の木製看板を取り外し、これを同所から一四〇米離れた他家の板塀内に投げ棄てた場合および同会社の事務所土間に置いてある第二組合員家族より同組合員宛ての輸送小荷物に取りつけてあつた荷札を剥ぎ取り、これを持ち去つた場合には、いずれも刑法第二六一条の器物損壊罪が成立する。
二 石垣や煉瓦塀で囲まれて一般民家とは区劃せられ、責任者があつて看守し、三方に門があつて、その門にはいずれも木製観音開きの戸がついており、内側から閂で閉めるような仕組になつていて、毎晩定時に責任者がこれ等の門を閉めることになつており、内に社宅約二〇戸がある区劃内は刑法第一三〇条にいう「人ノ看守スル邸宅」にあたる。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和32年4月4日 昭和31(あ)2696
登載
刑集 第11巻4号1327頁
参照法条
刑法261条,刑法130条,軽犯罪法1条33号,軽犯罪法1条32号,労働組合法1条
論点19第130条刑法

科し得べき罰金刑の多額を超えて罰金刑を言渡した判決の違法と非常上告

裁判要旨函館地方裁判所は、昭和二九年一二月六日被告人に対する建造物侵入被告事件につき、被告人が昭和二九年五月二四日函館市所在函館公共職業安定所内事務室に侵入した犯罪事実を認定し、これに対し刑法一三〇条、罰金等臨時措置法二条、三条を適用し、所定刑中罰金刑を選択し、被告人を罰金五千円に処する旨の判決を言い渡し、右判決は所論のとおりの経緯により昭和三一年三月七日確定したものであることが認められる。されば右判決が、右犯罪事実につき刑法一三〇条、罰金等臨時措置法二条、三条を適用し、所定刑中罰金刑を選択しながら、罰金五千円の言渡をしたことは、同罪につき科し得べき罰金刑の多額を超えて罰金刑を言渡した違法があるものであり、本件非常上告は理由がある。しかも右判決は被告人のため不利益であること勿論であるから、刑訴四五八条一号但書により、右判決を破棄し、被告事件につき更に判決すべきものである。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和31年7月17日 昭和31(さ)2
登載
集刑 第114号267頁
参照法条
刑法130条,刑訴法454条,刑訴法458条1号,罰金等臨時措置法2条,罰金等臨時措置法3条
論点20第130条刑法

一 日米安全保障条約第三条〈国民の国外犯〉に基く行政協定第一七条〈科料〉3(a)(ii)にいう「公務執行中」の意義

二 右行政協定第一七条3(a)(ii)にいう「公務執行中の作為又は不作為から生ずる罪」にあたらない一事例。

三 条約の解釈の誤と上告理由。

裁判要旨一 日米安全保障条約第三条〈国民の国外犯〉に基く行政協定第一七条〈科料〉3(a)(ii)にいう「公務執行中」とは、「公務執行の週程における」という意味であつて、「勤務時間中」と解すべきでない。

二 米国駐留軍所属の伍長が、駐留地の市内を巡回警らの任意の途中で乗用のジープから降りて、一般民家に侵入し、婦女を強姦しようとして障害を加えた場合には、右行政協定第一七条3(a)(ii)にいう「公務執行中の作為又は不作為から生ずる罪」にあたらない。

三 条約の解釈、適用を非難するにすぎない主張は、刑訴第四〇五条の上告理由にあたらない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和30年3月3日 昭和29(あ)2439
登載
刑集 第9巻3号423頁
参照法条
日米安全保障条約3条に基く行政協定17条,刑法130条,刑法181条,憲法98条2項,刑訴法405条1号
論点21第130条刑法

住居侵入罪と窃盗罪との関係

裁判要旨現行刑法において住居侵入罪と窃盗罪とはその被害法益及び犯罪の構成要件を異にし、住居侵入の行為は窃盗罪の要素に属せず、別個独立の行為であり、しかも通常、右両罪の間には手段結果の関係があることが認められるから、第一審判決が両罪を刑法五四条一項後段のいわゆる牽連犯として取扱つたのは正当である。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和28年2月20日 昭和27(あ)4943
登載
集刑 第74号179頁
参照法条
刑法57条1項後段,刑法130条,刑法235条
論点22第130条刑法

労働争議に対する激励行為を逸脱した構内侵入と建造物侵入罪の成立

裁判要旨原判決が証拠に基き適法に確定したところによれば、被告人の本件侵入行為は団体交渉のためではなく、被告人の属するA労働組合でない他の組合である判示B化学工業株式会社D工業所の労働組合の争議に対する激励のためのデモ敢行のためであり、また、本件工場内にはいわゆる賠償工場に指定されているものも点在し前日における再三に亘るデモ隊の行進状況から見て使用者側が右賠償工場等にいかなる危険の及ぶかも測られぬことも危惧して正門を閉ざすことも巳むを得ないところであつて、使用者側が正門を閉してデモ隊の入門を拒否し得る特別の事情があつたのでこれを拒否したところ、被告人等デモ隊員の或る者は工業所人事課調査係員Cの左頬をなぐりその奥歯が折れるような暴行を加え、そのことから双方乱闘に入り斯くて被告人等は同工業所の正門(鉄さく高さ五尺位)を乗り越えて同所構内に侵入した場合には建造物侵入罪を構成する。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和27年1月17日 昭和26(れ)1952
登載
刑集 第6巻1号93頁
参照法条
憲法28条,刑法130条,労働組合法(昭和24年法律174号による改正前)1条,労働組合法(昭和24年法律174号による改正前)10条,労働関係調整法6条
論点23第130条刑法

一 正当争議行為にあたらない一事例
二 争議行為にあたらない一事例

裁判要旨一 労働争議中の工場に擅に入場する行為は、たとえ争議目的達成のためなされたしても、憲法第二八条、労働組合法第一条の正当行為にあたらない。
二 労働関係の当事者たる労働組合員以外の者が、労働争議中組合の争議行為を応援するためにした行為は、争議行為にあたらない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和26年7月12日 昭和26(れ)782
登載
刑集 第5巻8号1432頁
参照法条
憲法28条,労働組合法1条(昭和24年法律174号による改正前のもの),労働関係調整法6条,刑法130条
論点24第130条刑法

一 家宅捜索について居住者の不任意の承諾と住居侵入罪
二 予審制度廃止以前に作成された予審訊問調書の証拠能力
三 目的の正否と公共の福祉
四 憲法第二八条にいわゆる団結権等の意義
五 権限を有しない者の隠匿物資摘発行為と違法性阻却の理由

裁判要旨一 A市長夫人Bが被告人C等に対して家宅捜索の承諾を与えたのは、赤旗を擁した多数の威力を背景とする同人等の言動に威圧されたためであつて、その真意から出たものでないことをCも知つていたことは、原判決挙示の各証拠就中Dに対する予審判事の証人訊問調書中同人の供述記載によつて十分に推認することができる。それ故に原判決には所論のように証拠によらずしてCの犯意を認定したという違法はない。
二 予審制度は現在廃止せられているけれども、その廃止以前に適法に作成された予審訊問調書が証拠能力を有することは、当裁判所の判例(昭和二二年れ第三一九号同二四年五月一八日大法廷判決)の趣旨とするところである。
三 市民のため食糧を獲得すること又は市長や食糧営団の職員に反省を促すことが目的として正しいとしても、それだけでその目的を達成するための手段がすべて正当化される訳ではない。その手段は秩序を守りつゝ個人の自由や権利を侵さないように行われなければならない。けだし秩序が維持されることも個人の基本的人権が尊重されることもそれ自体が公共の福祉の内容を成すものだからである。それ故に原判決が被告人等の所為を公共の福祉に反するものとし、正常の行為に非ずと断じたのは当然である。
四 憲法第二八条にいわゆる団結権、団体交渉権等は、単なる一般市民の集合には適用されない。
五 仮りに所論のように、当局者が隠匿摘発物資の励行を怠つていたとしても、本件被告人がしたような方法(赤旗を擁した多数の威力を背景として家宅捜索の承諾を得た)によつてこれを摘発することが不当であつて、違法性阻却の事由とならないことは当裁判所の判例(昭和二二年(れ)第三一九号同二四年五月一八日大法廷判決)に徴して明らかである。
裁判
最高裁判所大法廷 昭和25年10月11日 昭和24(れ)1601
登載
刑集 第4巻10号2012頁
参照法条
刑法130条,刑法第1編第7章(犯罪ノ不成立及ビ刑ノ減免),刑法35条,旧刑訴法300条,刑訴応急措置法9条,憲法12条,憲法13条,憲法28条
論点25第130条刑法

教職員組合員らによる建造物侵入,公務執行妨害等の所為について違法性に欠けるところはないとされた事例

裁判
最高裁判所第一小法廷 平成3年11月28日 昭和61(あ)1311
登載
集刑 第258号403頁
参照法条
刑法95条1項,刑法130条,刑法204条,刑法208条,暴力行為等処罰に関する法律1条
論点26第130条刑法

いわゆるSTR型によるDNA型鑑定の信用性を否定した原判決が破棄された事例

裁判要旨犯行現場で採取された精液様の遺留物について実施されたいわゆるSTR型によるDNA型鑑定について,15座位のSTR型の検出状況を分析した結果等に基づいて,遺留物が1人分のDNAに由来し,被告人のDNA型と一致するとした鑑定の信用性を否定し,被告人を無罪とした原判決は,同鑑定が遺留物を1人分のDNAに由来するとした理由の重要な点を見落とした上,科学的根拠を欠いた推測によって,鑑定の信用性の判断を誤り,重大な事実の誤認をしたというべきであり(判文参照),刑訴法411条3号により破棄を免れない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 平成30年5月10日 平成29(あ)882
登載
刑集 第72巻2号141頁
参照法条
刑法130条前段,刑法174条,刑訴法411条3号
論点27第130条刑法

警察署の塀の上部に上がった行為について建造物侵入罪の成立が認められた事例

裁判要旨警察署庁舎建物及び中庭への外部からの交通を制限し,みだりに立入りすることを禁止するために設置された高さ約2.4mの本件塀は,建造物侵入罪の客体に当たり,中庭に駐車された捜査車両を確認する目的で本件塀の上部に上がった行為は,建造物侵入罪を構成する。
裁判
最高裁判所第一小法廷 平成21年7月13日 平成20(あ)835
登載
刑集 第63巻6号590頁
参照法条
刑法130条
論点28第130条刑法

共犯者が住居に侵入した後強盗に着手する前に現場から離脱した場合において共謀関係の解消が否定された事例

裁判要旨共犯者数名と住居に侵入して強盗に及ぶことを共謀した被告人が,共犯者の一部が住居に侵入した後強盗に着手する前に,見張り役の共犯者において住居内に侵入していた共犯者に電話で「犯行をやめた方がよい,先に帰る」などと一方的に伝えただけで,被告人において格別それ以後の犯行を防止する措置を講ずることなく,待機していた現場から上記見張り役らと共に離脱したなどの本件事実関係の下では,当初の共謀関係が解消したとはいえない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成21年6月30日 平成19(あ)1580
登載
刑集 第63巻5号475頁
参照法条
刑法60条,刑法130条前段,刑法236条1項
論点29第130条刑法

1 分譲マンションの各住戸にビラ等を投かんする目的で,同マンションの共用部分に立ち入った行為につき,刑法130条〈住居侵入等〉前段の罪が成立するとされた事例
2 分譲マンションの各住戸に政党の活動報告等を記載したビラ等を投かんする目的で,同マンションの共用部分に管理組合の意思に反して立ち入った行為をもって刑法130条前段の罪に問うことが,憲法21条1項に違反しないとされた事例

裁判要旨1 分譲マンションの各住戸のドアポストにビラ等を投かんする目的で,同マンションの集合ポストと掲示板が設置された玄関ホールの奥にあるドアを開けるなどして7階から3階までの廊下等の共用部分に立ち入った行為は,同マンションの構造及び管理状況,そのような目的での立入りを禁じたはり紙が玄関ホールの掲示板にちょう付されていた状況などの本件事実関係(判文参照)の下では,同マンションの管理組合の意思に反するものであり,刑法130条〈住居侵入等〉前段の罪が成立する。
2 分譲マンションの各住戸のドアポストに政党の活動報告等を記載したビラ等を投かんする目的で,同マンションの玄関ホールの奥にあるドアを開けるなどして7階から3階までの廊下等の共用部分に,同マンションの管理組合の意思に反して立ち入った行為をもって刑法130条前段の罪に問うことは,憲法21条1項に違反しない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 平成21年11月30日 平成20(あ)13
登載
刑集 第63巻9号1765頁
参照法条
(1,2につき)刑法130条前段 (2につき)憲法21条1項
論点30第130条刑法

1 管理者が管理する,公務員宿舎である集合住宅の1階出入口から各室玄関前までの部分及び門塀等の囲障を設置したその敷地が,刑法130条〈住居侵入等〉の邸宅侵入罪の客体に当たるとされた事例
2 各室玄関ドアの新聞受けに政治的意見を記載したビラを投かんする目的で公務員宿舎である集合住宅の敷地等に管理権者の意思に反して立ち入った行為をもって刑法130条前段の罪に問うことが,憲法21条1項に違反しないとされた事例

裁判要旨1 管理者が管理する,職員及びその家族が居住する公務員宿舎である集合住宅の1階出入口から各室玄関前までの部分及び同宿舎の各号棟の建物に接してその周辺に存在し,かつ,管理者が外部との境界に門塀等の囲障を設置することにより,これが各号棟の建物の付属地として建物利用のために供されるものであることを明示しているその敷地(判文参照)は,刑法130条〈住居侵入等〉にいう「人の看守する邸宅」及びその囲にょう地として,邸宅侵入罪の客体になる。
2 各室玄関ドアの新聞受けに政治的意見を記載したビラを投かんする目的で,職員及びその家族が居住する公務員宿舎である集合住宅の共用部分及び敷地に,同宿舎の管理権者の意思に反して立ち入った行為(判文参照)をもって刑法130条前段の罪に問うことは,憲法21条1項に違反しない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 平成20年4月11日 平成17(あ)2652
登載
刑集 第62巻5号1217頁
参照法条
(1,2につき)刑法130条前段 (2につき)憲法21条1項
論点31第130条刑法

1 現金自動預払機利用客のカードの暗証番号等を盗撮する目的でした営業中の銀行支店出張所への立入りと建造物侵入罪の成否
2 現金自動預払機利用客のカードの暗証番号等を盗撮するためのビデオカメラを設置した現金自動預払機の隣にある現金自動預払機を,一般の利用客を装い相当時間にわたって占拠し続けた行為が,偽計業務妨害罪に当たるとされた事例

裁判要旨1 現金自動預払機利用客のカードの暗証番号等を盗撮する目的で現金自動預払機が設置された銀行支店出張所に営業中に立ち入った場合,その立入りの外観が一般の現金自動預払機利用客と異なるものでなくても,建造物侵入罪が成立する。
2 現金自動預払機利用客のカードの暗証番号等を盗撮するためのビデオカメラを設置した現金自動預払機の隣にある現金自動預払機を,あたかも入出金や振込等を行う一般の利用客のように装い,適当な操作を繰り返しながら,1時間30分間以上にわたって占拠し続けた行為は,偽計業務妨害罪に当たる。
裁判
最高裁判所第一小法廷 平成19年7月2日 平成18(あ)2664
登載
刑集 第61巻5号379頁
参照法条
(1につき)刑法130条前段 (2につき)刑法233条
原

条文原文

原文ママ

e-Gov法令検索から取得した原文を、号・イロハまで省略せずに掲載しています。

刑法 第130条(住居侵入等) 詳細ページ
(住居侵入等)
第百三十条正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、三年以下の拘禁刑又は十万円以下の罰金に処する。
刑法 第131条 詳細ページ
第百三十一条削除
刑法 第132条(未遂罪) 詳細ページ
(未遂罪)
第百三十二条第百三十条の罪の未遂は、罰する。
出

一次情報

原文ママ

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