論点1第25条刑法
わいせつ図画販売目的所持の事案につき、懲役一〇月の実刑を科した原判決の量刑が維持された事例
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和59年2月15日 昭和58(あ)1544
- 登載
- 集刑 第234号779頁
- 参照法条
- 刑法25条1項,刑法175条,刑訴法411条2号
論点2第25条刑法
「保護観察付執行猶予中の者」という社会的身分による差別であるという憲法一四条、三一条違反の主張が欠前提とされた事例
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和58年5月12日 昭和58(あ)197
- 登載
- 集刑 第231号195頁
- 参照法条
- 憲法14条,憲法31条,刑法25条2項,刑法25条の2
論点3第25条刑法
犯行時及び判決言渡し時に保護観察付執行猶予期間中であつた者に対し執行猶予付懲役刑を言い渡した原判決が職権により破棄差戻された事例
裁判要旨犯行時及び判決言渡し時に保護観察付執行猶予期間中の被告人に対しては再度刑の執行を猶予することができない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和58年10月20日 昭和58(あ)309
- 登載
- 集刑 第232号417頁
- 参照法条
- 刑法25条,刑法25条ノ2,刑訴法411条,刑訴法413条本文
論点4第25条刑法
刑法二五条一項二号〈刑の全部の執行猶予 前に拘禁刑以上の刑に処せられたことがあっても、その執行を終わった日又はその執行の免除を得た日から五年以内に拘禁刑以上の刑に処せられたことがない者〉と憲法一四条、三九条
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和54年6月26日 昭和54(あ)267
- 登載
- 集刑 第214号745頁
- 参照法条
- 刑法25条1項2号,憲法14条,憲法39条
論点5第25条刑法
刑法二五条の二第三項〈刑の全部の執行猶予中の保護観察〉の法意
裁判要旨刑法
二五条の二第三項〈刑の全部の執行猶予中の保護観察〉は、保護観察の仮解除決定告知前に罪を犯した者については、たとえ裁判時に右の保護観察が仮解除されていたとしても、同法
二五条二項〈刑の全部の執行猶予〉但書の適用の排除を認めるものではない。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和54年1月12日 昭和53(あ)991
- 登載
- 刑集 第33巻1号70頁
- 参照法条
- 刑法25条2項,刑法25条ノ2第3項
論点6第25条刑法
刑法二五条一項〈刑の全部の執行猶予〉一、二号があるために執行猶予を受け得なかつたとして右条号の違憲(一四条〈有期拘禁刑の加減の限度〉)をいう主張が欠前提とされた事例
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和50年7月4日 昭和50(あ)915
- 登載
- 集刑 第197号19頁
- 参照法条
- 刑法25条
論点7第25条刑法
判例違反の主張が事案を異にし前提を欠くとされた事例
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和48年6月14日 昭和48(あ)369
- 登載
- 集刑 第189号273頁
- 参照法条
- 刑法25条1項
論点8第25条刑法
刑法二五条二項〈刑の全部の執行猶予〉但書の法意
裁判要旨刑法
二五条二項〈刑の全部の執行猶予〉但書により再度の執行猶予が許されないのは、同項本文の執行猶予が保護観察つきであつて、その保護観察の期間内に罪を犯した場合に限られる。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和48年10月23日 昭和48(あ)1349
- 登載
- 刑集 第27巻9号1435頁
- 参照法条
- 刑法25条2項
論点9第25条刑法
刑訴法第四一一条第二号に該当するとして第一、二審判決破棄刑の執行猶予が言い渡された事例
裁判要旨被告人が二七歳の配管工で、二六歳の妻と二歳の長男を扶養し、道路交通法違反の罰金一回のほか一切犯歴がなく、素行上特に非難すべき点も認められず、犯行の動機は、仕事の資金に困つていたとき、たまたま現金を手にしたため工事資金に流用したということで、遊興費等にはあてられておらず、本件は被害金額約八万円の単純横領の罪で、犯罪個数は一回だけであり、被害者が分割弁済の要請に応じないうえ、一部弁済の提供をも拒否したため示談が成立するに至らなかつた等の諸事情(判文参照)を考慮すると、第一審判決が被告人を懲役五月の実刑に処し、原判決がこれを維持したのは、量刑が甚しく不当であつて、これを破棄しなければ著しく正義に反する。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和42年12月1日 昭和41(あ)3016
- 登載
- 集刑 第165号911頁
- 参照法条
- 刑訴法411条2号,刑訴法381条,刑法252条1項,刑法25条
論点10第25条刑法
刑法第二五条第二項〈刑の全部の執行猶予〉但書の法意
裁判要旨刑法
二五条二項〈刑の全部の執行猶予〉但書の規定が、懲役または禁錮の執行を猶予され且つ猶予の期間中保護観察に付された者に対し、その期間内に犯した罪について、一年以下の懲役または禁錮の刑を言渡す場合においても、その刑の執行を猶予することを得ないとしているのは、かかる犯人には、再度の執行猶予を相当とする情状がないとするによるものであつて、裁判所の裁量を認めないのは、けだし、刑の正当なる適当の基準を定めたものというべきであり、立法政策の問題に過ぎない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和37年5月18日 昭和36(あ)2694
- 登載
- 集刑 第142号279頁
- 参照法条
- 刑法25条2項但書
論点11第25条刑法
一 賄賂供与申込罪の成立と相手方の賄賂たることの認識の要否
二 証拠により認定した事実を他の事実の証拠とすることの適否
三 刑訴法第四一一条第二号に該当し、刑の執行を猶予するのが相当であるとした事例
裁判要旨一 賄賂供与申込罪の成立には、相手方に賄賂たることを認識し得べき事情の下に金銭その他の利益の収受を促す意思表示をなせば足りるのであつて、相手方において実際上その意思表示を又はその利益が賄賂たる性質を具有することを認識すると否とは、同罪の成立に影響を及ぼすものではない。
二 証拠によつて認定した或る事実を他の事実の証拠としても、少しも違法ではない(昭和九年(れ)第一五六八号同一〇年二月一四日大審院判決、刑集一四巻九二頁参照)。
三 職権により調査するに原判決の判示するところによれば、被告人の本件利益贈与ないし利益提供の動機としては、相手方の職務行為に対する依頼又は謝礼の趣旨のほかに、多かれ少なかれ、それ以外の個人的な友交関係、政治献金、職務に関係のない個人的将来の庇護期待等の趣旨も認められ、必ずしも職務要因のみに基くものというような状況であつたとは認められないとし、また食糧事情が急迫していた当時の状況下においては被告人の右各贈与は犯情として被告人に有利なものを含んでいたとも認定している。そして被告人は逮捕拘禁以来約一四年の長期に亘り心身に有形無形の多大の苦痛を受けたものというべく、また被告人が反省謹慎の日を送りつつあることは一審判決の判示の趣旨からも窺知しうるところである。本件は当時いわゆるA事件として世人の耳目を聳動せしめた大事件であるが、その後の推移はA事件のB関係においては、収賄罪で起訴されたC、Dは無罪、E、F外五名は執行猶予となつている。叙上の諸事情(判文参照)を考慮するときは、被告人Bに対し実刑を科さなければ刑政の目的を達することができないものとは断じ難く、刑の執行を猶予するのが相当である。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和37年4月13日 昭和34(れ)2
- 登載
- 集刑 第141号789頁
- 参照法条
- 刑法198条,刑法25条1項,経済関係罰則の整備に官する法律5条,旧刑訴法336条,旧刑訴法360条1項,刑訴法317条,刑訴法335条1項,刑訴法411条2号
論点12第25条刑法
少年法第六〇条にいう「人の資格に関する法令」には刑の執行猶予に関する刑法第二五条の規定は含まれるか
裁判要旨少年法六〇条にいう人の資格に関する法令には、刑の執行猶予に関する刑法二五条の規定の如きはこれを包含しないものと解すべきである。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和37年4月10日 昭和34(あ)1689
- 登載
- 集刑 第141号741頁
- 参照法条
- 少年法60条,刑法25条
論点13第25条刑法
一 刑の執行猶予と恩給需給資格
二 刑の執行猶予期間の経過と恩給受給資格
裁判要旨一 在職中禁錮以上の刑に処せられた者は、刑の執行を猶予された場合でも恩給を受ける資格を失う。
二 在職中禁錮以上の刑に処せられ恩給を受ける資格を失つた者は、執行猶予期間中執行猶予の言渡を取り消されることなくして猶予期間を経過しても右の資格を回復しない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和37年1月19日 昭和35(オ)599
- 登載
- 民集 第16巻1号92頁
- 参照法条
- 恩給法51条,刑法25条1項,刑法27条
論点14第25条刑法
刑法第二五条第二項〈刑の全部の執行猶予〉但書と憲法第三九条後段、第一四条第一項。
裁判要旨刑法
第二五条第二項〈刑の全部の執行猶予〉但書は、憲法第三九条後段、第一四条第一項に違反しない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和37年11月16日 昭和35(あ)779
- 登載
- 刑集 第16巻11号1562頁
- 参照法条
- 刑法25条1項,刑法2項,憲法39条,憲法14条1項
論点15第25条刑法
仮釈放の日は刑期満了の日となるか。
裁判要旨仮釈放の日は刑期満了の日となるものではない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和34年2月5日 昭和33(あ)1197
- 登載
- 集刑 第129号35頁
- 参照法条
- 刑法25条,刑法28条
論点16第25条刑法
刑法第二五条第一項第一号〈刑の全部の執行猶予 前に拘禁刑以上の刑に処せられたことがない者〉第二号と憲法第一四条第一項
裁判要旨刑法
第二五条第一項〈刑の全部の執行猶予〉が、執行猶予の言渡をすることのできる条件として同項第一号または第二号にあたる者たることを必要とし、これとそうでない者との間に差異を設けたことをもつて、憲法第一四条第一項に違反するものとはいえない
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和33年6月19日 昭和33(あ)478
- 登載
- 刑集 第12巻10号2243頁
- 参照法条
- 刑法25条1項1号,刑法25条1項2号,憲法14条1項
論点17第25条刑法
執行猶予の期間内に更に犯罪を犯したことを量刑上参酌することと一事不再理の原則
裁判要旨執行猶予の期間内に更に犯罪を犯したことを量刑上に参酌することは、恰かも素行の善悪を量刑上に参酌すると同様、犯情の一つとして参酌するものであつて、決して所論の如く、前に執行猶予を受けた犯罪に対し重ねて刑罰を科する趣旨のものではない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和32年7月19日 昭和32(あ)897
- 登載
- 集刑 第119号1045頁
- 参照法条
- 憲法39条,刑法25条
論点18第25条刑法
刑訴法第四一一条第一号にあたる一事例。―違法な保護観察の言渡―
裁判要旨有罪判決において刑の執行猶予を言い渡すにあたり、保護観察に付することを得ない場合であるにかかわらず、併せて保護観察に付する旨言い渡した第一審判決およびこれを看過した原判決は、共に違法であつて刑訴第四一一条第一号により破棄を免れない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和32年11月1日 昭和29(あ)3170
- 登載
- 刑集 第11巻12号3037頁
- 参照法条
- 刑法25条1項,刑法25条2項,刑法(昭和29年法律57号による改正前および改正後のもの)25条ノ2,刑法の一部を改正する法律(昭和29年法律57号)附則2項,刑訴法411条1号
論点19第25条刑法
一 刑法第二五条第二項〈刑の全部の執行猶予〉の法意
二 刑訴第四〇六条刑訴規則第二五七条によつて受理された事件と同法第四一一条の適用
裁判要旨一 刑法
第二五条第二項〈刑の全部の執行猶予〉は、前に禁錮以上の刑に処せられたその執行を猶予せられた者に対して一年以下の懲役または禁錮の言渡をなす場合に再度の執行猶予の言渡をなすことができる趣旨である。
二 刑訴第四〇六条刑訴規則第二五七条によつて受理された事件についても、同法第四一一条を適用することができる。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和31年11月22日 昭和30(あ)4104
- 登載
- 刑集 第10巻11号1551頁
- 参照法条
- 刑法25条,刑訴法406条,刑訴法411条,刑訴規則257条
論点20第25条刑法
刑法第二五条第二項〈刑の全部の執行猶予〉を適用できない場合にこれを適用した判決の違法と非常上告
裁判要旨刑法
第二五条第二項〈刑の全部の執行猶予〉によれば、前に禁錮以上の刑に処せられたことがあつても、その執行を猶予された者が、一年以下の懲役又は禁錮の言渡を受け情状特に憫諒すべきものであるときは再び執行を猶予することができるのであるが、一年を超える懲役又は禁錮の言渡を受けたときは、その執行を猶予することはできないのである。しかるに原判決は前示の如き執行猶予中の前科があることを認め且つ被告人を懲役一年六月に処しながら刑法二五条二項を適用し右懲役刑の執行を猶予する旨の判決を言渡したことは、明らかに右刑法の条項に違反したものであつて、本件非常上告はその理由がある。そして原判決は被告人のため不利益でないから刑訴四五八条一号本文の規定に従い、その違反した部分のみを破棄すべきものとする。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和29年9月17日 昭和29(さ)3
- 登載
- 集刑 第98号667頁
- 参照法条
- 刑法25条,刑法25条ノ2,刑訴法454条,刑訴法458条1号
論点21第25条刑法
一 心神耗弱者に実刑を科する場合には必ず刑の執行を猶予しなければならないか
二 刑訴法第四〇二条に違反しない事例
裁判要旨一 所論第一点は憲法三六条、一一条、一三条を引用して原判決の憲法違反をいうけれども結局量刑の非難であつて上告適法の理由にならない。若し刑の執行により著るしく健康を害する事情にあれば刑訴四八二条一号により刑の執行を停止することができるのであつて、犯行時心神耗弱の状態にあつたからといつて必ず刑の執行を猶予しなければならないものではない。
二 心神障碍あるにより、軽減されたしとの控訴趣意を理由ありとして一審判決を破棄し乍ら同一の刑に処したのは理由不備、刑訴四〇二条違反というのであるが、原判決は心神耗弱の点は理由があるが、未だ執行猶予を与うべきものでないと判断したこと明らかでそこに何ら理由のくいちがいもなく、また第一審判決より重い刑を言い渡したのでないから、刑訴四〇二条に違反するものでもない。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和29年12月24日 昭和29(あ)2962
- 登載
- 集刑 第101号951頁
- 参照法条
- 刑法39条2項,刑法25条,刑訴法482条1号,刑訴法402条
論点22第25条刑法
刑法第二五条の二〈刑の全部の執行猶予中の保護観察〉を適用できない場合これを適用した判決の違法と非常上告
裁判要旨昭和二九年法律五九号の附則二項は、同法施行前の犯罪については、同法施行後の犯罪と併合罪に当らない限り、右刑法二五条ノ二、一項前段の改正規定の適用がない旨を規定しているから、右法律五七号施行前のみの犯罪にかかる本件被告事件につき刑の執行猶予を言い渡す場合において、被告人を保護観察に対することを得ないものであることもまた明らかである。従つて、原判決が本件について右刑法二五条ノ二、一項の前段の規定を適用したことは右附則の規定に違反したものであり、本件非常上告は理由があるものといわなければならない。そして、保護観察に付された者は、法定の事項を遵守しなければならないものであつて、遵守すべき事項を遵守せず、その情状重きときは、刑の執行猶予の言渡を取消されうるものであるから、原判決は被告人のため不利益であることは明らかであり、従つて、刑訴四五八条一項但書により原判決を破棄して被告事件につき更に判決をするものとする。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和29年11月25日 昭和29(さ)4
- 登載
- 刑集 第8巻11号1905頁
- 参照法条
- 刑法25条,刑法25条の2,刑法の一部改正法律(昭和29年法律57号)附則2項,右法律の施行期日を定める政令(昭和29年政令167号),刑訴法454条,刑訴法458条
論点23第25条刑法
第一審裁判所が懲役刑につき誤つてその執行を猶予したが控訴中に執行を猶予しうる状態が生じた場合と控訴裁判所の量刑
裁判要旨第一審裁判所が禁錮以上の刑に処せられてその執行を終つた日から七年を経過しない者に対し、誤つて懲役刑に執行猶予を付したが、控訴中に七年を経過した場合、控訴裁判所が第一審判決を破棄した上、更めて実刑を科することは違法ではない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和28年4月30日 昭和26(あ)3266
- 登載
- 集刑 第79号633頁
- 参照法条
- 刑法25条,刑訴法380条,刑訴法397条,刑訴法400条
論点24第25条刑法
非常上告につき原判決を破棄して更に判決をした一事例。(執行猶予中の前科刑に対し累犯加重をした場合)
裁判要旨原判決において当時被告人の判示前科の刑が執行猶予中であることを認定しながら、刑法
五六条〈再犯〉、
五七条〈再犯加重〉を適用して累犯加重をした上被告人を懲役一年に処する旨の言渡をなしたことは、右各法条の適用を誤つた違法があり、本件非常上告は理由があるのみならず、原判決は被告人のため不利益であること明らかであるから、刑訴四五八条一号により原判決を破棄し、被告事件につき更に判決をする。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和28年3月20日 昭和28(さ)2
- 登載
- 集刑 第76号663頁
- 参照法条
- 刑法25条,刑法56条,刑法57条,刑訴法411条
論点25第25_2条刑法
自動車販売会社から所有権留保の特約付割賦売買契約に基づいて引渡を受けた自動車を金融業者に対し自己の借入金の担保として提供した所為が横領罪に該当するとされた事例
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和55年7月15日 昭和55(あ)119
- 登載
- 集刑 第218号243頁
- 参照法条
- 刑法252条1項
論点26第25_2条刑法
横領の犯意につき事実誤認の疑いがあるとされた事例
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和47年3月2日 昭和45(あ)1966
- 登載
- 集刑 第183号301頁
- 参照法条
- 刑訴法411条3号,刑法252条
論点27第25_2条刑法
横領と犯意につき事実誤認の疑いがあるとされた事例
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和46年12月9日 昭和46(あ)365
- 登載
- 集刑 第182号457頁
- 参照法条
- 刑訴法411条3号,刑法252条
論点28第25_2条刑法
一 商品市場における売買取引の委託について顧客から商品仲買人に委託証拠金の代用として有価証券を預託する行為の法律上の性質
二 転質と横領罪の成否
三 商品仲買人がいわゆる委託証拠金充用証券を担保に差し入れる行為が業務上横領罪にあたるとされた事例
裁判要旨一 商品市場における売買取引の委託について、顧客から商品仲買人に委託証拠金の代用として有価証券を預託する行為の法律上の性質は、根質権の設定であつて、消費寄託ではない。
二 質権者は、質権設定者の同意がなくても、その権利の範囲内において質物を転質となしうるが、新たに設定された質権が原質権の範囲を超越するときは、横領罪を構成する。
三 商品仲買人が、いわゆる委託証拠金充用証券を顧客の同意なく担保に差し入れる行為は、それが原質権の範囲を超越しているときは、業務上横領罪を構成する。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和45年3月27日 昭和43(あ)2546
- 登載
- 刑集 第24巻3号76頁
- 参照法条
- 商品取引所法(昭和42年法律97号による改正前のもの)97条,商品取引所法(昭和42年法律97号による改正前のもの)92条,民法362条,民法348条,刑法252条,刑法253条
論点29第25_2条刑法
横領罪が成立するとされた事例
裁判要旨一 一審判決認定の事実関係の下で、被告人の所為を横領罪に当るとした原判断は正当である。
二 (原判断の大要は、次のとおり)「不動産(時価千万円位相当)の所有者からその不動産を担保として銀行から資金の融資を受け、一年以内に礼金(五〇万円位)を添えきれいにして返す旨の約で、一時登記名義を移すために必要な書類等を預かり、移転登記を経て、法律上これを占有した者が、期限内に弁済できる見込がないのにかかわらず、他人から四〇七万円を期限二ケ月半の約で借り受けるにあたり右不動産につき右債務不履行を停止条件とする代物弁済契約をなし、その旨の登記をなすが如きは、原状回復義務の履行不能を予見しつつ不動産を処分するものにほかならず所有者でなければできない処分行為で、横領罪を構成する。」
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和44年3月14日 昭和42(あ)2921
- 登載
- 集刑 第170号659頁
- 参照法条
- 刑法252条,刑法247条
論点30第25_2条刑法
刑訴法第四一一条第二号に該当するとして原判決破棄刑の執行猶予が言い渡された事例
裁判要旨被告人は炭坑事故のため負傷し生活保護を受けている者であり、三三才の病妻と二児を扶養し、三九才の今日まで一切犯歴がなく、被告人が副会長をしていた生活保護者の互助会の会員の中で生活苦のため米代の支払えない者が数名おり、被告人が金融業者Kから高利で一五万円を借りうけて右の支払にあててやつたが、その金利に追われ生活苦に陥つたのが本件犯行の動機であり、本件の被害総額は約一六万円であるが、実質的な被害者はKただひとりであつて、犯行の発覚前すでに同人との間に示談が成立しており、弁償の担保として被告人所有の家屋一棟を提供している等の諸事情(判文参照)を考慮すると、原判決が被告人を懲役六月の実刑に処したのは、量刑が甚しく不当であつて、これを破棄しなければ著しく正義に反する。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和43年7月19日 昭和42(あ)2877
- 登載
- 集刑 第168号609頁
- 参照法条
- 刑訴法411条2号,刑訴法381条,刑法159条1項,刑法161条1項,刑法246条1項,刑法252条1項
論点31第25_2条刑法
共有者の一人が受領した共有物の売却代金と横領罪の客体
裁判要旨他人との共有にかかる土地を、その依頼により、表面上単独所有者として第三者に売り渡した者が、その第三者から受領した代金は、特約ないし特殊の事情の認められないかぎり、その他人との共有に属し、横領罪の客体となる。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和43年5月23日 昭和42(あ)2074
- 登載
- 集刑 第167号319頁
- 参照法条
- 刑法252条
論点32第25_2条刑法
業務上横領罪が成立するとした事例。
裁判要旨被告人の保管にかかる前示銀行に対する預金を引出し業務上保管中擅にその全部又は一部を着服して横領しこれを銀行における自己の預金口座に振替えた場合は横領罪の成立を妨げないものと解すべきである。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和37年6月14日 昭和36(あ)1662
- 登載
- 集刑 第143号89頁
- 参照法条
- 刑法252条,刑法253条
論点33第25_2条刑法
公訴事実に同一性の認められる事例
裁判要旨被告人は某日午後一一時四〇分頃千葉県印幡郡a町a某病院前付近の道路上において、甲の保管にかかるその兄所有の腕時計一個を窃取したとの事実(主たる訴因)と、被告人は前同日時場所において、甲と乙が喧嘩闘争をする際、甲がその場に脱ぎ捨てたジヤンバーのポケツトから路上にころがり出た右時計一個を拾得して甲のため占有保管し、その翌日乙をして右時計を甲に届けさせるために乙に預け、同人において甲のためこれを占有保管中、同日乙と共謀の上、右時計を同町a某質店に入質横領したとの事実(予備的追加訴因)の間には、公訴事実の同一性がある。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和37年3月15日 昭和36(あ)2447
- 登載
- 刑集 第16巻3号274頁
- 参照法条
- 刑訴法312条,刑法235条,刑法252条1項
論点34第25_2条刑法
横領罪の成立する事例―持分権のある共同預入名義の普通預金からの払戻
裁判要旨原審の認定したところによれば、第一審判決判示第二事実の預金につき、所論のように被告人に持分権があつたとしても、該預金は、被告人とAとの共同預入名義となつていて、被告人の勝手に引出せないものであるにかかわらず、被告人がこれをほしいままに払戻を受けたというのであるから、右被告人の行為が横領罪に当ることは当然である。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和37年3月15日 昭和36(あ)1195
- 登載
- 集刑 第141号463頁
- 参照法条
- 刑法252条
論点35第25_2条刑法
横領罪および封印破棄罪が成立する事例。
裁判要旨執行吏により仮処分の標示と封印との施された物件につき代理占有保管方の委任を受けた者が、売却する意思をもつてこれを指定された場所から搬出し、他の場所の倉庫に預け入れたときには、横領と差押の標示ならびに封印を無効ならしめた犯罪が成立する。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和36年12月26日 昭和33(あ)233
- 登載
- 刑集 第15巻12号2046頁
- 参照法条
- 刑法252条1項,刑法96条
論点36第25_2条刑法
訴因変更手続を要しない事例―業務上横領と単純横領。
裁判要旨本件の如く、業務上横領罪の訴因を肯定した第一審判決の認定に対し、被告人が控訴審において判示金員に対する被告人の占有は業務に基くものでないから業務上横領罪が成立しない旨抗争している場合において控訴審が右の主張を理由があるとして単純横領罪と認定するには訴因変更の手続を経ることを要しないものと解する。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和36年11月10日 昭和33(あ)1581
- 登載
- 集刑 第140号77頁
- 参照法条
- 刑訴法312条,刑法252条,刑法253条
論点37第25_2条刑法
使途を決めて寄託された金銭または有価証券と横領罪
裁判要旨使途の決まつている金銭または有価証券の寄託を受けた場合には、所定の使用に使用されるまで、これらの所有権は所有者に保留され、これを受寄者が所定の使途以外に使用すれば、横領罪を構成する。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和36年10月31日 昭和34(あ)599
- 登載
- 刑集 第15巻9号1622頁
- 参照法条
- 刑法252条
論点38第25_2条刑法
賍物の牙保者がその売却代金を着服した場合と横領罪の成否。
裁判要旨窃盗犯人から賍物の牙保を依頼されてその交付を受けた牙保者が、その売却代金をほしいままに着服した場合は、横領罪が成立する。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和36年10月10日 昭和33(あ)319
- 登載
- 刑集 第15巻9号1580頁
- 参照法条
- 刑法256条,刑法252条
論点39第25_2条刑法
判例違反(法令の適用の誤り)が判決に影響しない事例。
裁判要旨原判決は第一審判決をその科刑重きにすぎるとして破棄自判し、被告人の犯罪事実である第一審判決判示第一の各所為及び第三の所為につき、いずれも刑法第二五三条(第三の所為については更に同
第六〇条〈共同正犯〉をも適用)の業務上横領罪の規定を適用しているが、右第三の所為(註。業務上横領に加功した非業務者の加功行為)につき刑法二五三条を適用した点は、法令の適用を誤つたものであり、所論判例に違反していること所論の指摘するとおりである。しかし被告人にはこれと併合罪の関係にある右第一の業務上横領の多数の犯行もあり、原判決はこれら業務上横領のうち犯罪の最も重い罪の刑に法定の加重をなした刑期範囲内において量刑処断していることも原判文上明白であるから、右判例違反は判決に影響を及ぼさないから、判決破棄の理由とならない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和35年6月24日 昭和32(あ)609
- 登載
- 集刑 第134号359頁
- 参照法条
- 刑訴法405条3号,刑訴法410条,刑法253条,刑法252条1項,刑法60条,刑法65条2項
論点40第25_2条刑法
一 応訴して自己の所有権を主張・抗争する所為は横領罪を構成するか
二 器物損壊罪を構成する事例
三 右の場合地方公共団体(長)の告訴は適法か
裁判要旨一 登記簿上自己が所有名義人となつて預り保管中の不動産につき所有権移転登記手続請求の訴を提起された場合に、右不動産に対する不法領得意思の確定的発現として、右訴訟において自己の所有権を主張・抗争する所為は、不動産の横領罪を構成する。
二 土地の持分に対し貸借権の設定登記を受けた者が、すでに右土地に対し貸借権の設定を受けていた地方公共団体において、その設置かつ管理る高等学校の工程として使用していた場合に、実力をもつて工程にアパート建築現場と墨書した立札を掲げ、巾六間長さ約二〇間の範囲で二箇所にわたり地中に杭を打込み板付けをして、もつて保健体育の授業その他生徒の課外活動に支障を生ぜしめたときは、器物損壊罪を構成する。
三 右の場合、告訴権者は地方公共団体に設けられている教育委員会であるが、地方公共団体(長)も適法な告訴権を有する。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和35年12月27日 昭和34(あ)2368
- 登載
- 刑集 第14巻14号2229頁
- 参照法条
- 刑法252条,刑法261条,教育委員会法(昭和31年9月30日廃止前のもの)48条,教育委員会法(昭和31年9月30日廃止前のもの)49条,地方教育行政の組織及び運営に関する法律23条,地方教育行政の組織及び運営に関する法律24条,地方教育行政の組織及び運営に関する法律28条,地方教育行政の組織及び運営に関する法律30条
論点41第25_2条刑法
共有者の一人がした告訴の効力範囲。
裁判要旨共有者の一人が共有物に関する犯罪に対して告訴をしたときは、告訴人が被害共有物について有する持分の多少にかかわらず、不可分的に被害共有物全部に関する犯罪の訴追に対し効力が及ぶ。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和35年12月22日 昭和32(あ)2717
- 登載
- 刑集 第14巻14号2204頁
- 参照法条
- 刑法252条1項,刑訴法230条
論点42第25_2条刑法
一 売買農地の所有権移転の効力発生時期
二 出資の受入、預り金及び金利等の取締等に関する法律第四条〈公務員の国外犯〉所定の「金銭の貸借の媒介を行う者」の意義
三 不動産の登記簿上の所有名義と刑法上の占有
四 上告受理申立の理由書記載事項を援用した上告趣意書の適否
裁判要旨一 売買農地の所有権移転は知事の許可と同時に其の効力を発生するものと解すべきである。
二 出資の受入、預り金及び金利等の取締等に関する法律
第四条〈公務員の国外犯〉所定の「金銭の貸借の媒介を行う者」とは単に金銭の貸借の媒介を行う者と解すべきであつて、業として行うと否とを問わない。
三 不動産の所有権が売買により買主に移転しかつ該不動産が買主に引渡されたとしても、登記簿上の所有名義がなお売主にあるときは、売主は刑法上その不動産を占有するものと解すべきである。
四 上告趣意書自体にその趣意内容を示さないで、単に上告受理申立の理由書記載事項につき裁判を求めると記載したものは、適法な上告趣意書といえない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和34年3月13日 昭和31(あ)2521
- 登載
- 刑集 第13巻3号310頁
- 参照法条
- 農地法3条1項,農地法92条,出資の受入、預り金及び金利等の取締等に関する法律4条,刑法252条,刑訴法407条,刑訴規則266条,刑訴規則240条
論点43第25_2条刑法
設立中の株式会社の財産について横領罪の成立する一事例
裁判要旨株式会社設立のため出資された資金によつて建設された建物が、会社設立前でも出資者の組合財産であると認められる場合は、その組合の事業を委されている者がこれを自己名義に保存登記をした上、自己の債務の弁済に供するため他に譲渡した場合は横領罪を構成する。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和32年12月19日 昭和28(あ)5403
- 登載
- 刑集 第11巻13号3316頁
- 参照法条
- 刑法252条,民法667条,民法668条,商法535条,商法536条
論点44第25_2条刑法
身分的共犯の処罰。
裁判要旨村長、助役が収入役と共謀の上、収入役の保管にかかる新制中学校建設資金の寄附金を横領したときは、刑法
第六五条第一項〈身分犯の共犯〉により同法第二五三条に該当する共犯となるが、村長、助役は業務上物の占有者たる身分がないから、同法第二五二条第一項の刑を科すべきものである。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和32年11月19日 昭和30(あ)3640
- 登載
- 刑集 第11巻12号3073頁
- 参照法条
- 刑法65条,刑法253条,刑法252条
論点45第25_2条刑法
業務上横領罪の共犯ではあるが身分なき被告人に対し刑法第二五三条を適用したる違法と判決への影響
裁判要旨業務上の占有者たる身分なき被告人が他人の業務上横領罪に共同正犯として加功した事実を認めながら刑法二五三条を適用処断したのは性質上判決に影響を及ぼすことの明らかな法律適用の誤りがあるものというべきこと論をまたない。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和31年6月5日 昭和29(あ)2903
- 登載
- 集刑 第113号719頁
- 参照法条
- 刑法65条,刑法252条,刑法253条,刑訴法380条
論点46第25_2条刑法
一 刑法第二五二条第一項〈横領〉の横領罪に当る一事例
二 横領罪既遂時期についての一事例
裁判要旨一 終戦後広島県a町等に散在した未転用未整理の国有旧軍用物資の集荷を同県から委託された者が、既に他に転用払下済の旧軍用物資を未転用未整理のものと誤信して集荷占有中、擅にこれを処分して横領した所為は、刑法
第二五二条第一項〈横領〉の罪に当り、誤つて占有した物件の横領として刑法第二五四条により処断すべきものではない。
二 被告人等が他人の委託により占有するケーブルを、擅に、その被覆ゴムの部分と蘂線とを剥離して売却処分する意図の下に、人夫等をしてこれを二、三〇米宛の長さに切断させ、その被覆ゴムを剥離した上、その後これを数回にわたり他の分割売却した本件においては、右切断被覆剥離の作業を終えた段階で横領罪が成立するものと認めるべきである。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和30年11月10日 昭和30(あ)1144
- 登載
- 刑集 第9巻12号2388頁
- 参照法条
- 刑法252条1項,刑法254条,遺失物法12条
論点47第25_2条刑法
一 公判調書における文字の挿入削除が刑訴規則第五九条所定の方式を欠く場合の効力
二 予備的訴因の追加により公訴事実の同一性が害されない事例
三 予備的訴因につき有罪を認定した場合に主たる訴因に対する判断を明示することの要否
裁判要旨一 公判調書における文字の挿入削除が刑訴規則第五九条所定の方式を欠いていても、ただちにその挿入削除を無効とすべきではなく、その効力の有無は、裁判所が諸般の状況に照して合理的な裁量により決すべきものである。
二 「被告人はA税務事務所に勤務中、B日頃、かねて同税務事務所滞納整理係Cから徴収方依頼を受けていた納税者D会社より、固定資産税一六四、七三〇円を同会社振出の同額の小切手で徴収し保管中、その頃擅に着服横領した。」との横領の訴因に対し、「被告人はA税務事務所に勤務中、B日頃、D会社において、その制限なきにかかわらず権限あるをよそおい、Eに対し同会社の固定資産税一六四、七三〇円の請求をし、同人をしてその旨誤信せしめ、よつて同人から同会社振出の同額の小切手の交付を受けて、これを騙取した。」との詐欺の予備的訴因を追加することにより、公訴事実の同一性は害されない。
三 主たる訴因と予備的訴因のある場合に、予備的訴因につき有罪を認定したときは、主文において主たる訴因につき無罪を言い渡すべきでないことは勿論、理由中においても、かならずしもこれに対する判断を明示することを要するものではない。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和29年3月23日 昭和27(あ)5538
- 登載
- 刑集 第8巻3号305頁
- 参照法条
- 刑訴規則59条,刑訴法256条3項,刑訴法256条5項,刑訴法312条1項,刑訴法44条1項,刑訴法336条,刑訴法378条3号,刑法252条1項,形法246条1項
論点48第25_2条刑法
一 公訴事実に同一性の認められる一場合
二 一審で横領と認定した事実を控訴審で訴因罰条の変更手続を経ることなく占有離脱物横領と認定することの適法な一場合
裁判要旨一 「被告人は甲日、某信用組合において、事務員Aが誤つて他人に支払うべき払戻金三万五千円を被告人に提供せんとするや右誤信に乗じてこれを受け取り騙取した」との詐欺の事実(主たる訴因)と「被告人は甲日某信用組合事務員の過失により他人に支払うべき払戻金三万五千円を受領し帰宅後、事務員Bより財布の内容を尋ねられるや、領得の意思でその返還を拒否して着服横領した」との横領の事実(予備的訴因)とは、公訴事実の同一性があるし控訴審において、これを右はA事務員の真意に基かない授受であるとして、占有離脱物横領と認定することも、公訴事実の同一性を害しない。
二 右の場合、横領を占有離脱物横領と認定するには訴因罰条の変更手続を経るを要しない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和28年5月29日 昭和26(あ)4626
- 登載
- 刑集 第7巻5号1158頁
- 参照法条
- 刑訴法312条,刑訴法256条,刑訴規則209条,刑法246条,刑法252条,刑法254条
論点49第25_2条刑法
一 刑法第六五条〈身分犯の共犯〉にいわゆる「身分」の意義
二 横領の目的物を犯人が占有する状態は右にいわゆる「身分」にあたるか
裁判要旨刑法
第六五条〈身分犯の共犯〉にいわゆる身分は、男女の性別、内外人の別、親族の関係、公務員たるの資格のような関係のみに限らず、総て一定の犯罪行為に関する犯人の人的関係である特殊の地位又は状態を指称するものであつて、刑法
二五二条〈横領〉においては、横領罪の目的物に対する犯人の関係が占有という特殊の状態にあることが刑法六五条にいわゆる身分に該るものと云わなければならない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和27年9月19日 昭和27(れ)103
- 登載
- 刑集 第6巻8号1083頁
- 参照法条
- 刑法65条,刑法252条,刑法253条
論点50第25_2条刑法
一 使途を定められて寄託された金銭と横領罪
二 旧刑訴法第四〇四条と憲法第三七条第一項
裁判要旨一 使途を定められて寄託された金銭については特別の事情のないかぎり受託者は刑法第二五二条にいわゆる「他人ノ物」を占有するものと解すべきであつて、受託者がその金銭について擅に委託の本旨に違つた処分をしたときは横領罪を構成する。
二 旧刑訴法第四〇四条は、憲法第三七条第一項に違反しない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和26年5月25日 昭和25(れ)1661
- 登載
- 刑集 第5巻6号1186頁
- 参照法条
- 刑法252条,民法657条,憲法37条1項,旧刑訴法404条
論点51第25_2条刑法
一 労働関係調整法第七条と正当争議行為
二 生産管理開始のときから占有していた物を後に領得した行為の擬律
三 労働組合法第一条第二項と刑法第三五―争議行為の正当性
四 生産管理において労働者の団体が工場、設備、資材等を接収してその占有下においた場合には会社側の占有を完全に離脱するか
五 労働者が生産管理中の工場から争議期間中の賃金支払にあてる目的をもつて工場資材を工場外に搬出した行為と窃盗罪の成立
六 生産管理と同盟罷業との関係―生産管理の違法性
七 憲法と勤労者の争議権―争議行為の正当性の限界
八 生産管理と労働関係調整法第七条にいわゆる「その他」の行為
裁判要旨一 労働関係調整法第七条は、争議行為の定義を掲げただけであつて、争議行為の正当性は別個の観点から判断すべきものである。
二 被告人等が本件生産管理開始のときから判示鉄板を占有していたとしても、それは違法の占有であるから、後にこれを領得しても横領罪とはならず窃盗罪となる。
三 労働組合法第一条第二項は、労働組合の団体交渉その他の行為について無条件に刑法第三五条の適用があることを規定しているのではなく唯労働組合法所定の目的達成のために為した正当な行為についてのみ適用を認めているに過ぎない(昭和二二年(れ)第三一九号同二四年五月一八日最高裁判所大法廷判決参照)。如何なる争議行為を以て正当とするかは、具体的に個々の争議につき、争議の目的並びに争議手段としての各個の両面に亘つて、現行法秩序全体との関連において決すべきである。従つて至産管理及び生産管理中の個々の行為が、すべて当然に正当行為であるとの論旨は理由がない。
四 原判決が、生産管理においては労働者の団体が工場、設備、資材等一切のものを接収してその占有下におくと判示し、本件においては被告人が既に生産管理に入つたものであることを認めながら、而も他方において判示鉄板は「会社の占有を完全に離脱したものでない」と判示したのは、生産管理開始により労働者の図体が工場、設備、資材等一切のものを自己の支配下におき占有を取得したと言つても、個々の資材物件等については、それが会社構内に存置せられる以上、会社側にもなお占有が存するという趣旨に解すべきである。
五 論旨は、原判決が、本件鉄板は会社の占有を完全に離脱したものではないので被告人等が壇にこれを工場外に搬出した行為は会社の所持を奪つたものであり、窃盗の罪責を免れない、と判示したことを非難し生産管理の下においては占有の所持は労働者側にあり、会社は観念上間接占有を有するに過ぎないから、所持の奪取即ち窃盗はあり得ないい。被告人等には占有奪取の意思もなく、不正領得の意思もなかつたと主張する。しかし労働者側がいわゆる生産管理開始のとき工場、設備、資材等をその占有下においたのは違法の占有であり、判示鉄板についてもそのとき会社側の占有に対して占有の侵奪があつたというべきであるが、原判決はこれを工場外に搬出したとき不法領得の実現行為があつたものと認定したものである。これを証拠に照らし合わせて考えてみても、被告人等が争議期間中の労働者の賃金支払等に充てるために売却する目的を以て、会社側の許可なくしてこれを工場外に運び出し、自己の事実上の支配内に收めた行為は、正に不法領得の意思を以て会社の所持を奪つたものというべきであつて、原判決が窃盗罪にあたるものとしたのは当然である。
六 論旨は生産管理が同盟罷業と性質を異にするものでないということを理由として、生産管理も同盟罷業と同様に違法性を阻却される争議行為であると主張する。しかしわが国現行の法律秩序は私有財産制度を基幹として成り立つており、企業の利益と損失とは資本家に帰する。従つて企業の経営、生産行程の指揮命令は、資本家又はその代理人たる経営担当者の権限に属する。労働者が所論のように企業者と並んで企業の担当者であるとしても、その故に当然に労働者が企業の使用收益権を有するのでもなく、経営権に対する権限を有するものでもないい。従つて労働者側が企業者側の私有財産の基幹を揺がすような争議手段は許されない。なるほど同盟罷業も財産権の侵害を生ずるけれども、それは労働力の給付が積務不履行となるに過ぎない。然るに本件のようないわゆる生産管理に於ては、企業経営の権能を権利者の意思を排除して非権利者が行うのである。それ故に同盟罷業も生産管理も財産権の侵害である点においては同様であるからとて、その相違点を無視するわけにはゆかない。前者において違法性が阻却されるからとて、後者においてもそうだという理由はない。
七 論旨は、憲法が労働者の争議権を認めたことを論拠として、従来の市民法的個人法的観点を楊棄すべきことを説き、かような立場から労働者が争議によつて使用者たる資本家の意思を抑圧してその要求を貫徹することは不当でもなく違法でもないと主張する。しかし憲法は勤労者に対して団結権、団体交渉権その他の団体行動権を保障すると共に、すべての国民に対して平等権、自由権、財産権等の基本的人権を保障しているのであつて、是等諸々の基本的人権が労働者の争議権の無制限な行使の前に悉く排除されることを認めているのでもなく、後者が前者に対して絶対的優位を有することを認めているのでもない。寧ろこれ等諸々の一般的基本的人権と労働者の権利との調和をこそ期待しているのであつて、この調和を破らないことが、即ち争議権の正当性の限界である。その調和点を何処に求めるべきかは、法律制度の精神を全般的に考察して決すべきである。固より使用者側の自由権や財産権と雖も絶対無制限ではなく、労働者の団体行動権等のためある程度の制限を受けるのは当然であるが、原判決の判示する程度に、使用者側の自由意思を抑圧し、財産に対する支配を阻止することは、許さるべきでないと認められる。それは労働者側の争議権を偏重して使用者側の権利を不当に侵害し、法が求める調和を破るものだからである。
八 論旨は、原判決を以て、生産管理の本質を誤り、生産管理が争議権行使の一方法であることを否認し、争議権行使の方法を制限した違法あるものとして、非難すると共に、生産管理が労働関係調整法第七条にいわゆる「その他」の行為の中に含まれるということを論拠として、労働者が争議方法として生産管理を行うことには何等の制限を受くべきでないと主張する。しかし右の法条は争議行為の定義を掲げただけであつて、争議行為又はそれに伴う諸々の行為がすべて適法又は正当であると言つているのではない。従つて生産管理が右の「その他」の行為の中に含まれるとしても、そのことだけから、生産管理を行う自由があると即断することはできない。具体的争議行為の適法性の限界については、別個の観点から判断されなければならない。
- 裁判
- 最高裁判所大法廷 昭和25年11月15日 昭和23(れ)1049
- 登載
- 刑集 第4巻11号2257頁
- 参照法条
- 労働関係調整法7条,刑法235条,刑法252条,刑法35条,労働組合法1条2項,労働組合法1条,憲法12条,憲法28条,憲法29条
論点52第25_2条刑法
他人所有の建物を同人のために預かり保管していた者が,金銭的利益を得ようとして,同建物の電磁的記録である登記記録に不実の抵当権設定仮登記を了したことにつき,電磁的公正証書原本不実記録罪及び同供用罪とともに,横領罪が成立するとされた事例
裁判要旨甲会社から乙及び丙に順次譲渡されたものの,所有権移転登記が未了のため甲会社が登記簿上の所有名義人であった建物を,甲会社の実質的代表者として丙のために預かり保管していた被告人が,甲会社が名義人であることを奇貨とし,乙及び丙から原状回復にしゃ口して解決金を得ようと企て,上記建物に係る電磁的記録である登記記録に不実の抵当権設定仮登記を了した場合には,電磁的公正証書原本不実記録罪及び同供用罪とともに,横領罪が成立する。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 平成21年3月26日 平成20(あ)2253
- 登載
- 刑集 第63巻3号291頁
- 参照法条
- 刑法252条1項,刑法157条1項,刑法158条1項,不動産登記法106条
論点53第25_2条刑法
1 委託を受けて他人の不動産を占有する者がこれにほしいままに抵当権を設定してその旨の登記を了していた場合においてその後これについてほしいままに売却等の所有権移転行為を行いその旨の登記を了する行為と横領罪の成否
2 委託を受けて他人の不動産を占有する者がこれにほしいままに抵当権を設定してその旨の登記を了した後これについてほしいままに売却等の所有権移転行為を行いその旨の登記を了した場合において後行の所有権移転行為のみが横領罪として起訴されたときの審理方法
裁判要旨1 委託を受けて他人の不動産を占有する者が,これにほしいままに抵当権を設定してその旨の登記を了した後,これについてほしいままに売却等の所有権移転行為を行いその旨の登記を了したときは,後行の所有権移転行為について横領罪の成立を肯定することができ,先行の抵当権設定行為が存在することは同罪の成立自体を妨げる事情にはならない。
2 委託を受けて他人の不動産を占有する者が,これにほしいままに抵当権を設定してその旨の登記を了した後,これについてほしいままに売却等の所有権移転行為を行いその旨の登記を了した場合において,後行の所有権移転行為のみが横領罪として起訴されたときは,裁判所は,所有権移転の点だけを審判の対象とすべきであり,犯罪の成否を決するに当たり,所有権移転行為に先立って横領罪を構成する抵当権設定行為があったかどうかといった訴因外の事情に立ち入って審理判断すべきではない。
- 裁判
- 最高裁判所大法廷 平成15年4月23日 平成13(あ)746
- 登載
- 刑集 第57巻4号467頁
- 参照法条
- 刑法(平成7年法律第91号による改正前のもの)第1編第7章 犯罪ノ不成立及ヒ刑ノ減免,刑法(平成7年法律第91号による改正前のもの)252条,刑法(平成7年法律第91号による改正前のもの)253条,刑訴法256条
論点54第25_2条刑法
他人の物の非占有者が業務上占有者と共謀して横領した場合における非占有者に対する公訴時効の期間
裁判要旨他人の物の非占有者が業務上占有者と共謀して横領した場合、非占有者に対する公訴時効の期間は、刑法
252条1項〈横領〉の横領罪の法定刑である5年以下の懲役について定められた5年(刑訴法250条2項5号)である。
(補足意見がある。)
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 令和4年6月9日 令和3(あ)821
- 登載
- 刑集 第76巻5号613頁
- 参照法条
- 刑法65条、刑法252条1項、刑法253条、刑訴法250条、刑訴法337条4号
論点55第25_2条刑法
農地の売買契約が締結されたが、譲受人の委託に基づき第三者の名義を用いて農地法所定の許可が取得され、当該第三者に所有権移転登記が経由された場合において、当該第三者が当該土地を不法に領得したときの横領罪の成否
裁判要旨農地の所有者たる譲渡人と譲受人との間で農地の売買契約が締結されたが、譲受人の委託に基づき、第三者の名義を用いて農地法所定の許可が取得され、当該第三者に所有権移転登記が経由された場合において、当該第三者が当該土地を不法に領得したときは、当該第三者に刑法252条1項の横領罪が成立する。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 令和4年4月18日 令和2(あ)131
- 登載
- 刑集 第76巻4号191頁
- 参照法条
- 刑法252条1項、農地法3条1項本文、農地法5条1項本文
論点56第26条刑法
保護観察付執行猶予中に大麻を所持したことなどを理由とする執行猶予取消決定に対する特別抗告において、大麻取締法の違憲をいう主張が欠前提とされた事例
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和63年5月2日 昭和63(し)45
- 登載
- 集刑 第249号573頁
- 参照法条
- 刑法26条の2号,刑法2条,大麻取締法24条の2号
論点57第26条刑法
刑法二六条三号〈刑の全部の執行猶予の必要的取消し 猶予の言渡し前に他の罪について拘禁刑以上の刑に処せられたことが発覚したとき。〉による刑の執行猶予の取消請求権が失われないとされた事例
裁判要旨執行猶予の言渡しがあつた事件において、被告人が、捜査官に対しことさら知人である甲女の氏名を詐称し、かねて熟知していた同女の身上及び前科をも正確詳細に供述するなどして、あたかも甲女であるかのように巧みに装つたため、捜査官が全く不審を抱かず、指紋の同一性の確認をしなかつたことにより、当該判決の確定前に被告人自身の前科を覚知できなかつたという場合には、検察官は刑法二六条三号による執行猶予の取消請求権を失わない。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和60年11月29日 昭和60(し)106
- 登載
- 刑集 第39巻7号532頁
- 参照法条
- 刑法26条3号
論点58第26条刑法
余罪につき未決勾留日数の裁定算入及び法定通算により現実には刑の執行の余地のない実刑判決が確定した場合と刑法二六条二号
裁判要旨刑の執行猶予の判決確定後に、同判決確定前に犯した他の罪につき禁錮以上の実刑に処する判決が確定したときは、右実刑判決が、未決勾留日数の裁定算入及び法定通算により、現実に刑の執行をなしうる余地がないものであつても、刑法
二六条二号〈刑の全部の執行猶予の必要的取消し 猶予の言渡し前に犯した他の罪について拘禁刑以上の刑に処せられ、その刑の全部について執行猶予の言渡しがないとき。〉に該当する。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和59年12月18日 昭和59(し)117
- 登載
- 刑集 第38巻12号3051頁
- 参照法条
- 刑法26条2号
論点59第26条刑法
刑法二六条二号〈刑の全部の執行猶予の必要的取消し 猶予の言渡し前に犯した他の罪について拘禁刑以上の刑に処せられ、その刑の全部について執行猶予の言渡しがないとき。〉による刑の執行猶予の言渡の取消の合憲性(憲法三一条、三九条)
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和57年7月2日 昭和57(し)73
- 登載
- 集刑 第228号169頁
- 参照法条
- 憲法31条,憲法39条,刑法26条2号
論点60第26条刑法
特別抗告の係属中に執行猶予期間が満了した場合における執行猶予の取消につき反対意見が付された事例
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和56年4月11日 昭和56(し)44
- 登載
- 集刑 第221号433頁
- 参照法条
- 刑法26条の2第2号、刑訴法424条
論点61第26条刑法
刑法二六条の三〈刑の全部の執行猶予の取消しの場合における他の刑の執行猶予の取消し〉の規定と憲法一一条、一三条、三一条、三九条後段
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和56年2月3日 昭和56(し)12
- 登載
- 集刑 第221号83頁
- 参照法条
- 憲法11条、憲法13条、憲法31条、憲法39条後、刑法26条の3
論点62第26条刑法
一 刑の執行猶予言渡取消決定に対する即時抗告棄却決定に対する特別抗告事件における裁判の執行停止とその対象とすべき裁判
二 刑法二六条三号〈刑の全部の執行猶予の必要的取消し 猶予の言渡し前に他の罪について拘禁刑以上の刑に処せられたことが発覚したとき。〉による刑の執行猶予の取消ができないとされた事例
裁判要旨一 刑の執行猶予言渡取消決定に対する即時抗告棄却決定に対する特別抗告事件において、裁判の執行を停止する場合には、原原決定を対象とすべきである。
二 高裁で言い渡された執行猶予の判決に対する上告申立期間の満了までに五日を残して、被告人の控訴取下により別件につき地裁で言い渡された懲役刑(実刑)の判決の確定したことが地方検察庁に通知されており、高等検察庁検察官において、地方検察庁検察官と相互に連絡を取り合うなどの方法をとつていれば、右懲役刑に処せられた事実を執行猶予の判決に対する上告申立期間満了前に覚知することができたのに、これに気付かないまま執行猶予の判決を確定させた場合には(判文参照)、刑法
二六条三号〈刑の全部の執行猶予の必要的取消し 猶予の言渡し前に他の罪について拘禁刑以上の刑に処せられたことが発覚したとき。〉により右執行猶予を取り消すことはできない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和56年11月25日 昭和56(し)113
- 登載
- 刑集 第35巻8号884頁
- 参照法条
- 刑法26条,刑訴法424条,刑訴法434条,刑訴法349条,憲法39条
論点63第26条刑法
刑の執行猶予言渡取消決定に対する即時抗告棄却決定に対する特別抗告事件における裁判の執行停止とその対象とすべき裁判
裁判要旨刑の執行猶予言渡取消決定に対する即時抗告棄却決定に対する特別抗告事件において、裁判の執行を停止する場合には、原決定を対象とすべきである。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和56年10月2日 昭和56(し)113
- 登載
- 刑集 第35巻7号683頁
- 参照法条
- 刑法26条,刑訴法424条,刑訴法434条
論点64第26条刑法
一 刑法二六条の三〈刑の全部の執行猶予の取消しの場合における他の刑の執行猶予の取消し〉の規定の合憲性
二 刑法二六条の三による刑の執行猶予言渡の取消を同法二六条、二六条の二による刑の執行猶予言渡の取消と同時に行うことの許否
三 甲執行猶予の言渡を刑法二六条の二第二号により取り消すと同時に乙執行猶予の言渡を同法二六条の三により取り消した場合においてこれに対する即時抗告棄却決定の告知後特別抗告の係属中に乙執行猶予の期間に相当する期間が経過したときと乙執行猶予の取消の効果
裁判要旨一 刑法
二六条の三〈刑の全部の執行猶予の取消しの場合における他の刑の執行猶予の取消し〉の規定は、憲法一一条、一三条、三一条に違反しない。
二 刑法
二六条の三による刑の執行猶予言渡の取消は、同法
二六条〈刑の全部の執行猶予の必要的取消し〉、
二六条の二〈刑の全部の執行猶予の裁量的取消し〉による刑の執行猶予言渡取消決定の確定をまたず、これと同時に行うことも許される。
三 甲執行猶予の言渡を刑法二六条の二第二号により取り消すと同時に、乙執行猶予の言渡を同法二六条の三により取り消した場合において、右取消決定に対する即時抗告棄却決定が告知されたときには、甲乙両執行猶予の取消の効果が発生し、特別抗告の係属中に乙執行猶予の期間に相当する期間が経過しても、すでに発生している乙執行猶予の取消の効果に影響しない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和55年2月25日 昭和54(し)135
- 登載
- 刑集 第34巻2号44頁
- 参照法条
- 刑法26条,刑法26条の2,刑法26条の3,刑法27条,憲法11条,憲法13条,憲法31条,刑訴法424条,刑訴法434条
論点65第26条刑法
刑法二六条一号〈刑の全部の執行猶予の必要的取消し 猶予の期間内に更に罪を犯して拘禁刑以上の刑に処せられ、その刑の全部について執行猶予の言渡しがないとき。〉にいう「禁錮以上ノ刑ニ処セラレ」の意義
裁判要旨刑法
二六条一号〈刑の全部の執行猶予の必要的取消し 猶予の期間内に更に罪を犯して拘禁刑以上の刑に処せられ、その刑の全部について執行猶予の言渡しがないとき。〉にいう「禁錮以上ノ刑ニ処セラレ」とは、禁錮以上の刑の言渡をした判決が確定したことをいう。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和54年3月27日 昭和54(し)27
- 登載
- 刑集 第33巻2号155頁
- 参照法条
- 刑法26条1号
論点66第26条刑法
一 刑法二六条の二第三号〈刑の全部の執行猶予の裁量的取消し 猶予の言渡し前に他の罪について拘禁刑に処せられ、その刑の全部の執行を猶予されたことが発覚したとき。〉による刑の執行猶予取消の要件
二 刑の執行猶予を取り消すことができないとされた事例
裁判要旨一 刑法
二六条の二第三号〈刑の全部の執行猶予の裁量的取消し 猶予の言渡し前に他の罪について拘禁刑に処せられ、その刑の全部の執行を猶予されたことが発覚したとき。〉にいう「執行ヲ猶予セラレタルコト発覚シタルトキ」とは、検察官において新たに執行猶予を言渡した裁判に対し上訴してこれを是正するみちがとざされたのちに同条同号所定の執行猶予の前科の存在する事実を覚知したことをいい、検察官が右事実をすでに覚知しながら上訴申立をすることなく執行猶予の裁判を確定させたときは、右執行猶予を取り消すことはできない。
二 検察庁の犯歴票に執行猶予の障害となる前科がすでに登載されており、検察官において前科照会をするなどの方法で右前科の存在する事実を容易に知ることができたのに前科の存在に気付かないまま新たに執行猶予を言渡した裁判を確定させた場合には、検察官が右前科の存在する事実を現実に知つていた場合と同様に、刑法
二六条の二第三号により右執行猶予を取り消すことはできない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和53年11月22日 昭和53(し)87
- 登載
- 刑集 第32巻8号2140頁
- 参照法条
- 刑法26条の2第3号,刑訴法349条
論点67第26条刑法
一 刑法二六条の二第二号〈刑の全部の執行猶予の裁量的取消し 第二十五条の二第一項の規定により保護観察に付せられた者が遵守すべき事項を遵守せず、その情状が重いとき。〉と憲法三九条
二 刑の執行猶予言渡取消手続の抗告審が口頭弁論を開くことなく非公開の裁判をすることと憲法三一条
裁判要旨一 刑法
二六条の二第二号〈刑の全部の執行猶予の裁量的取消し 第二十五条の二第一項の規定により保護観察に付せられた者が遵守すべき事項を遵守せず、その情状が重いとき。〉が憲法三九条に違反しないことは、昭和四一年(し)第五九号同四二年三月八日大法廷決定(刑集二一巻二号四二三頁)の趣旨に照らして明らかである。(昭和四九年(し)第一一〇号同年一二月二日第二小法廷決定と同旨)
二 刑の執行猶予言渡取消手続の抗告審が口頭弁論を開くことなく非公開の裁判をしても憲法三一条に違反しないことは、昭和四〇年(し)第九八号同四二年七月五日大法廷決定(刑集二一巻六号七六四頁)の趣旨に照らして明らかである。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和52年4月13日 昭和52(し)28
- 登載
- 集刑 第203号595頁
- 参照法条
- 刑法26条の2第2号,刑法26条,刑法26条の2,憲法39条,憲法31条,刑訴法349条,刑訴法419条
論点68第26条刑法
執行猶予判決と実刑判決とが同時に確定した場合につき原原審の執行猶予取消決定を是認した原審決定を維持した事例
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和51年7月23日 昭和51(し)64
- 登載
- 集刑 第201号225頁
- 参照法条
- 刑法26条
論点69第26条刑法
刑法二六条三号〈刑の全部の執行猶予の必要的取消し 猶予の言渡し前に他の罪について拘禁刑以上の刑に処せられたことが発覚したとき。〉の規定と憲法三九条
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和51年12月17日 昭和51(し)127
- 登載
- 集刑 第202号563頁
- 参照法条
- 憲法39条,刑法26条3項
論点70第26条刑法
執行猶予取消決定が猶予期間内に送達された以上特別抗告期間中に猶予期間が満了しても原決定を取り消すべきものではない
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和50年9月5日 昭和50(し)65
- 登載
- 集刑 第197号195頁
- 参照法条
- 刑法26条,刑訴法424条
論点71第26条刑法
不送達となつた特別送達を付郵便送達とすることにより執行猶予が取り消されたものとすることの可否
裁判要旨特別送達の方法により、執行猶予取消決定についての即時抗告棄却決定の謄本を、被請求人に送達する手続をとつたところ、それが執行猶予期間内に送達されなかつた場合において、右特別送達を付郵便送達とすることにより、有効に執行猶予が取り消されたものとすることはできない。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和47年12月26日 昭和47(し)57
- 登載
- 刑集 第26巻10号759頁
- 参照法条
- 刑法26条の2,刑訴法54条,刑訴規則63条,民訴法162条,民訴法172条
論点72第26条刑法
刑の執行猶予言渡取消手続の抗告審が口頭弁論を開くことなく非公開の裁判をすることと憲法第三七条第一項
裁判要旨刑の執行猶予言渡取消手続の抗告審が口頭弁論を開くことなく非公開の裁判をしても憲法第三七条第一項に違反しないことは、昭和四〇年(し)第九八号同四二年七月五日大法廷決定の趣旨に照らし明らかである。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和42年8月1日 昭和42(し)36
- 登載
- 集刑 第164号1頁
- 参照法条
- 憲法37条1項,憲法82条1項,刑法26条,刑法26条ノ2,刑訴法349条,刑訴法419条
論点73第26条刑法
刑法第二六条第三号〈刑の全部の執行猶予の必要的取消し 猶予の言渡し前に他の罪について拘禁刑以上の刑に処せられたことが発覚したとき。〉と憲法第一一条、第一三条、第三八条、第三九条。
裁判要旨刑法
第二六条第三号〈刑の全部の執行猶予の必要的取消し 猶予の言渡し前に他の罪について拘禁刑以上の刑に処せられたことが発覚したとき。〉は憲法第一一条、第一三条、第三八条、第三九条に違反しない。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和35年10月4日 昭和35(し)34
- 登載
- 刑集 第14巻12号1533頁
- 参照法条
- 刑法26条3号,刑訴法349条,憲法11条,憲法13条,憲法38条,憲法39条
論点74第26条刑法
刑法第二六条第三号〈刑の全部の執行猶予の必要的取消し 猶予の言渡し前に他の罪について拘禁刑以上の刑に処せられたことが発覚したとき。〉による刑の執行猶予の取消の要件
裁判要旨刑法
第二六条第三号〈刑の全部の執行猶予の必要的取消し 猶予の言渡し前に他の罪について拘禁刑以上の刑に処せられたことが発覚したとき。〉により刑の執行猶予を取消すには、検察官において、上訴の方法により、違法に言渡されたの執行猶予の判決を是正する途がとざされた場合すなわち、執行猶予の判定確定によつて進行を始めた猶予期間中に、「猶予ノ言渡前他ノ罪ニ付禁錮以上ノ刑ニ処セラレタルコト」が、検察官に発覚したときであることを要する。
- 裁判
- 最高裁判所大法廷 昭和33年2月10日 昭和31(し)32
- 登載
- 刑集 第12巻2号135頁
- 参照法条
- 刑法26条,憲法39条,刑訴法349条,刑訴法433条
論点75第26条刑法
一 刑訴応急措置法第一八条による特別抗告にも刑訴第四〇五条第二号、第三号、第四一一条第一号の準用があるか
二 検察官から刑の執行猶予言渡の取消請求があつた場合の決定手続の方式
裁判要旨一 刑訴応急措置法第一八条による特別抗告には、刑訴第四〇五条第二号第三号および第四一一条第一号は準用されない。
二 本件に適用される旧刑訴三七四条二項の規定によれば、検察官から執行猶予の言渡の取消請求があつた場合には、裁判所は、被告人又はその代理人の意見を聴き決定を為すべきものであつて、決定を為すには国選弁護人を選任したり、口頭弁論に基いたりする必要のないものであることは論を俟たない。
- 裁判
- 最高裁判所大法廷 昭和28年6月10日 昭和26(し)47
- 登載
- 刑集 第7巻6号1419頁
- 参照法条
- 刑訴応急措置法18条,刑訴法405条,刑訴法411条1号,刑法26条,旧刑訴法374条2項
論点76第26条刑法
一 刑法第二六条第三号〈刑の全部の執行猶予の必要的取消し 猶予の言渡し前に他の罪について拘禁刑以上の刑に処せられたことが発覚したとき。〉の意義
二 昭和二四年一月一日前に公訴の提起があつた事件についてなされた刑執行猶予言渡に対する取消請求事件に適用される手続法
三 いわゆる旧刑訴事件について簡易裁判所がした決定に対する管轄抗告裁判所
四 いわゆる旧刑訴事件について簡易裁判所がした決定に対する即時抗告の申立について、高等裁判所が新刑訴法を適用して棄却した決定に対する不服申立の方法
五 刑法第二六条第一項第三号の「猶予ノ言渡前他ノ罪ニ付キ禁錮以上ノ刑ニ処セラレタルコト発覚シタルトキ」の意義
裁判要旨一 執行猶予の言渡前にすでに他の罪につき禁錮以上の刑に処せられたことが発覚していた場合には、刑法
二六条三号〈刑の全部の執行猶予の必要的取消し 猶予の言渡し前に他の罪について拘禁刑以上の刑に処せられたことが発覚したとき。〉によつて執行猶予の言渡を取消すことはできないものと言わなければならない。
二 昭和二四年一月一日前に公訴の提起があつたいわゆる旧刑訴事件についてなされた刑執行猶予言渡に対する取消請求事件については、刑訴施行法第二条により、旧刑訴法及び刑訴応急措置法によるべきである。
三 いわゆる旧刑訴事件について簡易裁判所がした刑執行猶予言渡取消決定に対する即時抗告の申立については、昭和二三年法律第二六〇号による改正前の裁判所法第二四条第三号により地方裁判所がこれを審判すべきである。
四 いわゆる旧刑訴事件について簡易裁判所がした刑執行猶予言渡取消決定に対する即時抗告の申立について、誤つて高等裁判所が新刑訴法を適用して棄却の決定をした場合でも、この決定に対しては、刑訴応急措置法第一八条により特別抗告をするは格別、刑訴第四二八条第二項による異議の申立又は刑訴第四三三条による特別抗告をすることはできない。
五 刑法
第二六条第一項第三号に「猶予ノ言渡前他ノ罪ニ付キ禁錮以上ノ刑ニ処セラレタルコト発覚シタルトキ」とあるは、所定の処刑の事実が猶予の言渡後に発覚した場合をいうのであつて、その言渡前に既に発覚していた場合はこれにあたらない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和27年2月7日 昭和24(つ)87
- 登載
- 刑集 第6巻2号197頁
- 参照法条
- 刑法26条3号,刑法26条1項3号,刑訴施行法2条,旧刑訴法374条,昭和23年12月21日法律260号裁判所法の一部を改正する等の法律による改正前及び改正後の裁判所法16条2号,昭和23年12月21日法律260号裁判所法の一部を改正する等の法律による改正前及び改正後の裁判所法24条3号,右改正法律附則11条,刑訴応急措置法18条,刑訴法428条2項,刑訴法433条
論点77第26条刑法
刑の執行猶予言渡取消手続の抗告審が書面審理によって裁判をすることが憲法三一条、三二条、三七条一項に違反しないとされた事例
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 平成元年2月16日 平成1(し)10
- 登載
- 集刑 第251号217頁
- 参照法条
- 憲法31条,憲法32条,憲法37条1項,刑法26条,刑法26条2号,刑訴法349条の2第5項,刑訴法426条
論点78第26条刑法
1 刑の執行猶予の言渡し取消し請求において刑訴規則34条により刑の執行猶予の言渡し取消し決定の謄本の送達を受けるべき者
2 刑の執行猶予の言渡し取消し請求における被請求人が選任した弁護人に対する刑の執行猶予の言渡し取消し決定の謄本の送達の効果
裁判要旨1 刑の執行猶予の言渡し取消し請求において,刑訴規則34条により刑の執行猶予の言渡し取消し決定の謄本の送達を受けるべき者は,検察官及び被請求人である。
2 刑の執行猶予の言渡し取消し請求において,被請求人が選任した弁護人に対して刑の執行猶予の言渡し取消し決定の謄本が送達されても,被請求人に対する送達が行われたものと同じ法的な効果は生じない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 平成29年1月16日 平成29(し)8
- 登載
- 刑集 第71巻1号1頁
- 参照法条
- (1,2につき) 刑法26条の2第2号,刑法26条の3,刑訴法349条の2第1項,刑訴規則34条,刑訴規則62条1項
論点79第26条刑法
1 刑訴法349条の2第1項に基づく求意見に対する回答について成人である被請求人から委任を受けた母親のした刑の執行猶予言渡しの取消決定に対する即時抗告の適否
2 刑の執行猶予言渡しの取消決定に対する即時抗告について被請求人から権限の委任を受けた母親が被請求人を代理してした即時抗告の適否
裁判要旨1 刑の執行猶予言渡しの取消決定に対し,成人である被請求人の母親は,被請求人から刑訴法349条の2第1項に基づく求意見に対する回答について委任を受けていたとしても,即時抗告をする権限を有しない。
2 刑の執行猶予言渡しの取消決定に対し,被請求人の母親は,被請求人から即時抗告に関する権限の委任を受けたとしても,被請求人を代理して即時抗告をすることはできない。
(2につき反対意見がある。)
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 平成17年3月18日 平成16(し)316
- 登載
- 刑集 第59巻2号38頁
- 参照法条
- 刑法26条,刑訴法349条,刑訴法349条の2,刑訴法355条
論点80第26条刑法
刑法26条の2第2号〈刑の全部の執行猶予の裁量的取消し 第二十五条の二第一項の規定により保護観察に付せられた者が遵守すべき事項を遵守せず、その情状が重いとき。〉にいう「その情状が重いとき」の解釈について原決定に判例違反はないとされた事例
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 平成17年10月18日 平成17(し)370
- 登載
- 集刑 第288号273頁
- 参照法条
- 刑法26条の2第2号,執行猶予者保護観察法5条1号
論点81第26条刑法
刑訴規則222条の7第1項に定める手続を経ることなく刑法26条の2第2号により刑の執行猶予の言渡しを取り消すことの許否
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 平成12年4月21日 平成12(し)67
- 登載
- 集刑 第278号539頁
- 参照法条
- 刑法26条の2第2号,刑訴法349条の2,刑訴規則222条の7
論点82第26_2条刑法
境界標を損壊しても境界が不明にならない場合と境界毀損罪の成否
裁判要旨境界標を損壊しても、いまだ境界が不明にならない場合には、境界毀損罪は成立しないものと解すべきである。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和43年6月28日 昭和42(あ)2891
- 登載
- 刑集 第22巻6号569頁
- 参照法条
- 刑法262条ノ2
論点83第26_2条刑法
自己所有にかかる建物につき根抵当権の設定されていることを知りながら、右建物を完全に解体した所為と擬律。
裁判要旨原判決が挙示の証拠により確定した事実関係の下において、被告人が自己所有にかかる判示建物につき債権者甲のために根抵当権の設定されていることを知りながら(右根抵当権は被告人に抵抗できる関係にあつた)、人夫十数名を使役して右建物を完全に解体した所為を刑法第二六二条、同
第二六〇条〈建造物等損壊及び同致死傷〉前段に該当するものとした原判決の判断は正当として是認すべきである。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和38年10月3日 昭和37(あ)589
- 登載
- 集刑 第148号675頁
- 参照法条
- 刑法262条,刑法260条前段
論点84第26_2条刑法
封印又は差押の標示された物自体を損壊する場合と刑法第九六条及び第二六二条の両罪の成立
裁判要旨論旨引用の大審院大正五年(れ)第二八七七号同六年二月六日宣告の判決は執達吏が強制執行のため差押をなし封印を施した穀類の一部を窃取し封印を破棄した事案に関するものであるが、別段刑法九六条の罪の成立を否定したものではなく、却つて同罪と窃盗罪の両罪の成立を認めた趣旨である。そして、原判決も封印又は差押の標示された物自体を損壊することによつて他人の権利を害し同時に封印又は差押の標示を無効ならしめた場合には刑法九六条の罪と同法二六二条の罪の両罪が成立する旨判決していることは判文上極めて明かであつて、前記大審院の判決と何ら相牴触するものではない。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和27年6月3日 昭和25(あ)1624
- 登載
- 集刑 第65号13頁
- 参照法条
- 刑法96条,刑法262条
論点85第27条刑法
刑の言渡の効力を失なつた前科であつても量刑上参酌することは憲法でないとして、憲法一四条一項違反の主張が欠前提とされた事例
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和57年5月4日 昭和56(あ)1977
- 登載
- 集刑 第227号293頁
- 参照法条
- 憲法14条1項,刑法27条,刑法34条の2第1項
論点86第27条刑法
刑の執行猶予言渡取消決定に対する即時抗告棄却決定の告知後特別抗告提起期間中に猶予期間が経過した場合と右取消の効果(反対意見がある)
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和57年10月26日 昭和57(し)107
- 登載
- 集刑 第229号39頁
- 参照法条
- 刑法27条,刑訴法424条,刑訴法434条
論点87第27条刑法
執行猶予取消決定に対する即時抗告棄却決定送達後特別抗告係属中猶予期間が満了した場合と執行猶予取消の効果
(反対意見がある)
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和56年6月22日 昭和56(し)76
- 登載
- 集刑 第222号657頁
- 参照法条
- 刑法27条,刑訴法424条
論点88第27条刑法
刑の執行猶予言渡取消決定に対する即時抗告棄却決定の告知後特別抗告係属中に猶予期間が経過した場合と右取消の効果
(反対意見がある)
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和56年5月13日 昭和56(し)56
- 登載
- 集刑 第222号9頁
- 参照法条
- 刑法27条,刑訴法424条,刑訴法434条
論点89第27条刑法
刑の執行猶予言渡取消決定に関する特別抗告提起期間中に執行猶予期間に相当する期間が経過した場合と右執行猶予取消の効果(反対意見がある)
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和56年11月5日 昭和56(し)141
- 登載
- 集刑 第224号1頁
- 参照法条
- 刑法27条,刑訴法424条
論点90第27条刑法
刑の執行猶予言渡取消決定に対する即時抗告棄却決定の告知後特別抗告申立前に猶予期間が経過した場合と右取消の効果(団藤裁判官の反対意見がある)
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和55年7月17日 昭和55(し)93
- 登載
- 集刑 第218号253頁
- 参照法条
- 刑法27条,刑訴法433条,刑訴法434条
論点91第27条刑法
刑の執行猶予取消決定に対する即時抗告棄却決定の告知後特別抗告提起期間中に執行猶予期間に相当する期間が経過した場合と右執行猶予取消の効果
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和55年7月15日 昭和55(し)83
- 登載
- 集刑 第218号247頁
- 参照法条
- 刑法27条,刑訴法434条,刑訴法424条
論点92第27条刑法
刑の執行猶予言渡取消決定に関する特別抗告の係属中に執行猶予期間に相当する期間が経過した場合と右執行猶予取消の効果
裁判要旨刑の執行猶予言渡取消決定に関する特別抗告の係属中に執行猶予期間に相当する期間が経過したことは、すでに発生している執行猶予取消の効果に影響しない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和54年3月29日 昭和54(し)29
- 登載
- 刑集 第33巻2号165頁
- 参照法条
- 刑法27条,刑訴法424条,刑訴法434条
論点93第27条刑法
刑の執行猶予取消決定に対する即時抗告棄却決定に対する特別抗告申立後に猶予期間が経過した場合と右取消の効果
裁判要旨刑の執行猶予言渡の取消決定に対する即時抗告棄却決定が執行猶予期間経過前に申立人に告知されたことにより、執行猶予云渡の取消の効果が発生したものであつて、本件特別抗告係属中に右猶予期間が満了したことは、原決定を取り消すべき事由とはならない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和51年2月20日 昭和50(し)109
- 登載
- 集刑 第199号309頁
- 参照法条
- 刑法27条,刑訴法424条,刑訴法433条,刑訴法434条
論点94第27条刑法
刑の執行猶予取消決定に対する即時抗告棄却決定に対する特別抗告申立後に猶予期間が経過した場合と右取消の効果
裁判要旨本件においては、刑の執行猶予言渡の取消決定に対する即時抗告棄却決定が執行猶予期間経過前に申立人に対し告知されたことにより、執行猶予言渡の取消の効果が発生したものであつて、その後本件特別抗告の係属中に右猶予期間が満了したことは、原決定を取り消すべき理由とはならない(当裁判所昭和四〇年(し)第二一号同年九月八日大法廷決定・刑集一九巻六号六三六頁参照)。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和49年2月7日 昭和49(し)6
- 登載
- 集刑 第191号83頁
- 参照法条
- 刑法27条,刑訴法424条
論点95第27条刑法
刑法二七条〈刑の全部の執行猶予の猶予期間経過の効果〉による刑の言渡の失効と同法四五条後段の併合罪関係の成否
裁判要旨刑法
二七条〈刑の全部の執行猶予の猶予期間経過の効果〉によつて、執行猶予を言い渡した確定裁判による刑の言渡がその効力を失つても、そのことは同法四五条後段の併合罪関係の成否とは相関しない。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和45年9月29日 昭和44(あ)1853
- 登載
- 刑集 第24巻10号1421頁
- 参照法条
- 刑法27条,刑法45条
論点96第27条刑法
刑の執行猶予言渡の取消決定に対する即時抗告棄却決定に対して特別抗告の申立があつた後に刑の執行猶予期間が経過した場合と刑の執行
裁判要旨刑の執行猶予言渡の取消決定に対する即時抗告棄却決定が当該刑の言渡を受けた者に告知された後に刑の執行猶予期間が経過した場合には、この棄却決定に対して適法な特別抗告の申立があつても、同決定の執行が停止されないかぎり、同決定の告知により執行猶予言渡の取消の効果が発生し、刑の執行をなしうるものであることは、最高裁判所昭和四〇年九月八日大法廷決定(刑集一九巻六号六三六頁)の判示するところであつて、この判例は、正当として支持すべきである。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和44年11月11日 昭和44(し)50
- 登載
- 集刑 第174号27頁
- 参照法条
- 刑法27条,刑訴法424条,刑訴法434条,刑訴法471条
論点97第27条刑法
刑の執行猶予の言渡取消決定に対する即時抗告が棄却され、右棄却決定に対する特別抗告が最高裁判所に係属中、右刑の執行猶予期間が満了した場合、右執行猶予の取消はどうなるか
裁判要旨刑の執行猶予の言渡取消決定に対する即時抗告棄却決定が刑の執行猶予期間経過前に刑の言渡を受けた者に告知された場合には、執行猶予の言渡取消の効果が発生するのであつて、その後右即時抗告棄却決定に対する特別抗告が最高裁判所に係属中に右猶予期間が満了しても、そのこと自体によつては右取消の効果は左右されない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和43年7月11日 昭和43(し)46
- 登載
- 集刑 第168号279頁
- 参照法条
- 刑法27条
論点98第27条刑法
刑の執行猶予取消決定に対する即時抗告棄却決定の告知後特別抗告提起期間の満了前に猶予期間が経過した場合と刑の執行。
裁判要旨刑の執行猶予取消決定に対する即時抗告棄却決定が、刑の言渡を受けた者に告知された後特別抗告提起期間の満了前に、猶予期間が経過した場合においても、右決定の執行停止がなされない限り、その告知により執行猶予取消の効果が発生し、刑の執行をなし得るものと解すべきである。
- 裁判
- 最高裁判所大法廷 昭和40年9月8日 昭和40(し)21
- 登載
- 刑集 第19巻6号636頁
- 参照法条
- 刑法27条,刑訴法434条,刑訴法424条
論点99第27条刑法
刑法第二七条〈刑の全部の執行猶予の猶予期間経過の効果〉により刑の言渡の効力を失つた前科を量刑資料に参酌することの適否。
裁判要旨刑の執行猶予の言渡を取り消されることなく猶予の期間を経過し刑の言渡がその効力を失つても、その言渡を受けたという既往の事実そのものを量刑の資料に参酌することが違法でないことは当庁昭和三二年(あ)三一三六号、同三三年五月一日第一小法廷決定の判示せるところである。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和33年7月18日 昭和33(あ)691
- 登載
- 集刑 第126号1007頁
- 参照法条
- 刑法27条
論点100第27条刑法
刑法第二七条〈刑の全部の執行猶予の猶予期間経過の効果〉により刑の言渡の効力を失つた前科を量刑資料に参酌することの適否
裁判要旨執行猶予の言渡を取り消されることなく猶予の期間を経過し刑の言渡がその効力を失つても、その言渡を受けたいという既往の事実そのものを量刑の資料に参酌することは違法でない
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和33年5月1日 昭和32(あ)3136
- 登載
- 刑集 第12巻7号1293頁
- 参照法条
- 刑法27条,刑訴法381条
論点101第27条刑法
刑法等の一部を改正する法律(平成25年法律第49号)による刑の一部の執行猶予に関する各規定の新設と刑訴法411条5号にいう「刑の変更」
裁判要旨刑法等の一部を改正する法律(平成25年法律第49号)による刑の一部の執行猶予に関する各規定(刑法
27条の2〈刑の一部の執行猶予〉ないし
27条の7〈刑の一部の執行猶予の猶予期間経過の効果〉)の新設は,刑訴法411条5号にいう「刑の変更」に当たらない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 平成28年7月27日 平成28(あ)456
- 登載
- 刑集 第70巻6号571頁
- 参照法条
- 刑法27条の2,刑法27条の3,刑法27条の4,刑法27条の5,刑法27条の6,刑法27条の7,刑訴法411条5号