手形法 / テーマ別まとめ

為替手形/支払

支払の条文と、裁判所が付した判示事項から整理しています。

原文解釈このページは論点を軸に条文と判例を横断して整理したものです。論点の名称と構成は当サイトの整理であり、条文上の区分ではありません。リード文・要点・比較表も当サイトによる解釈です。条文原文と判例の判示事項・裁判要旨は転記です。

為替手形の支払については、所持人がいつまでに手形を呈示すべきか、支払人が求められる受取証明や一部支払への対応、満期前後に支払った場合の危険負担・免責、外国通貨建て手形の換算方法、呈示がなかった場合の供託手続きが定められています。実務担当者は、支払期日の管理と一部支払・外貨建て手形への対応を中心に押さえておく必要があります。

支払
場面内容条文
呈示期限支払期日又は翌2取引日以内38条1項
手形交換所での呈示支払呈示と同じ効力38条2項
一部支払所持人は拒否できない39条2項
満期前の受領所持人は応じなくてよい40条1項
満期前に支払う人自己の危険で行う40条2項
満期に支払う人悪意重過失なければ免責40条3項
外国通貨建て手形満期日の相場で換算払い41条1項
支払遅滞の場合満期日か支払日の相場を選択41条1項
呈示なき場合の供託所持人の費用と危険で供託可42条
  • 換算率は支払地の慣習によるが、振出人が手形に換算率を記載した場合はそれに従う(41条2項)
  • 振出人が外国通貨現実支払文句を記載した場合、換算に関する規定は適用されない(41条3項)
  • 振出国と支払国で同名異価の通貨の場合は支払地の通貨で定めたものと推定される(41条4項)
  • 支払人は支払時に受取を証する記載をした上での交付を請求できる(39条1項)
  • 一部支払の場合、支払人はその旨の記載と受取証書の交付を請求できる(39条3項)
  • 満期に支払う者は裏書の連続の整否は調査するが裏書人の署名の調査義務はない(40条3項)
1

支払

支払について、条文は何を定めているか。

第38条支払呈示は期日か翌2取引日以内に2項判例 21件
  • 支払期日または翌2取引日以内に手形を呈示する
  • 手形交換所での呈示は支払呈示と同じ効力を持つ
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第39条受取証明の請求と一部支払の扱い3項判例 7件
  • 支払人は受取を証する記載をした上での交付を求められる
  • 所持人は一部支払を拒否できない
  • 一部支払の場合、支払人はその旨の記載と受取証書を求められる
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第40条満期前後の支払と支払人の免責3項判例 2件
  • 満期前に支払を受ける義務はない
  • 満期前に支払う支払人は自己の危険で行う
  • 満期に支払う者は悪意・重大な過失がなければ免責される
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第41条外国通貨建て手形の換算方法4項判例なし
  • 満期日の相場によりその国の通貨で支払うことができる
  • 支払が遅れたときは満期日か支払日の相場を所持人が選べる
  • 外国通貨現実支払文句がある場合はこの換算規定は適用されない
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第42条呈示がなければ手形金額を供託できる1項判例なし
  • 38条〈確定日払、日附後定期払又ハ一覧後定期払ノ為替手形ノ所持人ハ支払ヲ為スベキ日又ハ之ニ次グ二取引日内ニ支払ノ為手形ヲ呈示スル…〉の期間内に呈示がないとき各債務者は供託できる
  • 供託は所持人の費用と危険で行う
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論

主要な論点と判例

原文ママ

論点の見出しと結論は、裁判所が付した判示事項・裁判要旨をそのまま転記しています。文中の〈 〉内は条文の見出しを当サイトが補ったものです。

論点1第38条手形法

一 不渡異議申立手続の委託に伴う預託金の返還請求権が手形債権者に転付きれた場合と支払銀行が手形債務者に対して有する反対債権をもつてする相殺の許否
二 第三債務者が民訴法六〇九条に基づき被差押債権の存在を認め支払意思を表明したことと相殺権の放棄

裁判要旨一 支払銀行に対し、手形の不渡異議申立手続を委託した手形債務者から異議申立提供金に見合う資金として支払銀行に交付された預託金の返還請求権が手形債権者に転付された場合に、支払銀行が右債権の差押前から手形債務者に対して有する反対債権をもつて被転付債権と相殺することが、預託金返還請求権の性質上制限されるものと解すべき理由はない。
二 民訴法六〇九条に基づき、第三債務者が、差押裁判所に対してした陳述において、被差押債権の「存在を認めて支払の意思を表明し将来において相殺する意思がある旨を表明しなかつた場合でも、その後、これを受働債権として相殺に供すること又は時効により消滅したと主張することを妨げるものではない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和55年5月12日 昭和54(オ)1134
登載
集民 第129号637頁
参照法条
手形法38条,民法511条,民法646条1項,民訴法609条,民訴法748条
論点2第38条手形法

手形の満期が日曜日でその翌日が国民の祝日にあたる場合と手形の支払呈示期間

裁判要旨手形の満期である昭和五二年一〇月九日が日曜日であり、翌一〇月一〇日が体育の日であつて、いずれも法定の休日にあたるときは、右手形の支払呈示期間は同年一〇月一三日までである。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和54年12月20日 昭和54(オ)985
登載
集民 第128号269頁
参照法条
手形法38条1項,手形法72条1項,手形法77条1項,手形法87条
論点3第38条手形法

一、約束手形の振出署名者の得た除権判決の効力
二、約束手形の振出署名者の申立にかかる除権判決により手形が無効になつた場合と除権判決前に手形上の権利を取得していた者の権利行使の方法

裁判要旨一、約束手形に振出人として署名したが、これを流通におく前に盗取されまたは紛失した者の得た除権判決は、右振出署名者において、除権判決後その手形を取得した者に対し支払を拒絶しうる効力を有するにとどまり、除権判決前に手形を悪意または重大な過失なく取得し、振出署名者に対して振出人としての責任を追求しえた者の有する実質的権利までも消滅させる効力を有するものではない。
二、約束手形の振出署名者の申立にかかる除権判決により手形が無効となつた場合において、無効となつた手形を所持する実質的権利者は、除権判決前すでに手形上の権利を取得し、除権判決当時手形の適法な所持人であつたことを主張・立証することにより、その権利を行使することができるものと解するのが相当である。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和47年4月6日 昭和44(オ)118
登載
民集 第26巻3号455頁
参照法条
民訴法777条,民訴法778条,民訴法784条,民訴法785条,手形法17条,手形法38条,手形法39条,手形法77条,手形法78条1項
論点4第38条手形法

不渡異議申立手続の委託に伴う預託金の返還請求権が手形債権者に転付された場合と支払銀行が手形債務者に対して有する反対債権をもつてする相殺の許否

裁判要旨手形の不渡異議申立手続を委託した手形債務者から異議申立提供金に見合う資金として支払銀行に交付された預託金の返還請求権が手形債権者に転付された場合に、支払銀行が右債権の差押前から手形債務者に対して有する反対債権をもつて被転付債権と相殺することが、預託金返還請求権の性質上制限されるものと解すべき理由はない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和45年6月18日 昭和43(オ)778
登載
民集 第24巻6号527頁
参照法条
手形法38条,民法646条1項,民法52条
論点5第38条手形法

いわゆる不渡異議申立提供金の預託金の返還請求権が手形債権者に転付された場合と支払銀行が手形債務者に対して有する反対債権をもつてする相殺の許否

裁判要旨いわゆる不渡異議申立提供金の預託金の返還請求権が手形債権者に転付された場合に、支払銀行が右債権の差押前から手形債務者に対して有する反対債権をもつて被転付債権と相殺することは許される。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和45年10月23日 昭和45(オ)125
登載
集民 第101号155頁
参照法条
民法646条1項,民法511条,手形法38条
論点6第38条手形法

受取人欄白地の手形による支払のための呈示の効力

裁判要旨白地手形による支払のための呈示は無効であつてその呈示期間経過後の補充により右呈示が遡つて有効になるものでないことは当裁判所の判例であり(昭三三年三月七日第二小法廷判決、民集一二巻三号五一一頁)、右につき、受取人欄白地の手形を別異に解することはできない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和43年10月8日 昭和43(オ)679
登載
集民 第92号501頁
参照法条
手形法38条,手形法53条,手形法10条,手形法77条
論点7第38条手形法

一 手形の書替と手形上の権利行使の方法
二 手形の書替と手形法第三九条

裁判要旨一 約束手形が書替えられた場合において、旧手形に基づく債務が消滅しないときは、手形の所持人は、新旧いずれの手形によつても手形上の権利を行使することができる。
二 約束手形の書替をした者が、新旧いずれか一方の手形による手形金請求を受けた場合には、右手形振出人は、新旧両手形をともに返還すべきことを請求することができる。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和42年3月28日 昭和39(オ)860
登載
集民 第86号735頁
参照法条
手形法38条,手形法39条
論点8第38条手形法

為替手形の支払呈示期間経過後に支払場所にした呈示の効力

裁判要旨為替手形の支払呈示期間経過後における支払のための呈示は、支払地内にある手形の主たる債務者の営業所または住所においてすることを要し、支払場所に呈示しても、手形債務者を遅滞に付する効力を有しない。
裁判
最高裁判所大法廷 昭和42年11月8日 昭和38(オ)1240
登載
民集 第21巻9号2300頁
参照法条
手形法1条,手形法4条,手形法38条,商法516条2項,商法517条
論点9第38条手形法

受取人白地の約束手形による手形金請求の許否。

裁判要旨受取人白地のままの約束手形によつては、手形金の請求をすることはできない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和41年6月16日 昭和41(オ)329
登載
民集 第20巻5号1046頁
参照法条
手形法10条,手形法38条
論点10第38条手形法

手形を所持しないでされた手形金請求が認容された事例

裁判要旨振出人甲、受取人兼裏書人乙、被裏書人丙という約束手形について甲、乙および丙間において書替の合意がされ、甲において乙を受取人とする新手形を振り出し、従前の手形は丙から甲に返還されたが、右新手形が乙の手許で破棄されたため、丙において手形上の権利を取得できなかつた場合には、従前の手形がすでに甲によつて破棄されて滅失していたときであつても、丙は甲に対し従前の手形に基づく手形金の請求をすることができ、甲は除権判決のないことを理由に右手形金請求を拒むことはできないと解すべきである。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和41年4月22日 昭和39(オ)100
登載
民集 第20巻4号734頁
参照法条
手形法38条,手形法39条
論点11第38条手形法

振出日白地の確定日払手形による呈示の効力

裁判要旨確定日払の手形の所持人は、振出日白地のまま満期に支払のため呈示したとしても、裏書人に対する手形上の権利を行使することができない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和41年10月13日 昭和39(オ)960
登載
民集 第20巻8号1632頁
参照法条
手形法1条,手形法38条,手形法43条
論点12第38条手形法

約束手形の善意取得者は振出人に対する手形金請求権を失わないために支払呈示期間内に手形の呈示を必要とするか。

裁判要旨約束手形の善意取得者は支払呈示期間内に手形の呈示をしなければ振出人に対する手形請求権を失うと解しなければならない理はない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和40年1月19日 昭和38(オ)242
登載
集民 第77号49頁
参照法条
手形法38条1項,手形法78条1項
論点13第38条手形法

手形金債務の承認による消滅時効の中断。

裁判要旨手形金債務の消滅時効が承認により中断せられるためには、該手形の呈示を伴う手形金の請求がなければならないものではない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和39年8月24日 昭和37(オ)683
登載
集民 第75号93頁
参照法条
手形法38条,民法147条3号
論点14第38条手形法

一 手形の振出と民法第一一〇条にいう第三者。
二 約束手形の所持人が該手形を満期に支払場所で所持していれば呈示があったとみられるか。

裁判要旨一 手形の振出について民法第一一〇条を適用する場合において、受取人が振出代理人の機関として振出人の氏名を記載したとしても、当該手形の受取人を同条にいう「第三者」と解するにさまたげない。
二 約束手形の所持人が該手形の満期にこれを支払場所で所持していた場合には、振出人が出頭しないときでも、適法な提示があったものとみるべきである。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和39年6月25日 昭和37(オ)412
登載
集民 第74号195頁
参照法条
民法110条,手形法38条
論点15第38条手形法

手形の呈示を伴わない催告による時効中断の効力の有無。

裁判要旨手形の呈示を伴わない催告にも、手形債権の時効を中断する効力がある。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和39年1月24日 昭和37(オ)1429
登載
集民 第71号309頁
参照法条
民法147条,民法153条,手形法38条1項
論点16第38条手形法

手形を所持しない手形権利者の裁判上の請求と時効中断の有無。

裁判要旨手形権利者が手形を所持しないでなした裁判上の請求によつても、時効中断の効力がある。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和39年11月24日 昭和37(オ)522
登載
民集 第18巻9号1952頁
参照法条
民法147条1号,手形法38条1項,手形法39条1項
論点17第38条手形法

手形の呈示を伴わない催告による時効中断の効力の有無。

裁判要旨手形の呈示を伴わない催告にも、手形債権の時効を中断する効力がある。
裁判
最高裁判所大法廷 昭和38年1月30日 昭和35(オ)533
登載
民集 第17巻1号99頁
参照法条
民法147条1号,民法153条,手形法38条1項,手形法9条1項
論点18第38条手形法

手形の呈示を伴わない催告による時効中断の効力の有無。

裁判要旨手形の呈示を伴わない催告には、手形債権の時効を中断する効力がない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和36年7月20日 昭和34(オ)471
登載
民集 第15巻7号1892頁
参照法条
民法147条1号,民法153条,手形法38条1項,手形法39条1項
論点19第38条手形法

手形呈示義務免除の効力。

裁判要旨支払のためにする手形の呈示義務の免除は、口頭でなされたものであつても、なお、免除者とその相手方との間においては、その効力を有すると解すべきである。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和34年5月29日 昭和32(オ)977
登載
民集 第13巻5号621頁
参照法条
手形法38条
論点20第38条手形法

白地手形による支払のための呈示の効力

裁判要旨白地手形による支払のための呈示は無効であり、その呈示期間経過後の補充により右呈示が遡つて有効になるものではない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和33年3月7日 昭和31(オ)529
登載
民集 第12巻3号511頁
参照法条
手形法38条,手形法53条,手形法10条
論点21第38条手形法

一 手形の「依頼返還」の効力
二 弁済期到来前の受働債権の譲渡または転付と債務者の相殺
三 受働債権の譲渡と債務者の相殺の意思表示の相手方

裁判要旨一 手形交換所における手形の呈示後、手形振出人の依頼に基きこれをして取引停止処分を免れさせるため、手形持出銀行がその受入銀行から手形のいわゆる「依頼返還」を受けたとしても、そのために一たんなされた手形の呈示および支払拒絶の効力は失われない。
二 弁済期到来前に受働債権の譲渡または転付があつた場合でも、債務者が右の譲渡通知または転付命令送達の当時すでに弁済期の到来している反対債権を有する以上、右譲受または転付債権者に対し相殺をもつて対抗することができる。
三 債務者が受働債権の譲受人に対し相殺をもつて対抗する場合には、その相殺の意思表示はこれを右譲受人に対してなすべきである。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和32年7月19日 昭和29(オ)723
登載
民集 第11巻7号1297頁
参照法条
手形法38条,民法468条2項,民法506条1項
論点22第39条手形法

金融機関が手形貸付債権又は手形買戻請求権をもつて転付された預金債権を相殺した場合と手形の返還先

裁判要旨金融機関が預金者から第三者に転付された預金債権を右預金者に対する手形貸付債権又は手形買戻請求権をもつて相殺した結果預金債権が転付前に遡つて消滅した場合には、金融機関は、手形貸付けについて振り出された手形又は買戻の対象となつた手形を右預金者に返還すべきであり、預金債権の転付を受けた第三者に返還すべきではない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和50年9月25日 昭和46(オ)1110
登載
民集 第29巻8号1287頁
参照法条
民法468条,民法511条,民訴法601条,手形法39条,手形法50条,手形法77条
論点23第39条手形法

手形振出人の一人が支払により手形を受け戻した上更に第三者に交付した場合における他の振出人の責任。

裁判要旨甲乙共同振出にかかる受取人白地の約束手形を、甲が満期後手形金を支払つて受け戻し、更にこれを丙に交付した場合には、乙は丙に対し手形金の支払をなす義務はない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和33年9月11日 昭和31(オ)1047
登載
民集 第12巻13号1998頁
参照法条
手形法20条,手形法39条
論点24第40条手形法

手形法四〇条三項〈為替手形ノ所持人ハ満期前ニハ其ノ支払ヲ受クルコトヲ要セズ〉にいう重大な過失があるとされた事例

裁判要旨甲が乙に対し売買代金債権を有し、乙が右支払のため甲の代理人丙に乙振出甲宛の約束手形二通を交付したところ、丙は、そのうち一通を甲に交付し、他の一通の手形(以下、本件手形という。)については、乙に申し入れて、受取人を甲とする記載部分の抹消を受け、勝手に丙名義に補充してこれを満期に呈示したのであるが、右呈示前、乙は、甲から書面により「本件手形は、丙が引渡しを拒んで所持しているが、甲が受取人とされているから、甲の裏書を偽造しないかぎり丙は手形上の権利を行使できない筈である。したがつて丙らから取立があつても支払わないよう」との申入れを受け、かつ、前記のように、本件手形の受取人欄を白地として丙に交付していたのであるから、乙が、何ら調査をすることなく、慢然、委託銀行をして本件手形金を呈示者丙に支払わしめたことについては、少なくとも、手形法四〇条三項〈為替手形ノ所持人ハ満期前ニハ其ノ支払ヲ受クルコトヲ要セズ〉にいう重大な過失がある。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和44年9月12日 昭和43(オ)827
登載
集民 第96号553頁
参照法条
手形法77条1項3号,手形法40条3項
論点25第40条手形法

一 隠れたる取立委任裏書と手形上の権利移転の有無
二 裏書の連続を欠く手形上の権利行使の許否

裁判要旨一 隠れたる取立委任裏書により、手形上の権利は、裏書人から被裏書人へ移転するものと解すべきである。
二 手形所持人は、たとえ手形が裏書の連続を欠くため形式的資格を有しなくても、実質的権利を証明するときは、手形上の権利を行使することができる。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和31年2月7日 昭和29(オ)86
登載
民集 第10巻2号27頁
参照法条
手形法14条,手形法18条,手形法40条3項,手形法77条1項1号,手形法16条1項,手形法77条1項1号3号
原

条文原文

原文ママ

e-Gov法令検索から取得した原文を、号・イロハまで省略せずに掲載しています。

手形法 第38条 詳細ページ
第三十八条確定日払、日附後定期払又ハ一覧後定期払ノ為替手形ノ所持人ハ支払ヲ為スベキ日又ハ之ニ次グ二取引日内ニ支払ノ為手形ヲ呈示スルコトヲ要ス
2手形交換所ニ於ケル為替手形ノ呈示ハ支払ノ為ノ呈示タル効力ヲ有ス
手形法 第39条 詳細ページ
第三十九条為替手形ノ支払人ハ支払ヲ為スニ当リ所持人ニ対シ手形ニ受取ヲ証スル記載ヲ為シテ之ヲ交付スベキコトヲ請求スルコトヲ得
2所持人ハ一部支払ヲ拒ムコトヲ得ズ
3一部支払ノ場合ニ於テハ支払人ハ其ノ支払アリタル旨ノ手形上ノ記載及受取証書ノ交付ヲ請求スルコトヲ得
手形法 第40条 詳細ページ
第四十条為替手形ノ所持人ハ満期前ニハ其ノ支払ヲ受クルコトヲ要セズ
2満期前ニ支払ヲ為ス支払人ハ自己ノ危険ニ於テ之ヲ為スモノトス
3満期ニ於テ支払ヲ為ス者ハ悪意又ハ重大ナル過失ナキ限リ其ノ責ヲ免ル此ノ者ハ裏書ノ連続ノ整否ヲ調査スル義務アルモ裏書人ノ署名ヲ調査スル義務ナシ
手形法 第41条 詳細ページ
第四十一条支払地ノ通貨ニ非ザル通貨ヲ以テ支払フベキ旨ヲ記載シタル為替手形ニ付テハ満期ノ日ニ於ケル価格ニ依リ其ノ国ノ通貨ヲ以テ支払ヲ為スコトヲ得債務者ガ支払ヲ遅滞シタルトキハ所持人ハ其ノ選択ニ依リ満期ノ日又ハ支払ノ日ノ相場ニ従ヒ其ノ国ノ通貨ヲ以テ為替手形ノ金額ヲ支払フベキコトヲ請求スルコトヲ得
2外国通貨ノ価格ハ支払地ノ慣習ニ依リ之ヲ定ム但シ振出人ハ手形ニ定メタル換算率ニ依リ支払金額ヲ計算スベキ旨ヲ記載スルコトヲ得
3前二項ノ規定ハ振出人ガ特種ノ通貨ヲ以テ支払フベキ旨(外国通貨現実支払文句)ヲ記載シタル場合ニハ之ヲ適用セズ
4振出国ト支払国トニ於テ同名異価ヲ有スル通貨ニ依リ為替手形ノ金額ヲ定メタルトキハ支払地ノ通貨ニ依リテ之ヲ定メタルモノト推定ス
手形法 第42条 詳細ページ
第四十二条第三十八条ニ規定スル期間内ニ為替手形ノ支払ノ為ノ呈示ナキトキハ各債務者ハ所持人ノ費用及危険ニ於テ手形金額ヲ所轄官署ニ供託スルコトヲ得
出

一次情報

原文ママ

条文は e-Gov法令検索、判例は裁判所ウェブサイトから取得しています。