論点1第1条手形法
振出日白地の確定日払の為替手形の取立委任を受けた銀行に白地補充等の義務がないとされた事例
裁判要旨振出日白地の確定日払の為替手形の取立委任を受けた銀行と取立委任者との間に白地補充について特段の合意がなく、かつ、各種金融機関が取立委任を受ける確定日払の手形には振出日白地のものが多数あり、金融機関は、手形所持人に白地補充を促したり、自ら補充したりしないでそのまま取立に回すのが慣習であり、手形交換所の定めにおいても確定日払の手形の振出日の白地は「形式的不備」に該当しないものとされていたなど、原判示の事実関係のもとにおいては、銀行は委任者に対し、右白地の補充を促し又は自ら補充する義務を負うものではない。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和55年10月14日 昭和54(オ)771
- 登載
- 集民 第131号1頁
- 参照法条
- 手形法1条7号,手形法10条,手形法18条,民法644条
論点2第1条手形法
手形の書替により新旧両手形の所持人となつた者が一方の手形の支払を受けた場合と他方の手形の支払請求の可否
裁判要旨支払延期のため旧手形がこれを回収せずに新手形に書き替えられた場合に、新旧両手形の所持人となつた者が新手形を書替手形と知つて取得した悪意の取得者であるときは、右所持人は、いずれか一方の手形の支払を受けたのちに、振出人に対し重ねて他方の手形の支払を求めることはできない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和54年10月12日 昭和53(オ)1375
- 登載
- 集民 第128号1頁
- 参照法条
- 手形法1条,手形法17条,手形法77条1項
論点3第1条手形法
平年における二月二九日を満期とする手形の記載の趣旨
裁判要旨平年における二月二九日を満期とする手形の記載は、二月末日を満期として記載した趣旨と解するのが相当である。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和44年3月4日 昭和43(オ)1079
- 登載
- 民集 第23巻3号586頁
- 参照法条
- 手形法1条4号,手形法2条2項,手形法75条3号,手形法76条2項
論点4第1条手形法
同一債権の支払方法として引き受けられた新旧二通の為替手形を所持する債権者の旧手形に基づく権利行使が認められた事例
裁判要旨(省略)
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和43年2月1日 昭和42(オ)1000
- 登載
- 集民 第90号187頁
- 参照法条
- 手形法1条,手形法17条
論点5第1条手形法
為替手形の支払呈示期間経過後に支払場所にした呈示の効力
裁判要旨為替手形の支払呈示期間経過後における支払のための呈示は、支払地内にある手形の主たる債務者の営業所または住所においてすることを要し、支払場所に呈示しても、手形債務者を遅滞に付する効力を有しない。
- 裁判
- 最高裁判所大法廷 昭和42年11月8日 昭和38(オ)1240
- 登載
- 民集 第21巻9号2300頁
- 参照法条
- 手形法1条,手形法4条,手形法38条,商法516条2項,商法517条
論点6第1条手形法
振出日白地の確定日払手形による呈示の効力
裁判要旨確定日払の手形の所持人は、振出日白地のまま満期に支払のため呈示したとしても、裏書人に対する手形上の権利を行使することができない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和41年10月13日 昭和39(オ)960
- 登載
- 民集 第20巻8号1632頁
- 参照法条
- 手形法1条,手形法38条,手形法43条
論点7第1条手形法
名宛人に寄託中に寄託の趣旨に反して流通におかれた約束手形の振出の効力。
裁判要旨約束手形の振出人が、その自由意思により手形を名宛人に寄託中、その物が寄託の趣旨に反して流通に置いた場合、振出人は第三者に対し振出行為を否定することはできない。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和40年6月1日 昭和40(オ)7
- 登載
- 集民 第79号283頁
- 参照法条
- 手形法1条
論点8第1条手形法
会社が商業登記簿上の名称以外の名称を用いて振り出した手形が当該会社提出の手形と認められた事例。
裁判要旨商業登記簿上の名称が「D(平仮名)林業株式会社」である会社が営業上「D林業株式会社」の名称を用いるのを常とし、手形取引においてもその名称を用いていた場合、右名称を用いて振り出した手形は右会社振出の手形として有効である。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和39年4月17日 昭和38(オ)45
- 登載
- 民集 第18巻4号543頁
- 参照法条
- 手形法1条,手形法75条7号,商法16条
論点9第1条手形法
支払延期のため新手形の振出と旧手形上の権利。
裁判要旨支払延期のために、旧手形の回収なしに、新手形が振出された場合、所持人は新旧両手形上の権利を有する。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和37年6月8日 昭和35(オ)379
- 登載
- 集民 第61号91頁
- 参照法条
- 手形法1条,手形法17条
論点10第1条手形法
手形振出に動機の錯誤がある場合と手形振出行為の効力
裁判要旨手形振出の動機に重大な錯誤があり、それが一般には要素の錯誤とみられるとしても、手形振出行為自体の効力を左右するものではない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和37年3月23日 昭和36(オ)1349
- 登載
- 集民 第59号603頁
- 参照法条
- 民法95条,手形法1条
論点11第1条手形法
手形の書替により旧手形に基く債務は消滅するか
裁判要旨手形の書替がなされた場合、その目的が支払延期のためであり、かつ旧手形はこれを新手形の見返り担保とする意味で回収されなかつた以上、旧手形に基く債務は、直接の当事者間においても、右書替により消滅することはない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和31年4月27日 昭和29(オ)802
- 登載
- 民集 第10巻4号459頁
- 参照法条
- 手形法1条,手形法17条
論点12第1条手形法
一 手形書替の性質
二 手形書替後における旧手形の効力
三 手形書替後における手形金の請求方法
四 手形行為と民法第九五条の適用
裁判要旨一 手形の書替は、旧手形を現実に回収して発行する等特別の事情のない限り、単に旧手形債務の支払を延長するためになされるものと解すべきである。
二 旧手形が新手形に書き替えられても、旧手形は当然に無効となるものではない。
三 旧手形債務の支払を延長するために手形の書替が行われたときは、新手形の所持人は、新手形のみにて手形金の請求をすることができる。
四 手形の書替にあたり、旧手形が返還されるものと誤信して新手形を振出したとしても、手形振出の要素に錯誤があるということはできない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和29年11月18日 昭和26(オ)603
- 登載
- 民集 第8巻11号2052頁
- 参照法条
- 手形法1条,民法95条
論点13第2条手形法
誤記のある手形が後日訂正によつて有効となつた場合、振出交付行為は最初のときか、訂正の時か、
裁判要旨誤記して振出した手形も、後日訂正によつて完全な手形となりうる可能性がある以上、振出交付行為自体は振出人が手形に署名し相手方に交付した時にあると解すべきである。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和37年12月21日 昭和35(オ)734
- 登載
- 集民 第63号825頁
- 参照法条
- 手形法2条,手形法10条
論点14第4条手形法
約束手形の支払地「東京都」なる記載が適法とされた事例
裁判要旨支払地「東京都」、支払場所「自宅払」、振出地「東京都」、振出人「東京都世田谷区a町b番地『甲』、千葉県野田市cd番地『て』なる記載のある約束手形の支払地は東京都世田谷区と解するのを相当とする。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和37年2月20日 昭和34(オ)974
- 登載
- 民集 第16巻2号341頁
- 参照法条
- 手形法75条,手形法76条1項,手形法76条第3項,手形法76条第4項,手形法77条2項,手形法4条
論点15第6条手形法
一 「壱百円」の記載と手形法六条一項にいう文字をもつてした記載
二 金額を「壱百円」及び「¥1,000,000―」と記載した約束手形の手形金額が一〇〇円と認められた事例
裁判要旨一 約束手形の金額欄の「壱百円」の記載は、手形法
六条一項〈為替手形ノ金額ヲ文字及数字ヲ以テ記載シタル場合ニ於テ其ノ金額ニ差異アルトキハ文字ヲ以テ記載シタル金額ヲ手形金額トス〉にいう文字をもつてした記載に当たる。
二 金額欄に文字で「壱百円」と記載され、その右上段に数字で「¥1,000,000―」と記載されている約束手形の手形金額は、一〇〇円が手形金額としてはほとんどありえない低額であり、右手形に一〇〇円の収入印紙が貼付されているとしても、一〇〇円と解するのが相当である。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和61年7月10日 昭和57(オ)1175
- 登載
- 民集 第40巻5号925頁
- 参照法条
- 手形法6条1項,手形法77条2項
論点16第7条手形法
約束手形の振出人名義が偽造であるとされた事実関係のもとで振出名義人本人の追認が認められた事例
裁判要旨約束手形の振出人名義がその記名捺印の冒用による偽造であるとされた事実関係(原判決理由参照)のもとで、振出名義人本人の追認があれば、振出の当初からその効力が本人に及ぶものと解して妨げない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和41年7月1日 昭和40(オ)1127
- 登載
- 集民 第84号1頁
- 参照法条
- 手形法7条,手形法8条
論点17第7条手形法
商法第二六五条違反の為替手形と裏書人の責任。
裁判要旨為替手形の振出行為、引受行為が商法第二六五条違反によつて無効であるとしても、裏書行為自体に何らの瑕疵もない以上、裏書人の責任に消長をきたさない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和38年10月3日 昭和35(オ)574
- 登載
- 集民 第68号125頁
- 参照法条
- 商法265条,手形法7条
論点18第7条手形法
中間裏書の実質的無効と手形所持人の権利取得。
裁判要旨第一裏書が実質的要件を欠くため無効であつても、第二裏書により手形を取得した手形所持人は、取得に際し善意かつ重大な過失がないときは、振出人に対する手形上の権利を取得する。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和36年6月23日 昭和32(オ)169
- 登載
- 民集 第15巻6号1669頁
- 参照法条
- 手形法16条2項,手形法7条
論点19第7条手形法
手形法第七条〈為替手形ニ手形債務ノ負担ニ付キ行為能力ナキ者ノ署名、偽造ノ署名、仮設人ノ署名又ハ其ノ他ノ事由ニ因リ為替手形ノ署名者若ハ其…〉による署名者の責任と取得者の悪意
裁判要旨手形法
第七条〈為替手形ニ手形債務ノ負担ニ付キ行為能力ナキ者ノ署名、偽造ノ署名、仮設人ノ署名又ハ其ノ他ノ事由ニ因リ為替手形ノ署名者若ハ其…〉による裏書人の手形上の責任は、取得者の悪意により消長を来たさないと解すべきである。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和33年3月20日 昭和32(オ)926
- 登載
- 民集 第12巻4号583頁
- 参照法条
- 手形法7条
論点20第7条手形法
無権限の署名代理による手形振出と民法第一〇九条の適用の有無
裁判要旨甲が乙から手形振出の代理権を与えられたものと誤信し、その権限がないのに乙の記名印および認印を使用して、乙名義の手形を振り出した場合には、右手形は無権代理行為として振り出されたものであつて、民法第一〇九条は、この場合にも適用があるものと解すべきである。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和32年2月7日 昭和30(オ)71
- 登載
- 民集 第11巻2号227頁
- 参照法条
- 手形法7条,手形法8条,民法109条
論点21第8条手形法
前任の代表者名義を用いてされた手形振出行為が有効とされた事例
裁判要旨会社の現代表者から手形振出に必要な権限を授与された者が、右権限に基づき現代表者を表示する名称として前代表者の名称を用いて手形を振り出したときは、右会社は手形の振出人としての責任を負う。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和61年12月19日 昭和58(オ)699
- 登載
- 集民 第149号379頁
- 参照法条
- 手形法8条
論点22第8条手形法
手形偽造者の悪意の取得者に対する手形上の責任
裁判要旨手形を偽造した者は、その取得者が悪意であるときは、手形法
八条〈代理権ヲ有セザル者ガ代理人トシテ為替手形ニ署名シタルトキハ自ラ其ノ手形ニ因リ義務ヲ負フ其ノ者ガ支払ヲ為シタルトキハ本人ト…〉の規定の類推適用がなく、右取得者に対し手形上の責任を負わない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和55年9月5日 昭和55(オ)375
- 登載
- 民集 第34巻5号667頁
- 参照法条
- 手形法8条,手形法77条2項
論点23第8条手形法
手形行為の表見代理における第三者
裁判要旨民法一一〇条に第三者とあるのは代理人と法律行為をした直接の相手方をいうものと解すべきであり、権限のない者の振り出した約束手形につき、本人が民法一一〇条に基づき振出人とし,ての責任を負うべきときは、受取人からその手形の裏書譲渡を受けた者に対しても、その者の善意悪意を問わず、振出人としての責任を免れえないものと解するのが相当である。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和52年12月9日 昭和52(オ)487
- 登載
- 集民 第122号313頁
- 参照法条
- 民法110条,手形法8条
論点24第8条手形法
手形偽造と手形法八条の類推適用
裁判要旨手形を偽造した者は、手形法
八条〈代理権ヲ有セザル者ガ代理人トシテ為替手形ニ署名シタルトキハ自ラ其ノ手形ニ因リ義務ヲ負フ其ノ者ガ支払ヲ為シタルトキハ本人ト…〉の類推適用により手形上の責任を負うものと解するのが相当である。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和49年6月28日 昭和43(オ)942
- 登載
- 民集 第28巻5号655頁
- 参照法条
- 手形法8条,手形法77条2項
論点25第8条手形法
一、双方代理により振り出された約束手形と振出完成の時期
二、民法一〇八条に違反して振り出された約束手形の第三取得者に対する本人の手形上の責任
裁判要旨一、約束手形の振出人の代理人と受取人の代表者とが同一人であつて、手形の振出につき双方代理行為が成立するときは、振出行為の完成を留保すべき特段の事情のないかぎり、振出人の代理人として法定の形式に従つて手形の作成をおえた時に振出行為が完成し、その後は受取人の代表者の資格において手形を所持するにいたるものと解すべきである。
二、民法一〇八条に違反して約束手形が振り出された場合において、右手形が第三者に裏書譲渡されたときは、右第三者に対しては、本人は、その手形が双方代理行為によつて振り出されたものであることについて第三者が悪意であつたことを主張・立証しないかぎり、振出人としての責任を免れない。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和47年4月4日 昭和43(オ)813
- 登載
- 民集 第26巻3号373頁
- 参照法条
- 民法108条,手形法75条,手形法8条
論点26第8条手形法
手形の振出が法人のためにされたものであるとも代表者個人のためにされたものであるとも解しうる場合における法律関係
裁判要旨手形上の記載からは、手形の振出が法人のためにされたものであるとも、代表者個人のためにされたものであるとも解しうる場合には、手形所持人は、法人および代表者個人のいずれに対しても手形金の請求をすることができ、他方、請求を受けた者は、その振出が真実いずれの趣旨でされたかを知つていた直接の相手方に対しては、その旨の人的抗弁を主張することができる。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和47年2月10日 昭和46(オ)209
- 登載
- 民集 第26巻1号17頁
- 参照法条
- 手形法8条,手形法17条,手形法75条
論点27第8条手形法
手形偽造に民法第一一〇条の類推適用があるとされた事例
裁判要旨無権限者が機関方式により手形を振り出し本人名義の手形を偽造した場合であつても、右の手形振出が本人から付与された代理権の範囲をこえてなされたものであり、かつ、手形受取人において右無権限者が本人名義で手形を振り出す権限ありと信ずるにつき正当の理由がある等原審認定の事実関係(原判決理由参照)のもとにおいては、本人は、民法第一一〇条の類推適用により、右の手形について振出人としての責に任ずる。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和43年12月24日 昭和41(オ)1204
- 登載
- 民集 第22巻13号3382頁
- 参照法条
- 手形法8条,手形法77条2項,民法110条
論点28第8条手形法
一、手形行為は農業協同組合の目的たる事業の範囲に含まれるか
二、農業協同組合の参事が代理名義を用いず直接同組合の理事名義で手形を振出した場合の右手形の振出行為の効力
裁判要旨一、手形行為は、農業協同組合の目的たる事業の範囲に含まれると解すべきである。
二、農業協同組合の参事が代理名義を用いず、直接同組合の理事名義で手形を振出した場合、右手形の振出行為は組合の行為として有効である。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和43年10月31日 昭和42(オ)1329
- 登載
- 集民 第92号773頁
- 参照法条
- 農業協同組合法10条,農業協同組合法42条3項,民法43条,商法38条1項,手形法8条
論点29第8条手形法
手形行為と商法第二三条
裁判要旨銀行との当座預金取引および手形行為について自己の氏名商号の使用を許諾したにすぎない者は、右許諾を受けた者が許諾者名義で引き受けた為替手形につき、商法第二三条による責任を負わない。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和42年6月6日 昭和39(オ)815
- 登載
- 集民 第87号941頁
- 参照法条
- 商法23条,手形法8条
論点30第8条手形法
前任の代表者名義でなされた手形行為を有効とした判決に審理不尽理由不備の違法があるとされた事例
裁判要旨前任の代表者名義を用いてなされた手形振出行為を有効とした判決において、当該手形署名が代表権限ないし代理権限ある何びとによつてなされたものかの認定判示が明確でないときには審理不尽、理由不備の違法がある。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和41年12月15日 昭和40(オ)317
- 登載
- 集民 第85号659頁
- 参照法条
- 手形法8条,民訴法395条1項6号
論点31第8条手形法
他人名義の手形署名を行なう場合の法律関係。
裁判要旨手形の署名自体は、事実行為であつて意思表示ではないから、これにつき代理はありえない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和40年12月10日 昭和40(オ)749
- 登載
- 集民 第81号405頁
- 参照法条
- 手形法8条,民法99条
論点32第8条手形法
いわゆる署名代理の方法により振り出された約束手形を本人みずから振り出したものと信じた場合における民法第一一〇条の類推適用の有無。
裁判要旨代理人が代理権の範囲を越えいわゆる署名代理の方法により振り出した約束手形について、受取人においてこれを本人みずから振り出した手形であると信じ、かつ、そのように信ずるにつき正当の理由があつたときは、本人は、民法第一一〇条の類推適用により、振出人としての責に任ずると解するのが相当である。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和39年9月15日 昭和37(オ)232
- 登載
- 民集 第18巻7号1435頁
- 参照法条
- 民法110条,手形法8条
論点33第8条手形法
超権代理人による手形の振出と民法第一一〇条の第三者。
裁判要旨約束手形が代理人によりその権限を超越して振り出された場合に、民法第一一〇条により、本人の手形の責任が生ずるためには、手形受取人において右代理人に振出の権限があるものと信ずべき正当の理由を有するときに限るのであって、右受取人にかかる事由のないときは、たとい、その後の手形所持人において右代理人に振出の権限があるものと信ずべき正当の理由を有していたとしても、同条を適用して右所持人に対する手形上の責任を振出人本人に負担させることはできないと解すべきである(大正一三年(オ)第六〇一号同一四年三月一二日大審院判決、民集四巻一二〇頁、昭和三二年(オ)第六二〇号同三六年一二月一二日第三小法廷判決・民集一五巻一一号二七五六頁参照)。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和39年6月26日 昭和37(オ)1311
- 登載
- 集民 第74号285頁
- 参照法条
- 手形法8条,民法110条
論点34第8条手形法
いわゆる署名代理による手形振出行為の有効性。
裁判要旨いわゆる署名代理による手形振出行為は有効であつて、本人が振出人として手形上の責任を負う。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和39年3月19日 昭和38(オ)581
- 登載
- 集民 第72号581頁
- 参照法条
- 手形法8条,手形法77条2項
論点35第8条手形法
手形署名代理は手形代理行為として有効か。
裁判要旨手形署名代理は、手形代理行為として有効である。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和38年6月4日 昭和37(オ)546
- 登載
- 集民 第66号397頁
- 参照法条
- 手形法8条
論点36第8条手形法
実在しない法人の代表者名義で約束手形を振り出した者の責任。
裁判要旨実在しない法人の代表者名義で約束手形を振り出した者は、手形法
第八条〈代理権ヲ有セザル者ガ代理人トシテ為替手形ニ署名シタルトキハ自ラ其ノ手形ニ因リ義務ヲ負フ其ノ者ガ支払ヲ為シタルトキハ本人ト…〉の類推適用により、右手形の振出人としての責任を負うべきである。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和38年11月19日 昭和37(オ)1003
- 登載
- 民集 第17巻11号1403頁
- 参照法条
- 手形法8条
論点37第8条手形法
代理人が本人名義の記名捺印をもつてした手形振出は有効か。
裁判要旨手形振出の代理権限を有する者が本人の記名捺印を代つてする権限をも与えられている場合に、本人名義の記名捺印をもつてした手形振出は、手形代理行為として有効である。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和37年7月6日 昭和36(オ)402
- 登載
- 民集 第16巻7号1491頁
- 参照法条
- 手形法8条,手形法77条2項
論点38第8条手形法
権限踰越の署名代理による手形振出と民法第一一〇条の適用
裁判要旨代理権限を踰越し署名代理の方法によつて約束手形が振出された場合にも、民法第一一〇条の適用がある。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和37年3月27日 昭和36(オ)282
- 登載
- 民集 第16巻3号632頁
- 参照法条
- 手形法8条,手形法77条2項,民法110条
論点39第8条手形法
法律上存在しない会社の取締役社長名義による約束手形の振出の効力
裁判要旨振出当時いまだ法律上存在しない会社の取締役社長何某として振出人欄に署名して振り出された約束手形は、右何某個人によつて振り出されたものと認めるものが相当である。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和37年2月15日 昭和32(オ)294
- 登載
- 集民 第58号605頁
- 参照法条
- 商法57条,手形法8条,手形法75条
論点40第8条手形法
商号変更に関する株主総会の決議前に、新商号のもとに振り出された約束手形につき会社が振出人としての責を負うとされた事例。
裁判要旨登記簿上A商号B目的代表取締役甲名義の株式会社が株主総会の決議なしに実際上C商号D目的代表取締役乙名義のもとに三ケ月余にわたつて取引活動をして来た場合、乙がC商号を使用し、その代表者として振り出した約束手形については、その後商号および目的の変更、乙の取締役選任の各決議がなされ、かつ乙が代表取締役に選任され、右につき各登記を経た上、乙の振出を会社が追認したときは、会社が振出人としての責を負うものと解すべきである。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和36年10月10日 昭和32(オ)783
- 登載
- 民集 第15巻9号2281頁
- 参照法条
- 手形法8条,手形法78条,商法12条,民法113条
論点41第8条手形法
商号変更および代表取締役就任の登記の未了と会社の代表取締役として約束手形の振出をした者の手形上の責任。
裁判要旨実在する会社の代表取締役として約束手形の振出をした者は、会社の商号変更および右代表取締役の就任につき登記がされていなくても、個人として手形上の責任を負うものではない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和35年4月14日 昭和32(オ)175
- 登載
- 民集 第14巻5号833頁
- 参照法条
- 手形法8条,商法12条
論点42第8条手形法
一 小切手振出の代理権消滅後の手形振出と本人の責任
二 手形の受取人に表見代理の成立する場合と所持人に対する本人の責任
裁判要旨一 当座勘定取引のため小切手を振出す代理権しかない者が、その代理権消滅後、代理人と称して約束手形を振出した場合に、受取人が右代理権の消滅につき善意無過失で、右の者に手形振出の権限があると信じるにつき正当の理由を有するときは、本人は受取人に対し振出人としての責任を免れない。
二 無権代理人の振出した約束手形につき、本人が民法第一一〇条及び第一一二条に基き振出人としての責任を負うときは、受取人からその手形の裏書譲渡を受けた者に対しても、その者の善意悪意を問わず、振出人としての責任を免れない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和35年12月27日 昭和30(オ)286
- 登載
- 民集 第14巻14号3234頁
- 参照法条
- 民法110条,民法112条,手形法8条,手形法14条
論点43第9条手形法
時を異にする手形の共同振出と再度の交付の要否。
裁判要旨振出によりすでに受取人の所持に帰した約束手形に共同振出人として署名した者は、あらためてこれを受取人に交付する行為がなくても、手形振出人としての債務を負担する。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和39年4月21日 昭和36(オ)652
- 登載
- 民集 第18巻4号552頁
- 参照法条
- 手形法9条1項,手形法78条1項
論点44第9条手形法
手形の呈示を伴わない催告による時効中断の効力の有無。
裁判要旨手形の呈示を伴わない催告にも、手形債権の時効を中断する効力がある。
- 裁判
- 最高裁判所大法廷 昭和38年1月30日 昭和35(オ)533
- 登載
- 民集 第17巻1号99頁
- 参照法条
- 民法147条1号,民法153条,手形法38条1項,手形法9条1項
論点45第9条手形法
一 手形の授受と既存債務の担保の推定。
二 既存債務の担保の手形と請求順序。
三 既存債務の担保の手形につき臨時財産調査令による財産申告を怠つた場合と既存債務の行使。
裁判要旨一 手形が既存債務の支払確保のため振り出された場合、当事者間に別段の意思表示がなく、且つ、債務者自身が手形上の唯一の義務者であるときは、右手形の授受は、既存債務の担保のためになされたものと推定するのが相当である。
二 手形が既存債務の担保のため授受せられた場合には、債権者は、既存の債権と手形上の権利とのいずれをも任意に選択して行使することができる。
三 手形が既存の貸金債務の担保のため授受せられた場合、その手形につき臨時財産調査令による財産申告を怠つたため、手形上の権利の行使ができなくなつても、既存の貸金債権を行使することは妨げない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和23年10月14日 昭和23(オ)12
- 登載
- 民集 第2巻11号376頁
- 参照法条
- 民法482条,手形法9条,臨時財産調査令(昭和21年勅令85号)2条1項3号,臨時財産調査令(昭和21年勅令85号)9条1項
論点46第10条手形法
白地手形による手形金請求を棄却する判決の確定後に白地部分を補充して手形上の権利の存在を主張することの許否
裁判要旨白地手形の所持人は、手形金請求の前訴において、事実審口頭弁論終結前に白地補充権を行使しえたのにこれを行使しないため手形要件を欠くとして請求棄却の判決を受け、これが確定したときは、特段の事情のない限り、その後に白地部分を補充しても、後訴において手形上の権利の存在を主張することは許されない。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和57年3月30日 昭和54(オ)110
- 登載
- 民集 第36巻3号501頁
- 参照法条
- 手形法10条,手形法77条2項,民訴法199条1項,民訴法545条2項(昭和54年法律第4号による改正前のもの),民事執行法35条2項
論点47第10条手形法
喪失した白地手形について除権判決を得た者と手形の再発行請求権
裁判要旨白地手形を喪失した者は、右手形について除権判決を得た場合でも、手形債務者に対し喪失手形と同一の内容の手形の再発行を請求する権利を有しない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和51年6月18日 昭和48(オ)574
- 登載
- 集民 第118号123頁
- 参照法条
- 手形法10条,民訴法785条
論点48第10条手形法
喪失した白地手形について除権判決を得た者と手形の再発行請求権
裁判要旨白地手形を喪失した者は、右手形について除権判決を得た場合でも、手形債務者に対し喪失手形と同一の内容の手形の再発行を請求する権利を有しない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和51年4月8日 昭和49(オ)584
- 登載
- 民集 第30巻3号183頁
- 参照法条
- 手形法10条,民訴法785条
論点49第10条手形法
受取人欄白地の手形の振出人とこれを補充した所持人との間に人的抗弁の対抗を受ける当事者としての関係がない場合
裁判要旨数人の手を経由して受取人欄白地の手形の交付を受けた所持人が受取人として自己の氏名を補充した場合、その手形上の形式的記載にかかわらず、右所持人は、振出人との関係においては、原因関係欠缺の人的抗弁の対抗を受ける直接の当事者にあたらない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和49年12月19日 昭和46(オ)876
- 登載
- 集民 第113号647頁
- 参照法条
- 手形法10条,手形法17条,手形法77条
論点50第10条手形法
一、銀行が当座勘定取引契約に基づき手形の印影を照合するにあたつて尽くすべき注意義務の程度
二、印影照合についての銀行の注意義務と免責約款の効力
三、当座勘定取引契約に基づき手形の支払委託をうけた銀行が振出日欄白地の約束手形を支払つた場合における取引先に対する効力
裁判要旨一、銀行が、当座勘定取引契約に基づき、届出の印鑑と手形上の印影とを照合するにあたつては、銀行の照合事務担当者に対して社会通念上一般に期待されている業務上相当の注意をもつて慎重に行なうことを要し、右事務に習熟している銀行員が右のような注意を払つて熟視するならば肉眼で発見しうるような印影の相違が看過されて偽造手形が支払われたときは、その支払による不利益を取引先に帰せしめることは許されない。
二、銀行が手形の印影と届出印鑑とが符合すると認めて支払をした場合は責任を負わない旨の当座勘定取引契約上の免責約款は、銀行が手形の印影照合にあたつて尽くすべき前項の注意義務を軽減する趣旨のものではない。
三、当座勘定取引契約上の支払委託は、特段の事情のないかぎり、振出日欄白地の確定日払の約束手形の支払を含む趣旨とは解されず、銀行が、支払委託の有無を確認するための相当な方法をとることなく、右白地手形の支払をしたときは、その結果を取引先に帰属させることは許されない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和46年6月10日 昭和42(オ)64
- 登載
- 民集 第25巻4号492頁
- 参照法条
- 民法644条,手形法10条,手形法75条,手形法77条2項
論点51第10条手形法
喪失した白地手形について除権判決を得た者と手形上の権利行使
裁判要旨白地手形を喪失し除権判決を得た者は、手形債務者から手形の再発行を得て白地を補充したうえ請求するのであれば格別、除権判決を得たことのみを主張して手形金の支払を求めることはできない。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和45年2月17日 昭和44(オ)967
- 登載
- 集民 第98号209頁
- 参照法条
- 手形法10条,民訴法785条
論点52第10条手形法
一、振出日白地の手形による訴提起と時効中断
二、満期が記載されている白地手形の白地補充権の消滅時効
裁判要旨一、振出日白地の約束手形の所持人が、その満期から三年以内に、振出人に対して、右白地部分を補充しないまま手形金請求の訴を提起し、その後右訴の事実審口頭弁論終結時までに右白地部分を補充したときは、たとえその補充の時が満期から三年を経過したのちであつたとしても、右手形上の権利の時効は、右訴の提起の時に中断されたものと解すべきである。
二、満期が記載されている白地手形の白地補充権は、手形上の権利と別個独立に時効によつて消滅するものではなく、手形上の権利が消滅しないかぎりこれを行使しうるものと解すべきである。
- 裁判
- 最高裁判所大法廷 昭和45年11月11日 昭和43(オ)753
- 登載
- 民集 第24巻12号1876頁
- 参照法条
- 手形法10条,手形法70条1項,手形法71条,手形法77条1項,民法149条
論点53第10条手形法
喪失した白地手形について除権判決を得た者と手形上の権利の行使
裁判要旨喪失した白地手形について除権判決がなされても、右判決によつて当該白地手形自体が復活するわけではないから、それのみでは白地を補充して手形上の権利を行使することはできない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和44年3月20日 昭和43(オ)668
- 登載
- 集民 第94号623頁
- 参照法条
- 手形法10条,民訴法785条
論点54第10条手形法
満期白地の手形の補充権の消滅時効期間
裁判要旨満期白地の手形の補充権は、五年の時効によつて消滅する。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和44年2月20日 昭和43(オ)709
- 登載
- 民集 第23巻2号427頁
- 参照法条
- 商法522条,手形法10条,手形法77条1項8号,手形法70条1項
論点55第10条手形法
一、喪失した白地手形について除権判決を得た者と手形上の権利の行使
二、喪失した白地手形について除権判決を得た者が手形外でする白地補充の意思表示の効果
裁判要旨一、白地手形を喪失した所持人は、除権判決を得ただけでは、白地を補充して手形上の権利の行使をすることができない。
二、喪失した白地手形について除権判決を得た所持人が手形外で白地補充の意思表示をしても、これにより白地補充の効力が生ずるとはいえない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和43年4月12日 昭和42(オ)1403
- 登載
- 民集 第22巻4号911頁
- 参照法条
- 手形法10条,民訴法785条
論点56第10条手形法
受取人欄白地の手形による支払のための呈示の効力
裁判要旨白地手形による支払のための呈示は無効であつてその呈示期間経過後の補充により右呈示が遡つて有効になるものでないことは当裁判所の判例であり(昭三三年三月七日第二小法廷判決、民集一二巻三号五一一頁)、右につき、受取人欄白地の手形を別異に解することはできない。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和43年10月8日 昭和43(オ)679
- 登載
- 集民 第92号501頁
- 参照法条
- 手形法38条,手形法53条,手形法10条,手形法77条
論点57第10条手形法
一 約束手形の満期の記載が変造された場合と変造前の文言の立証責任
二 手形金額の白地補充権の濫用と悪意重過失についての立証責任
裁判要旨一 約束手形の満期の記載が変造された場合には、変造前の文言については、手形所持人が立証責任を負う。
二 約束手形の金額欄の白地の補充について、第三者が、補充権に関する合意に反することを知り、または重過失により知らないで、右白地を補充したこと、または右合意に反して補充された手形を取得したことの立証責任は、振出人が負う。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和42年3月14日 昭和39(オ)1223
- 登載
- 民集 第21巻2号349頁
- 参照法条
- 手形法77条1項7号,手形法77条2項,手形法69条,手形法10条
論点58第10条手形法
受取人白地の約束手形による手形金請求の許否。
裁判要旨受取人白地のままの約束手形によつては、手形金の請求をすることはできない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和41年6月16日 昭和41(オ)329
- 登載
- 民集 第20巻5号1046頁
- 参照法条
- 手形法10条,手形法38条
論点59第10条手形法
白地補充権なくして白地要件が補充された約束手形につき振出人に手形金支払義務があるとされた事例
裁判要旨会社の資力を仮装するため単に見せ手形として使用する約束のもとに振出人欄に記名押印し振出日および受取人欄を空欄として交付された約束手形につき、相手方が約旨に反して右空欄を補充した場合であつても、さらに裏書譲渡を受けた所持人が悪意重過失なくして右約束手形を取得したものである以上、振出人は所持人に対して手形金支払義務を負うものと解すべきである。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和41年12月1日 昭和41(オ)586
- 登載
- 集民 第85号489頁
- 参照法条
- 手形法77条2項,手形法10条
論点60第10条手形法
白地手形による訴提起と時効の中断
裁判要旨白地手形のまま手形金請求の訴を提起した場合でも、右訴提起の時に時効の中断があつたものと解すべきである。
- 裁判
- 最高裁判所大法廷 昭和41年11月2日 昭和38(オ)1301
- 登載
- 民集 第20巻9号1674頁
- 参照法条
- 手形法10条,手形法71条,民法149条
論点61第10条手形法
所持人が白地手形の補充をした場合と手形法第一〇条の適用
裁判要旨手形法
第一〇条〈未完成ニテ振出シタル為替手形ニ予メ為シタル合意ト異ル補充ヲ為シタル場合ニ於テハ其ノ違反ハ之ヲ以テ所持人ニ対抗スルコトヲ得…〉の規定は、白地手形を取得した所持人が自ら補充に関する合意と異なる補充をした場合にも、適用される。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和41年11月10日 昭和41(オ)407
- 登載
- 民集 第20巻9号1756頁
- 参照法条
- 手形法10条
論点62第10条手形法
白地補充権の消滅時効期間。
裁判要旨約束手形の白地補充権は五年の短期消滅時効にかかるものと解するのを相当とする。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和38年7月16日 昭和37(オ)645
- 登載
- 集民 第67号75頁
- 参照法条
- 手形法10条,商法522条
論点63第10条手形法
一 小切手法第一三条の適用。
二 白地小切手補充権の消滅時効期間。
裁判要旨一 小切手法第一三条は、善意でかつ重過失なくして白地小切手を取得した所持人が自ら予めなされた合意と異なる補充をした場合にも適用があるものと解すべきである。
二 振出日白地の小切手の補充権は、五年の時効によつて消滅する。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和36年11月24日 昭和33(オ)843
- 登載
- 民集 第15巻10号2536頁
- 参照法条
- 小切手法13条,手形法10条,商法522条
論点64第10条手形法
白地手形による支払のための呈示の効力
裁判要旨白地手形による支払のための呈示は無効であり、その呈示期間経過後の補充により右呈示が遡つて有効になるものではない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和33年3月7日 昭和31(オ)529
- 登載
- 民集 第12巻3号511頁
- 参照法条
- 手形法38条,手形法53条,手形法10条
論点65第10条手形法
白地手形の満期が補充された場合とその他の手形要件の白地補充権の消滅時効
裁判要旨満期及びその他の手形要件を白地として振り出された手形の満期が補充された場合は、右手形のその他の手形要件の白地補充権は、手形上の権利と別個独立に時効によって消滅することなく、手形上の権利が消滅しない限りこれを行使することができる。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 平成5年7月20日 平成3(オ)1715
- 登載
- 民集 第47巻7号4652頁
- 参照法条
- 手形法10条,手形法70条1項,手形法77条1項