民事保全法 / テーマ別まとめ

保全命令/仮処分命令

仮処分命令の条文と、裁判所が付した判示事項から整理しています。

原文解釈このページは論点を軸に条文と判例を横断して整理したものです。論点の名称と構成は当サイトの整理であり、条文上の区分ではありません。リード文・要点・比較表も当サイトによる解釈です。条文原文と判例の判示事項・裁判要旨は転記です。

仮処分命令は、係争物の現状変更で権利行使ができなくなる等のおそれがある場合(係争物仮処分)と、争いある権利関係について著しい損害・急迫の危険を避ける必要がある場合(仮の地位仮処分)に発することができます。裁判所は目的達成のため必要な処分を命じることができ、金銭による解決が可能な場合には解放金の額を定めることもできます。

仮処分命令
類型発令要件主な内容
係争物仮処分現状変更で権利実行不能・著しい困難のおそれ目的物の現状維持等
仮の地位仮処分著しい損害又は急迫の危険を避ける必要暫定的な地位の付与
仮処分の方法(共通)行為の命令・禁止、給付命令、保管人選任等
仮処分解放金保全すべき権利が金銭給付目的の場合供託額を仮処分命令で指定
  • 仮の地位仮処分は原則、口頭弁論又は債務者立会いの審尋期日を経る必要があるが、それでは目的を達成できない事情があるときは不要。
  • 仮処分解放金を定めるには、あらかじめ債権者の意見を聴く必要がある。
  • 仮処分解放金の供託場所については、第22条第2項の規定が準用される。
  • 仮の地位仮処分については第20条第2項の規定が準用される。
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仮処分命令

仮処分命令について、条文は何を定めているか。

第23条仮処分命令の必要性等仮処分を出せる2つの場面を定める4項判例 3件
  • 現状が変わると権利を実行できなくなる、または実行が著しく困難になるおそれがあるとき(係争物仮処分)
  • 争いある権利関係で著しい損害や急迫の危険を避ける必要があるとき(仮の地位仮処分)
  • 仮の地位仮処分は原則、口頭弁論か債務者立会いの審尋期日を経てから発令
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第24条仮処分の方法裁判所が命じられる処分の内容を定める1項判例 1件
  • 債務者への行為の命令・禁止、給付命令、保管人による目的物の保管その他必要な処分ができる
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第25条仮処分解放金金銭で解決できる場合の解放金を定める2項判例なし
  • 保全すべき権利が金銭支払で目的を達せられる場合に限り、供託金額を仮処分命令で定められる
  • 定めるには債権者の意見を聴く必要がある
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論

主要な論点と判例

原文ママ

論点の見出しと結論は、裁判所が付した判示事項・裁判要旨をそのまま転記しています。文中の〈 〉内は条文の見出しを当サイトが補ったものです。

論点1第23条民事保全法

特許権又は専用実施権の侵害差止めを求める仮処分事件において特許法105条の4第1項に基づく秘密保持命令の申立てをすることの許否

裁判要旨特許権又は専用実施権の侵害差止めを求める仮処分事件は,特許法105条の4第1項柱書き本文に規定する「特許権又は専用実施権の侵害に係る訴訟」に該当し,上記仮処分事件においても,同項に基づく秘密保持命令の申立てをすることが許される。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成21年1月27日 平成20(許)36
登載
民集 第63巻1号271頁
参照法条
特許法100条1項,特許法105条の4第1項,民事保全法23条2項
論点2第23条民事保全法

第三者との間で会社の営業の移転等に関する協議を行うことなどの差止めを求める仮処分命令の申立てについて保全の必要性を欠くとされた事例

裁判要旨甲社と乙社らとの間で乙社らグループから甲社グループに対する乙社の営業の移転等から成る事業再編等に関して交わされた基本合意書中に,第三者との間で基本合意の目的と抵触し得る取引等に係る協議を行わないことなどを相互に約する旨の条項があり,甲社が,乙社らにおいてこの条項に違反したことなどを理由として,乙社らが第三者との間で上記営業の移転等に関する協議を行うことなどの差止めを求める仮処分命令の申立てをした場合において,乙社らが上記条項に違反することにより甲社が被る損害は,上記基本合意に基づく最終的な合意が成立するとの期待が侵害されることによるものにとどまり,事後の損害賠償によっては償えないほどのものとまではいえないこと,甲社と乙社らとの間で上記最終的な合意が成立する可能性は相当低いこと,上記申立てが認められた場合に乙社らが被る損害は相当大きなものと解されることなど判示の事情の下では,上記申立ては,保全の必要性を欠く。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成16年8月30日 平成16(許)19
登載
民集 第58巻6号1763頁
参照法条
民事保全法23条2項,民事保全法24条
論点3第23条民事保全法

1筆の土地の一部分についての所有権移転登記請求権を有する債権者が当該登記請求権を被保全権利として当該土地の全部について処分禁止の仮処分命令の申立てをした場合における保全の必要性の有無

裁判要旨1筆の土地の一部分についての所有権移転登記請求権を有する債権者が当該登記請求権を被保全権利として当該土地の全部について処分禁止の仮処分命令の申立てをした場合に、当該債権者において当該一部分について分筆の登記の申請をすることができない又は著しく困難であるなどの特段の事情が認められるときは、当該仮処分命令は、当該土地の全部についてのものであることをもって直ちに保全の必要性を欠くものではない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 令和5年10月6日 令和5(許)9
登載
民集 第77巻7号1631頁
参照法条
民事保全法23条1項、民事保全法53条1項
原

条文原文

原文ママ

e-Gov法令検索から取得した原文を、号・イロハまで省略せずに掲載しています。

民事保全法 第23条(仮処分命令の必要性等) 詳細ページ
(仮処分命令の必要性等)
第二十三条係争物に関する仮処分命令は、その現状の変更により、債権者が権利を実行することができなくなるおそれがあるとき、又は権利を実行するのに著しい困難を生ずるおそれがあるときに発することができる。
2仮の地位を定める仮処分命令は、争いがある権利関係について債権者に生ずる著しい損害又は急迫の危険を避けるためこれを必要とするときに発することができる。
3第二十条第二項の規定は、仮処分命令について準用する。
4第二項の仮処分命令は、口頭弁論又は債務者が立ち会うことができる審尋の期日を経なければ、これを発することができない。ただし、その期日を経ることにより仮処分命令の申立ての目的を達することができない事情があるときは、この限りでない。
民事保全法 第24条(仮処分の方法) 詳細ページ
(仮処分の方法)
第二十四条裁判所は、仮処分命令の申立ての目的を達するため、債務者に対し一定の行為を命じ、若しくは禁止し、若しくは給付を命じ、又は保管人に目的物を保管させる処分その他の必要な処分をすることができる。
民事保全法 第25条(仮処分解放金) 詳細ページ
(仮処分解放金)
第二十五条裁判所は、保全すべき権利が金銭の支払を受けることをもってその行使の目的を達することができるものであるときに限り、債権者の意見を聴いて、仮処分の執行の停止を得るため、又は既にした仮処分の執行の取消しを得るために債務者が供託すべき金銭の額を仮処分命令において定めることができる。
2第二十二条第二項の規定は、前項の金銭の供託について準用する。
出

一次情報

原文ママ

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