民事保全法 / テーマ別まとめ

保全命令に関する手続/保全異議

保全異議の条文と、裁判所が付した判示事項から整理しています。

原文解釈このページは論点を軸に条文と判例を横断して整理したものです。論点の名称と構成は当サイトの整理であり、条文上の区分ではありません。リード文・要点・比較表も当サイトによる解釈です。条文原文と判例の判示事項・裁判要旨は転記です。

保全命令(仮差押え・仮処分)を受けた債務者が、命令を出した裁判所に不服(保全異議)を申し立てる手続を定めています。異議申立て中の執行停止や事件の移送、審理の進め方、異議に対する決定(認可・変更・取消)とその効力までの流れを整理しています。取消しに伴う原状回復や取下げ、判事補の権限といった付随的な規律も含みます。

保全異議
場面主体内容
異議の申立て債務者命令を出した裁判所に申立て
執行停止の裁判裁判所担保を条件に停止・取消命令
事件の移送裁判所遅滞回避等で他庁へ移送
審理の方式裁判所口頭弁論か双方立会審尋が必要
審理終結裁判所猶予期間を置き終結日を決定
異議の決定裁判所認可・変更・取消のいずれか
原状回復裁判所引渡物・金銭等の返還命令
取消決定の効力裁判所送達後2週間以内で効力発生日を指定可
異議の取下げ債務者債権者の同意は不要
判事補の権限―単独で決定できない
  • 27条の執行停止は、取消原因が明らかな事情と執行による償えない損害のおそれの両方につき疎明が必要。
  • 抗告裁判所が保全命令を出し、記録が原裁判所にあるときは原裁判所も執行停止の裁判ができる(27条2項)。
  • 27条1項・32条1項の裁判に対しては不服を申し立てられない。
  • 32条2項は、担保の追加や増額を保全執行の実施・続行の条件とする定めができる旨の規定。
  • 32条4項により16条本文・17条の規定が準用される。
  • 34条の効力発生の繰延べ宣言は、その決定に対して保全抗告ができない場合には適用されない。
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保全異議

保全異議について、条文は何を定めているか。

第26条保全異議の申立て債務者が保全異議を申し立てられる1項判例なし
  • 保全命令を出した裁判所に対して異議を申し立てる
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第27条保全執行の停止の裁判等要件を満たせば執行停止を求められる5項判例なし
  • 取消原因が明らかな事情と、執行で償えない損害のおそれの両方の疎明が必要
  • 担保を立てさせて、または立てることを条件に停止・取消処分ができる
  • 抗告裁判所が命令を出し記録が原裁判所にあれば原裁判所も停止裁判可
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第28条事件の移送遅滞防止などのため他裁判所へ移送できる1項判例なし
  • 住所等の事情を考慮し著しい遅滞回避や当事者間の衡平のため移送
  • 申立てにより、または裁判所の職権で移送できる
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第29条保全異議の審理口頭弁論か双方立会の審尋が必要1項判例なし
  • 書面だけでは決定できず、当事者双方が立ち会える期日が必須
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第30条この条文は削除されている1項判例なし
  • 現在は条文が存在しない(削除)
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第31条審理の終結審理終結には猶予期間を置く1項判例なし
  • 相当な猶予期間を置いて終結日を決定するのが原則
  • 双方立会いの期日ではその場で直ちに終結を宣言できる
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第32条保全異議の申立てについての決定決定は認可・変更・取消の3択4項判例なし
  • 保全命令を認可・変更・取消のいずれかで判断する
  • 担保の提供や増額を執行の実施・続行の条件にできる
  • 取消決定では債務者に担保を立てさせる条件を付けられる
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第33条原状回復の裁判仮処分取消し時に原状回復を命じられる1項判例なし
  • 対象は仮処分に基づく引渡し・明渡し・金銭支払・使用保管
  • 債務者の申立てにより、取消決定の中で返還を命じる
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第34条保全命令を取り消す決定の効力取消決定の効力発生を遅らせられる1項判例なし
  • 送達日から2週間を超えない範囲で効力発生日を先延ばしにできる
  • 保全抗告ができない決定にはこの宣言はできない
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第35条保全異議の申立ての取下げ異議の取下げに債権者同意は不要1項判例なし
  • 保全異議の申立ては債権者の同意なく取り下げられる
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第36条判事補の権限の特例判事補は単独で決定できない1項判例なし
  • 保全異議についての裁判は判事補一人では行えない
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原

条文原文

原文ママ

e-Gov法令検索から取得した原文を、号・イロハまで省略せずに掲載しています。

民事保全法 第26条(保全異議の申立て) 詳細ページ
(保全異議の申立て)
第二十六条保全命令に対しては、債務者は、その命令を発した裁判所に保全異議を申し立てることができる。
民事保全法 第27条(保全執行の停止の裁判等) 詳細ページ
(保全執行の停止の裁判等)
第二十七条保全異議の申立てがあった場合において、保全命令の取消しの原因となることが明らかな事情及び保全執行により償うことができない損害を生ずるおそれがあることにつき疎明があったときに限り、裁判所は、申立てにより、保全異議の申立てについての決定において第三項の規定による裁判をするまでの間、担保を立てさせて、又は担保を立てることを条件として保全執行の停止又は既にした執行処分の取消しを命ずることができる。
2抗告裁判所が保全命令を発した場合において、事件の記録が原裁判所に存するときは、その裁判所も、前項の規定による裁判をすることができる。
3裁判所は、保全異議の申立てについての決定において、既にした第一項の規定による裁判を取り消し、変更し、又は認可しなければならない。
4第一項及び前項の規定による裁判に対しては、不服を申し立てることができない。
5第十五条の規定は、第一項の規定による裁判について準用する。
民事保全法 第28条(事件の移送) 詳細ページ
(事件の移送)
第二十八条裁判所は、当事者、尋問を受けるべき証人及び審尋を受けるべき参考人の住所その他の事情を考慮して、保全異議事件につき著しい遅滞を避け、又は当事者間の衡平を図るために必要があるときは、申立てにより又は職権で、当該保全命令事件につき管轄権を有する他の裁判所に事件を移送することができる。
民事保全法 第29条(保全異議の審理) 詳細ページ
(保全異議の審理)
第二十九条裁判所は、口頭弁論又は当事者双方が立ち会うことができる審尋の期日を経なければ、保全異議の申立てについての決定をすることができない。
民事保全法 第30条 詳細ページ
第三十条削除
民事保全法 第31条(審理の終結) 詳細ページ
(審理の終結)
第三十一条裁判所は、審理を終結するには、相当の猶予期間を置いて、審理を終結する日を決定しなければならない。ただし、口頭弁論又は当事者双方が立ち会うことができる審尋の期日においては、直ちに審理を終結する旨を宣言することができる。
民事保全法 第32条(保全異議の申立てについての決定) 詳細ページ
(保全異議の申立てについての決定)
第三十二条裁判所は、保全異議の申立てについての決定においては、保全命令を認可し、変更し、又は取り消さなければならない。
2裁判所は、前項の決定において、相当と認める一定の期間内に債権者が担保を立てること又は第十四条第一項の規定による担保の額を増加した上、相当と認める一定の期間内に債権者がその増加額につき担保を立てることを保全執行の実施又は続行の条件とする旨を定めることができる。
3裁判所は、第一項の規定による保全命令を取り消す決定について、債務者が担保を立てることを条件とすることができる。
4第十六条本文及び第十七条の規定は、第一項の決定について準用する。
民事保全法 第33条(原状回復の裁判) 詳細ページ
(原状回復の裁判)
第三十三条仮処分命令に基づき、債権者が物の引渡し若しくは明渡し若しくは金銭の支払を受け、又は物の使用若しくは保管をしているときは、裁判所は、債務者の申立てにより、前条第一項の規定により仮処分命令を取り消す決定において、債権者に対し、債務者が引き渡し、若しくは明け渡した物の返還、債務者が支払った金銭の返還又は債権者が使用若しくは保管をしている物の返還を命ずることができる。
民事保全法 第34条(保全命令を取り消す決定の効力) 詳細ページ
(保全命令を取り消す決定の効力)
第三十四条裁判所は、第三十二条第一項の規定により保全命令を取り消す決定において、その送達を受けた日から二週間を超えない範囲内で相当と認める一定の期間を経過しなければその決定の効力が生じない旨を宣言することができる。ただし、その決定に対して保全抗告をすることができないときは、この限りでない。
民事保全法 第35条(保全異議の申立ての取下げ) 詳細ページ
(保全異議の申立ての取下げ)
第三十五条保全異議の申立てを取り下げるには、債権者の同意を得ることを要しない。
民事保全法 第36条(判事補の権限の特例) 詳細ページ
(判事補の権限の特例)
第三十六条保全異議の申立てについての裁判は、判事補が単独ですることができない。
出

一次情報

原文ママ

条文は e-Gov法令検索、判例は裁判所ウェブサイトから取得しています。