民事保全法 / テーマ別まとめ

保全命令/通則

通則の条文と、裁判所が付した判示事項から整理しています。

原文解釈このページは論点を軸に条文と判例を横断して整理したものです。論点の名称と構成は当サイトの整理であり、条文上の区分ではありません。リード文・要点・比較表も当サイトによる解釈です。条文原文と判例の判示事項・裁判要旨は転記です。

民事保全法第11条から第19条は、仮差押えや仮処分など保全命令全般に共通する基本ルールを定めています。どの裁判所に申し立てるか、申立てに何を示す必要があるか、担保・発令・送達・取下げ・却下への不服申立ての扱いをまとめて整理しています。個別の保全命令の手続を見る前に、まずこの通則を押さえておく必要があります。

通則
項目内容根拠条文
管轄本案の管轄裁判所又は目的物の所在地地裁第12条1項
特許権等の訴え原則、本案の管轄裁判所のみが管轄第12条2項
申立ての要件趣旨・権利関係・必要性を疎明第13条
担保立てさせる/期間内条件/免除を選択第14条1項
発令権者原則裁判所、急迫時は裁判長も可第15条
理由決定に理由付記、書面審理は要旨可第16条
送達当事者双方に送達が必要第17条
取下げ異議・取消し後も債務者同意不要第18条
却下への不服2週間以内に即時抗告、再抗告不可第19条
  • 申立ては、日本の裁判所に本案を提起できるとき、又は目的物が日本国内にあるときに限られる(第11条)
  • 目的物が債権なら第三債務者の普通裁判籍地、船舶・動産引渡債権等は物の所在地が基準(第12条4項)
  • 第三債務者等がいるその他の財産権にも同様の考え方を準用(第12条5項)
  • 登記・登録を要するその他の財産権は、その登記・登録地が基準(第12条6項)
  • 担保の供託が困難な事情があれば、裁判所の許可で他の地の供託所も利用可(第14条2項)
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通則

通則について、条文は何を定めているか。

第11条保全命令事件の管轄国内に管轄がある場合しか申し立てられない1項判例なし
  • 日本の裁判所に本案を提起できるとき、又は目的物が国内にあるときに限り申立て可
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第12条どの裁判所が保全命令事件を扱うかを決める6項判例なし
  • 本案の管轄裁判所か、目的物の所在地の地方裁判所が管轄
  • 特許権等の訴えは原則、本案の管轄裁判所のみが管轄
  • 目的物が債権のときは第三債務者の普通裁判籍地が基準
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第13条申立て及び疎明申立ての趣旨と必要性を疎明する2項判例 1件
  • 申立ての趣旨、保全すべき権利関係、必要性を明らかにする
  • 権利関係と必要性は疎明で足り、証明までは求められない
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第14条保全命令の担保担保の要否・方法を裁判所が選べる2項判例なし
  • 担保を立てさせる、期間内条件、担保なしのいずれかで発令可
  • 供託が困難な事情があれば他の地の供託所も許可制で利用可
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第15条裁判長の権限急迫時は裁判長も保全命令を出せる1項判例なし
  • 通常は裁判所が発令するが、急迫の事情があるときのみ裁判長も発令可
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第16条決定の理由決定には理由を付ける1項判例なし
  • 申立てについての決定には理由を付さなければならない
  • 口頭弁論を経ない決定は理由の要旨を示せば足りる
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第17条送達保全命令は当事者に送達する1項判例なし
  • 保全命令は当事者に送達しなければならない
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第18条保全命令の申立ての取下げ取下げに債務者の同意は不要1項判例なし
  • 保全異議・保全取消しの申立て後でも、債務者の同意なく取下げ可
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第19条却下の裁判に対する即時抗告却下されたら2週間以内に即時抗告3項判例なし
  • 却下の裁判は、告知を受けた日から2週間の不変期間内に即時抗告可
  • その即時抗告を却下する裁判には、更に抗告できない
  • 即時抗告についての決定にも理由(要旨)付記の規定を準用
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論

主要な論点と判例

原文ママ

論点の見出しと結論は、裁判所が付した判示事項・裁判要旨をそのまま転記しています。文中の〈 〉内は条文の見出しを当サイトが補ったものです。

論点1第13条民事保全法

既に発せられた仮差押命令と同一の被保全債権に基づき異なる目的物に対し更に仮差押命令の申立てをすることの許否

裁判要旨特定の目的物について既に仮差押命令を得た債権者は,これと異なる目的物について更に仮差押えをしなければ,金銭債権の完全な弁済を受けるに足りる強制執行をすることができなくなるおそれがあるとき,又はその強制執行をするのに著しい困難を生ずるおそれがあるときには,既に発せられた仮差押命令と同一の被保全債権に基づき,異なる目的物に対し,更に仮差押命令の申立てをすることができる。
(補足意見がある。)
裁判
最高裁判所第二小法廷 平成15年1月31日 平成14(許)23
登載
民集 第57巻1号74頁
参照法条
民事保全法13条,民事保全法20条,民事保全法21条
原

条文原文

原文ママ

e-Gov法令検索から取得した原文を、号・イロハまで省略せずに掲載しています。

民事保全法 第11条(保全命令事件の管轄) 詳細ページ
(保全命令事件の管轄)
第十一条保全命令の申立ては、日本の裁判所に本案の訴えを提起することができるとき、又は仮に差し押さえるべき物若しくは係争物が日本国内にあるときに限り、することができる。
民事保全法 第12条 詳細ページ
第十二条保全命令事件は、本案の管轄裁判所又は仮に差し押さえるべき物若しくは係争物の所在地を管轄する地方裁判所が管轄する。
2本案の訴えが民事訴訟法第六条第一項に規定する特許権等に関する訴えである場合には、保全命令事件は、前項の規定にかかわらず、本案の管轄裁判所が管轄する。ただし、仮に差し押さえるべき物又は係争物の所在地を管轄する地方裁判所が同条第一項各号に定める裁判所であるときは、その裁判所もこれを管轄する。
3本案の管轄裁判所は、第一審裁判所とする。ただし、本案が控訴審に係属するときは、控訴裁判所とする。
4仮に差し押さえるべき物又は係争物が債権(民事執行法(昭和五十四年法律第四号)第百四十三条に規定する債権をいう。以下この条において同じ。)であるときは、その債権は、その債権の債務者(以下「第三債務者」という。)の普通裁判籍の所在地にあるものとする。ただし、船舶(同法第百十二条に規定する船舶をいう。以下同じ。)又は動産(同法第百二十二条に規定する動産をいう。以下同じ。)の引渡しを目的とする債権及び物上の担保権により担保される債権は、その物の所在地にあるものとする。
5前項本文の規定は、仮に差し押さえるべき物又は係争物が民事執行法第百六十七条第一項に規定する財産権(以下「その他の財産権」という。)で第三債務者又はこれに準ずる者があるものである場合(次項に規定する場合を除く。)について準用する。
6仮に差し押さえるべき物又は係争物がその他の財産権で権利の移転について登記又は登録を要するものであるときは、その財産権は、その登記又は登録の地にあるものとする。
民事保全法 第13条(申立て及び疎明) 詳細ページ
(申立て及び疎明)
第十三条保全命令の申立ては、その趣旨並びに保全すべき権利又は権利関係及び保全の必要性を明らかにして、これをしなければならない。
2保全すべき権利又は権利関係及び保全の必要性は、疎明しなければならない。
民事保全法 第14条(保全命令の担保) 詳細ページ
(保全命令の担保)
第十四条保全命令は、担保を立てさせて、若しくは相当と認める一定の期間内に担保を立てることを保全執行の実施の条件として、又は担保を立てさせないで発することができる。
2前項の担保を立てる場合において、遅滞なく第四条第一項の供託所に供託することが困難な事由があるときは、裁判所の許可を得て、債権者の住所地又は事務所の所在地その他裁判所が相当と認める地を管轄する地方裁判所の管轄区域内の供託所に供託することができる。
民事保全法 第15条(裁判長の権限) 詳細ページ
(裁判長の権限)
第十五条保全命令は、急迫の事情があるときに限り、裁判長が発することができる。
民事保全法 第16条(決定の理由) 詳細ページ
(決定の理由)
第十六条保全命令の申立てについての決定には、理由を付さなければならない。ただし、口頭弁論を経ないで決定をする場合には、理由の要旨を示せば足りる。
民事保全法 第17条(送達) 詳細ページ
(送達)
第十七条保全命令は、当事者に送達しなければならない。
民事保全法 第18条(保全命令の申立ての取下げ) 詳細ページ
(保全命令の申立ての取下げ)
第十八条保全命令の申立てを取り下げるには、保全異議又は保全取消しの申立てがあった後においても、債務者の同意を得ることを要しない。
民事保全法 第19条(却下の裁判に対する即時抗告) 詳細ページ
(却下の裁判に対する即時抗告)
第十九条保全命令の申立てを却下する裁判に対しては、債権者は、告知を受けた日から二週間の不変期間内に、即時抗告をすることができる。
2前項の即時抗告を却下する裁判に対しては、更に抗告をすることができない。
3第十六条本文の規定は、第一項の即時抗告についての決定について準用する。
出

一次情報

原文ママ

条文は e-Gov法令検索、判例は裁判所ウェブサイトから取得しています。