会社更生法 / テーマ別まとめ

更生計画認可後の手続/更生計画認可の決定の効力

更生計画認可の決定の効力の条文と、裁判所が付した判示事項から整理しています。

原文解釈このページは論点を軸に条文と判例を横断して整理したものです。論点の名称と構成は当サイトの整理であり、条文上の区分ではありません。リード文・要点・比較表も当サイトによる解釈です。条文原文と判例の判示事項・裁判要旨は転記です。

更生計画認可の決定が確定すると、更生債権等の免責や株主の権利変更など、更生会社をめぐる権利関係に大きな効力が生じます。本ページは会社更生法203条から208条までの規定に基づき、認可決定が誰に対してどのような効力を持つのかを整理しています。免責の範囲・例外や、権利変更の効力、届出済みでない場合の扱いなど、実務担当者が押さえるべき点をまとめています。

更生計画認可の決定の効力
効力の種類対象内容根拠条文
効力が及ぶ範囲更生会社・更生債権者等・株主等更生計画の効力が及ぶ203条
免責更生債権等原則として責任を免れる204条1項
担保権消滅株主の権利・担保権全て消滅204条1項
権利変更届出済み債権者・株主計画どおり変更される205条1項
確定判決同一効力更生債権者表等の記載確定判決と同一効力206条2項
時効停止租税等の請求権進行停止(猶予期間中)207条
中止手続の失効破産・再生手続等効力を失う208条
  • 免責の例外(計画で認めた権利、在職中の役員等の退職手当請求権、罰金等、無届出の一部租税等)は204条1項各号で個別に定められている
  • 罰金等・一部租税等の請求権は弁済期間満了まで弁済等ができない(免除を除く)(204条2項)
  • 共助対象外国租税の免責・権利変更の効力は共助との関係でのみ主張できる(204条3項、205条5項)
  • 更生計画は保証人など更生会社と共に債務を負う者への権利や、第三者提供担保には影響しない(203条2項)
  • 第50条5項により続行された手続・処分は失効しない(208条ただし書)
  • 株主が権利変更で受ける金銭等には会社法151条から153条までを準用する(205条4項)
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更生計画認可の決定の効力

更生計画認可の決定の効力について、条文は何を定めているか。

第203条更生計画の効力範囲計画の効力が及ぶ相手を定める2項・5号判例 1件
  • 更生会社・全ての更生債権者等及び株主に効力が及ぶ
  • 更生のため債務を負担・担保提供する者にも及ぶ
  • 保証人への権利や第三者提供担保には影響しない
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第204条更生債権等の免責等認可で債務が原則免除される3項・4号判例 3件
  • 認可決定で更生債権等の責任を原則として免れる
  • 株主の権利・更生会社財産上の担保権は全て消滅
  • 計画で認めた権利や退職手当請求権等は例外
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第205条届出をした更生債権者等の権利の変更届出済みの権利は計画どおり変わる5項判例なし
  • 届出済みの更生債権者等・株主の権利が変更される
  • 債権が確定している場合のみ認められた権利を行使できる
  • 不参加の株主も計画で認めた権利を行使できる
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第206条更生計画の条項の更生債権者表等への記載等計画条項を債権者表等に記載する2項判例なし
  • 認可決定確定後、裁判所書記官が条項を表に記載する
  • 認められた権利についての記載は確定判決と同一の効力
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第207条租税等の時効の進行の停止租税等の時効進行を一時止める1項判例なし
  • 納税猶予・換価猶予がされている期間は時効が進行しない
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第208条中止した手続等の失効中止していた手続は失効する1項判例 1件
  • 中止中の破産・再生手続等は認可決定で効力を失う
  • 続行された手続・処分は失効しない
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論

主要な論点と判例

原文ママ

論点の見出しと結論は、裁判所が付した判示事項・裁判要旨をそのまま転記しています。文中の〈 〉内は条文の見出しを当サイトが補ったものです。

論点1第203条会社更生法

1 仮執行宣言付判決に対する上訴に伴い金銭を供託する方法により担保を立てさせて強制執行の停止がされた後に債務者につき更生手続開始の決定がされた場合における上記担保の被担保債権の性質
2 仮執行宣言付判決に対する上訴に伴う強制執行の停止に当たって金銭を供託する方法により担保が立てられた場合において債務者につき更生計画認可の決定がされた後であっても供託金の還付請求権を行使することの可否

裁判要旨1 仮執行宣言付判決に対する上訴に伴い,金銭を供託する方法により担保を立てさせて強制執行の停止がされた後に,債務者につき更生手続開始の決定がされた場合,その被担保債権である損害賠償請求権は,更生担保権ではなく,更生債権に当たる。
2 仮執行宣言付判決に対する上訴に伴う強制執行の停止に当たって金銭を供託する方法により担保が立てられた場合,被供託者は,債務者につき更生計画認可の決定がされても,会社更生法203条2項〈更生計画の効力範囲〉にいう「更生会社と共に債務を負担する者に対して有する権利」として,供託金の還付請求権を行使することができる。
裁判
最高裁判所第二小法廷 平成25年4月26日 平成24(許)15
登載
民集 第67巻4号1150頁
参照法条
(1,2につき)民訴法76条,民訴法77条,民訴法259条,民訴法403条1項,民訴法405条2項,民事執行法39条1項 (1につき)会社更生法2条8項,会社更生法2条10項 (2につき)会社更生法203条2項,会社更生法204条1項,供託法8条1項
論点2第204条会社更生法

更生会社であった貸金業者において,届出期間内に届出がされなかった更生債権である過払金返還請求権につきその責めを免れる旨主張することが信義則に反しないとされた事例

裁判要旨更生会社であった貸金業者において,届出期間内に届出がされなかった更生債権である過払金返還請求権につきその責めを免れる旨主張することは,(1)上記貸金業者の発行したカードは従前どおり使用することができる旨の社告が新聞に掲載された際に,上記貸金業者において,過払金返還請求権につき債権の届出をしないと更生会社がその責めを免れることになる旨の説明をせず,(2)上記貸金業者の更生手続におけるのと同一の会社をスポンサーとして進められた別の貸金業者の更生手続において,債権の届出がされなかった過払金返還請求権についてもその責めを免れないとの取扱いがされたという事情があったとしても,信義則に反するとはいえない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 平成22年6月4日 平成20(受)2114
登載
集民 第234号111頁
参照法条
民法1条2項,旧会社更生法(平成14年法律第154号による改正前のもの)241条,会社更生法204条1項
論点3第204条会社更生法

更生会社であった貸金業者において,届出期間内に届出がされなかった更生債権である過払金返還請求権につきその責めを免れる旨主張することが,信義則に反せず,権利の濫用にも当たらないとされた事例

裁判要旨更生会社であった貸金業者において,届出期間内に届出がされなかった更生債権である過払金返還請求権につきその責めを免れる旨主張することは,管財人又は更生会社が,顧客に対し,過払金返還請求権が発生している可能性があることやその届出をしないと更正会社がその責めを免れることにつき注意を促さず,保全管理人が上記貸金業者の発行したカードは従前どおり使用することができる旨の社告を新聞に掲載したなど判示の事情があったとしても,信義則に反するものではなく,権利の濫用にも当たらない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 平成21年12月4日 平成21(受)319
登載
集民 第232号529頁
参照法条
民法1条2項,民法1条3項,旧会社更生法(平成14年法律第154号による改正前のもの)241条,会社更生法204条1項
論点4第208条会社更生法

いわゆるフルペイアウト方式によるファイナンス・リース契約によりリース物件の引渡しを受けたユーザーにつき会社更生手続の開始決定があった場合における未払のリース料債権の性質

裁判要旨いわゆるフルペイアウト方式によるファイナンス・リース契約によりリース物件の引渡しを受けたユーザーにつき会社更生手続の開始決定があった場合、未払のリース料債権は、その全額が更生債権となる。
裁判
最高裁判所第二小法廷 平成7年4月14日 平成3(オ)155
登載
民集 第49巻4号1063頁
参照法条
民法601条,会社更生法102条,会社更生法103条,会社更生法208条7号
原

条文原文

原文ママ

e-Gov法令検索から取得した原文を、号・イロハまで省略せずに掲載しています。

会社更生法 第203条(更生計画の効力範囲) 詳細ページ
(更生計画の効力範囲)
第二百三条更生計画は、次に掲げる者のために、かつ、それらの者に対して効力を有する。
一更生会社
二すべての更生債権者等及び株主
三更生会社の事業の更生のために債務を負担し、又は担保を提供する者
四更生計画の定めるところにより更生会社が組織変更をした後の持分会社
五更生計画の定めるところにより新設分割(他の会社と共同してするものを除く。)、株式移転(他の株式会社と共同してするものを除く。)又は第百八十三条に規定する条項により設立される会社
2更生計画は、更生債権者等が更生会社の保証人その他更生会社と共に債務を負担する者に対して有する権利及び更生会社以外の者が更生債権者等のために提供した担保に影響を及ぼさない。
会社更生法 第204条(更生債権等の免責等) 詳細ページ
(更生債権等の免責等)
第二百四条更生計画認可の決定があったときは、次に掲げる権利を除き、更生会社は、全ての更生債権等につきその責任を免れ、株主の権利及び更生会社の財産を目的とする担保権は全て消滅する。
一更生計画の定め又はこの法律の規定によって認められた権利
二更生手続開始後に更生会社の取締役等(取締役、会計参与、監査役、代表取締役、執行役、代表執行役、清算人又は代表清算人をいう。)又は使用人であった者で、更生計画認可の決定後も引き続きこれらの職に在職しているものの退職手当の請求権
三第百四十二条第二号に規定する更生手続開始前の罰金等の請求権
四租税等の請求権(共助対象外国租税の請求権を除く。)のうち、これを免れ、若しくは免れようとし、不正の行為によりその還付を受け、又は徴収して納付し、若しくは納入すべきものを納付せず、若しくは納入しなかったことにより、更生手続開始後拘禁刑若しくは罰金に処せられ、又は国税通則法(昭和三十七年法律第六十六号)第百五十七条第一項若しくは地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)第二十二条の二十八第一項の規定による通告の旨を履行した場合における、免れ、若しくは免れようとし、還付を受け、又は納付せず、若しくは納入しなかった額の租税等の請求権で届出のないもの
2更生計画認可の決定があったときは、前項第三号及び第四号に掲げる請求権については、更生計画で定められた弁済期間が満了する時(その期間の満了前に更生計画に基づく弁済が完了した場合にあっては、弁済が完了した時)までの間は、弁済をし、弁済を受け、その他これを消滅させる行為(免除を除く。)をすることができない。
3第一項の規定にかかわらず、共助対象外国租税の請求権についての同項の規定による免責及び担保権の消滅の効力は、租税条約等実施特例法第十一条第一項の規定による共助との関係においてのみ主張することができる。
会社更生法 第205条(届出をした更生債権者等の権利の変更) 詳細ページ
(届出をした更生債権者等の権利の変更)
第二百五条更生計画認可の決定があったときは、届出をした更生債権者等及び株主の権利は、更生計画の定めに従い、変更される。
2届出をした更生債権者等は、その有する更生債権等が確定している場合に限り、更生計画の定めによって認められた権利を行使することができる。
3更生計画の定めによって株主に対し権利が認められた場合には、更生手続に参加しなかった株主も、更生計画の定めによって認められた権利を行使することができる。
4会社法第百五十一条から第百五十三条までの規定は、株主が第一項の規定による権利の変更により受けるべき金銭等について準用する。
5第一項の規定にかかわらず、共助対象外国租税の請求権についての同項の規定による権利の変更の効力は、租税条約等実施特例法第十一条第一項の規定による共助との関係においてのみ主張することができる。
会社更生法 第206条(更生計画の条項の更生債権者表等への記載等) 詳細ページ
(更生計画の条項の更生債権者表等への記載等)
第二百六条更生計画認可の決定が確定したときは、裁判所書記官は、更生計画の条項を更生債権者表及び更生担保権者表に記載しなければならない。
2前項の場合には、更生債権等に基づき更生計画の定めによって認められた権利については、その更生債権者表又は更生担保権者表の記載は、更生会社、第二百三条第一項第四号に掲げる持分会社、同項第五号に掲げる会社、更生債権者等、更生会社の株主及び更生会社の事業の更生のために債務を負担し、又は担保を提供する者に対して、確定判決と同一の効力を有する。
会社更生法 第207条(租税等の時効の進行の停止) 詳細ページ
(租税等の時効の進行の停止)
第二百七条更生計画認可の決定があったときは、租税等の請求権(共助対象外国租税の請求権を除く。)についての時効は、第百六十九条第一項の規定により納税の猶予又は滞納処分による財産の換価の猶予がされている期間中は、進行しない。
会社更生法 第208条(中止した手続等の失効) 詳細ページ
(中止した手続等の失効)
第二百八条更生計画認可の決定があったときは、第五十条第一項の規定により中止した破産手続、再生手続(当該再生手続において、民事再生法第三十九条第一項の規定により中止した破産手続並びに同法第二十六条第一項第二号に規定する再生債権に基づく強制執行等の手続及び同項第五号に規定する再生債権に基づく外国租税滞納処分を含む。)、第二十四条第一項第二号に規定する強制執行等の手続、企業担保権の実行手続、同項第六号に規定する外国租税滞納処分、財産開示手続及び第三者からの情報取得手続は、その効力を失う。ただし、第五十条第五項の規定により続行された手続又は処分については、この限りでない。
出

一次情報

原文ママ

条文は e-Gov法令検索、判例は裁判所ウェブサイトから取得しています。