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財団債権

財団債権の条文と、裁判所が付した判示事項から整理しています。

原文解釈このページは論点を軸に条文と判例を横断して整理したものです。論点の名称と構成は当サイトの整理であり、条文上の区分ではありません。リード文・要点・比較表も当サイトによる解釈です。条文原文と判例の判示事項・裁判要旨は転記です。

財団債権とは、破産手続の遂行に必要な費用や、破産手続開始前後に生じた一定の請求権のうち、破産債権者への配当に先立って弁済される権利です。破産法148条から150条が財団債権となる請求権の範囲を定め、151条と152条は弁済の順序や破産財団が不足した場合の扱いを定めています。実務では裁判費用・管理費用・租税等・使用人の給料や退職手当がどこまで財団債権になるかが特に問題になります。

財団債権
種類根拠条文内容期間・上限
裁判費用148条1項1号共同の利益のための裁判費用―
管理・換価・配当費用148条1項2号財団の管理等に関する費用―
租税等(開始前原因)148条1項3号未到来または納期限後1年以内納期限から1年以内
管財人の行為による債権148条1項4号財団に関し管財人がした行為―
事務管理・不当利得148条1項5号開始後に財団に生じた債権―
委任終了後の緊急行為148条1項6号急迫の事情による行為の債権―
履行選択時の相手方債権148条1項7号管財人が履行する場合の相手方債権―
双務契約解除後の債権148条1項8号解約申入れから終了までの債権―
保全管理人の行為による債権148条4項保全管理人が権限内でした行為―
使用人の給料149条1項開始前3か月分の給料3か月分
退職手当149条2項退職前3か月分の給料相当額3か月分相当(上限あり)
社債管理費用・報酬150条裁判所の許可により財団債権化許可制
  • 148条1項3号の租税等は、共助対象外国租税と97条5号の請求権を除き、開始時に未到来または納期限から1年以内(包括的禁止命令中の期間を除く)のものに限る
  • 148条2項:負担付遺贈を履行した場合、負担の利益を受ける相手方の請求権は遺贈目的の価額を超えない範囲で財団債権となる
  • 149条2項の退職手当は、劣後的破産債権となるべき部分を除いて財団債権となる
  • 150条の社債管理者等の費用・報酬を財団債権とするには裁判所の許可が必要で、許可決定には即時抗告ができる
  • 151条:財団債権は破産債権より先に弁済する
  • 152条:財団が不足するときは債権額の割合で弁済するが、財団債権を被担保債権とする留置権・特別先取特権・質権・抵当権の効力は妨げず、148条1項1号2号の費用(保全管理人費用含む)は他の財団債権に優先する
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財団債権

財団債権について、条文は何を定めているか。

第148条財団債権となる請求権財団債権になる請求権を列挙する4項・8号判例 3件
  • 裁判費用・財団の管理/換価/配当費用は財団債権になる
  • 租税等は未到来または納期限から1年以内(禁止命令中除く)なら対象
  • 双務契約で管財人が履行を選ぶと相手方の請求権も財団債権になる
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第149条使用人の給料等使用人の給料・退職手当も財団債権になる2項判例なし
  • 開始前3か月間の給料は財団債権になる
  • 退職手当は退職前3か月分の給料相当額が財団債権になる
  • 退職前3か月分の総額が開始前3か月分より少なければ、開始前3か月分が上限になる
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第150条社債管理者等の費用及び報酬社債管理者等の費用・報酬は許可制で財団債権になる6項・5号判例なし
  • 裁判所の許可があれば、社債管理の事務費用は財団債権になる
  • 無許可でも貢献が認められれば、相当額を財団債権にする許可ができる
  • 開始後の報酬のうち相当と認める額も許可により財団債権になる
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第151条財団債権の取扱い財団債権は破産債権より先に弁済する1項判例 3件
  • 財団債権は破産債権よりも先に弁済される
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第152条破産財団不足の場合の弁済方法等財団不足時は割合弁済、一部費用は優先2項判例なし
  • 財団が財団債権総額を弁済できないときは、債権額の割合で弁済する
  • 財団債権を被担保債権とする留置権・特別先取特権・質権・抵当権の効力は妨げない
  • 148条1項1号〈財団債権となる請求権 破産債権者の共同の利益のためにする裁判上の費用の請求権〉・2号の費用(保全管理人分含む)は他の財団債権より優先弁済
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論

主要な論点と判例

原文ママ

論点の見出しと結論は、裁判所が付した判示事項・裁判要旨をそのまま転記しています。文中の〈 〉内は条文の見出しを当サイトが補ったものです。

論点1第148条破産法

1 弁護士である破産管財人は,自らの報酬の支払について,所得税法204条1項2号所定の源泉徴収義務を負うか
2 弁護士である破産管財人の報酬に係る源泉所得税の債権は,旧破産法(平成16年法律第75号による廃止前のもの)47条2号ただし書にいう「破産財団ニ関シテ生シタル」請求権に当たるか
3 破産管財人は,破産債権である所得税法199条所定の退職手当等の債権に対する配当について,同条所定の源泉徴収義務を負うか

裁判要旨1 弁護士である破産管財人は,所得税法204条1項2号の規定に基づき,自らの報酬の支払の際にその報酬について所得税を徴収し,これを国に納付する義務を負う。
2 弁護士である破産管財人の報酬に係る源泉所得税の債権は,旧破産法(平成16年法律第75号による廃止前のもの)47条2号ただし書にいう「破産財団ニ関シテ生シタル」請求権に当たる。
3 破産管財人は,破産債権である所得税法199条所定の退職手当等の債権に対する配当の際にその退職手当等について所得税を徴収し,これを国に納付する義務を負うものではない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 平成23年1月14日 平成20(行ツ)236
登載
民集 第65巻1号1頁
参照法条
(1〜3につき)所得税法6条 (1,2につき)所得税法204条1項2号,旧破産法(平成16年法律第75号による廃止前のもの)166条,破産法87条1項 (2につき)旧破産法(平成16年法律第75号による廃止前のもの)47条2号,旧破産法(平成16年法律第75号による廃止前のもの)47条3号,破産法148条1項2号 (3につき)所得税法30条1項,所得税法199条,旧破産法(平成16年法律第75号による廃止前のもの)256条,破産法193条1項
論点2第148条破産法

破産管財人が破産者の締結していた建物賃貸借契約を合意解除した際に破産宣告後の未払賃料等に敷金を充当する旨の合意をして上記賃料等の現実の支払を免れたことにより敷金返還請求権の質権者に対し不当利得返還義務を負う場合において破産管財人が悪意の受益者であるとはいえないとされた事例

裁判要旨破産管財人が,破産者の締結していた建物賃貸借契約を合意解除するに際して破産宣告後の未払賃料等に敷金を充当する旨の合意をし,上記賃料等の現実の支払を免れたことにより,敷金返還請求権の質権者に対し不当利得返還義務を負う場合において,法律上の原因の有無が,破産債権者のために破産財団の減少を防ぐという破産管財人の職務上の義務と質権設定者が質権者に対して負う目的債権の担保価値を維持すべき義務との関係をどのように解するかによって結論の異なり得る問題であって,この点について論ずる学説や判例も乏しかったことや,破産管財人が上記合意をするにつき破産裁判所の許可を得ているという事情の下では,破産管財人を悪意の受益者であるということはできない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 平成18年12月21日 平成17(オ)184
登載
集民 第222号643頁
参照法条
民法362条,民法619条2項,民法703条,民法704条,旧破産法(平成16年法律第75号による廃止前のもの)47条7号,旧破産法(平成16年法律第75号による廃止前のもの)47条8号,旧破産法(平成16年法律第75号による廃止前のもの)49条,旧破産法(平成16年法律第75号による廃止前のもの)50条,旧破産法(平成16年法律第75号による廃止前のもの)95条,破産法65条,破産法148条1項7号,破産法148条1項8号,破産法151条
論点3第148条破産法

1 破産管財人が破産者の締結していた建物賃貸借契約を合意解除した際に賃貸人との間で破産宣告後の未払賃料等に敷金を充当する旨の合意をして質権の設定された敷金返還請求権の発生を阻害したことが質権設定者の質権者に対する目的債権の担保価値を維持すべき義務に違反するとされた事例
2 破産管財人が破産者の締結していた建物賃貸借契約を合意解除した際に賃貸人との間で破産宣告後の未払賃料等に敷金を充当する旨の合意をして質権の設定された敷金返還請求権の発生を阻害しても質権者に対して善管注意義務違反の責任を負うとはいえないとされた事例
3 破産管財人が破産者の締結していた建物賃貸借契約を合意解除した際に賃貸人との間で破産宣告後の未払賃料等に敷金を充当する旨の合意をして上記賃料等の現実の支払を免れた場合において破産管財人は敷金返還請求権の質権者に対して不当利得返還義務を負うとされた事例

裁判要旨1 破産管財人が,破産者の締結していた建物賃貸借契約を合意解除するに際し,賃貸人との間で破産宣告後の未払賃料等に破産者が差し入れていた敷金を充当する旨の合意をし,質権の設定された敷金返還請求権の発生を阻害したことは,当時破産財団に上記賃料等を支払うのに十分な銀行預金が存在しており,これを現実に支払うことに支障がなかったなど判示の事情の下では,質権設定者の質権者に対する目的債権の担保価値を維持すべき義務に違反する。
2 破産管財人が,破産者の締結していた建物賃貸借契約を合意解除するに際して賃貸人との間で破産宣告後の未払賃料等に破産者が差し入れていた敷金を充当する旨の合意をし,質権の設定された敷金返還請求権の発生を阻害したことが,質権設定者の質権者に対する目的債権の担保価値を維持すべき義務に違反する場合であっても,その義務違反の有無が,破産債権者のために破産財団の減少を防ぐという破産管財人の職務上の義務と質権設定者が質権者に対して負う上記義務との関係をどのように解するかによって結論の異なり得る問題であって,この点について論ずる学説や判例も乏しかったことや,破産管財人が上記合意をするにつき破産裁判所の許可を得ているという事情の下では,破産管財人は,質権者に対し,善管注意義務違反の責任を負うということはできない。
3 破産管財人が,破産者の締結していた建物賃貸借契約を合意解除するに際し,賃貸人との間で破産宣告後の未払賃料等に破産者が差し入れていた敷金を充当する旨の合意をし,上記賃料等の現実の支払を免れた場合において,当時破産財団には上記賃料等を支払うのに十分な銀行預金が存在しており,これを現実に支払うことに支障がなかったなど判示の事情の下では,破産管財人は,敷金返還請求権の質権者に対し,敷金返還請求権の発生が阻害されたことにより優先弁済を受けることができなくなった金額につき不当利得返還義務を負う。
(2につき補足意見がある。)
裁判
最高裁判所第一小法廷 平成18年12月21日 平成17(受)276
登載
民集 第60巻10号3964頁
参照法条
(1〜3につき)民法362条,民法619条2項,旧破産法(平成16年法律第75号による廃止前のもの)47条7号,8号,旧破産法(平成16年法律第75号による廃止前のもの)49条,旧破産法(平成16年法律第75号による廃止前のもの)50条,旧破産法(平成16年法律第75号による廃止前のもの)95条,破産法65条1項,破産法148条1項7号,8号,破産法151条
論点4第151条破産法

求償権が破産債権である場合において財団債権である原債権を破産手続によらないで行使することの可否

裁判要旨弁済による代位により財団債権を取得した者は,同人が破産者に対して取得した求償権が破産債権にすぎない場合であっても,破産手続によらないで上記財団債権を行使することができる。
(補足意見がある。)
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成23年11月22日 平成22(受)78
登載
民集 第65巻8号3165頁
参照法条
民法501条,破産法2条5項,破産法2条7項,破産法100条1項,破産法151条
原

条文原文

原文ママ

e-Gov法令検索から取得した原文を、号・イロハまで省略せずに掲載しています。

破産法 第148条(財団債権となる請求権) 詳細ページ
(財団債権となる請求権)
第百四十八条次に掲げる請求権は、財団債権とする。
一破産債権者の共同の利益のためにする裁判上の費用の請求権
二破産財団の管理、換価及び配当に関する費用の請求権
三破産手続開始前の原因に基づいて生じた租税等の請求権(共助対象外国租税の請求権及び第九十七条第五号に掲げる請求権を除く。)であって、破産手続開始当時、まだ納期限の到来していないもの又は納期限から一年(その期間中に包括的禁止命令が発せられたことにより国税滞納処分をすることができない期間がある場合には、当該期間を除く。)を経過していないもの
四破産財団に関し破産管財人がした行為によって生じた請求権
五事務管理又は不当利得により破産手続開始後に破産財団に対して生じた請求権
六委任の終了又は代理権の消滅の後、急迫の事情があるためにした行為によって破産手続開始後に破産財団に対して生じた請求権
七第五十三条第一項の規定により破産管財人が債務の履行をする場合において相手方が有する請求権
八破産手続の開始によって双務契約の解約の申入れ(第五十三条第一項又は第二項の規定による賃貸借契約の解除を含む。)があった場合において破産手続開始後その契約の終了に至るまでの間に生じた請求権
2破産管財人が負担付遺贈の履行を受けたときは、その負担した義務の相手方が有する当該負担の利益を受けるべき請求権は、遺贈の目的の価額を超えない限度において、財団債権とする。
3第百三条第二項及び第三項の規定は、第一項第七号及び前項に規定する財団債権について準用する。この場合において、当該財団債権が無利息債権又は定期金債権であるときは、当該債権の額は、当該債権が破産債権であるとした場合に第九十九条第一項第二号から第四号までに掲げる劣後的破産債権となるべき部分に相当する金額を控除した額とする。
4保全管理人が債務者の財産に関し権限に基づいてした行為によって生じた請求権は、財団債権とする。
破産法 第149条(使用人の給料等) 詳細ページ
(使用人の給料等)
第百四十九条破産手続開始前三月間の破産者の使用人の給料の請求権は、財団債権とする。
2破産手続の終了前に退職した破産者の使用人の退職手当の請求権(当該請求権の全額が破産債権であるとした場合に劣後的破産債権となるべき部分を除く。)は、退職前三月間の給料の総額(その総額が破産手続開始前三月間の給料の総額より少ない場合にあっては、破産手続開始前三月間の給料の総額)に相当する額を財団債権とする。
破産法 第150条(社債管理者等の費用及び報酬) 詳細ページ
(社債管理者等の費用及び報酬)
第百五十条社債管理者又は社債管理補助者が破産債権である社債の管理に関する事務を行おうとする場合には、裁判所は、破産手続の円滑な進行を図るために必要があると認めるときは、当該社債管理者又は社債管理補助者の当該事務の処理に要する費用の請求権を財団債権とする旨の許可をすることができる。
2社債管理者又は社債管理補助者が前項の許可を得ないで破産債権である社債の管理に関する事務を行った場合であっても、裁判所は、当該社債管理者又は社債管理補助者が破産手続の円滑な進行に貢献したと認められるときは、当該事務の処理に要した費用の償還請求権のうちその貢献の程度を考慮して相当と認める額を財団債権とする旨の許可をすることができる。
3裁判所は、破産手続開始後の原因に基づいて生じた社債管理者又は社債管理補助者の報酬の請求権のうち相当と認める額を財団債権とする旨の許可をすることができる。
4前三項の規定による許可を得た請求権は、財団債権とする。
5第一項から第三項までの規定による許可の決定に対しては、即時抗告をすることができる。
6前各項の規定は、次の各号に掲げる者の区分に応じ、それぞれ当該各号に定める債権で破産債権であるものの管理に関する事務につき生ずる費用又は報酬に係る請求権について準用する。
一担保付社債信託法(明治三十八年法律第五十二号)第二条第一項に規定する信託契約の受託会社同項に規定する社債
二医療法(昭和二十三年法律第二百五号)第五十四条の五に規定する社会医療法人債管理者又は同法第五十四条の五の二に規定する社会医療法人債管理補助者同法第五十四条の二第一項に規定する社会医療法人債
三投資信託及び投資法人に関する法律(昭和二十六年法律第百九十八号)第百三十九条の八に規定する投資法人債管理者又は同法第百三十九条の九の二第一項に規定する投資法人債管理補助者同法第二条第十九項に規定する投資法人債
四保険業法第六十一条の六に規定する社債管理者又は同法第六十一条の七の二に規定する社債管理補助者相互会社が発行する社債
五資産の流動化に関する法律(平成十年法律第百五号)第百二十六条に規定する特定社債管理者又は同法第百二十七条の二第一項に規定する特定社債管理補助者同法第二条第七項に規定する特定社債
破産法 第151条(財団債権の取扱い) 詳細ページ
(財団債権の取扱い)
第百五十一条財団債権は、破産債権に先立って、弁済する。
破産法 第152条(破産財団不足の場合の弁済方法等) 詳細ページ
(破産財団不足の場合の弁済方法等)
第百五十二条破産財団が財団債権の総額を弁済するのに足りないことが明らかになった場合における財団債権は、法令に定める優先権にかかわらず、債権額の割合により弁済する。ただし、財団債権を被担保債権とする留置権、特別の先取特権、質権又は抵当権の効力を妨げない。
2前項の規定にかかわらず、同項本文に規定する場合における第百四十八条第一項第一号及び第二号に掲げる財団債権(債務者の財産の管理及び換価に関する費用の請求権であって、同条第四項に規定するものを含む。)は、他の財団債権に先立って、弁済する。
出

一次情報

原文ママ

条文は e-Gov法令検索、判例は裁判所ウェブサイトから取得しています。