破産法 / テーマ別まとめ

破産財団の換価/担保権の消滅

担保権の消滅の条文と、裁判所が付した判示事項から整理しています。

原文解釈このページは論点を軸に条文と判例を横断して整理したものです。論点の名称と構成は当サイトの整理であり、条文上の区分ではありません。リード文・要点・比較表も当サイトによる解釈です。条文原文と判例の判示事項・裁判要旨は転記です。

破産管財人は、破産財団に属する財産に担保権が付いていても、裁判所の許可を得て任意売却し、代金相当額を裁判所に納付することで、その財産上のすべての担保権をまとめて消滅させることができます。担保権者には、これに異議を唱えて自ら担保権を実行する道や、自分(または第三者)が買主として名乗り出る道が用意されています。ここでは第186条から第191条までの手続の流れを整理しています。

担保権の消滅
段階主体内容期限根拠条文
許可の申立て破産管財人任意売却して担保権消滅を申立て特になし186条
異議(担保権実行)被申立担保権者実行申立ての証明書を提出送達日から1か月以内187条
買受けの申出被申立担保権者・第三者売得金+20分の1以上で申出187条の期間内188条
許可の決定裁判所売却の相手方を定め許可決定―189条
金銭の納付売却の相手方裁判所が定める期限までに納付裁判所の定める期限まで190条
消滅・配当裁判所納付時に消滅、配当を実施―190条・191条
  • 担保権者の利益を不当に害すると認められるときは、許可の申立てはできない(186条1項ただし書)
  • 組入金がある場合、申立て前に破産管財人は担保権者と組入金額について協議しなければならない(186条2項)
  • 買受けの申出をするには最高裁判所規則で定める額・方法による保証の提供が必要(188条5項)
  • 納付がなければ許可決定は取り消され、買受人はすでに提供した保証の返還を請求できない(190条6項・7項)
  • 許可・不許可の裁判に対しては即時抗告ができる(189条4項)
  • 担保権消滅の効果が生じたときは、裁判所書記官が登記・登録の抹消を嘱託する(190条5項)
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担保権の消滅

担保権の消滅について、条文は何を定めているか。

第186条担保権消滅の許可の申立て任意売却で担保権を消滅させる許可を申立てる5項・9号判例なし
  • 対象は特別の先取特権・質権・抵当権・商法/会社法上の留置権
  • 破産債権者の一般の利益に適合する場合に限り申立てできる
  • 組入金がある場合は事前に担保権者と協議する
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第187条担保権の実行の申立て被申立担保権者は担保権実行で異議を示せる6項判例なし
  • 送達日から1か月以内に実行申立ての証明書を提出する
  • やむを得ない事由があれば裁判所が期間を伸長できる
  • 売得金等の額に合意があれば実行の申立てはできない
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第188条買受けの申出担保権者や第三者も財産の買受けを申し出られる10項・3号判例なし
  • 申出額は売得金の額に20分の1を加えた額以上が必要
  • 申出には最高裁判所規則で定める保証の提供が必要
  • 187条1項〈担保権の実行の申立て〉の期間内は申出を撤回できる
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第189条担保権消滅の許可の決定等裁判所が売却の相手方を定めて許可を決定する5項・2号判例なし
  • 実行申立ての証明書提出があったときは不許可となる
  • 買受けの申出があれば買受希望者が売却の相手方になる
  • 許可・不許可の裁判には即時抗告ができる
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第190条金銭の納付等納付された金銭と引き換えに担保権が消滅する7項・2号判例 1件
  • 裁判所が定める期限までに金銭を納付する
  • 納付があった時点で担保権が消滅する
  • 納付がなければ許可決定は取り消される
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第191条配当等の実施納付された金銭を被申立担保権者に配当する3項判例なし
  • 配当表に基づき配当を実施する
  • 被申立担保権者が1人等の場合は交付計算書で弁済する
  • 剰余金は破産管財人に交付する
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論

主要な論点と判例

原文ママ

論点の見出しと結論は、裁判所が付した判示事項・裁判要旨をそのまま転記しています。文中の〈 〉内は条文の見出しを当サイトが補ったものです。

論点1第190条破産法

破産管財人が破産者宛の破産債権譲渡の通知書の配達を受けて開披した場合と右譲渡の対抗力

裁判要旨破産債権である指名債権の譲渡を破産管財人に対抗するには、譲渡人がこれを破産管財人に通知し、又は破産管財人がこれを承諾することを要し、破産者宛の通知が破産管財人に配達され、破産管財人がこれを開披したとしても、破産管財人に対する通知があつたとはいえない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和49年11月21日 昭和45(オ)1133
登載
民集 第28巻8号1654頁
参照法条
民法467条1項,破産法190条1項,破産法190条2項
原

条文原文

原文ママ

e-Gov法令検索から取得した原文を、号・イロハまで省略せずに掲載しています。

破産法 第186条(担保権消滅の許可の申立て) 詳細ページ
(担保権消滅の許可の申立て)
第百八十六条破産手続開始の時において破産財団に属する財産につき担保権(特別の先取特権、質権、抵当権又は商法若しくは会社法の規定による留置権をいう。以下この節において同じ。)が存する場合において、当該財産を任意に売却して当該担保権を消滅させることが破産債権者の一般の利益に適合するときは、破産管財人は、裁判所に対し、当該財産を任意に売却し、次の各号に掲げる区分に応じてそれぞれ当該各号に定める額に相当する金銭が裁判所に納付されることにより当該財産につき存するすべての担保権を消滅させることについての許可の申立てをすることができる。ただし、当該担保権を有する者の利益を不当に害することとなると認められるときは、この限りでない。
一破産管財人が、売却によってその相手方から取得することができる金銭(売買契約の締結及び履行のために要する費用のうち破産財団から現に支出し又は将来支出すべき実費の額並びに当該財産の譲渡に課されるべき消費税額等(当該消費税額及びこれを課税標準として課されるべき地方消費税額をいう。以下この節において同じ。)に相当する額であって、当該売買契約において相手方の負担とされるものに相当する金銭を除く。以下この節において「売得金」という。)の一部を破産財団に組み入れようとする場合売得金の額から破産財団に組み入れようとする金銭(以下この節において「組入金」という。)の額を控除した額
二前号に掲げる場合以外の場合売得金の額
2前項第一号に掲げる場合には、同項の申立てをしようとする破産管財人は、組入金の額について、あらかじめ、当該担保権を有する者と協議しなければならない。
3第一項の申立ては、次に掲げる事項を記載した書面(以下この節において「申立書」という。)でしなければならない。
一担保権の目的である財産の表示
二売得金の額(前号の財産が複数あるときは、売得金の額及びその各財産ごとの内訳の額)
三第一号の財産の売却の相手方の氏名又は名称
四消滅すべき担保権の表示
五前号の担保権によって担保される債権の額
六第一項第一号に掲げる場合には、組入金の額(第一号の財産が複数あるときは、組入金の額及びその各財産ごとの内訳の額)
七前項の規定による協議の内容及びその経過
4申立書には、前項第一号の財産の売却に係る売買契約の内容(売買契約の締結及び履行のために要する費用のうち破産財団から現に支出し又は将来支出すべき実費の額並びに当該財産の譲渡に課されるべき消費税額等に相当する額であって、当該売買契約において相手方の負担とされるものを含む。)を記載した書面を添付しなければならない。
5第一項の申立てがあった場合には、申立書及び前項の書面を、当該申立書に記載された第三項第四号の担保権を有する者(以下この節において「被申立担保権者」という。)に送達しなければならない。この場合においては、第十条第三項本文の規定は、適用しない。
破産法 第187条(担保権の実行の申立て) 詳細ページ
(担保権の実行の申立て)
第百八十七条被申立担保権者は、前条第一項の申立てにつき異議があるときは、同条第五項の規定によりすべての被申立担保権者に申立書及び同条第四項の書面の送達がされた日から一月以内に、担保権の実行の申立てをしたことを証する書面を裁判所に提出することができる。
2裁判所は、被申立担保権者につきやむを得ない事由がある場合に限り、当該被申立担保権者の申立てにより、前項の期間を伸長することができる。
3破産管財人と被申立担保権者との間に売得金及び組入金の額(前条第一項第二号に掲げる場合にあっては、売得金の額)について合意がある場合には、当該被申立担保権者は、担保権の実行の申立てをすることができない。
4被申立担保権者は、第一項の期間(第二項の規定により伸長されたときは、その伸長された期間。以下この節において同じ。)が経過した後は、第百九十条第六項の規定により第百八十九条第一項の許可の決定が取り消され、又は同項の不許可の決定が確定した場合を除き、担保権の実行の申立てをすることができない。
5第一項の担保権の実行の申立てをしたことを証する書面が提出された後に、当該担保権の実行の申立てが取り下げられ、又は却下された場合には、当該書面は提出されなかったものとみなす。民事執行法第百八十八条において準用する同法第六十三条又は同法第百九十二条において準用する同法第百二十九条(これらの規定を同法その他強制執行の手続に関する法令において準用する場合を含む。)の規定により同項の担保権の実行の手続が取り消された場合も、同様とする。
6第百八十九条第一項の不許可の決定が確定した後に、第一項の担保権の実行の申立てが取り下げられ、又は却下された場合において、破産管財人が前条第一項の申立てをしたときは、当該担保権の実行の申立てをした被申立担保権者は、第一項の規定にかかわらず、同項の担保権の実行の申立てをしたことを証する書面を提出することができない。
破産法 第188条(買受けの申出) 詳細ページ
(買受けの申出)
第百八十八条被申立担保権者は、第百八十六条第一項の申立てにつき異議があるときは、前条第一項の期間内に、破産管財人に対し、当該被申立担保権者又は他の者が第百八十六条第三項第一号の財産を買い受ける旨の申出(以下この節において「買受けの申出」という。)をすることができる。
2買受けの申出は、次に掲げる事項を記載した書面でしなければならない。
一第百八十六条第三項第一号の財産を買い受けようとする者(以下この節において「買受希望者」という。)の氏名又は名称
二破産管財人が第百八十六条第三項第一号の財産の売却によって買受希望者から取得することができる金銭の額(売買契約の締結及び履行のために要する費用のうち破産財団から現に支出し又は将来支出すべき実費の額並びに当該財産の譲渡に課されるべき消費税額等に相当する額であって、当該売買契約において買受希望者の負担とされるものに相当する金銭を除く。以下この節において「買受けの申出の額」という。)
三第百八十六条第三項第一号の財産が複数あるときは、買受けの申出の額の各財産ごとの内訳の額
3買受けの申出の額は、申立書に記載された第百八十六条第三項第二号の売得金の額にその二十分の一に相当する額を加えた額以上でなければならない。
4第百八十六条第三項第一号の財産が複数あるときは、第二項第三号の買受けの申出の額の各財産ごとの内訳の額は、当該各財産につき、同条第三項第二号の売得金の額の各財産ごとの内訳の額を下回ってはならない。
5買受希望者は、買受けの申出に際し、最高裁判所規則で定める額及び方法による保証を破産管財人に提供しなければならない。
6前条第三項の規定は、買受けの申出について準用する。
7買受けの申出をした者(その者以外の者が買受希望者である場合にあっては、当該買受希望者)は、前条第一項の期間内は、当該買受けの申出を撤回することができる。
8破産管財人は、買受けの申出があったときは、前条第一項の期間が経過した後、裁判所に対し、第百八十六条第三項第一号の財産を買受希望者に売却する旨の届出をしなければならない。この場合において、買受けの申出が複数あったときは、最高の買受けの申出の額に係る買受希望者(最高の買受けの申出の額に係る買受けの申出が複数あった場合にあっては、そのうち最も先にされたものに係る買受希望者)に売却する旨の届出をしなければならない。
9前項の場合においては、破産管財人は、前条第一項の期間内にされた買受けの申出に係る第二項の書面を裁判所に提出しなければならない。
10買受けの申出があったときは、破産管財人は、第百八十六条第一項の申立てを取り下げるには、買受希望者(次条第一項の許可の決定が確定した後にあっては、同条第二項に規定する買受人)の同意を得なければならない。
破産法 第189条(担保権消滅の許可の決定等) 詳細ページ
(担保権消滅の許可の決定等)
第百八十九条裁判所は、被申立担保権者が第百八十七条第一項の期間内に同項の担保権の実行の申立てをしたことを証する書面を提出したことにより不許可の決定をする場合を除き、次の各号に掲げる区分に応じてそれぞれ当該各号に定める者を当該許可に係る売却の相手方とする第百八十六条第一項の許可の決定をしなければならない。
一前条第八項に規定する届出がされなかった場合第百八十六条第三項第三号の売却の相手方
二前条第八項に規定する届出がされた場合同項に規定する買受希望者
2前項第二号に掲げる場合において、同項の許可の決定が確定したときは、破産管財人と当該許可に係る同号に定める買受希望者(以下この節において「買受人」という。)との間で、第百八十六条第四項の書面に記載された内容と同一の内容(売却の相手方を除く。)の売買契約が締結されたものとみなす。この場合においては、買受けの申出の額を売買契約の売得金の額とみなす。
3第百八十六条第一項の申立てについての裁判があった場合には、その裁判が確定するまでの間、買受希望者(第一項第二号に定める買受希望者を除く。)は、当該買受希望者に係る買受けの申出を撤回することができる。
4第百八十六条第一項の申立てについての裁判に対しては、即時抗告をすることができる。
5第百八十六条第一項の申立てについての裁判又は前項の即時抗告についての裁判があった場合には、その裁判書を当事者に送達しなければならない。この場合においては、第十条第三項本文の規定は、適用しない。
破産法 第190条(金銭の納付等) 詳細ページ
(金銭の納付等)
第百九十条前条第一項の許可の決定が確定したときは、当該許可に係る売却の相手方は、次の各号に掲げる区分に応じ、それぞれ当該各号に定める額に相当する金銭を裁判所の定める期限までに裁判所に納付しなければならない。
一前条第一項第一号に掲げる場合第百八十六条第一項各号に掲げる区分に応じてそれぞれ当該各号に定める額
二前条第一項第二号に掲げる場合同条第二項後段に規定する売得金の額から第百八十八条第五項の規定により買受人が提供した保証の額を控除した額
2前項第二号の規定による金銭の納付があったときは、第百八十八条第五項の規定により買受人が提供した保証の額に相当する金銭は、売得金に充てる。
3前項の場合には、破産管財人は、同項の保証の額に相当する金銭を直ちに裁判所に納付しなければならない。
4被申立担保権者の有する担保権は、第一項第一号の場合にあっては同号の規定による金銭の納付があった時に、同項第二号の場合にあっては同号の規定による金銭の納付及び前項の規定による金銭の納付があった時に、それぞれ消滅する。
5前項に規定する金銭の納付があったときは、裁判所書記官は、消滅した担保権に係る登記又は登録の抹消を嘱託しなければならない。
6第一項の規定による金銭の納付がなかったときは、裁判所は、前条第一項の許可の決定を取り消さなければならない。
7前項の場合には、買受人は、第二項の保証の返還を請求することができない。
破産法 第191条(配当等の実施) 詳細ページ
(配当等の実施)
第百九十一条裁判所は、前条第四項に規定する金銭の納付があった場合には、次項に規定する場合を除き、当該金銭の被申立担保権者に対する配当に係る配当表に基づいて、その配当を実施しなければならない。
2被申立担保権者が一人である場合又は被申立担保権者が二人以上であって前条第四項に規定する金銭で各被申立担保権者の有する担保権によって担保される債権を弁済することができる場合には、裁判所は、当該金銭の交付計算書を作成して、被申立担保権者に弁済金を交付し、剰余金を破産管財人に交付する。
3民事執行法第八十五条から第八十六条まで及び第八十八条から第九十二条までの規定は第一項の配当の手続について、同法第八十八条、第九十一条及び第九十二条の規定は前項の規定による弁済金の交付の手続について準用する。
出

一次情報

原文ママ

条文は e-Gov法令検索、判例は裁判所ウェブサイトから取得しています。