民事訴訟法 / テーマ別まとめ

執行停止

執行停止の条文と、裁判所が付した判示事項から整理しています。

原文解釈このページは論点を軸に条文と判例を横断して整理したものです。論点の名称と構成は当サイトの整理であり、条文上の区分ではありません。リード文・要点・比較表も当サイトによる解釈です。条文原文と判例の判示事項・裁判要旨は転記です。

執行停止は、上告・再審の訴えや控訴、督促異議申立てなどが提起された場合に、まだ確定していない裁判に基づく強制執行を一時的に止めるための制度です。裁判所は申立てを受けて担保の要否を判断しつつ停止を命じ、場合によっては執行の開始・続行を命じることもできます。訴訟記録がどこにあるかで判断する裁判所が変わる点や、担保の供託先も定められています。

執行停止
対象手続疎明が必要な事情開始・続行命令
上告・再審の訴え理由あり+償えない損害の疎明不可
仮執行宣言付判決への上告破棄事情+償えない損害の疎明不可
仮執行宣言付判決への控訴等取消事情なしといえないor著しい損害可
手形小切手訴訟の控訴等取消・変更事情の疎明可
手形小切手・少額訴訟の異議取消・変更事情の疎明可
定期金賠償変更の訴え変更理由あり+事実上の疎明可
  • 担保を立てさせるかどうかは裁判所の裁量による
  • 開始・続行を命じる決定は表の号(三号~六号)の場合に限られる
  • この停止申立てについての裁判には不服を申し立てることができない
  • 支払督促に対する督促異議申立ての場合も原裁判所が裁判する扱いが準用される
  • 担保の供託は、担保を命じた裁判所又は執行裁判所所在地を管轄する供託所で行う
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執行停止

執行停止について、条文は何を定めているか。

第403条執行停止の裁判上訴等の間、執行停止を裁判所が決定できる2項・6号判例 4件
  • 上告・再審の訴え、控訴、督促異議、異議申立てなどがあった場合に停止を申し立てられる
  • 担保を立てさせる・立てさせないは裁判所が判断し、停止に加え開始・続行命令も可能
  • この決定には不服を申し立てることができない
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第404条原裁判所による裁判訴訟記録が原裁判所にあれば原裁判所が判断2項判例なし
  • 上告の提起や仮執行宣言付判決への控訴提起があり、訴訟記録が原裁判所にあるときは原裁判所が裁判する
  • 支払督促に対する督促異議申立ての場合も同様の扱いが準用される
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第405条担保の提供担保の供託先は裁判所所在地の供託所2項判例 4件
  • 担保を立てる場合の供託は、担保を命じた裁判所又は執行裁判所所在地を管轄する供託所で行う
  • 第76条〈担保提供の方法〉・第77条〈担保物に対する被告の権利〉・第79条〈担保の取消し〉・第80条〈担保の変換〉の規定が準用される
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論

主要な論点と判例

原文ママ

論点の見出しと結論は、裁判所が付した判示事項・裁判要旨をそのまま転記しています。文中の〈 〉内は条文の見出しを当サイトが補ったものです。

論点1第403条民事訴訟法

上告裁判所が自らした審決取消請求事件の判決の言渡により実用新案登録の無効審決確定の事実が顕著である場合に実用新案権に基づく損害賠償請求は理由がないとされた事例

裁判要旨実用新案権に基づく損害賠償請求訴訟の上告裁判所において、実用新案登録に係る考案がその登録出願時において新規性を有しないことを理由として右登録を無効とすべき旨の審決の確定したことが自ら言い渡した審決取消請求事件の判決に徴し顕著である場合は、無効審決の確定により実用新案権が初めから存在しなかつたものとみなされることが実用新案法四一条によつて準用される特許法一二五条本文の規定により明らかであり、実用新案権が存在することを前提とする損害賠償請求は、理由がない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和57年3月30日 昭和51(オ)538
登載
集民 第135号461頁
参照法条
実用新案法41条,特許法125条,民訴法403条
論点2第403条民事訴訟法

民訴法第四〇三条は憲法第三二条に違背するか。

裁判要旨民訴法第四〇三条は憲法第三二条に違背しない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和40年1月22日 昭和39(テ)10
登載
集民 第77号125頁
参照法条
憲法32条,民訴法403条,民訴法394条
論点3第403条民事訴訟法

民訴法第四〇七条第二項にいわゆる「事実上の判断」の意義。

裁判要旨民訴第四〇七条第二項にいわゆる「事実上の判断」とは、職権調査事項につき上告審のなした事実上の判断だけを指すもので、訴の本案たる事実に関する判断を含まないものと解すべきである。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和36年11月28日 昭和35(オ)571
登載
民集 第15巻10号2593頁
参照法条
民訴法407条2項,民訴法403条
論点4第403条民事訴訟法

1 仮執行宣言付判決に対する上訴に伴い金銭を供託する方法により担保を立てさせて強制執行の停止がされた後に債務者につき更生手続開始の決定がされた場合における上記担保の被担保債権の性質
2 仮執行宣言付判決に対する上訴に伴う強制執行の停止に当たって金銭を供託する方法により担保が立てられた場合において債務者につき更生計画認可の決定がされた後であっても供託金の還付請求権を行使することの可否

裁判要旨1 仮執行宣言付判決に対する上訴に伴い,金銭を供託する方法により担保を立てさせて強制執行の停止がされた後に,債務者につき更生手続開始の決定がされた場合,その被担保債権である損害賠償請求権は,更生担保権ではなく,更生債権に当たる。
2 仮執行宣言付判決に対する上訴に伴う強制執行の停止に当たって金銭を供託する方法により担保が立てられた場合,被供託者は,債務者につき更生計画認可の決定がされても,会社更生法203条2項にいう「更生会社と共に債務を負担する者に対して有する権利」として,供託金の還付請求権を行使することができる。
裁判
最高裁判所第二小法廷 平成25年4月26日 平成24(許)15
登載
民集 第67巻4号1150頁
参照法条
(1,2につき)民訴法76条,民訴法77条,民訴法259条,民訴法403条1項,民訴法405条2項,民事執行法39条1項 (1につき)会社更生法2条8項,会社更生法2条10項 (2につき)会社更生法203条2項,会社更生法204条1項,供託法8条1項
論点5第405条民事訴訟法

一 債権者代位訴訟の原告である債権者が被告である第三債務者の提出した抗弁に対し自己独自の事情に基づく再抗弁を提出することの可否
二 主位的請求を棄却し予備的請求を認容した控訴審判決に対し第一審被告のみが上告した場合と上告審における調査・判断の範囲

裁判要旨一 債権者が債権者代位権に基づきその債務者に属する債権を行使する訴訟において、被告である第三債務者が提出した抗弁に対し、原告の提出することのできる再抗弁事由は債務者自身が主張することのできるものに限られ、原告独自の事情に基づく再抗弁を提出することはできない。
二 主位的請求を棄却し予備的請求を認容した控訴審判決に対し、第一審被告のみが上告し、第一審原告は上告も附帯上告もしない場合には、主位的請求に対する原審の判断の適否は上告審の調査の対象とならず、第一審被告の上告に理由があるときは、上告審は、原判決中予備的請求に関する部分のみを破棄すべきである。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和54年3月16日 昭和51(オ)49
登載
民集 第33巻2号270頁
参照法条
民法423条,民訴法385条,民訴法396条,民訴法402条,民訴法405条
論点6第405条民事訴訟法

一、民訴法第七一条の参加のある訴訟と本案判決
二、右訴訟の本案につき一部判決がされた違法と職権調査事項

裁判要旨一、民訴法第七一条の参加に基づく、参加人、原告、被告間の訴訟について本案判決をするときは、右三当事者を判決の名宛人とする一個の終局判決のみが許され、右当事者の一部に関する判決をすることも、また、残余のものに関する追加判決をすることも、許されない。
二、右に違背してされた一部判決の違法は職権調査事項にあたる。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和43年4月12日 昭和41(オ)288
登載
民集 第22巻4号877頁
参照法条
民訴法71条,民訴法62条,民訴法183条,民訴法195条,民訴法405条
論点7第405条民事訴訟法

特別上告審における職権調査の範囲

裁判要旨特別上告審において主張された原上告判決の法令違背が上告審の職権調査事項に関するものであつても、特別上告審においては、右法令違背の有無を審理判断する必要がない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和40年7月13日 昭和40(ヤ)4
登載
集民 第79号773頁
参照法条
民訴法409条ノ2,民訴法409条ノ3,民訴法405条
原

条文原文

原文ママ

e-Gov法令検索から取得した原文を、号・イロハまで省略せずに掲載しています。

民事訴訟法 第403条(執行停止の裁判) 詳細ページ
(執行停止の裁判)
第四百三条次に掲げる場合には、裁判所は、申立てにより、決定で、担保を立てさせて、若しくは立てさせないで強制執行の一時の停止を命じ、又はこれとともに、担保を立てて強制執行の開始若しくは続行をすべき旨を命じ、若しくは担保を立てさせて既にした執行処分の取消しを命ずることができる。ただし、強制執行の開始又は続行をすべき旨の命令は、第三号から第六号までに掲げる場合に限り、することができる。
一第三百二十七条第一項(第三百八十条第二項において準用する場合を含む。次条において同じ。)の上告又は再審の訴えの提起があった場合において、不服の理由として主張した事情が法律上理由があるとみえ、事実上の点につき疎明があり、かつ、執行により償うことができない損害が生ずるおそれがあることにつき疎明があったとき。
二仮執行の宣言を付した判決に対する上告の提起又は上告受理の申立てがあった場合において、原判決の破棄の原因となるべき事情及び執行により償うことができない損害を生ずるおそれがあることにつき疎明があったとき。
三仮執行の宣言を付した判決に対する控訴の提起又は仮執行の宣言を付した支払督促に対する督促異議の申立て(次号の控訴の提起及び督促異議の申立てを除く。)があった場合において、原判決若しくは支払督促の取消し若しくは変更の原因となるべき事情がないとはいえないこと又は執行により著しい損害を生ずるおそれがあることにつき疎明があったとき。
四手形又は小切手による金銭の支払の請求及びこれに附帯する法定利率による損害賠償の請求について、仮執行の宣言を付した判決に対する控訴の提起又は仮執行の宣言を付した支払督促に対する督促異議の申立てがあった場合において、原判決又は支払督促の取消し又は変更の原因となるべき事情につき疎明があったとき。
五仮執行の宣言を付した手形訴訟若しくは小切手訴訟の判決に対する異議の申立て又は仮執行の宣言を付した少額訴訟の判決に対する異議の申立てがあった場合において、原判決の取消し又は変更の原因となるべき事情につき疎明があったとき。
六第百十七条第一項の訴えの提起があった場合において、変更のため主張した事情が法律上理由があるとみえ、かつ、事実上の点につき疎明があったとき。
2前項に規定する申立てについての裁判に対しては、不服を申し立てることができない。
民事訴訟法 第404条(原裁判所による裁判) 詳細ページ
(原裁判所による裁判)
第四百四条第三百二十七条第一項の上告の提起、仮執行の宣言を付した判決に対する上告の提起若しくは上告受理の申立て又は仮執行の宣言を付した判決に対する控訴の提起があった場合において、訴訟記録が原裁判所に存するときは、その裁判所が、前条第一項に規定する申立てについての裁判をする。
2前項の規定は、仮執行の宣言を付した支払督促に対する督促異議の申立てがあった場合について準用する。
民事訴訟法 第405条(担保の提供) 詳細ページ
(担保の提供)
第四百五条この編の規定により担保を立てる場合において、供託をするには、担保を立てるべきことを命じた裁判所又は執行裁判所の所在地を管轄する地方裁判所の管轄区域内の供託所にしなければならない。
2第七十六条、第七十七条、第七十九条及び第八十条の規定は、前項の担保について準用する。
出

一次情報

原文ママ

条文は e-Gov法令検索、判例は裁判所ウェブサイトから取得しています。