会社法 / テーマ別まとめ

書面投票と電子投票

総会に来なくても投票できる仕組み。1000人以上の会社では原則として義務。

原文解釈このページは論点を軸に条文と判例を横断して整理したものです。論点の名称と構成は当サイトの整理であり、条文上の区分ではありません。リード文・要点・比較表も当サイトによる解釈です。条文原文と判例の判示事項・裁判要旨は転記です。

総会に出席しない株主のために、書面または電磁的方法(インターネット等)で議決権を行使できるようにする制度である。株主の数が1000人以上の会社は、原則として書面投票を実施しなければならない。書面・電子いずれで行使した議決権も出席株主の議決権数に算入され、提出・提供された記録は総会後3か月間、本店に備え置かれる。

書面投票と電子投票の対比
項目書面による議決権行使電磁的方法による議決権行使
採用の要否1000人以上は原則必須任意(義務なし)
行使期限省令で定める時までに提出省令で定める時までに提供
議決権の算入出席株主の議決権に算入出席株主の議決権に算入
備置き議決権行使書面を3か月備置電磁的記録を3か月備置
  • 1000人未満の会社でも、招集時に定めれば書面投票を導入できる
  • 上場会社で法務省令が定めるものは、1000人以上でも書面投票の義務が及ばない場合がある
  • 電子投票の実施は任意だが、電磁的通知に同意済みの株主には正当理由なく拒めない
  • 議決権行使書面・電磁的記録は、株主が営業時間内にいつでも閲覧・謄写を請求できる
  • 閲覧・謄写の請求は理由を明らかにする必要があり、会社は正当理由がなければ拒めない
  • 取締役会設置会社では、書面投票・電子投票の実施を含む招集事項は取締役会決議で決める
1

採用するか

1000人以上の会社の義務

第298条株主総会の招集の決定招集時に書面・電子投票の実施を決める4項・5号旧商法 5件
  • 書面投票を認めるかどうかは招集時に定める事項
  • 株主が1000人以上の会社は書面投票が原則必須
  • 取締役会設置会社は招集事項を取締役会決議で決定
条文原文を見るこの条文の詳細ページ
2

書面で投票する

行使期限と議決権の算入

第311条書面による議決権の行使書面投票のやり方と保存・閲覧のルール5項・4号判例なし
  • 議決権行使書面に記入し、期限までに会社へ提出して行う
  • 書面投票分の議決権は出席株主の議決権数に算入される
  • 議決権行使書面は総会後3か月間、本店に備え置かれる
条文原文を見るこの条文の詳細ページ
3

電磁的方法で投票する

承諾と行使の方法

第312条電磁的方法による議決権の行使電子投票は会社の承諾を得て行う仕組み6項・4号判例なし
  • 議決権行使書面の記載事項を期限までに電磁的方法で提供
  • 電子通知に同意した株主への拒否には正当理由が必要
  • 電磁的記録は総会後3か月間、本店に備え置かれる
条文原文を見るこの条文の詳細ページ
論

主要な論点と判例

原文ママ

論点の見出しと結論は、裁判所が付した判示事項・裁判要旨をそのまま転記しています。文中の〈 〉内は条文の見出しを当サイトが補ったものです。

論点1第298条旧商法下の裁判例

一 株式会社のいわゆる全員出席総会における決議の効力
二 株主の代理人の出席を含むいわゆる全員出席総会における決議が有効となる場合

裁判要旨一 招集手続を欠くのに株主全員が株主総会の開催に同意して出席したいわゆる全員出席総会においてされた決議は、総会の決議として有効に成立する。
二 株主の代理人の出席を含むいわゆる全員出席総会における決議は、当該株主が会議の目的たる事項を了知したうえで委任をし、かつ、決議の内容が右事項の範囲内のものである場合には、総会の決議として有効に成立する。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和60年12月20日 昭和58(オ)1567
登載
民集 第39巻8号1869頁
参照法条
商法(昭和56年法律第74号による改正前のもの)230条ノ2,商法231条,商法232条,商法239条1項,商法239条3項,商法239条4項
論点2第298条旧商法下の裁判例

いわゆる一人会社と株主総会の成立

裁判要旨いわゆる一人会社においては、その一人の株主が出席すれば、招集の手続がなくても、株主総会は成立する。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和46年6月24日 昭和43(オ)826
登載
民集 第25巻4号596頁
参照法条
商法231条,商法232条,商法239条1項
論点3第298条旧商法下の裁判例

一、株主総会招集の手続またはその決議の方法に重大なかしがある場合と決議取消請求の裁量棄却
二、株主総会招集の手続に決議取消請求を裁量棄却することの許されない重大なかしがあるとされた事例

裁判要旨一、株主総会招集の手続またはその決議の方法に性質、程度等からみて重大なかしがある場合には、そのかしが決議の結果に影響を及ぼさないと認められるようなときでも、裁判所は、右決議の取消請求を認容すべきであつて、これを裁量棄却することは許されない。
二、株主総会招集の手続が、その招集につき決定の権限を有する取締役会の有効な決議に基づかないでなされたものであるのみならず、その招集の通知が、すべての株主に対して法定の招集期間に二日足りない会日より一二日前になされたものであるときは、右株主総会招集の手続には、右総会の決議の取消請求を裁量棄却することの許されない重大なかしがあるというべきである。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和46年3月18日 昭和44(オ)89
登載
民集 第25巻2号183頁
参照法条
商法247条,商法231条,商法232条1項
論点4第298条旧商法下の裁判例

一 特定の株主に対する株主総会の招集通知の欠如と他の株主との関係における取締役の職務上の義務違反の有無
二 定款上株式の譲渡には取締役会の承認を要することとされている会社において既に競売により株式を失っていたが株主名簿には株主として記載されていた者に対し株主総会の招集通知が行われないまま決議がされた場合に取締役に悪意又は重大な過失による職務上の義務違反がなかったとはいえないとされた事例

裁判要旨一 特定の株主に対する株主総会の招集通知の欠如は、すべての株主に対する関係において取締役の職務上の義務違反に当たる。
二 定款上株式の譲渡には取締役会の承認を要することとされている会社において、既に競売により株式を失っていたが株主名簿には株主として記載されていた者に対し株主総会の招集通知が行われないまま決議がされた場合に、右当時、右の者が会社を被告として株主としての地位の確認を請求する訴訟において請求を棄却すべきものとする判決が言い渡されていたものの、同判決は未確定であったなど判示の事実関係の下においては、右の者に対する株主総会の招集通知の欠如につき取締役に悪意又は重大な過失による職務上の義務違反がなかったとはいえない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成9年9月9日 平成6(オ)362
登載
集民 第185号199頁
参照法条
商法204条1項,商法224条1項,商法231条,商法266条ノ3第1項,商法(平成2年法律第64号による改正前のもの)204条ノ2,商法(平成2年法律第64号による改正前のもの)204条ノ5,商法(平成2年法律第64号による改正前のもの)206条1項,商法(平成2年法律第64号による改正前のもの)232条,民訴法225条
論点5第298条旧商法下の裁判例

取締役を選任する旨の株主総会決議が不存在である場合とその後の取締役を選任する旨の株主総会決議の効力

裁判要旨取締役に選任する旨の株主総会の決議が不存在である場合に、その者を構成員の一員とする取締役会で選任された代表取締役が、その取締役会の招集決定に基づき招集した株主総会において取締役を選任する旨の決議がされたときは、右決議は、いわゆる全員出席総会においてされたなど特段の事情がない限り、不存在である。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成2年4月17日 昭和60(オ)1529
登載
民集 第44巻3号526頁
参照法条
商法231条,商法254条1項,商法258条1項,商法(昭和56年法律第74号による改正前のもの)252条
原

条文原文

原文ママ

e-Gov法令検索から取得した原文を、号・イロハまで省略せずに掲載しています。

会社法 第298条(株主総会の招集の決定) 詳細ページ
(株主総会の招集の決定)
第二百九十八条取締役(前条第四項の規定により株主が株主総会を招集する場合にあっては、当該株主。次項本文及び次条から第三百二条までにおいて同じ。)は、株主総会を招集する場合には、次に掲げる事項を定めなければならない。
一株主総会の日時及び場所
二株主総会の目的である事項があるときは、当該事項
三株主総会に出席しない株主が書面によって議決権を行使することができることとするときは、その旨
四株主総会に出席しない株主が電磁的方法によって議決権を行使することができることとするときは、その旨
五前各号に掲げるもののほか、法務省令で定める事項
2取締役は、株主(株主総会において決議をすることができる事項の全部につき議決権を行使することができない株主を除く。次条から第三百二条までにおいて同じ。)の数が千人以上である場合には、前項第三号に掲げる事項を定めなければならない。ただし、当該株式会社が金融商品取引法第二条第十六項に規定する金融商品取引所に上場されている株式を発行している株式会社であって法務省令で定めるものである場合は、この限りでない。
3取締役会設置会社における前項の規定の適用については、同項中「株主総会において決議をすることができる事項」とあるのは、「前項第二号に掲げる事項」とする。
4取締役会設置会社においては、前条第四項の規定により株主が株主総会を招集するときを除き、第一項各号に掲げる事項の決定は、取締役会の決議によらなければならない。
会社法 第311条(書面による議決権の行使) 詳細ページ
(書面による議決権の行使)
第三百十一条書面による議決権の行使は、議決権行使書面に必要な事項を記載し、法務省令で定める時までに当該記載をした議決権行使書面を株式会社に提出して行う。
2前項の規定により書面によって行使した議決権の数は、出席した株主の議決権の数に算入する。
3株式会社は、株主総会の日から三箇月間、第一項の規定により提出された議決権行使書面をその本店に備え置かなければならない。
4株主は、株式会社の営業時間内は、いつでも、第一項の規定により提出された議決権行使書面の閲覧又は謄写の請求をすることができる。この場合においては、当該請求の理由を明らかにしてしなければならない。
5株式会社は、前項の請求があったときは、次のいずれかに該当する場合を除き、これを拒むことができない。
一当該請求を行う株主(以下この項において「請求者」という。)がその権利の確保又は行使に関する調査以外の目的で請求を行ったとき。
二請求者が当該株式会社の業務の遂行を妨げ、又は株主の共同の利益を害する目的で請求を行ったとき。
三請求者が第一項の規定により提出された議決権行使書面の閲覧又は謄写によって知り得た事実を利益を得て第三者に通報するため請求を行ったとき。
四請求者が、過去二年以内において、第一項の規定により提出された議決権行使書面の閲覧又は謄写によって知り得た事実を利益を得て第三者に通報したことがあるものであるとき。
会社法 第312条(電磁的方法による議決権の行使) 詳細ページ
(電磁的方法による議決権の行使)
第三百十二条電磁的方法による議決権の行使は、政令で定めるところにより、株式会社の承諾を得て、法務省令で定める時までに議決権行使書面に記載すべき事項を、電磁的方法により当該株式会社に提供して行う。
2株主が第二百九十九条第三項の承諾をした者である場合には、株式会社は、正当な理由がなければ、前項の承諾をすることを拒んではならない。
3第一項の規定により電磁的方法によって行使した議決権の数は、出席した株主の議決権の数に算入する。
4株式会社は、株主総会の日から三箇月間、第一項の規定により提供された事項を記録した電磁的記録をその本店に備え置かなければならない。
5株主は、株式会社の営業時間内は、いつでも、前項の電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧又は謄写の請求をすることができる。この場合においては、当該請求の理由を明らかにしてしなければならない。
6株式会社は、前項の請求があったときは、次のいずれかに該当する場合を除き、これを拒むことができない。
一当該請求を行う株主(以下この項において「請求者」という。)がその権利の確保又は行使に関する調査以外の目的で請求を行ったとき。
二請求者が当該株式会社の業務の遂行を妨げ、又は株主の共同の利益を害する目的で請求を行ったとき。
三請求者が前項の電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧又は謄写によって知り得た事実を利益を得て第三者に通報するため請求を行ったとき。
四請求者が、過去二年以内において、前項の電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧又は謄写によって知り得た事実を利益を得て第三者に通報したことがあるものであるとき。
出

一次情報

原文ママ

条文は e-Gov法令検索、判例は裁判所ウェブサイトから取得しています。