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損害賠償責任

公的資料に現れる論点です。条文と判例から整理しています。

原文解釈このページは論点を軸に条文と判例を横断して整理したものです。論点の名称と構成は当サイトの整理であり、条文上の区分ではありません。リード文・要点・比較表も当サイトによる解釈です。条文原文と判例の判示事項・裁判要旨は転記です。

発起人や役員等が任務を怠ったり悪意・重過失があったりした場合に、会社や第三者に対して負う損害賠償責任を定めています。あわせて、代表者の行為について会社自身が負う責任、会社の組織に関する訴えで敗訴した原告が負う責任も整理します。

損害賠償責任
条文責任を負う者相手方要件
会社法53条1項発起人・設立時取締役等株式会社設立の任務を怠ったとき
会社法53条2項発起人・設立時取締役等第三者職務につき悪意・重過失
会社法429条1項役員等第三者職務につき悪意・重過失
会社法429条2項取締役・会計参与等第三者虚偽記載等、証明で免責
会社法350条株式会社第三者代表者が職務で加えた損害
会社法846条敗訴した原告被告悪意・重過失で敗訴
会社法846条の9敗訴した原告被告悪意・重過失で敗訴
  • 846条は会社の組織に関する訴え一般が対象、846条の9は売渡株式等の取得の無効の訴えに限る
  • 846条・846条の9の責任は、敗訴した原告が被告に対して連帯して負う
  • 429条2項の責任は、行為者が注意を怠らなかったことを証明すれば免れる
  • 429条2項の対象行為は、取締役・執行役、会計参与、監査役等、会計監査人でそれぞれ異なる
  • 424条の総株主の同意による免除は、前条(423条)1項の会社に対する責任が対象
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損害賠償責任

損害賠償責任について、条文は何を定めているか。

第53条発起人等の損害賠償責任発起人等が会社・第三者に負う責任2項判例なし
  • 設立の任務を怠ったときは会社に生じた損害を賠償する
  • 職務につき悪意・重過失があれば第三者にも賠償責任を負う
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第846条原告が敗訴した場合の損害賠償責任組織訴訟で敗訴した原告が負う責任1項判例なし
  • 会社の組織に関する訴えを提起した原告が敗訴した場合が対象
  • 原告に悪意・重過失があれば被告に連帯して賠償する
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第846_9条原告が敗訴した場合の損害賠償責任売渡株式等の無効訴訟で敗訴した原告が負う責任1項判例なし
  • 売渡株式等の取得の無効の訴えを提起した原告が敗訴した場合が対象
  • 原告に悪意・重過失があれば被告に連帯して賠償する
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第350条代表者の行為についての損害賠償責任代表者の行為について会社が負う責任1項判例 2件
  • 代表取締役等が職務を行うにつき第三者に加えた損害を会社が賠償する
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第424条株式会社に対する損害賠償責任の免除会社に対する責任は総株主の同意がないと免除できない1項判例なし
  • 前条(423条〈役員等の株式会社に対する損害賠償責任〉)1項の会社に対する責任は総株主の同意がなければ免除不可
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第429条役員等の第三者に対する損害賠償責任役員等が第三者に負う損害賠償責任2項・4号判例なし
  • 職務につき悪意・重過失があれば第三者に賠償責任を負う
  • 取締役・執行役は募集の虚偽通知や計算書類の虚偽記載等も対象
  • 注意を怠らなかったことを証明すれば責任を免れる
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論

主要な論点と判例

原文ママ

論点の見出しと結論は、裁判所が付した判示事項・裁判要旨をそのまま転記しています。文中の〈 〉内は条文の見出しを当サイトが補ったものです。

論点1第350条会社法

株式会社の従業員らが営業成績を上げる目的で架空の売上げを計上したため有価証券報告書に不実の記載がされ,株主が損害を被ったことにつき,会社の代表者に従業員らによる架空売上げの計上を防止するためのリスク管理体制構築義務違反の過失がないとされた事例

裁判要旨株式会社の従業員らが営業成績を上げる目的で架空の売上げを計上したため有価証券報告書に不実の記載がされ,その後同事実が公表されて当該会社の株価が下落し,公表前に株式を取得した株主が損害を被ったことにつき,次の(1)〜(3)などの判示の事情の下では,当該会社の代表者に,従業員らによる架空売上げの計上を防止するためのリスク管理体制を構築すべき義務に違反した過失があるとはいえない。
(1) 当該会社は,営業部の所属する事業部門と財務部門を分離し,売上げについては,事業部内の営業部とは別の部署における注文書,検収書の確認等を経て財務部に報告される体制を整えるとともに,監査法人及び当該会社の財務部がそれぞれ定期的に取引先から売掛金残高確認書の返送を受ける方法で売掛金残高を確認することとするなど,通常想定される架空売上げの計上等の不正行為を防止し得る程度の管理体制は整えていた。
(2) 上記架空売上げの計上に係る不正行為は,事業部の部長が部下である営業担当者数名と共謀して,取引先の偽造印を用いて注文書等を偽造し,これらを確認する担当者を欺いて財務部に架空の売上報告をさせた上,上記営業担当者らが言葉巧みに取引先の担当者を欺いて,監査法人等が取引先あてに郵送した売掛金残高確認書の用紙を未開封のまま回収し,これを偽造して監査法人等に送付するという,通常容易に想定し難い方法によるものであった。
(3) 財務部が売掛金債権の回収遅延につき上記事業部の部長らから受けていた説明は合理的なもので,監査法人も当該会社の財務諸表につき適正意見を表明していた。
裁判
最高裁判所第一小法廷 平成21年7月9日 平成20(受)1602
登載
集民 第231号241頁
参照法条
会社法350条
論点2第350条会社法

不法行為に基づく損害賠償債務の遅延損害金を民法405条の適用又は類推適用により元本に組み入れることの可否

裁判要旨不法行為に基づく損害賠償債務の遅延損害金は,民法405条の適用又は類推適用により元本に組み入れることはできない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 令和4年1月18日 令和2(受)1518
登載
民集 第76巻1号1頁
参照法条
民法405条,民法709条,会社法350条
原

条文原文

原文ママ

e-Gov法令検索から取得した原文を、号・イロハまで省略せずに掲載しています。

会社法 第53条(発起人等の損害賠償責任) 詳細ページ
(発起人等の損害賠償責任)
第五十三条発起人、設立時取締役又は設立時監査役は、株式会社の設立についてその任務を怠ったときは、当該株式会社に対し、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
2発起人、設立時取締役又は設立時監査役がその職務を行うについて悪意又は重大な過失があったときは、当該発起人、設立時取締役又は設立時監査役は、これによって第三者に生じた損害を賠償する責任を負う。
会社法 第846条(原告が敗訴した場合の損害賠償責任) 詳細ページ
(原告が敗訴した場合の損害賠償責任)
第八百四十六条会社の組織に関する訴えを提起した原告が敗訴した場合において、原告に悪意又は重大な過失があったときは、原告は、被告に対し、連帯して損害を賠償する責任を負う。
会社法 第846_9条(原告が敗訴した場合の損害賠償責任) 詳細ページ
(原告が敗訴した場合の損害賠償責任)
第八百四十六条の九売渡株式等の取得の無効の訴えを提起した原告が敗訴した場合において、原告に悪意又は重大な過失があったときは、原告は、被告に対し、連帯して損害を賠償する責任を負う。
会社法 第350条(代表者の行為についての損害賠償責任) 詳細ページ
(代表者の行為についての損害賠償責任)
第三百五十条株式会社は、代表取締役その他の代表者がその職務を行うについて第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。
会社法 第424条(株式会社に対する損害賠償責任の免除) 詳細ページ
(株式会社に対する損害賠償責任の免除)
第四百二十四条前条第一項の責任は、総株主の同意がなければ、免除することができない。
会社法 第429条(役員等の第三者に対する損害賠償責任) 詳細ページ
(役員等の第三者に対する損害賠償責任)
第四百二十九条役員等がその職務を行うについて悪意又は重大な過失があったときは、当該役員等は、これによって第三者に生じた損害を賠償する責任を負う。
2次の各号に掲げる者が、当該各号に定める行為をしたときも、前項と同様とする。ただし、その者が当該行為をすることについて注意を怠らなかったことを証明したときは、この限りでない。
一取締役及び執行役次に掲げる行為
イ株式、新株予約権、社債若しくは新株予約権付社債を引き受ける者の募集をする際に通知しなければならない重要な事項についての虚偽の通知又は当該募集のための当該株式会社の事業その他の事項に関する説明に用いた資料についての虚偽の記載若しくは記録
ロ計算書類及び事業報告並びにこれらの附属明細書並びに臨時計算書類に記載し、又は記録すべき重要な事項についての虚偽の記載又は記録
ハ虚偽の登記
ニ虚偽の公告(第四百四十条第三項に規定する措置を含む。)
二会計参与計算書類及びその附属明細書、臨時計算書類並びに会計参与報告に記載し、又は記録すべき重要な事項についての虚偽の記載又は記録
三監査役、監査等委員及び監査委員監査報告に記載し、又は記録すべき重要な事項についての虚偽の記載又は記録
四会計監査人会計監査報告に記載し、又は記録すべき重要な事項についての虚偽の記載又は記録
出

一次情報

原文ママ

条文は e-Gov法令検索、判例は裁判所ウェブサイトから取得しています。