会社法 平成十七年法律第八十六号 現行施行 2026-08-12 条文取得 2026-09-04

第247条

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概要

原文解釈
  • 株主は、第238条第1項の募集に係る新株予約権の発行について、一定の場合に株式会社に対し発行をやめることを請求できる。
  • 請求できる場合の一つは、当該新株予約権の発行が法令又は定款に違反する場合である。
  • 請求できる場合のもう一つは、当該新株予約権の発行が著しく不公正な方法により行われる場合である。
  • いずれの場合も、株主が不利益を受けるおそれがあることが請求の要件となる。

新株予約権発行差止請求の要件

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号発行差止事由共通要件請求の相手方請求内容
一当該新株予約権の発行が法令又は定款に違反する場合株主が不利益を受けるおそれがあるとき株式会社第238条第1項の募集に係る新株予約権の発行をやめることの請求
二当該新株予約権の発行が著しく不公正な方法により行われる場合株主が不利益を受けるおそれがあるとき株式会社第238条第1項の募集に係る新株予約権の発行をやめることの請求

主要な判例

原文ママ裁判所が付した参照法条による機械照合で選定
会社法株主総会決議禁止等仮処分命令申立て却下決定に対する抗告棄却決定に対する許可抗告事件
位置づけ
最高裁 / 民集登載
事件番号
平成19(許)30
裁判
最高裁判所第二小法廷 平成19年8月7日 棄却
登載
民集 第61巻5号2215頁
参照法条
(1〜5につき)会社法109条1項 (4につき)会社法247条1号 (5につき)会社法247条2号
判示事項
1 株主平等の原則の趣旨は株主に対して新株予約権の無償割当てをする場合に及ぶか 2 株主に対する差別的取扱いが株主平等の原則の趣旨に反しない場合 3 特定の株主による経営支配権の取得に伴い,株式会社の企業価値がき損され,株主の共同の利益が害されることになるか否かについての審理判断の方法 4 株式会社が特定の株主による株式の公開買付けに対抗して当該株主の持株比率を低下させるためにする新株予約権の無償割当てが,株主平等の原則の趣旨に反せず,会社法247条1号所定の「法令又は定款に違反する場合」に該当しないとされた事例 5 株式会社が特定の株主による株式の公開買付けに対抗して当該株主の持株比率を低下させるためにする新株予約権の無償割当てが,会社法247条2号所定の「著しく不公正な方法により行われる場合」に該当しないとされた事例
裁判要旨1 会社法109条1項に定める株主平等の原則の趣旨は,株主に対して新株予約権の無償割当てをする場合にも及ぶ。
2 特定の株主による経営支配権の取得に伴い,株式会社の企業価値がき損され,株主の共同の利益が害されることになるような場合に,その防止のために上記特定の株主を差別的に取り扱うことは,衡平の理念に反し,相当性を欠くものでない限り,会社法109条1項に定める株主平等の原則の趣旨に反しない。
3 特定の株主による経営支配権の取得に伴い,株式会社の企業価値がき損され,株主の共同の利益が害されることになるか否かについては,株主総会における株主自身の判断の正当性を失わせるような重大な瑕疵が存在しない限り,当該判断が尊重されるべきである。
4 株式会社Yが株主であるXによる経営支配権取得のための株式の公開買付けに対抗して新株予約権の無償割当てを行うに当たり,新株予約権の内容につき,X及びその関係者以外の株主は割り当てられた新株予約権を行使することなどによって株式の交付を受けることができるが,X及びその関係者は割り当てられた新株予約権を行使することができず,Yは金員を交付することによって上記新株予約権を取得することができる旨の差別的な条件及び条項が定められていた場合において,次の(1)〜(3)などの判示の事情の下では,上記新株予約権の無償割当ては,会社法109条1項に定める株主平等の原則の趣旨に反せず,同法247条1号所定の「法令又は定款に違反する場合」に該当しない。
(1) 上記新株予約権の無償割当てを行うことは,株主総会においてX及びその関係者以外のほとんどの株主の賛成を得て可決されたものであり,これらの株主は,Xによる経営支配権の取得が企業価値をき損し,株主の共同の利益を害することになると判断したものといえる。
(2) 上記総会の手続に適正を欠く点があったとはいえず,また,上記判断はX及びその関係者において経営支配権取得後の経営方針を明示せず,投下資本の回収方針についても明らかにしなかったことなどによるものであるとうかがわれ,当該判断にその正当性を失わせるような重大な瑕疵はない。
(3) 上記新株予約権の無償割当ては,X及びその関係者も意見を述べる機会のあった上記総会における議論を経てX及びその関係者以外のほとんどの株主が是認したものである上,YがX及びその関係者に割り当てられた新株予約権を取得するに当たり交付する金員は当該新株予約権の価値に見合うものであって,衡平の理念に反し,相当性を欠くものではない。
5 株式会社Yが株主であるXによる経営支配権取得のための株式の公開買付けに対抗して新株予約権の無償割当てを行うに当たり,新株予約権の内容につき,X及びその関係者以外の株主は割り当てられた新株予約権を行使することなどによって株式の交付を受けることができるが,X及びその関係者は割り当てられた新株予約権を行使することができず,Yは金員を交付することによって上記新株予約権を取得することができる旨の差別的な条件及び条項が定められていた場合において,次の(1)〜(3)などの判示の事情の下では,上記新株予約権の無償割当ては,経営支配権を取得しようとする行為に対する対応策として事前に定められ,示されていなかったことなどを考慮しても,会社法247条2号所定の「著しく不公正な方法により行われる場合」に該当しない。
(1) 上記新株予約権の無償割当ては,株主平等の原則の趣旨に反するものではない。
(2) 上記新株予約権の無償割当ては,Xによる経営支配権の取得の可能性が現に生じたために株主総会において企業価値のき損を防ぎ,株主の共同の利益の侵害を防ぐためには多額の支出をしても採用する必要があると判断されて行われたもので,緊急の事態に対処するための措置である。また,X及びその関係者には,割り当てられた新株予約権の価値に見合う対価が支払われる。
(3) 上記新株予約権の無償割当ては,専ら経営を担当している取締役等又はこれを支持する特定の株主の経営支配権を維持するために行われるものではない。

実務注記

原文解釈
  1. 「株主が不利益を受けるおそれがあるとき」が請求の要件第一号・第二号のいずれの事由に該当する場合であっても、株主が不利益を受けるおそれがあることが請求の要件として条文上必要とされている。
  2. 対象は第238条第1項の募集に係る新株予約権発行差止請求の対象は、第238条第1項の募集に係る新株予約権の発行に限定されている。
  3. 請求の相手方は株式会社株主は「株式会社に対し」発行をやめることを請求する旨が条文に明記されている。
  4. 差止事由は2類型差止事由は、法令又は定款に違反する場合(第一号)と、著しく不公正な方法により行われる場合(第二号)の二つに整理されている。

条文原文

原文ママ
会社法 第247条
第二百四十七条次に掲げる場合において、株主が不利益を受けるおそれがあるときは、株主は、株式会社に対し、第二百三十八条第一項の募集に係る新株予約権の発行をやめることを請求することができる。
一当該新株予約権の発行が法令又は定款に違反する場合
二当該新株予約権の発行が著しく不公正な方法により行われる場合

一次情報