この条文が出てくる場面
原文整理テーマ別まとめ概要
原文解釈- 株式会社は、株主をその有する株式の内容及び数に応じて平等に取り扱わなければならない。
- この平等取扱いの原則にかかわらず、公開会社でない株式会社は、第百五条第一項各号に掲げる権利に関する事項について、株主ごとに異なる取扱いを行う旨を定款で定めることができる。
- この定款の定めがある場合には、当該株主が有する株式は、その権利に関する事項について内容の異なる種類の株式とみなされる。
- みなされた場合には、この編及び第五編の規定が適用される。
株主平等原則とその例外
原文解釈横スクロールできます| 区分 | 適用対象 | 取扱いの内容 | 要件・効果 |
|---|---|---|---|
| 原則(第1項) | 株式会社 | 株主の取扱い | 株主が有する株式の内容及び数に応じて、平等に取り扱わなければならない |
| 例外(第2項) | 公開会社でない株式会社 | 第百五条第一項各号に掲げる権利に関する事項 | 株主ごとに異なる取扱いを行う旨を定款で定めることができる |
| 効果(第3項) | 第2項の定款の定めがある場合の当該株主が有する株式 | 当該権利に関する事項についての取扱い | 内容の異なる種類の株式とみなして、この編及び第五編の規定を適用する |
主要な判例
原文ママ裁判所が付した参照法条による機械照合で選定会社法株主総会決議禁止等仮処分命令申立て却下決定に対する抗告棄却決定に対する許可抗告事件
- 位置づけ
- 最高裁 / 民集登載
- 事件番号
- 平成19(許)30
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 平成19年8月7日 棄却
- 登載
- 民集 第61巻5号2215頁
- 参照法条
- (1〜5につき)会社法109条1項 (4につき)会社法247条1号 (5につき)会社法247条2号
- 判示事項
- 1 株主平等の原則の趣旨は株主に対して新株予約権の無償割当てをする場合に及ぶか 2 株主に対する差別的取扱いが株主平等の原則の趣旨に反しない場合 3 特定の株主による経営支配権の取得に伴い,株式会社の企業価値がき損され,株主の共同の利益が害されることになるか否かについての審理判断の方法 4 株式会社が特定の株主による株式の公開買付けに対抗して当該株主の持株比率を低下させるためにする新株予約権の無償割当てが,株主平等の原則の趣旨に反せず,会社法247条1号所定の「法令又は定款に違反する場合」に該当しないとされた事例 5 株式会社が特定の株主による株式の公開買付けに対抗して当該株主の持株比率を低下させるためにする新株予約権の無償割当てが,会社法247条2号所定の「著しく不公正な方法により行われる場合」に該当しないとされた事例
裁判要旨1 会社法109条1項に定める株主平等の原則の趣旨は,株主に対して新株予約権の無償割当てをする場合にも及ぶ。
2 特定の株主による経営支配権の取得に伴い,株式会社の企業価値がき損され,株主の共同の利益が害されることになるような場合に,その防止のために上記特定の株主を差別的に取り扱うことは,衡平の理念に反し,相当性を欠くものでない限り,会社法109条1項に定める株主平等の原則の趣旨に反しない。
3 特定の株主による経営支配権の取得に伴い,株式会社の企業価値がき損され,株主の共同の利益が害されることになるか否かについては,株主総会における株主自身の判断の正当性を失わせるような重大な瑕疵が存在しない限り,当該判断が尊重されるべきである。
4 株式会社Yが株主であるXによる経営支配権取得のための株式の公開買付けに対抗して新株予約権の無償割当てを行うに当たり,新株予約権の内容につき,X及びその関係者以外の株主は割り当てられた新株予約権を行使することなどによって株式の交付を受けることができるが,X及びその関係者は割り当てられた新株予約権を行使することができず,Yは金員を交付することによって上記新株予約権を取得することができる旨の差別的な条件及び条項が定められていた場合において,次の(1)〜(3)などの判示の事情の下では,上記新株予約権の無償割当ては,会社法109条1項に定める株主平等の原則の趣旨に反せず,同法247条1号所定の「法令又は定款に違反する場合」に該当しない。
(1) 上記新株予約権の無償割当てを行うことは,株主総会においてX及びその関係者以外のほとんどの株主の賛成を得て可決されたものであり,これらの株主は,Xによる経営支配権の取得が企業価値をき損し,株主の共同の利益を害することになると判断したものといえる。
(2) 上記総会の手続に適正を欠く点があったとはいえず,また,上記判断はX及びその関係者において経営支配権取得後の経営方針を明示せず,投下資本の回収方針についても明らかにしなかったことなどによるものであるとうかがわれ,当該判断にその正当性を失わせるような重大な瑕疵はない。
(3) 上記新株予約権の無償割当ては,X及びその関係者も意見を述べる機会のあった上記総会における議論を経てX及びその関係者以外のほとんどの株主が是認したものである上,YがX及びその関係者に割り当てられた新株予約権を取得するに当たり交付する金員は当該新株予約権の価値に見合うものであって,衡平の理念に反し,相当性を欠くものではない。
5 株式会社Yが株主であるXによる経営支配権取得のための株式の公開買付けに対抗して新株予約権の無償割当てを行うに当たり,新株予約権の内容につき,X及びその関係者以外の株主は割り当てられた新株予約権を行使することなどによって株式の交付を受けることができるが,X及びその関係者は割り当てられた新株予約権を行使することができず,Yは金員を交付することによって上記新株予約権を取得することができる旨の差別的な条件及び条項が定められていた場合において,次の(1)〜(3)などの判示の事情の下では,上記新株予約権の無償割当ては,経営支配権を取得しようとする行為に対する対応策として事前に定められ,示されていなかったことなどを考慮しても,会社法247条2号所定の「著しく不公正な方法により行われる場合」に該当しない。
(1) 上記新株予約権の無償割当ては,株主平等の原則の趣旨に反するものではない。
(2) 上記新株予約権の無償割当ては,Xによる経営支配権の取得の可能性が現に生じたために株主総会において企業価値のき損を防ぎ,株主の共同の利益の侵害を防ぐためには多額の支出をしても採用する必要があると判断されて行われたもので,緊急の事態に対処するための措置である。また,X及びその関係者には,割り当てられた新株予約権の価値に見合う対価が支払われる。
(3) 上記新株予約権の無償割当ては,専ら経営を担当している取締役等又はこれを支持する特定の株主の経営支配権を維持するために行われるものではない。
2 特定の株主による経営支配権の取得に伴い,株式会社の企業価値がき損され,株主の共同の利益が害されることになるような場合に,その防止のために上記特定の株主を差別的に取り扱うことは,衡平の理念に反し,相当性を欠くものでない限り,会社法109条1項に定める株主平等の原則の趣旨に反しない。
3 特定の株主による経営支配権の取得に伴い,株式会社の企業価値がき損され,株主の共同の利益が害されることになるか否かについては,株主総会における株主自身の判断の正当性を失わせるような重大な瑕疵が存在しない限り,当該判断が尊重されるべきである。
4 株式会社Yが株主であるXによる経営支配権取得のための株式の公開買付けに対抗して新株予約権の無償割当てを行うに当たり,新株予約権の内容につき,X及びその関係者以外の株主は割り当てられた新株予約権を行使することなどによって株式の交付を受けることができるが,X及びその関係者は割り当てられた新株予約権を行使することができず,Yは金員を交付することによって上記新株予約権を取得することができる旨の差別的な条件及び条項が定められていた場合において,次の(1)〜(3)などの判示の事情の下では,上記新株予約権の無償割当ては,会社法109条1項に定める株主平等の原則の趣旨に反せず,同法247条1号所定の「法令又は定款に違反する場合」に該当しない。
(1) 上記新株予約権の無償割当てを行うことは,株主総会においてX及びその関係者以外のほとんどの株主の賛成を得て可決されたものであり,これらの株主は,Xによる経営支配権の取得が企業価値をき損し,株主の共同の利益を害することになると判断したものといえる。
(2) 上記総会の手続に適正を欠く点があったとはいえず,また,上記判断はX及びその関係者において経営支配権取得後の経営方針を明示せず,投下資本の回収方針についても明らかにしなかったことなどによるものであるとうかがわれ,当該判断にその正当性を失わせるような重大な瑕疵はない。
(3) 上記新株予約権の無償割当ては,X及びその関係者も意見を述べる機会のあった上記総会における議論を経てX及びその関係者以外のほとんどの株主が是認したものである上,YがX及びその関係者に割り当てられた新株予約権を取得するに当たり交付する金員は当該新株予約権の価値に見合うものであって,衡平の理念に反し,相当性を欠くものではない。
5 株式会社Yが株主であるXによる経営支配権取得のための株式の公開買付けに対抗して新株予約権の無償割当てを行うに当たり,新株予約権の内容につき,X及びその関係者以外の株主は割り当てられた新株予約権を行使することなどによって株式の交付を受けることができるが,X及びその関係者は割り当てられた新株予約権を行使することができず,Yは金員を交付することによって上記新株予約権を取得することができる旨の差別的な条件及び条項が定められていた場合において,次の(1)〜(3)などの判示の事情の下では,上記新株予約権の無償割当ては,経営支配権を取得しようとする行為に対する対応策として事前に定められ,示されていなかったことなどを考慮しても,会社法247条2号所定の「著しく不公正な方法により行われる場合」に該当しない。
(1) 上記新株予約権の無償割当ては,株主平等の原則の趣旨に反するものではない。
(2) 上記新株予約権の無償割当ては,Xによる経営支配権の取得の可能性が現に生じたために株主総会において企業価値のき損を防ぎ,株主の共同の利益の侵害を防ぐためには多額の支出をしても採用する必要があると判断されて行われたもので,緊急の事態に対処するための措置である。また,X及びその関係者には,割り当てられた新株予約権の価値に見合う対価が支払われる。
(3) 上記新株予約権の無償割当ては,専ら経営を担当している取締役等又はこれを支持する特定の株主の経営支配権を維持するために行われるものではない。
実務注記
原文解釈- 平等取扱いの基準第1項の平等取扱いは、株主が有する株式の内容及び数に応じたものであることが条文上の基準とされている。
- 異なる取扱いを定款で定められる会社の範囲第2項により株主ごとに異なる取扱いを定款で定めることができるのは、公開会社でない株式会社に限られる。
- 異なる取扱いの対象事項の限定第2項の定款の定めの対象となる事項は、第百五条第一項各号に掲げる権利に関する事項に限られる。
- 定款の定めは任意(できる規定)第2項は「定款で定めることができる」という規定であり、この定めがなければ第1項の平等取扱いの原則によることになる。
- 定款の定めがある場合の法的効果第2項の定款の定めがある場合、当該株主が有する株式は、当該権利に関する事項について内容の異なる種類の株式とみなされ、この編及び第五編の規定が適用される。
条文原文
原文ママ会社法 第109条(株主の平等)
(株主の平等)
第百九条株式会社は、株主を、その有する株式の内容及び数に応じて、平等に取り扱わなければならない。
2前項の規定にかかわらず、公開会社でない株式会社は、第百五条第一項各号に掲げる権利に関する事項について、株主ごとに異なる取扱いを行う旨を定款で定めることができる。
3前項の規定による定款の定めがある場合には、同項の株主が有する株式を同項の権利に関する事項について内容の異なる種類の株式とみなして、この編及び第五編の規定を適用する。
一次情報
- 条文e-Gov法令検索 会社法 第109条
- 判例裁判所ウェブサイト 裁判例検索
- 注記法令は改正されます。実務判断の際は上記リンクで最新の条文を再確認してください。