民法 明治二十九年法律第八十九号 現行施行 2026-06-24 条文取得 2026-09-05

第423条債権者代位権の要件

原文解釈概要・一覧表・実務注記は当サイトによる解釈です。条文原文と判例は転記です。

この条文が出てくる場面

原文整理テーマ別まとめ
債権の効力/債権者代位権ステップ 1 / 1 債権者代位権債権者代位権について、条文は何を定めているか。

概要

原文解釈
  • 債権者は、自己の債権を保全するため必要があるときは、債務者に属する権利(被代位権利)を行使することができる。
  • 債務者の一身に専属する権利及び差押えを禁じられた権利は、被代位権利の対象から除かれる。
  • 債権者は、その債権の期限が到来しない間は、被代位権利を行使することができない。ただし、保存行為はこの限りでない。
  • 債権者は、その債権が強制執行により実現することのできないものであるときは、被代位権利を行使することができない。

債権者代位権の要件(民法第423条)

原文解釈横スクロールできます
項要件区分内容例外
第1項本文保全の必要性自己の債権を保全するため必要があるとき―
第1項ただし書被代位権利の対象外債務者の一身に専属する権利及び差押えを禁じられた権利これらは行使することができない
第2項本文期限未到来の制限その債権の期限が到来しない間は、被代位権利を行使することができない保存行為は、この限りでない
第3項強制執行による実現可能性その債権が強制執行により実現することのできないものであるとき被代位権利を行使することができない

主要な判例

原文ママ裁判所が付した参照法条による機械照合で選定
民法建物明渡請求事件
位置づけ
最高裁大法廷 / 民集登載
事件番号
平成8(オ)1697
裁判
最高裁判所大法廷 平成11年11月24日 棄却
登載
民集 第53巻8号1899頁
参照法条
民法369条,民法423条
判示事項
一 抵当権者が抵当不動産の所有者の不法占有者に対する妨害排除請求権を代位行使することの可否 二 抵当権者が権利の目的である建物の所有者の不法占有者に対する妨害排除請求権を代位行使して直接抵当権者に建物を明け渡すよう求めることができるとされた事例
裁判要旨一 第三者が抵当不動産を不法占有することにより、競売手続の進行が害され適正な価額よりも売却価額が下落するおそれがあるなど、抵当不動産の交換価値の実現が妨げられ抵当権者の優先弁済請求権の行使が困難となるような状態があるときは、抵当権者は、抵当不動産の所有者に対して有する右状態を是正し抵当不動産を適切に維持又は保存するよう求める請求権を保全するため、所有者の不法占有者に対する妨害排除請求権を代位行使することができる。
二 建物を目的とする抵当権を有する者がその実行としての競売を申し立てたが、第三者が建物を権原なく占有していたことにより、買受けを希望する者が買受け申出をちゅうちょしたために入札がなく、その後競売手続は進行しなくなって、建物の交換価値の実現が妨げられ抵当権者の優先弁済請求権の行使が困難となる状態が生じているなど判示の事情の下においては、抵当権者は、建物の所有者に対して有する右状態を是正するよう求める請求権を保全するため、所有者の不法占有者に対する妨害排除請求権を代位行使し、所有者のために建物を管理することを目的として、不法占有者に対し、直接抵当権者に建物を明け渡すよう求めることができる。
(一、二につき補足意見がある。)
民法損害賠償
位置づけ
最高裁 / 民集登載
事件番号
昭和54(オ)719
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和58年10月6日 破棄差戻
登載
民集 第37巻8号1041頁
参照法条
民法423条,民法710条,民訴法(昭和54年法律第4号による改正前のもの)570条1項,民訴法(昭和54年法律第4号による改正前のもの)618条1項,破産法(昭和54年法律第5号による改正前のもの)6条3項,破産法(昭和54年法律第5号による改正前のもの)283条1項後段
判示事項
一 名誉侵害を理由とする慰藉料請求権と行使上の一身専属性の喪失事由 二 名誉侵害を理由とする破産者の慰藉料請求権が破産終結決定後に行使上の一身専属性を失つた場合と破産法二八三条一項後段の適用の有無
裁判要旨一 名誉侵害を理由とする慰藉料請求権は、加害者が被害者に対し一定額の慰藉料を支払うことを内容とする合意若しくはかかる支払を命ずる債務名義が成立したなどその具体的な金額が当事者間において客観的に確定したとき又は被害者が死亡したときは、行使上の一身専属性を失う。
二 名誉侵害を理由とする破産者の慰藉料請求権が破産終結決定後に行使上の一身専属性を失つた場合には、破産法二八三条一項後段の適用はない。
民法損害賠償
位置づけ
最高裁 / 民集登載
事件番号
昭和55(オ)188
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和57年9月28日 棄却
登載
民集 第36巻8号1652頁
参照法条
民法423条,商法629条,民訴法226条
判示事項
交通事故の被害者が加害者に対する損害賠償請求訴訟と併合して保険会社に対し加害者に代位して提起した自動車保険普通保険約款に基づく保険金請求訴訟の許否
裁判要旨自動車保険普通保険約款に、加害者の保険会社に対する保険金請求権は、加害者と被害者との間で損害賠償額が確定したときに発生し、これを行使することができる旨の規定があつても、被害者が加害者に対する損害賠償請求と保険会社に対し加害者に代位してする保険金請求とを併合して訴求している場合には、右保険金請求訴訟は、将来の給付の訴えとして許される。

実務注記

原文解釈
  1. 保全の必要性の有無を確認する被代位権利の行使は、自己の債権を保全するため必要があるときに限られる(第1項本文)。
  2. 対象外の権利でないか確認する債務者の一身に専属する権利及び差押えを禁じられた権利は、被代位権利として行使することができない(第1項ただし書)。
  3. 被保全債権の期限到来を確認する債権者は、その債権の期限が到来しない間は、被代位権利を行使することができない(第2項本文)。
  4. 保存行為であれば期限前でも可第2項本文の制限にかかわらず、保存行為は期限が到来しない間でも行使することができる(第2項ただし書)。
  5. 強制執行により実現できない債権でないか確認する債権者の債権が強制執行により実現することのできないものであるときは、被代位権利を行使することができない(第3項)。

条文原文

原文ママ
民法 第423条(債権者代位権の要件)
(債権者代位権の要件)
第四百二十三条債権者は、自己の債権を保全するため必要があるときは、債務者に属する権利(以下「被代位権利」という。)を行使することができる。ただし、債務者の一身に専属する権利及び差押えを禁じられた権利は、この限りでない。
2債権者は、その債権の期限が到来しない間は、被代位権利を行使することができない。ただし、保存行為は、この限りでない。
3債権者は、その債権が強制執行により実現することのできないものであるときは、被代位権利を行使することができない。

一次情報